山添 拓 参議院議員・日本共産党

国会報告

2020年・第201通常国会

参議院法務委員会で、裁判所職員法一部改正案について、質問と反対討論を行いました

要約
  • 参議院法務委員会で、裁判所職員法一部改正案について、質問と反対討論を行いました。 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、今後司法の役割が増大されることが予想される中で、政府が進める定員合理化計画に最高裁が協力し、大幅な減員を行う本法案では、裁判を受ける権利の保障が危ぶまれます。

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
 私からも、新型コロナに関わって、拘置所、刑務所での面会制限について伺います。
 法務省は、緊急事態宣言の対象となった七都府県の拘置所や刑務所で被告人や受刑者が面会できる相手を原則として弁護人に限定をすると、その措置をとっていると報じられております。しかし、刑事収容施設法上、感染予防のために面会を制限できる規定はありません。また、判決確定前は無罪推定の原則があります。接見交通権といって、弁護人以外の人と面会するのは権利であります。例えば、先日無罪となりました湖東病院事件の西山さんのように、毎月両親が面会に来てくれて無罪を争う支えになったという場合もありますし、これは冤罪で服役中の場合にも同様のケースがあり得ると思うんです。
 この面会制限の法的根拠は何か、また認めるケースもあるのかどうか、大臣に伺います。
○国務大臣(森まさこ君) 現下の新型コロナウイルスの感染拡大の状況を踏まえて、緊急事態宣言下においてその対象となった七都府県の刑事施設で、被収容者の生命や健康の保持を責務とする刑事施設として、面会の実施による被収容者や職員への新型コロナウイルスの感染を防ぐために弁護人以外の外部の方の面会者の立入りをお断りしているものでございますが、特に法的な根拠があるわけではございません。
 ですので、その例外については個別の事情に応じて刑事施設の長が判断をするということになっておりまして、例えば当該被収容者への福祉的支援の必要などから面会を認めることが相当な場合には面会を認めることとしております。
○山添拓君 外出自粛が要請されておりますので、面会したくても控えざるを得ないという方が多いと思います。それでも面会を希望するというのはよほどのケースですので、弁護人以外は一律面会禁止という運用にならないように留意していただきたいと思います。
 最高裁は二〇一六年六月に新型インフルエンザ等対応業務継続計画、BCPを発表し、これは先ほども議論になっておりましたが、感染症が発生した下でも継続する業務と、中断、縮小する業務とを定めております。
 ちょっと伺いますけれども、これ、最少で何割ぐらいの職員が出勤できるという想定なのでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) お答え申し上げます。
 どの程度の職員が必要かにつきましては、これは担当する部署によりまして様々でございまして、なかなかそれを一律に何割という形で申し上げるのは困難な状況にあるということは御理解いただければと思います。
○山添拓君 BCPの中では、被害状況の想定として、最大四割が欠勤するということも書かれております。ただ、これは、職員が感染をするとかあるいは家族の看護が必要だとか、こういうことを想定しているもので、感染拡大防止という観点は必ずしも反映されていないんだと、私、読ませていただいて思いました。今、出勤の七割削減が呼びかけられていることを考えますと、このBCPでは想定外の事態が起こっていると、こう言わざるを得ないと思うんですね。
 そこで、感染拡大の防止というのは、利用者にとっても職員にとってももちろん重要です。同時に、国民の裁判を受ける権利の保障もおろそかにしてよいものではないかと思います。そのバランスをどのように取っていくのかということで、先ほども議論がありました。
 ちょっと東京の弁護士に話を聞きますと、四月の民事事件というのは全件取消し、そして追って調整ということになっているそうなんですね。和解が間近の事件のように、このタイミングでなら解決できたのにと、こういうケースもあると伺います。ですから、長期化を見据えて必要な対応をお願いしたいと思いますけれども、最高裁の対応はいかがでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) 最高裁といたしましては、感染拡大防止措置を徹底することと国民の裁判を受ける権利に配慮をしつつ裁判所として必要な機能を維持することは、それぞれ重要な問題であると考えております。
 御指摘のようなその二点、さらには、職員、利用者の健康確保といったところも含めまして、このバランスをどう取っていくかというのはなかなか難しい問題であるというふうには考えておりますけれども、感染拡大の程度等あるいは今後の状況変化、各庁の実情をしっかり踏まえつつ、適切に検討してまいりたいというふうに考えております。
○山添拓君 是非それは丁寧な対応をお願いしたいと思います。
 外出自粛要請で自宅で過ごす時間が長くなる中で、子供に対する暴力、虐待の増加が懸念されております。ユニセフなどの共同声明は、学校休校が世界の十五億人の子供たちに影響を与えているとし、移動の制限や収入の減少、社会から隔絶され過密した生活環境でストレスや不安が高まる中、以前から暴力的な扱いを受けていたり適切な育児環境になかった子供たちが家庭で身体的、心理的あるいは性的虐待を経験したり目撃したりする可能性が高まっていると警鐘を鳴らしております。特に、学校が虐待の兆候をつかめないということは深刻だと思うんですね。
 厚労省に伺いますが、現状について児童相談所などからはどのような状況が報告されているでしょうか。
○政府参考人(依田泰君) 学校休業や外出自粛等が行われる中で、子供の生活環境の変化を的確に把握していくことが重要となっているところでございまして、こうした認識は地方自治体も持っておりまして、要保護児童対策地域協議会等を通じまして、支援対象児童等の状況の把握等に関して協議が行われているものと承知をしております。
 特に、委員から御指摘ございましたけれども、これまで学校において日常的に見守りを行っていた子供については、子供と接触する機会が減少していることに鑑みまして、学校現場等とも連携いたしまして、例えば、学校の休校の期間中の登校日におきまして教職員等が支援対象児童と面会いたしまして状況の聞き取りを行うことや、また、学校が配付したタブレット等のIC機器を用いて状況の確認を行うなどの対応につきましても、地域の実情に応じながら行っていただいているものと承知しているところでございます。
 厚生労働省といたしましても、こうした地方自治体の事例も収集して、またお示ししながら、学校現場での取組を通じた子供の状況の共有、また、要支援児童につきましての状況の把握を行う体制についての確認を改めてお願いしているところでございます。
○山添拓君 ちょっと伺いたいんですけれども、政府の緊急経済対策では、配偶者間のDVについては相談体制の拡充に予算を計上していると、先ほどお話もありました。児童虐待については、新たに予算化する予定があるんでしょうか。
○政府参考人(依田泰君) お答え申し上げます。
 学校休業や外出自粛等を行う中で、児童虐待を早期に発見して未然に防止していくための体制の整備は重要と認識しております。
 こうした観点から、例えば予算の関係でいいますと、これは新規に計上したものではございませんけれども、従来から厚生労働省としましても児童虐待の通報のダイヤル、これ一八九でございますけれども、無料化を実施をしているところでございます。また、こうした窓口、また子供との関わりについての工夫のポイント等も含めまして、ツイッター及びフェイスブックも活用して周知啓発に努めているところでございます。
 それから、令和二年度予算で大幅に拡充しておりますけれども、国庫補助事業におきまして、児童本人からの相談にも対応できるSNSを活用した相談窓口の設置事業ございますけれども、こうした事業の活用を通じましたSNSの相談窓口の設置の検討についても自治体に依頼しているところでございます。
 こうした取組も含めまして、児童虐待の早期発見や未然防止が図られるよう、状況をしっかり注視しながら、地方自治体と連携してしっかり取り組んでまいりたいと存じます。
○山添拓君 次の質問にももうお答えいただいたんですけれども、予算を新たに付けるということではなく従来の枠組みでというお話なんですね。従来の延長でよいのかどうかについては改めて検討いただくべきだと思います。
 私が質問しようとしておりましたのは、これ新たな虐待事案を見逃さないことも大事だろうという観点で、今、国際NGOのセーブ・ザ・チルドレンが政府に対して要望を出しております。子供が相談しやすい状況をつくるために、従来からある電話の相談窓口だけでなくSNSですね、先ほどもお話ありましたが、子供が家にいても使える相談窓口を拡充することや、子供には暴力から守られる権利があるということ、相談窓口があるということの周知啓発が必要だと、こういう指摘をしております。これ、やはり急いで必要だと思いますので、引き続き是非取り組んでいただきたいと思います。
 資料でお配りしておりますが、児童相談所への児童虐待の相談件数は急増しております。二十年前の十四倍、十年前と比べても三・六倍です。虐待する親から子を守るための親権制限や児童福祉法二十八条による施設への入所措置など、家庭裁判所の審判、承認に当たって家裁の調査官が関与する事件も増えています。
 ところが、裁判所は二〇〇九年以来、家裁調査官の増員を要求すらしなくなりました。少年事件が減ったからだとされておりますが、少年事件は質的に変化をし、かつて多かった集団的な非行とは異なり、家族構成や経済的背景、生育環境の個別の分析が求められるようになっています。虐待事件でも個々に深く実態解明することが欠かせません。
 最高裁、伺いますが、かたくなに増員を求めないのはなぜですか。
○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) お答え申し上げます。
 最近の事件動向といたしまして、児童福祉法二十八条の事件ですとかあるいは子供をめぐる事件が全体として増加傾向にあるというところは委員御指摘のとおりでありますし、そういった事件におきまして家裁調査官の役割が重要であるということも同様の認識を持っておるところでございますけれども、家事事件全体の事件数の増加傾向は平成二十九年から百万件を突破してなお増加しておりますけれども、この傾向の大きなところといたしましては、やはり主には成年後見関係事件が累積的に増加しているというところのボリュームが非常に大きいところでございます。ところが、この成年後見関係事件では、裁判官、書記官の果たす役割というのが非常に重要な一方、家裁調査官がその専門性を発揮できる部分というのは非常に限定的なところだというところでございます。
 また、御指摘にもございましたが、少年事件の事件数を見ますと、平成二十一年には十七万二千七百五十一件であったものが平成元年には五万六千五百八十一件、これは推計値でございますけれども、こういった形で十万件以上減少しているという、まあ激減でございます。
 このような事件動向や事件処理状況等を考慮した結果、令和二年度におきましては現有人員の有効活用をすることによって家庭事件の適正迅速な解決を図ることができると判断したものでございますけれども、今後の事件動向や事件処理状況等を踏まえまして必要な体制整備には今後も努めてまいりたいというふうに考えております。
○山添拓君 先ほど村田局長御自身が、判事については子をめぐる事件を理由にして増やしてきたという説明されたんですね。調査官については十年以上定員増を求めないと。これはやはり現場の実態にそぐわないと思いますし、少子化の下で、離婚事件や子の監護をめぐる事件、これ、調査官が関わる事件が、事件数においても、その割合においても増えております。これ、反映させるべきだと指摘をしたいと思います。
 最後に、新型コロナがもたらす影響は既に社会の各層で甚大に及んでいます。今後、労働事件や破産執行事件、あるいは児童虐待やDVなど、更に増大していくことも想定されるだろうと思います。これらに対応できる人員体制を整えていくことが必要だと考えますが、最高裁の見解を伺います。
○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) 新型コロナウイルス感染症の蔓延は国民生活に甚大な影響を及ぼしておりまして、そこから生じる法的紛争に対して適切に対応していくことは裁判所の責務でございますので、そのために必要な体制整備を図ることは極めて重要だというふうに考えております。
 今、この新型コロナウイルスが猛威を振るっていて、それに対していろいろな取組もされている最中でございますので、今後の事件の動向にこれがどのような影響をもたらすかということは、現時点では何とも分かりかねるところでございますけれども、いろいろな影響は確かにあり得るだろうなとも思いますので、裁判所といたしましては、この蔓延に伴う影響を含めて、引き続き、これが事件動向等にどう影響を与えるかなどを注視して、事件処理に支障を来すことのないように必要な体制整備に努めてまいりたいと考えております。
○山添拓君 本法案は、裁判所職員について抜本的な増員を行わず、定員シフトで地方から大規模庁への定員振替を続け、地方の人員不足に拍車を掛ける結果となっております。全体としても十七名の減員で、これは過去最大です。政府の総人件費抑制方針に裁判所が追随し続けている結果だと言わなければなりません。その姿勢を改めて、全国であまねく司法サービスを充実させる、それによって国民の裁判を受ける権利を保障することができるように重ねて求めまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。