山添 拓 参議院議員・日本共産党

国会報告

法務委員長解任決議案で賛成討論

要約
  • 本会議で法務委員長解任決議案について賛成討論。入管法等改定案の会期内成立をねらう政府の意をくみ、政府の都合を最優先に推し進め、審議の土台にかかわる問題をも放置し、政府・与党の言いなりに職権行使を行ってきた法務委員長。土台から崩れた法案は、徹底審議で断固廃案に、と訴えました。

○山添拓君 日本共産党を代表して、横山信一法務委員長解任決議案に賛成の討論を行います。
 賛成する最大の理由は、安倍政権が入管法等改定案を何が何でも押し通そうとする下、法務委員長が、法案の会期内成立を狙う政府の意を酌み、政府の都合を最優先に押し進め、さらには審議の土台に関わる問題をも放置して、政府・与党の言いなりに職権行使を行ってきたからです。
 世論調査で六割から八割の国民が今国会で法案を成立させる必要はないと答えています。外国人労働者の受入れのありようは、来日する外国人の生活と尊厳に関わることはもちろん、我が国で働く全ての労働者の労働条件と社会のありようにも大きな影響を及ぼす問題であるからにほかなりません。にもかかわらず、来年四月の施行ありきで政府が乱暴に事を運ぼうとすることに多くの国民が懸念を抱き、怒りが広がっています。
 国民の不安の声に応え、審議を尽くすのが国会の役割です。
 ところが、法務委員長は、衆議院で僅かな期日で法案が強行採決されることを前提に、参議院でも審議を急ごうと、最初から強権的な委員会運営を繰り返しました。与野党が審議に合意し得る給与法案の委員会まで職権開催し、入管法等改定案の付託に備え、本会議での代表質問が終わるや否や、翌日の一般質疑と委員会での審議入りをまたもや職権で強引に決めました。是が非でも会期内の成立をとたくらむ政府・与党のためにひたすら職権発動を重ねてきたことは、およそ中立公正であるべき委員長としての職責に反し、その責任は極めて重いと言うべきであります。
 法案に賛成する会派を含め野党が一致して徹底審議を求める中、昨日、自民党理事は、機は熟したと述べ、採決を提案し、公明党理事もこれに賛同、法務委員長は職権で法案の採決を宣言しました。与党理事といい委員長といい、委員会で一体何を聞いていたのですか。機が熟すどころか、徹底審議の必要性はますます高まっているのが現状ではありませんか。
 入国管理局が行った技能実習生の失踪者調査について、政府は、最低賃金以下を理由とする者は二十二人だったと説明し、意欲が低く、より高い賃金を求めて失踪する者が多い、一部の問題であり、全体は適正という認識に立ってきました。法案を提出した政府が一貫して持ち続けてきた認識であり、安倍総理が九割はうまくいっていると繰り返し述べるのも、この認識を共有してきたからにほかなりません。
 ところが、野党議員が書き写した聴取票の分析では、最賃未満は千九百三十九人、実に六七%に上りました。政府が示してきた二十二人という数字は国会を欺くものであったと言わなければなりません。
 また、調査対象者の一〇%が月八十時間を超える長時間労働を強いられていたことも明らかになりました。背後には、最賃以下の違法な賃金も過労死ラインの超長時間労働も、問題であることを認識する機会すらないまま泣き寝入りする技能実習生が大勢いることが容易に想像されます。失踪者の聴取票が示す実態は、一部ではなく氷山の一角にすぎません。法案審議の土台が崩れています。
 結果を突き付けられた山下大臣は、慌てて、重く受け止めるとか、改めて調査し、来年三月末までに公表するなどと述べますが、政府が技能実習生の実態を捏造して描いてきたことはいよいよ鮮明ではありませんか。
 二〇一四年以来の聴取票を全て開示し、過酷な労働実態をことごとく明らかにすることは審議の出発点です。悪質な監理団体やブローカーが実習生を搾取し、低賃金、長時間労働に縛り付けるという構造的な矛盾で多くの人権侵害を引き起こしているこの技能実習と地続きの特定技能制度で外国人労働者を使い捨てにするなど、到底許されません。
 技能実習と新しい特定技能とは別物だと、総理も山下大臣も繰り返し述べます。しかし、技能実習二号、三号修了者が無試験で特定技能に移行できるとする法案は、二つの制度が一連一体であることを語っています。
 参考人質疑で斉藤善久神戸大学大学院准教授は、つらいことや理不尽なことも多い技能実習で、辞めもせず失踪もせず働き抜き、なお日本で働こうというおとなしくて我慢強い人間を優先的に受け入れる、更に五年働かせてやるから実習生になれ、辞めるな、逃げるなということだ、こう痛烈に批判しました。政府に外国人材の活用を求め提言してきた日本経団連など財界の本音も、ここにこそあるのではありませんか。
 技能実習と地続きの制度が抱える問題は、特定技能の先取りと言える外国人建設就労者受入事業でも明らかです。
 技能実習修了者を国土交通省が認定した特定監理団体、企業に限定して最大三年間延長して受け入れるこの特例制度で、昨年、受入れ企業の四割で賃金支払の違法が確認されました。ところが、国交省によれば、本来受入れ企業をチェックするはずの特定監理団体が見抜いた不正は事業開始以来一件もないというではありませんか。技能実習から特例制度に移行する際、本国の業者に二十万円の手数料を要求された事例まであり、国が関与する仕組みの下でさえブローカーが介在し、暗躍しています。山下大臣が全体として適正と言う制度で、現実には違法や不正がまかり通っているのです。
 法案が定める特定技能は更に危険です。非営利で許可制の監理団体が受入れを行う技能実習に対し、特定技能で予定される登録支援機関は登録のみで足り、営利企業も排除されません。民間人材ビジネスが介在し、経費や家賃と称してピンはねをする搾取の構造をお膳立てするだけではないかという斉藤准教授の指摘も否定することはできないではありませんか。
 新たな在留資格により外国人労働者を受け入れる分野は、業所管省庁が要望を受け、人材不足か否かを判断し、分野別運用方針を定めるといいます。労働行政を所管する厚労を始め、政府が受入れを見込む十四業種を所管する経産、国交、農水、さらには文教など、関連する委員会で野党が求めてきた法案の連合審査は審議の土台です。ところが、与党はこれを拒み続け、法務委員長は連合審査を行わないまま質疑を終局し、採決に進もうとしています。徹底審議とは程遠い姿勢と言わなければなりません。
 安倍総理が改正法施行前に制度の全体を示すと述べたことに端的に示されるように、法案は、新たに受け入れる分野や労働者数の上限、求める水準や適正な受入れを担保する仕組みなど、多くの点を政府に白紙委任せよというものです。山下大臣を始め、各委員会の質疑において検討中という答弁が何度されたかしれません。これでは法案審議の体を成していません。ましてや、技能実習生についてのゆがんだ認識を改めようともせず、ぼろぼろの法案をなりふり構わず押し通そうとする安倍政権に自由裁量で全てお任せなどできるはずがないではありませんか。
 技能実習生が恋愛も妊娠も禁止され、発覚すれば中絶か帰国を迫られるという事例が報じられています。
 シャープ亀山工場では、生産拡大のために送り込まれた二千九百人もの外国人労働者が雇い止めにされました。外国人労働者を人間扱いせず、雇用の調整弁として都合よく用いてきた事実が厳然として存在し、法案は、それを是正するどころか助長し、拡大しようとするものです。
 移住者と連帯する全国ネットワーク理事の高谷幸参考人が指摘したように、様々な形で外国にルーツを持つ人々が既にここにおり、共に社会を支えています。国籍や人種、文化の違いを超えた共生社会を築くために、一人一人が人間として暮らせるための権利と尊厳を保障する政治こそが求められます。
 土台から崩れた法案は、徹底審議で断固廃案にすべきです。審議の前提となる資料も提出せず、国会をないがしろにし……
○議長(伊達忠一君) 山添君、時間が超過しております。
○山添拓君(続) 数の力で採決さえすればよいとばかりに議会制民主主義を破壊する政治には国民が必ず審判を下すであろうということを申し上げ、解任決議案に賛成の討論を終わります。(拍手)