山添 拓 参議院議員・日本共産党

国会報告

2019年・第198通常国会

道路運送車両法改正案と自動運転、交通安全対策について

要約
  • 国交委で道路運送車両法改正案について質疑。痛ましい事故が相次ぐなか、自動運転のレベル3・4などの性能が道路交通の安全性にどう貢献しうるのか。歩行者を守る防護柵の設置など道路の安全対策にも万全を期すよう要求。自動運行装置が使用される条件などメーカー任せにせず厳格な審査を求めました。

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
 多数の保育園児が巻き込まれた大津の死傷事故、高齢者の運転で母子が亡くなった池袋での事故、市営バスが歩行者をはねた神戸の死亡事故など、前方不注意やアクセルとブレーキの踏み間違いなどミスに起因する死亡事故が多発し、連続をしています。昨日も千葉で、公園内の保育園児や保育士が被害に遭うという事故が起きております。
 自動運転は、利便性や効率性だけではなく、人のミスをシステムが補い、より安全性を確保するために開発、普及が進められるべきであります。自動ブレーキや踏み間違い防止機能の標準化を求める声も強くあります。
 今回の道路運送車両法の改正案は、レベル3や4といった条件付での自動運転に道を開こうとするものであります。レベル3や4は、道路交通の安全性にどのように貢献をし得るのか、またその際留意すべき点は何だとお考えか、これは大臣に伺いたいと思います。
○国務大臣(石井啓一君) 自動運転は、その実現により交通事故の削減、高齢者等の移動手段の確保、物流分野における生産性向上等、我が国が抱える様々な社会課題の解決に大きな役割を果たすことが期待をされております。
 このうち道路交通の安全性につきましては、現在、我が国の交通死亡事故発生件数の九割以上が運転者の違反に起因することから、自動運転により運転者に代わりシステムが運転操作を実施することによりまして、こうした運転者を原因とする交通事故の大幅な削減が期待をされております。
 今般の改正におきまして、レベル3及びレベル4の自動運転車につきましては、自動運転の安全性を担保するため、その性能に応じ、自動運転装置が使用可能となる速度、ルート、天候、時間等の走行環境条件を国土交通大臣が付すこととしております。
 加えて、レベル3の自動運転車につきましては、システムによる運転の継続が困難になった場合に運転者による運転の引継ぎが必要となります。このため、自動運転車が安全に使用されるためには、これらの作動条件について自動車ユーザーが正しく理解することが必要であることから、自動車メーカー等に対しまして、販売店を通じた周知徹底やオーナーズマニュアルへの記載等について働きかけをしてまいります。
○山添拓君 自動運転といっても無条件ではなく、高速道路で渋滞中であるとか、あるいは天候や速度など車種ごとの条件付で、またその条件を僅かでも外れる場合には人の運転であり、人のミスによる事故も生じ得るということであろうと思います。
 資料をお配りしておりますが、日本は交通事故の死者の約三六%を歩行者が占めると言われます。イギリスは約二五%、アメリカ、フランスは約一六%、ドイツは約一五%。日本は自転車を合わせますと五割を超えて、これ異常なほど割合が高いと、歩行者の安全策の遅れが指摘をされております。
 大津の事故では、右折車と直進車が衝突し、一方が弾みで歩道に乗り上げました。交差点にガードレールなどの防護柵があれば被害を小さくできたのではないかと、そういう可能性があると指摘されてもおります。
 防護柵の設置基準があるのかどうか、道路局に伺います。
○政府参考人(池田豊人君) 御指摘の道路の技術基準、道路構造令でございますけれども、それにおきましては、交通事故の防止を図るために必要がある場合に防護柵などの交通安全施設を設けることとされております。
 この防護柵につきましては、交差点部への設置を含め、各道路管理者が個別箇所ごとの交通状況などを踏まえ、その設置の必要性について判断していくこととされていると考えております。
○山添拓君 個別判断ということで、交差点についての具体的な基準はないんですね。
 近畿整備局が公表しております設計便覧は、交差点の整備の在り方について次のように記しています。歩道等の巻き込み部は、隣接する横断歩道間で生じやすい信号等を無視しての歩行者の渡りを防止するために、防護柵若しくは植栽を設ける部分を確保するとされています。
 信号を無視する歩行者を警戒して柵を設置しろと、こうされているわけですが、本来であれば、車両の暴走、道路からの逸脱による事故から歩行者の保護を最優先にするような安全対策とするべきではないかと考えますが、これ、局長、いかがですか。
○政府参考人(池田豊人君) 今委員御指摘のありました近畿地方整備局のものにつきましては、今お話もありましたけれども、歩行者の横断防止を目的としたもので、いわゆるガードレールと言われているものとは構造的にも大分違うものではございます。
 なお、今おっしゃられましたように、歩行者の安全の優先というのはそのとおりであるというふうに考えております。
○山添拓君 防護柵の設置基準の具体化やあるいは信号機の改良など道路側の安全対策、それは検討を更に進めていただきたいと、これは求めておきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 続いて、法案について伺います。
 レベル3というのは特定の条件下でのみの自動運転で、人による運転と自動運転とを行ったり来たりするものであります。自動運転から人による運転への引継ぎが確実にかつ安全になされるかが大きな課題であります。
 法案では、自動運行装置が使用される条件、走行環境条件を装置ごとに大臣が設定することとされています。これは、多くの場合には、メーカーが車種ごとに型式指定の認証を受ける際に保安基準への適合性が確認され、走行環境条件を設定していくということになるかと思います。
 この認証を行うのは、独立行政法人自動車技術総合機構の自動車認証審査部とされます。どのような手続で行われていくのかというのは既に答弁ありましたので、繰り返しをいたしませんが、メーカーが示す条件案を前提として条件の設定をしていくということに恐らくなるんだろうと思うんですね。その際に、公道でのシミュレーションなどを行っていくということなんですが、メーカーが行ったのと同じような、あるいはそれを超えるような、あらゆるシチュエーションについてのチェックをしていくと、こういうことになるんでしょうか。
○政府参考人(奥田哲也君) お答え申し上げます。
 保安基準への適合性につきましては、自動車型式指定の審査におきまして、シミュレーション、テストコース及び公道での走行試験の適切な組合せで確認することで的確に審査を行う予定といたしております。
 具体的には、シミュレーション試験で、走行環境条件内で自車及び周辺車両の加速、減速、車線変更といった挙動や、分合流などの道路環境、天候といった想定され得る様々な走行パターンを収集した上で、その全てにおいて安全に問題がないことをシミュレーションで証明することといたしておりますし、また、サンプリング試験でシミュレーションの作動の適切性を確認するということにいたしております。
 また、先ほどもお答えしましたけど、テストコースでの走行試験、また公道での走行試験についても、それぞれ自動運行装置の作動状況を確認することといたしておりまして、メーカーが申請をしてまいりました内容が十分なものであるかということについての審査を確実に行っていきたいというふうに思っております。
○山添拓君 メーカー任せとせずに厳格な審査とするべきだということを指摘をさせていただきたいと思います。
 この型式指定に関しては、認証を受ける際のデータを偽装した三菱の燃費不正や、スズキやスバルなど、無資格者による完成検査で保安基準を満たさない自動車を生み出す検査不正など、不適切事例が相次いでおります。大量生産を容易にするために、国による一台ごとの検査に代わる型式指定制度を取り、完成検査はメーカー任せとしてきました。この下で、複数の企業がより良い性能を偽装したり検査部門の縮小で経費を節減したり、利益優先で不正を繰り返してまいりました。自動運行装置についても同様の不正が起こり得ます。
 しかし、レベル3以上は、安全性の確保において求められる水準がこれ質的に異なると私は思います。複雑で高度な技術による人の関与しない運転の安全性を確保するためには、この認証の過程において特別の対策が取られるべきです。ところが、現在、認証を担当する職員は五十六人、検査不正を受けて、厳格化のためにこの間十四人増員されてきたと伺いましたが、人数や知識や経験、体制としてまだまだ不十分なんではないでしょうか。
○政府参考人(奥田哲也君) 自動車技術総合機構では、これまで型式指定審査について、自動車メーカーからの手数料によりまして審査要員の体制を整備し、審査の厳格や先進技術への対応を踏まえ、増員をしてきたところでございます。
 今般の改正により追加される走行環境条件の妥当性の確認を含む自動運行装置に係る型式指定審査につきましては、国連における自動運行装置の国際基準でありますとか審査方法の議論を踏まえた手数料を設定することといたしております。また、同じく、今般の改正によりまして、自動運行装置に組み込まれたプログラムの改変による特定改造許可に係る技術的な審査について、手数料の納付を新たに規定をいたします。
 これらの手数料により今回新たに追加される業務に係る要員体制を整備することとなりますが、自動車審査の高度化や審査件数の見通しを踏まえて、自動車技術総合機構においてより柔軟な人員配置を行っていくことについて検討してまいるとともに、必要なそういった技術への対応が可能な人材をしっかり確保していくということと、あと、機構の中には、まず技術基準を作る部門と、それから型式指定をする部門と、車検をする部門と、またリコールを行う部門と、大きく、先生御案内かと思いますが、ございますので、こういった部門が横連携を密に行うことによってそういった審査も確実に行っていくということをやってまいりたいということでございます。
○山添拓君 国交省は、二〇一七年から、衝突被害軽減ブレーキ、いわゆる自動ブレーキの不具合情報を収集しております。一年で三百四十件の不具合情報があり、装置が十分に作動しなかった例が八十八件、うち七十二件が接触や追突など事故につながったとされています。この七十二件はいかなる原因によるものでしたか。
○政府参考人(奥田哲也君) お答え申し上げます。
 今お尋ねの七十二件の内容を精査した結果、車両の故障や欠陥が原因であったものはなかったというふうに聞いております。整備不良でありますとか設計、製造に関連するものはなく、作動条件外での使用や速度超過、よそ見などが原因とされております。
 なお、自動ブレーキには作動対象の検知方式が主に三種類ありまして、それらの特性に応じて、走行中の周囲の環境や路面の状況等によって障害物の検知や衝突の回避に、状況が変わってまいります場合がございますので、七十二件はユーザーがこういった前提を十分に理解していなかった場合もあるのではないのかなというふうに推察をいたしております。
○山添拓君 ユーザーが十分に理解していなかったと。これ、私どもに説明いただいた際にはユーザーの過信だというふうに繰り返しておっしゃっていたんですが、過信といっても、コマーシャルでは自動ブレーキとして宣伝されてきたものが今は衝突被害軽減ブレーキという言い方に変えられて、国民生活センターが、あらゆる状況での衝突を防ぐ装置ではありません、車種ごとに性能や作動条件は異なります、こういう警鐘を鳴らしているように、自動ブレーキという名前のイメージが先行して作動条件について正確な周知がされてこなかった結果であります。レベル3についても、自動運転の条件をドライバーが正確に把握し、理解をし、この条件を外れる場合には間髪なく人による運転に引き継げるようにすることが不可欠であります。
 国交省は、先ほどもお話あったように、メーカーに対して販売店を通じた周知徹底やオーナーズマニュアルへの記載を働きかけるとしています。しかし、自動ブレーキで多くの過信を生んだことを肝に銘ずるべきだと思います。特に自動車というのは、レンタカーやカーシェア、中古車のように、ディーラーからの説明を受ける機会のない多数の不特定の者が運転するケースがあり得ます。こうした場合にも、自動運転車の性能、走行環境条件を周知徹底することが必要だと考えますが、どのようにされるんですか。
○政府参考人(奥田哲也君) お答え申し上げます。
 先生御指摘いただきましたように、レベル3及び4の自動運転車につきましては、今般の改正により、自動運転の安全性を担保するため、その性能に応じ、自動運行装置が使用可能となる速度、ルート、天候、時間等の走行環境条件を国土交通大臣が付すとともに、自動運転車が安全に使用されるために走行環境条件の内容や運転者による運転操作の引継ぎが必要となる場合があることなど、その機能についてユーザーが正しく理解することが必要で、その周知徹底を図るということでございます。
 御指摘のように、自動車のユーザーにおきましては、レンタカーやカーシェアリングなど自ら保有しない車両を運転する場合や中古車を購入するといった機会があるため、このようなユーザーに対してもこれらの注意点について正しく周知することが重要であるというふうに考えております。
 このため、レンタカーやカーシェアリングにおきましてはレンタカー会社等が車両を貸し渡す際にユーザーに対して、中古車においてはその販売時に購入者に対して、走行環境条件等の注意点をユーザーに適切に説明するよう、関係団体等を通じて指導してまいりたいというふうに考えております。
 国土交通省といたしましては、これらの取組を通じて、レンタカーや中古車のユーザーも含めて、走行環境条件の内容等が正しく周知されるよう取り組んでまいります。
○山添拓君 やはり、どのような状況、条件の下で自動運転が作動するのか、そして、それは作動しなくなるのはどのようなケースなのかということを正確に理解をして運転をすることが不可欠だと思いますので、現在の取組の延長では済まされない対策が必要だということを指摘させていただきたいと思います。
 先ほど来指摘がされておりますように、自動運行装置はセンサーが正確に機能することが前提とされております。質問もさせていただこうと思っておりましたが時間が参りましたので省略をしたいと思いますが、そのセンサーの点検や整備、スキャンツールが不可欠とされ、私も昨日自動車整備工場の方から話を伺った際には、センサーやスキャンコードを可能な限り各社共通にするなど、安全かつ簡易な仕組みにしてほしいという意見を伺いました。是非それに応えていただきたいと思いますし、国交省のエーミング作業体験会で出された、エーミングの間違った調整によって誤作動や事故の可能性が出てくることが不安だ、こういう声は多くの整備事業者の率直な感想だと思います。
 自動車整備を支えている町場の中小整備工場の立場に寄り添う対応を求めまして、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。