山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2025年・第217通常国会

米国産コメ輸入拡大検討 撤回求める/在日米軍経費すでに重負担 トランプ氏「日本何も支払わない」全く事実に反する /EPA看護師・介護福祉士 資格取得後の支援なし ケア労働処遇不十分が根底に/租税条約3本と日・インドネシア経済連携協定(EPA)改正 反対討論

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
米国トランプ大統領が赤澤大臣との会見で在日米軍駐留経費について日本側の負担が不足しているとの見解を示したとされる問題で伺います。
まず、防衛省に現状を確認します。
今年度予算における在日米軍駐留経費、いわゆる思いやり予算、そして米軍再編経費、基地交付金など基地提供に係る費用、合計額とともにお示しください。

○防衛省 地方協力局次長(森田治男君) お答え申し上げます。
令和七年度予算におきまして防衛省で計上しております在日米軍関係経費につきましては、全体で約六千八百二十九億円となります。
内訳につきましては、同盟強靱化予算として約二千二百七十四億円、周辺対策や施設の借料等として約二千二百九十八億円、SACO関係経費として約百十一億円、米軍再編関係経費として約二千百四十六億円でございます。

○山添拓君 辺野古新基地建設の費用などを合わせるとどうなりますか。

○政府参考人(森田治男君) 米軍再編経費のうち、沖縄における再編のための事業に関する経費といたしまして、普天間飛行場の移設につきまして七百三十五億円を計上してございます。

○山添拓君 実際には補正予算などでも積み増しを行っておりますので、年間でいいますと一兆円を超えるような規模になることがあります。
思いやり予算や再編経費というのは、これ確認ですが、日米同盟や、日米安保条約ですね、日米安保条約や地位協定上は義務ではないものですよね。

○防衛省 防衛政策局長(大和太郎君) はい。同盟強靱化予算、いわゆる在日米軍駐留経費負担ですけれども、これは、地位協定二十四条の例外を成すものと二十四条の範囲内で払っているもの、両方を含んでおります。

○山添拓君 義務でないものも含むということであります。
それから、今年度における米国製兵器、役務の調達に関する予算の合計額、また、これは後年度負担がありますので、過去に契約して今年度計上されている後年度負担の支払額の合計もお示しください。

○防衛省 大臣官房審議官(寺田広紀君) お答え申し上げます。
令和七年度予算により調達する装備品や役務につきましては、今後入札により調達先を決定するものもありますことから、現時点において既に米国製であることが確実なものとして、FMSに関する予算をお示ししますと、令和七年度においては契約ベースで一兆七十六億円を計上しております。
また、同様に、過去に結んだ契約に関する今年度の支払、すなわち歳出化経費につきましては、令和七年度においては七千八百十三億円を計上しているところでございます。

○山添拓君 FMSは米国政府との契約です。そして、米国の側が価格や納期、契約解除まで一方的に決められる枠組みであり、巨額の軍事費の要因ともなっています。それが今、お話では一兆八千億、今年度だけで取り出すとですね、そういう金額だという話でありました。
トランプ氏は日本は何も支払わないなどと述べていますが、これは全く事実に反すると思います。外務大臣、防衛大臣の認識をそれぞれ確認したいと思います。

○防衛大臣(中谷元君) まず、同盟強靱化予算、これは在日米軍駐留経費負担ですけれども、これは日米の両政府が協議をして、合意に基づいて適切に分担されております。
また、我が国の防衛予算につきましては我が国が主体的に判断すべきものでありまして、その上で、防衛力整備の具体的な内容につきましては、関税措置の見返りとしてではなくて、我が国を取り巻く安全保障環境を踏まえて、我が国の独立と平和、国民の命と平和な暮らしを守るために、我が国が何が必要なのかという観点から検討して実施すべき事項を積み上げていったものでございます。
購入すべき装備品につきましても、何が日本の防衛力強化に相ふさわしいのかを第一に考えまして、具体的な機種、数量を決定するということとなりますので、このような考え方に基づいて、我が国は国家安全保障戦略等に基づく防衛力の抜本的強化に取り組んでいく所存であります。
このような我が国の取組について、様々な機会で米国に伝えていく考えであります。

○外務大臣(岩屋毅君) 御指摘の発言は承知しておりますが、その一々にコメントすることは控えたいと思います。
その上で、同盟化強靱化予算については防衛大臣の答弁のとおりでございまして、日米両政府の合意に基づいて適切に分担されていると考えております。

○山添拓君 いや、私は一々コメントした方がいいと思いますよ、一つ一つ、その都度その都度。
外務大臣、昨日ジョージ・グラス駐米大使と会談されましたよね。ジョージ・グラス氏は三月の公聴会で、思いやり予算について、支援の増加について話し合う必要があると、こう述べていて、増額を求める発言を議会でされておりました。昨日お会いになった際に、それは受け入れられないとお伝えになったでしょうか。

○国務大臣(岩屋毅君) これは外交上のやり取りですので、詳細について申し上げることは控えたいというふうに思います。
グラス大使との間では、この一連の関税措置についてもしっかりと意見交換をさせていただき、日米の協力によって、自由で開かれたインド太平洋、これからもしっかりと実現していこうという話をさせていただいたところでございます。

○山添拓君 いや、外交上のやり取りと言いますけれども、相手はそれを明らかにしているわけですから、こちら側がどういう態度であるかということは、これは国民に対して説明責任あると思うんですね。
先ほどもお話ありましたが、日本の防衛どうするかは日本が決めることだと、こういうことを総理もおっしゃっていますが、思いやり予算を始めとして、在日米軍の経費について、これは今後求められても増額などしないと、これは約束できますか、外務大臣。

○国務大臣(岩屋毅君) 現在の特別協定の期間は二〇二七年に終了する予定になっております。当然、予算措置でございますので、通常、前の年から日米間で協議を始めていくということでございますので、現段階で予断を持って申し上げることはしない、控えたいというふうに思います。

○山添拓君 私、今やっぱり暮らしが厳しくて、本当に多くの方が物価高に困難を抱えていて、だから消費税を減税してほしいという声が半数を超える、六割、七割と。そういうときに、消費税の減税は検討するとすら言われないわけです。しないということが政府からは語られます。ところが、この在日米軍の駐留経費については、上げないとは明言されないと、これからの議論だと、予断を持って言えないとおっしゃっていると。思いやり予算ですからね、私はこれは思いやる相手をやっぱり完全に間違っているということを改めて指摘せざるを得ないと思います。
ちょっと通告していない問題なんですが、昨日から報じられていることで、外務大臣に伺いたいんですね。
米国産の米の輸入拡大案を政府で検討していると報じられております。ミニマムアクセス米、無関税の輸入枠、今、年間七十七万トンですが、そのうち一番多いのは米国産米です。これを拡大する案だといいます。政府内では、価格高騰と品薄が続いているので輸入拡大はウィン・ウィンだと、こんな声もあるようですが、私は言語道断だと思います。
四月十五日の農水委員会で、我が党の紙智子議員の質問に江藤大臣がこう答えています。日米の五年前の貿易交渉がぎりぎりだと思っている、あのときも乾いた雑巾を絞るようなつもりでひねり出した、これ以上絞っても何も出ないと。こういう話、今日の閣僚会議で共有されていますか。米の輸入枠拡大などは無理だと、そういう話、共有されているでしょうか、大臣。

○国務大臣(岩屋毅君) 今朝の閣僚会議において、そういう各論についての議論があったわけではございません。報道は私も承知しておりますが、まさに所管の農水省の意見などもよく聞いて、そもそも何がテーマになるかということをまず絞っていくという作業があるわけですけれども、そういう農水関係のことについては、農水省の知見を得た上で判断をしていくということになると思います。

○山添拓君 知見ははっきりしています。国内の農家に減産を迫って、農家が減って、米不足が発生してきたわけです。その裏で、輸入米は続けてきたわけですね。やっぱりこれ以上困難を強いて、農業を干上がらせるようなことがあってはならないということは指摘しておきたいと思います。
日・インドネシア経済連携協定、EPAの改正議定書について、看護師、介護福祉士候補者の受入れの問題に絞って伺いたいと思います。
合格率が低迷しているという問題、これは日本語能力の問題などがハードルとなっていると指摘されてきました。EPA候補者などの日本での生活や学習を支援する外国人看護師・介護福祉士支援協議会の調査によれば、候補者の段階でも家族の事情や健康上の理由で帰国したケースがあるといいます。仮に国家資格を取得したとしても、日本で勤務を続けるかどうか、これは別の問題があります。
厚労省に伺います。
EPA候補者が資格を取得した後に日本で働いている割合というのは分かるでしょうか。平均の勤続期間なども分かるでしょうか。

○厚生労働省 大臣官房審議官(神ノ田昌博君) お答えいたします。
日・インドネシア経済連携協定に基づく看護師や介護福祉士の候補者のうち、国家資格取得者は、これまでの累計で看護師二百三十七名、介護福祉士千四百六十七名となっておりますが、資格取得後は国内のどの施設でも働くことができ、就労場所の報告も求めていないことから、お尋ねの資格取得後に日本で働く人の割合、また平均勤続期間は把握をできておりません。
なお、資格取得後も引き続き候補者の受入れ施設において継続して就労している者は、本年四月一日時点で、看護師七名、介護福祉士三百二十二名となってございます。

○山添拓君 母国で就職したいと、あるいは日本以外で就職したいなどの理由で、資格取得後に職員として就労しても、結果的には九〇%以上は帰国している、こういう調査研究もございます。
EPA候補者の間は、国家資格を受験するために、介護導入研修や日本語研修、国家試験の対策など、国際厚生事業団による学習支援があります。受入れ施設にとっては費用や業務時間との兼ね合いなど負担も大きいですが、一応の体制が取られてきました。しかし、資格の取得後はこれがありません。看護師も介護福祉士も、資格取得後も日本語や看護、介護の勉強が必要ですが、こういう学びを体系的に支援する制度はないと伺っております。せいぜい受入れ機関への巡回ぐらいではないかと伺いますが、厚労省、そのとおりでしょうか。

○厚生労働省 大臣官房審議官(高橋秀誠君) お答えいたします。
国家資格を取得したEPA看護師及び介護福祉士につきましては、厚生労働省が示しております指針におきまして、受入れ調整機関である、先ほど委員も御指摘のとおり、国際厚生事業団が定期的に又は必要に応じて当該看護師及び介護福祉士を受け入れている施設を巡回訪問して、雇用管理の状況等を把握することとさせていただいております。
加えまして、この指針におきましては、国際厚生事業団が、就労環境等につきましてEPA看護師及び介護福祉士から相談や苦情等があった場合、それから受入れ機関から雇用管理等についての相談があった場合には、適切に相談等に応じ、説明や助言等を行うこととされているところでございます。
今後とも、こうした措置によりまして、EPA看護師、介護福祉士の候補者の方々が資格を取得した後におきましても、看護師、介護福祉士としての就労に際し、適切に支援をしてまいる所存でございます。

○山添拓君 いろんな調査や研究によりますと、資格を取得した後は日本語の先生がいなくなると、ケアプランの説明などは難しいといった声や、あるいは子供が小学生で日本語のサポートが必要、子供が保育園に入れず生活が困難、配偶者の仕事を見付けるのが難しく帰国せざるを得なかった、あるいは外国人が理由で賃貸アパートに入りにくいといった実態もあると言います。
最後に外務大臣に伺いたいんですが、受入れ機関任せとしてきた仕組みの下で、合格率が思わしくなく、また資格取得後のサービスも十分ではありません。必ずしも日本で勤務を継続できない現状があります。EPA候補者の制度、これは所期した目的を達していると言えるでしょうか。

○国務大臣(岩屋毅君) 日・インドネシア経済連携協定に基づいて、平成二十年、二〇〇八年の開始以降、これまでに合計で、看護師候補者七百六十八名、介護福祉士候補者三千四百九十一名を受け入れております。インドネシアからの候補者のうち、これまでに約千七百人が国家資格を取得しておりまして、両国間における経済連携の強化という協定の目的に沿った成果を上げているものと考えておりますが、委員の御指摘なども含めて、更にその実が上がってまいりますように努力をしてまいりたいと思います。

○山添拓君 時間ですから終わりますけれども、私は、そもそも、ケア労働者が外国人であれ日本人であれ、その処遇が十分でないという問題が根底にはあると思います。この現状を打開しないままに、経済連携を建前に、本音は人手不足の解消のために受入れの規制緩和を進めることは、これは安価な労働力確保策と言わざるを得ない、この点を指摘して、質問といたします。

―――

○山添拓君 日本共産党を代表し、日・ウクライナ、日・トルクメニスタン、日・アルメニア租税条約、日・インドネシア経済連携協定改正議定書にいずれも反対の討論を行います。
三つの租税条約は、二重課税の除去を理由に、日本とウクライナ、トルクメニスタン、アルメニアとの間で、配当や利子、使用料など投資所得に対する源泉地国での課税に限度税率を設け免除するものです。
日本の多国籍企業が各国の海外子会社から配当を受け取る場合、各国の税務当局から課税される限度税率はウクライナで五%、トルクメニスタン及びアルメニアでは免税となります。また、この措置により課税を減免された配当を日本の多国籍企業が受け取る場合、国内では、一定の要件を満たす場合に特例措置である外国子会社配当益金不算入制度の対象となり、当該配当の五%のみが課税対象となり、九五%が非課税となります。結果、日本の多国籍企業とその海外子会社は、各国での課税を大きく軽減された上に、日本国内でも優遇されます。二重課税の除去と言いながら二重に税の優遇を認めるものであり、反対です。
日・インドネシア経済連携協定改正議定書は、インドネシアからの輸入について、新たに農水産品の関税撤廃や関税引下げを行うものです。更なる輸入自由化は、食料安定供給に資する国の責務を放棄するものです。
また、本改正議定書には、EPA、看護師、介護福祉士候補者の在留期間延長や国家試験の受験回数拡大が盛り込まれています。日本語の国家試験を受けることのハードルなどにより、EPA候補者の国家試験合格率は全体に比べて著しく低く、資格取得後のサポートも不十分で、結果として、資格取得後、帰国した人も多いと指摘されます。
政府はこの間、EPAに加えて、技能実習や特定技能を含め、医療・介護分野での外国人労働者の受入れを次々拡大してきました。しかし、ケア労働者の低賃金や長時間労働といった処遇改善を行わないまま、経済連携や技能移転を建前に、本音は人手不足解消のため外国人労働者の受入れの規制緩和を進めることは、安価な労働力確保策と言わざるを得ません。
命と健康、人権と尊厳を保障するために、ケア労働者の賃金、処遇の抜本的な改善を図る社会保障政策への転換こそ求められることを指摘し、討論とします。

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