山添 拓 参議院議員・日本共産党

国会報告

2020年・第201通常国会

法務委員会で、黒川検事長の勤務延長問題で質問しました。

要約
  • 法務委員会で、黒川検事長の勤務延長問題で質問しました。 法務省が提出した資料には、「検察官は3月31日にいっせいに退職する他の行政職員と違い、誕生日に退官するため、公務の運営に著しい支障が生じることはない」旨の記述が。 この認識が今年1月に180度変わった理由、引き続き追及していきます。

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
 先週末の朝日新聞の世論調査では、安倍政権が法解釈を変えて検察官の定年延長を決めたことに問題だと答えたのが五五%、問題ではないは二四%。共同通信では、納得できない六〇・五%、納得できるは二六・六%でした。
 二月十九日、全国の検事長らが集まる検察長官会同というのが開かれましたが、ここではある検事正が、検察は不偏不党で捜査をしてきた、今回の人事は政権との関係に疑念を持たれかねない、国民にもっと丁寧に説明した方がいいと発言したといいます。異例のことです。弁護士会や有志の法学者や法律家、若手弁護士からも黒川氏の定年延長人事に反対する声が、声明なども含めて相次いでいます。
 大臣、なぜこんなに批判が強いのだと思われますか。
○国務大臣(森まさこ君) 勤務延長制度に関する法解釈変更、そして、その後の黒川氏の勤務延長という個別の人事でございますが、これらについて、今委員の御指摘を伺い、更に丁寧な説明が必要であると思いました。
○山添拓君 余りお答えいただいていないんですけれども、批判が強いのはなぜかと私は伺いました。
 これはやはり、検察の独立性や司法の独立そのものを脅かす人事だと。にもかかわらず、大臣の説明が二転三転をし、もはや説明になっていないからこういう世論になっている、そうとしか言えないと思うんです。
 検察官の勤務延長を可能とする解釈変更がいかなる理由で行われたのか、大臣は一貫して社会情勢の変化だとしています。
 資料の一ページ、法務省が昨日予算委員会の理事会に提出した文書です。解釈変更に至った経過がここには記されております。四段落目、御覧ください。勤務延長制度については、従前は、検察官には適用がないと解釈しており、これを前提として法律案を作成していたが、昨年十二月頃、担当者において、果たしてこの解釈を維持するのが妥当なのかという観点に立ち戻って検討を行うなどしたとあります。
 これ自体ちょっとにわかには信じ難いような記載なんですが、しかし、このとおりだとすれば、この際、従来の法解釈についても確認をされていてしかるべきだと思うんです。
 大臣に伺いますけれども、一九八一年、国家公務員法に勤務延長が規定をされたその法案審議において、国会答弁で検察官への適用が否定されていたこと、またその想定問答集まで作られていたこと、この時点で、昨年十二月の時点で法務省は確認していたんですね。
○政府参考人(川原隆司君) 法案の検討は私ども刑事局で行いましたので、私から確認させていただきます。
 私どもは、従来から御答弁申し上げておりますように、昭和五十六年の改正で国家公務員法に導入されました定年制につきまして、これにつきましては、当時から既に定年制の定めのあった検察官には適用がないと、こういう解釈が法改正時取られていたという状況を前提とした上で立案作業を行ってきているものでございます。
○山添拓君 お答えいただいていません。
 当時、そういう国会答弁があった、あるいは想定問答集が作られていた、このことを確認されていますか。
○政府参考人(川原隆司君) お答えを申し上げます。
 想定問答集につきましては、本年一月になりまして人事院と協議、あっ、失礼いたしました、内閣法制局と解釈変更について協議を行った際に、こういうものがあるんだということを示されてはおりますが、昭和五十六年の法改正後、人事院から、通知その他によりましてこの定年制は検察官には適用がないということが示されておりますので、そういった解釈を前提として、法改正、法案の作成作業を行っていたものでございます。
○山添拓君 ということは、この十二月頃から一月にかけて解釈の変更を進めていくその検討を行っていくに当たって、何の資料も準備していない、当時の国会会議録に当たったり、当時の想定問答集調べたり、そういう作業は全くしていないということですか。
○政府参考人(川原隆司君) お答え申し上げます。
 今回のその法解釈の変更といいますか、国家公務員法と検察庁法の関係について改めて検討を行ったということに関しましては、先ほど来御答弁申し上げておりますように、昭和五十六年の国家公務員法の改正時におきましては、既に定年の定めのあった検察官にはその定年制の適用はないものだと、こういうことでやったということを前提にやっておりますので、そういった状況を前提とした検討をしているものでございます。
○山添拓君 これは驚くべきことだと思うんですよ。大臣自身も国会で答弁した際には、法解釈、国会答弁御存じなかったわけですけれども、そのことについて、解釈変更すると、これ自体後付けの理屈だと思いますが、その当時何も確認していなかったんだと、前提にしたとおっしゃいましたけれども、資料すら準備していなかったかのような答弁です。
 委員長に求めたいと思います。
 その当時、つまり昨年の十二月から今年の一月にかけて法解釈を検討した際の作業するに当たっての確認した資料、記録、提出を求めたいと思います。
○委員長(竹谷とし子君) 後刻理事会で協議します。
○山添拓君 資料の一ページに戻りますが、社会情勢の変化としてここで挙げられていますのは、大きく言えば、交通事情の進歩とインターネットの普及、これが、多様化、複雑化だと言っているんですね。
 大臣、三月九日の予算委員会で小西委員に東日本大震災を持ち出して答弁した際には、災害のときにも大変な混乱が生じると思います、こう答弁されているんですが、ここには災害のことは書いていないですね。つまり、検察官が逃げた、理由なく釈放した、その大臣が撤回をされた答弁は、いかなる意味でも、つまり、災害が起きたときに大変だという意味でも解釈変更の理由とは関係ないということですね。
○国務大臣(森まさこ君) 三月九日の私の答弁については、撤回をさせていただきましたので……(発言する者あり)はい、ここには記載をしておりませんので……(発言する者あり)関係ないかどうかということについてはこちらの紙には書いてございませんが、この解釈変更に当たっては、社会情勢の変化のほかに、条文の文言や趣旨、その他様々な事情を検討したということについては、これまで国会答弁でお話をしてきたところでございますが、この紙については、その中の社会情勢の変化とは何かというお尋ねについて、法務省の方で作成して出させていただいたものでございます。これについては、災害については書かれておりません。
○山添拓君 社会情勢の変化の一つとして、災害のときの話を持ち出されているんですよ。それが今度は書かれなかった。つまり、関係ないことを持ち出してまで解釈変更の理由を述べなければならない、それはそれぐらい根拠が薄弱だということですよ。
 更にこの文書を読みますと、社会経済情勢の変化に伴って犯罪の性質が変わった、海外に拠点を置いた国際的な組織犯罪や捜査方法に工夫を要するサイバー犯罪なども多く発生している、複雑困難化だと言っています。予算委員会でも同様の答弁が大臣からありました。
 しかし、だからなぜ勤務延長なのかが分からないですよ。社会が変化をして犯罪が複雑化する、確かにそういうことはあると思います。しかし、だからなぜ定年後も勤務を続けさせる勤務延長が必要なんですか。大臣。
○国務大臣(森まさこ君) 勤務延長制度が導入されました昭和五十六年当時と比べ、社会経済情勢は大きく変化をいたし、このように、犯罪の捜査に当たる検察官を取り巻く情勢が昭和五十六年当時と比べ大きく変化をしてまいりました。
 その中で、国家公務員一般の定年の引上げに関する検討の一環として検察官においても改めて検討をしたところ、検察官についても、特定の職員に定年後も引き続きその職務を担当させることが公務遂行上必要があるというふうに考えたところでございます。
○山添拓君 余り説明になっていないと思うんですよ。インターネットの普及だとかサイバー犯罪だということであれば、定年を超えた人に引き続きやってもらうよりは若い人にやってもらった方がいいんじゃないですか。
○政府参考人(川原隆司君) お答えを申し上げます。
 今、大臣から答弁がございましたように、昭和五十六年当時に比べまして、国際化あるいはインターネットの普及などで、国際的な、海外に拠点を置いた国際的な組織犯罪や捜査手法に工夫を要するサイバー犯罪なども多く発生している状態でございまして、こういったときに、ある特定のポストにある検察官について、現に担当している職務の内容を、現に担当している事件等の内容を考えたときに、一定期間勤務を延長してそのまま職務を継続させる必要があるという場合があり得ると考えたことから、今回の解釈の変更に至ったものでございます。
○山添拓君 今の刑事局長の答弁は、今回、黒川氏の定年延長をした理由にはならないですね。黒川氏は事件を担当しているわけじゃないんですよ。指揮監督のためだと言っているわけですから、全然理屈が合わないと思うんですよね。
 加えて、この解釈変更は口頭の決裁、口頭了解で行われたと言っています。
 公文書管理法一条、四条に示された基本的な考え方は文書主義です。資料の二枚目、法務省の行政文書管理規則十一条でも、法四条の規定に基づき、法一条の目的の達成に資するために、法務省における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに法務省の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、文書を作成しなければならない、こうしています。
 大臣、今回の解釈変更は軽微なものですか。
○国務大臣(森まさこ君) 法務省行政文書管理規則第十一条は、公文書管理法第四条に基づく規定であり、同条では、行政機関において法令の制定又は改廃について意思決定がなされた場合には、それに至る過程等について文書を作成しなければならないとされております。
 他方で、検察官の定年引上げに関する法律案策定の過程において、その検討の前提として現行の検察庁法の解釈について整理することは、あくまで法律案策定の過程にすぎず、法令の制定又は改廃についての意思決定ではございません。
 したがって、公文書管理法及び法務省行政文書管理規則上、文書を作成することは必要とされておりませんが、もっとも、今回、国家公務員法等の一部を改正する法律案について成案が得られましたので、その策定の過程を明らかにするため、文書を適切に管理あるいは作成することとなります。そして、その一環として、解釈変更の経緯についても、既に存在する文書を管理するとともに、必要な文書を作成、管理することとなるものと理解しております。
○山添拓君 よく分かりませんけど、そうしましたら、口頭の決裁だと言った大臣の答弁は撤回されるんですか。今のお話は、文書はあるとおっしゃっているように聞こえました。
○国務大臣(森まさこ君) 文書を管理する規則と、それから決裁をする規則、二種類の規則がございます。管理、保存、作成、保存する方は、法務省行政文書管理規則。そして、決裁を取る方が、法務省行政文書取扱規則というふうになっております。
 前半の方の文書管理規則について今お尋ねがございまして、それについては、既に作成された文書や、またこれから整理、作成する文書によってしっかり管理をされていくことになります。
○山添拓君 お話は分かりました。
 しかし、既に開示されている文書の中には、解釈を変更するということが明示された文書は一つもないんですよ。国会では答弁されていますけれども。
 解釈変更に係る文書を委員会に出していただくよう求めたいと思います。
○委員長(竹谷とし子君) 後刻理事会で協議いたします。
○山添拓君 更に大問題なのが、十三日に閣議決定をされました検察庁法の改定案であります。
 この改定案は、検察官に勤務延長を適用するという規定は元々なかったんですね。元々なかったわけですが、それだけではないんです。それだけではなく、国家公務員のいわゆる役職定年制の規定、特例、役職定年制とその特例ですね、これも検察官への導入は予定されておりませんでした。
 役職定年制というのは、管理職について、六十歳以降は管理監督者以外にするというものです。ただし、その特例があり、公務の遂行に著しい支障が生ずる場合には延長できると、六十歳以降もできるというものになっています。
 検察官の場合には、最高検の次長検事や高検検事長、地検トップの検事正などですが、六十三歳になると、それ以降そのポストから外れる、普通の検事なることにされまして、特例は設けられない予定でありました。ところが、今年一月以降、この特例的な役職延長、すなわち六十三歳以降も検事長や検事正を続けさせることができるという条文が盛り込まれることになりました。
 なぜこんなことにしたんですか。そうしないと公務の遂行に支障が生ずる場合があると、こういうことですか。
○国務大臣(森まさこ君) 委員御指摘のように、国家公務員法に役職定年制が新設をされるのに併せて、検察庁でも独自の制度、検察官役降り制度とでも申すべきものか、独自の制度がつくられました。
 検察官の定年引上げに関する法律案については、昨年十月末頃に内閣法制局第二部の審査が終了いたしまして、法律案の提出には至っておりませんでしたが、そこで、本年の通常国会への提出に向けて、その提出までに時間ができたので、その同法律案を改めて見直しながら検討作業を行いました。
 具体的には、定年年齢の引上げや、これに伴う諸制度について検察官への適用等を改めて検討する中で、特に勤務延長制度と再任用制度について検討を行ったわけでございますが、その際、検察官について勤務延長制度の適用があるのであれば、この役降り制度の特例も設ける必要があると考えられたわけでございます。
 すなわち、特定の職員の定年による退職により公務の運営に著しい支障が生ずる場合があるのであれば、役降りの制度についても同様に公務の運営に著しい支障が生ずる場合があると考えられることから、同制度についても特例を設ける必要があると考えられたものでございます。
○山添拓君 たくさん御答弁いただいたんですが、要するに最後のところなんですね、六十三歳以降も検事長を続けさせなければ公務の遂行に支障を生ずる場合があると、こうおっしゃったわけです。
 しかし、従来法務省はどう考えていたのかと。一月に変更する前の条文案の概要を説明した文書が、これも予算委員会の理事会に提出をされております。
 法務省はこの中で、検察官については、役職定年制の特例、先ほど役降りの特例とおっしゃいましたが、つまり、六十三歳を超えても検事長を続けさせることができるような特例は必要ないのだということを明記しています。
 なぜか。その理由も書いていますよ。一般職の国家公務員と違って、検察官には職制上の段階がありません。検事総長も検事長も検事も、法律上はみんな検察官です。柔軟な人事がだから可能だということなんですね、名前に関わらず。あるいは、検察官は誕生日で退官をします。ほかの国家公務員のように、誕生日を経過した後の三月三十一日で一斉に辞めるということではないと。一斉に退職されると職場がそのときもたなくなるということがあり得るわけですが、そういう事情も検察官の場合にはないのだと、などなど書いています。
 そして結論として、六十三歳以降続けさせる特例がなくても、それにより公務の運営に著しい支障が生じるなどの問題が生じることは考え難く、検察官について特例を設ける必要はないと明記されています。
 昨年十月末までの法案の検討の中で、検察庁などは、六十三歳以降も続けさせる必要はない、それによって公務の運営に著しい支障が生じることはない、こう結論付けていたじゃありませんか。なぜ急に六十三歳以降もやらせないと公務遂行に支障が生ずることになったんですか。百八十度変わったんですか。
○政府参考人(川原隆司君) お尋ねのその法案の作成過程は私ども刑事局の担当でございますので、私から御答弁をさせていただきます。
 今、山添委員がおっしゃりましたように、昨年十月時点では、今回の国会に提出させていただきました法案の中にあるいわゆる役降りの特例についてはございませんでした。これは、勤務延長制度に関する従前の解釈を前提とした上でそのように考えていたものでございますが、これまでも御答弁申し上げているとおり、昨年の十二月に至りまして、国家公務員法と検察庁法の関係を整理して、現行の国家公務員法にある勤務延長制度につきましては、これは検察官にも適用があるんだという解釈変更に至ったものでございます。
 勤務延長制度、すなわち定年を延長する制度というものも、それから今度新しく入れようとしております役降りという制度も、特定のポスト、特定の幹部ポストについて見てまいりますと、その幹部ポストにいる者の勤務を継続させるという意味では共通の内容を持つものでございます。
 したがいまして、勤務延長、すなわち定年を延長する方につきまして、現行法が検察官にも適用があるという解釈で整理をすることとなりましたので、役降りの特例につきましても同様に、そのポストにいたまま職務を継続できるようにするということで統一的にしたものでございます。
○山添拓君 時間が来ましたのでこれで終わりにしなければなりませんが、今おっしゃったのは、十二月以降これ変えたということなんですよ。十二月以降検討を始めたということは、これはどう考えても、十一月に今の稲田検事総長が辞めないということが明らかになったと、十二月の高検検事長の人事でも歯車が狂った、そのタイミングで、黒川氏に続投させるにはどうするか、その過程で検討した、こうとした考えられないと思います。
 こういう人事や法案は撤回すべきだと重ねて申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。