山添 拓 参議院議員・日本共産党

国会報告

2019年・第198通常国会

「原発は安価」という政府のコスト計算について

要約
  • 資源エネルギー調査会で、原発輸出破綻などからも原発事業は経済合理性がなくなっているとした上で、それでも安価な電力と主張する政府の姿勢について質しました。停止中の維持費や廃炉費用まで含め、既存の原発を再稼働する前提でのコスト計算をして、結果を調査会に報告するよう求めました。

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
日立がイギリスへの原発輸出の凍結を発表し、原発の海外輸出は総破綻に至りました。日立が計画を凍結したのは、安全対策費が増加し、事業費が高騰したからにほかなりません。二〇一三年当時二基二兆円と想定していた総事業費は二〇一八年には三兆円に膨らんだと報じられています。
三菱重工が狙っていたトルコでは、二〇一三年当時四基二・一兆円と見込まれた総事業費が一八年には五兆円に跳ね上がったとされ、断念する方針だと報じられています。
資源エネルギー庁に伺いますが、日立や三菱重工が計画をした原発の建設費、また、この日本による輸出とは別に海外で新設される原発の建設費を政府として把握しておりますか。
○政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。
日立や三菱重工を含みます産業界とは日頃からエネルギー政策や原子力政策について意見交換を行っているところでございまして、今御指摘いただきました原発建設プロジェクトの建設費につきましても、一定の情報提供は受けておりますけれども、そのやり取りは企業の競争上の地位に影響を及ぼすものとして対外的には明らかにしない前提で情報をいただいているものでございます。このため、御指摘の個別プロジェクトの詳細についてのコメントは控えさせていただきたいと思います。
また、日本企業が関与しない新規原発建設プロジェクトの建設費につきましては、基本的に知る立場にございません。
○山添拓君 これもう断念したと言っているんですから、競争していないんですよね。ですから、明らかにしても何の問題もありませんし、そういう調整をしていただきたいと私、お願いしたんですが、これ一向に明らかにしようとしないと。一基一兆円に高騰している価格の実態を、海外で海外の企業が建設しようとしているものについては把握していない、日本の企業のものについては把握しているが公表をしない。
日立は、イギリスへの輸出は経済合理性がないと言っています。利益が見込めないものですから、出資する企業もなく、資金調達のめどが立たず、凍結に追い込まれたわけです。原発は、もはや民間企業が商業ベースで進めることができない事業となっています。副大臣、このことについてどう認識をされていますか。(発言する者あり)
○副大臣(磯崎仁彦君) 今、イギリスでの原発のプロジェクトについて等々お話がございました。
このイギリスのプロジェクトにつきましては、おっしゃるように、日立は、英国政府との協議の中で、経済合理性の見通しを立てるのに時間が掛かるというふうにしております。そして、プロジェクトの凍結を判断するに至ったというふうにしております。ただ、今後も協議は継続をしているという意向であり、また英国政府も日本への期待を表明をしているということでございます。
一方で、海外で原発プロジェクトを行っていくその諸条件につきましては、各国の立地環境、あるいはその国内制度、さらには経済状況などによって異なることから、原発プロジェクトにつきましてはその経済合理性が一概にないということではないというふうに認識をいたしております。
当然、経済合理性があらゆるプロジェクトで大前提になるのは言うまでもないことでございますけれども、事業者におきましては、経済性のみならず各社の経営状況、こういったものを、様々な要素を勘案をして個別事業の判断を行う、そのように考えております。
○山添拓君 各国破綻しているわけですから、いろんな事情があるとおっしゃいますけれども、民間企業がもう音を上げている、そういう事業だという事実を直視すべきだと思います。
先ほど与党席からは、経済合理性がないからできないというのは原発には限らないんだと、こういうお声が上がっておりましたけれども、皆さんも御承知のとおり、十三日の調査会、有馬純参考人は、再エネを主力電源化するなら経済的に自立した補助金に頼らない非化石電源であることが前提だと、こうおっしゃったんですよ。この前提に照らせば、原発こそは補助金など国の支えなしには成り立たない事業です。しかも、起動時や定期点検時、あるいは非常時、こうしたときには火力電源のバックアップを必要とします。非化石電源でもないわけです。
日立の東原敏昭社長は、風力発電の買取り価格が原発より安いといって、環境の変化がこの二、三年で出てきたと述べています。再エネのコストダウンで原発が競争力を失いつつあることをこれ企業の側は認めているわけですね。コスト論で原発優位を語る時代は終わっているということを自覚すべきであります。
しかし、政府やあるいは一部の有識者は、相変わらず原発は安価な電力だと主張しています。それは、委員の皆さんには資料をお配りしておりますが、二〇一四年のモデルプラント試算を根拠に、原子力はキロワットアワー当たり十・一円からと、どの電源よりも安いとしてきました。これは、原発を新たに建設をして四十年間動かしていく、この場合のモデルプラントの試算であります。
資料の二ページを御覧ください。
ところが、このモデルプラント試算を詳しく見ますと、福島事故前に建設をされた原発四基の建設費の平均四千四百億円、これに追加安全対策費六百億円を加えたもの、つまり古い原発を改修して一基五千億円、こういう計算で、原発を新たに造る、新設をするという前提にはないわけです。
エネ庁に確認をいたしますが、政府が昨年決定をしました第五次エネルギー基本計画には原発の新設やリプレース、これは含まれておりませんね。
○政府参考人(村瀬佳史君) エネルギー基本計画では、原発の新増設については具体的言及はございません。
○山添拓君 一方で、十・一円、一番安いというその根拠は、あくまでも新たに原発を造った場合のコストとされております。仮に新たに造るのであれば、当初から最新の安全対策を施すことになります。更に高くなるわけです。
昨年、この調査会で大島堅一参考人が指摘されましたが、世界的には、コアキャッチャーや二重の格納容器など、設計段階から日本の原発にはない安全性能を求めております。
委員長に伺います。
これは通告をしておりませんが、日本の規制基準、とりわけ原発後に策定された新規制基準には、原発を新設する場合に当初から備えるべき安全性能についての定めがありますか。
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えいたします。
これは、いわゆる新規制基準を策定するときの議論のスタート時点で、これ有識者も交えて議論をしたのですけれども、まず、新設は新規制基準の考慮の外に置くという、まあ申合せというものをいたしました。
○山添拓君 ないわけですよ。
新たに造る原発というのは、今、最初に申し上げましたように、イギリスやトルコでは一兆円、日本では新設の計画はありません。まあ、するべきでもないと思いますが、仮に新設をするのであれば五千億円で済むとは考えにくいわけです。大島氏が指摘をされるように、建設中のイギリス・ヒンクリーポイントC原発の場合には、建設費は日本の原発の三倍に及んでいると言います。
ここから私は、少なくとも二つのことが言えると考えます。
一つは、新設原発についての安全基準が、今規制委員長がおっしゃったようにない、それは枠外だと。ないにもかかわらず、新設した場合のコストを論じているという点。計算できないはずの計算をしているわけです。
もう一つは、古い原発の再稼働をするかどうか、今再稼働するかどうかという議論をする際に、これから新設をして四十年稼働した場合のコストを前提として十・一円だから安いと、こう主張しているわけです。これは意図的な混同です。
政府は新増設は考えていないとおっしゃいます。しかし、再稼働を進めると言います。それでも原発が安いとおっしゃるのであれば、今ある原発の建設費、膨れ上がっている追加安全対策費と事故対応費、停止中の維持費、今後の稼働期間、廃炉費用、これらを全て考慮した試算を示すべきじゃありませんか。エネ庁、いかがですか。
○政府参考人(村瀬佳史君) まず、御指摘のとおり、新増設、リプレースは政府として想定しておりませんので、新たな具体的新増設案件の費用の見積りというものがあるわけではございません。しかしながら、エネルギーの基本計画を定めそのベストミックスを検討する中で、二〇一五年に、その時点で得られているファクトをベースにOECDで使っている国際的なやり方に沿って計算したものがこのモデルプラント方式というやり方でございまして、この方法がOECDでも採用されているとおり、国際的には標準的に使われている方法だというふうに考えてございます。
また、既にある原発の再稼働につきましては、既にもう償却が終わっておりますので、関西電力のように再稼働した会社が値下げを行う、先日は九州電力も値下げを、再稼働をしたことを受けて表明してございます。つまり、再稼働することによって燃料費が節約され、値下げをして国民に還元されていく余地が生じていることは事実だというように考えてございます。
○山添拓君 停止中の期間の維持費あるいは廃炉に係る費用、こうしたものも含めて再稼働した方が安いと、こうおっしゃるんですか。
○政府参考人(村瀬佳史君) そのコストにつきましては、事業者として動かした結果、値下げを行える原資が生まれたということでございますので、トータルに見て経済性が高まったということだと理解しております。
○山添拓君 政府として、再稼働をした方がコストが安くなるんだと、こういう試算をしたんですか。その事実を明らかにしてください。
○政府参考人(村瀬佳史君) 再稼働した方が安くなるということの試算ということではなく、電源ごとの比較はいたしました。これは二〇一五年に行ったモデルプラント方式で、国際的な方法でやってございます。
再稼働して、これは事業者の判断でございますけれども、再稼働するという意思を持った事業者が規制委員会の規制を乗り越えた場合のみ再稼働が実現でき、その結果値下げをしているということでございますので、経済性を持った事業者の判断によって選択されていると、このように理解してございます。
○山添拓君 現在のそういう状況を前提におっしゃるのであれば、事故対応費は膨れ上がっています。
あるいは、しんぶん赤旗日曜版がこの間各社に問い合わせた調査によれば、原発各社の安全対策費が二〇一八年度で四兆五千六百四十四億円になっています。一三年度から五年で二・五倍に膨れ上がっております。
政府の試算方法、この間の試算方法に照らしても、十・一円というのは到底維持できませんし、現在再稼働している原発が低コストだというふうには到底言えないんですね。
改めて申し上げますけれども、原発は安いから再稼働だと、こうおっしゃるのであれば、既存の原発を再稼働するという前提でのコスト計算を政府としてしていただきたい。結果として電力会社がどうなったかということではなく、これからの政策判断に当たって必要なものです。そして、その結果をこの調査会に報告いただきたいと思うんです。
会長、お取り計らいいただきたい。
○会長(鶴保庸介君) 後日理事会にて協議をいたします。
○山添拓君 私は、原発が高いから動かすなと、こう言いたいんではないんですね。少なくとも、原発は安いと言っている政府の宣伝文句、これはごまかしだらけだということを指摘しているわけです。
今日午前中、横浜地裁は、福島原発神奈川訴訟で、国と東電の責任を認める判決を下しました。集団訴訟で国の責任を認めたのは五件目です。
ふるさととなりわいを奪われ、今なお不自由な暮らしを余儀なくされる、ほかのどの公害とも異なる甚大な被害をもたらした、あの経験ゆえに再稼働反対だという世論が多数を占めています。そのことに正面から向き合うべきだということを改めて指摘をしたいと思います。政府においても、このコスト計算は改めてやり直すべきだということを強く申し上げたいと思います。
次に、原発の安全審査における火山対策について、時間の許す限り伺います。
規制庁は、昨年三月七日、火山ガイドの解釈としての基本的な考え方を発表しました。これは、合理的な根拠もなく、巨大噴火の可能性は十分に小さいと判断できる、こう結論したもので、昨年四月の当調査会でも私、取り上げました。
巨大噴火の可能性評価を二つの点で行うとしています。資料の三ページです。一つ目は、現在の活動状況は巨大噴火が差し迫った状態にあるかどうか。そして二つ目は、運用期間中に巨大噴火が発生するという科学的に合理性のある具体的な根拠があるかと。
委員長に伺いますが、第一の要件、巨大噴火が差し迫った状態と判断できる火山の現在の活動状況とはどんな状況なのかと。これ、現在の火山学では判断基準を示しておりますか。
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えいたします。
御指摘の、火山の現在の活動状況は巨大噴火が差し迫った状態にあるかどうかについて、火山の現在の活動状況の評価は、地球物理学的及び地球化学的、物理学的及び化学的な調査によって行います。
具体的には、物理学的調査では、検討対象火山において、上部地殻内に巨大噴火が可能な量のマグマだまりが存在している可能性や大規模なマグマの移動、上昇等の活動を示す兆候の有無を把握してまいります。また、化学的調査では、火山ガスの化学組成分析、温度などの情報から検討対象火山の活動状況を把握しております。
○山添拓君 今説明にありましたように、規制庁は、火山活動というのはマグマが徐々に供給をされて次第に活発になっていく、だんだん上がってくる、だから兆候はつかめるんだと想定しております。
しかし、二〇一七年十一月一日に開かれた原子炉安全審査会原子炉火山部会第二回会合では、地球科学者の小林部会長が疑問を呈しております。カルデラ噴火の前はどちらかというと静かだ、場合によっては数百年間非常に静かなこともある、したがって、だんだんアクティブになっていくから、それを基準に何か考えるという考え方そのものがどうも違っていると、こう部会長自らが指摘をされているんですね。委員長、いかがですか。
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えをいたします。
まず、時間軸を捉える必要があると思っています。火山学における期間というのは、数千年に一回であるとかあるいは一万年規模で一回、それの直前といった状態でも数百年といった規模が考えられます。
そういった意味で、その原子力施設の運用期間、これは数十年のオーダーというふうに考えますけれども、その数十年のオーダーの中で巨大噴火、いわゆるカルデラ噴火が起きる可能性というものを考えるときに、その兆候といったものが、数百年のオーダーというのは、数百年前に捉えるというのではなくて、運用期間に対して、その巨大噴火が起きるかどうかの蓋然性をつかまえる期間において兆候が捉えられるかどうかの方が重要だというふうに考えております。
○山添拓君 実際には、人類の経験としては、巨大噴火の兆候を把握できるというのはせいぜい一週間前なんですよ。一九九一年に噴火をしたフィリピンのピナツボ火山、アメリカの地質研究所から派遣された調査チームが地元の研究機関と連携をして火山監視に当たっておりましたが、大噴火に至るという判断は一週間前になってようやくできたんですよ。
ですから、第一の要件というのは、現在の火山学では到底判断できないものを判断できると言っているに等しいと、私は極めて不合理だと指摘したいと思います。
次に、第二の要件。運用期間中に巨大噴火が発生するという科学的に合理性のある具体的な根拠があるかと、これについても質問をします。
この考え方をまとめた昨年三月七日の規制委員会で、委員の一人から痛烈な批判が出されております。すなわち、地震対策の場合には事業者は敷地内の断層が活断層ではないことを証明しなければならないと。ですから、徹底的に情報を集めるわけです。白であることの証明が必要だからです。ところが、巨大噴火対策の場合にはその逆で、危険性があること、黒であることを示唆するようなデータがない限りは可能性が低いと判断する、こういうものに見えると。事業者に黒であることの証明を求めている。しかし、事業者には積極的にデータを集めるインセンティブが働かないのではないかと、こういう意見が出されています。
委員長に伺いますが、巨大噴火が発生しない根拠ではなく、発生する根拠を求めることにしたのはなぜですか。
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えいたします。
まず、地震とそれから巨大噴火による影響に関しては、その頻度においても、また発電所を守る防護の上でも大きな違いがあります。
巨大噴火は、広域的な地域に重大かつ深刻な災害を引き起こすものである一方、その発生の可能性は極めて低頻度な事象であります。このような巨大噴火の特質を鑑みると、巨大噴火の可能性の評価については、まず火山の現在の活動状況は巨大噴火が差し迫った状況ではないということが確認でき、かつ運用期間中に巨大噴火が発生するという科学的に合理性のある具体的な根拠があるとは言えない場合は、少なくとも運用期間中は巨大噴火の可能性が十分に小さいと判断できるものと考えております。
○山添拓君 頻度が違うとおっしゃるんですけれども、何度も想定外を経験しているんですよね、地震であっても火山であっても。
巨大噴火の可能性があれば原発は立地できないということになっています。その場所に原発を建ててはいけないという根本的な分かれ道です。にもかかわらず、事業者にとっては事業を継続できなくなるような証拠を求める、事業者が積極的に集めてくると、こういう想定自体が私は不合理だと指摘したいと思います。
考え方は、巨大噴火を想定した法規制や防災対策が原子力以外の分野では行われていないことを理由として、巨大噴火のリスクは社会通念上容認される水準だと判断しています。これに対しては強い批判が寄せられています。
東大地震研の中田節也教授は、国が率先して法規制や防災体制を考えるべきなのに全く反対のことを言っていると。前火山噴火予知連絡会会長の藤井敏嗣氏は、巨大噴火に対する防災対策がないのは分かっていないからです、データがないので現在は調査から始めなくてはいけない、このことは内閣府などが設置した検討会で私が座長としてまとめた大規模火山災害対策への提言でも指摘していると。神戸大学の巽好幸教授は、日本列島で今後百年間に巨大噴火が起きる確率は約一%、兵庫県南部地震や熊本地震の生起前日における地震発生確率と大差なく、低頻度は安全を意味するものではないと指摘しています。
委員長に伺います。
原子力規制委員会設置法第一条は、福島原発事故の反省に立ち、原子力利用における事故の発生を常に想定し、その防止に最善かつ最大の努力をしなければならないとしています。原発が一たび事故を起こせば、時間的、空間的、社会的に異質の危険を生じる。だからこそ、安全の確保を旨とし、国民の生命と健康、財産及び環境の保全に努めるべきものとされました。
巨大噴火について、ほかの分野で法規制や防災体制がないから原発でも無視してよいというのでは、規制委員会の役割を果たしたとは言えないのではありませんか。
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えいたします。
御質問にある巨大噴火というのは、極めて広域的な地域に重大かつ深刻な災害を引き起こすものです。例を挙げますと、例えば九州であるとか、巨大噴火が起きれば全域が極めて短い時間で全てを失うような大災害であります。一方で、その発生の可能性は低頻度であることが認められています。
このような巨大噴火について、その発生を想定した法規制や防災対策が行われていないことを考えれば、巨大噴火の発生可能性は相応の根拠を持って示されない限り、巨大噴火によるリスクは社会通念上容認される水準以下であると判断できるものと考えています。
その上で、原子力規制委員会は、安全確保に万全を期する観点から、現在の科学技術水準に照らして可能な範囲で噴火のリスクを考慮し、審査等において火山学的調査が行われていることを確認をしております。
○山添拓君 巨大噴火として想定しているのは、九州全域が対象になるようなものまでじゃないんですね。もっと小さいものでもここに入ってきています。十二、三万年前以降の活動を否定できない断層、あるいは確率的には一千万年に一回以上となるような航空機の落下など、原発でのみ万が一を想定した規制がされている分野があります。これは、想定外で大事故を引き起こした、その経験があるからにほかなりません。
巨大噴火についてほかの分野で規制がないことを理由にするのは、これは論理的矛盾です。法の要請にも反するということを指摘したいと思います。
最後に、火山は分かっていることが非常に少ないということを強調したいと思います。ですから、調査研究、観測体制の充実が急務です。
内閣府は、二〇一七年、火山防災対策会議において、イタリア、アメリカ、インドネシアでの調査結果を報告しています。その全体を通して教訓は何だと捉えたか、特に日本との違いは何だと総括をしているのか、御紹介ください。
○政府参考人(小平卓君) お答えいたします。
今先生から御指摘ありましたように、内閣府におきましては平成二十九年に、イタリア、アメリカ、インドネシアの火山防災体制について現地調査を行っております。その結果、これらの国では、火山防災行政に関しましては各省庁、研究機関での連携体制が取られていること、研究に関しましては、組織内で専門家を確保し、防災に活用するための研究も行われており、ほぼ一元的な体制であったということが分かってございます。
これを踏まえまして、内閣府といたしましては、火山防災行政に関しましては火山防災対策会議の強化が必要であること、また、研究に関しては、研究機関が防災上の大きな目標の下、一体的に防災行政を支援する体制が必要であることを認識いたしました。
これを踏まえまして、内閣府では、今年度ですけれども、火山防災対策会議を強化し、研究機関が防災行政を支援するための体制を構築しているところでございます。
引き続き、火山対策の強化に努めてまいりたいと思います。
○山添拓君 それは是非とも必要だと思います。
日本には専門の研究機関がありません。研究者ではない気象庁の職員が観測と防災に当たっています。大学の研究者はパートタイムで火山防災に協力しているにすぎません。これは諸外国とは全く異なる体制で、しかも原発の火山対策は事業者任せです。火山防災の全体的な体制も原発の火山ガイドについても抜本的に見直すべきだということを指摘して、質問を終わります。
ありがとうございました。