山添 拓 参議院議員 日本共産党

ブログ

2016年5月16日

定年後の賃金格差は不合理

定年後の再雇用で、賃金格差を設けることが労働契約法20条に違反し不合理な相違だとする東京地裁判決。同様のケースはほかにもあり得ると思われ、注目されます。

13日に出された判決は、この点に関して違法を認めた初めての判断。横浜市の運送会社に運転手として勤めていた原告らは、60歳で定年に達した後、半年ないし1年の期間の定めのある契約を締結。仕事内容は変わらず、月4000キロを走ることもあったそうですが、月額にすれば約10万円も減額に。

判決は、職務の内容、職務内容と配置の変更の範囲が「同一であるにもかかわらず、労働者にとって重要な労働条件である賃金の額について、有期雇用労働者と無期雇用労働者との間に相違を設けることは、その相違の程度にかかわらず、これを正当と解すべき特段の事情がない限り、不合理である」としています。
特段の事情については、賃金コストを圧縮しつつ定年後の雇用確保のため、定年後の賃金を下げることには合理性がある。しかし、今回の被告で賃金コスト圧縮の必要はなかったとして、否定。
さらに、再雇用に年金支給時期との「つなぎ」という位置付けがあるからといって、賃金水準だけを引き下げることに合理性はないとします。

年金支給年齢の引き上げにともない、高年齢者の雇用が制度として定められています。しかしその実態は、経験ある労働者を安く使うだけのものに。現役時と変わらない仕事、会社への貢献度も変わらないというなかでの賃金カットは、やはり不合理。

有期雇用だというだけで不合理な差別的取扱いを禁止する労契法20条は、2013年4月施行。20条違反を主張して有期雇用と正社員との待遇格差を問題とする裁判は、メトロコマースや日本郵政などでも争われています。職務内容の同一性判断などハードルはあるものの、今後のたたかいにも影響する判断です。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201605/CK2016051402000145.htmlFB_IMG_1463496261404

ページ
トップ