山添 拓 参議院議員 日本共産党

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2017年2月15日

福島原発事故 津波は予見し得た

参議院の「資源エネルギーに関する調査会」にて、原子力規制委員会に対する質問を行いました。

原子力規制行政は、「深刻な災害が万が一にも起こらないようにする」ことが求められます。これは1992年の伊方原発訴訟最高裁判決で、判決文に見られる文言。したがって、常に最新の知見を規制行政に反映させるべきだとされています。
では、福島原発事故前には本当にこの立場がとられていたのか。

2002年7月、政府の機関である地震調査研究推進本部が「長期評価」を発表し、福島沖を含めてマグニチュード8クラスの地震が起こり得ると予測していました。ところが、政府も東電もこれを無視。このとき「長期評価」に沿って直ちに津波の試算をしていれば、福島原発に敷地高さを超える津波が到達することを予見し得た。現に東電は、その後の2008年に試算を行い、福島原発で最大15.7mとの結果を得ています。
ところが、国は当時、「長期評価」に基づいて津波の評価をすることはなく、東電になんらかの指示をしたこともありませんでした。
田中俊一規制委員長に、それはなぜかと聞くと、「詳細は承知していない」との回答。あまりに無責任ではないか。

阪神・淡路大震災を経て、防災対策のために政府が初の公的見解として示した「長期評価」です。それをなぜ、同じ政府機関である原子力行政が無視したのか。
委員長に代わって答弁した事務方は、東電が土木学会の調査に基づき試算した結果があったからだと述べましたが、土木学会の津波評価部会は電力会社が委員も事務局も、カネまで出しているお抱えの組織です。
なぜ、「長期評価」で示された最新の知見ではなく、電力会社の意のままの土木学会に固執するのか。

真実は、政府も東電も、敷地高さを超える津波対策が必要となるのを避けるために、意図的に「長期評価」を無視したとしか考えられない。

いま「生業訴訟」など全国でたたかわれている裁判で国は、「長期評価」を目の敵にし、「座長の意向に沿うようまとめられたものだ」「信頼性が低い」などと罵っています。
その「長期評価」について、文科省は公的統一見解としての性格を正面から認め、規制委員長は「評価する立場にない」と答弁。裁判での国の態度と並べると、いかにバラバラであることか!

「深刻な災害が万が一にも起こらないようにする」ことを求められる原子力規制行政が、様々な分野の「最新の知見」を踏まえた判断など決してしてこなかったということは、はっきりしたのではないか。

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