山添 拓 参議院議員・日本共産党

国会報告

2017年・第193通常国会

一般人でも捜査・処罰対象に 当局の判断次第

○山添拓君 おはようございます。日本共産党の山添拓です。
資料をお配りしておりますので、委員の皆さん、また大臣ほかの皆さんも御覧ください。
資料の一ページ目、昨日本会議で仁比聡平議員が紹介をいたしました北海道新聞の世論調査の記事です。共謀罪法案に反対が五九%、賛成が三四%を大きく上回ったと報じられています。
私が注目しましたのは、法案の内容について知っていると答えた人が六四%と、前回から一三ポイント増えたそうであります。三十代以下では六〇%、前回から倍増したと報じられています。その中で反対が全体で一四ポイント増えた。四十代で一九ポイント、三十代以下では二一ポイント反対が増えています。
法案の内容を知れば知るほど反対が増える。大臣、この結果、率直にどう思われますか。

○国務大臣(金田勝年君) ただいま御指摘がございましたこの報道につきましては拝見をさせていただきました。調査方法の詳細等について承知をしているわけではございませんので、個別の調査結果についての所感を申し上げることは差し控えたいと存じます。
その上で、これまで本法案につきましては、国民の皆様方の御理解を得られるように丁寧な答弁に努めてきたところであります。今後なお一層の御理解を得られるように、引き続き誠実な答弁に努めてまいりたいと、そのように考えております。

○山添拓君 これまでと同様に説明していくということなんですけれども、資料の二ページも御覧ください。その下から二段目です。
例えば、一般市民が捜査対象となったり逮捕されたりする不安について、感じると答えた方が、自民党支持層で五〇%、公明党支持層では八五%。一般人は処罰の対象にならない、捜査の対象にもならない、嫌疑の対象にもならないと繰り返し述べてこられたわけですが、こういう結果になっているわけです。説明不十分は八五%です。なぜこんなことになっているとお考えですか、大臣。

○国務大臣(金田勝年君) 先ほど申し上げましたように、この調査結果についての所感を申し上げることは差し控えたいと思います。調査方法の詳細等について承知していないということもございます。
しかし、そういう状況の中ではありますが、本法案についての必要性と重要性をこれからも丁寧に説明をして、国民の皆様の御理解をいただきたい、このように考えております。

○山添拓君 世論調査の結果について個別には答えられないと。国民の声ですよね、北海道新聞の調査ですけれども。それはもちろん一部の調査かもしれないですが、しかし、確実にここには国民の中に広がっている法案に対する不安や懸念、示されているんじゃないでしょうか。法案そのものが大変な問題を抱えているからこそ、国民の中に幾ら説明をしても理解が広がらない、こういうことだと思います。
衆議院強行後の共同通信の調査でも、説明不十分は七七%、この参議院に移ってからも、審議をすればするほど問題点や矛盾が噴出する共謀罪法案であります。昨日の毎日新聞では、不安や懸念を置き去りにし、抗議の声をはねつけ、数の暴挙を繰り返す。そう思われるのが本意でなければ、成立ありきの態度を改め、審議を一からやり直すべきだ、こういう意見も示されています。私はそのとおりだと思います。
金田大臣は、この国会において、共謀罪審議に関連して治安維持法についても答弁をされています。そこで、伺いたいんですが、大臣、横浜事件について御存じでしょうか。

○国務大臣(金田勝年君) 承知をしているつもりであります。

○山添拓君 どんな事件でしょうか。

○大臣政務官(井野俊郎君) 私……(発言する者あり)

○委員長(秋野公造君) どうぞ。

○大臣政務官(井野俊郎君) 指名を受けましたので、御説明いたします。(発言する者あり)委員長から御指名をいただいたので、御答弁させていただきます。
私の認識している限りではございますけれども、横浜事件というのは、戦後、治安維持法が廃止されるまでの間に処罰された、検挙された人がいるという事件で、再審無罪を申し立てた事件だというふうに認識をしております。
○国務大臣(金田勝年君) 具体的に事前に通告をいただいておりません。したがいまして、詳細について申し上げることについては、ただいま政務官の方から答弁をした次第であります。

○山添拓君 大臣はほとんど御存じないということだったんだと思いますが、細川嘉六さんというジャーナリストが「改造」という雑誌に発表した論文がコミンテルンと共産党の目的のためにする行為だと陸軍に摘発をされて、「改造」やあるいは中央公論、その編集者、研究者が次々と逮捕されたという事件です。
この細川氏らの集合写真が富山県の料亭旅館で見付かりまして、共産党の再建準備会を企てたものだと決め付けられたわけです。実際には出版記念の宴会のときの写真にすぎなかったんですが、そこから芋づる式に関係者を検挙していきました。事件の関係者が生活に困窮しているのでお金を融通したことや、住む家を貸したことまでもがこのためにする行為だとされて弾圧の対象とされました。そして、その対象がどんどん広がったという事件です。共産主義者であるかどうか関係なくですね。
その横浜事件の被害者の一人に対する元特高警察による拷問が特別公務員暴行傷害罪で有罪が確定しております。大臣、このことは御存じでしょうか。

○国務大臣(金田勝年君) 先ほども申し上げましたが、事前の通告をいただいていませんので、詳細については承知をしておりません。
○山添拓君 私が聞いているのは詳細じゃなくて結論なんですけどね。一九五二年四月二十四日の最高裁判決で有罪が確定をしております。
資料の三ページを御覧ください。その控訴審で罪となるべき事実が指摘されておりますが、その事実、読み上げていただきたいと思います。

○政府参考人(林眞琴君) 御指摘の東京高等裁判所判決におきまして、昭和十八年五月十一日、治安維持法違反事件の被疑者の取調べに際し、同人が被疑事実を認めなかったので、被告人等はその他の司法警察官等と共謀して同人に拷問を加えて自白させようと企て、同月十二日頃から約一週間くらいの間、数回にわたって、神奈川県神奈川署の警部補宿直室において、同人に対し、頭髪をつかんで股間に引き入れ、正座させた上、手拳、竹刀の壊れたもの等で頭部、顔面、両腕、両大腿部等を乱打し、これにより腫れ上がった両大腿部等を靴下履きの足で踏んだりもんだりするなどの暴行陵虐の行為をなし、よって、同人の両腕に打撲傷、挫傷、両大腿部に打撲挫傷、化膿性膿症等を被らせ、そのうち両大腿部の化膿性膿症については、その後治癒まで数か月を要さしめたのみならず、長くその痕跡を残すに至らしめたという事実が認定されたものと承知しております。

○山添拓君 この事件については事前に通告をしております。
今読んでいただいたように、戦時中の刑法にも違反する暴行、傷害が加えられた事実が判決で確定をしております。大臣、明治憲法の下においても、こうした拷問は許されなかったということではないんでしょうか。

○国務大臣(金田勝年君) 通告についてはいただいておりませんので、その点は明確に申し上げておきます。
その上で、治安維持法及びその下での運用については、種々の意見や批判があるものと承知をいたしております。
一方で、戦前とは異なって、現在の捜査機関による捜査につきましては、日本国憲法の下、裁判所が捜査段階においては厳格な令状審査を行い、また、公判段階においては証拠を厳密に評価して事実認定を行い、有罪か否かを判断することにより、捜査機関の恣意的な運用を防ぐ制度が有効に機能している。また、テロ等準備罪は、犯罪の主体を組織的犯罪集団に限定をし、計画行為に加えて実行準備行為があって初めて処罰の対象とすることで、その処罰範囲は明確かつ限定的なものであると考えております。
このように、捜査機関の恣意的な運用は制度的にもできないという状況とテロ等準備罪の処罰範囲は明確かつ限定的なものであるということで、テロ等準備罪が戦前の治安維持法と全く違う、この日本国憲法の下で国民の基本的人権を不当に制約するものではないことを申し上げておきたいと思います。

○山添拓君 委員長、質問していないことに対して延々と答弁をされています。注意をしていただきたい。

○委員長(秋野公造君) 続けてください。

○山添拓君 注意してください。おかしいでしょう、ちょっと。(発言する者あり)

○委員長(秋野公造君) 山添拓君。

○山添拓君 最高裁判決で違法が確定した、有罪だと確定した、このことについての認識を伺ったわけです。そして、この判決については、今刑事局長の方がメモを読み上げられたとおり、事前にちゃんと通告もしておりますので、それについて認識についての御答弁がなかった、その上、関係ないことをお話しになった。これ、私は国会審議に対して誠実な態度だとは到底思えません。
高裁判決、その後続けてこう述べています。被告人らの所為は法治国において戦時であると平時であるとを問わず堅く戒められている禁制を破ったものであるから、これを戦局苛烈な時期における一場の悪夢にすぎぬとして看過し去ることはできないと述べています。
思想を取り締まり、その権限ゆえに当時の法律でも違法な捜査に及びました。その反省の上に思想の自由を保障する憲法十九条があり、拷問と残虐な刑罰を絶対に禁ずるとした憲法三十六条があります。思想、信条、良心の自由を脅かし、踏みにじったこの歴史の教訓を踏まえた日本国憲法の立場に照らせば、行為主義、内心の自由に踏み込まないことを特に厳格に捉えるべきではないでしょうか。
大臣は、昨年の十月十九日、衆議院の法務委員会で我が党の藤野保史議員の質問に対して、憲法の個々の条文の成り立ち等については意見を差し控えたいと答弁されていますが、歴史的な背景を抜きに憲法がいかなる自由を守ろうとしているかについて考えることなどできないんではないでしょうか。特に、思想、信条の自由に関わる条項について、これは避けては通れないところではないか。金田大臣、この点については御認識はいかがでしょう。

○国務大臣(金田勝年君) ただいまの御指摘にお答えをいたします。
テロ等準備罪は、一定の重大な犯罪の計画行為に加えて、実行準備行為が行われた場合に限って成立するものであります。計画行為及び実行準備行為という行為を処罰するものであって、御指摘のような内心を処罰するものではありません。したがって、テロ等準備罪処罰法案が思想、良心の自由を始めとする憲法上の権利を不当に制約するとの批判は当たりません。

○山添拓君 私、全然そんなこと言っていないんですね。過去の歴史に学んで憲法が定められた、その認識の上に刑罰法規の在り方を考えるべきではないかと、当たり前のことを述べただけですが、そのことを何か曲解をされて、今の共謀罪法案について批判をしているかのように受け取られたようでした。
治安維持法は、思想、信条の自由に反するものですけれども、国体の変革など、対象を条文上は絞っておりました。しかし、今回の共謀罪法案は、思想、信条で絞るものではその点ではない、代わりに、二百七十七の罪、全刑法犯でいう八割を超える犯罪について対象としているものだと、先日、この委員会で松宮参考人がお話をされました。誰でも対象にできる、でき得るという点では治安維持法よりたちが悪い、この松宮参考人の意見はそのとおりだと私は思います。
誰でも対象になり得ると、この点に関して、五月三十日には、私、この委員会で岐阜県警大垣署による情報収集の問題を取り上げました。決算委員会での仁比聡平議員の質問に対して国家公安委員長が答えましたように、情報収集の過程で共謀罪の嫌疑を抱けばそこから捜査に移行する、公安情報収集活動と犯罪捜査の連続性というものは既にはっきりしたと言えます。
今日は、任意捜査に関わって堀越事件を取り上げたいと思います。
五月十六日、衆議院の法務委員会で参考人の加藤健次弁護士が紹介した事件です。二〇〇三年、社会保険庁の職員だった堀越さんが、休日にしんぶん赤旗号外を配布したことが、しんぶん赤旗号外ってチラシですけれども、国家公務員法の政治的行為の禁止に反するとして逮捕、起訴されました。一審有罪、高裁で逆転無罪です。二〇一二年十二月七日に最高裁で無罪が確定しました。その意味では、これ、何ら法益侵害のない、事件性のない行為だということが最高裁判決によって確定をしているわけです。
この事件で警察はどのような捜査を行っていたか、資料の四ページ以下を御覧ください。加藤参考人が配付をいたしました、行動確認実施結果一覧表をお配りしております。
例えば、十月十二日の欄を御覧ください。この日は休日です。八時二十分、集合郵便受けに新聞様のものをポストに投函したのを確認、十二時二十五分、有楽駅改札を出たところで氏名不詳の女、身長百五十センチぐらい、年齢三十五歳前後と接触、銀座インズ地下一階「月の雫」に入店、十四時三十分、演劇「銃口」を見る、十七時二十五分、演劇を終了し、同演劇を見ていた男女十名くらいと居酒屋に入る、十九時五十分、居酒屋から出た後、被疑者は女と手をつなぎながら、氏名不詳の男と三人でカラオケ店「ディアナ銀座」に入店。犯罪とは何の関連もないプライベートな行動まで事細かに追っています。
警察庁に伺いますが、この事件で行動確認を行った警察活動の根拠となる法律は何でしょうか。

○政府参考人(白川靖浩君) お答えいたします。
御指摘の事件におきまして警視庁が行ったいわゆる行動確認は、刑事訴訟法の規定にのっとりまして、必要な証拠の収集のために行ったものと承知しております。

○山添拓君 刑事訴訟法の何条ですか。

○政府参考人(白川靖浩君) お答えいたします。
刑事訴訟法第百八十九条第二項及び第百九十七条第一項に基づきまして、いわゆる任意捜査として実施したものと承知しております。

○山添拓君 御覧いただければ分かりますとおり、堀越さんのことを被疑者と書いております。捜査員という記載もあります。情報収集段階ではございません。犯罪捜査としての任意捜査の名の下にこれだけのことが行われております。
この行動確認結果一覧表からうかがえるのは、警察とりわけ公安警察が犯罪を未然に防ぐなどとは一切考えていないということです。本当に問題ある行為だったらその場で注意をすればいいわけです。二十九日間にわたって延べ百七十一名の捜査員が少なくとも四台の車と六台のビデオカメラを使用して尾行、盗撮を行い、犯行現場を押さえて、万全を期して、翌年の三月、捜索、差押えに及び、あらゆる資料を差し押さえいたしました。
資料の四ページ、もう一度御覧いただきますが、十月十一日、堀越さんを見失った後、被疑者と同乗していたグリーンの帽子の男を発見し、行動確認した結果、「日本共産党」「十一月九日総選挙」の文字の書かれたビラを配布していた、更にグリーン帽子の男の行動を確認した等とあります。
被疑者とされた堀越さん以外の者についてまで捜査の対象としています。これ、どんな必要があったんでしょうか、警察庁。

○政府参考人(白川靖浩君) お答え申し上げます。
御指摘の事件におきましては、先ほど御答弁申し上げましたとおり、警視庁が行った行動確認は、刑事訴訟法の規定にのっとり必要な証拠収集のために行ったものと承知しております。一般論として申し上げますれば、御指摘の被告の方以外を被疑者として捜査したことはございません。

○山添拓君 被疑者として捜査したかではなくて、なぜ被疑者以外の方についてまで後を追って確認する、こういうことをされたんですか。それも捜査の必要からですか。

○政府参考人(白川靖浩君) 一般論として申し上げますれば、行動確認の途中におきまして被疑者と接触した方につきまして、どのような行動をされるかということは、捜査の必要の範囲内で行うことがあるものと承知しております。

○山添拓君 そういうことなんですよね。あの横浜事件ではありませんけれども、捜査機関がターゲットとした人物だけでなく、その接触した人物も含めてあらゆる人をひそかに調べ上げるということです。それは、例えば、この間これも問題になってきましたが、GPS捜査で被疑者だけでなく知人や交際相手が使う車にまでGPSの探知行ってきた、このこととも通ずると思います。歯止めはないわけです、捜査の必要上という言葉によって。
警察庁に改めて伺いますが、犯罪行為が行われる前、この事件の場合には結局無罪になっていますから犯罪でも何でもない行為なんですが、新聞配布行為の前の段階で嫌疑があり、犯行の現場を押さえるために任意捜査を行うということはあり得るんだと、こういうことですね。

○政府参考人(白川靖浩君) お答え申し上げます。
同事件におきましては、平成十五年四月十九日、選挙違反取締りのため捜査中の捜査員がこの元被告人の方による選挙に係ると思料されるビラの配布行為をたまたま現認をいたしまして、公職選挙法違反及び国家公務員法違反で捜査を開始いたしましたが、立件に至らなかったものと承知しております。そのような中で同年十月、衆議院議員総選挙が公示、施行されることとなりまして、警視庁におきまして今申し上げた状況を総合的に勘案しまして、再び同様のビラを配布することが予想されたことから、捜査を実施したものと承知しております。

○山添拓君 では、一般論として伺いますが、犯罪行為が行われる前の段階から任意捜査を行う、これはあり得るということで確認させていただきますが、よろしいですね。

○政府参考人(白川靖浩君) それは、これまでの委員会におきましても法務当局からも同様の御答弁はあったかというふうに思います。

○山添拓君 今の御答弁、今度この共謀罪法が仮に可決をされ、共謀罪が成立することになれば、その共謀罪の捜査においても同じだということでよろしいですか。

○政府参考人(白川靖浩君) ただいま政府として御審議お願いをしている法案の捜査のありようにつきましては、法務当局から御答弁いただくのが適切かと存じます。

○山添拓君 この間、共謀罪をめぐっては、実行準備行為が行われなければ逮捕も処罰もされないという答弁が繰り返されてまいりました。
大臣、そのとおりでしょうか。

○国務大臣(金田勝年君) ちょっと、言葉がちょっと聞き取れませんでしたので、もう一度御質問ください。

○山添拓君 共謀罪をめぐって、実行準備行為が行われなければ逮捕も処罰もされないという答弁をされてきたわけですが、それは間違いないでしょうか。

○国務大臣(金田勝年君) そのとおりで結構です。

○山添拓君 今、後ろの方からそういうレクチャーを受けられて答弁されましたが。
一方で、計画がされた嫌疑があれば実行準備行為の前であっても任意捜査ができるんだと、こういう答弁もされてまいりました。
ところが、六月一日の自民党古川先生の質疑を聞いておりまして、少しここが分からなくなってまいりました。捜査というのは、捜査開始以前に発生した過去の犯罪事実について認められるのが通例だ、こう答弁されつつ、必ずしも過去に行われた犯罪に限られるものではなく、犯罪が行われる蓋然性が高度に存在して捜査の必要性が認められる場合には任意捜査が許容される場合があると、こういう御答弁もされております。
要するに、犯罪、法律的に言えば実行行為ということですが、その前であっても任意捜査がされることはあり得るということですね。これ、確認させてください。

○政府参考人(林眞琴君) これまで累次申し上げてまいりましたのは、捜査は犯罪の嫌疑が必要でございます。犯罪の嫌疑のないときに捜査を行うことは、任意捜査でありましてもこれは行うことができません。
ここで、捜査というもの、犯罪があると、じゃ、思料する場合、これは、捜査というものについては、犯罪というものが発生してからその嫌疑が発生するわけでございまして、通例といたしましては、捜査開始以前に発生した事象、これに対する嫌疑でありますので、過去に行われた犯罪行為、これに対する嫌疑が通例でございます。
もっとも、次のような場合に犯罪の嫌疑が認められるということが起きます。これは、例えば、反復継続的に実行される犯罪の形態、このような場合におきまして、発生の蓋然性が高度に認められる事象、こういったことを前提といたしますと、その実際の犯罪の発生の以前でありましても、高度にその実行の蓋然性が認められるような場合には、この例外的に任意捜査、捜査を開始することができると、これは、これまでの各種の判例の中でもそのように認められていると考えております。
例えば、今のテロ等準備罪のことでいえば、その実行の、犯罪、対象犯罪に対する計画が認められて、その計画から、その計画に基づいて実行準備行為がなされるという、そのことが高度に見込まれるような状況、客観的な資料があれば、その際には、実行準備行為の前においても、計画後において捜査を開始することは可能であると、このようなことを申し上げてまいりました。
したがいまして、要約すれば、犯罪の捜査というものは、通例では、発生した犯罪、これに対する捜査、それに対する嫌疑がある場合に捜査が行うことができますが、ただ、今申し上げたような、反復継続的に実行されるような形態であった場合でありますとか、今回のテロ等準備罪における計画があって、その計画の内容からして、次の実行準備行為が行われる高度の蓋然性が認められるような客観的な資料がある場合においては、その段階で捜査を開始することができるということを申し上げております。

○山添拓君 確認させていただきますが、共謀罪においては、犯罪の実行行為というのは計画です。計画に加えて、その後の実行準備行為も含めるかどうかというところはあろうかと思いますが、計画が行われるという嫌疑が生じれば計画前にも任意捜査は可能だと、こういうことですね。

○政府参考人(林眞琴君) テロ等準備罪においては、一つに、組織的犯罪集団の関与というものが一つの構成要件でございます。もう一つ、その計画というものが構成要件でございます。さらに、実行準備行為という、この行為も構成要件でございます。
そうしますと、計画もない段階におきましては、計画もない段階におきましては計画に基づく実行準備行為ということは観念できないわけでございますので、その段階においては、犯罪が成立するという、犯罪が行われるという嫌疑自体が生じ得ません。したがいまして、計画以前において任意捜査を行うことはできません。

○山添拓君 なぜそんなこと言えるんです。だって、繰り返し犯罪が行われている、そういう場合に、さっき反復継続しているような場合を挙げられたじゃありませんか、そういう場合に、またやるかもしれないと。今度の計画の前の段階で、既に今度の罪をやるかもしれない、計画をやるかもしれないという嫌疑が生じれば、その段階で任意捜査を行う、計画より前の段階から任意捜査を行うことは、法律上もあり得るでしょうし、実際上も考え得るんじゃありませんか。

○政府参考人(林眞琴君) 反復継続というのは、先ほど申し上げましたのは、例えばすりでありますとか薬物犯罪で同一形態で行われている、そういったような状況の場合に、この場合に、犯罪が発生する前から捜査員を派遣して、その犯罪が行われる蓋然性が極めて高い場所に捜査員を派遣して、そこにおいて実際の現行犯を確知して逮捕すると。このような捜査が行われるという意味で、一つの犯罪が発生する以前での任意捜査の開始、これができる場合を例として挙げました。いずれにしても、その場合も、犯罪が発生する、その高度な蓋然性が認められるからでございます。
テロ等準備罪におきましては、先ほど申し上げたように、大きく分けて三つの構成要件があります。組織的犯罪集団の関与、それから計画、それから実行準備行為というものがあります。この三つがそろうという、全て構成要件としてそろうという蓋然性がない限り、犯罪の嫌疑ありとは言えないわけでございます。そのときに考えた場合に、計画よりも以前で、計画より以前であれば、計画の次に来る実行準備行為、それは計画に基づく実行準備行為でございますので、そういったものがそろうという蓋然性というのは生じ得ません。したがいまして、計画以前で犯罪の発生という嫌疑が発生することはないと、このように申し上げております。

○山添拓君 犯罪構成要件の全部について嫌疑が生じなければ捜査をしないなんということはないと思うんですね。組織的犯罪集団が関与し、計画をする可能性がある、そういう嫌疑が高まってくれば、高度の蓋然性が存在するということになれば、当然その前の段階で捜査を開始するということはあり得るでしょう。だって、ほかの犯罪で、今お聞きいただいたように、この堀越さんの事件であっても、かつて確かに国家公務員法違反と疑われる事件をやったと思われた、しかし、その後、何もない時期が過ぎていったわけです。ところが、今度総選挙があるということで、疑いを持って尾行していったわけですね。
同じように、テロ等準備罪だとおっしゃるこの犯罪においても、組織的犯罪集団が関与し、計画をし、実行準備行為を行っていくのではないか、こういう高度の蓋然性が存在すれば計画の前の段階でも任意捜査を行うことはあり得るし、少なくともそれは法律的には禁止されないんじゃありませんか。

○政府参考人(林眞琴君) それは法律的に全くできません。
そうした組織的犯罪集団というものが、例えばそれが組織的犯罪集団ができるということ、これだけが犯罪であれば、そういったその嫌疑があれば、組織的犯罪集団となっているかどうかということを捜査することは可能でございますが、今回のテロ等準備罪という行為は、実行準備行為までそろって初めて犯罪が成立するわけでございます。
犯罪が成立するという嫌疑というものがどの段階で発生するのかというところにつきましては、実行準備行為、最終的な実行準備行為というものが行われる高度な蓋然性までいかなければ犯罪としての嫌疑というのは生じないわけでございますので、そのことから、先ほど申し上げたように、実行準備行為というのは計画に基づく行為でございます。計画に基づく、計画についての嫌疑もない段階で任意捜査というものはできるわけがないと思います。

○山添拓君 今の話は法律のどこに書いていますか。

○政府参考人(林眞琴君) 刑事訴訟法で捜査は犯罪の嫌疑ありと思料するときに行うと、こうあります。これが、その場合の犯罪というのは、当然犯罪は構成要件を充足して犯罪というものが成立するわけでございますので、その今申し上げたのは、三つの要件というものがそろわないと犯罪が成立しないということ、そのことが刑事訴訟法のその犯罪ありと思料する場合に捜査を行うというところの条文に関わってきまして、それによって今申し上げたような捜査ができる範囲、そういうものが確定、限定されるわけでございます。

○山添拓君 いや、到底理解し難い話だと思うんですね。今ここに検事御出身の小川先生もいらっしゃいますが、当然やるんだよという声が掛かりました。だって、任意捜査というのは犯罪が起こる前からやるということで、今お話もあったとおりなんですよ。これ、共謀罪についてだけそれは認められないんだ。
だって、皆さんこれまで、この共謀罪の法案は実体法を変えるものであって捜査法を変えるものではないとおっしゃってきた。刑事訴訟のこれまでの在り方、捜査の在り方を一切変えるものではないと答弁されてまいりました。そうであれば、この堀越事件の捜査で行われたような事前の捜査活動、任意捜査、尾行や盗撮、こうしたものは、共謀罪においても一切、行為が行われる前から、実行行為が行われる前、実行行為の中にはこの法律でいえば計画が入っています、計画の前の段階から行えるということは当然だと思うんですね。それをなぜかお認めになろうとしない。
これは、法律の読み方からしても到底考え難いような解釈を取られていると思いますし、その今のお話が今後の捜査の在り方、あるいは捜査を受けた、起訴されてきた刑事裁判所の司法判断、これを縛ることには到底ならないと思います。そんな答弁を繰り返されるようでしたら、とても充実した審議とは言えないだろうと思います。
共謀罪は、予備罪が成立するような客観的な危険が存在しない、準備行為があったとしても、客観的な危険が存在しない段階を処罰するものだと先日も答弁で確認をしております。客観的には危険な行為も結果も生じていないのですから、その段階で起訴をして有罪とし、結果発生を未然に防ごうと思えば、これ十分な証拠が必要になってまいります。そうであれば、計画、共謀のまさにその瞬間を押さえるべきではないか、真面目な警察官はそう考えられるでしょう。捜査機関がターゲットとしたものについて、犯罪と関係のない行動、通信も含めて丸裸にするような捜査が行われ得ると、これは監視社会だという批判は私はまさにそのとおりだと思います。
次の論点に行きますが、政府はこの間、共謀罪を対象犯罪として通信傍受をすることはできないのだ、盗聴はできないのだと説明をされてきました。先日、松宮参考人は、現行の通信傍受法三条一項三号に共謀罪が当たるんじゃないかと指摘をされました。
資料の八ページを御覧ください。
通信傍受には裁判所の令状が必要で、かつ、対象犯罪は、この法律の別表第一と第二に挙げられた大麻取締法や覚せい剤取締法、傷害や強盗などに限られています。ただし、この三条一項三号には長期二年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪が入っています。長期二年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪には、共謀罪、この法案の六条の二も入るんではありませんか。

○政府参考人(林眞琴君) テロ等準備罪の法定刑は、この長期二年以上の懲役又は禁錮に当たる罪に当たります。

○山添拓君 条文上入るということですから、共謀罪についても通信傍受の対象に当たり得るということですね。

○政府参考人(林眞琴君) テロ等準備罪は通信傍受の対象犯罪でございません。この三条一項三号によっても通信傍受を実施することは法律上できません。

○山添拓君 じゃ、何を根拠におっしゃるんですか。

○政府参考人(林眞琴君) まず、三条一項におきまして、この通信傍受における、三条一項三号における傍受でございますが、これは、長期二年以上の懲役又は禁錮に当たる罪が通信傍受の対象犯罪と一体のものとしてその実行に必要な準備のために犯されるということを要件としております。
この一体のものということにつきましては、これは通信傍受法制定時の国会審議において修正された部分でございます。この一体のものとしての要件を加える修正をした修正案の提案者から、その際、長期二年以上の懲役又は禁錮に当たる罪と通信傍受の対象犯罪とが別個の罪であることを前提として、両者の関係について、それぞれの犯罪自体の性質、一連の犯行の計画、謀議の存在等によって認定される客観的な一体性が認められることを要件とした旨の説明がなされていたと承知しております。
こうした修正経緯の事情を考えますと、通信傍受法の適用上、テロ等準備罪とその計画された、例えば別表第四に掲げる罪との関係がこのような三条一項三号が想定している関係に当たることについては疑義がございます。したがいまして、テロ等準備罪が犯されたことによりまして、この通信傍受法三条一項三号に該当するものとしての通信傍受を行うことはできないと考えております。

○山添拓君 皆さんもお聞きになってお分かりだと思いますが、疑義があると法務省が言っているだけなんですよ。ですから、現場の捜査官がこの法律使えるじゃないか、だって、覚醒剤や麻薬の密輸罪とその計画、準備行為、一体じゃないですか、当たり得るわけですよ。法律上は、この長期二年以上の罪に共謀罪も入るんだというお話がありました。条文の解釈ですから、現場の警察官が使えると思って令状請求をすれば、裁判官が条文を素直に解釈して盗聴を認めるということも、これはあり得るということがはっきりしたと思います。
共謀罪の法案成立すれば、法改正で更に対象犯罪を拡大することも予想されるということを改めて指摘したいと思います。(発言する者あり)今決め付けだという言葉が飛んできましたけれども、しかし、疑義があるとおっしゃっているだけで条文上の根拠を示しておられないわけですから、しかも、今度の法案によって通信傍受法の改正をするということでもないわけです。ですから、そこは否定できないと、否定できない場合にはあり得ると考えるのが現場の実務の感覚ではないかと思います。
大分時間を使いましたので、次の問題に参ります。
共謀罪の主体について伺っていきます。
大臣は、この間、共謀罪は犯罪の主体を組織的犯罪集団に限定したと答弁してこられました。しかし、法案の条文上、共謀罪の主体は対象犯罪の遂行を二人以上で計画した者であって、組織的犯罪集団そのものではありません。組織的犯罪集団であることを知って計画に加わった者であれば、これは共謀罪の主体とはなり得るわけです。
改めて大臣に伺いますが、共謀罪の主体は個人であって団体ではないということ、またその構成員である必要もないということ、間違いないでしょうか。

○国務大臣(金田勝年君) テロ等準備罪は、組織的犯罪集団が関与する一定の重大な犯罪を二人以上で計画した者について、その計画をした者のいずれかにより計画に基づいて実行準備行為が行われたときに処罰をするものであります。したがって、団体を処罰するものではなく、個人を処罰するものではあります。
テロ等準備罪は、組織的犯罪集団の構成員、そしてこれと関わりのある者にしか成立はいたしません。そのことも今お尋ねがございましたのでお話をさせていただきたい。テロ等準備罪は、組織的犯罪集団の構成員でなければ犯罪が成立しないという身分犯の構成は取っておりません。しかし、組織的犯罪集団の関与との要件を設けたことによりまして、同罪は組織的犯罪集団の構成員又は組織的犯罪集団に関わりのある周辺者でなければ成立はしないと、このように申し上げております。

○山添拓君 周辺者というのは新しく出てきた概念なんですけどね。
資料の九ページを御覧ください。ここに御覧いただけますが、緑色の部分、これが共謀罪の主体となる範囲でして、組織的犯罪集団や団体の外にいる人も含むわけです。政府は、組織的犯罪集団の例として暴力団やテロ集団などを挙げてまいりましたが、そして、あたかもその構成員でなければ犯罪主体とならないように説明してきたわけですが、少なくともそうではないわけです。
では、この組織的犯罪集団とは何なのか。大臣は、国内外の犯罪情勢等を考慮すれば、テロリズム集団、暴力団、薬物の密売組織などに限られると繰り返し答弁をされてきました。しかし、なぜそこに限定されると言えるのか。条文上の根拠は何ですか、大臣。

○国務大臣(金田勝年君) 組織的犯罪集団というのは、組織的犯罪処罰法上の団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が改正後の組織的犯罪処罰法別表第三に掲げる一定の重大な犯罪等を実行することにあるものをいうと、このように申し上げます。

○山添拓君 全然お答えになっていないんですけれども、テロ集団、暴力団、薬物密売組織に限定されるわけではないということですね、その条文に当たればいいわけですから。

○国務大臣(金田勝年君) 限定されるものではありません。

○山添拓君 五月三十日の有田議員の質問の中で、何の団体にも所属しない三人がデパート爆破を目的に連絡を取り合い計画し、その後デパートを下見した場合、共謀罪が成立するかと問われて、これは団体が存在しないので成立しないという答弁がありました。
だんだん分からなくなってきたんですね。大臣、例えば振り込め詐欺組織というのは組織的犯罪集団ですか。

○国務大臣(金田勝年君) 要件を満たした場合にはそうなろうかと思います。

○山添拓君 衆議院では振り込め詐欺の未然防止にも役立つなどと答弁されていまして、そのときには要件を満たせばなんということはおっしゃっていなかったんですが、例えば、典型的な振り込め詐欺集団を考えますね。携帯電話を準備する、電話を掛ける、だまし取ったお金を引き出す出し子、この三人組が役割分担をして、計画をして実行する、こういう集団であれば組織的犯罪集団に当たりますか。

○国務大臣(金田勝年君) 個別具体的な御指摘に対して直ちに申し上げることは難しいわけですけれども、一般論としては当たり得るということはあろうかと思います。

○山添拓君 例えば、神戸地裁の二〇〇八年七月十六日の判決というのがあります。振り込め詐欺グループが法律上の団体に当たるかどうかということが問題になりまして、現行法上ですね、被告人がリーダーとして、その指示の下、実行犯役、出し子、現金運搬役等の役割分担に従って、遊興費等の金員を得るために組織的に振り込め詐欺を繰り返していたということで、犯行当時、このグループは被告人をリーダーとする組織的犯罪処罰法上の団体であったことは明らかだとしています。
ですから、これが実務の運用です。この事件では、弁護人が単なる友人の集まりにすぎないと主張していたんですが、振り込め詐欺集団には団体性を認めてきたというのが実務です。
振り込め詐欺集団における、その団体の共同の目的というのは何でしょうか。結合関係の基礎としての目的は、つまり集団として成り立っている共通の目的はまさに振り込め詐欺という犯罪の実行にあるわけです。したがって、振り込め詐欺集団というのは、この図でいいます、まず団体に当たって、団体の中の組織的犯罪集団にも当然当たり得るということでありました。
そこで、五月三十日の有田議員の質問に戻るんですが、何の団体にも所属しない三人がデパート爆破を目的に連絡を取り合い計画し、その後デパートを下見した場合、共謀罪が成立するのか。こうした場合であっても、その三人組にリーダーがいて、役割分担がされていれば団体に当たり得る、さらには組織的犯罪集団にも当たり得ると、こういうことですね、大臣。

 

○政府参考人(林眞琴君) お尋ねの事例は、本年五月三十日に本委員会において有田委員が質疑の中で挙げた事例でございまして、私が答弁させていただいた事例であると思います。
何の団体にも所属していない三人がインターネット上でつながり、一回だけ、営業中のデパートに爆弾を仕掛けて爆発させることを謀り、約一週間の間、数回連絡を取り合ってその計画をし、その後にデパートの下見をしたと、こういった事例であったと承知しておりますけれども、こういった場合、一般論として申し上げれば、このような事例においては、組織的犯罪処罰法上の団体が存在せず、団体であることを前提とする組織的犯罪集団も存在しないと考えられます。
すなわち、組織的犯罪処罰法上の団体とは、共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織、すなわち、指揮命令に基づきあらかじめ定められた任務の分担に従って構成員が一体として行動する人の結合体により反復して行われるものをいいます。
御指摘の事例におきましては、何らの団体にも所属していない三人が一回だけ爆弾を仕掛けて爆発させることを謀ったというものでございますが、このような三人組、これは、一般に、その構成員あるいはその単なる集合体とは別個独立した社会的存在としての実体を有するものではなく、継続的結合体、組織的犯罪処罰法には継続的結合体という要件がございますが、この継続的結合体には当たらないと考えられます。
また、このような三人にはその指揮命令関係というものもないと考えられることから、組織という存在もない上に、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が反復して行われているという、こういう実体の要件も、組織性の要件も欠くと考えられます。
以上のことから、その団体と認定することはできない、あるいはそれを前提とする組織的犯罪集団にも該当しないのではないかと考えます。

○山添拓君 まず、継続的結合体に当たらないという話がありました。いわゆるテロを計画する多数人の集合体というのは継続的結合体に当たらないということなんですか。

○政府参考人(林眞琴君) いや、全くそのようなことを言っているわけではなくて、テロを目的とした集団で継続的結合体に当たり得るというのは、当たり得る事例があるのは当然でございます。それを念頭に置いて、今回も、組織的犯罪集団というものの例示としてはテロリズム集団というものを挙げているわけでございます。

○山添拓君 ですから、今回のようなケースについて、もう少し事案を詳しく申し上げて、例えばその三人組に、先ほど申し上げたように、リーダーがいて、一定の役割分担がされて、指揮命令関係があるんだと、そして、その集団が一つのデパート爆破というものを計画して、そのために準備をしていく、計画を立て準備をしていく。そういう意味では、犯罪実行に向けての継続的な存在となるわけですが、その場合でもこれは当たらないんですか、団体が存在しないのですか。

○政府参考人(林眞琴君) 今言われた事例というのは、その指揮命令関係がありということを前提に言われています。どのような指揮命令関係があるかということが問題でありまして、そのような設例の中での具体的な設例ではありませんので、指揮命令関係があるかどうか、具体的にあらかじめ役割を、役割が分担されている者が存在、組織というものがあるかどうか、これは事実関係を評価した形の結果でございますので、その結果があるというのを前提とすれば、それは、その設例においては指揮命令関係があるのでしょう。
ただ、もう一つ申し上げれば、その指揮命令関係があって、その組織というものが存在すると申し上げても、まず共同の目的が犯罪でなければならないのはもちろんでございますが、その共同の目的の犯罪実行をするために用意された組織というもの、これが反復して行われるような性質を持っているかどうか、これで初めてその団体の要件を満たすわけでございますので、そういったことの要素もまた必要になってこようかと思います。

○山添拓君 ちょっと論点が散漫になっているんですけど、反復というところは、別に一回目であっても反復要件は満たしていますね。だって、それ、テロ集団が何回もテロをやってからじゃないと組織的犯罪集団にならないということであれば、これはテロの未然防止にならないわけですから、一回目であっても対象にはなるわけですよ。振り込め詐欺集団であってもそれは同じだと思うんですね。ですから、その点は、私のところに事前にお話しいただいた方も、特段ハードルにはならないというお話でした。要するに、組織性、指揮命令、役割分担、これはあるものだということでそういう設例にさせていただきたいんですけれども。
その上で、継続的結合体かどうかということを最終的には単なる共同正犯、共犯の関係との境目にされているように私にはうかがえます。継続的結合体に当たるのかどうか、組織的犯罪集団と、それからそうではない単なる、まあ単なると申し上げてよいか、二人以上が一緒に犯罪を実行するという共同正犯との違いというのは何なんですか。

○政府参考人(林眞琴君) まず、一般の共犯関係は、これは個人と個人の関係でございます。これは、そこに組織性というものはございません。
まず、そこで今回、テロ等準備罪もそうではありますが、組織的犯罪処罰法上の各種の犯罪もそうでございますが、そこに組織性というものを要件としております。そうしますと、その組織性の要件の中に最もまずあるのは、一つは団体ということでございまして、団体の要件といたしましては、継続的結合体であるということがまず一つでございます。
ただ、継続的結合体のその中にまた組織というものが、団体の中に組織というものが存在しなくてはいけません。この組織というのは、団体が持っている目的を実現をするための組織でございます。その組織は、役割分担、指揮命令系統、こういうものを備えていないと組織とは言えません。そしてまた、その組織というものは、その組織が団体といって認められるためには、その組織が、団体の目的を実現するために組織が反復して行為を行うという、こういう性質を備えていないと団体となりません。
先ほど、委員は、一回限りでもなれるだろうと言われましたが、それは、一回の犯罪実行を計画するという点においては一回、過去に行っていなくても、それは一回で成立し得るわけでございますが、それが団体という性質があるかどうかということについては、団体の中にある組織というものが団体の目的のために反復してその活動をしているという、そういう性質を持っていないと団体とは認められないということでございます。

○山添拓君 今お聞きいただいて、傍聴席の皆さんも含めて、多分さっぱり分からなかったと思うんですね。
一体、共犯なのか組織的な犯罪集団に当たるのか。だって、継続的結合体に当たるためにいかなる事実が必要なのかということは一切おっしゃらなかったじゃありませんか。だったら、単なる友達グループと振り込め詐欺集団のその違いは何なのか、何ですか。

○政府参考人(林眞琴君) 友達グループも、犯罪を目的としているという前提でお答えしてよろしいですね。
そうした場合には、やはりそれは団体の組織性があるかないかということでございます。そこのこと、組織性の内容というものは先ほどるる申し上げました。その要件を満たさないと、単なる友達グループ、一般のサークル、こういったものと、組織性を持った今回の団体、あるいはその上に立った組織的犯罪集団、こういうものの、これを分けるものは、その組織性の要件を満たすか満たさないかということでございます。

○山添拓君 今お聞きいただいたように、結局、何だかよく分からない話なんですが、組織性という言葉で片付けられているわけです。弁護人が単なる友人の集まりにすぎないんだと言っても、裁判所はその組織性を認めているのが裁判実務なわけです。ですから、あらゆる団体が、犯罪の実行を目的として共謀した、計画をした、実行準備行為に及んだ、そうなると、共謀罪の対象になり得ると。
いいですか、ここは大事なところなんですよ。単なる共犯であれば共謀の段階では処罰されないわけです。ところが、組織的犯罪集団だということになれば直ちに処罰の対象になる。処罰されるかされないかの大事な境目が、今のお話のように、大変曖昧で不明確になっている。この問題の本質的な問題がここにあると私は思います。
そういうわけで、今、ここまで議論してくる中でも、あれだけ長い答弁をされなければ説明が付かない、あれだけ長い答弁がされて初めて、与党理事の中でいろんなお声が掛かるという状況にあるわけです。
ですから、私は、この段階で審議が尽くされているなど到底思えませんし、参考人の皆さんの様々に出された懸念に対しても全く答えられていないこの共謀罪法案だと思っています。
今日は、外務副大臣においでいただいております。国連特別報告者のケナタッチ氏による安倍首相宛ての公開書簡についても伺います。
先週木曜日の外務大臣の答弁は、日本政府としての回答をしっかり用意し、でき次第、回答するというものでした。いつ回答されるんですか。

○副大臣(岸信夫君) 今委員御指摘の公開書簡につきましては、政府は、我が方ジュネーブ代表部から国連人権高等弁務官事務所を通じて、直接説明をする機会が得られることもなくこの公開書簡という形で一方的に発出されたこと、また、同書簡の内容は明らかに不適切なものであることを指摘して強く抗議をしたところでございます。同時に、同氏に対しましては、懸念や指摘事項について政府として説明する用意がある旨も伝達済みでございます。
その上で、同氏の公開書簡に示されました懸念や指摘事項につきましては、現在政府内でその内容を精査し、具体的な対応について検討しているところでございます。

○山添拓君 一週間たっても回答、答弁同じなんですね。ずっと精査しているらしい。速やかに回答すべきです。回答できないなら、国会審議の前提を欠くと私は思います。
ケナタッチ氏は、質問事項の一つとして、法案の審議状況について情報提供を求めています。書簡は五月十八日付けであります。その後の衆院法務委員会での強行採決、参院での審議の状況など、情報提供はされていますか。

○副大臣(岸信夫君) 我が国の取組を国際社会に対して正確に説明するべく、同書簡の照会事項については、追ってしっかりと我々、我が国の立場を正式に回答する予定でございます。

○山添拓君 ここだけでも直ちに回答すべきじゃありませんか。さっき、指摘事項を精査すると答弁されたんですけど、精査するまでもなく、ここは質問事項は明らかじゃありませんか。回答されるべきだと思います。
外務省は、この委員会でも与党議員からの質問に答えて、公開書簡で引用されている共謀罪に関係する英訳について、これ、幾つかの規定に対応する英訳が見当たらないんだと答弁をされています。この法案の英訳文は作られたんですか。

○副大臣(岸信夫君) 一般に、国会に提出中の法案につきましては、これを逐次英訳するということは政府として行っていないと承知をしておるところでございます。その上で、テロ等準備罪処罰法案に係る対応ぶりにつきましては、我が国の取組を国際社会に対して適切に正確に説明する観点から、政府として追ってしかるべく対応いたします。

○山添拓君 法案が成立するまでケナタッチ氏に情報提供を行わない、書簡への回答もしないということですね、それは。そういうことなんですか。

○副大臣(岸信夫君) ケナタッチ氏に対しましては、先ほども申し上げましたけれども、この公開書簡を受けて、同氏の懸念や指摘事項について説明する用意があるという旨も既に伝達をしておるところでございます。

○山添拓君 結局、回答するということが答弁されませんでした。
ケナタッチ氏の懸念の表明、定義の曖昧さ、プライバシーを守る仕組みなど極めて基本的な点についてのものです。法案の審議状況を尋ねていることからも、法案の成立前に回答することが期待されています。政府が自発的誓約として掲げたように、特別報告者との有意義かつ建設的な対話の実現のためにしっかり協力するというのであれば、その回答を採決後に先送りするということはあり得ないだろうと思います。直ちに回答すべきであるということを重ねて指摘させていただき、私の質問を終わります。
ありがとうございました。

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