2025年・第219臨時国会
- 2025年12月4日
- 外交防衛委員会
ルール守らずやりたい放題 米軍の横暴を告発
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
沖縄で米兵の少女暴行事件を受け八万五千人が抗議した県民大会から三十年となります。事件はその後絶えず、昨年六月以降明らかになった性暴力事件で米兵四人が起訴されています。捜査の壁になってきたのが日米地位協定です。これは性犯罪だけでなく、北部訓練場返還後の跡地が汚染されたままとなっている問題や基地由来と疑われる有機フッ素化合物、PFAS汚染の調査、いずれも地位協定が阻んでいます。
外務大臣に伺います。問題意識はもちろんお持ちかと思います。しかし、この間の首脳会談や外相会談では地位協定に言及がありません。高市政権発足後、トランプ政権との間で地位協定改定について議論されたでしょうか。
○外務大臣(茂木敏充君) 米国との間では、平素より、その時々の適切な議題につきまして様々なレベルで緊密に意思疎通を行ってきておりまして、米国政府からは累次の機会に日米同盟に対する揺るぎないコミットメント、これが示されてきているところであります。この日米同盟の中には当然、御指摘の日米地位協定の問題というのも入ってくるわけでありますが、その上で、お尋ねの、どのときにどういう議題を取り扱った、どういうやり取りをしたと、これは外交上のやり取りでありまして、詳細についてつまびらかにすることは控えたいと思っております。
○山添拓君 要するに、国民に対して語れるような明示的な議論はないということですね。
沖縄では、米兵の相次ぐ女性暴行事件を受けて、四月に日米合同のパトロールが始まりました。これ、元々県警が自治体とも連携して夜間パトロールをしていたものに米側が合流したもので、県警は当初から、慎重にしないといけないとしていました。なぜなら主権に関わるからです。それが九月以降、米軍憲兵単独のパトロールも実施されるようになりました。
外務省に伺います。どういう経緯で始まったものでしょうか。
○外務省 大臣官房参事官(山本文土君) お答えいたします。
沖縄県では、在日米軍施設・区域外においてこれまでも米軍による生活指導巡回が実施されてきていますが、地元自治体の要望等も踏まえて、在日米軍が自主的に設けている勤務時間外行動指針、これの実効性を更に高めるという観点から、米、アメリカの憲兵隊は、地元を含む関係者との調整等を行った上で、県警との共同パトロールに加えて、単独でもパトロールを実施してきているところでございます。
重要なことは、これまでに米側が発表した一連の再発防止策が実際に事件、事故の再発防止につながることであり、かかる観点から米側はこのような措置をとっていると理解しております。
米憲兵隊による単独パトロールを通じたものも含め、引き続き、在日米軍の綱紀粛正と再発防止の徹底を働きかけていきたいと考えております。
○山添拓君 今おっしゃった行動指針というのは、例えばリバティー制度のように飲酒時間を絞ったりというものかと思います。
今年四月以降、日米合同か米軍単独かを問わず、基地外でのパトロールというのは何回実施され、その下での逮捕者というのは合計何人いたでしょうか。
○政府参考人(山本文土君) お答えいたします。
委員お尋ねの、本年四月以降に米憲兵隊が沖縄県において在日米軍施設・区域外で実施したパトロールの回数は、共同パトロール及び単独パトロールを合わせて合計三十三回と承知しております。また、当該パトロールに際しての逮捕者数の合計は百一名であると承知しております。
○山添拓君 三十三回で百一名の逮捕者です。パトロールをどれだけ強化しても、リバティー制度違反というのはなくなっていないんですね。先ほども再発防止、綱紀粛正ということをおっしゃったんですが、交通事故、住居侵入、暴力事件など、飲酒した米兵による事件も相次いでおります。つまり、綱紀粛正も再発防止も、あるいはリバティー制度の徹底すらもできていないということですよ。
基地の外で民間人と米軍人、これどう見分けるのかということが最初から懸念されておりました。資料をお配りしています。その下で起きたのが沖縄市での民間人の誤認拘束です。
外務大臣、事実関係を御説明ください。
○国務大臣(茂木敏充君) この必ずしも記事についてどうであるという前に、事実関係について申し上げますと、十一月二十二日の未明に沖縄市及び北谷町において米憲兵隊によります単独パトロール、もちろんこれ県側、警察とも調整した上で単独パトロールを行っておりますが、これが実施をされたと承知をいたしております。
米側からはその際に、リバティー制度、ですから夜中の一時から五時まで外出しない、こういった形の、それによって犯罪をできるだけ抑えていこうと、こういう制度に違反した疑いによりまして米憲兵隊が十三名を拘束しましたが、そのうち一名は日米地位協定の適用を受ける米軍人等に当たらないことと、これが確認されたため、釈放した旨の説明を受けているところであります。
○山添拓君 記事にもありますが、カリーム・エルさん、通りで目が合ったということでIDの提示を求められて、軍人ではない、ですから要求を拒否したところ、米兵がエルさんを後ろから持ち上げて道に投げ出し、二人掛かりで地面に押し付けて制圧し、拘束と。軍人でないことが判明しましたので一時間後にようやく解放されましたが、顔や手首にはけがを負ったということでありました。これ、動画が公開されて、世界中に拡散されています。
その際、エルさんが、IDを見せないからといって手当たり次第に日本の市民を拘束できるのかと尋ねたのに対して、憲兵隊はできると答えているんですね。これ、大臣、事実ですか。
○国務大臣(茂木敏充君) 御指摘の点につきましては、現在、米側が詳細な事実確認を行っているところでありまして、また、事実確認が終了するまでは米憲兵隊によります単独パトロール中断をするとともに、パトロールを実施する隊員を再教育していると、こういう説明を受けているところであります。
○山添拓君 動画見ていただければ、言っていることは間違いないと思いますよ。
資料二枚目をお配りしています。
地位協定の十七条十項は、基地の外での米軍の警察権行使について、これは日本側との取決めを条件としています。日本側での取決めというのは、日米合同委員会の合意があります。合意議事録を下に付けています。基地の近傍で基地の安全に対する罪の現行犯逮捕が条件とされています。
エルさんは、繁華街でIDを見せなかったというだけですから、三つの要件にいずれも当てはまりません。おまけに憲兵隊は日本人まで同様に拘束できると言っております。大臣、これは許されるんですか。
○政府参考人(山本文土君) お答えいたします。
今御指摘のとおり、あと配付資料のとおりでございますけれども、米軍は日米地位協定第十七条十の(b)に基づいて、在日米軍施設・区域外において必ず日本国の当局との取決めに従うこと、また日本国の当局と連絡して使用されること、かつ、合衆国軍隊の構成員の間の規律及び秩序の維持のための必要な範囲内に限ることを条件として軍事警察を使用することができるというふうになっております。また、これに加えて、米軍は在日米軍施設・区域の近傍で当該施設・区域の安全に対する犯罪が現に行われている場合などには、関連の合意議事録等に基づき、米軍人等以外に対しても軍事警察を使用することができるというふうになっております。
今御指摘のあった事案について申し上げれば、まさに今米側で詳細を確認中ということでありますので、それを待ちたいというふうに考えております。
○山添拓君 これは基地の外の問題ですから、本来犯罪行為があれば日本の警察が警察権を行使し逮捕をするなど対応するべき問題です。地位協定上合意があり、取決めがあればそれに従ってということがありますけれども、この明らかになっている事案については、民間人に対して、IDを見せなかったというだけで拘束、かなり乱暴なことまでされております。これは日本側としても、その対応についてきちんと説明を受けて、そしてただしていく必要があると思いますが、いかがですか。
○政府参考人(山本文土君) まずは、先ほど申し上げたとおり、今アメリカで詳細な事実関係を、事実関係に関する確認を行っているというところでありまして、まずその事実関係の確認というのを待ちたいと思いますが、それを踏まえてまさに日米でどういうふうに今後対応していくかというのは、またその次に考えていくことだと思います。
○山添拓君 日本人もできるかと問われて、できると答えていると、これは違いますよね。
○政府参考人(山本文土君) 繰り返しになりますけれども、先ほど述べたとおり、まさに協定上は十七条の十の(b)、それから、まさに地位協定に関する合同委員会の合同議事録ということに基づいて行うということになると思います。
○山添拓君 基づいていないことが行われているようであります。
米兵の性暴力事件が相次いで、その再発防止のためにリバティー制度と言っていたわけですが、それが守られず、事件も続発し、そのリバティー制度の実効性のために行ったパトロールで取決めを守らないと、これ何重にもルールを破っています。
単独パトロールは、先月、那覇市の松山だとか国際通りでも行われています。これ、基地近傍どころじゃありません。
地位協定との関係も踏まえて法的根拠を整理して、この委員会に報告いただきたいと思います。
○委員長(里見隆治君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。
○山添拓君 東京の米軍横田基地では、先月十八日、パラシュート降下訓練中の米兵が羽村市内の民有地に落下する事故が起きました。
訓練は基地内で行われていましたが、現場は基地から三キロも離れた場所です。私も現地に伺ったんですが、交通量のある道路や青梅線の線路もまたいで落下しています。幸い、この米兵は軽傷だったと伺いますが、一歩間違えば住民を巻き込む大事故となりかねませんでした。
事故の翌日十九日に北関東防衛局が横田基地に原因究明と再発防止を申し入れ、三ページに資料を付しています、翌二十日には羽村市長が抗議と訓練の中止を文書で求めましたが、米軍はその日のうちに訓練を再開しています。ところが、その日の、その同じ日に羽村市内の別の場所で実はパラシュートの一部が落下していたということが発見されて、二十一日には米軍のものだったということも確認されています。
これは防衛大臣に伺います。
政府の申入れや自治体の意向を全く無視して訓練再開しています。米軍に抗議されましたか。
○防衛大臣(小泉進次郎君) この件につきまして、まず正確に事実関係お話しさせてください。
十一月十八日にアメリカ空軍横田飛行場においてパラシュート降下訓練を実施中に、アメリカ軍人一名が施設・区域外の東京都羽村市内の私有地に降着しました。また、当該アメリカ軍人が使用していたパラシュートの一部が羽村市内の歩道に落下したことも確認をしております。
防衛省としては、本件を受けて、速やかに関係自治体への情報提供を行うとともに、アメリカ側に対し安全管理及び再発防止等の徹底について申入れをしたところであります。
また、本件降着により建物の一部が破損する被害が確認をされました。アメリカ側からは、十八日の夕方、アメリカ陸軍兵士が横田基地所属のC130輸送機による降下訓練中に、羽村市の横田降下区域外に着地した主降下傘が作動しなかったため、緊急手動に従い予備降下傘を展開した、作動しなかった主降下傘は当該兵士とともに降りた、十八日及び十九日の降下訓練を中止し、使用機材及び手順について徹底した点検を実施したという説明を受けたところであります。また、こうした点につきまして、二十日に横田基地司令から羽村市長に対し直接説明を行ったと承知をしております。
落下物につきましては、目撃者から連絡を受けた二十日に、羽村市、アメリカ軍及び北関東防衛局職員が確認をし、アメリカ軍が回収しました。翌二十一日に、アメリカ側から当該アメリカ軍人が使用していたパラシュートの一部であることを確認したとの連絡を受け、関係自治体への情報提供を行ったところであります。
防衛省としましては、引き続きアメリカ側に対して安全管理の徹底と再発防止について強く求めてまいります。また、建物への被害につきましては、日米地位協定第十八条五項の規定に基づく補償の手続を進め、防衛省としてしっかりと対応してまいります。
○山添拓君 その防衛省の申入れがあったにもかかわらず、直ちに再開しているんですね。私は、この危険なパラシュート降下訓練を市街地に隣接した横田でやること自体が問題だと思います。
これまでの事故やトラブル、これまとめて委員会に報告していただきたいと思います。
○委員長(里見隆治君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。
○山添拓君 今大臣がおっしゃったように、民家の屋根が破損しました。防衛局は、補償まで一年掛かるとか補償費の相見積りを要求したりしているというんです。これひどいじゃないですか、大臣。
○国務大臣(小泉進次郎君) 実態に即しまして、今、防衛省やり取りをしていると思いますが、いずれにしましても、先ほど申し上げましたとおり、この建物への被害につきましては、日米地位協定第十八条五項の規定に基づく補償の手続を進めて、防衛省としてしっかりと対応してまいります。
○委員長(里見隆治君) 時間が来ております。おまとめください。
○山添拓君 はい。
速やかに補償は応じていただくべきだと思います。
私はですね、高市政権、今ルールを守らない外国人に厳しく対処するとおっしゃっているんですが……
○委員長(里見隆治君) おまとめください。
○山添拓君 これ、ルールを守らないどころか、やりたい放題認めているのが米軍ですよ。これ、基地あるがゆえの被害です。厳しく対処すべきである。地位協定も改定を求めて、質問を終わります。