山添 拓 参議院議員・日本共産党

国会報告

2018年・第196通常国会

厚生労働大臣問責決議案に賛成討論

要約
  • 山添議員は本会議で、加藤勝信厚労大臣の問責決議案の賛成討論を行いました。24時間働かせ放題の高プロや過労死ラインの上限規制を創設する働き方大改悪の法案を強引に推し進め、ねつ造と隠ぺいの疑惑まみれの本法案について、「ごはん論法」などでごまかしの答弁を重ねてきた加藤大臣。大臣の職責に反し断じて許されない、と討論しました。

○山添拓君 日本共産党を代表して、厚生労働大臣加藤勝信君問責決議案に賛成の討論を行います。

「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。」、憲法二十五条一項が保障する生存権を保障し、具体化し、憲法二十七条二項に基づき定められた労働基準法が掲げる労働条件の大原則です。厚労大臣は、この大原則に従い労働行政を進める重い職責を負っています。

問責決議案に賛成する第一の理由は、加藤大臣がこの職責に真っ向から反し、働かせ方大改悪の法案を強引に推し進めようとしていることです。

法案の最大の問題は、二十四時間働かせ放題の高度プロフェッショナル制度を創設しようとするものであることです。

大臣は、高プロに労働者のニーズがあると答弁してきました。ところが、大臣が唯一の根拠とした十二人のヒアリングは、いずれも法案要綱作成後にアリバイ的に行われたものと判明しました。ヒアリングの結果には、労働時間規制の適用除外や残業代ゼロを望む声など一つもありません。しかも、この結果は労政審に出したものですらないといいます。立法の根拠となり得ないことは歴然としています。

高プロ創設には、全ての労働組合、過労死遺族など多くの人が反対の声を上げてきました。超長時間労働は、必ず過労死を増加させるからです。

日本労働弁護団の棗一郎参考人が指摘したとおり、法案には対象労働者に労働時間の裁量がある旨の規定がありません。一労働者である以上、仕事の量を自ら決める裁量もありません。政府が言うように成果で評価される労働者であれば、なおさら指示された業務を拒否することなどできません。

年間百四日、せいぜい週休二日程度の休日を与えれば、残りはお盆も正月も関係なく、毎日二十四時間、合計六千時間以上働かせる、それを妨げる規定がありません。規定がない以上、限界まで働かせる事態が起こり得ます。現に裁量労働制の濫用や長時間の時間外労働、サービス残業など、違法、脱法がまかり通っています。高プロに限って悪用、濫用されないという保証はどこにもありません。働かせ放題の仕組みを創設しながら、二十四時間働かせることにはならないと強弁し、健康を確保しワーク・ライフ・バランスを図れると述べる大臣は、無責任極まります。

過労死事案の労災申請や裁判では、労働時間の認定が高いハードルです。全国過労死を考える家族の会代表の寺西笑子さんが参考人として意見陳述されました。会社側の協力がない中、正しい情報を得られず、遺族が労働時間と仕事の内容、職場の出来事を証明しなくてはならない、血のにじむような苦労で、労力、財力、精神力を尽くし闘わなければならないといいます。過労死を労働者の自己責任とし、勝手に働き勝手に死んだという態度を取る使用者が幾らでも存在します。

高プロは、現在使用者が負う労働時間の把握義務すらなくしてしまいます。会社が知らぬ存ぜぬを通せば、過労死しても、労災も使用者の賠償責任も否定されかねません。遺族は泣き寝入りせよとでも言うのでしょうか。

人材派遣会社パソナの会長である竹中平蔵氏は、東京新聞のインタビューで、時間内に仕事を終えられない、生産性の低い人に残業代という補助金を出すのは一般論としておかしいとの暴言を放っています。時間内に仕事を終えられないのは、終わらないほど仕事があるからです。残業代は仕事の対価であり、割増し賃金は八時間を超えて働かせる使用者への制裁です。この労働時間と賃金の基本すら理解しようとせず、経済成長のために高プロが必要だと言います。余りにもあけすけです。

高プロは、残業代や深夜割増しを節約し、安くたくさん働かせたい経済界の要求に応えるものにほかなりません。労働者の働く環境整備をする、これを任務とする厚労大臣が、その職責を忘れ、経済成長のために死ぬまで働けと言わんばかりの法案を通そうとするなど、断じて認められません。

法案はまた、抜け穴と適用除外で骨抜きの残業時間の上限規制を創設しようとするものです。

とりわけ、繁忙期を理由に一か月百時間、二から六か月平均八十時間、休日労働を含め年間九百六十時間もの残業を許容する抜け穴は大問題です。損保大手の三井住友海上は、法改定を見越して三六協定を改定し、年間の残業時間を百九十時間も延長しています。こうした残業時間延長に歯止めを掛ける規定は、法案のどこにもありません。大臣は、月四十五時間、年間三百六十時間という原則的上限時間に近づけると言いますが、何の根拠もありません。

棗参考人が指摘をしたように、裁判例には、月八十三時間分のみなし残業手当の効力が争われた事件で、相当な長時間労働を強いるもので、公序良俗に反するとしたものがあります。

そもそも、二〇一一年以降、六年間に脳・心臓疾患で労災認定されたうち、残業時間月百時間未満は七百六十一件で、全体の約半数に上ります。月八十時間や百時間に達しなくても、過労死が認定されています。

こうした状況を踏まえて、過労死弁護団全国連絡会議は、脳・心臓疾患の労災認定基準である残業時間を月六十五時間に引き下げるべきとの意見書を厚労省に提出しています。

これらの指摘に、真摯に耳を傾けるべきです。月八十時間、百時間もの残業時間は長過ぎます。ところが、大臣は、ぎりぎり実現可能なものとして労使が合意したなどと述べ、過労死ラインの上限時間に固執しています。これでは過労死はなくせません。

八時間労働の例外として定める残業時間の上限は、大臣告示の月四十五時間、年三百六十時間を限度として法制化し、例外の例外を認めるべきではありません。加えて、深夜・連続勤務による心身の負担を軽減するために十一時間の勤務間インターバルが必要です。ヨーロッパなどで当たり前のルールが日本で実現できないということは決してありません。

問責決議案に賛成する第二の理由は、そもそも本法案が、捏造と隠蔽の疑惑にまみれ、審議の前提が崩れているにもかかわらず、加藤大臣がごまかしの答弁を重ねてきたことです。大臣としての資質が問われる重大な問題です。

法案の出発点とされた労働時間データは、異常値を二割も削除することとなりました。年間一千時間を超える残業時間の労使協定を結び、実際に限界まで働かせている事業所は三・九%としていたのが、再集計の結果、四八・五%に激増しています。ところが、大臣は、残りの八割のデータでも統計として一定の姿になっているなどと開き直りました。労働時間の実態を正確に把握しようという姿勢のない大臣に労働時間法制を語る資格はありません。

また、高プロについても大臣は、働く方の声をいろいろ聞いた、プロフェッショナルとしての働き方をつくってほしいと要望を受けたなどと述べ、あたかも労働者が望んだ制度であるかのように答弁してきました。立法事実を捏造し、ごまかし答弁を重ねるなど、大臣として到底許されるものではありません。

さらに、野村不動産では、四年前の監督で裁量労働制の違法適用を見抜けず、過労自殺が起きました。大臣は、過労死の事実を隠す一方、同社への特別指導をしっかり指導する好事例としてアピールしました。悪質な印象操作であり、監督行政への信頼を損なう言動と言わなければなりません。

加えて、大臣は、御飯論法と呼ばれる意図的な論点ずらしやごまかし、はぐらかしの答弁を繰り返しています。国会で誠実に答弁する姿勢すらうかがえません。

働く者の命と健康を守るルールを作り、徹底させることは、厚労大臣の重い責任です。にもかかわらず、過労死促進法案を強行しようとすることは、大臣の職責に反し、断じて許されないことを重ねて強調し、賛成討論といたします。(拍手)