山添 拓 参議院議員・日本共産党

国会報告

2020年・第204通常国会

法務委員会で、同性婚違憲判決について、離婚後の面会交流について質問しました。

要約
  • 法務委員会で札幌地裁の同性婚違憲裁判について質問。「憲法14条が保障する法の下の平等に反し違憲だとした判決を重く受け止め、野党が昨年提出した同性婚の法制化を進めるべき」と、上川大臣に求めました。

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
 三月十七日、同性婚を認めないのは婚姻の自由を保障する憲法に違反するとして、同性カップル三組が訴えた訴訟で札幌地裁が判決を下しました。同性同士の結婚を認めず、その法的効果を受けられないのは、憲法十四条が保障する法の下の平等に反し、違憲だとしたものです。一斉訴訟の初めての判決であります。
 大臣に伺いますが、法務省として、この判決を受けて対応を検討していることはありますか。
○国務大臣(上川陽子君) 御指摘の判決におきましては、原告らの国に対する請求は棄却されたものの、その理由中におきまして、同性愛者に対しては、婚姻によって生じる法的効果の一部ですらも享受する法的手段を提供していないことは、その限度で憲法十四条一項に違反するとの判断が示されたものと承知をしております。
 政府といたしましては、婚姻に関する民法の規定が憲法に違反するものではないと主張してきたものでありますが、その主張が受け入れられなかったものと承知をしております。現段階では確定前の判決でございます。また、他の裁判所に同種訴訟が係属していることから、まずはその判断等を注視してまいりたいと思っております。
○山添拓君 違憲とされたことは重く受け止めるべきだと思います。
 民法や戸籍法は異性同士の間での婚姻しか認めておりません。同性同士の婚姻は認められていません。この点で、異性愛者と同性愛者とは区別されています。判決は、今大臣もお話あったように、その区別には合理的根拠がない、憲法違反だとしたものであります。
 国はこの裁判の中で、この区別は同性愛者の性的指向を差別するものではないと主張していました。同性愛者であっても異性との間で婚姻することはできるからだというわけなんですね。しかし、判決も指摘しているように、同性愛は精神疾患ではありません。意思や治療によって変更できるものでもありません。
 大臣は、今日午前中の質疑の中で、性的指向による不当な差別や偏見、これはあってはならないと述べられました。同性愛者に対して、結婚したいなら異性とせよと、こういう主張をすること自体差別的なんじゃないでしょうか。
○政府参考人(小出邦夫君) 国が行いました主張について事実関係を御説明させていただきたいと思います。
 憲法十四条一項に違反するか否かの判断基準におきまして、まず判例は、憲法十四条一項が定める法の下の平等は、事項の性質に応じた合理的な根拠に基づくものでない限り法的な差別的取扱いを禁止する趣旨であると判示しております。
 このため、今回の訴訟におきましても、まず第一に、現行の民法七百五十条が異性愛者と同性愛者とで法的な取扱いを区別しているか否かという点がまず問題となりまして、次に、仮に法的な取扱いを区別していると認められた場合には、その区別に合理的な理由があるか否かが問題となります。
 この訴訟におきまして被告である国は、まず第一の区別、法的な区別をしているかどうかという点につきまして、具体的、個別的な婚姻当事者の性的指向の点にその区別を設けたものではない……(発言する者あり)はい。異性愛者であるか同性愛者であるかを問わず、国民は婚姻制度を利用することができるのであるから、この点に法令上の区別は存在しないという主張をいたしました。
 御指摘の、裁判所が同性愛者も異性との間で婚姻することができるというように整理しておりますが、国はこのとおりの主張をしたことはなく、相手方である原告がその主張を基礎付ける証拠として提出した文献の中にこのような記載があるということに言及したものでございます。
○山添拓君 いや、そのことを国としても政府の法解釈の一部として求めてきたからこそ、このような主張整理になっているんだと思うんですね。
 判決は、異性愛者と同性愛者の違いというのは、意思によって選択したり変更したりできない性的指向の差異でしかないのだと繰り返し強調しています。にもかかわらず、異性愛者は婚姻による法的利益を得ることができ、同性愛者には全くない。病院で家族としての面会や付添いや、あるいは手術への同意、こういったものができないなど具体的な問題もあります。
 野党は、二〇一九年の六月、同性婚を法制化する法案を共同提出しています。これは前に進めるべきだということを今日は改めて求めておきたいと思います。
 次に、離婚後の面会交流について伺います。
 民法七百六十六条一項は、協議離婚の際に協議すべき事項の一つとして、父母と子との面会交流を定めています。二〇一一年の民法改正で盛り込まれました。しかし、面会交流は誰かの権利なのか、その法的性質というのは法律上定められておりません。
 家族法研究会が二月にまとめた報告書があります。この点でどのような分析と提案を行っているでしょうか。
○政府参考人(小出邦夫君) 二月にまとめられました家族法研究会の報告書でございますけれども、面会交流につきましてはその法的性質を明示する規律が設けられていないところ、この報告書では、面会交流が子の利益のためのものだという認識については異論がなかったものの、それを権利義務としてどのように構成し、規定するかという点については様々な意見が出されたと承知しております。
 例えば、父母間の取決めなどにより具体的な面会交流の内容が定まった場合には、非監護親の監護親に対する一定の請求権として規律した上で、その権利は子の利益のために行使しなければならないとするような規律を設けるべきとの意見もございましたし、権利義務に関する規律を明確にすると、面会交流が認められない場合はかなり例外的な場合に限られることとなると思われるが、それが子の利益にかなうか否かについては慎重に検討する必要があるとして、規律を設けること自体に慎重な意見などがあったということでございます。
 そのため、報告書では、子の利益に合致する面会交流とはどのようなものかという点に立ち返って慎重に検討する必要があるとしつつ、面会交流の法的性質を明示する規律を設けることの当否や、規律する場合には誰の誰に対する権利又は義務として整理するかなどについて更に検討を進めることが提案されているものと承知しております。
○山添拓君 様々意見が出されているわけですが、少なくとも誰かによる一方的な権利ではなく、子の利益のために、子の意見や希望も踏まえつつ、父母の合意の下に本来行われるべきものだということは多くの共通の認識なのではないかと思います。
 私は先日、全国婦人相談員連絡協議会の皆さんから要望をいただきました。法制審で実態に即した議論を求めるために、全国の会員に緊急アンケートを行われた結果をまとめています。
 例えば、面会交流の中で、学校や住所を聞き出そうとするDV加害者がいる、プレゼントの中に盗聴器やGPSを仕込んで追跡されたケースがある、面会交流を断ることで養育費の減額や未払などにならないか、母は心配しているなど、実態は様々でありました。
 面会交流中に非監護親が四歳の娘を殺害した兵庫県伊丹市の事件、監護親である元妻を殺害し、自らも自死した長崎市の事件などもありました。
 大臣に伺いますが、面会交流におけるこうした事件やトラブルについて、法務省としての例えば実態把握の調査などはあるのでしょうか。
○国務大臣(上川陽子君) 今委員御紹介をいただいた様々な事例がございます。離婚後の親子が面会交流を実施していた際に、別居している親の故意によりまして子供が亡くなると。誠に痛ましい事件が発生しているということについては承知をしているところでございます。
 それぞれの事案ごとの具体的な、また詳細なことについては私自身も把握しておりませんけれども、そうした事例があるということについては承知をしております。
○山添拓君 これは、やはり実態を把握できるような調査などを行うことが必要ではないかと思います。
 最高裁に伺いますが、離婚しても父母の関係が良好で養育費や面会交流について大きく問題にならないケースも多いかと思います。しかし、DVや虐待や、そこまで至らなくとも高葛藤と呼ばれる父母間では単純ではありません。
 そこで、事件が家庭裁判所に持ち込まれて調停で面会交流が争点となる場合、その審理はどのように進めているのでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) お答え申し上げます。
 具体的な調停手続の運営は個別の事案における各調停委員会の判断に委ねられているところでございますが、その上で、一般論として申し上げますと、面会交流については、民法の趣旨を踏まえ、子の利益を最も優先して考慮する必要があるところでございまして、具体的には、子の意思や心情、生活状況、親子の関係に関する事情、ドメスティック・バイオレンスや虐待の有無等、子の安全に関わる事項など様々な考慮要素を総合的に考慮して、面会交流を実施するか否かといった点も含めまして、子の利益を最も優先した面会交流の在り方が検討されているものと承知しております。
○山添拓君 ありがとうございます。
 資料の三ページ以下にお配りしておりますが、家族法研究会の委員で東京家裁部総括判事の細矢郁氏の二〇二〇年の論文があります。この間、調停実務で面会交流の原則実施論が独り歩きし、同居親に対する十分な配慮を欠いた調停運営が行われたことがあったとし、また、それは細矢氏自身が関わった二〇一二年の論考の趣旨が誤解されたものだというふうにも記しております。
 改めて、最高裁、伺いたいんですけれども、少なくとも現在は、面会交流の実施によって子の利益に反するような事情があるかどうか、安全かどうか、子の状況はどうか、そういった点を慎重に検討し、原則実施ということではなく、実施、不実施も含めて調査検討する、こういう運用になっているということでよろしいのですね。
○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のような御指摘があること、あったこと自体は承知をしております。
 ただ、家庭裁判所としましては、面会交流、先ほど申し上げたとおりでございまして、面会交流に関する調停事件においては、子の利益を最も優先して考慮して取決めがされるべきものというふうに承知して適切に運用しているものと……(発言する者あり)あっ、実施、非実施の点も含めましてということでございます。
○山添拓君 私、調査官の方からもお話を伺いました。原則実施という流れが一時期あったわけですが、監護親からも子供からも意見があって、現場では模索が続いているということでありました。合意形成できるのが望ましいわけですが、審判で決めなければならない場合もあります。父母の双方から愛情を感じられる機会はもとより大事です。子供が自らの意思を表明できる場合はそれを尊重する、それは当然だと思いますが、できない場合には会う会わないという選択を自らできるようになるまでそういう選択肢を持たせるべきではないかと、こういうお話がありました。しかし、そうして自分で選択できるようになるまでそういう機会を保証していくということ自体がまた子供にとってストレスになる、そういう場合もあるのではないかと。ですから、何をどこまで決めるのかは悩ましいというお話がありました。
 そこで、大臣に伺いたいのですが、実施、不実施、実施する場合の内容についての調査や検討、これは専門性が求められて、知見や経験を踏まえた慎重な対応、丁寧な対応を要するものだというふうに思いますけれども、そのことについて、大臣、認識ありましたら、御見解がありましたらお示しいただきたいと思います。
○国務大臣(上川陽子君) 子の最善の利益を図るという観点から、親、監護親との関係性についてしっかりと客観的に、またその心情に照らして、また子の御意見もしっかりと踏まえた上で対応していくという、そうしたことができるだけ可能になるようにしていく、こうした制度の枠組みの運用が大切であるというふうに考えております。
○山添拓君 やはり、これは専門的な知見や経験を要するものだと私は考えます。
 ところで、最近、自治体の判断によって学校や保育園を面会交流の場として活用する動きがあります。
 資料の最後のページになりますが、これはある市がホームページで紹介をしている市立小中学校における面会交流の説明であります。裁判所が作成した調停調書、審判書、判決書又は両親の合意書面などにより現実の面会交流が認められていない場合や子供に悪影響を及ぼす場合以外は可能だとしております。
 文科省に伺いますが、小中学校で例えばどのような場合に面会交流が子供に悪影響を及ぼすと判断すべきなのか、こうしたことを調査したり判断したりすることが可能な体制というのはあるんでしょうか。
○政府参考人(塩見みづ枝君) お答え申し上げます。
 民法七百六十六条におきまして、協議離婚の際には、面会交流について父母の協議で定めるということになっているところでございますが、学校を面会交流の場として使用するということにつきましては、当該学校の設置者におきまして、父母の協議、裁判所の審判等の内容等に基づき、教職員等への負担といったことも考慮した上で判断されるべきものというふうに考えております。
○山添拓君 ですから、私が伺いましたのは、ここの資料にもありますように、子供に悪影響を及ぼす場合は認めないという運用を例えばしている市があります。しかし、その子供に悪影響を及ぼすかどうかというのを、今おっしゃったような、教職員の一人一人ができるような体制、あるいはそのための、こういう場合にはこういう判断をしましょう、調査をしましょうと、そういう例えばガイドラインのような、政府として、文科省として示しているものというのはあるんでしょうか。
○政府参考人(塩見みづ枝君) お答え申し上げます。
 今御質問いただいた点について、文科省として何らかのガイドラインを示しているということはございませんが、一般的な考え方につきましては、先ほども申し上げましたように、学校施設を場として使うということになる場合につきましては、その設置者において、先ほど申し上げましたような、父母の協議、裁判所の審判等の内容に基づいて、また教職員等の負担も考慮した上で判断いただくということになると考えております。
○山添拓君 政府からのガイドラインはないということでありました。
 仮に、協議離婚や調停の時点で面会交流の合意ができたとしても、その後の父母間、親子間の関係の変化によって、調停どおり行えない場合も生じ得ると思います。特に、高葛藤の父母間では見極めは難しく、また流動的でもあります。本来、専門的なサポート体制が求められるはずです。付添いの支援だとか、受渡しの支援、開始時、終了時の送迎、あるいは連絡調整、間接交流、これは手紙やプレゼント送付の中継などですが、父母のみでは円滑な面会交流を行えない場合にサポートするNPOも存在しております。しかし、利用者から料金を得てこの支援を行うというのは、例えば利用料金を払っている非同居親は顧客ということになります、支援はサービスだと。そこで、その要望は受け入れて、聞き入れて当たり前、そういう状況にもなりかねず、これ現場で取り組んでいる皆さんにとっても非常に悩ましいというお話がありました。
 厚労省は、こうした支援団体に対してどのような財政的支援を行っているのでしょうか。
○政府参考人(岸本武史君) お答えいたします。
 面会交流は子供の健やかな成長のために非常に大切なことであり、子供の立場から実施される必要があるものであると考えております。
 このため、厚労省におきましては、面会交流に関する意義や課題等を双方の親を含む関係者が認識した上で、取決めや実施が適切に行われるよう、面会交流の実施に関する相談を担う専門の相談員の配置や面会交流の取決めがある方を対象とした日程調整や付添いなどの支援といったことを行う自治体の取組に対する支援を行っているところでございます。
 また、令和元年度から、離婚前後の父母等に対しまして、離婚が子供に与える影響や養育費、面会交流の取決めの重要性に関する親支援講座の開催に要する経費についても、モデル事業による支援をしているところでございます。
 こういった事業につきましては、民間団体等への委託を可能としているほか、令和三年度予算案におきましては、離婚前後親支援モデル事業につきまして、一自治体当たりの補助単価を約百七十万円から一千五百万円に拡充をしているところでございまして、こういった活用を通じまして、引き続き自治体を支援してまいりたいと考えております。
○山添拓君 ありがとうございます。
 面会交流は合意に至るのも大変ですが、その後の公的な支援がない。財政的な支援はいろいろありますけれども、現実に行っているのは民間の団体が非常に多いと、そのことが当事者双方にとって大きな負担ともなっています。
 実施に支障が生じた場合の適時適切な相談、協議のやり直しなどの支援体制、これは更に拡充していくことが必要だと考えますけれども、大臣の認識を伺います。
○国務大臣(上川陽子君) 子供の利益の観点からは、父母の離婚後も養育費の支払、面会交流の実施等を通じまして、父母の双方が適切な形で子の養育に関わるということについては非常に重要と考えております。
 もっとも、面会交流につきまして取決めがされても安全、安心な実施が困難な場合があると、そして適切な支援がなければ実施が難しい事例もあるという御指摘もございます。法務省の担当者も参加しておりました家族法研究会におきましても、安全、安心な面会交流の実施のため、今委員御指摘の公的支援を行うことについて更なる検討の必要性や、また民間の面会交流支援機関の制度化に関しましての検討の必要性などにつきまして指摘もなされているところでございます。
 こうしたことも受けまして、制度の部分と、またそれを実現していくための環境整備ということについても併せて対応していく必要性があるというふうに考えております。
○山添拓君 時間が参りましたので終わりますが、家族法研究会の報告書では、親権の法的位置付けそのものの見直しも提案されています。同時に、その議論のいかんにかかわらず、個々の面会交流の実施の可否、頻度や内容、それは直ちに定まるものではありません。子の利益の優先を実効あるものとするためには調査官やその後の支援体制の拡充が不可欠だということを改めて申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
○委員長(山本香苗君) 時間が参っておりますので、簡潔に。
○政府参考人(小出邦夫君) 申し訳ございません。先ほどの答弁、ちょっと修正させていただければと思います。
 お尋ねいただきました同性婚との関係、憲法十四条との関係で、私は、現行の民法七百五十条が十四条との関係で問題になるというようなことを申し上げましたが、これは条文、間違っておりまして、申し訳ございません、同性間の婚姻を認めない現行民法等の規定がということで、済みません、そういう趣旨で御理解いただければと思います。申し訳ございませんでした。
○山添拓君 終わります。