山添 拓 参議院議員/弁護士 東京選挙区候補 日本共産党

ブログ

2022年4月13日

憲法審査会を動かすべきではない

参院憲法審査会がオンライン国会を中心テーマに開かれました。議員間の意見交換では、持ち時間のすべてを意見表明に使う会派と、法制局や事務局への質疑に使う会派があり、私は5分で意見表明を行いました。その全文を下記で紹介します。
 
なお、自民党議員が9条と自衛隊についての日本共産党の見解について私に問う場面があり、突然の質問でしたが答弁しました。
 
9条と自衛隊は矛盾する存在であり、段階的に解消するべきです。それは一歩ずつ合意を踏まえて進むもので、いますぐなくそうとは考えていません。9条も命も守るという立場で、万が一急迫不正の侵害を受けた場合には自衛隊を含めあらゆる手段を用いることも表明しています。しかしそれは、被害や犠牲を生むことになります。だからこそ平和外交で戦争を起こさせないことを政治の基本とすべきです。
という趣旨を述べました。日本共産党の見解への注目が広がっていることを実感します。
同時に、憲法審査会を動かせば、入り口は「オンライン国会」であっても緊急事態条項や9条へ、改憲項目のすり合わせへと議論は進んでいくことが明らかです。多くの国民にとって、改憲は優先すべき政治課題でないなか、憲法審査会を動かすべきでないことが改めて浮き彫りになったと思います。
 
==============
 この間衆参で、本会議へのオンライン出席の可否をめぐり、憲法56条1項に関する憲法審査会が開かれてきました。
 しかし、新型コロナの感染拡大が繰り返す下でも、国会議員の3分の2、参議院の定数でいえば164人が、同時に一定期間にわたり国会に参集できない事態は生じていません。衆議院で高橋和之参考人が明確に述べたように、本会議へのオンラインでの出席、表決を必要とする具体的事実はないというべきです。
 国会のコロナ対策は、議院運営委員会で議論が重ねられ、マスク着用の徹底や委員会室の座席配置の変更など随時行われてきました。科学的知見に基づく適切な対策が必要であり、引き続き議運で対応すべきです。参議院改革協議会でもオンライン審議が検討項目に上がっています。
 憲法審査会で議論する緊急の必要はなく、ましてや憲法56条1項の解釈を多数決で確定するなどということは、審査会の権限を越えます。
 
 日本国憲法第4章は、国会議員は全国民の代表であるとし、その地位の独立と、国会における自由な発言と表決を保障し、本会議について、会議公開の原則の下、議員同士が相互に認識できる議場に出席し、議論を尽くして表決することを要請しています。国民主権と議会制民主主義の大原則です。
 衆議院で高橋参考人は、憲法56条1項はルールを定めた規定であり厳格に解釈すべきだと述べ、この規定は会議体を成立させる最低限の要件として、少数者を保護し、あるいは権力の濫用を防止するために置かれたものだと指摘しました。国会も国家権力の一つであり、多数派による立法権行使の濫用・暴走を防ぐ上で、条文解釈は厳格になされるべきです。
 
 当審査会で赤坂幸一参考人は、国会議事堂という場で国民代表の声が出されていることが重要であるとして、特定の事情で議会が物理的に集会できないような場合にのみ、例外的ないし限定的にオンライン審議を行うことも議会の形成権に入るだろうと述べました。もっとも、それがどういう場合に生じるかは予め予見するのが難しく、濫用の懸念については、全会一致ルールを併せ考える重要性を指摘しています。
 長谷部恭男参考人は、憲法56条1項は準則としての性格が濃いとして、オンライン出席が認められるのは、それを認めない限り国会としての最低限の機能をも果たすことができないという例外的な事情が客観的に認定される場合に必要最小限の範囲内のみとすべきとし、それは誰が見ても本会議に集会できるような状況ではない、多くの人に元々コンセンサスがある場合であろうと述べました。
 
 両参考人の意見は、いずれもオンライン出席を必要とする場面は極めて限られるという前提に立つ慎重なものです。予見しがたい事態を軽々に想定すべきではなく、当審査会で、現下のコロナ対策と絡めたり、いたずらに危機感を煽ったりして結論を急ぐべきではありません。
 
 新型コロナ対応と憲法にかかわっては、臨時国会の召集義務違反に触れざるを得ません。憲法53条は、いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣はその召集を決定しなければならないとしています。ところが2020年7月と2021年7月、野党が求めた臨時国会召集を安倍内閣、菅内閣は拒み続けました。赤坂参考人は「問題がある」といい、長谷部参考人も「学界の通説は赤坂参考人が述べたとおり」としました。
 国民の生存権が脅かされるなか、憲法の明文に反して国会を開こうともしなかったことへの反省もなく、緊急時の国会出席をことさら論じるのは不可解です。コロナ危機に乗じて、権力集中を伴う緊急事態条項の創設に向け、改憲論議を加速する呼び水という疑いすら抱かせます。
 いま政治に求められるのは、新型コロナ「第7波」を見据えた対策の強化や、ウクライナ侵略を受けたさらなる物価高騰に備える補正予算を組み、くらしと経済を支えることです。予算委員会をはじめ徹底した審議を行うべきであり、憲法審査会を動かすべきではないことを強調し、意見とします。

ページ
トップ