山添 拓 参議院議員・日本共産党

国会報告

2019年・第198通常国会

公共工事の品確法、新国立競技場建設現場の労働実態について

要約
  • 公共工事の発注者とともに受注者の下請け契約について、適正な請負代金や適正な工期を義務づける法律案について質問。一昨年過労自死のおこった新国立競技場建設現場について、新たに国際建設林業労組から改善が求められたことについて、日本スポーツ振興センターの発注者責任と改善を追及しました。

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
 本法案は、災害時の緊急対応の充実強化策として、建設業団体等との災害協定の締結などを発注者の努力義務として定めております。地域に通じた建設業者が迅速に災害復旧に対応できるよう整えておくことは重要だと私も考えます。
 一方で、災害協定を結んだ建設業者やその労働者は、危険な作業を伴う現場へも出動することになります。国や自治体との協定に基づく活動で損害を受けた場合には公務災害の対象としてほしいという声も伺います。
 法案では労災保険料を予定価格に適切に反映すべきことが加えられておりますが、それにとどまらず、公務災害補償などの措置を講じることも求められると考えますが、発議者の御見解を伺いたいと思います。
○衆議院議員(森山浩行君) 御質問、ありがとうございます。
 災害協定を締結をしている場合であっても、実際の工事等は事業者等との契約に基づいて行われるものでございます。また、当該工事等に従事する労働者については、その事業者等との雇用契約により従事するのであり、そうした工事等における不測の事態については、法定の労災保険、また法定外のいわゆる労災上乗せ保険が適用され、補償がなされるものと承知をしております。
 これに対して、災害対策基本法などにより応急措置に従事した者への補償が行われるのは、都道府県知事による従事命令により応急措置業務に従事するような場合であり、雇用関係に基づく工事等への従事について、これと同様に扱うことは困難と考えております。
 このため、本法案では、発注者の責務として、法定外の保険料についても適切に積算をし、予定価格を適正に定めることを規定したところであり、災害協定の対象となっている工事等においても適切な補償がなされることを期待をするところでございます。
○山添拓君 適切な補償がされるということが大事であろうと思います。
 一方で、消防団員は消防組織法によって公務災害が準用されるということもありますので、是非、今後の課題として共有していきたい課題ではないかと思っております。
 本法案は、基本理念として、適正な請負代金及び適正な工期を定める公正な契約を締結し、公共工事に従事する者の賃金、労働時間その他の労働条件、安全衛生その他の労働環境の適正な整備への配慮を求め、発注者の責務として、適正な工期の設定など、労働条件の適正が確保されることを求めております。
 このように理念、責務を明記することとしたのはなぜなのか、先ほどの答弁と重なるところもあるかと思いますが、御紹介いただきたいと思います。
○衆議院議員(森山浩行君) 建設業は、他産業と比べ年間総実労働時間が長く、年間出勤日数が多いことなどから、昨年成立をいたしましたいわゆる働き方改革関連法では、罰則付きの時間外労働規制の適用について五年の猶予が与えられたところであり、労働条件の改善に向けた取組を強力に推進をする必要があると認識をしております。
 このため、建設投資の約四割を占める公共工事を対象とする品確法改正案においては、基本理念や発注者及び下請も含めた公共工事等を実施する者の責務で、賃金、労働時間その他の労働条件、安全衛生その他の労働環境の適正な整備への配慮や適正な請負代金、工期による請負契約の締結について規定をしたところでございます。
 閣法である建設業法、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律においても工期の適正化や処遇改善についての規定がなされたものと承知をしており、本法案と相まって、建設業の賃金、労働時間その他の労働条件、安全衛生その他の労働環境の改善に向けた取組が進むことを期待をしております。
○山添拓君 建設現場の労働条件、労働環境、その適正を確保する、そのことが発注者においても受注者においても共有を完全にされていないところもある、これを改善していこうという法案だと理解しております。
 この法案では、今申し上げたように、発注者に対して労働条件、労働環境への配慮を求めると同時に、受注者、元請が下請契約を結ぶに当たっても、労働条件や労働環境が適正に整備されるよう適正な請負代金、工期を定めるよう義務付けております。
 そこで伺いたいのですが、オリンピックに向けた新国立競技場の工事では、発注者は独立行政法人の日本スポーツ振興センター、JSCであり、元請は大成建設JVです。その現場では、二〇一七年三月に、現場監督だった二十三歳の男性が過労自死に追い込まれました。月百九十時間という極度の長時間労働による精神疾患が原因とされ、労災認定もされました。この改正は、こうした事件もきっかけに、建設現場における長時間労働の是正が必要であることを背景としたものですが、その趣旨自体は従前から共通したものであろうと思います。
 文科省に伺いますが、発注者であるJSCや元請の大成建設JVに対して、品確法の趣旨を含めて、労務管理の改善をどのように指導し、取り組むよう指導してきたんでしょうか。
○政府参考人(齋藤福栄君) お答えいたします。
 新国立競技場の整備事業については、発注者である日本スポーツ振興センターにおいて、元請事業者である大成JVに対し、かねてより、関係法令等を遵守の上、適切な労務管理を要請してまいりました。
 しかしながら、委員御指摘のとおり、平成二十九年三月、下請事業者の従業員が過労により自殺するという事案があり、これを踏まえて、日本スポーツ振興センターにおいては、このようなことが二度と起こらないよう改めて大成JVに法令遵守の徹底を求めていくこととし、大成JVにおいても、建設現場に看護師が常駐する健康相談室や休憩所、シャワー室を設置し、安心かつ快適に働ける環境を整備するとともに、現場内事務所の二十時閉所を徹底し、時間外労働の短縮化を促進するなど、健康管理に係る取組を進めてきたものです。
 その上で、さらに、日本スポーツ振興センターにおいては、健康管理に係る取組の実施状況について大成JVより継続的に聴取するとともに、二〇二〇オリパラ大会施設工事安全衛生対策協議会へ報告するなど、関係機関との情報共有にも努めているところであります。
 二〇二〇年大会施設の整備を着実に進める上で、建設現場で働く方々の安全と健康を確保することは不可欠であり、スポーツ庁としても、安全は大会成功のための最優先事項という方針の下で、関係省庁とも連携し、建設現場において安全で快適な環境づくりが図られるよう引き続きしっかり対応してまいります。
○山添拓君 しかし、問題が解決したわけではないんですね。
 資料をお配りしておりますが、五月十六日付け朝日新聞の記事です。労働組合の国際組織である国際建設林業労働組合連盟が、新国立競技場や選手村の建設現場について問題があるとして、JSCや東京都に改善を求める報告書を送ったということであります。
 つるされた資材の下で作業をしているとか、ヘルメットなど安全器具を労働者が自分で購入する例がある、聞き取りをした労働者の半数が雇用契約ではない、新国立では月二十六日間働く労働者もいた、こうした問題について労働者から相談を受けた労働組合がJSCに通報しても受理をされない、都とJSCは通報の受付が日本語のみだ、通報制度も十分機能していないと警告をしています。
 五月二十二日の衆議院の文科委員会で、我が党の畑野君枝議員の質問に対して、柴山大臣がJSCにおいてレポートの内容の事実関係の精査を行っていると答弁をしております。精査した結果はどうだったでしょうか。
○政府参考人(齋藤福栄君) 今般のBWIの指摘については、新国立競技場の工事の発注者であるJSCにおいて、まずレポートに記載されている情報の範囲において元請事業者である大成JVに事実関係を確認し精査を進めており、例えば照明のない暗闇の中で作業をし負傷したとの指摘については、照度不足のために事故が発生したという報告は受けておらず、現場監督員が照度が確保された現場内を移動中に発生した事象であると聞いております。また、JSCの通報窓口が日本語対応のみとの指摘については、本年三月に英語対応を開始するなど、既に改善されている事案もございました。
 一方で、例えば一か月間に二十六日間働いた労働者がいたとの指摘については、工事現場に関係する事業者や作業員の数、作業内容が多岐にわたっており、また作業工程に応じて事業者等が入れ替わることから、レポートに記載されている情報だけでは大成JVに対して事実関係を確認することが難しい事案であると聞いております。
 また、指摘の中には建設現場が特定されていないものも含まれており、レポートが届いた組織委員会、東京都、JSCの間で情報を共有し協議した結果、BWIに対し事案の特定に必要な詳細情報の提供を依頼することとし、今週四日、三者連名で文書を発出したところであります。今後、BWIから提供される情報を踏まえ、JSCにおいて必要に応じて大成JVに事実関係を確認し、法令に照らして精査を行うなど、適切に対応を進めることとしております。
 スポーツ庁としては、これらの対応の進捗状況を逐一確認しながら、関係省庁とも連携し、工事現場において安全で快適な環境づくりが図られるようしっかり対応してまいります。
○委員長(羽田雄一郎君) 時間が来ておりますので、おまとめください。
○山添拓君 過労自死が発生をした現場でなお国際組織から問題が指摘されるという事態は極めて重大だと思います。JSC自身が今回の品確法の趣旨も踏まえて主体的に事実関係を把握して、直ちに改善させるよう求めまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。