山添 拓 参議院議員・日本共産党

国会報告

2020年・第204通常国会

本会議で、第三次補正予算への反対討論を行いました

要約
  • 感染拡大を抑制し、医療崩壊を食い止め、くらしと経済を守るため、政治はあらゆる力を注ぐべきです。 ところが19兆円の予算のうちコロナ対策は4.4兆円にすぎません。 医療の強化、検査の徹底、事業や雇用、生活困窮者の支援などを抜本的に強化すべきです

○山添拓君 日本共産党を代表し、二〇二〇年度第三次補正予算案に反対の討論を行います。
 初めに、新型コロナ感染症で亡くなられた全ての方へ哀悼の意を表し、闘病中の方へお見舞いを申し上げます。
 爆発的な感染拡大を抑制し、医療崩壊を一刻も早く食い止め、暮らしと経済を守るために、政治はあらゆる力を注ぐべきです。
 ところが、三次補正案は、緊急事態宣言の前にコロナの収束を前提に作られ、十九兆円のうち、コロナ対策は四・四兆円にすぎません。現下の危機的状況に対応し得ないものです。
 財政法上、補正予算による支出は特に緊要となった経費について行うものとされます。
 三次補正案は、二度目の緊急事態宣言によるまさに緊急の必要を満たさないばかりか感染抑止に逆行するGoTo事業の延長、マイナンバーカードの普及促進やポスト5Gの研究開発支援、大学ファンド、災害復旧以外の事業まで盛り込んだ国土強靱化など、不要不急の経費が大半を占めます。二千八百十六億円に上る兵器購入の前払は、安倍政権から繰り返されている補正予算悪用の軍拡であり、緊急性は全くありません。
 日本共産党は、立憲民主党と共同し、衆議院で組替え動議を提出しました。急ぐ必要のない予算を撤回し、医療の強化、検査の徹底、事業や雇用、生活困窮者の支援などを抜本的に強化するものです。ところが、与党は一顧だにせず否決し、総理は予備費で対応すると開き直っています。無為無策と逆行を続けながら、この上、白紙委任を求めるとでも言うのですか。
 三次補正案は、今、政治が果たすべき役割を大きく履き違え、根本的な欠陥を抱えており、容認できません。
 感染しても入院、療養先が見付からない人が三万五千人を超え、自宅などで亡くなった人は全国で約二百人に上ります。必要な医療が受けられない、まさに医療崩壊です。
 医療機関に向けた交付金三・二兆円のうち、支払われたのは三分の一にすぎません。総理は、時間が掛かっているのは自治体の責任であるかのように言いますが、病床確保支援金など、国が直接交付する事業も現場に届いていません。使い勝手が悪いのが最大の問題です。激務が続き、看護師などの離職が相次いでいます。今いる人が辞めずに済むようにしてほしいという声に応えて、減収補填に直ちに踏み出すべきです。
 感染拡大を抑えるために、今こそ検査、保護、追跡の基本を強化することが必要です。
 医療・高齢者施設などでの社会的検査、感染拡大地域での大規模・集中的検査を戦略的に行うべきです。
 総理は、実質的に国の費用負担で実施すると言いますが、三次補正案には必要な経費の全額国庫負担は明示されていません。無症状、軽症の感染者を早期に把握し保護するために、自治体任せではなく、政府が明確な戦略を持ち、そのための体制確保を急ぐべきです。
 影響が長期化し、事業者の困難は深刻化しています。さらに緊急事態宣言で営業時間の短縮要請、外出自粛の徹底、政府は数々の負担を強いています。感染拡大防止のためにも、今度こそ自粛と一体の補償を行うべきです。
 ところが、政府の支援策は、現場の窮状を救うものとなっていません。
 東京商工リサーチの調査では、廃業を検討する可能性がある飲食店が約四割にも上ります。新宿歌舞伎町の飲食店経営者は、一日六万円の協力金では家賃やリース代で消えてしまうとお話しでした。野菜の卸売業者は、取引先のレストランやバーの二割が時短どころか閉店し、売上げは七割減、四十万円の一時金では何ともならないと怒りを込めて語りました。協力金や一時金は規模や実態に応じたものに改めるべきです。持続化給付金、家賃支援給付金の打切りなど言語道断です。
 劇場や映画館には、法的根拠のない働きかけで、午後八時までの時短営業が呼びかけられ、協力金の対象にすらされません。昨年二月のイベント自粛要請以来、規模を問わず、あらゆる文化芸術の担い手が活動を自粛し、感染拡大防止に協力してきました。徹底した感染防止策で、クラスターの発生も防いできました。
 多くのアーティストが、存亡の危機に立たされながらも文化の灯を絶やすまいと懸命です。基金への国費投入など、十分な補償で支えるべきです。
 パートやアルバイトの女性で、休業手当を受け取っていない実質的失業者が推計九十万人に上るという民間調査が注目されています。シフト制などで働く人が、収入が激減し、食べ物にも困る事態となっています。雇用調整助成金の特例措置や休業支援金は、中堅企業や大手チェーン店でも広く使えるよう拡充すべきです。感染収束まで継続すると明言し、迅速に支給するべきです。
 NPO法人もやいの大西連参考人は、年明け以降、支援を求める人が更に増えていると述べました。総理は、重層的なセーフティーネットがあると言いますが、コロナ禍で初めて苦しくなった人など、支援に結び付いていない実態があります。一人親世帯など、低所得者や生活困窮者へ新たな給付金が必要です。
 困窮者を生活保護制度から遠ざける不要で有害な扶養照会をやめてくださいと題したオンライン署名が三万人を超えて広がっています。厚労大臣は、扶養照会は法律上の義務ではないと答弁しました。総理が、最後は生活保護がある、ためらわず申請をと言うなら、扶養照会の運用は見直すべきです。
 筑波大学が行った食料支援に約三千人の学生が列をつくり、二十トンの食料がなくなったと報じられました。民主青年同盟などが各地で行う取組でも、看護学生で病院実習があるためバイトが禁止される、時短要請でバイトがなくなったなど、自己責任ではどうにもならないという声が広がっています。
 オンライン授業中心の学生生活が二年目に入ろうとしています。高等教育無償化プロジェクトFREEのアンケートでは、孤独を感じるときがある、視力が悪くなったなど、心身の不調を訴える学生も多かったといいます。せめて経済的な負担を軽減する、学費を半額にし、アルバイト学生への収入補助を行うべきです。
 菅政権のコロナ対応はあらゆる点で後手に回り、不十分な上に迷走を重ねています。ところが、政府と与党はその自覚も反省もなく、罰則と制裁で締め付けを図ろうとしています。厚生科学審議会では、罰則に反対の意見が多数であったのを踏みにじり法案を提出していたことまで明らかになりました。罰則強化の特措法等改定は、相互監視の密告社会を招き、差別と偏見、分断が広がり、感染症対策に逆行します。刑事罰でなくても、罰則には断固反対です。
 コロナ対策を進める上で、改めて政治への信頼が問われています。
 日本学術会議の任命拒否では、一切理由を明かさず資料は黒塗りのままです。桜を見る会をめぐっては、一年以上にわたり国会でうそをつき、いまだに真相解明に背を向けています。吉川元農水大臣の贈収賄、河井元法務大臣らの選挙違反、民主主義をゆがめた数々の疑惑について、まともな説明は全くありません。その上、与党幹部の深夜の飲食に多くの批判が向けられています。これでは国民の信頼が得られるはずがありません。
 先の見えない不安の中、多くの人が苦境にあえいでいます。ところが、菅総理は脈絡のない答弁を繰り返し、危機的な現実を直視せず、明日への希望も示しません。もう我慢ならないという怒りが広がっています。
 三次補正予算は抜本的に組み替え、国民の願いに応えることこそ政治の責任であることを重ねて強調し、討論を終わります。(拍手)