山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2026年・第221特別国会

自衛官ハラスメント 訓練もなく専門業務に違法配転 復職後に「追い出し部屋」 監察に申し出るも対応せず「速やかに対応を」

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
今日は、自衛官のハラスメントに関わって伺います。
まず、大臣に伺います。
自衛官の年間の自殺者数と、その十万人比に換算すると何人か。これは一般に比べて高い値ではないかと思われますが、大臣の認識を伺います。

○防衛大臣(小泉進次郎君) まず、自衛隊員の尊い命が自殺によって失われることは、亡くなられた隊員の御家族にとっても大変痛ましいことであり、また、組織にとっても多大な損失であります。
今、先生からお尋ねのありました自衛隊員の自殺者数につきましては、平成十六年度から十八年度までの間に年間百人以上を記録していましたが、平成十九年度以降は減少傾向にあり、令和六年度は六十四人となっております。
これを自衛官十万人当たりでということでお尋ねがありましたので、十万人当たりで換算をしますと、十万人当たり約二十六人ということになっております。
なお、国内全体の自殺者数との比較については、一般に、男性の自殺者数は女性を大きく上回り、子供の自殺者数は成年と比べると少ないなど、性別や年齢によってその傾向が異なると考えられることから、一般社会と比べて成年男性の割合が多い自衛隊の自殺者数と国内全体の数値を一概に比較することは困難だと考えます。
いずれにしても、依然として毎年六十人程度の隊員の尊い命が自殺により失われていることは事実であり、防衛力の中核である自衛隊員の命がそのような形で失われることのないよう、組織を挙げて取り組むべきことは当然です。
現在、防衛省・自衛隊では、隊員の自殺事故防止等のため、令和四年四月に防衛省のメンタルヘルスに関する基本方針を策定し、カウンセリング体制の充実強化、メンタルヘルスに関する啓発、教育の徹底などの対策を進めているところであり、引き続き、隊員がその能力を十分に発揮できるよう、健全な職場環境の整備を進め、自衛隊員の命が自殺という形で失われることがないように、自殺事故防止や隊員の心のケアに全力で取り組んでまいります。

○山添拓君 今御答弁がありましたように、十万人当たり二十六人と。
全体の自殺者数というのは、減ってきたとはいえ二万人前後という数ですから、大変なものですが、その中で、小学生、中学生の自殺が減るどころか増えると、こういうことも言われております。それでも、十万人当たりの自殺者、十六・四人という数字です。ですから、いかに自衛隊内での自殺が多いかということを示しているかと思います。
もちろん、その全てがハラスメントに起因するものではありませんが、任用されるときには厳しい身体検査をクリアしたはずの十代から五十代、その自死というのは大変痛ましいものです。
五月十三日、都内で、自衛官の人権と生命を守るためのシンポジウムが行われ、私も出席しました。ここで違法配転、パワハラを理由に提訴した現役自衛官の事件を中心に、自衛官の置かれる実態や権利保障の在り方について議論がありました。
この事件の原告は、二〇二二年七月、情報本部画像・地理部総務班長への異動を打診されました。応じてみますと、実際には、総務班ではなく、グローバルホーク班だったといいます。しかし、この原告は、それまで十四年以上総務、人事の幹部として勤務してきた航空自衛官で、無人偵察機の画像整理や情報分析の知識や技術、経験は持っていないと。そこで、話が違うと申し出たのですが、訓練はなく、配置換えが検討されるでもなく、過大な業務負担が続いて適応障害を発症し、休職に追い込まれてしまったといいます。一年半後、復職に際して環境の調整が必要、そういう診断書が出されたそうなんですが、情報本部は倉庫内での勤務を命じたということでありました。
防衛省、事実でしょうか。

○防衛省 大臣官房長(小野功雄君) お答えします。
今、山添委員からお尋ねの訴訟につきまして、情報本部所属の幹部自衛官が違法配転、パワハラを理由に国に対し損害賠償の支払を求めて令和七年三月にこれ訴訟を提起したものでありまして、これにつきましては現在係属中であるということを認識をいたしております。これ以上の事件の詳細につきましては、係属中の訴訟に関することですので、お答えは差し控えをさせていただきたいと思います。
いずれにいたしましても、防衛省として関係機関と十分調整の上、適切に対応してまいります。

○山添拓君 回覧文書が回ってこない、ほかの隊員との接触が許されない、あるいは共有データのアクセスも許されない。そして、倉庫内には、原告と同じように情報本部に苦情申立てをした隊員など三人だけ。原告は、意見陳述で、まさに追い出し部屋と表現しています。それだけではないんですね。半年後には、倉庫からも追い出され、官舎での在宅勤務を命じられたと。業務はほぼ与えられず、現在に至っているといいます。
こうした扱いというのは、自衛隊では普通のことなんでしょうか。

○政府参考人(小野功雄君) 今、山添委員のお話にありました内容、これは今、先ほど申し上げましたように、訴訟係属中ということでございますので、その内容については差し控えをいたしたいと思います。
いずれにいたしましても、防衛省として、適切にしっかり対応してまいりたいと思います。

○山添拓君 原告の意見陳述によれば、情報本部では、原告の着任の前の年に一名、着任の二週間後に一名自殺者があり、精神疾患による休職者も多数いたといいます。そもそも、理不尽な配置転換です。その是正を求める訴えを無視し、休職に追い込み、復職に際しても不当な仕打ちをしたと。二重、三重に苦しめているわけですね。
原告は、二〇二二年九月に始まった特別防衛監察でも、調査と是正を申告しました。ところが、原告が事情を聞かれることはなく、何の対応もなかったといいます。
防衛省に伺います。特別防衛監察で申出があったハラスメント事案のうち、監察本部が当事者から直接事情を聴取したのは何件でしょうか。

○政府参考人(小野功雄君) 今お尋ねの件についても、その直接ということの定義によろうかと思います。
まず、今回行いました特別防衛監察につきましては、防衛省・自衛隊の全ての職員、隊員に対しまして、ハラスメント被害に対して適正な対応がなされているかをまず全省的に確認する観点から、これは防衛監察本部におきまして直接、ハラスメント被害の申出について、電話等の手段により基本的な事実関係の確認をいたしました。その結果に基づいて、申出者の意向も踏まえまして、基本的には被害が発生した懲戒権者が属する各機関に移送した上で、細部具体的な調査など、所要の措置を講じたところであります。
ここでいう、我々これを実地監査、監察と呼んでおりますが、これについては二件ということになります。
ただ、その後も、防衛監察本部におきましては全件しっかりこのフォローをしておるということですので、入口のところと言わば出口のところ、これ全部、基本的に全件についてフォローしているということでございます。

○山添拓君 実地監察と言われたのは二件。千四百十四件の申出のうち、実際に実地で監察をしたのは二件だという話でした。そして、その他の多くが現場の所属しているところへ回されると。原告の事案も、実地監察の必要はなしと判断されたということだろうと思います。つまり、せっかく申し出ても、ブーメランのように所属部署に回され、四年たってなお事態は是正されていないということです。
原告は、その後、外部の弁護士に相談し、代理人として情報本部との協議を申し入れました。すると、情報本部は原告に対して、弁護士に頼むのはやめるよう求めたといいます。
これは、なぜでしょうか。

○政府参考人(小野功雄君) 個別の事案について、その一々についてはちょっとこの場でのお答えというのは差し控えたいと思いますけれども、ハラスメントの相談に関しましては、特段の制限、これをしておりませんで、目撃者や代理人など第三者からの申出、これについても受付をしております。
先ほど申し上げましたように、防衛監察本部においてそれぞれの申出者からの意見を聞く場合についても、これも特に本人でなければならないという制限を設けているということはございません。

○山添拓君 情報本部、自衛隊との協議に当たって、代理人弁護士を通じて協議を行うということも禁止はしていないということですか。

○政府参考人(小野功雄君) 個別の事案、個々の状況によろうかと思いますけれども、基本的に特段の制限というのは設けておりませんので、そこは先ほど申し上げましたように、目撃者や代理人、こういった第三者からの申出、これも受付をしておるということでございます。

○山添拓君 私が聞いているのは申出だけではありません。情報本部と今後の対応などについて協議をしたいと、そういうことで代理人を通じて申入れをしているんですね。情報本部と自衛隊、どこの部署でもいいんですが、代理人との間で協議を行う、これも禁止はしていないですね。
事情によるがとおっしゃったんですけれども、否定している場合もあるんですか。

○政府参考人(小野功雄君) 委員からお尋ねの情報本部の件につきましては、これ、先ほど申し上げましたように訴訟係属中ということですので、この内容についてこの場で明らかにするということはちょっと差し控えをしたいと思いますけれども、一般論と申し上げまして先ほど申し上げましたように、特段の制限というのは設けていないということでございます。

○山添拓君 では、速やかに対応願いたいと思います。
一般の国家公務員の場合は、労働基本権制約の代償として人事院があります。例えば、人事院規則一三―一に基づいて、不利益処分に対しては審査請求ができます。人事院規則の一三―五は苦情相談を定めています。
ところが、自衛隊というのは特別職ですから、その適用がありません。あるのは、苦情の処理に関する訓令というものです。なぜ自衛隊法や施行規則ではなく、訓令が根拠なのでしょうか。

○防衛省 人事教育局長(廣瀬律子君) お答えいたします。
防衛省における苦情処理制度は、隊員に対する不法又は不当な取扱いを幅広く救済するための制度であり、実情に即した適切な処理を行うとともに、簡易な手続により迅速な処理を可能とするため、防衛省の訓令に基づき行政部内の手続として設けているものでございます。
その上で、自衛隊員は、苦情処理制度に基づく申立てとは別に、自身が受けた処分について不服がある場合は、自衛隊法や行政不服審査法の規定に基づき審査請求を行うことが可能であり、また、ハラスメントを受けた場合も含め、自身の処遇について規律違反の疑いがあると認めたときは、自衛隊法施行規則第六十八条の規定に基づき、規律違反の申立てを行うことが可能です。
また、苦情調査委員会の設置件数、あっ、以上でございます。

○山添拓君 今少し答弁されかけたこの苦情処理訓令に基づく苦情調査委員会、この間、何件設置されたでしょうか。

○政府参考人(廣瀬律子君) 苦情処理委員会の設置件数につきましては網羅的な統計は取っておりませんが、苦情処理の申出がなされた場合にはそれぞれの機関において適切に対応しているところでございます。

○山添拓君 件数言えないぐらいなんですよ。訓令に基づくもので、ほとんど周知もされていない。本来であれば、確かに簡易迅速に苦情申立てから六十日以内に調査を行い、調査が済めば三十日以内に苦情を処理する、隊員は再度の苦情申立てもできる、制度はつくっているようなんですが、活用はされていない。ですから、把握もされていないということでした。
この苦情処理の訓令は、苦情申立てを理由とする不利益取扱いを禁止しています。当然のことです。
大臣も、先日、我が党の吉良よし子議員の質問に、ハラスメントの相談をした隊員が、相談したことを理由として報復的な処分や不利益取扱いを受けることは決してあってはならないと答弁されました。私も当然だと思うんです。
ただ、大臣、本件の原告のように不可解な配置転換、異議を唱える、ところが対応されない、休職に追い込まれ、復職しようとしたら追い出し部屋、在宅勤務、業務を与えない、これ不利益取扱い、不当な対応、実際にはあるんじゃないかと思うんです。大臣、いかがですか。

○国務大臣(小泉進次郎君) 先ほどから官房長、そして人事教育局長が答弁をしていますが、本件については今係属中ですから、コメントは差し控えたいと思います。

○山添拓君 係属中だからこそ、この隊員が引き続き不当な対応を強いられたままの状況を放置していいのかということが問われていると思うんですね。大臣、決してあってはならないとおっしゃったわけです。それは現に起きていると。その事実から目をそらさずに、私は速やかに対応いただいて、長年貢献もしてきた、そして意欲もある、十分対応したいと思っている、そういう隊員が不当な目に遭うことのないように、特別防衛監察といって鳴り物入りで行ったにもかかわらず、十分対応されていないという現実をお示ししているわけですから、こういうところでこそ大臣がきちんと対応されることを求めて、質問を終わりたいと思います。

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