山添 拓 参議院議員・日本共産党

国会報告

2019年・第198通常国会

工期変更など適切指導、建設労働者の賃金実態調査について

要約
  • 国交委で、高力ボルト不足への対策、大成建設が元請けの「丸の内3-2計画」の建設現場の実態をあげ、工期逼迫に際して工期変更など適切な指導を要求。重層下請構造の下で設計労務単価を上げ続けても現場に賃金が行き渡っていないと指摘し、中間搾取の実態調査の結果と調査方法の工夫改善を求めました。

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
 昨年春以降、建設現場で鉄骨をつなぎ止めるのに使われる高力ボルトが全国的に不足し、周防大島の大島大橋で補修工事が延びたり、滋賀県では認定こども園の開園が遅れたりするなど、影響が生じております。国交省の調査では、供給量全体が需要全体を著しく下回っているわけではないということであります。しかし、現状は、引き続き需給が逼迫し、通常は一・五か月程度の納期が八か月に長期化をし、九割で工期への影響ありとされています。
 一時的なボルトの不足で疑心暗鬼を招いて、工事が決まる前から先行発注や水増し発注、重複発注が行われた結果として不足が生じています。過度な取り置きや架空発注の実態を具体的に把握して、建設現場でのボルト不足を解消する対策が必要ではないでしょうか。
○政府参考人(野村正史君) 国土交通省が実施しました最新の調査によりますと、高力ボルトの需給逼迫は継続し、前回の十月調査よりも納期が更に長期化する、調査対象の九割以上が工期に影響が及んでいるという回答をしております。
 鉄骨需要量はこの一、二年で大きく増加をしていないことから、高力ボルトの納期の遅れなどから市場が混乱して、重複発注や先行発注、水増し発注を誘発して、実需以上の注文が一時的に膨れ上がっているものと私どもとしては受け止めております。
 このため、今年五月十七日に、納期、納入先が明確な発注を優先するべく、発注様式を作成して、ボルトの需要、供給、流通の各段階の事業者に不確定要素が高い発注を避けて必要な分を必要な時期に注文するよう、関係業界宛てに活用徹底の要請を行ったところでございます。
 今後、国土交通省におきましては、本取組による効果を注視するとともに、場合によっては工法の変化等によって高力ボルトの需要量自体が変化している可能性もあるため、実需の動向を把握するための調査を実施する予定でありまして、このような取組を通じて、引き続き高力ボルトの需給安定化に向けて対応してまいりたいと考えております。
○山添拓君 今、今後のことについてはお話しいただいたんですが、現に不足が生じている事態への対応も必要だと思います。ふだん鉄骨工事が多いわけではない中小業者、地方などでは、在庫がなく、工期や受注に大きな影響が生じております。架空発注などについては、今からでもやめるように指導すべきだということを申し上げたいと思います。
 次に、法案でも焦点である工期の適正化に関わって、東京会館などを建て替える丸の内三の二計画工事の実態を取り上げたいと思います。過労死事件のあった新国立競技場と同じく、大成建設が元請です。
 資料をお配りしております。千葉土建発行の昨年十月の機関紙です。「想像の上行く大成の労働実態 まるでリアル蟹工船」とあります。二年前に三人が亡くなる転落事故が発生をしまして、昨年の夏は、猛暑の中で休憩所にエアコンがなく、熱中症が懸念をされ、腐るために弁当も持参できなかったと、こう伺っています。
 労働組合が立ち上げたツイッターには、写真もありますが、地下三階の床にシートを敷いて机代わりの段ボールにぐったりと伏している労働者の様子や、元請社員の命令で早朝から入場口で強制挨拶行動をさせられる、十八年間働いた中で一番ひどい、大成建設は職人を人間扱いしていない、あるいは、今日も父は朝五時半に家を出て翌朝の二時半を回っても帰ってこない、家族みんな心配でしようがないといった訴えまでありました。
 組合から国交省に情報提供要請がされたと聞いております。どのような対応を行ったでしょうか。
○政府参考人(野村正史君) 建設業は言わば人材で成り立っている産業でありまして、建設現場で働く方々の安全そして健康の確保は、工事の大前提であり、そして最優先事項であるとも考えております。
 国土交通省においては、今御紹介ありました平成二十九年丸の内三の二計画建設現場を含む労災事故の多発を受けて、同年九月、業界に対して安全確保の徹底について改めて要請を行ったところでございます。そして、その後、この丸の内三の二計画の建設現場では、下請も含めた作業員の労働時間管理を改めて徹底するという取組がなされたほか、下請事業者や技能労働者からの声に耳を傾けるために目安箱の設置、あるいは工事打合せに際しては二次下請以下の業者も参加するなどの対応が取られたと聞いております。
 国土交通省としましては、労働関係法令を所管する厚生労働省とも連携しながら、建設現場において安全で快適な労働環境づくりが図られるように諸般の取組を進めていきたいと考えております。
○山添拓君 国交省に大成建設を呼び出して、情報を伝えて、改善についての説明を受けたと、こういう対応を行っていただいたということであろうかと思います。
 労働行政は、基本的には使用者である下請業者を対象として行われるかと思います。元請に指導できるというのは、建設業を所管する国交省であろうかと思います。ですから、今後も通報、相談、情報提供に対して適切に対応いただきたいと思っています。
 丸の内三の二計画は昨年の十月竣工とされていました。電気、空調、配管関係など、設備や仕上げ工事の段階に至って工期が逼迫をして、現場では、工期が遅れているから休むな、二十四時間働けといって無謀な長時間労働が強いられました。
 本法案の建設業法の十九条の五では、著しく短い工期とする請負契約を締結してはならないとしています。しかし、実際には工事の開始後に事故やトラブルで工期がずれ込むケースも多いでしょう。契約途中で著しく短い工期を強いるような事態にはどのように対処をするのか、大臣に伺います。
○国務大臣(石井啓一君) 工事後半に至り工期が逼迫することのないよう、まずは全体の工期の設定の段階で休日や雨天による不稼働日などを適切に考慮をし、十分な期間を持った工期による請負契約が締結されるべきものと考えております。その上で、事情の変更等により工事後半に至り工期が逼迫する場合においては、著しく短い工期を強いるようなことがないよう適切な変更契約がなされるべきものと認識をしております。
 本法案におきましては、工期の見直しに係る事項も含む工期に関する基準を中央建設業審議会が作成するとともに、著しく短い工期による請負契約の締結を禁止しておりますが、これは民間発注工事や元下間の契約についても対象としております。
 これらの取組を通じまして、工事後半に至り工期が逼迫する場合も含め、工事全体の工期が適正化されるよう、本法案の趣旨を踏まえ、しっかりと取り組んでまいります。
○山添拓君 工期の変更の合意に応じるように是非指導をいただきたいと思います。
 規模の小さい自治体などでは、公共工事で工期が延び事業費が膨らんだ場合に、これを交付金で賄うことができずに自治体の持ち出しになってしまうことがあると伺います。そのため、工事完了後に行う工事成績評定では工期を重視せざるを得ないと、こういう話を伺いました。しかし、適切な成績評価というのは適切な工期設定が前提のはずであります。
 著しく短い工期が設定されていたり、やむを得ない事情で工期が延びたりという場合でも工期を基準として低い評価をするのは不当ではないかと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(野村正史君) 公共工事品質確保法におきまして、発注者の責務として、設計図書に示された施工条件と実際の工事現場の状態が一致しない場合や設計図書に示されていない施工条件について予期することができない特別な状態が生じた場合などにおいて必要と認められるときは、適切に設計図書の変更及びこれに伴い必要となる請負代金の額又は工期の変更を行うこととされております。
 さらに、この法の規定の趣旨を踏まえて、地方公共団体に対しても適切に設計変更や工期の変更等を行うよう総務省と連名で要請を行っているところでありまして、この結果、設計変更手続の円滑な実施を目的として設計変更事務の運用に関するガイドラインなどを策定している地方公共団体は近年増加しているところではございますけれども、先ほど御紹介しましたように、一方で、やはり市区町村などにおいてはまだまだ進んでいないという実情もあることも事実であります。したがって、これはしっかりと、またこのガイドラインの策定が進むように働きかけをしていかなくちゃいけない状況はいまだ残っているかと思っております。さらに、適切に設計変更や工期の変更などが行われた場合には、受注者側の責めに帰すべき事情がある場合を除いて、工程管理に関する工事成績評定が低く扱われるべき理由は生じないものと認識をしております。
 国土交通省としては、引き続き、今のように比較的取組が行われている実態にある市区町村を中心に公共団体において適切に設計変更等が行われるように周知を行って、そしてまた適切な工事成績評定が行われるように努めてまいりたいと考えております。
○山添拓君 工事成績評定は次回入札時の参考にされるもので、業者にとっては大きな関心事であります。工期ありきの評価にならないように是非お願いしたいと思います。
 長時間労働是正のために週休二日を原則化していくとしています。しかし、建設業では日給月払が当たり前で、一日仕事に出て初めて賃金が払われますので週休二日は賃金に直接影響することになります。今でも他産業に比べて三百時間、二割労働時間が長く、かつ年収では二割も少ない現場の労働者にとって死活問題となりかねません。
 二年前にこの問題を指摘した際に、公共工事の設計労務単価の積算に当たって、週休二日の導入に伴う賃金支払の実態について調査項目に追加したということを伺いました。
 休日が拡大して減った賃金が基本給の引上げや手当の支給によって補われているのかどうか、賃金総額への影響をどのように把握しているでしょうか。
○政府参考人(野村正史君) 公共事業労務費調査では、平成二十九年度の調査より、今御指摘のありましたとおり、週休二日対象工事に該当するかどうかの調査項目を追加をして、全労働者という区分に加えて、週休二日対象工事に従事した労働者の区分についても賃金の実態を把握するようにいたしております。
 現在、週休二日対象工事の労務費の積算について行っている補正による割増しについては、この追加調査項目から得られたデータに基づいて、全労働者とそれから週休二日対象工事に従事した労働者の八時間当たりの賃金を比較して補正係数を設定しております。なお、ここで言う賃金という中には、手当という名目で支払われるものも含まれております。
 この補正係数ですけれども、例えば四週八休の週休二日対象工事においては、一日八時間当たりの労務費に対して一・〇五の補正係数を乗じて労務費を算出しているところでございます。
○山添拓君 週休二日の工事で補正が必要だということは分かったわけですが、週休二日によって賃金額が具体的にどのぐらい下がるかということについてはまだ分かっていないということであろうかと思います。
 低賃金の背景には重層下請構造があります。設計労務単価を上げ続けても現場で十分に行き渡っていないという声が続くのはそのためであります。
 国交省は、昨年度、特定の公共工事における下請各層の賃金実態、つまり中間搾取の実態がどうなっているかを把握するためのモニタリング調査も開始したと伺います。現時点で判明している事実と、それから、その調査そのものの課題について御説明ください。
○政府参考人(野村正史君) 今回行いました調査では、平成二十九年度に発注し、平成三十年十月一日時点で完了している直轄工事から無作為に抽出した四十九の工事に携わった元請負人、下請負人の五百七十八業者に対して労働者への賃金の行き渡り状況に関する書面調査を行ったところでございます。
 建設工事における労務費の行き渡りを明確にするためには、建設工事の施工に携わった全ての元請負人と下請負人の締結した請負契約の少なくとも法定福利費相当分を確認し、そこから労務費相当額を推計するという手法が有効かと思っております。
 この調査を現在精査しているところでございますが、調査対象の六五%の元請負人や下請負人が調査未回答あるいは法定福利費を把握していないという状況にありました。そしてまた、法定福利費が確認できた三五%の請負契約については、今のような形で法定福利費から遡って労務費相当額の推計を試みましたけれども、非常に回答率が低かった上に、その回答の中には明らかに異常値と思える回答、あるいは精度の低い回答が多く、現時点では十分な分析ができていないというところが正直なところでございます。
 国土交通省といたしましては、今回の結果を踏まえて、今後、労働者への賃金の行き渡り状況の確認が可能となるような方法の改善をこれは検討するべき必要があるだろうと考えております。
 それとともに、請負契約の当事者がやはり分からないとかそういったことにならないように、法定福利費を確実に把握することができるように、私どもとして、平成二十九年七月に内訳明示の措置を盛り込んだ公共工事標準請負契約約款、そして民間建設工事標準請負契約約款、建設工事標準下請契約約款、いずれも改正をしてございますけれども、これがしっかりと使われるような状況になるということも必要だと思っておりますので、この改正された、内訳明示がされた契約約款の活用について更なる周知を図っていく、これも重要な課題であると考えております。
○山添拓君 詳しく答えていただいてちょっと時間がたってしまったので、今の調査は非常に大事な調査だと思うんですね。実際に中間搾取ではどれぐらいされているのかということを見るには、特定の公共事業についてそれぞれどのように行き渡っているかを調べなければならないということで、今初めてこの調査行われています。公共工事で社会保険の加入が義務付けられていますが、法定福利費の支払、それは建設職人基本法でも確認されているものですが、それでも分からないという事業者が多いというのは深刻な事態でもあろうと思いますので、是非工夫をしていただきたいと思います。
 時間がなくて恐縮なんですけれども、最後に是非大臣に、今の週休二日の点、それから下請構造の中での調査の点、踏まえて認識をお示しいただきたいと思っています。
○委員長(羽田雄一郎君) 時間が来ておりますので、おまとめください。
○国務大臣(石井啓一君) はい。
 国土交通省としましては、労務単価の引上げ等が現場の技能労働者の賃金水準の上昇という好循環につながるよう、繰り返し私から直接建設業団体のトップに対して要請を行ったところであります。この結果、業界団体以外におきましても、技能労働者の賃金水準確保のための自主的な取組が講じられているところであります。
 今後とも、更なる実態把握に努めるとともに、官民一体となりまして技能労働者の適切な賃金水準の確保に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。
○山添拓君 ありがとうございます。終わります。