山添 拓 参議院議員 日本共産党

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2017年5月10日

原発ゼロのエネルギー政策に

10日の委員会3連続。午後は資源エネルギー調査会。3回の参考人質疑を経て、早くも締めくくりの対政府質疑と意見表明でした。
国会はこの後も続きますが、調査会報告を取りまとめる時間の都合で店じまいするといいます。
ただし、この調査会は原子力規制行政を監視する役割も担っており、こちらは定期的な開催が必要ですので、今後も求めていきます。

エネルギー政策では、やはり原発への態度が問われる。
最後の意見表明では、原発ゼロを前提に、再エネ拡大と省エネ促進をと訴えました。
5分の発言なので少し長いですが、以下に発言原稿を引用します。

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日本共産党の山添拓です。エネルギー政策にかかわって意見を述べます。

東日本大震災と福島第一原発事故がもたらしたのは、放射能の危険のために町が丸ごと避難させられる、誰も経験したことのない広い範囲にわたる深刻な被害です。
私が弁護士としてかかわったある事件に、事故後、避難を余儀なくされ、仕事もなくなり、避難先の慣れない土地で生活リズムを崩し鬱病を発症し、自宅に帰りたいと繰り返し望んで、ようやく一時帰宅できたその翌朝早く、焼身自殺でこの世を去った女性がおられました。ふるさとを失う絶望感と先が見えない不安に、いまも多くの方が苦しんでいます。
その経験は多くの国民に共有され、「原発ゼロ」を望む世論として、明瞭に意思が示されています。私は、日本で今後のエネルギー政策を語るときに、福島事故の被害とその経験を踏まえた民意を無視することは、許されないと考えます。

一方で政府は、原子力を「重要なベースロード電源」と位置づけ、将来も原発に依存しながら、再生可能エネルギーは22〜24%と、福島事故前に政府が掲げていた数値とほとんど変わりません。
再エネの導入を本格化し加速化するとともに、無駄なエネルギー需要を削りエネルギー効率の引き上げや省エネを徹底する、原発ゼロを前提に持続可能な低エネルギー社会を実現し、エネルギー自給率をも高める方向を目指すべきです。

 調査会を通じて、世界の流れと国内の動きを踏まえ、この方向が現実的なものであり、そのために政治が姿勢を改めるべきことが鮮明になったと考えます。
 2015年には世界の発電量の約4分の1が再エネ電気となりました。発電設備容量の増加や投資額の伸びも目を見張るものがあります。「予測する以上の速度での導入拡大」と評されるほどで、政府が2030年電源構成を決めた折りにはなかった再エネコストの低下が、世界的に明らかです。こうした点を踏まえ、将来のエネルギーミックスを長期的な視点から見直すことが有用だという意見に、耳を傾けるべきです。
さらなる政策誘導により、コストだけでなく技術革新や普及を後押しすることは可能です。世界の再エネ先進国に追いつくために、2030年までに一次エネルギーの30%を再エネでまかなう目標をもち、実行に移すべきです。

 併せて、低エネルギー社会を実現するためのエネルギー効率の引き上げと省エネの徹底も重要です。
 ピーク時の電力消費量の4分の3が業務と産業分野で占められており、この分野での効率化によって電力需要や化石燃料の需要を減らすことが可能です。たとえば天然ガス火力発電所では、エネルギー利用率が約40%の旧型設備を、最新にすれば60%に引き上げられるとのことです。同じ発電量で燃料消費量を25〜30%削減できます。設備更新は段階的に進められていますが、より加速させ、火力発電所の燃料を、CO2排出量の多い石炭・石油からLNGへと切り替える政策を推進すべきです。
省エネ投資は内需拡大、雇用の創出にもつながります。

原発がなくても電気は足りています。3.11後のいまとなっては、原発は安定的な電力供給源としての地位を失っていますし、期待もされていません。
原発をやめれば電気代が上がり、産業競争力が低下すると指摘されることがありますが、工場やビルなど産業分野で省エネの設備投資を進めれば、エネルギー削減が実現できます。
福島事故の収束のメドが立たず、賠償も廃炉も費用が膨らみ続ける、核燃料サイクルが破綻し、使用済み核燃料の保管すらままならないなか、原発への依存を強め、将来世代にさらなるリスクとコストを先送りすることは、責任ある政治ではありません。
原発ゼロ、再エネ本格導入と省エネ徹底によるエネルギーの新時代に進むべきことを述べて、私の意見とします。

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