2026年・第221特別国会
- 2026年5月28日
- 外交防衛委員会
気候変動対策は人権の問題/日・キルギス租税協定 反対討論
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
本日の議案のうち、日・キルギス租税協定には反対です。討論で理由を述べます。他の三つの条約は必要なものであり、賛成です。
国連総会は五月二十日、気候変動対策を国家の法的任務、法的義務とする国際司法裁判所、ICJの勧告的意見を歓迎する決議を賛成多数で採択しました。外務省に伺います。その内容と日本政府の態度を御説明ください。
○外務省 地球規模課題審議官(中村亮君) お答え申し上げます。
ニューヨーク時間五月二十日、第八十回国連総会におきまして、気候変動に係る国家の義務に関するICJ勧告的意見に関する決議案が賛成多数で採択をされました。同決議案では、ICJ勧告的意見を歓迎をし、パリ協定上の義務を遵守し、ICJが述べたような気候変動対策を講じる義務を守るよう求めております。我が国といたしましても、国際協調の下での気候変動対策あるいは国際社会における法の支配の強化の重要性に鑑みまして、賛成票を投じさせていただきました。
○山添拓君 このICJの所長も、今、日本の岩澤雄司氏です。ICJが気候変動に関して国家の国際法上の義務とする勧告を出したのは初めてです。気候変動を緊急かつ人類の存続に関わる脅威と位置付け、クリーンで健康的、持続可能な環境で生きることは人権だとしたものです。その上で、この対策を取るかどうかというのは国家の選択の問題ではなく、全ての国の法的義務だと、各国は誠実に協力する責務があるとしたものです。
今回のICJの勧告は、二〇二三年三月に百三十二か国が共同提案した国連総会の決議の要請に基づくもので、日本政府はその時点での決議にも賛同していたかと思います。ICJの勧告とこれを歓迎した今回の決議を踏まえますと、気候変動対策が人権の問題であるということはいよいよ明確かと思います。
ところで、政府は二〇二二年の国連総会で、今も御紹介したクリーンで健康的、持続可能な環境に対する権利、こういう文言が採択された際、これは概念が明確ではないという意見を表明されておりました。私、二年前にこの委員会でも質疑をしたんですが、その際にも、気候変動対策を人権の問題だということは政府から明言されておりません。
大臣に伺いますが、ICJの勧告と今回の決議を経て、今後は人権の問題として対応していくということでしょうか。
○外務大臣(茂木敏充君) 気候変動、これは人類共通の待ったなしの課題だと考えておりまして、主要排出国を含みます全ての国の取組が極めて重要だと、このように考えております。
○山添拓君 今回の決議でも述べられているように、クリーンで健康的、持続可能な環境で生きることは人権だと、日本政府としてもそういう立場に立つということでよろしいでしょうか。
○政府参考人(中村亮君) 御答弁申し上げます。
先ほど申し上げましたとおり、気候変動は人類共通の待ったなしの課題であり、全ての国の取組が重要でありまして、そうした観点を踏まえまして、今回の決議、様々なことが書いてございますが、そうした様々なことにつきまして、総合的に勘案をいたしまして賛成票を投じたということでございます。
○山添拓君 人権の問題だというふうに述べられないですか。
○政府参考人(中村亮君) 人権の問題の記述があることは承知をしておりますけれども、申し上げましたとおり、この決議全体について日本政府としては賛成をしております。
○山添拓君 やっぱり明言なさらないんですね。
今回の決議は、気候変動対策は基本的人権を守る上で重要だとしたものです。国際法に照らして、クリーンで健康的、持続可能な環境に対する人権は他の人権を享受するために不可欠ということも述べています。だからこそ各国の協力が必要と、条約上の義務を履行しないことは国際法上の不法行為になり得るというふうにしたものです。
私、日本政府は、そもそもICJに勧告を求めるに当たっての決議にも賛成し、そして、国家の法的義務は何なのか、もし怠った場合の責任はどこにあるのか、こういうことを見解を求めたと、そういう立場に立ったわけです。
そして、いざ勧告が出て、これを歓迎すると述べたわけですから、やはり今度の決議、勧告と決議の趣旨を踏まえて、気候変動対策というのはもう人権の問題なんだと、そういう態度で臨んでいただくべきではないかと思います。
四月二十四日から二十九日まで、コロンビアのサンタマルタで、化石燃料からの移行に関する第一回国際会議が開かれました。化石燃料から脱却すべきかどうかではなく、どのように脱却すべきか、経済や社会を化石燃料から切り離すための方法について議論し協力し合うことを主眼とした会議です。
大臣に伺いますが、日本政府には招待があったんでしょうか。
○国務大臣(茂木敏充君) ございませんでした。
○山添拓君 なぜだか御承知ですか。
○政府参考人(中村亮君) お答え申し上げます。
主催者がなぜ日本を招待しなかったかについては承知しておりません。
○山添拓君 共同主催国はコロンビアとオランダですが、これまで化石燃料からの脱却に積極的な姿勢を示した国を招待したとしています。五十七か国とEU、世界の化石燃料需要の三分の一、世界の産出量の五分の一を占めています。日本とアメリカを除くG7諸国やベトナムやフィリピンも参加しています。コロンビアというのは世界第五位の石炭産出国で、会場となったサンタマルタというのはその主要な石炭輸出港でもあります。日本政府は招待されませんでしたが、日本のNGOや研究者、市民社会は招待されました。
経産省に伺います。
招待されなかったとはいえ、フォローはされているかと思います。会議の趣旨と内容を御説明ください。
○経済産業省 大臣官房審議官(伊藤禎則君) お答え申し上げます。
委員から御指摘いただきましたとおり、四月末にコロンビアで化石燃料からの移行に関する第一回会議が開催されたと承知してございます。
先ほど大臣から御答弁ございましたとおり、日本政府として招待されたり出席したわけではございませんので、つまびらかに申し上げることはできませんが、その上で、公表資料等によりますと、化石燃料への経済的依存の低減、需給構造の転換、国際協力の推進などについて議論がなされたと承知してございます。
○山添拓君 化石燃料は、温室効果ガス排出量の四分の三を占め、温暖化の根本原因です。しかし、全会一致の国連気候変動枠組条約締約国会議、COPでは、産油国などが反対し、専ら段階的に廃止すべきかどうか、そういう議論に終始してきました。だからこそ、いかに脱却するかの議論が始まったことは画期的なことで、海外の多くのメディアはこの会議を歴史的だと報じております。
経産省にちょっと確認なんですが、COP28では、化石燃料からの脱却を加速させるという言及がありました。ですから、今度の会議というのも、COPと対立するものではなく、補完するものという位置付けで行われたものだと認識しますが、そういう御理解でしょうか。
○政府参考人(伊藤禎則君) 先ほど申し上げましたとおり、この会議につきましてつまびらかに申し上げることはできませんが、化石燃料への経済的依存の低減や需給構造の転換、国際協力の推進などについて議論がなされたと承知しております。
また、我が国としましては、化石燃料につきまして、各国の異なる事情に配慮した多様な道筋を尊重することが重要と考えているところでございます。
○山添拓君 私が伺ったのは、この会議がCOPと対立するものではないんじゃないかという会議の性質です。公表されている資料からもそういうこと、うかがえるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(伊藤禎則君) 二〇二三年のグローバルストックテークにおきまして、各国の異なる状況、排出削減経路、アプローチを考慮しつつ、エネルギーシステムにおける化石燃料からの移行を進めることとなってございます。
我が国としましても、この決定に沿って、エネルギー安全保障、経済成長、脱炭素の同時実現を目指してまいりたいと存じます。
○山添拓君 私の質問は、COPそのものが化石燃料からの脱却を加速させるという立場に立っていますよね。ですから、もはや化石燃料からの脱却をすべきかどうかという話ではなく、いかに進めるかと、この議論そのものは大変重要なことだと思うんですが、経産省、いかがですか。
○政府参考人(伊藤禎則君) 我が国としましては、COPの決定にも沿いまして、化石燃料につきまして各国の異なる事情に配慮した多様な道筋を尊重することが重要と考えているところでございます。
○山添拓君 なかなかかみ合った議論ができない。
つまり、こういう会議に私はやはりもっと積極的に関心を持って臨んでいく必要があると思いますね。そうでなければ、世界的にはもう取り残されてしまうということだと思います。
参加した各国は、今年十一月のCOP31で世界的な進展を実現するために緊密に連携していくことも表明しております。やはりCOPを補完するものであろうというふうに思います。
この会議では、ロードマップという言葉が繰り返し登場しています。化石燃料からの脱却に向けた明確な計画のことです。
フランスは、この会議に合わせて脱化石燃料ロードマップを発表し、二〇三〇年までに脱石炭、二〇四五年までに脱石油、二〇五〇年までに脱化石ガスを達成するという計画を発表しています。
開催国コロンビアのグスタボ・マカナキー駐日大使は、朝日新聞のインタビューに、化石燃料産出国でありながらこの会議を主催したことについて矛盾ではないと、再エネや移行エネルギーに投資し、国内のエネルギー需要を満たす新たな供給構造をつくることが狙いだと、したがって国内で既に新たな石油、ガス探査に許可を出すことはやめたと、こう答えています。
これは大臣に伺いたいんですが、来年、第二回がツバルで開催されるようなんです。招待されれば参加しますか。
○政府参考人(中村亮君) お答え申し上げます。
今回の会議につきましては、先ほど御説明申し上げたとおり招待されておらず、したがいましてその中身につきましても正確に私どもが認識をしていないという状況にもございます。
したがいまして、仮定の問題にお答えすることは困難に存じますけれども、そうした状況が現出したときに検討したいと考えております。
○山添拓君 日本の石炭や天然ガスの輸入先であるオーストラリアやカナダも参加しているんですね。産出国が参加をしているわけです。化石燃料の産出国がこうして脱化石燃料にどのように進めていくのかという会議に臨んでいるわけですから、日本のエネルギー政策にとっても無関係ではあり得ないと思うんですよ。
大臣、いかがですか。
○国務大臣(茂木敏充君) 決して無関係だと、そういう話をしているわけではありませんけれど、先ほど来答弁がありますように、様々な国、どうグリーントランスフォーメーションを進めていくか、脱炭素化を進めていくか、パスというのは一様じゃないと、置かれている現状も一様じゃないと思っております。
フランスの例も出されましたけれど、相当原発を進めるということで、例えば山添委員から見てそれが正しいかどうかというと、多分、私と見解が異なる、こういう部分も大いにあるんではないかなと思っておりまして、それぞれの事情に応じながら脱炭素化を進めると、そういうことが極めて重要だと考えておりまして、各国の異なる事情、これに配慮した様々な道筋、尊重していきたいと考えております。
○山添拓君 そういうふうにおっしゃるんじゃないかなと思っていたんですが、日本共産党は脱原発、そして脱炭素、両方可能だという政策を出しておりますから、是非これは目にしていただきたいと思います。
今回の共同議長だったオランダのフェルトホーフェン気候大臣は、脱化石燃料はエネルギー自立と安全保障を強化する、クリーンエネルギーへの投資こそが持続可能で競争力ある経済の基盤となると述べています。私は、その意味では、米国の原油や天然ガス施設への巨額の投資というのは全くの逆行であり、やめるべきだということも指摘しておきたいと思います。
気候変動対策としても、エネルギー安全保障としても、化石燃料からの脱却と再エネへの抜本的な転換こそが求められます。
ところが、世界で続く戦争は、人命を奪うだけでなく、環境にも大きな負荷を与えています。米国とイスラエルのイラン攻撃は開始から僅か二週間で約五百五万トンのCO2を排出し、これはアイスランドの一年分の排出を超える、そういう分析も報じられています。
大臣に伺います。軍事作戦が温室効果ガスの排出を増大させ、地球の今と未来を脅かしている、このことへの御認識を伺います。
○国務大臣(茂木敏充君) 必ずしも通告を受けている質問ではない部分はあるんですけれど、その上で、だから、通告して……(発言する者あり)お答えしますからちょっと待ってください。そんな、答えないなんて言っていないんですから、少し待っていただいた方がいいと思うんですけれど。
気候変動、これ人類共通の待ったなしの課題でありまして、主要排出国を含む全ての取組が重要であります。
その上で、軍事作戦によります温室効果ガスの排出の増大によって、様々なそれについては報道あるということは承知をしておりますが、我が国として、その詳細、軍事活動によってどれだけ温室効果ガスが排出されるかと、これを評価するのは困難だと考えております。
いずれにしましても、我が国としては、各国と引き続き連携しながら気候変動対策の着実な実施に努めていきたいと、このように考えております。
○山添拓君 ちゃんと通告していたことは御答弁から明らかだと思うんですが。
私は、やはり現実をもっと御覧になる必要があると思います。戦争が起こればCO2の排出が増えるのは誰が見ても明らかです。それは、建物を壊すわけですから、そして燃料をばかすか使って攻撃を行うわけですから。そうでなくても、軍隊というのは平時でも排出削減の枠外になっております。
私は、戦争をあおり軍拡を続けることは気候変動対策にも逆行する、このことを改めて指摘したいと思います。
質問を終わります。
○山添拓君 日本共産党を代表し、南極条約附属書Ⅵ、国際民間航空条約改正議定書及び万国郵便連合憲章追加議定書の承認に賛成、日・キルギス租税協定の承認に反対の討論を行います。
租税協定は、二重課税の除去を目的に、日本とキルギスとの間で、配当や利子、使用料など、投資所得に対する源泉地国での課税に限度税率を設けるものです。
日本の多国籍企業が海外子会社から配当を受け取る場合、キルギスの税務当局から課税される限度税率は五%に軽減されます。また、この措置により、課税を軽減された配当を日本の多国籍企業が受け取る場合、国内では、一定の要件を満たす場合は、特例措置である外国子会社配当益金不算入制度の対象となり、当該配当の五%のみが課税対象となり、九五%は非課税となります。結果として、日本の多国籍企業とその海外子会社は、キルギスでの課税を大きく軽減された上に、日本国内でも優遇されます。
二重課税の除去といいながら、二重に税の優遇を認めるものであり、反対です。
以上です。