山添 拓 参議院議員・日本共産党

国会報告

2018年・第196通常国会

ANA 機体を損傷し飛行継続 国交省の対応求める

要約
  • ANAが昨年、今年と連続して機体を損傷したまま飛行を複数回にわたり継続する事案が発生。背景に整備士による飛行間の点検を省略してきた経緯があり、実施するよう指導すべきと求めました。

○山添拓君 この間、航空機の安全を脅かす事態が相次いでおります。ANA、全日空でこの一年半に発生した二件の機体損傷事例について伺います。

資料の二枚目を御覧ください。

一件目が二〇一七年二月三日です。羽田発松山行きのボーイング777型機で、出発前に貨物室のドアが損傷しましたが、これ気付かずに松山へ出発いたしました。折り返しの松山発羽田行き、さらに羽田発高知行きもそのまま運航しまして、高知空港到着後に発見をされて、以後の便は欠航になりました。コンテナやパレットを積卸しするためのハイリフトローダー車が安全柵を格納しないままぶつけたというものでありました。

資料の三枚目、四枚目を御覧ください。

二件目は二〇一八年二月一日です。新千歳発羽田行きの同じボーイング777型機ですが、出発前に、隣のスポットで作業をしていた他社の除雪車が後ろに下がってくる際に左の翼に衝突をし、翼の先端部分を損傷しました。資料の四枚目のところには、かなり生々しい様子が写っているかと思います。しかし、これも発見されずにそのまま出発をいたしまして、さらに羽田から伊丹へ運航し、伊丹で発見され、以後の便は欠航となりました。

この二件について、ANAから国交省には報告をされているでしょうか。地上の作業によって航空機に損傷が生じたその原因と再発防止策について、どのように説明をしておりますか。

○政府参考人(高野滋君) お答えを申し上げます。

御指摘の二件の事案につきまして、御指摘があったように、昨年の二月、羽田空港におきまして、貨物の搭載作業中に全日空機の貨物ドアに作業車の安全柵を接触させた事案と、本年二月、新千歳において航空機の防除雪氷作業車を隣に駐機していた全日空機の翼に接触させた事案でございますが、それぞれの事案を発生させた事業者から報告を受けております。

その原因と再発防止対策については、羽田空港で発生した事案については作業者が作業手順を誤ったことが主な原因であり、その対策として、当該作業者に対して再教育、再訓練を実施したほか、その他の作業員に対しても研修を実施したという報告を受けております。また、新千歳の事案につきましては防除雪氷作業における作業手順書の不備が主な原因でありまして、その対策として、作業手順書の見直しを行い、作業員に対して再教育を実施したと、そのような報告を受けております。

国土交通省といたしましては、報告内容について妥当性を確認の上、ほかの関係事業者にも情報共有を図ってきているところでございます。

○山添拓君 これ、一件目でいうと、当事者が常に次の工程が意識の中にあって平常心を若干欠いた状況で作業についていたとあるんですけど、なぜ平常心を欠いていた状況にあったのかということについては報告はされていません。また、二件目は、後方監視できる状況になかったのに後退を実施したとありますが、なぜ後方監視できないのに後退したのか、その分析はされていないかと思うんですね。

いずれの事例についても、損傷を発見した後の便を欠航しております。これ、そのままの状況では飛行できない状況だったということでしょうか。簡潔にお答えください。

○政府参考人(高野滋君) お答え申し上げます。

昨年二月の貨物ドアの損傷事案につきましては、航空機のメーカーに確認をしたところ、そのままの状態でも十回程度の運航は可能なものであるとのことでございました。本年二月の事案につきましては、損傷した翼端を取り外すことにより継続して運航できる状態のものであったということでございます。

いずれの事案にしましても、軽微な損傷ではあるんですけれども、最終的には整備処置を要するものでありまして、これらの事案のように適切な処置が行われないまま運航が継続されたという点につきましては、不適切なものであったというふうに認識しております。

○山添拓君 重大なことは、いずれも発生した損傷が耐空性を満たすかどうか、そのまま飛行を継続できる程度かどうかを確認されずに、その後も飛行を続けたという点であります。

昨年の事例では機体損傷後三便、今年の事例でも二便、損傷を抱えたまま飛行を続けております。ANAはこの点についてどう原因を説明し、国交省はいかなる指導を行ったんでしょうか。

○政府参考人(高野滋君) 国土交通省といたしましては、損傷を早期に発見できなかった点について原因究明と再発防止策の検討を全日空に指示しておりまして、随時報告を受けているところでございます。

昨年二月の事案につきましては、そもそも、損傷を起こした便のその地上作業担当者でございますけれども、それが、その作業者がその損傷に気が付かなかったことというのが問題であろうと思っていますし、その後の松山であるとか羽田であるとかの地上作業担当者につきましては、当然貨物ドアを開閉しているわけですから、そのときに確認不足であったと、そのようなことが主な原因であったというふうに報告を受けております。

また、本年二月の損傷事案につきましては、他社の作業者ではございますが、防除雪氷車を操作していた地上作業員のクルーですね、それが全日空機の翼端に作業車をぶつけたことに気が付かなかったということがまずもって問題であろうと思いますが、その後の羽田における見過ごしにつきましては、運航乗務員における外部点検が不十分であったこと等が主な原因であったというふうに報告を受けております。

全日空に対しましては、再発防止策として、損傷を確実に発見することができるように、地上作業者であるとか運航乗務員に対して、作業の徹底、確認の徹底について周知を行うように指示をしているところでございまして、そのようなことをやったというふうに報告を受けております。

○山添拓君 今お話の中で出てこなかったんですけれども、この背景には、飛行間点検の整備の省略を認めてきたメーカー、航空会社と航空局による規制緩和があると指摘しなければなりません。

ANAは、九〇年代初めまで、全ての機体について整備士二名体制で飛行間の点検、整備を行っていました。八九年に飛行間点検が軽微な保守へと格下げをされまして、無資格者だけでも実施できるようになりました。その結果、九三年には大型機を除いて二名から一名体制に変更し、九六年には全て一名体制に変更されました。その後、航空機メーカーの側が、飛行間点検を不要とする機材を導入するようになりました。二〇一六年九月、ANAは、国内線について始発便の前の点検、整備だけすればよいということにして、その後の飛行間点検については原則として不要とするように規定を改めました。

まず、羽田発着の国内線について飛行間点検を省略し、二〇一七年の二月以降、順次全国の国内線で省略をしています。そのANAで相次いで機体の損傷を抱えたまま飛行を継続するという事態が発生しました。こういう事例はほかにないと伺っております。

飛行間点検の省略が影響していないか検証されましたでしょうか。整備士による点検を省略するべきではないと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(石井啓一君) 昨年二月の事案につきましては、地上作業者のドア開閉時の確認の徹底などによりまして、また本年二月の事案につきましては、運航乗務員が機体の状態を精度良く確認することなどにより、再発を防止することが可能なものであると考えております。

航空会社がどのような間隔で整備、点検を行うかにつきましては、航空機のメーカーが作成をいたしまして製造国政府の承認を受けたマニュアルに定められており、我が国航空会社は、当該マニュアルに従って整備、点検の内容を整備規程に定め、国土交通大臣の認可を受けることとなっております。比較的新しい航空機では、当該マニュアルにおいて整備士による飛行間点検が不要とされているため、我が国においても多くの航空会社で実施をされておりません。

国土交通省といたしましては、整備士による飛行間点検が実施されない場合には、運航乗務員や地上作業者が機体の状態を適切に確認することが重要と考えておりまして、引き続き安全確保に万全を期すよう指導監督を行ってまいりたいと考えております。

○山添拓君 これは見直すとおっしゃらないんですね。

メーカーが不要としているような新しい機材でも、例えばJALでは飛行間点検実施しているんですね。地上の作業員や乗員が確認をしても、対処が必要かどうか判断付かない場合には、結局整備士に頼むことになるわけです。初めから整備士がプロの目で見ることによって遅れの防止につながっているとJALの関連会社では指摘をされていると伺っています。

ANAで連続して同様の事象が発生しております。一歩間違えば大事故となりかねない問題です。航空局は、二〇一三年に航空安全プログラムというものを定めています。ハザードを特定し、ハザードに関する安全リスクを把握して、そして必要に応じてそのリスクを低減するための措置を実施し、措置の有効性を評価する、PDCAサイクルに沿った対応を行うべきだということを航空局としても定めておりますので、その指針に従って適切に今後も対処していただきたいと。改めて空の安全に行政の責任を果たすべきだということを指摘をいたしまして、私の質問を終わります。

ありがとうございました。