山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2024年・第213通常国会

防衛省、「自衛隊の運用上の課題」に空港・港湾の「優先利用の確保 」/安保風力発電規正法 反対討論

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
法案について伺います。
自衛隊や米軍の基地周辺で、風力発電設備の設置を規制する法案です。電波障害のおそれを防ぐためと言いますが、基地の都合で民間の経済活動を一方的に制約するものです。事業者は、工事の着手前に防衛大臣に届出を義務付けられる規律となっています。
資料をお配りしていますが、この産経新聞の見出しは、「外資の再エネ参入 安保リスク」となっています。
防衛省に伺いますが、届出に当たって、事業者の資本関係や関係者の国籍まで確認するつもりですか。

○防衛大臣(木原稔君) 本法案ですが、風力発電設備の設置により自衛隊のレーダー等に著しい障害が生じるおそれがある区域を電波障害防止区域として告示で指定し、当該区域内に風力発電設備を設置する場合には設置者に届出を求めることとしております。
届出事項についてでございますが、風力発電設備が自衛隊等の使用する電波の障害原因となるかを判定する上で必要となる事項として、風力発電設備の位置、高さ、形状などを考えておりますが、それらを含め必要な事項については今後防衛省令で定めることとしており、省令の策定時に検討をしてまいります。

○山添拓君 そうすると、普通は資本関係や国籍などは、レーダーなどでの影響とは関係ない事項ということになるでしょうか。

○国務大臣(木原稔君) 届出事項でございますが、今後防衛省令で定めることとしていると先ほど申し上げましたが、その省令の策定時に検討いたしますが、電波を用いた自衛隊等の円滑かつ安全な活動を確保するという本法案の目的に必要な範囲内で定めると、そういうふうにしております。

○山添拓君 事業者と防衛大臣は、相互に工事の計画の変更など、必要な措置を求めることができるとされています。
相互にと言いますが、どう考えても防衛大臣側が事業者に対して計画変更などを迫る場面の方が多いだろうと思います。安全保障のために協力せよと言って、必要な措置をとるように協議を求めていくということが想定されます。
そこで、大臣に伺いますが、法案には、協議の結果、事業者が計画の変更、それは計画の縮小や場合によっては取りやめるということもあるかもしれませんが、その場合の補償についての定めはありません。何の補償もないのでしょうか。

○国務大臣(木原稔君) 本法案でありますが、自衛隊等のレーダーに著しい障害が生じる場合に、防衛大臣と風力発電設備の設置者が、レーダーの機能を補完するための措置や工事の計画の変更など、必要な措置について協議を行うこととしております。
その上で、双方でいかなる措置がとり得るかについて協議を行うわけですが、その際に、委員のおっしゃるその費用負担についての協議を行うことも考えられますが、個別、それはもうまさしく個別具体の状況に応じて変わり得るものでありますから、現時点ではそれを確定的には言えませんが、費用負担についても協議を行うことも考えられます。

○山添拓君 規定がないんですね。協議が調うまでは最大二年間、今日もお話がありましたが、工事をストップさせ得るわけです。もしその間に着手すれば、罰則を科すわけですね。しかし、事業者は、計画を作って着手寸前、その段階で初めて自衛隊や米軍の計画を知らされるという事態も起こり得るだろうと思うんです。計画準備段階に掛けた費用や二年間稼働すれば得られた利益を得られなくなる可能性もあるわけですね。
今の大臣の御答弁では、補償についてはあり得るのだという理解でよいのでしょうか。

○国務大臣(木原稔君) まさに防衛大臣と設置者との協議、個別具体的なその状況によってその協議の内容は様々だと思いますので、具体的には申し上げられません、申し上げることは困難でありますが、その費用負担については協議は行い得るということを申し上げております。

○山添拓君 これは明確にされるべきだと思うんですね、少なくとも。
憲法二十九条三項です。私有財産の制約というのは正当な補償がなければ許されないというのが我が国の憲法です。財産権と経済活動の自由を制限するにもかかわらず、何の補償についても定められない。協議はするとおっしゃいましたが、規定がありません。自衛隊、米軍の都合を優先というのは、私は憲法に照らして理不尽だと考えます。法案には反対です。
それでは、今日は、あとの時間を使いまして、先日審議した改定防衛省設置法に基づいて新編する海上輸送群についてまず伺いたいと思います。
八日の本会議で、大臣は、この海上輸送群、米軍の輸送を目的とした部隊ではないと答弁されました。ただ、私の質問は、米軍の輸送を目的とした部隊かどうかではなく、米軍の輸送も行うのかどうかという質問でした。もう一度お答えください。

○防衛省 整備計画局長(青柳肇君) この防衛力整備計画におきまして、各種輸送アセットの取得に加えまして、統合防衛体制の下、島嶼部への輸送任務等を担う共同の部隊として海上輸送部隊を新編することとしたところでございます。
このように、海上自衛隊海上輸送群は、各自衛隊の部隊と装備品等の輸送任務を専門的に行う部隊として新編するものでございまして、先ほどお話がありましたように、米軍の輸送を目的とした部隊ではなく、また、現時点で具体的な輸送計画もございません。

○山添拓君 米軍の輸送は、そうすると、絶対に行わないわけですか。

○政府参考人(青柳肇君) そういうことを申し上げたということではなくて、現時点で具体的な輸送計画がないところ、予断を持ってその可能性についてお答えすることは差し控えたいということでございます。

○山添拓君 つまり、可能性はあるということで、否定されないわけです。これは、文字どおり、日米で兵たんまで一体化を進めていくということにほかなりません。しかも、大臣は、海上輸送群が特定利用港湾、南西地域を始めとする民間港湾を平時から利用することが想定されるとも述べておりますから、米軍を輸送する船がこの特定利用港湾なども使っていく、その可能性も今の時点で否定されていないわけです。
そこで、特定利用空港・港湾の米軍の利用について改めて伺いたいと思います。
大臣は、九日の当委員会で、松沢委員の質問に対して、米軍が利用する可能性は考えられますとお答えになりました。しかし、従来、大臣は、米軍の利用は想定されていないと答えています。
資料の二枚目を御覧ください。これは内閣官房のQアンドAですが、ここでは、米軍が本枠組みに参加することはありませんと記しているんですね。米軍が利用することはあり得る、可能性はあるにもかかわらず、参加しないとか想定しないとか答えてこられたわけですか。

○防衛省 防衛政策局長(加野幸司君) お答え申し上げます。
今般、総合的な防衛体制の強化の一環といたしまして、自衛隊、海上保安庁が必要といたします空港、港湾を平素から円滑に利用できるように、インフラ管理者との間で円滑な利用に関する枠組みを設けた空港、港湾について特定利用空港・港湾としたところでございます。
このための調整におきまして、インフラ管理者でございます自治体などに対しては、この円滑な利用に関する枠組みはあくまでも自衛隊、海上保安庁の円滑な利用のために関係省庁とインフラ管理者との間で設ける枠組みであってと、この中に米軍が参加することはないということを説明してきているということでございまして、実際そのとおりでございます。
他方で、こうした対象となった港湾等につきましても、かねてから米軍はこの枠組みとは別に使用している場合があるということでございまして、本件の制度ができたからといって従前のアメリカの使用の在り方等が影響を受けるものではないということを防衛省として申し上げているということでございます。

○山添拓君 これ、このQアンドAですけど、そもそも問いと答えが対応していないと思うんですよ。問いは、特定利用空港・港湾となることで米軍も利用することになりますか、少なくともその可能性が高まるのではないですかと。しかし、答えは、米軍が本枠組みに参加することはありませんとあるだけで、米軍が利用するかどうかということは答えていないんですね。いわゆるこれは御飯論法ですよ。
施設管理者や地元自治体や住民に対してもこういう調子で、利用するのかと聞かれたら、枠組みに参加はしませんと、いや、実は使うんですけどねと、こういうごまかしを続けられるんですか。

○国務大臣(木原稔君) 先般、私が答弁を申し上げたのは、米軍は、この仕組みができる前、これまでも、その我が国の民間航空あるいは、アメリカが空港、港湾を利用してきているということ、そして、今般、特定利用空港・港湾としたその空港、港湾についても他の民間空港、港湾と同様に利用する可能性は考えられるという、そういうふうに申し上げたわけであります。
委員のおっしゃるように、そのホームページ等のQアンドAが余りリンクしていないというその御指摘、明示的に説明するべきではないかというのは、そこは、それは私、しっかりとそれを受け止めさせていただいて、自治体に対して説明をする、あるいは国民に対してそういったホームページ等で告知する際には、特定利用港湾、特定利用空港・港湾となることで何が変わるのかというそういう観点を、円滑な利用に関する枠組みに米軍が参加することは、そういう枠組みに米軍が参加することはない旨ということをしっかりと説明をしながら、誤解のないようにしていきたいというふうに思っています。

○山添拓君 今も、参加することはないと言って、誤解を招くような表現をされていると思います。
だって、自衛隊がより使いやすいようにするために特定利用港湾、空港・港湾、指定していくわけですから、日米で共同訓練を強めていく、平時から使っていく、そうなれば米軍の利用も当然増えることが想定されると思うんですよ。ところが、それをここでは書かれていないわけですね。大臣も今、そのようにははっきりおっしゃいませんでした。
この資料の二枚目、Q十四の方ですが、こちらは、特定利用空港・港湾を自衛隊が優先利用することになるかという問いがあり、これには、優先利用のためのものではありませんと、割と真っすぐ答えています。
ところが、三枚目を御覧ください。これは防衛省の、二年前、四月の資料です。自衛隊の運用上の課題を示したペーパーですが、空港、港湾等の優先利用の確保というタイトルで今回の枠組みの構想が記されています。ここには、部隊展開や国民保護に必要となる空港や港湾等の施設を自衛隊及び米軍が優先的に利用できるよう平素から調整を行っておくことが必要と書かれています。
大臣に伺いますが、優先利用の確保とはっきり書かれているじゃありませんか。

○国務大臣(木原稔君) 特定利用空港・港湾の取組でございますが、あくまでも、空港法や港湾法等の現行の関係法令がございます、それに基づいて関係者間で連携し、円滑な施設の利用について調整するための枠組みであります。したがって、そもそも、自衛隊、海上保安庁の優先利用のためのものではございません。
また、米軍ですが、今回の枠組みに参加することはなくて、米軍の優先利用のためのものでもないということは申し上げておきます。

○山添拓君 いや、この資料にははっきり書いていますよ、自衛隊及び米軍が優先的に利用できるようと。米軍も含めた優先利用を検討しているじゃありませんか。防衛省、どうなんですか。

○政府参考人(加野幸司君) お答え申し上げます。
委員に御提出いただきました資料でございますけれども、読み上げさせていただきますが、武力攻撃予測事態において、特定公共施設利用法に基づき、部隊展開や国民保護に必要となる空港や港湾等の施設を自衛隊及び米軍が優先的に利用できるよう、平素から調整を行っていくことが必要であるということでございまして、ここで申し上げております優先的というのは、事態の際にきちんと米軍なり自衛隊が役割を果たせるように優先的な利用を目指したい、そのために平素から調整の枠組みをしっかり整えておきたいと、こういうことであろうかと存じます。

○山添拓君 平素から調整を行っていくための枠組みが今度の特定利用空港・港湾ですよね。それは既に自衛隊や米軍が優先的にできるように、利用できるよう確保していく、その狙いの下につくられた枠組みということをここでは既にはっきりしていると思うんですよ。違うんでしょうか。

○政府参考人(加野幸司君) お答え申し上げます。
先ほど申し上げたとおりでございますけれども、この取組につきましては、平素における空港、港湾の利用を対象としたものでございまして、武力攻撃事態のような有事の利用そのものを対象としたものではないということでございます。
委員が御案内いただきました資料につきましては、この枠組みの議論を始めたときにおきます問題意識の一端といったものをお示ししたものであろうかというふうに存じます。

○山添拓君 つまり、当初は自衛隊と米軍が優先利用できる仕組みをとお考えだったけれども、断念したということなんでしょうか。それなら、その旨はっきりしていただきたいと思います。

○政府参考人(加野幸司君) お答え申し上げます。
本件、特定利用空港・港湾につきましては、いずれにいたしましても、平素から自衛隊、海上保安庁が必要とする空港、港湾を円滑に利用できるように、インフラ管理者との間で円滑な利用ができるようなそうした枠組みを整えていくということでございまして、米軍がこれに参加するということはないということでございます。

○山添拓君 いや、先ほど米軍の利用もあり得るとおっしゃったばかりですよ。またそうやってごまかされるのでしょうか。
この資料には、自衛隊の輸送や国民保護に万全を期すため、日米両国による民間の空港、港湾を含む施設の実地調査を推進するとあります。調査しましたか。

○政府参考人(加野幸司君) お答え申し上げます。
こちらに書いてございます日米両国による民間空港、港湾を含む施設の実地調査という言葉がございますけれども、そちらとこの特定利用空港・港湾とはまたおのずから別のコンテクストであろうかというふうに存じております。
本件制度、すなわち特定利用空港・港湾につきましては、この枠組みを用いて米軍がこれに参加する、あるいはこの枠組みを用いて実地調査を行うといったようなものではございません。

○山添拓君 おのずから別とはにわかには信じ難いと思いますので、整理して委員会に提出いただきたいと思います。

○委員長(小野田紀美君) 後刻理事会で協議いたします。

○山添拓君 ということはですよ、今の説明ですと、この枠組みとは別途、日米両国で民間の空港、港湾を含む施設の実地調査を行ってきた、あるいはこれから行う、こういうことですか、特定とは別だとおっしゃるなら。

○政府参考人(加野幸司君) 突然のお尋ねでございますけれども、いずれにいたしましても、自衛隊あるいはその有事の際におきます我が国の防衛上のために必要なことにつきましては、平素から様々な調査研究に努めてきているというところでございます。

○山添拓君 私は、調査をしたからこそ、この間、特定利用空港・港湾、その指定につながっていると考えるのが自然かと思うんです。
調査の有無、内容について、委員会に報告を求めたいと思います。

○委員長(小野田紀美君) 後刻理事会で協議いたします。

○山添拓君 米国のエマニュエル駐日大使が明日十七日、軍用機で与那国町と石垣市を訪れる計画だといいます。玉城知事は自粛を求めています。住民からも、資料四枚目のとおり、反対の声が上がっています。駐日大使が軍用機の使用を強行する、これはあってはならないと考えますが、政府からはどのようにお伝えになっているでしょうか。

○政府参考人(宮本新吾君) お答え申し上げます。
御指摘の報道に関しましては政府としても承知しておりますけれども、エマニュエル駐日米国大使の活動、それから内容や目的に関しましては、日本政府からお答えするべき立場にはないと、このように考えておりますので、お答えは差し控えさせていただきます。

○山添拓君 いや、お答えいただくべきだと思うんですね。
軍用機で民間空港を緊急時というわけではないのに使っていくというのかと。優先利用のためじゃない、米軍は参加しないと、地元を始め多くの国民をだまして、だますように計画を進めるのは言語道断だと考えます。特定利用空港・港湾の枠組みはやめるべきだということを指摘して、質問を終わります。

―――

○山添拓君 日本共産党を代表し、安保・風力発電規制法案に反対の討論を行います。
本法案は、安保三文書に基づく大軍拡の一環を成し、日米一体の軍事体制を強化しようとするものです。
政府は、敵基地攻撃能力、敵基地攻撃を可能とする長射程ミサイルやイージスシステム搭載艦、衛星コンステレーション、無人機の導入などを矢継ぎ早に進めています。日米首脳会談で日米の作戦及び能力のシームレスな統合を確認し、米軍が進める敵基地攻撃とミサイル防衛を一体化した統合防空ミサイル防衛、IAMDに全面的に参加しようとしています。現にある全国二十八か所の警戒管制レーダーや今後設置が進められるレーダーも憲法違反の攻撃を可能とするために不可欠となる設備であり、地域の緊張関係を一層高めることは明らかです。
また、本法案は、既存の自衛隊及び米軍基地の存在を前提に、民間の経済活動を制約するものです。
政府は、防衛大臣と事業者は相互に調整するといいますが、自衛隊や米軍の運用に障害があると判断されれば、協議は対等にはならず、事業者側が一方的に譲歩を強いられることになるのは明らかです。事業者に対して罰則付きで最大二年間工事の着手を禁止し、工事計画の変更などで事業者側に損失が生じても補償する規定すらないのは、財産権と経済活動の自由の制約として余りにも理不尽であり、容認できません。
以上、討論とします。

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