山添 拓 参議院議員・日本共産党

国会報告

2016年・第192臨時国会

憲法審査会で発言、現行憲法の意義を語りました

要約
  • 参院憲法審査会11月16日に開かれ、今年2月以来、9カ月ぶりの実質審議を行う。各会派の代表が憲法に対する考え方について意見表明。
  • 山添議員は「憲法をいかし、憲法が掲げる理想に現実を少しでも近づけることだ」と主張。

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。

さきの参院選で初めて当選をさせていただきました。憲法審査会で初めて発言をさせていただきます。よろしくお願いをいたします。

私は、日本国憲法の下で生まれ、学び、弁護士として仕事をする中で、憲法の重みと価値を感じてきました。積み重ねられてきた憲法判例には、人々の闘いの歴史が刻み込まれています。私が取り組んできた福島原発事故の被害者の救済を求める事件、過労死や冤罪など、権利を侵され闘う人々の隣にはいつも憲法がありました。

電通の過労自死事件が報道されています。先日、私も御遺族の話を伺いました。春、希望に満ちて就職した会社で、秋には一週間に僅か十時間しか眠れないほどの長時間労働を余儀なくされる。自殺するのによさそうな歩道橋を探す自分に気付く。年末には家族で一緒に過ごそうと言っていたのに、クリスマスイブに自ら命を絶つまで追い込まれた。

働き過ぎで命を落とす社会は、どう考えても異常です。人間らしく働ける社会をと多くの人が求める中、過労死、過労自死のない社会を実現することは、まともに働く権利、自分らしく生きる権利を保障する政治に求められた大事な仕事です。医療、介護、子育てや教育、暮らしに関わるあらゆる場面で、憲法を羅針盤に政治のかじを切ることこそが国会に求められています。

ところが、この憲法審査会は憲法改正原案の発議を審査する権限を持つものであり、ここで議論を進めることは、勢い改憲案をすり合わせることになります。日本共産党は、国民の多数が改憲を求めていない中、改憲のための憲法審査会を動かす必要などなく、動かしてはならないと考えます。

さらに、見逃すことができないのは、安倍首相がこの間、改憲について重大な発言を繰り返しているということです。参院選が終わった途端、口にしたのは、いかに我が党の案をベースに三分の二を構築していくか、これがまさに政治の技術という発言でした。今国会冒頭の所信表明演説では、改憲案を国民に提示するのは国会議員の責任だなどと述べ、国会に改憲発議をあおる有様です。総理大臣として最も重い憲法尊重擁護義務を負っている安倍首相のこうした発言は、国民が権力を縛るという立憲主義の在り方を理解しない、到底許されない姿勢であることを指摘したいと思います。

その上で、憲法破壊を進める安倍政権における二つの点について述べたいと思います。

一つは、集団的自衛権の行使を容認した二〇一四年七月の閣議決定と、これに基づき昨年強行された安保法制、戦争法です。

戦争放棄、戦力の不保持、交戦権の否認を定める憲法九条からすれば、集団的自衛権が認められないのは明らかです。日本に対する侵害行為がないにもかかわらず、同盟国への攻撃だけで相手国を攻撃する。攻撃した相手に対する関係では、先制攻撃以外の何物でもありません。歴代の内閣ですら明確に違憲としてきたものです。

昨年六月、衆院の憲法審査会で三人の憲法学者がそろって違憲と述べたとおり、憲法九条とも、また歴代自民党政府の解釈とも論理的整合性がなく、法的安定性も認められません。一内閣の判断で、九条という日本国憲法の最も特徴的で誇るべき条文について、その解釈を百八十度転換させ黒を白と言いくるめるとは常軌を逸しています。だからこそ、学生や学者が、ママたちが、多くの市民が、主権者として主体的に行動を起こし、安保法制、戦争法許すなと声を上げました。しかし、政府・与党は、その声に全く耳を傾けることなく強行採決に及んだのです。立憲主義と民主主義をじゅうりんする政治に国民の怒りが渦巻いています。違憲の法律は一年たっても違憲のままです。

ところが、安倍政権は昨日、南スーダンPKOに派遣する自衛隊に、安保法制に基づき駆け付け警護など新たな任務を負わせる旨の閣議決定を行いました。違憲の立法の上に、内戦状態の現地の状況をも無視して、自衛隊を殺し殺される部隊にするなど言語道断です。安保法制、戦争法は直ちに廃止すべきです。

もう一点、自民党が二〇一二年に発表した改憲草案です。

私は、この改憲草案を一目見たときにぞっとしました。今の憲法とは全く異なる世界観で作られたものだからです。九条二項を全部入れ替え国防軍をつくる、集団的自衛権は何の制約もなく行使できると言っています。緊急事態条項で、内閣総理大臣が緊急事態だと言いさえすれば、国会の権限を取り上げ、内閣が法律と同じ効力を持つ命令を出す、民主政治の基本と言うべき議会の機能を止めるものです。基本的人権は侵すことのできない永久の権利だと定めた九十七条は全文削除です。憲法の基本原理を全て否定する内容です。そして、つくられようとしているのは、秘密保護法で情報を隠し、国民の権利を縛り、戦争する国だ。私たちの未来を抑圧と戦争に導く改憲案は断じて許されないものです。

今求められていることは、戦争する国をつくり、憲法改正に進んでいくことではなく、憲法を生かし、憲法が掲げる理想に現実を少しでも近づけることです。それこそが、憲法尊重擁護義務を負う国会議員が果たすべき役割であることを強調して、発言といたします。

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