山添 拓 参議院議員 日本共産党

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2022年12月8日

統一協会被害救済法案 異例の国会運営

統一協会の被害救済のための法案が、衆議院で委員会採決。日本共産党は、修正案を提出した上で反対しました。

本来、さらに審議を尽くしてよりよいものにできるはずですが、会期内成立に固執する官邸が急がせ、他の野党もそのスケジュールに乗ってしまいました。そのため、衆議院で採決したその日に参議院で質疑を行うという異例の国会運営に。しかも明日、明後日も審議するといいます。これでは、衆議院や今日の本会議での答弁ぶりを会議録で確認した上での充実した質疑とはなりません。

法案への賛否にかかわらず、参議院、ひいては2院制の下での審議を形骸化させるやり方自体、この法案を軽んじています。

私の質問原稿をご紹介します。

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 日本共産党を代表し、消費者契約法等改正案及び法人寄附不当勧誘防止法案について、岸田総理に質問します。

 この質問は昨夜、衆議院での採決はもとより、本日午前の総理質疑より前に準備したものです。衆議院での審議を踏まえた熟議と再考を任務とする参議院の審議を形骸化させる運びに強く抗議します。

 総理は、拙速な審議で不十分な法案でも通しさえすればよいとでもお考えですか。会期末ぎりぎりの審議となっているのは、総じてこの間の岸田政権の責任です。わが党は、会期延長の申入れを行いました。参議院で十分審議を尽くし実効ある規制とすることをお約束ください。

 統一協会の加害行為の中核は、正体を隠して勧誘し、知らないうちに教義を植え付け入信させる、信教の自由の侵害にあります。総理にその認識はありますか。

 法案は、統一協会によるこうした被害実態を十分踏まえたものとはいえず、被害者の主張立証や裁判所の判断次第で救済が大きく左右されるという課題があります。わが党が衆議院で修正案を提出したのは、法案に看過できない不十分さがあるからにほかなりません。

 禁止規定の4条6号は、寄附の勧誘をするに際し、不安をあおりまたは不安に乗じて、寄附が必要不可欠と告げることによって困惑させてはならないとし、これらをすべて満たす場合に取消権を行使できるという条文です。

 しかし、統一協会による被害は、勧誘され入信し、教義を植え付けられた下で寄附するため、寄附の時点では「困惑」していないケースも多くあります。この場合、取消権の行使は困難ではありませんか。

 総理は衆議院で、マインドコントロールによる寄附は多くの場合不安に乗じた勧誘であり取消権の対象となると答弁しています。不安に乗じた勧誘であれば、自動的に「困惑」したといえるのですか。

 教義に基づく責任感や義務感から寄附した場合、寄附を勧誘する側には相手が「困惑」しているとは見えません。禁止規定として、明確性を欠くのではありませんか。

 統一協会は、入信させる当初は必ずしも寄附が必要不可欠と告げるわけではありません。数か月から数年をかけ伝道・教化し、持たせた信仰を利用して献金させます。入信と献金要求にタイムラグがある場合、「寄附の勧誘をするに際し」、困惑させたといえるのですか。

 衆議院で総理は、入信から寄附に至るまでが「一連の寄附勧誘と判断でき、事後的に寄附当時困惑していたと考えた場合」には取消権の対象になると答弁しています。しかし、「寄附の勧誘に際し」という文言では、タイムラグが長期にわたる場合まで含むと読むのは無理があります。また、被害者が事後的に、「当時困惑していたと考えた」かどうかで禁止されたりされなかったりするのでは、明確性も法的安定性も欠くのではありませんか。答弁を求めます。

 重大な不利益を回避するために寄附が「必要不可欠」と告げることが要件とされます。単に「必要」では足りず「不可欠」まで求めるのはなぜですか。

 衆議院で川井康雄参考人が紹介したように、「出家するか、あるいは出家したつもりで210万円浄財しなければならない」などと選択肢を示した場合、「必要不可欠」と言えますか。

 総理がいくら取消権の対象となると主張しても、最後は司法判断です。裁判で統一協会が、「献金は自発的になされ困惑していなかった」「不可欠とは言わなかった」などと反論して被害救済が阻まれることのない、明確な条文にすべきではないでしょうか。

 総理は、配慮義務規定を禁止規定にすべきという指摘に、「どのような行為をしてはならないか的確に認識できるよう、可能な限り客観的に明確なものとすべき」と述べています。しかし、特に法案3条3号の正体隠しや使途を誤認させる寄附勧誘は、刑法の詐欺罪に当たりうるもので、してはならない行為は明確です。なぜ禁止規定にできないのですか。

 衆議院における修正案で、配慮義務違反に対する勧告が盛り込まれています。配慮義務に違反してされた献金を、勧告により被害者に返金させることはできますか。

 信者や家族が困窮するほどの過大な献金被害も深刻です。

 法案5条は、借入れ等による資金調達の「要求」を禁止しています。要求されず、自発的に献金した場合を禁止しないのはなぜですか。自宅などを売却して現金で献金した場合だけでなく、不動産そのものを寄附する場合を禁止していないのはなぜですか。また、これら過大な要求による寄附について、取消権の対象としなかったのはなぜですか。

 統一協会などの宗教2世らが「宗教2世問題ネットワーク」を設立し、法案は被害実態と乖離しているとして修正を求めています。進学・就職・結婚など人生の様々な場面で望まない選択を強いられてきた宗教2世の方たちの声を、総理はどう受け止めていますか。

 法案が子や配偶者の被害救済のためとして設けた債権者代位権の特例では、取り戻せる範囲が養育費などに限られます。親の無資力が要件となることからも、救済はかなり限定されるのではありませんか。

 2世被害者の場合、親権者である親が信者であるために裁判の同意が得られず、救済は困難と考えますが、どう認識していますか。

 統一協会は、信者に献金等をさせる際、領収書など金品を受け取った事実を示す書面を交付することがほとんどありません。そのため、長年にわたる被害の末に脱会し、賠償請求しようとしても記録がなく、被害の全体像を把握すること自体、困難なケースが少なくありません。

 1回につき10万円以上など、一定額を超える寄附を受け取った場合には帳簿の作成を義務づけ、寄附をした本人等から請求されたときは帳簿の開示を義務づける仕組みを設けることも検討すべきと考えますが、いかがですか。

 総理は、宗教法人法に基づく解散命令請求のために、統一協会の法令違反の組織性、悪質性、継続性を確認すると述べてきました。本日までに、いかなる法令違反の事実を把握できましたか。

 政府は1994年以降、民事裁判で統一協会の責任が認められた事件を少なくとも22件把握しているといいます。新たに判明した、養子縁組のあっせんを許可も得ず継続的に行っていた事実は、これだけで重大です。すでに確認できた事実に基づき、直ちに解散命令請求に踏み出すべきです。答弁を求めます。

 政府は全国霊感商法対策弁護士連絡会などから、統一協会による深刻な被害にかんする情報を継続的に得てきました。ところが、解散命令請求はおろか、調査も行わず、逆に正体隠しに荷担する名称変更まで認めてきました。

 総理は国会で、「今日まで放置したことは政府として深刻に受け止めなければならない」と述べました。深刻な被害を政治が放置してきたのはなぜだとお考えですか。自民党と統一協会が癒着を深め、被害を拡大させてきたという認識はありますか。

 総理は、新たな接点が判明した場合には、その都度、追加的に報告、説明を行うことを徹底すると述べています。9月に自民党が各議員の自主点検結果を公表した後、追加的に報告、説明した議員は何名で、どのような関係が判明したのですか。

 共同通信の調査では、統一協会や関連団体と接点があった都道府県議は少なくとも334人、その8割以上が自民党といいます。同時に、宮城県の村井嘉浩知事をはじめ157人が調査に回答しておらず、闇はもっと深いことが疑われます。茨城県、高知県、京都府、千葉県など各地の議会では、統一協会との癒着解明、被害者救済を求める意見書が、自民党などの反対で相次いで否決されています。自民党として、責任をもって調査し、地方議員を含め統一協会との癒着を徹底解明するべきです。

 以上答弁を求め、質問とします。

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