山添 拓 参議院議員 日本共産党

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2023年9月19日

ジェンダー平等をめざして「大事なことは意思だ」

パリでの実質初日。

まず外務省でオリエンテーションを受けました。今回招待を受けたPIPAというプログラムは1989年に始まり、私で2167人目、日本人では35人目とのこと。フランスでは外務大臣直属の、将来について戦略を練りアドバイスする部署が担当していますが、同様のとりくみはアメリカなどにもあるようです。

外務省は「Quai d’Orsay」といい、1855年に完成した歴史のある建物が使われています。オリエンテーションもその一室で行われました。

その後はパリとその近郊を含むイル・ド・フランスという行政組織の、女性の権利と男女共同参画担当セクションでディレクターと懇談。ジェンダー主流化のとりくみ(フランスでは「統合的アプローチ」と呼ばれています)として、中央政府が地方の政策にもジェンダー平等を徹底させるために5年前に設置されました。

その優先順位は、①女性に対する暴力、②雇用、③女性の健康、④ジェンダー平等の意識を高めるための行動ーーシェルターなどの支援、性教育など多岐にわたって実情をうかがいました。

続いてAnactという労働条件改善推進局のジェンダーと労働をテーマにした専門プロジェクトのマネージャーと昼食をとりながら懇談。

15年前につくられたヨーロッパでもオリジナルの部署で、役所と労働組合、事業者団体が構成しルールづくりを進めています。

印象的だったのは、男女の労働災害の現れ方の違いについて分析していること。社会保険の分析で、この間に労災は男女合わせて10%減少したそうですが、男性は27%の減少、女性は42%の増加だといいます。性別役割分担は仕事にも反映し、男性が就く仕事ほど危険度が高い場合が多かったところ、そうした仕事にも女性が就くようになり生まれた変化ではないかとお話しでした。それは男性にとっても女性にとっても改善が必要だとお話しでした。

日本の #KuToo についてもご存知で、盛り上がりました。

最後は市民団体「エル オッシ(彼女らもまた)」での面談。

1992年に設立された政治分野の男女平等、パリテをめざす団体です。当時、フランスでも女性議員は5%。カトリック系の団体が母体となってつくられ、全国の様々な女性問題にとりくむ団体の一致する要求として党派や宗教を超えて共同してきました。

例えばある県議会の場合、全県で40の小選挙区がありほとんどすべて男性が選ばれていましたが、すべて定数2の20選挙区に合区し、政党は立候補するには男女各1名とすることを義務付けました。投票は男女1名のセットを選ぶので、必ず男女平等となる仕組みです。恥ずかしながら私は知らなかったので、思わずなるほどとうなりました。

女性議員の議会活動などでの配慮について聞くと、女性議員が増えたことで考え方も変わってきたといいます。女性が参加しやすい時間での会議にする、小さい街でそれまでなかって保育施設がつくられるなど。フランスではもともと子どもは大切にされていることも背景として強調されました。

日本の目を覆うばかりの状況もお話ししていたところ、「大事なことは意思だ」と最後に強調されました。胸に刻みたい。

移動途中の車内から、エッフェル塔を見上げました。

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