山添 拓 参議院議員・日本共産党

国会報告

2020年・第204通常国会

資源エネルギー調査会で、参考人質疑を行いました

○参考人(山冨二郎君) 皆様、こんにちは。今日は、鉱物資源開発というテーマでお時間をいただきます。(資料映写)
 まず、冒頭のスライドですけれども、四枚の写真があります。
 一番左下は、埼玉県秩父にあります武甲山というところで、ここでは、大正年間から石灰石の採掘が始まって、現在三つの鉱山会社が年間六百万トンほどの石灰石を掘り出しております。その一つの会社、武甲鉱業に、私、技術顧問として非常勤で勤めております。
 日本の石灰石は非常に良質で、国産で唯一自給できる資源というふうに言われてきました。そして、百年以上の量があると言われておりましたけれども、最近は五十年を切っております。そして、石灰石の半分はセメントの原料として使われます。
 セメントは、年間六千万トンほど国内で生産されておりますけれども、セメント工場は一トンのセメントについて約四百七十キログラムの廃棄物を原料として、燃料として受け入れております。
 右上の写真は、スーパーカミオカンデという、岐阜県神岡鉱山に設置されておりますニュートリノの観測施設です。東京大学宇宙線研究所が神岡鉱山の坑内に五万トンの水をためるタンクを造りまして、その写真にありますオレンジ色のミカンのようなものがたくさん出ておりますけれども、それがニュートリノを捉えるセンサーです。
 現在、宇宙線研究所では、このスーパーカミオカンデの五倍の規模のハイパーカミオカンデの建設に取りかかっておりまして、四月に迎える新年度、掘削工事が始まり、二〇二七年度にハイパーカミオカンデを使った観測が予定されています。私は、この仕事のお手伝いもしておりますけれども、総額六百五十億円の予算、そのうち百四十七億円が海外からの貢献分となっております。
 左上は、南アフリカのウエスタンディープという金鉱山であります。世界で一番深い金鉱山の一つなんですけれども、ここに潜りますと、空気の重さを感じます。
 右下は、チリにありますカセロネスという銅鉱山、露天掘りの銅鉱山です。アルゼンチンの国境に近い標高四千メーターの高地にありまして、ここは逆に、平地の空気圧に比べて六〇%というものです。そして、二〇一三年に操業を始めましたけれども、一〇〇%日本の資本で賄われています。総額四十二億ドルが投資されています。
 次のスライドは、資源開発のプロセスを表しておりまして、鉱床の探査、探鉱から、そのプロジェクト評価、そして鉱山に必要なインフラを建設する開発工事、そして生産という段階に至ります。
 私は、採鉱という、鉱床から鉱石を採掘することに関して主に関心を持っております。採掘の終わった鉱石は選鉱というプロセスに入りまして、鉱石の中から有用な鉱物を分離します。ここは、隣におられる所先生の専門分野と重なります。
 そして最後に、有用鉱物を製錬所に送りまして金属を抽出いたします。製錬と呼ばれていますけれども、こちらは岡部先生の主に担当されている領域であります。
 鉱物、エネルギー資源は非常に多様です。そこにある四つの大きな分野に分類いたしました。そして、今日はそのうちの金属鉱物資源についてお話をいたします。
 金属鉱物資源といいましても、元素周期表のリチウムから始まる金属元素がたくさんありますように、これも多種多様で鉄からレアアースまで含まれています。
 左下の図一は、アメリカの地質調査所のデータ、USGSのデータと、イギリスのブリティッシュ・ペトロリアムのデータを使って作ったものですけれども、縦軸に資源の価格、横軸に生産量、両対数のグラフですけれども、貴金属類を除きますとほぼ直線に右下がりの傾向となります。これが何を意味するか、それは私にもちょっと分かりません。
 それで、右側のグラフは生産額の多いものを左から順番に並べています。原油、石炭、天然ガス、鉄鉱石と続いております。そして、もう一つのオレンジの折れ線は可採年数を表しておりまして、現在分かっている埋蔵量を現在の生産量であと何年もつかということを表しています。レアアースとバナジウムにつきましては、USGSのデータを使いますとスケールアウトします。百年以上の可採年数を持つものが石炭、アルミ、白金族。そして、我々にとってなじみの深い銅、金、鉛、亜鉛といった金属類は、実は原油や天然ガスよりも可採年数が短いというのが現状です。
 次に、露天掘りか坑内掘りかという話でありまして、右下にあります図四をまず御覧いただきたいんですけれども、これはオーストラリアの鉱山コンサルタントが作りましたもので、一九〇〇年から二〇一三年まで、いつ頃、どれぐらいの深さで新たに鉱床を発見したかというものをプロットしたものであります。彼は、これを使って探査技術の進歩により千メーターよりも深いところでも鉱床が見付かるようになったということを言いたいわけであります。
 私はこのグラフを使いまして、露天掘りか坑内掘りかを説明させていただきます。地表に近い、あるいは深くてもそんなに深くないというような鉱床は、地表からの採掘を進めていきますので露天掘りと呼ばれます。英語ではサーフェスマイニング。そして、地下深くに鉱床がある、あるいは大きな山の中に鉱床があるというような場合には、アンダーグラウンドマイニング、坑内掘りと呼ばれています。
 左側にあります図三は、二〇一〇年ですけれども、石炭と銅鉱石、鉄鉱石、金鉱石などについて露天掘りと坑内掘りの比率を表したものです。青が露天掘り、グリーンが坑内掘り、そして明るいグリーンがハイブリッド、すなわち一つの鉱山で露天掘りと坑内掘りを行っているというものです。そして、赤い折れ線は、比較的大きな、三百万トン以上の鉱石を出す鉱山について露天掘りの占める比率を表しています。これらから、大規模な鉱山は露天掘り、中小の鉱山は坑内掘りが多いという傾向にあります。
 では、露天掘りと坑内掘り、どっちが優位かという話になるんですけれども、露天掘りの場合、空間の制約がございませんので、大型の機械を入れることができて、大規模な操業に適しております。したがって、生産性、効率が高く、コストも安い。さらに、エネルギー消費も少なく保安成績もよろしいということになって、唯一制約になりますのが環境でありまして、景観の問題、騒音、粉じんの問題などがあります。
 露天掘りはこのように坑内掘りよりも優位なんですけれども、深くなりますと、露天掘りの採掘場、ピットを安定に保つために周辺のズリ、岩石も採掘しなければいけなくなりまして、深くなればなるほどズリ採掘の負担が増えて優位性が失われます。現在、世界的に大規模と言われているインドネシアのグラスベルグ鉱山、チリのチュキカマタ鉱山が坑内掘りへの移行を準備しております。
 次は、カットオフグレードという話なんですけれども、図五の棒グラフは二〇一〇年時点で操業している世界の銅鉱山の鉱石の銅品位の分布を表したものでありまして、露天掘りと坑内掘りで分けています。
 御覧のように、露天掘りの鉱石は低い品位でも採掘できるということを表しています。そして、平均的な銅品位は世界平均で〇・七二%ということになるわけなんですが、銅鉱石の品位が平均値である〇・七二%を上回ったとしても、そこから銅を抽出して銅地金を造るコスト、それが高い場合には採算が取れませんので、銅鉱石ではなく鉱物というふうにみなされます。
 すなわち、カットオフ品位は、鉱石と鉱物を分ける品位であります。このカットオフ品位に及ぼすファクターをその左下に示しましたけれども、まずコスト、コストが安ければカットオフ品位が低くなります。次に建値、金や銀などの貴金属類はロンドンの金市場で、銅、鉛、亜鉛などの金属はロンドンにあります金属取引所、LMEで取引された価格が世界標準の価格となります。したがって、建値が上がればカットオフ品位が下がるということになります。さらに、副産物やヒ素、水銀などの有害元素があるかどうかも関係してきます。資源は、こういった経済的なファクター以外に、技術的な要因、環境的な要因、法制度などのものをクリアして初めて採掘が可能となって埋蔵量というふうに呼ばれるわけです。
 次の六枚目のスライドはオーストラリアにおける探鉱プログラムの事例を表しておりまして、二百九十件の案件が手元にあったと、そのうち最終的に開発に至ったのは十二件であるということを示すものでありまして、AからFまでステージを踏みながら開発に進んでいきます。
 開発にはそれまでと違う桁違いの経費が掛かります。右側のグラフにありますように、これは対数軸で表しておりますけれども、経費が後ろのステージに行くほど増えてまいります。ですので、なるべく早い段階で余り有望じゃないものはどんどん落としていくと、そして最後に十二件に絞ったということを表しているものです。
 次に、カーボンニュートラルな社会を実現するためには、バッテリーが欠かせないものとなります。バッテリー原料として注目されておりますニッケル、コバルト、リチウムについて現状をお話しいたします。
 左上、ニッケルですけれども、ニッケルの鉱石には硫化鉱と酸化鉱がございます。硫化鉱は品位が高く、坑内掘りで採掘されています。それに対して酸化鉱は品位が低く、露天掘りで採掘されていると。このグラフの中、字が小さくて申し訳ございませんけれども、カナダやロシアにありますニッケル鉱山は坑内掘りの鉱山です。ニッケルの価格は二〇〇七年にピークを記録しましたけれども、その後、低迷が続いています。そのため、坑内掘りの硫化鉱を掘る鉱山からのニッケルの産出量が伸び悩んでいます。
 その一方で、インドネシア、フィリピン、ニューカレドニアは、品位の低い酸化鉱からニッケルを掘り出しておりまして、着実にその生産量が増えておりまして、特にフィリピンとインドネシアでその傾向は顕著です。
 右上はコバルトです。現在、世界のコバルトの生産量の約六〇%以上をDRコンゴ、コンゴ民主共和国が占めております。コバルトは、銅鉱石の副産物として、あるいはニッケル酸化鉱の副産物として取れるわけなんですけれども、DRコンゴの銅鉱石はコバルトに富んだものでありまして、二〇〇〇年頃からコンゴは銅鉱山の生産量が増加しまして、現在、世界四位となっています。それに歩調を合わせるように、二〇〇〇年頃にはコバルトの占有率は二〇%程度だったんですが、現在は六〇%を超えています。DRコンゴは、政情不安に加えて紛争鉱物の問題が国際社会から指摘を受けておりまして、供給先としてのリスクを抱えています。
 一方、ニッケルのラテライト鉱、酸化鉱からもコバルトは取れます。住友金属鉱山は、ニッケルから、低品位のニッケルからニッケルを採取するのに、HPALと呼ばれる高温高圧下で硫酸を掛けてニッケルを抽出するという手法を世界に先駆けて商用化に成功しました。現在、住友金属鉱山では、ニッケルの約十分の一の量のコバルトが付随しているんですが、そのコバルトをHPALによって回収しています。今後、HPALの動向でコバルトの市況も変わってくると思われます。
 最後は、リチウムです。リチウムは、鉱石起源のものとかん水、すなわちミネラルに富んだ塩水から取れるものの二つがあります。前者は普通の露天掘りで採掘され、後者は塩の湖から天日乾燥によってリチウムを濃縮します。何もエネルギーが要りませんので低コストなんですけれども、乾燥させ、濃縮させるのに一年あるいはそれ以上の時間が掛かりますので、生産の拡大が難しい。
 そこで、最近リチウム価格は高騰しましたので、露天掘りのリチウムの鉱山がたくさん出現しました。特にオーストラリアですけれども、そこにありますように、オーストラリアはリチウムの生産に関して首位と今なっております。
 ちょっと時間が掛かって申し訳ありませんけれども、話題は変わりまして、海洋鉱物資源ということです。
 表一は、国とJOGMEC、石油天然ガス・金属鉱物資源機構が海洋鉱物資源と考えている四つのものであります。今日は、主にこのうちの海底熱水鉱床についてお話をいたします。
 コバルトリッチクラスト及びマンガン団塊は、コバルト及びニッケルの資源として今後大いに期待されるものです。レアアース泥は、重希土を含んだレアアースの資源として重要なものであります。しかし、このマンガン団塊とレアアース泥は水深が四千メーターを超えますので、それを上に揚げる技術、揚鉱と呼んでおりますけれども、それを開発するのはまだまだハードルがあると思います。
 二〇〇九年度の補正予算によって白嶺という名の新しい調査船の建造が認められまして、この調査船に採掘要素技術試験機とかの予算も付きまして、二〇一二年夏、沖縄近海の海底熱水鉱床において世界で初めての掘削試験を行いました。そして、その下の表二、この掘削試験を行ったHakureiサイト以外に幾つか有望な海底熱水鉱床は見付かっております。非常に品位が高いのですが、これはROVという無人潜水艇が拾ってきたサンプルの品位分析の結果でありまして、高いところを選んでいる可能性があります。ですので、今後、ボーリング調査などによって資源量を確定していく必要があると考えています。
 次のスライドの左側の図をまず御覧いただきたいんですが、こちらは二〇一七年度にJOGMECが実施いたしました海底熱水鉱床のパイロット試験の様子を表すものです。
 白嶺という船から集鉱機を下ろしまして、もう一隻の作業船から水中ポンプを下ろしまして、集鉱機で集めた鉱石を水中ポンプで水深千六百メーターから持ち上げる、ポンプアップするということに成功いたしまして、十六・四トンという数字でありますけれども、鉱石と模擬鉱石の回収に成功しております。その後、このパイロット試験の結果を使いながら、二〇一八年度には総合評価、経済性評価についても考慮する総合評価を行いましたし、その後も引き続いて商業化実現に向けた調査研究、技術開発を実施しております。
 また、JOGMECは、二〇一九年度より南鳥島沖EEZ内に賦存しますコバルトリッチクラストについても調査を始めまして、この北西太平洋の海山には平均で〇・六四%のコバルト、ニッケル〇・五四%があって、少しプラチナも付くというような結果が出ておりますので、将来のバッテリー原料として無視できないものと考えております。二〇二〇年の七月、昨年の七月、コロナ禍ではありましたけれども、水深約九百三十メーターの拓洋第五海山において掘削試験を行って、六百四十九キログラムのコバルトリッチクラストを掘削しております。
 海洋鉱物資源開発の商業化への課題ということで、技術的な課題と非技術的な課題があります。
 まずは、二〇一七年度に実施したパイロット試験なんですが、商業化規模では一日に五千ウエットトン、ウエットトンというのは海水から引き揚げたぬれたままの鉱石で五千トンという意味です、を行うことが必要というふうに想定していました。したがいまして、パイロット試験は、使った試験機は実用機の約十分の一程度ですし、揚鉱に使ったパイプの直径も半分で、そのスケール感を拡大したときに適用できるかどうか、そういったこと、あるいは、長時間の稼働性、耐久性、パイロット試験では測れなかったものをどうするかという課題が残っております。
 それから、ポンプの中で閉塞が起こる可能性がありますので、鉱石を破砕する必要があるのではないか、それから、鉱石のスラリー濃度、スラリーというのは、海水の中に鉱石の破片が混じった状態のものをスラリーと言いますけれども、そのスラリー濃度を安定することが非常に重要なんですが、そのためには濃度調整用のタンクが必要なのではないかということで、現在検討を続けております。
 そして、一番大きな技術的な課題が揚鉱水の問題でありまして、鉱石の数倍の海水をくみ上げる必要があります。これを船上で処理できるか。海外のベンチャーは、この揚鉱水を海底に流す、排出するということで計画を立てておりましたけれども、そんなことが許されるのだろうかというようなことの検討も必要になります。
 非技術的な課題といたしましては、国内の法制度の未整備、社会的な受容性を得られるか、海域を利用する他産業との共生、こういったものが残っております。
 そして、商業化に当たっては、いい資源量といいますか、鉱床が何よりも商業化に必要だと思いますので、今後も資源調査を精力的に行うことが必要だと私は考えております。
 最後のスライドになります。
 私は、約半世紀前、鉱山開発論という講義を取りました。そのとき冒頭で、一に鉱床、二に建値、三、四がなくて五に技術と先生から言われました。それほど鉱山ビジネスには鉱床と建値が重要であるということをおっしゃりたかったんだと思います。でも、今は人材も必要です。
 資源・素材学会、我々、今日の三名の参考人が共通で所属している学会ですけれども、学生を対象とした資源・素材塾というのを開いておりまして、二〇〇八年から、最初は経産省と文科省の補助金によってスタートいたしましたけれども、二〇一二年度からは自前の資金で自立化を行っています。二〇一九年度までに四百八十名余りが修了し、うち二百二十名は海外研修を体験しております。
 もう一つの人材育成が国際資源開発研修センター、JMECというところでありまして、入社数年の日本人の社会人を対象とした資源開発研修、製錬・リサイクル研修を行っております。こちらも二〇〇八年からスタートいたしまして、昨年までに三百三十三名が資源開発で修了し、四百一名が製錬、リサイクルの研修を受けております。
 また、このJMECは、非鉄金属資源生産国で開発途上にある国から政府関係の人たちを研修生として招きまして、三週間から三か月の研修を二十八年間にわたって行ってまいりました。延べ九百四十七名が修了しております。二〇一八年度に一度中断いたしましたけれども、今年度はリモートで研修を再開しております。
 このように、小坂町、町民の温かい支援を受けながら研修生が順調に育っておりまして、彼らが卒業後もネットワークをつくって、特に日本人の研修生は多くが海外の現場に赴任し、資源・素材塾やJMECの講習の講師も務めております。
 JMECは、また、東京で二〇一四年度から海底鉱物資源開発基礎講座と、一週間のものですけれども、こういったものも行っておりまして、五年間で五十二名が参加いたしました。
 次は、このスライドは引用に使った資料の出典を示すものであります。
 どうも御清聴ありがとうございました。
○会長(宮沢洋一君) ありがとうございました。
 次に、所参考人にお願いいたします。所参考人。
○参考人(所千晴君) よろしくお願いいたします。
 本日は、このような貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。
 私は、先ほど山冨先生からも御紹介いただきましたように、選鉱と呼ばれる鉱石あるいは使用済みの製品から個体資源を分離、濃縮する技術を研究開発しております。その立場から本日は発表させていただきたいと思います。(資料映写)
 最初のスライドは、これも多くの方が既に御指摘されているかとは思いますけれども、これから先、金属の消費が大幅に伸びていくということが予想されているという一例です。論文からデータを取ってまいりました。銅、亜鉛、鉛、鉄、アルミといったベースメタルにニッケルも加えてありますけれども、いろんな研究者がいろんなシナリオに基づきまして、これから金属がどれぐらい消費が伸びていくかというのを推算しております。
 ここに四種類のシナリオ書いてありますけれども、世界中がみんな先進国のような成長を望むであるとか、あるいはみんなで協調しながらうまく資源をやりくりしていくだとか、あるいはちょっと自国のセキュリティーを重視して協調しないで資源を使っていくとか、いろんなシナリオがありますけれども、結論として、やはりどのシナリオになったとしても、これ、左側が二〇一〇年で右側が二〇五〇年、ちょうどカーボンニュートラルのターゲットとなっている年かと思いますが、多くて三・八倍ですね、今の金属の消費量の三・八倍まで消費が伸びるんじゃないかと、必要になるんじゃないかというふうに試算をされています。
 その需給バランスですけれども、ここでは銅を例に取ってあります。銅は文化なりと我々よく言っているんですけれども、電気があるところには必ず銅が必要になるという意味で、我々の文化の質を向上していくのに銅というのは非常に重要な金属でありますけれども、これも銅の将来の需給バランスを試算してみた一つの例ですけれども、プライマリーサプライと書いてあるところが、いわゆる鉱石から、天然資源から供給されると予測される銅の量です。それから、セカンダリーサプライと書いてあるのが人工資源、使用済みのものをリサイクルして供給されるであろう銅の量。これを二つ合わせますと、このトータルサプライというところにあります。先ほどのスライドと同じ人が試算しておりますので、いろんな横文字で書いたシナリオがありますけれども、どのシナリオに従ってもこれぐらいの供給があるだろうと。
 それに対して、先ほどの需要ですね、需要はこの赤い色のところで示していますけれども、やはり供給が足りなくなるんじゃないかと、需要の方が上に来ていまして、供給が足りなくなってしまうんじゃないかということが今研究者の間では危惧されていると、そういう状況になっています。
 それから、昨今カーボンニュートラルということで、これから再生可能エネルギーあるいは蓄エネ、いろんなことが導入されてくると思いますけれども、そういったものが導入してくると、特定の金属の需要が今のバランスとは違って必要になってくるんじゃないか、これもいろんな方が既に御指摘されているかと思います。
 代表的なものは、例えば電気自動車でリチウムイオン電池が必要になるとなると、先ほど山冨先生からも鉱石のお話しいただきましたけれども、コバルト、ニッケル、リチウムといったものが今以上に急激に必要になってくるんじゃないか。あるいは、磁石が必要になるとすれば、レアアースですね、ネオジム、それからジスプロシウム、そういったものが必要になってくるんじゃないかということで、今のバランスとは違ったところである特定の金属が急激に必要になって、やはりそこの需給のバランスが崩れるんじゃないかということも今多くの方々によって懸念されているところかなと思います。
 資源は、天然資源がまずございます。それから人工資源、使用済みのものからもう一度リサイクルするというものがあって、それから、先ほど山冨先生からも御紹介いただいた日本の近海にある海洋資源、私としてはこの順番で非常に重要度が増すというふうに思っています。
 常に天然資源と人工資源のベストミックスが必要で、今は天然資源の割合が多くて、そこに使用できる人工資源をもう一度リサイクルをして使っているという状況ですけれども、これから、環境負荷に対するますます世の中からの要請、環境負荷低減への要請、あるいは持続可能な開発に対する考え方がどんどん世の中で変わってまいりますと、この人工資源に対する必要性の要請が変わって、このバランスが変わってくる可能性もあるなと、徐々に天然資源と逆転してくる可能性もあるなと思っています。
 それから、海洋資源は、先ほど山冨先生からもお話がありましたように、まだ一般的な天然資源に比べますと処理が困難、難処理性がありますし、それから環境負荷もそれなりにあることが懸念されますので、しかしながら、資源セキュリティー、あるいは技術を高度化していく、あるいは人材育成という点においては、今から継続的な技術開発を行っておくべきであろうというふうに考えています。
 国内から既に金属鉱山はほとんど稼働中の鉱山がなくなって休廃止鉱山ばかりになっておりますけれども、やはり開発できる鉱山があるというサイトがあることは、人材育成、技術の継続という点においては非常に重要なことであるというふうに考えます。
 天然資源、天然鉱物資源なんですけれども、これもどんどん難処理化をしております。
 左上は銅鉱石の品位ですけれども、以前は一%を超えていたものが、どんどんどんどんその鉱石の中の銅の品位、濃度というのがどんどん減っていってしまっているというのが今現状です。
 それから、右側、これ当研究室で撮った画像ですけれども、銅鉱石はこんなイメージでして、ほとんど灰色の脈石と呼ばれる資源にはならないところにぽつぽつとちっちゃく中に混じっているのが銅でして、その割合も減っているし、大きさもちっちゃくなっていると。大きさがちっちゃくなるということは、物理的に分離をするのがすごく難しいという状況になります。なので、分離にお金が掛かってしまうということです。こういうふうにどんどん難処理化しています。
 それから、ここにヒ素の銅鉱物なんかも、赤いところでぷちぷち混じっていますけれども、もはや銅よりも大きい形で、時々こういうヒ素、これは毒性も高く、きちんと処理しなければいけないものですけれども、こういったものも濃度が高く混じってきてしまっているということで、どんどん難処理化をしています。ですから、これを環境負荷低く、どうちゃんと分離していくかというのは技術開発も必要になってきます。
 それから、一般的な資源開発の流れを下に書いてありますけれども、探鉱から始まって、この採鉱の段階では銅は一%を切っているところから、我々が専門としております選鉱というところで分離、濃縮をして、できるだけエネルギーを掛けないでまず物理的に濃縮をするということをします。ここで大体銅が二〇%ぐらいに濃縮してきます。二、三〇%ぐらいになります。そこからいよいよ火を使ったり薬剤を使ったりして更に純度を上げていって、最後は九九・九九九と九がいっぱい並ぶような非常に純度の高い銅を使う。
 ここの素材産業は日本はすばらしいものを持っていて、この純度の高い素材が日本の多種多様な機能の高い製品作りに、物作りに役立っている。ここのところをしっかりと確保しながら、とはいえ、入口の鉱石がこれだけ難処理化していますので、後で負荷を掛けないように前処理をしてきちんと分離、濃縮していくということが今求められているということになります。
 それから、環境に対する考え方というのもこれから少しずつ変わっていくんじゃないかというふうに考えています。
 これはSDGsの考え方の基になったプラネタリーバウンダリーという図で、環境の負荷を何種類かに、右側に書いてあって、それぞれ今プラネタリーバウンダリーと呼ばれる地球の限界をどれぐらい超えてしまっているかというのを赤色や黄色でカテゴライズして懸念を示しているような図なんですけれども、いわゆる気候変動のところはこのカーボンニュートラルということで、今まさにいろいろな考え方に基づいて議論がされているところだと思いますが、環境問題というのは気候変動だけではなくて、例えば左側にありますような土地利用の変化であるとか生態系を壊してしまうようなこと、こういったことも環境負荷の一つです。
 こういったことは、いろんな環境の考え方があるんですけれども、一つの環境負荷の考え方として、TMR、その対象を得るのにどれぐらい物質が関与したかというような考え方がありまして、これで見ますと、例えばいろんな金属を取ってくるときに、鉱石から取ってくるよりもPCからもう一度リサイクルした方がその関与する物質総量は下がるというような試算もあります。これも金属ごとに、あるいは製品ごとにいろんな事情がありますので、一概にそうだとも言えないんですけれども、こういった環境に対する考え方が広く広まってくると、やはり鉱物資源よりも人工資源を何とか利活用していこうというふうになっていくのかなというふうに思います。
 いずれにしても、ここで申し上げたかったことは、環境問題というのは非常に多種多様で、カーボンニュートラルと必ずしもこういう例えばTMRのような概念とがいつも両立するとは限りませんので、これからは、カーボンニュートラルと同時に資源循環もどうするかという、もしかしたら相反してしまうような二つの概念のどこに一番我々人間としていい点があるのかということを考えていかなければいけない時代になっていくんじゃないかなというふうに考えています。
 この人工資源を利活用していくのにいろんな課題がございますので、そこを御紹介したいと思います。
 これは、先ほど示した水色の天然資源の開発フローと、それから人工資源の利活用のフローを並べて比較したものなんですけれども、これを見ていただきますと、後半の製錬、精製のところは同じようなプロセスを取っていく。で、前半のところが大分違っている、上流のところが違っているということに気付いていただけるかと思います。
 天然資源であれば、調査をして、それを掘りに、採鉱するというプロセスになりますが、ここのところに取って代わるのが、人工資源であれば、ちょっと横文字なんですけど、MFA、マテリアルフローアナリシス、これは、どこにどんな製品があって、どんな素材がどういうふうに分布しているかということを調査するものです。そういった解析のデータがいわゆる天然鉱物のいわゆる調査、探鉱に当たる部分になる。それから、LCAは、こういったプロセスがどれぐらい環境負荷が小さくできるかということを試算するライフサイクル評価です。こういったデータをうまく集めて、どこにどういう資源が人工物としてあるのかということを戦略を持って集めて活用していかなければいけないというところがまず課題としてあるかなというふうに思います。
 それから、その次に、いわゆる掘ってくるというところは、鉱山は、太陽の恵みで長い間の歴史を掛けて既に濃縮して、大規模に濃縮してくれているところを見付けて、そこを開発していくということになりますけれども、人工資源というのは、濃度はあっても消費者の手元にばらばらに存在をしています。ですから、それを誰かが集めてこなければいけない。ここも非常にエネルギーの掛かることですので、誰がどうやって効率よく集めるのかということを真剣に考えなければいけない。
 真ん中の選鉱の部分は、まさに後の製錬にどれだけ負荷を掛けないで分離、濃縮できるかという技術開発がキーになってきます。
 それから、製錬のところ、精製のところも、入ってくるものが変わってきますとバランスが変わりますので、その新しく入ってきたものにどう対応してエネルギーを掛けずに分離、濃縮できるかというような技術開発。それから、分ければ必ず残りが出ます。必ず残りが出るんですけど、この残りを捨ててしまっては全体として効率がうまくいっているとは言えませんので、この残りをいかに利活用するか、あるいはバランスよく使っていくかというようなことが必要になってきます。
 それから、ここにデジタルXと書きましたけれども、鉱山と大きく違うのは、使用済みの製品というのは元々使用に至るまでのデータがどこかにあるはずであるということです。このデータを使用済みのところにきちんと伝達することによって、その後の処理フローが非常に高効率化される可能性があります。ここのところは、一つ一つの製品の情報のセキュリティーの問題であるとか競争の問題であるとか、いろんな問題はありますけれども、できるだけそういった部分を技術的に、あるいはシステム的にクリアすることによって、できるだけ後の処理の部分にその情報が伝達されるようにすると。この概念は今のいわゆるデジタルXの概念とも非常に相補的なんじゃないかというふうに考えていまして、新しい仕組みづくりが望まれるところかなというふうに思います。
 一つ一つ、より詳しく御説明します。
 まず、一番目のマテリアルフローアナリシスやLCAをきちんと使っていかなければいけない、あるいは効率よく回収していかなければいけないというところを示す一つのデータなんですけれども、これはいろんないわゆるリサイクラー、廃棄物処理業と呼ばれるような会社の規模を表したものなんですが、棒グラフがたくさん伸びているところは、アメリカであったりフランスであったりドイツであったりといったところのリサイクラーあるいは廃棄物処理業の規模です。それに比べまして、右側三つは日本の同じようななりわいをされている会社の規模なんですけれども、これを見ていただくと、日本のこの分野の企業が規模はまだ小さいということが分かっていただけるかと思います。
 やはりこういったものを利活用していくのに規模というのは一つ非常に大きな経済的なファクターになりますので、どのように効率的に大規模化していくのかと、集めるのかというところは非常に大事で、そこに、先ほど申し上げましたように、一つはデータを集約して戦略的に使っていくということ。もう一つは、使用される前までの、ここに動静脈連携と書きましたけれども、製品の材料データ、あるいはそこにどれぐらい機能が残っているのかというデータ、そういったものをできるだけデータ連携をして利活用していくことがこの大規模化あるいは高効率化につながっていくんじゃないかなというふうに考えています。
 もう一つは、その次の物理的な分離、濃縮のところの課題ですけれども、ここのところもまだまだ技術的に向上できる部分があるというふうに思っています。
 現状では、人力ですごく丁寧に、だけれども大規模化はなかなか難しいような解体の方法か、あるいはシュレッダーと呼ばれる、全体を機械的にぐじゃぐじゃっと切り刻んでしまうような分離の仕方、これが既に実用化されていますけれども、ここは、技術を向上させてこの間を埋めていくような、要するに、高効率で大規模だけれども精度も高いというような分離・濃縮技術、それから、この全体を右上の、軸の右上に全体的に引き上げていくような技術開発がこれから必要になるんじゃないかというふうに考えています。
 そのためには、とにかく得たい機能をできるだけ残しながら分離をするということが重要で、何もかも分離、切り刻んでしまうのではなくて、どのレベル、製品から原子、分子に至るまでどのレベルでも分離ができると、そういった技術開発がこれから求められていくのではないかと思います。
 そういった技術開発をするためには、これからは製造の段階からそういった分離ができやすい設計にしていくということも一つの選択肢かなというふうに思いますし、また、それが物づくりの一つの強みになっていくような価値観になっていくと、またこの人工資源の利活用の世界も少しずつ変わっていくかなというふうに思います。
 それから、製錬の部分ですけれども、この部分は、とにかく不純物をどう制御して分離をして、余すところなく副産物を利活用していくかということに尽きると思います。今でも、これは銅と亜鉛と鉛の製錬が、製錬ネットワークということで今でもお互いに連携をして、ありとあらゆる二十種類以上の金属を連携しながらちゃんと回収しているという図を示しているんですけれども、これが、入口の鉱物あるいは人工資源が変わっていきますとバランスが変わりますので、そのバランスが変わったところにいかに対応していけるか。特に、ここに書きましたけれども、鉱石では入ってこないような樹脂あるいはハロゲン、こういった元素が入ってきますと、また違った分離のコンセプトが必要になってきます。そういった技術開発がこれから求められていくかなと思います。
 人工資源の利活用への世の中の要請が高まっている例というのを幾つか御紹介したいんですけれども、一つは、素材側も責任ある素材生産というのを考え始めています。それは、一つの例で、これはカッパーマークと呼ばれるものですけれども、ここにあるコミュニティーとか労働環境とかガバナンスとか環境、人権といったものを評価して、そこにちゃんと合致しているものにカッパーマークという指標を与えて、これはきちんと責任ある生産をしている素材なんだというお墨付きを与えるというような評価制度です。これ、ヨーロッパの方で始まっておりますけれども、こういうふうになってきますと日本もこういったものを生産しなければいけませんし、あるいはこういったものを製品に使っていくべきであるというような世論が強まっていくというような動きがあります。
 また、製品側も、これは外資メーカーですけれども、既に自社の製品を一〇〇%リサイクルされた素材で作るということを宣言していたり、あるいはもう一〇〇%再生可能エネルギーで製造するというようなことを宣言して、それを毎年レポートで出すというようなことを始めている。かなり影響力のあるメーカーがこういうことを始めていますので、そういった意味でも、リサイクル率の高い素材を使っていくというようなことがこれから更に世の中から求められていく可能性が高いというふうに思います。
 それから、これはリチウムイオン電池ですけれども、リチウムイオン電池に対しても、例えばヨーロッパが最近既にニッケル、コバルト、銅のリサイクル率を義務化するような法案を今出しています。あるいは、製品の方にもリサイクル率の高いものを使うように義務化していく。あるいは、カーボンフットプリントというのは、その製品、リチウムイオン電池を作るのに全体でどれぐらいCO2を排出したかというものなんですけれども、その値を報告させるということを義務化するというような動きも出てきていますので、こういった動きを見ますと、素材側、製品側どちらでも、少しずつこの人工資源をちゃんと利活用していくことの要請は強まっているかなというふうに思います。
 最後に、私も連携あるいは人材育成の重要性を述べたいというふうに思います。
 既にいろいろな、国内でも学会などを通じて、あるいは各大学が、あるいは協会が、いろいろな考えの下に人材育成を、何とか人材をつないでいこうという試みはしておりますけれども、この分野で、例えばヨーロッパではEITローマテリアルズという組織がございまして、これは、資源の分野から材料の分野までを全て統括して、人材育成から教育から研究から、あるいは企業との連携までを全ていろいろとやりくりしているエージェンシーです。こういった一気通貫で物事を見れる機関があるというのはすごく大きくて、あるいは、研究だけでもない、開発だけでもない、教育まで全てをここで見られるという機関があるというのは非常に大きな存在になっているかなというふうに考えています。
 このように、日本においても、各分野の連携とそれから人材育成というのは、このように製品、鉱石だけではなくて製品を対象にして資源の戦略を練っていくという意味においてはますます重要になってきているなというふうに思っております。
 最後は、今申し上げたことのまとめです。
 ありがとうございました。
○会長(宮沢洋一君) ありがとうございました。
 次に、岡部参考人にお願いいたします。岡部参考人。
○参考人(岡部徹君) 岡部徹と申します。東京大学でレアメタルの研究をやっている者です。今日は、このような機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
 もう既に山冨先生、所先生が重要なお話されていましたので、今日はそこにかぶらないように、私は環境問題、特に製錬に関する環境問題ですね、製錬というのは、所先生が説明されましたように、鉱石からメタルを造る、これはいわゆる従来型の冶金と言われる製錬。ただ、今重要となってきているのは、スクラップから有用なメタルを取り出す、これも同じく製錬ですね、それに関わる環境問題、あとリサイクルの重要性を今日は述べさせていただきます。
 レアメタルの資源といいますと、議員の先生方は大きな誤解をしている可能性がありますので、まずその話もちょっとしなきゃいけないんですけど、今日はできる限りの話題を環境の話に割こうと思って、今日はスライドセットを用意してきました。(資料映写)
 お忙しい先生方におかれましては、この事前配付資料の三十一ページの一ページにも満たない日経の記事を読んでいただければ、私の今日の主張が全て通ると思います。ここに要約されております。
 更に御興味を持たれた方は、例えば自動車は今電動化されていて、モーター、こういうのがレアアースという磁石用のレアメタルを使うんですけど、そういうのの資源の問題と現状、そういうのを書いた資料が事前配付資料で三十九ページから御用意させていただいております。これ、自動車技術協会という自動車関係の業界誌なんですけど、自動車業界の方には極めて耳の痛い、読むのにつらい記事になっていると思います。
 あともう一つ、更に御興味を持った方は、この工場のごみゼロ化は本当に環境に優しいのか、ここも皆さんに問いたいところがあります。よく皆さんは、車であり、いろんな環境調和型の、何というんですか、電子機器を使ったら、それにはよくうたわれています。そういった環境調和型のハイテク省エネ製品は、我が社はごみが一切出ない、環境調和型の工場で作られましたというよくセールストークを見ます。そうしたら、何かそれを持っていると、自分ちの車はガソリンを半分しか消費しないとか、ともするとガソリン出さないとか、しかもそれがごみゼロの工場で造られてきた、何か環境に貢献しているんじゃないかと勘違いしてしまいます、これは。だから、そういった話をここにしています。
 ただ、今日はレアメタルを中心にお話しさせていただきます。
 皆さん、レアメタルというといろんなレアメタルがあるんですけど、このようによく新聞記事に出るのは上位三か国のシェア。これ見ますと、このたった三つの国からほとんどのレアメタルは供給されていると、たった三つ。で、これ、すごい誤解してしまうんですね。レアメタルは特定の国にしかないと思ってしまう。ただ、これは誤解です。要は、レアメタルは実を言うとたくさんあるんですが、需要に対してはですね、要はたった三つの国が供給したら世界供給が賄えてしまうんです。ただ、ここも誤解のないようにお願いします。唯一例外的に白金だけは確かに南アフリカとロシアぐらいしか今優良な鉱山が見付かっていないんですけど、例えばほかのレアアースなんというのは、何も中国に、以外にもたくさん鉱山はあります、鉱床はあります。ただ、中国が世界供給したら需要が間に合ってしまうということですね。
 今後、皆さん、どんなレアメタルが心配なのかとよく聞かれるので、こういうのを持ってきたんですけど、やっぱり供給障害が起こり得る、例えば白金とかタングステンとかですね。御存じのように、レアアースに関しては、二〇一〇年ぐらいでしたっけ、中国が急に輸出を止めるといって話題になった。だから、いずれにしても、こういったレアメタルはみんな供給障害の危機があると御理解ください。
 で、この図はすごい有名な図なんですけど、これは横軸が年で、縦軸がレアアース、希土類ですね、磁石に使われる、この生産量です。昔は、レアアースのほとんどがアメリカの鉱山から産出されていました。これ、二千何年頃ですかね、三年ぐらいですか、アメリカからの供給がなくなっています。これは鉱山が枯渇したのではなく、まだまだあります、そんなのは、中国の安売りにコスト競争力がなくなって閉山しただけのことです。だから、ここら辺も大きな誤解がありまして、中国は確かに今レアアースに関しては世界を牛耳っていますけど、何もそこだけにあるというわけではないということですね。
 そういった意味じゃ、レアアースは枯渇するのかという、よく聞かれるんですけど、枯渇することはないです。むしろ、先ほど所先生が御紹介されていた銅、亜鉛、鉛ぐらいの方が、いわゆるベースメタルですね、そちらの枯渇又は鉱石品位の低下、供給障害を気にした方が案外いいかもしれません。
 じゃ、具体的にレアアースってどのぐらいあるのかという話なんですけど、これ、生産量と資源量を同じパイチャートに書いてみました。ただ、御存じのように、レアアースの生産量は中国がほぼ九〇%以上あることが分かりますね。で、資源量ってあるんですけど、これ、同じパイチャートでいっても、実を言うとこれ千倍の大きさがあります。ただ、これ、単位が百十キロトンと、しかもこれ陸上資源だけです。それこそ、海洋を当てにしたら、それはもっとあるかもしれない。海洋には陸上の何百倍あるとかいうよく報道もありますが、実際そうでしょう。
 ただ、こう見てみますと、実を言うとそのレアアースに関しては供給障害、資源の枯渇ということは全くないと。だから、こういうことを御理解ください。しかも、このパイチャートの中でも小さいオーストラリアとかインドとかだけでも世界供給が可能です。これはくれぐれも誤解のないようお願いします。
 じゃ、よく何で皆さんの目にする新聞には資源供給制約ばっかり出てくるんだと、枯渇とか、レアメタルが。これは、要は技術制約とか環境制約というのは余り報道されてほしくないんです。それは企業にとって困る。いろんなそのステークホルダーがそこを声高に言われたら困ると。資源供給制約があるのは、先ほど申しました白金ぐらいです。これは南アとロシアぐらいしか供給できませんので。ほか、例えば、レアアースとここに書いている、Ndと書いてネオジムなんですけど、こんなの幾らでもあると。あと、チタンのように、資源は幾らあってもメタルにするのは困難な、こういった金属もある。これは技術制約ですね。だから、今日はそういうことを話していこうと思います。
 皆様が多分レアメタルというのを目にするようになったのは恐らく二〇〇六年頃、日経の一面に載りました。私は三十年以上レアメタルの研究やり続けているんですけど、このときほどうれしかったことないですね。なぜかといいますと、レアメタルというと、これまでは大体、不祥事、鉱山事故、詐欺、環境破壊、こういう三面にしか載らなかったいわゆるネタが一面に載るようになった。これは驚きますね。
 そして、二〇一二年頃になりますと、レアアース。これは、皆さん、記憶にも新しいと思うんですけど、まさにこれは私から見たら面白く不思議な現象なんですけど、ここにありますように、政治の問題で供給障害が起こったという。要は、尖閣諸島の領土問題、何か漁船の何かですね。で、外交問題に発展して政治問題になったと。で、中国がいきなり、自分たちが世界を牛耳っているレアアースを止めると言い出したんです。一番それで恩恵を被っていたのは日本の産業です。なぜかといったら、高性能なモーターを作ったりして売りまくっていましたから、これで。で、それが経済問題になった。
 皆さんはこういった横のこの流れで見るんですけど、私のような専門家から見たら、これは単に、単にレアメタルを安く、環境破壊しながら造っている中国の環境問題と、日本が技術を押さえているこの特許問題のこのギャップの差で起こっていると、こういうことだけなんですね。
 ただ、このような問題は、これレアアースの典型的な例なんですけど、ほかのレアメタルでもたくさん起こります。なぜかといいますと、今後は、飛行機、自動車、エネルギー産業、日本では駄目ですけど、原子力なんといったらまさにレアメタルの塊ですね。これが伸びていきますと、もうどんどんどんどんこのレアメタルが必要になってきます。さらに、皆さんの身の回りには、意外と気付いていませんが、このレアメタルが使われています。産業のビタミンと言われるように、ここら辺は、スマホなんというのは中開けてみますと元素の周期表が入っているぐらいたくさんの種類のレアメタルが使われています。まあ使われている量はほんのごくちょっとなんですけどね。そういうことです。
 今日、一番私がお伝えしたいことがこのスライドなんですね。先進国の人々はレアメタルを海外から輸入し、高性能なハイテク製品を作って環境に貢献していると信じている。多くの方が、自分ちの車は排ガスが出ないんだよと、しかもそれはごみの出ない工場で作られたんだよと、僕のこの電子機器は環境に調和したすごい省エネ製品なんだよと。ただ、実際は物を作るときは廃棄物が発生することは知っています。だから、どっかで出ているんだろうなということは容易に想像が付くでしょう。それを一番理解しなきゃいけないのはここなんです。
 今日、まさに私の講演の前に山冨先生にお越しいただいて本当良かったと思っています。なぜかといいますと、もうこのようにメタルを造るには鉱山、鉱石、製錬所というのが必要なんです。日本は、この全部ごみ落としされた地金を買ってきてハイテク製品作っているんですね。
 さらにもっと問題なのは、もちろん大抵の鉱山はちゃんと処理しています。ただ、レアアースとかは、場合によっちゃ放射性廃棄物を含んでいる。先ほど、銅も、鉱石によってはヒ素、カドミ、水銀などを含んでいる。そういうことがどこかで行われているんですね。
 例えば、自動車というのは最近電動化が進みまして、銅、電気を通す銅の消費が増えています。五十キロぐらい使うようになってきました、一台の車でですね。先ほど山冨先生がカットオフ品位とかいって、〇・何%とかおっしゃっていました。所先生も銅の品位は一%未満だとおっしゃっていました。
 大体、銅というのは、銅を一キロ造るのに二百倍のごみが出るんです、どこかで。そのごみが、場合によっちゃ、ヒ素、カドミ、水銀、含んでいるんです。となると、五十キロの銅を使う電気自動車を造ろうと思ったら、その二百倍のごみがどこかで出ているんですね。それが十トンになります。じゃ、排ガスをきれいにする触媒、これは白金を使うんで数グラム造っています。それを造るには何百万、百万倍のごみが出ます。それでも数トンですね。だから、そういった意味じゃ、この背後霊がすごい量あるということを先生方にも御理解いただいて、要は、工場のごみゼロ化もいいですけど、大本を考えたら、ともするとコストと環境に負荷が掛かっているということも御理解いただけたらと思います。
 あと、環境問題、ここら辺は、もう補助資料にも写真を載せておきましたが、要は、日本において今一番大事なのは、技術制約とか環境制約を突破していく。幸い日本は、レアメタルの生産技術、あと、こういった生産に関わる環境制約技術は世界のトップランナーです。だから、そういった意味じゃ非常にいい状況にあります。したがいまして、今後は資源供給だけじゃなく、技術、環境、ここを日本は力を入れていくべきだと思います。ただ、今日は時間がないので環境制約についてちょっと御紹介しようと思います。
 例えば、今皆さんもうよくグーグルを使われるでしょうから、バオトウテーリングダムという、テーリングダムといったら廃棄物、鉱山廃棄物のことですね、を処分するところを画像検索すると、いろんな画像が出てきます。例えば、レアアース、環境破壊でもいいです、キーワードで入れたらこういういろんなショッキングな写真が出てきます。
 実際私も、こういうのネットで見るだけじゃなくて、自身もいろんな鉱山に訪ねてきました。まあ山冨先生ほど鉱山に足を運んではいないんですけど、製錬屋としてはかなりいろんなところ行っています。例えばこれなんて、レアアースの最大規模の露天掘りの鉱山ですね。それで、これ、山じゃないんですね、実際。これは、掘った後に廃棄物を捨てたボタ山ですね。そういうことです、要は、山のように見えますけど。
 これ、こんな露天掘りでレアアースを掘っているんですけど、結構品位のいい恵まれた鉱山なんですけど、問題は、ここの鉱石を日本に持ってこれません。なぜかといったら、レアアースは欲しいんですけど、一緒にウラン、トリウムなどの放射性廃棄物が混じっているからです。だから、磁石のためにレアアースは欲しいけど、こういうのが、ごみも一緒に付いている、ペナルティーが付いてくるんですね。だから、それはどこかで捨てなきゃいけない。そういうものも、こういうのググったらもう幾らでも出てきますので、御覧になっていただけたらと思います。
 だから、この鉱石を掘るところと金属を製錬するところは違うので、例えば金属を製錬するところはそれなりのインフラが要るので、都市部でやります。ただ、都市部に濃縮された鉱石、僕たちは選鉱と呼びますけど、選鉱を、濃縮された鉱石を持ってきてそこから金属を抜かなきゃいけない。抜くときに、抜いた後には結構濃縮された有害物が残っているんですね。それを捨てなきゃいけない。で、日本でそれを捨てようと思ったら大変なコストと手間が掛かります。片や中国は、バオトウとか行きますともうほぼゼロコストで幾らでも捨てられるところがある。まあ状況でいったらこんな感じですね。まさにこの尾鉱というのはこのテーリング、鉱石からのかすを捨てる場所という感じであります。もう幾らでも、要は穴も掘らない、そのまま池に突っ込むだけなんですね。池というか巨大な湖でしょうけど。
 逆に言うと、これがゼロコストでできるところとは勝負にならないんですね。だから、先ほども御紹介しましたように、アメリカの鉱山はコスト競争力がなくなったから閉山せざるを得なかった。じゃ、日本は中国に頼っていたらいいのかと、そうもいきません。逆に言うと、ある意味、じゃ、オーストラリアの山を開発して日本にレアアースを供給しなきゃいけない。ただ、また問題がありまして、オーストラリアの山でもやっぱりメタルを取り出そうとすると有害物が発生しますので、それをどこかで処理しなきゃいけない。ではマレーシアを経由してやろうとか、そういうことになります。要は、こういった問題をしっかり見据えつつ、レアメタルの資源戦略をやっていかなきゃいけませんよと。
 あと、今日はちょっと時間の都合上お話ができないんですけど、もう一つ問題なのは、日本は技術があってもやっぱりコスト競争力の問題でプラントがどんどん海外に出ています。具体的には、中国が、実際、例えばレアアースだったら、製錬するプラント、プラント網で、資源だけじゃないですね、全部牛耳っています。だから、そういった意味では、今後、国の政策として、日本にもそういったいろんなものが処理できるいわゆる製錬プラントですね、これを温存する施策は極めて重要になってきていると思います。
 なぜかといいますと、皆さんが必要とする高性能な飛行機とか自動車とかロボットを造った後は必ずごみになります。そこにはレアメタルがたんまり使われています。それをリサイクルしなきゃいけないわけですね。もちろん、それも海外に、どこかに委託しようという発想もあるかもしれませんけど、幸い日本はすばらしい技術力がまだ残っていますので、そこを一生懸命担保して人材育成をやっていくべきだと思います。
 車一台造るのにいろんな金属が必要です。先ほど、銅なんていったら、この五十キロの銅を取り出すのに十トン以上の鉱石が使われているとか、白金も同じです。電気仕掛けにしてレアアースの高性能モーターを使うと、更にまた同じように何トンも使われます。リチウムも同じですね。そういった意味では、これからはそういった状況を見据えつつ施策を打っていくのが必要です。
 ここからは私の専門なんですけど、そういった背景を基に、私は、レアメタルのリサイクル、鉱石からメタルを取り出すだけではなくて、廃棄物からメタルを取り出す。所先生は、廃棄物からうまいこと、その有価物をうまいこと分離する技術をやっています。分離されたものから、今度はよりきれいな、高付加価値なメタルを造るというのが私の仕事ですね。
 それがどういうことでやっているかといったら、こういったレアメタルというのは、要はもったいないからですね。これ日本が誇れるすごい上位概念です。これ世界には通用しないんですけど、もったいないという概念は。あともう一つは、御紹介しましたように、環境が破壊されるからですね。二番のリサイクルした方が安いからと、これは、実を言うと、残念ながら今の技術力では、ないです。貴金属以外は、レアメタルは、リサイクルすればするほどお金が掛かります。
 そういった意味では、モチベーションとしては、レアメタルというのは、地球が生んだ奇跡のものを地表近くからうまいこと取り出している。で、環境破壊している。しかも、エネルギーを使っている。あと、日本の場合は、さらに、ごみを捨てる場所にも限りがある。これは日本ぐらいですけどね、はっきり言いまして。海外の一部のところでは穴も掘りませんから。だから、そういった意味では、レアメタルのみならず、リサイクルは重要になってくる。
 それが今日のこのまとめの図になってくるんですけど、要は、皆さんが高性能電子機器を使うと、必然的にそこには多量のレアメタルを使います。それをリサイクルするというのは私たちのミッションであるということですね。ただ、残念ながら、鉱物資源というのは余りにも価値が評価され、ただ同然で採掘され、ゼロコストでごみが捨てられている。どうしたらいいのかと。
 ここで、最後、皆さん、先生方にお願いしたいのは、バリュー・オブ・ネーチャーという考えを一つ持っていただけたらと思います。
 このスライドにありますように、金属を生産するのには、製錬、採掘、加工その他のコストがあります。仮に物をリサイクルしようとすると、まず回収するコスト、この黄色の部分ですね、特にこれは日本はすごい高いです。日本は、回収して例えば所先生とかの技術でうまいこと分離しても、今度メタルに取り出そうとしたらやはり廃棄物が出ます。その廃棄物の処理コストが日本は異常に高いんですね、またね。
 となると、ほとんどのメタル、まあ量がまとまった銅、鉛、亜鉛とかの大きい量が集まるメタルですね、鉄鋼とか、あとは、貴金属のように単価がべらぼうに高いメタル、これはリサイクルしたらもうかります。ただ、リチウムとかタンタルとか、こういうのはもう全然、リサイクルすればするほどレアアースもコスト的には損をする。
 じゃ、捨てようかと、それは駄目です。はっきり言いまして、先ほど御紹介しましたように、鉱石からメタルに取り出すときに環境が大きく破壊されています、私たちの知らないところでですね。だから、そういった意味じゃ、バリュー・オブ・ネイチャーというのを大きく破壊しているんだと。あと、鉱石そのものがバリュー・オブ・ネイチャーが高いんだと。しかも、誰も実際お金を払っていませんけど、廃棄物処理コストというのはかなり本当は高い値段が掛かっている、コストが掛かっているんだと。だから、そういった意味じゃ、リサイクルすればするほど、本来経済的な利得はなくても人類は価値を生んでいるということを御理解いただけたらと思います。まあ、ビジネスとしてはちょっと成り立たないんですけど。
 以上、これが最後のスライドとなりますが、多くの日本の研究者の人たちは素材からハイテク製品を作るところは一生懸命で、日本はこれはもうトップランナーです。ただ、今後大事になってくるのは、製品が廃棄されたときにそれを資源として有効利用し、それをしっかり環境調和型の技術をもって利活用していく、これが今後大事になるんじゃないかなと思います。
 以上、御清聴ありがとうございました。

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
 参考人の皆さん、今日はありがとうございます。
 山冨参考人に初めに伺います。
 今お話もありました人材育成に関わって私も伺いたいと思うのですが、参考人が日本学術会議の特任連携会員として参加をされておりました総合工学委員会の持続可能なグローバル資源利活用に係る検討分科会、これ二〇〇八年ですけれども、その提言を拝見をいたしました。当時も、今日お話のあったような、いろんな、中国の需要急増を背景とした需要の逼迫、価格の高騰、安定供給への懸念と、いろんな問題が既に指摘をされて、人材育成の必要性ということがこの中でも語られておりました。新聞の一面をレアアースやレアメタルがにぎわわせるようなそういう状況になっても、それから十年たっても、今でも現場の人材不足が続いているということであれば、これは受け止めた政治の側の責任ということもあるんではないかと思うんですね。
 その上で、今花形でなくても、いずれ、どの段階でどういう経過で花開くか分からないと、そういう分野はたくさんあるかと思います。梅村議員からの質問にもありましたけれども、やはりその基礎研究、特に大学での研究分野、それに対する支援の在り方というのは、今花形かどうかにかかわらず、やはり充実させることが必要なんじゃないかと考えますけれども、御意見はいかがでしょうか。
○参考人(山冨二郎君) 御指摘のとおり、基礎分野での、大学の基礎分野での研究というのは非常に重要であります。はやり廃りにかかわらず、我々は百年の計を持ちながら、資源及びそれに関連した分野の研究の柱といいますか、そういったものを守りながら前に進んでいく必要があると思っています。
 ただ、それをどういう形で進めるかというのがなかなか難しいところがありまして、ともすれば、また叱られるかもしれませんけれども、日の当たる分野への支援といいますか、やはり将来近いうちに花が咲くであろうというところに研究資金とかそういったものが回ってきているのも事実ですし、資源分野ではそれは特にどうかと問われますと、やはり乏しい状況は変わりません。
 そして、もう私は大学は退職いたしましたけれども、今後の研究者や学生のためにも基礎分野への研究資金の配分というのは守っていただきたいと思っております。
○山添拓君 ありがとうございます。
 次に、所参考人、岡部参考人に伺います。
 今日議論にもなっておりますリチウムイオンバッテリーですけれども、そこで使用されるリチウムというのは、産出国として代表的なところでチリがあり、そのリチウム鉱床のあるアタカマ塩湖では、地下水のくみ上げ過ぎで生態系への影響だとか住民生活にも影響が及ぶということが指摘をされていると伺います。
 それから、リチウム電池に使われるコバルトはコンゴが中心だということがありましたけれども、採掘自体が水質汚染や農作物の汚染をもたらしたり、あるいは鉱山労働者が一日一ドル程度の劣悪な環境で働いて、子供、七歳の子供まで使われているというような、人権問題だという批判もされていると伺います。
 電気自動車はクリーンだと掲げてリチウム電池を搭載するわけですが、そのために新たな環境汚染や搾取やあるいは人権問題の拡大をもたらしていると。それは、地球全体で見ると、自然環境や人間社会にもたらす負荷が大きくなっているということがうかがえると思うんです。
 ですから、川下のリサイクルだけでは対応できない問題について対応が必要だと考えますけれども、所参考人からEUの法規制の問題なども紹介いただきましたけれども、川下だけで対応できないことについてどのような具体策が求められるのかについて、それぞれ御意見を伺えますでしょうか。
○会長(宮沢洋一君) まず、所参考人。
○参考人(所千晴君) ありがとうございます。
 まさにおっしゃるとおりで、電気自動車、使っている間は非常にエネルギー、クリーンだと思うんですけれども、それを造るときにどれぐらい環境負荷を出しているのかということはライフサイクル全体で評価しなければいけない。この考え方も大分根付いてきているようには思います。
 その製品側もできるだけ、クリーンなという言い方が適しているかどうか分かりませんけれども、そういった材料を造ろうという努力はしているというようにEUの法案を見ても感じられますし、日本もそれもしていかなければいけないんですけれども、より上流側ということになりますと、やはり先ほど御紹介いただいたカッパーマークのように、コバルトやリチウムも、これは人道的にも環境的にも安心、安全に造られた素材であるというような認証が進んでいくような可能性はありますので、そういったものをより使っていくということが製造側の日本にも求められていくというようなことがあるかなと思います。
 それから、やはり日本ができることは、リチウムもコバルトも資源国ではありませんので、やはりリサイクルだというふうに思いますけれども、これも今現状ではリサイクルが経済的に成り立たない可能性が高い状況にあります。なので、リユースをしたり、いろんなことをして、今そこを経済的に成り立たせるようにいろんな努力をしているところではありますけれども、このリチウムイオン電池の資源循環をどう考えるかというのは、まさに日本も待ったなしでちゃんと考えなきゃいけないときには来ていると思います。
 以上です。
○会長(宮沢洋一君) 次に、岡部参考人。
○参考人(岡部徹君) 今、リチウムの採掘、特にチリのアタカマ湖からの環境破壊についてコメントがありましたが、ちょっと若干の誤解があるようですので御説明させていただきますと、この参考資料、ちょうど用意したもののまず二十二ページ、二十四ページの写真を御覧になってください。ここにありますように、アタカマ砂漠というのはこんなところです。要は、これ、もう一年間雨が降らない、水のようなのが見えていますけど、これは湧き水ですね。そういうようなところです。
 そして、更にどんどんめくっていただいて、ちょうど今日資料を用意しておいてよかったんですが、配付資料でいったら、ページでいうと、スライド番号でいうと六十五、六十七、六十八辺りですね。これがまさにリチウムの、かん水といって、地下にある塩水の採掘現場です。これ、正直言いまして、今幾ら掘っても誰も困らないです。なぜかというと、人いません。人という意味の誰もは困らないです。これは一つコメントですね。
 ただし、スライドの七十五ページ見ていただいたら分かるんですけど、EV車一台造るのにはどのぐらい掘り出さなきゃいけないかといったら、二トン以上のかん水を掘り出さなきゃいけません。ただ、これは別にEV車を造るために二トン以上掘り出すんじゃなく、これはKClというカリウムですね、カリウムの資源を掘るためにばんばん掘り出して、その副産物としてリチウムをこれは取っているというのがむしろ現状です。
 これが以上、私からのお答えですが、あと、先ほど、前の先生に戻ったのも関係あるんですけど、再三人材のお話が質問で出てきますので、私からもコメントさせていただいていいでしょうか。
 先ほど身につまされるお言葉がありまして、見えづらい職業とか、たどり着きづらい分野、まあ正直言いまして、地味で人気のないところに生きている私なんですが、これ、私自身は正直言ってこういう分野を目指したわけではなく、一番出来の悪い学生だったから、一番人気のないところに配属されました、今から三十年前ですね。それが非鉄冶金、特殊金属製錬。ただ、今では未来材料、チタン、レアメタルという分野になり、しかも非常に重要な分野になりつつあると。これ、大事なことですね。教育ってそういうものなんですね、分野とか。
 私と所先生は、折しも、こういった非鉄材料の方にいろんな人材を誘導すべく、その重要性、将来性を大事だよということを言うべく、いろんな方々、業界にアピールする活動を二人で一生懸命やってきています。ただ、全然インパクトがないんですね。
 そこで、今日お願いしたいのは、レアメタルのリサイクルがいい分野だと議員の先生方に言ってほしいとはお願いしません。ただ、日本が得意とする材料のプロセス分野、こういう分野は将来性があり、しかも国として大事なんだから、もし皆様の御家族、さらにそのお知り合いがそういう分野に興味を示したら、あんなところ行くなと言うんじゃなくて、むしろ背中を押していただきたい。国として動かしていただきたい。
 議員の先生方がこの分野は重要だと言ったら、よりいい人材がたくさんこの分野になだれ込むことを期待して、今日ここにはせ参じさせていただきました。どうぞよろしくお願いします。
○山添拓君 ありがとうございました。
 時間が参りましたので、これで終わります。