山添 拓 参議院議員 日本共産党

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2023年6月6日

軍需産業支援法案への反対討論を行いました

入管法改定案は法務大臣の問責決議案提出で今日の採決がなくなりました。多くの方が声を上げ、採決させない力関係をつくりだしています。

一方、進む悪法も。今日は軍拡財源法案の連合審査(財政金融委員会+外交防衛委員会)で参考人質疑が行われたほか、軍需産業支援法案は委員会で採決されました。私の反対討論原稿をご紹介します。

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日本共産党を代表し、防衛装備品基盤強化法案に反対の討論を行います。

政府が安保3文書改定に向けて設置した有識者会議では、武器輸出の拡大により軍需産業を成長産業にすべきとの主張が相次ぎました。すでに政府は、イギリス・イタリアと共同開発する次世代戦闘機について「たくさん売れば売るほど単価が下がる」などといい海外への輸出をもくろんでいます。安倍政権が憲法9条に反して武器輸出の解禁に転じた上に、与党協議で殺傷能力のある兵器まで全面的な輸出解禁をねらっています。戦争を企業のもうけに利用し経済成長を図ろうとするのは杉原参考人が指摘した「死の商人国家への堕落」との批判を免れず、断じて許されません。

軍需品製造ラインの強化や事業承継など企業が策定する計画を防衛大臣が認定し、その費用を国が負担することとされますが、支援対象は民需品と共用の製造ラインでもよく、また黒字の大企業も対象とされ、複数の支援メニューを受けることも可能です。それでもなお手段がないときは、国有化のスキームも用意され軍需産業にとってまさに至れり尽くせりです。国有化後、民間に譲渡する期限の定めはなく、国有民営が続けば事実上、戦前・戦中の「工廠」の復活に道をひらくことになります。

佐藤参考人は、官が認定し官の裁量を増やす点で潜在的に不祥事のリスクがあると指摘しました。武器輸出を支援する指定法人も、基盤強化の計画認定も、軍需産業側とも防衛省側とも構造的な癒着が懸念されます。しかし、審議を通じて明らかになったように、法文中にこれを排除する規定はなく、繰り返されてきた汚職や腐敗の危険はいっそう高まります。

秘密保全の措置は、防衛省と契約する企業に対し、特約条項にとどまらず従業員を刑事罰の対象として義務を課すものです。しかし従来、情報漏えいに対する違約金の対象となった事業者の例をただの一件も挙げることができませんでした。そもそも立法事実を欠きます。

従業者情報を防衛大臣に報告させる対象は、「防衛大臣の定める事項」とされ限定がなく、プライバシー侵害の危険が軽視できません。

軍需産業を特別扱いで支え、産業と経済を軍事に従属させることは、社会全体にゆがみをもたらします。官民一体での武器輸出の促進は、「我が国にとって望ましい安全保障環境の創出」どころか東アジアの緊張関係を高めることにつながります。日米の軍事一体化を中心に、軍事的対抗を強めるのではなく、地域のすべての国々を包摂する平和の枠組みを発展させることにこそ力を尽くすべきです。以上、反対討論とします。

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