山添 拓 参議院議員 日本共産党

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2022年4月28日

民事訴訟法改定案の「期間限定裁判」制度について

今日から法務委員会で民事訴訟法改定案が審議入り。初日は参考人質疑でした。
 
主に民事裁判のIT化名目とする法案ですが、なぜか「期間限定裁判」の制度が盛り込まれました。
6か月と期限を切り、裁判官には事件処理を急がせ、当事者にも主張立証を急かし、結審から1か月で判決に至る、しかもその判決は部分的で簡略なものでよいという制度です。
 
意見陳述した国府泰道弁護士は、当事者が主張立証を尽くして裁判に熟したときに判決するという民事訴訟の大原則を損なうものであること、粗雑な審理で不十分な裁判となるリスクがあること、制度を必要とする理由、立法事実について十分検討されていないことなどを指摘。
裁判は相手のあることで、やってみなければわからないところがあります。審理を進めるうちに証拠が出てきたり相手の主張が明らかになったりするため、一定の期間で終わりとなると十分審議を尽くせないまま判決に至るおそれがあります。
 
申立てのオンライン化については国際的な調査をそれなりに行った法務省が、この期間限定裁判についてはなんら調査していないというのも不思議です。
争点が少なく、主張も証拠も明確な事件で使えるといいますが、そういう事件はこの制度がなくても迅速に進みます。
 
いま裁判に時間がかかるのは、裁判官が多くの事件を抱えていたり、部屋が確保できなかったり、裁判所の人的物的体制の問題が大きい。ところが裁判官も職員も減らし続け、最高裁予算は三権分立などお構いなしに財務省が「査定」まがいの注文をつけています。
やるべきことを誤り、裁判を受ける権利を損なう制度をつくろうとするのは、やめるべきです。

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