山添 拓 参議院議員・日本共産党

国会報告

2020年・第201通常国会

予算委員会で検事長定年延長問題について質問しました。

要約
  • 予算委員会で検事長定年延長問題について質問しました。 先週金曜日に提出された検察庁法改定案には「内閣の定めるところにより」検事総長、検事長等の検察上層部の人事を左右できる規定が。 安倍総理は「今後の国会審議を経て検討する」と開き直り。 検察まで私物化する悪法は撤回すべきです。

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
 森法務大臣の検察官を侮辱する暴言と検事長の定年延長について伺います。
 大臣は、法務省が確認した事実と異なる発言をしたと言い、答弁を撤回し、謝罪されました。しかし、午前中の蓮舫委員の質問に対しても、御自身の個人的な見解、すなわち、東日本大震災の際、いわき市の検察官が最初に逃げた、理由もなく釈放して逃げた、その評価そのものは誤っていたとも認識を改めるともおっしゃっていません。
 当時、被疑者を釈放したことには確かに賛否があったわけです。福島地検の検事正が事実上更迭される事態にもなりました。そこで、災害時における検察運営の在り方と課題を取りまとめたのが仙台高検による二〇一一年十一月の報告書であります。大臣、こちらはお読みになりましたか。
○国務大臣(森まさこ君) はい、読みました。
○山添拓君 パネルを御覧ください。(資料提示)
 いわき支部について。これは、要するに原発事故の影響なんですね。避難指示や屋内退避指示、その拡大。その一方で、放射線に関する知識や情報の不足、それによる住民の不安の高まり。津波による被害ももちろん甚大で、極度の混乱状態、事件関係者の取調べや証人、被告人等の公判への出頭確保が困難。裁判所が三月中全ての公判期日を取り消し、庁舎を閉鎖し、執務場所を変更することになり、これに伴い検察も一週間郡山に移ったということです。
 この報告書、例えば八十三ページ、勾留中の被疑者の取扱い、移送と釈放という項目は、これ、私に開示された資料では黒塗りなんですよね。捜査や公判への影響を記した部分も、ほとんどが黒塗りになっています。しかし、大臣は黒塗りにされていない資料をお読みになっただろうと思うんです。それでも、御自身の個人的な見解、これは変わらないですか。
○国務大臣(森まさこ君) はい、変わりません。
○山添拓君 大臣は今、個人的見解は変わらないとおっしゃった。つまり、東日本大震災の際、検察官は逃げた、こういう見解は変わらないということですか。
○国務大臣(森まさこ君) 失礼いたしました。三月九日の個人的見解を撤回した、撤回しておわびしたことは変わりません。
○山添拓君 いやいや、いまだに個人的な見解、評価については変えられていないのか。そのこと自体については、この委員会でもいまだに、誤っていたとか認識を改めることにした、こういう答弁されていないんですよね。事実に基づいて、事実を確認してから答弁すべきだったと、午前中もそうお話しになっていたと思うんです。しかし、今の答弁は私は全く誠実ではないと思うんですね。
 そこで総理に伺いますが、総理はどういう認識ですか。当時、検察官は逃げた、理由もなく釈放した、こういう見解ですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 見解については既に法務省が述べているとおりでございまして、当然私も同じ見解でございます。
○山添拓君 要するに、森大臣だけが誤った事実認識のまま検察行政を担い続けようとしているわけです、否定されないわけですから。そして、これは総理の任命責任が問われる問題だと、このことを指摘したいと思います。
 森大臣は、検察官にも勤務延長を適用する必要性として、社会情勢の変化を挙げました。その背景として、今のいわきの事例を持ち出したわけです。これ自体、説明になっておりません。
 しかし、そもそも社会情勢の変化、これは勤務延長の理由になるんでしょうか。
 人事院は、二〇一八年の八月、一般の国家公務員の定年を六十歳から六十五歳へと引き上げるべきだと、こういう意見を表明しました。民間企業で六十五歳までの雇用確保措置が義務付けられた、あるいは若い世代が減少している、雇用と年金の接続が必要だ、複雑高度化する行政課題への対応など、これは確かに社会情勢の変化が理由とされているんですね。
 しかし、定年の引上げと勤務延長とは違います。今問題となっている勤務延長は、全ての職員に適用される定年の引上げとは違うわけですよ。定年の引上げというのは画一的に定年年齢を引き上げるものですが、勤務延長というのは特定の職員について特例的に定年後もその同じ職務を担わせるというものです。その趣旨というのは、個々の業務について見た場合に、特定の職員に定年後も引き続きその職務を担当させることが公務上、公務遂行上どうしても必要なことがあり得るんだと、どうしても必要なことがあり得る。そこで、公務遂行に支障を生じさせないようにしようというのがこの勤務延長の趣旨ですね。ですから、社会情勢の変化は関係ないんですよ。
 大臣、改めて伺います。検察官も勤務延長ができるとした、その解釈変更の理由は何ですか。
○国務大臣(森まさこ君) 勤務延長制度が導入された昭和五十六年当時と比べ、社会経済情勢は大きく変化し、多様化、複雑化しており、これに伴い犯罪の性質も複雑困難化しております。このように、犯罪の捜査等に当たる検察官を取り巻く情勢は昭和五十六年当時と比べ大きく変化している中、国家公務員一般の定年の引上げに関する検討の一環として、検察官についても改めて検討したところ、検察官についても特定の職員に定年後も引き続きその職務を担当させることが公務遂行上必要があると考えたためでございます。
○山添拓君 大臣、今の答弁は刑事司法の基本に反すると私は思うんです。特定の個人にその業務を担当させなければ公務遂行上支障があるとおっしゃいました。特定の検察官にという趣旨だろうと思います。しかし、この人にしか任せられないという検察実務を想定すること自体が私はおかしいと思うんです。検察の仕事というのは法と証拠に基づく、大臣も常々おっしゃっています。事実に基づいて独立公平、これが刑事司法の基本ですよ。
 大臣、黒川氏にしか任せられないような事件処理、これがあるということですか。
○国務大臣(森まさこ君) 解釈変更については、今ほど行ったような考え方について解釈変更いたしました。
 その上で、個別の人事についてのお尋ねでございますが、これについては、勤務上の必要性に鑑み閣議請議を行い、適正なプロセスで人事を行ったものでございます。
○山添拓君 全然答えになっていないと思うんですね。
 定年の引上げと勤務延長、これは似て非なる別物です。しかし、別物であるにもかかわらず、その制度を意図的に混同させて無理な説明をしようとする。だからこそ、無理に無理を重ねるような答弁がこの間続いているわけです。
 先週の金曜日、十三日ですが、国家公務員法と検察庁法の改定案が閣議決定されました。国家公務員の定年を段階的に六十五歳に引き上げる。検察官も同様だと報道されております。
 しかし、それだけではありません。検察官の勤務延長、引き続き検事長が引き続き検事長をできるようにするような規定まで盛り込まれております。黒川氏のような検事長が六十三歳に達した後も、引き続き検事長を続けられるようにする規定があると。
 パネルを御覧ください。これもう小さい字ですのでほとんど読めないかと思いますけれども。
 元々法務省が作成していた検察庁法二十二条の改定案というのは、上にあります二項を追加するというだけだったんですね。ところが、先週提出された改定案は、二項から八項までだあっと追加されました。膨大な条文になりました。
 法制局に確認します。
 二十二条の条文は、案文は、今年一月、法務省が解釈変更すると言い出した後で差し替えられたものですね。
○政府特別補佐人(近藤正春君) お答えいたします。
 今お示しの資料における、下にございます一月十七日の二十二条が非常に多い条文になったものは、あくまでも一月のその解釈変更の後ということでございます。
○山添拓君 これは、法務省で法案を作成した方も、あるいは法制局の方も、法案提出直前のこれだけの変更に大変な苦労をされたと思うんです。無理な解釈変更のためにこんないびつな条文案となったんですね。
 しかも、その際、驚くべき変更が加えられました。パネルを御覧いただきますが、六十三歳以上は、検事長や検事正、要職には就けない、こういう条文案だったわけですが、ところが、五項ですね、内閣の定める事由があると認めるときにはそのポストにとどまれる、さらに六項、内閣の定めるところにより再延長や再々延長も可能だとされています。これでは、検事長などの人事は官邸が握るのだと公言しているようなものですよ。
 総理、内閣の定めるというのは何ですか。今後は総理の一存で検事長などの任期を延長していけるということですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今回の人事におきましては、まさに、法務省、検察庁の人事をつかさどる検察庁によって適切に判断をされたところでございます。
 この法案につきましても、まさにこの法務省において議論を行い、そしてそれをまさに閣議で決定していくということになっているところでございまして、これはまさに、いずれにいたしましても、判断は適正になされていくところであります。
○山添拓君 いやいや、答弁になっていないです。法案の中に、内閣の定めるところにより、検事長を引き続き任命していく、引き続きその職務を行わせることができる、再延長も再々延長もできる、こういうふうになっているわけです。
 内閣の判断で、総理の責任の下で、検事長に、特定の検事長にその職務に引き続きとどまらせる、こういう仕組みにするということですか。
○国務大臣(森まさこ君) 担当大臣からお答えさせていただきますけれども、この法務大臣の定める準則、内閣の定めの具体的な、この二つの内容についてでございますけれども、現時点では、勤務延長の再延長の要件について、より慎重に判断するものとするため、判断の手続や判断に際し考慮すべき事項などについてこちらで定めることを検討しております。
 いずれにせよ、今後、国会での御審議を踏まえ、内容や具体的な形式について検討を進めてまいりたいと思います。
○山添拓君 これから検討だとおっしゃって、つまり何にも決まっていないと。
 内閣の定め次第によっては、どういう人を引き続き検事長をさせるか、こういう判断できるということに法律上なっているわけですね、法案上なっている。
 森友、加計、桜を見る会、カジノ汚職や大臣の選挙違反、安倍政権の数々の疑惑が、疑惑において刑事責任が問われています。総理のお友達だけではなく、総理自身が刑事告発されている事件もあります。その総理が、自らを捜査し起訴するかもしれないという検察、検事総長、次長検事、検事長、検察上層部の人事に内閣として露骨に介入しようとするものであります。
 総理、こういう法案を出すということ自体が、こういう仕組みをつくっていくということ自体が疑惑隠しだと疑念を持たれかねない、そうお思いになりませんか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) それは全くそうは思いません。
 これは、まさに、今この法案につきましては、先ほど森大臣から答弁をさせていただいたところでございますが、いずれにいたしましても、この法務省において人事においては適切に判断をしていくことでございますから、政権において、この検察の人事に何か政治的な意図を持って介入するということは、これはあり得ないことでございます。(発言する者あり)
○山添拓君 だったらやめた方がいいと、今、声もありました。
 今はそういう仕組みに一応なっていないわけですよ。検察が上げてきた人事を閣議決定で決める、こういう仕組みにはなっていますが、この法案は露骨に、内閣の定めるところにより、内閣の定めるところにより、検事長を引き続きその仕事をさせるかどうか、こういう法案になっているわけですよ。これで本当によいとお考えですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) いずれにいたしましても、法務省において適切にしっかりと議論をして決定をしていく、本案について決定をしていくということになった、なるわけでございますが、まだこれは、この法案についてこれは提出をしていないというふうに、あっ、提出、提出したんだっけ……(発言する者あり)提出をしたということでございますが、いずれにいたしましても、しっかりと御審議をいただきたいと、このように思っているところでございますが。
 いずれにいたしましても、恣意的に政治的に人事に介入することは絶対にこれはないということは明言させていただきたいと、このように思います。
○山添拓君 この検察庁法の改定案は、検察まで私物化するものです。撤回すべきであります。
 森大臣は、検察官も国家公務員だから問題ないのだ、同じような規定で構わないんだ、こう繰り返し答弁をされてきました。それ自体が私はにわかに信じ難い思いです。今、法律家団体や有志の弁護士が違法な検事長の勤務延長に反対する声を相次いで上げています。これは、検察官の独立を脅かす動きに多くの法律家が危惧を覚えているからであります。
 ところが、例えば法務省が一月十六日に作成したというメモは、こうした検察官の職務と責任の特殊性を軽視し、定年制度の趣旨は戦前の裁判所構成法の時代から変わらない、戦前から変わらないんだ、こう書いているんですね。
 大臣、本当にこう考えているんですか。
○国務大臣(森まさこ君) 御指摘の二〇年一月十六日のメモと題する文書においてでございますけれども、これはあくまで検討過程のものである上、検察官に定年による退職の制度が設けられた趣旨を検討するに当たり、裁判所構成法の審議における政府委員の発言に言及しているにすぎないものでございまして、この発言について、これをもって検察官に勤務延長制度が適用される理由としているものではなく、いずれにしても御批判は当たらないものと考えております。
○山添拓君 だったら、何でわざわざ書いていたのかよく分かりませんけれども。法務省が出してきた文書に戦前の裁判所構成法が書かれているんですね、趣旨は同じなんだと。
 しかし、当時は、裁判官も検察官も弁護士も、行政機関である司法省の監督下にありました。裁判官や検察官の人事、予算、あるいは内部規則の制定などは、これは司法大臣の権限とされていたんです。司法大臣が訓示と称して裁判官に干渉をする、これも公然と行われていたような時代です。
 総理に伺います。
 三権分立を定めた日本国憲法の下で、裁判官や検察官の地位は戦前から大きく変わっています。そのこと、総理はどう認識されていますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさに司法と立法府と行政府、この三権分立の、分立の原則の下に、それぞれがそれぞれの独立性を尊重してきているということではないかと、こう思っております。
○山添拓君 総理、そうであれば、今、これから法案を出して国会で審議しようとし、通過させようとしている検事長の、検察上層部の人事に内閣が口を出せる、内閣の判断で特定の検察官、特定の検事長を引き続きその職務を担わせることができるような、そういう仕組みはやっぱり考え直した方がいいんじゃないでしょうか。
○国務大臣(森まさこ君) まず、担当大臣から御答弁させていただきますが、司法権の独立の確保のため検察権の独立が要請されるものと承知しておりますが、他方で、検察権は行政権に属しております。検察庁法は、検察官が行政権に属することと検察権の独立性確保の要請との調和を図っておりますが、勤務延長それ自体は、その趣旨は、特定の職員にも定年後も引き続きその職務を担当させることが公務遂行上必要な場合に、定年制度の趣旨を損なわない範囲で定年を超えて勤務の延長を認めるというものであり、司法権行使の前提となる検察権行使に圧力を加えるものではなく、検察権の独立は害されないものであります。
 したがって、御指摘は当たらないものと考えております。
○山添拓君 総理、答弁されないですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この、今委員が挙げておられるこの文言等については、これ、本来であればこれは法制局長官から、なぜこれが入っているかということに……(発言する者あり)いや、なぜこれが入っているかということについて説明をさせていただいた方がいいんだろうと、こう思うところでございますが、特別にこれで大きく変わるということでは全くなくて、公務員法とですね、公務員法とこれ合わせた表現になっているのではないかと。これ、必要であれば、言わば、これ立法技術的に、技術的な形でこれが入っているだけのことでありまして、必要であれば法制局長官から、ですからこれ、非常に立法技術的にこれ入っているものでございますので、必要があれば法制局長官から答弁をさせたいと思います。
○山添拓君 もう時間ですから結構ですが、全くその認識は誤っていると私は思います。
 検察、刑事司法への国民の信頼は既に損ねています。多くの国民から疑念が持たれ、検察官の中からも、これでは国民から疑念を持たれる、きちんと説明すべきだ、こういう声が上げられるような事態になっています。黒川氏の勤務延長も……
○委員長(金子原二郎君) 時間が来ています。
○山添拓君 検察庁法の改定案も撤回をすべきだと、このことを強く述べて、質問を終わります。
○委員長(金子原二郎君) 以上で山添拓君の質疑は終了いたしました。(拍手)