2024年5月23日
気候危機は人権問題
外交防衛委員会で気候危機問題で質問。議題にあがったロンドン条約の改定は、二酸化炭素を回収し地中に貯留するCCS事業を推進する一環で、貯留のための輸出を可能にする協定です。
4月に行われたG7気候・エネルギー・環境相では、石炭火力発電の段階的廃止について、「2030年代前半」と初めて時期を明示しました。ところがよく読むと、「2030年代前半、または、各国の温室効果ガス排出量実質ゼロの目標と整合する方法で」とあり、必ずしも2035年ではありません。日本はいつ廃止するのかと問うと、「日本として廃止期限を設けることは考えていない」と開き直る経産省。
CCS事業は技術的に確立されているとは言えず、世界で唯一稼働中のカナダの発電所では、CO2の回収率が低迷しているといいます。分離し回収するために大量のエネルギーや水を要します。だいたい回収したCO2を大型の船で輸送すれば、輸送自体で化石燃料を消費します。
欧州人権裁判所は、スイス市民がスイス政府の気候変動対策が不十分で熱波などにより健康や生活が脅かされているとした訴えを認め、スイス政府に対策を求める判断をしました。気候危機対策をめぐり、権利侵害とした初めての国際裁判所の判断です。
国連は2022年7月、「清潔で健康的かつ持続可能な環境への権利」を人権と認める決議を採択しました。国連総会で環境の権利を正面から認めたのはこれが初めてです。
外務省は、「環境への権利は定義が明確でない」などとしつつ、「決議全体の趣旨に賛成した」と答弁。大事な視点であり、この立場で臨むべきです。