山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2017年・第193通常国会

資源エネルギー調査会で、初めての参考人質疑。再生エネルギー導入等についてお聞きしました。

要約
  • パリ協定発効の下、石炭火力発電に依存する問題や、再生エネルギー導入への政策誘導について、参考人に世界の動きをお聞きしました。

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参考人 東京国際大学国際関係学部教授同大学大学院国際関係学研究科長  武石 礼司君

東京財団研究員兼政策プロデューサー  平沼  光君
欧州復興開発銀行(EBRD)EGPアドバイザー   西川 有司君
名古屋大学大学院環境学研究科教授  高村ゆかり君

(山添議員の質問)

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。

今日はありがとうございます。

最初に、高村参考人に伺いたいと思います。

パリ協定で気温上昇を一・五度から二度に抑える、こういう目標で人為的な排出と吸収を均衡させていくのだ、排出量の実質ゼロを目指していく、それは化石燃料依存からの脱却なんだということで参考人の論文の中にも書かれておりましたけれども、こういう目標を掲げる中で、一方では二〇三〇年エネルギーミックスの中でも石炭火力発電に一定の依存を続けるということを掲げていると。かつ、先ほどの御指摘では、今予測する以上の速度で再生可能エネルギーが導入が進んでいると。こういうときに石炭火力に一定の依存を続けていくことの問題点あるいは課題、こういうことについてどのようにお考えでしょうか。

○参考人(高村ゆかり君) 御質問ありがとうございます。

こちらは、実は石上先生の御質問にも関わるところでございますけれども、一つ注意をしなければいけない、特に発電所に関して、今御指摘あったのは石炭火力を例に出されましたけれども、一度建てるとやはり四十年、五十年稼働するという点であります。つまり、現在の発電所の選択をする際に、その影響を含めて意思決定をしていく必要があるということだと思います。

そういう意味で、先ほどの石上先生の御質問にも関わるところでありますけれども、現在、私が大変気にしておりますのは、エネルギーミックスの、今、石炭火力二六%を更に恐らく稼働すると超えるであろうかなり多数の石炭火力の計画があることを懸念をしております。

そういう意味で、長期の視点を持って、それからさらに、二〇三〇年のエネルギーミックスを決めた折になかったほどの再生可能エネルギーのコストの低下というのが世界的に見られますので、そういう意味では、改めて現在のエネルギーミックスを長期的な視点から見直すというのは大変有用ではないかというふうに思います。これは河野先生の御質問にも答える形になるかと思います。

以上です。

○山添拓君 ありがとうございます。

そういう中で、再生可能エネルギーの導入が世界的には大きく進んでいる国があり、また、先ほど来ありますように、日本ではなかなか進んでいないところもあると。

先ほどの高村参考人のお話の中で、今、政策ではなく、むしろ市場原理に基づいて再エネの導入を促しているという話は非常に印象的だったんですけれども、一方で、例えば原発コストについては上昇が指摘されていたりすると。再生可能エネルギーについては各国で様々な努力がされる中でコストの低下が図られていると。日本でも固定価格の買取り制度が導入されていますけれども進んでいるとは言い難いのだと。

市場原理でということをおっしゃったんですけれども、そうはいっても、これ進めていくために一定の政策的な誘導があるんじゃないかと思いますし、それは、一つはFITなのか、それ以外にも様々に進められているものがあるのか。また、今後の日本の再生可能エネルギー導入を増加させていく中で参考となるような進んでいる国の事例がありましたら、教えていただきたいと思います。

○参考人(高村ゆかり君) ありがとうございます。

山添先生の御指摘は、私の大変言葉が足りなかったところであります。市場原理でというのは、やはりそのような環境が整う、そういうコストの低下が可能なところにおいて市場原理でもう既に導入が進むほどのコスト低下が起こっているということであります。

世界的に見ると、やはり地域によってそのコスト環境というのが違っております。それは先ほど国ごとに御紹介をしたとおりであります。日本に関しては、その意味では、コストを下げていくというのは私は必要だと思っております。つまり、再生可能エネルギーの固定価格が必ずしも恐らくそうしたコストの低下を反映しない形で設定をされていた期間というのはあるようには思います。

今回、資料にも付けておりますけれども、調達価格の算定委員会ではかなりそこのコストをきちんと見た上で、しかも長期的に下げていくトレンドも見据えて価格を下げる、特に太陽光についてですけれども、下げる方向で設定をしております。

他方で、まだ歩き出した再生可能エネルギーであります。特に、先ほど申し上げましたコストを下げるには、制度、いわゆる導入環境整備なしには再生可能エネルギーは日本で定着をしていかない、市場レベルで入っていかない状況だと思っております。

その意味で、特に申し上げました系統、それから卸電力市場の適正な運営、既存の、例えば先ほど地域間連系線のお話をいたしましたけれども、送電網の使用のルール等を含めた政策的な見直しをきちんとしていただきたいということも先生方にお願いをしたい点でございます。

以上でございます。

○山添拓君 ありがとうございます。

最後の点も高村参考人にまたお願いしたいと思うんですが、少し違った点なんですけれども、カナダのオンタリオ州というところで太陽光や風力発電の固定買取り価格制度があると。その中で、原材料の調達やあるいは組立てを行う、それを州内で行うことを条件に優遇をして、補助金を出して地元の雇用の促進も図ろうとしたと。ところが、これがWTO協定の内国民待遇違反だと、自国民だけを優遇するものだということで日本やEUが紛争解決のパネルに提訴をして、違反だとされたと。この件では、さらに、アメリカの企業がカナダ政府に対してNAFTAに違反したということでISDS条項による提訴も行っていると聞いています。

こういう事例が今広がっているんでしょうか。各国が再生可能エネルギーを促進しようと独自に努力を進める中で、貿易のルールによってそれが妨げられるという事態が広がっているとすれば、そのことをどうお考えか、お聞かせ願えないでしょうか。

○参考人(高村ゆかり君) 御質問ありがとうございます。

今、一旦鎮静化をしておりますけれども、一三年辺りに、先生御指摘ありましたカナダに対して日本とEU、そしてアメリカも、WTOの枠の外でありましたけれども、中国の補助金、そしてアメリカがインドに対して、あるいは逆に中国がEUに対してといった形で、WTO、いわゆる自由貿易のルール、先ほど先生おっしゃいました内国民待遇、国産品を使った者に対してのみ補助金を与えるという点について問題とされてまいりました。現在のWTOのルールでは、私は、いわゆる国内産を使用した製品を補助金あるいはFITの対象とするというのは、かなりそのルールに反するラインに入る問題だというふうに思っております。

他方で、特にこれから導入をしていきたい途上国に対して同じルールを適用してよいのかという点は、個人的にはルールをきちんと見直す必要があるのではないかと思っております。特に、エネルギーにアクセスできない貧しい人たちにとって、再生可能エネルギー、いわゆる送電線が要らずに導入が進んでいく再生可能エネルギーの導入というのは一種死活の問題であります。ここに同じような産業育成の観点を絡める途上国があっておかしくございませんので、そういう意味では、現在の貿易のルールの中で、とりわけ途上国における取組、対策の在り方については再考の余地があるのではないかと個人的には思っております。

以上です。

○山添拓君 ありがとうございました。終わります。

(参考人の意見陳述)

○会長(金子原二郎君) 原子力等エネルギー・資源に関する調査を議題といたします。

「新たな時代に向けた我が国の資源エネルギー像」のうち、「資源エネルギー情勢と我が国の対応」について調査を行うに当たって、本日は「資源エネルギーをめぐる国際情勢」について参考人から意見を聴取いたします。

- 略 -

それでは、武石参考人からお願いいたします。武石参考人。

○参考人(武石礼司君) 武石でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

私にいただきましたテーマとしましては、エネルギー経済、アジア・中東経済の視点からということでお話をさせていただきます。(資料映写)

私自身も、サウジアラビアで四年ほど石油開発の仕事をしていたことがありまして、現場を知っているという、そういう視点も含めてお話しさせていただきたいというふうに思います。

一枚進みますと、世界のエネルギー、どうやって決まっているんだろうかという決定要因ですけれども、当然のように世界経済、そして世界の政治や紛争ということが関係してくるわけですけれども、各国ともそれぞれどういう産業を持っているかという構造がありまして、そこで経済が好調であればその構造にのっとってエネルギー需要が増えると。ですから、そういうエネルギー需要というのは、経済の二次的な波及効果が及んでエネルギー需要が増大、またあるいは減少と、そういうようなことも生じるということになります。

じゃ、中長期的にどうかといいますと、例えば十年、二十年、三十年たちますと、技術革新ですね、これはイノベーションの影響がかなり大きく出てきまして、ですから、短期間には価格が調整しましてそのエネルギー構造が変わるというのは非常に難しいんですけれども、じゃ、二十年、三十年、五十年たったらどうかというと、大きく変わる可能性はあると、こういうような情勢になっています。

さらに、現在では地球環境問題が非常に強く言われているものですから、この影響をたくさん受けている。そして、資源量はどうかということも問題になると、こういう関係になっているかと思います。

そしてまた、次へ行きますと、世界の各国、いろいろな企業なり、OECDのIEAという国際機関とか、たくさんの将来予測を出していまして、これは二〇三五年あるいは二〇四〇年というような将来予測、また二〇六〇年もあるんですけれども、そういう予測がされています。一番注目されているのは、先月ですけれども、BPという会社が新しい予測を出しまして、これがオイルピークの話を始めたということです。

BPの資料をちょっと見ていただくと分かるんですけれども、左側がBP、それから次が、これがIEAですね、IEAも、国際エネルギー機関でしてOECDの下部機関ですけれども、ここには、パリに存在しているということですから、非常に環境問題を強く言われているという環境にあるわけです。

この左二つを見ていただきますと、赤い部分よりも青い部分、つまり新エネルギーの部分の方が伸びるんじゃないかと。これはパーセントで出ていますから、この後、例えば二十年間にわたって一%ぐらいずつエネルギーは伸びるでしょうと。大体どの機関も同じような数字なんですけれども、その中でガスが伸びると見ているところが多いんですけれども、欧州にあるBPとIEAは新エネルギーの方が伸びるんじゃないかと、こういうような、いずれにしましても大体エネルギー需要は伸びると、こういう予測が成り立っている。決して新エネルギーだけでエネルギー需要の伸びを賄えると考えているところはどこもないという、こういう状況があります。

そして、次を見ていただきますと、全体としてどうなんでしょうということになります。

全体としても、やはり石油ですね、自動車は今石油で走っていまして、自動車を持っている人はこの自動車を十年使いたいとみんな望むわけでして、そして今年、来年、再来年と、また石油の自動車が売れていくという、こういう構造がありますから、そうすると、やはり石油需要はこれは間違いなく伸びるということになります。

それから、ガスが、赤いところですけれども、大きく伸びるということになります。そして、石炭の消費は抑制されていく方向が次第に見えてくるだろうと。

そして、新エネルギーですけれども、やはり非常に伸びは大きいんですけれども、量的にはとても化石エネルギーをカバーできるような大きなものにはならないと、こういうことが予想されているというのが現実です。つまり、既に施設がありますから、それを、じゃ、潰してまで新しい投資が行われるかということは難しいということになります。

では、じゃ、新エネルギーの役割は何だといいますと、新しい投資の部分の例えば六割とか、そういうものは新エネルギーで行われると。新しい投資で、取替え投資じゃなくて新しい投資がそこで行われるという、ここの点が重要だということになってきます。

そして、次がエネルギーの動向と世界的な変化、何が起こっているかということですけれども、やはりこの石油に関する、そろそろ、何年だろうかというところではいろんな議論がありますが、特に、去年、トヨタ自動車がやはりプラグインハイブリッドあるいは電気自動車、こういうものに積極的に出ますと言ったことが非常に大きくて、ハイブリッド車ではほかの企業はとても追い付かない状態にあったんですけれども、その中で、電気自動車にトヨタが出ると言ったことでやはり方向付けがかなり決まったということで、このBPの予測に関しても、やはり石油は、量的にはあっても、やはりこの選択肢として、あるところでピークを打つだろうという話になってきたわけです。ですから、転換が始まるということになります。

石炭は、非常にエネルギー安全保障上重要なんですけれども、地球環境問題の、CO2絶対ゼロにしろと非常に強く言う人たちがたくさんいるものですから、かなり抑制の傾向が出てくるだろうということです。

中国に関しては、非常に大気汚染がもう本当に深刻な問題になっていまして、この点からやはり石炭に抑制を掛けようと、こういう方向が出てきているということで、再生可能エネルギーはどのぐらい入るかということが非常に大きな課題になってきているということになります。

次なんですけれども、石油消費のピークはいつかということなんですけれども、これは、シェールガスが見付かりまして、生産できるということになりまして、ガスはかなり容易に生産が可能でした、分子の大きさが違いますから。シェールオイルと呼びますと、それは生産がやはり難しいわけですね、大きな分子になりますから。そうしますと、ガスほど容易には増産できない。しかし、やはりガスが増産されればその中に液体分として石油分が入っていますから、そういうものを分離すればやはり非常に軽質のリキッドが生産できるということになります。

ということで、一億バレルの天井ということが言われたんですけれども、世界で一億バレル、生産は難しいだろうと言われていたんですけれども、その天井は突き破れるという話になりまして、もう少し量はあるということは言われるようになってきました。

需要の方は、OECD諸国は減るんですけれども、ほかの国が増えるということで、需要は増えるということで、石油のピークはもうちょっと後でしょうということになりまして、この注目されるBPのは、二〇三五年とか四〇年とか、そういうところでかなり天井が見えてくるんじゃないかというような話をしているということになります。

石油消費はどうやって、じゃ、これから抑制されるのかというと、大きいのはやはり新しいプラグインハイブリッドあるいは電気自動車、それから現存の内燃機関のエンジンの効率向上が非常に図られるだろうという話になっています。さらに、このシェアードエコノミーですけれども、そういう、いろんな共同で使うような、いろいろなインターネットの手順を踏みますと共同で使えるということで、これが非常に効くというのが予測で出ているというところになります。

ガスはどうかという話が次に書いてありますけれども、ガスはやはりシェールガスですね、これはやはり増産がかなり容易だったということで、アメリカが増産に励みます。そして、ほかの国は、中国とかそれ以外の国も増産に励むということで、生産量は増えていくということで、ガスの使用量はこれから非常に増えるという予測になってきます。

これは、どこにその化石燃料、石油、ガスが存在しているか、石炭はあるかというのを示した図なんですけれども、これを見ていただくと分かりますように、根源岩と言われまして、昔、一億年も前ですけれども、今の時代よりも大気中のCO2が十五倍、二十倍もあった時期があります。CO2が非常に多いのは植物にとっては大変喜ばしいわけでして、大変な勢いで植物が繁茂しまして、それが、ケロジェンといいますけれども、根源岩となりまして堆積されまして、そしてこの黒い部分ですけれども、石ですね、そういうシェールという岩になりまして、そこに堆積しているわけです。石油、ガスというのはそこの中に含まれているわけです。

じゃ、私たちがその石油やガスを生産している油田、ガス田というのはどこにあるのかというと、この上の部分のキャップロックというのがありまして、そこにたまったものをただただ生産しているだけだったわけですね。

その量は、じゃ、根源岩のうちのどのぐらいかというと、何と三%あるいは五%というふうに言われていまして、そうだとすれば根源岩にはほとんど残っているわけです。そこを、岩を水圧で穴を空けまして、微細な穴を空けて、そこから三%でいいから生産するとすると、埋蔵量は倍増するということが分かりますね。まさしくそうなんですね。

世界のガスの埋蔵量は倍増したというふうに言われていまして、じゃ、石油はどうなのかというと、石油は非常に生産がやはり分子が大きいですから難しいということで、でも、やはり五割は増えただろうということが言われています。私自身もそういう世界的な石油技術者の、SPEと言うんですけれども、ペトロリアムエンジニアの会員でもありますから、そういうところで情報をいろいろ見ましても、やはりシェール、非常に大きいと。で、価格が下がっていても増産は可能だということが言われているということになっています。

これが掘っているところですけれども、じゃ、どこに生産できるかというと、テキサスが一番今、一つパーミアンというところがありまして、それから北のカナダの境のノースダコタですね、バッケンというのがありまして、それにニューヨークに近いマーセラスというところがありまして、大きな、赤くなっていますけれども、こういうようなところは今の五十ドルでもしっかりと生産しているということになっています。

ということで、アメリカからは輸出をしようということですね。少し国内価格を高くして、そうすると生産も一生懸命できるし、経済にとって有利だという計算がされまして、そういうことがされているということになっております。

アメリカは価格次第で埋蔵量は違うぞという話が出ていまして、もちろんそうですね、非常にマーケットに依存して、計画よりもマーケットだということで、マーケット次第で生産できる量は決まってくると、こういう議論がされているわけです。

ですから、この図を見ても分かりますように、これは世界の現状とそれから二〇四〇年の貿易を予測しているんですけれども、白抜きになっている方が二〇四〇年でして、アメリカから新しく輸出が行われるということを示しているんですね。ということで、大きな変化が起こるということになってきます。ということで、世界的にも、ロシア、中国の四川省、それからアルゼンチンというところでは生産がこれから増えるでしょうという予測になっているわけです。

石炭消費に関しては、とにかく中国が抑制せざるを得ないまさに環境下にありますから、抑制が行われていくでしょうという予測になりますが、全体での消費量としては、今も実は消費量が増えている。ヨーロッパも一時増えまして、価格が安ければ、これは経済が悪い以上はしようがないということで、非常に石炭消費が増えたというような傾向も出たということです。

中国に関しては、とにかく経済が悪いので、石炭消費量が現状でも減っている。それから、鉄鋼とかセメントは余りにも巨大な生産能力を持ってしまったので、それをとにかく廃棄するということで減少しようと、こういう傾向になってきているわけです。ですから、COPの会議で、地球環境問題で中国は非常によくやっていると言いますが、GDP当たりの排出量は当然減るわけでして、余りにも効率が悪い使い方をしていたものが普通にしているだけで減るという状況で、とても褒められたもので、何かしているというわけではないということになっています。

そして、中国は、シェールガスですね、これはアメリカのエネルギー省の発表の資料ですけれども、あらゆるところからとにかくエネルギーをかき集めようという努力をしていまして、このエネルギー省の地図を見ても、東シナ海とか南シナ海に賦存している、生産可能地域じゃないかという資料が出ている以上は掘ってくるということになります。

私も中国の国家石油公社の方から連絡が来まして、日本はどうも水溶性ガスというものを使っているみたいだけれども、これはどうやって掘るんだというのを連絡がありまして、私もですから国内の千葉の方のそういう会社を紹介してあげたりして、ですから、あらゆることをしているのが中国だと、こういう理解をされるとよろしいかと思います。

ということで、何が今度起こってくるかというと、電力を見ても、中国は一人当たりの消費量は日本の半分ぐらいなんですけれども、これが日本と同じぐらいの消費量に来るでしょうということです、二〇三五年ですね。ということは、エネルギー消費量が増えて、どうするんですかということですね。石炭消費量を何とか減らそうとしても、もうとにかくあらゆる努力をしてガスを使う、それから新エネルギーを入れるんですけれども、とても大きな量にはなってこないということになります。

日本の方は、もう少し、見ますと、固定価格買取りを入れたものですから、今どんどん毎年毎年価格が、電力価格が上がる状況ですね。これは避けられないということで四兆円シーリングをするということをしないと、これはまさしくドイツの二の舞ということになって、ドイツは、要するに日本の六掛け、六〇%ぐらいはもう既に高いですね。そういう中、何とか、余りにも電力価格、産業用、家庭用ですね、上がってしまうのを抑える必要が出ているのが現状だということになります。

お隣の韓国は、御存じかもしれないですけれども、産業用とか家庭用を政府が補助をする形で半額というような非常に安い価格にしていると。産業競争力そのものでして、各国はそういうことで競っているということを御理解いただかないといけないということになります。

これは、シェルという会社が二一〇〇年の姿を示したものですけれども、太陽光に依存しようと。ですが、かなりいろんなエネルギー源を使おうということをしていまして、これが重要なところでしょうと。ですから、私たち、目指すものは、何かを排除してしまうんじゃなくて、あらゆる、やっぱり安定的に供給されるエネルギーが必要である以上は、こういういろんな資源を有効に使うという、この方向が重要でしょうということになります。

中東地域とかアフリカを見ても、非常にこの後大変なんですけれども、サウジアラビアとか見ましても、とにかく国内のエネルギー消費量が増え過ぎていまして、これを抑制するので日本の協力を求めていると、こういう状況が来ているわけです。

再生可能エネルギーに関してもちょっと述べさせていただきたいんですけれども、私自身も大学に来る前はシンクタンクにおりまして、こういう地域自立のエネルギーシステムとか、コンビニも自由化と、低圧の自由化をしろとか、エネルギーの民主化などという言葉をはやらせようということでいろんなものに書いてきたんですけれども、こういう段階を今過ぎまして、私自身もこういう電気学会に呼ばれまして、こういう技術報告書を出すから二年、三年掛かりの研究を続けるように入れということで、こういうことを研究してきました。

そうすると分かりますのは、やはり非常に電力システムは難しいんですね。どんどん再生エネルギー入れていいかというと、そういうシステムになっていない。入れる以上は、新しく設計し直す、コントローラーを入れる、そういう非常に新しい投資が必要な状況があるということになっています。

アメリカなんかは非常にエタノールとか利用しようとしていますけれども、これは、アメリカは規模を拡大するんですね。とことん規模を拡大して採算が合うことを狙っていると、こういう状況があります。

日本も、私も新エネルギーのアドバイザーとして山形県などとはお付き合いがあったんですけれども、こういうところから見ましても、時間を掛けて、そしてどんどん入れられるところを採算を合わせながら入れていくと、こういうことが必要でしょうということになります。

じゃ、自然エネルギーはどこまで入るのかというときに、見たときに、やはり限度があるんですね。日本の規模からいいましても、やはりある程度、陸上はこのぐらいでしょうというめどが出てきます。これは、中国なんかの状況と比べましても、やっぱりちょっと違うということになります。

地球環境問題に関しても、様々言わなくちゃいけないことがいっぱいあるんですけれども、何しろ一番必要なのは、人間が全て気候をコントロールして、人間の活動によって気温が決まっているという考え方は、やはり明らかに人間の活動を過大視しているわけでして、人間としてできることは適応でしょうということになります。ということで、そういう意見はこういう中にも書いてあります。

最後に行くんですけれども、私たちがやっぱりできることというのは、可能性としてはやはりどういうことが起きそうか。ガス消費量は増えますと、石油消費量はピークを打つでしょうと、電気自動車が入りますと。再生可能エネルギーというのは一〇%ぐらいを目指すんですけど、二〇、三〇というのが将来的には目指していく方向ですね、それはあるでしょうと。ですが、やはりコストですね、コストを考えてできることをしていくということですね。時間を掛けてゆっくりやっていくということが必要で、CO2排出ゼロというような高コストのことを目指すんじゃなくて、化石燃料も使いつつエネルギーバランスを考えるということですね、これが重要でしょうというのが私の意見です。

○会長(金子原二郎君) ありがとうございました。

次に、平沼参考人にお願いいたします。平沼参考人。

○参考人(平沼光君) どうも、ここから歩いて十分掛からないぐらいのところにあります、特許庁の向かいにあります日本財団ビルの中にある東京財団から来ました研究員の平沼でございます。本日はどうかよろしくお願いいたします。

私からのお話ですけれども、今日は、「資源エネルギー情勢と我が国の対応(資源エネルギーをめぐる国際情勢)」というテーマで、昨今の資源エネルギーに関わる大きな流れと注目点につきまして、私の考えを報告させていただきます。なかなか短い時間でありますし、言葉足らずになるかと思うんですけれども、お手元の資料と同じものがモニターに出ておりますので、そちらを見ながらお聞きいただければと思います。(資料映写)

本日のお話は、今世界の資源エネルギーシーンで起きているエネルギー大転換という大きな動き、そして、それによって促進されるであろうというクリーンエネルギーの活用と、それが全体としてどのような影響を及ぼすのかという点を中心に考察させていただきたいと思います。

まず、エネルギー大転換という変化なんですけれども、これはCOP21、いわゆる気候変動問題ですね、これに端を発して起きています。COP21で、御存じのとおり、気温上昇を二度未満に抑えるというパリ協定が合意されました。

私は、このパリ協定の合意なんですけれども、注目した点が二つありまして、まず一点目が、COP21に合わせてミッション・イノベーションという会合が二十か国参加で行われたんですね。そこで、今後五年間にわたって再生可能エネルギーを始めとするクリーンエネルギー技術の研究開発投資を倍増させるという、これまでにない行動指針が誓約されたんです。

更にもう一点、こちらの今スライドで出ているような極めてビジネスにたけた著名な企業家がこのミッション・イノベーションで誓約された誓約を強力に後押しするブレークスルー・エネルギー連合という民間の企業家連合を立ち上げたと。それによって、これまでにない政府と民間の連携を背景として、異例とも言える早さでパリ協定が発効されたという背景になっております。

で、ここで出てきたクリーンエネルギーという言葉なんですけれども、じゃ、これ、クリーンエネルギーって何なんだろう、どう活用されるんだろうという話なんですけれども、そもそも何がクリーンエネルギーなのか、これは明確な定義はございません。しかし、こちらのスライドで示させていただいたようないろんな文書例から分かりますように、再生可能エネルギーを中核としたエネルギー高効率分野がクリーンエネルギーとなります。

このクリーンエネルギーがこれから活用される、促進されるということなんですけれども、その背景には大きく三つのことがあると思います。まず一つは、気候変動問題への対応ですね。二つ目は、今までコストが高くて壁があった再生可能エネルギーのコストが大幅に下がってきたこと。そして、第四次産業革命という新しい技術の革新により新たな市場が誕生しつつあるということ。

まず、この再生可能エネルギーのコストですけれども、こちら再生可能エネルギー設備のコストの低下動向を示した資料なんですけれども、このグラフを見ていただいてお分かりのように、二〇一〇年からすごく急激に下がっているということが分かります。

それで、技術の革新による新市場についてですけれども、第四次産業革命が大きく関係してきています。第四次産業革命という流れでは、こちらの図のように、発電と送電と需要、それがIoT、インターネット・オブ・シングスでつながって、エネルギー需給についてのデータをビッグデータとして蓄積して、そのデータを基に人工知能が最適な需給を分析してコントロールを行うことで、天候により左右される再生可能エネルギーも最適化されて最大限導入が可能になるということが考えられているわけです。これはエネルギーインターネットなどというような呼び方をされているんですけれども、これが非常に大きな市場に成長することが見込まれています。

では、じゃ、どのくらいの市場になるのかと。いろいろ言われていますけれども、二〇三〇年にはグローバル市場で百六十兆円になるのではないかというような見方もされています。これ、百六十兆円というと、ちょうど自動車産業とほぼ同じ、迫る規模の市場になるということで、だからこそ、各国はいち早く自分の国にクリーンエネルギーのマザーマーケットを構築して、世界市場を、そこから打って出ようということを狙っているわけです。

そのことはクリーンエネルギーの分野の投資を見ても分かります。こちらが投資の動向なんですけれども、クリーンエネルギーへの投資はずっと増えてきています。増えてきて、二〇一五年には最高値に達しています。二〇一五年から一六年にかけてちょっと落ちているんですけれども、こちらは、次のスライド行かせていただきまして、投資は落ちているんですけれども、新設は増えているんですね。ですから、普及自体が落ちたとは言えないかなと。

じゃ、どうしてこれは下がったのかといいますと、いろいろ分析する必要はありますけれども、一つ分かるのは、こちらのグラフにあるとおり、二〇一二年を一〇〇とした場合の太陽光システム、風力システムの価格の推移です。そうすると、このシステム自体が安くなっているんですね。なので、全体の投資も下がってきているということは一つ言えるんじゃないのかなと。

このクリーンエネルギーの投資の動きというのは石油価格の関係からも読み取ることができます。御存じのとおり、二〇一四年から石油価格はどんどんどんどん下がってきてしまっているんですけれども、通常ですと、石油価格が下がったときにはクリーンエネルギーとか再生可能エネルギーの方には投資は向かわないはずなんですけれども、先ほどお見せしましたとおり、二〇一四年からでもクリーンエネルギーの投資は増えていると。

これはちょっと分かりやすく二〇一四年に線引いてみたんですけれども、確かに上がってきているということで、こうした状況から、二〇一五年の再生可能エネルギーの新規の設備導入量なんですけれども、これが全体の五〇%に達して、化石燃料、また原子力発電の新規導入量を初めて超えるに至っています。また、この二〇一五年に入った、新規導入された設備ですけれども、これ、三分の二が欧米以外の国、例えば中国とかインドとかブラジル、そういった国の導入であることも非常に特徴的でございます。

こういうような状況から、二〇一六年一月に開催されたダボス会議にエネルギーセッションがあったんですけれども、そちらにIEAの、先ほどお話もありました国際エネルギー機関のファティ事務局長が参加されていたんですけれども、その方からこういった意味合いの発言がございました。再生可能エネルギーはもはやロマンチックな夢物語でなく、エネルギーの主流だというような御発言もされているということがあります。ということなので、こういったことが今世界の国際的な認識なのかなということが読み取れます。

では、こうしたクリーンエネルギーの広がりというのはどういう影響を及ぼすんでしょうか。既にもういろんな影響が出てきております。これはEUにおける電力会社の発電シェアなんですけれども、EUには大きい発電会社がいっぱいありまして、ちょっと見ていただいて、二位と四位、二〇一三年ですけれども、RWEとエーオンさんという会社、こちらが最近経営方針を大きく転換しています。

これが何をやられたかということなんですけれども、在来型の発電ですね、大規模火力、水力、原子力を切り離してクリーンエネルギーへのシフトを行いました。エーオン社は従業員が六万人の会社なんですけれども、会社を分離して、元々のエーオン社と新しくユニパーという会社をつくりまして、そちらに、ユニパーに二万人移して、そちらで在来型の発電をやり、元々のエーオンでは四万人を残して、こちらでは将来性があるとして再生可能エネルギーや配電事業、顧客サービスをやると。

RWE社も、分社化ではないんですが、新規会社を設立して、エーオンと同様に、本体は将来性があるクリーンエネルギー分野で、本体ではないですね、こっちは新しいイノジーという会社の方に将来性のあるものを移し、本体の方では、本社といいますか元々の方は在来型をやっていくと。

これ、なぜこういうことを彼らがやったのかということなんですけれども、一つ、このエーオンさんの発電構成を見てみますと、彼らの商売、商品ですね、この多くが化石燃料、大規模発電で、再生可能エネルギーは一割だったわけです。

じゃ、彼らの商品はこれなわけですから、これが結局ヨーロッパ、欧州では電力卸売市場で電力が盛んに取引されているわけなんですけれども、一日の中で刻々と変化する電力需要を満たすには、発電量を一単位、これ一キロワット・パー・アワーですね、増加させるために必要な燃料費などの増加費、すなわち限界費用ですね、限界費用が安い発電所から順番に運転することが最も経済的であるため、市場ではこの限界費用の安い電力から順に消費されていくことになるんですね。こちらに出させていただいたグラフのような順番になります。

そうなりますと、結局、燃料費の掛からない限界費用がゼロの再生可能エネルギーというものから消費されていく。そうすると、この再生可能エネルギー分野が広がる、それで需要が賄われていくと、その分、在来型のものは市場から押し出されるという形になって、いやあ、再生可能エネルギーをやっているとなかなか商売しづらくなったよということで、大手のRWE、エーオンさんは経営方針を転換したんですね。という状況が起きています。

今言ったような影響が起きている中、またパリ協定の目標を目指すとなると、将来的にエネルギー動向はどうなるかなんですけれども、いろんなところでいろんな見通しを出されていますけれども、ここではIEA、国際エネルギー機関から出たワールド・エナジー・アウトルック二〇一六という報告書をちょっと見てみたいと思います。

この報告書は、ニュー・ポリシーズ・シナリオという、パリ協定でいろんな国が約束したいろんな施策ですね、それを盛り込んだ場合の見込みと、でも、実はそれをやっても将来的に二度未満にはならないので、本当に二度未満にするためにどうしたらいいのかということを盛り込んだ四五〇シナリオという二つの見込みが報告されています。

こちらはそのニュー・ポリシーズ・シナリオにおける世界の発電電力量構成をグラフにしたものなんですけれども、御覧いただいてお分かりになりますように、この二〇二五年、そして二〇四〇年にかけて電力需要はやっぱり増えます。その増える中で、再生可能エネルギーの割合が増えていきます。一方、大きく減っていくところは石炭発電ですね。こちらの方が下がっていくということが見込まれています。

続いて、こちらはニュー・ポリシーズ・シナリオと先ほど申し上げました四五〇シナリオを比べたものなんですけれども、四五〇シナリオでは、更に全体の電力需要を抑えるとともに、再生可能エネルギーを今よりももう大幅に引き上げて、化石燃料を限りなく可能な限り減らす必要があるということが報告されています。

こうして見ますと、電力の中で石油というものが非常に目立たないんですけれども、じゃ、石油がなくなるということはないわけでして、石油の需要というものは、こちらは石油の分野別需要割合なんですけれども、二〇四〇年にかけてやっぱり全体需要は増えていきます。中でも需要が大きいのが乗用車、それから運輸ですね、運輸はトラック運輸とかですね。それと石油化学原料の分野で増えていくと。

この需要が多い乗用車に注目するんですけれども、乗用車の台数は次の二十五年で倍増します。でも、増えるんですけれども、増えていく中で電気自動車などの普及が進むことによって、石油需要はそんなに爆発的に増えないで抑えられると見込まれています。

でも、じゃ、どうやって車で抑えるかという見込みが、電気自動車の台数って今現在百三十万台ぐらいあるんですよ。それが百十五倍の一億五千万台に成長するという見込みなんですね。なので、極めて大胆なことをしていかないといけないのかなということが言われます。

これは、世界のCO2排出削減をちょっとグラフにしたものなんですけれども、これもIEAの先ほどのワールド・エナジー・アウトルックから出したものですけれども、この分野別のところを見ていただいて分かりますように、CO2の排出は電力に次いでやっぱり交通運輸が大きいということですね。やっぱりここの部分でいろんな対処をしていくことというのが非常に重要になってくるということはうかがえます。

では、どんどんどんどん減らしていかなければいけない石炭はどうなんだろうと。石炭の需要ですけれども、現状、その用途の六割がやはり電力になっています。それが二〇二五年、四〇年、このニュー・ポリシーズ・シナリオにおいても大体割合は同じ、しかし、四五〇シナリオに向けては大幅に減らしていかなければいけないというところですね。ですので、やはり電力分野でどうやっていくかというのが一つの大きなキーになってくるんだとは思います。

同じく、こちらは天然ガスの部門別の需要動向ですけれども、天然ガスについてもやはり需要として大きいのは電力分野ということになります。

今までクリーンエネルギー、それから在来型の資源といったものをざっと見てきたんですけれども、このエネルギー転換という流れには水素という新しいエネルギーというものも登場してきています。

今申し上げてきましたように、再生可能エネルギーというのがこれから大幅に入ると、当然余剰電力対策というものが必要になってきます。不安定な部分、やはり対策を取っていかなければいけない。そうしたときに、再生可能エネルギーの余剰電力を利用して水を電気分解して水素を生成して、それを水素燃料電池車に使ったり、又は家庭用の燃料電池に使ったり、又は水素ガスタービンというもので燃焼させていったり、また、水素はパイプラインにガスと同じ成分なのである程度は入れられますし、メタネーションすればそのまま入れられるということもあるので、ガスパイプラインに入れて使うということも考えられています。

これも、本年一月に水素利用を世界的に促進するための国際的な企業イニシアチブが発足されるなどありまして、水素の利用もいよいよ具体的な動きが促進される方向にあると言えます。こちらを今積極的に進めているのはトヨタとエア・リキードという会社がやっております。

すごく駆け足で来ているんですけれども、こうした流れの中、ざっとエネルギー大転換という流れを見てきたんですけれども、じゃ、不確実な、不確定要素というのは何があるんだろうということを考えますと、やはり今世間の皆様が非常に注目しているのは、アメリカのエネルギー政策ってどうなるんだろうということだと思います。

しかし、このアメリカのエネルギー政策がどうなるのか、これははっきり言って分かりません。トランプ大統領は気候変動枠組からの離脱を選挙中は主張してきています。なので、今の時点で明確なエネルギー政策は示されていないのですが、エネルギー省の長官に前テキサス州知事のリック・ペリーさんという方が指名されました。この方はどうして指名されたかというと、テキサス州知事時代のエネルギー政策の功績が評価されてとのことなんですね。

じゃ、この人、テキサス州で何やってきたのかというと、石油、シェールガスの開発と、クリーンエネルギーである風力発電の導入なんですね。彼のやってきたエネルギーの政策というのは、アメリカンエナジーというポリシーでやられてきました。

こちらの地図ですけれども、これ、全米の風力発電の導入量を示した図なんですけれども、色が濃い方が導入量が多いんですね。そうすると、テキサスはすごく色が濃くて、アメリカの中で一番風力発電を入れている。赤丸はその風力発電に関する製造業があるところですね。テキサスには多いと。

じゃ、この発電コストはどうなんだろうということを見ていきますと、実は今、テキサス州の発電コストですけれども、これ均等化発電原価という、比較するためのものの値段なんですけれども、今テキサスの風力が一番安いんですね。全米の石油、天然ガスに比べて極めて安くなっているという経済的なメリットも出てきているということになっております。

アメリカの風力なんですけれども、これは、アメリカは世界的に見ても導入量が世界二番目という一大風力大国になっています。それで、アメリカの風力を支えている企業がアメリカのゼネラル・エレクトリック社ですね。これは風力発電の設備のシェアで世界三位になっています。

トランプ大統領は先頃、政策助言機関として、大統領戦略政策フォーラムというものを設立したんですけれども、その中にゼネラル・エレクトリックのカリスマ的な前CEOジャック・ウェルチさんがメンバー入りしております。この大統領戦略政策フォーラムにはそのほかにも、ジャック・ウェルチのほかにテスラモーターのCEOのイーロン・マスクさんなど、クリーンエネルギー分野に非常に注力されている方も何人か入っております。

これはあくまで頭の体操的なことなんですけれども、そうしたことを考えますと、恐らく環境問題でクリーンエネルギーを進めていくことというのはないんだろうなと。ただし、経済産業問題としてクリーンエネルギーをやっていくということはひょっとしたら可能性としてはあるのではないかなというふうには思われます。

しかし、一方で、アメリカの新政権は化石燃料の開発にも力を入れていくということですから、現状、今在庫が非常に積み上がって、価格低減の原因となっています在庫がある中でこれからアメリカがどういったことをやっていくかというのは非常に注意をしていかなければいけないなということを考えております。

じゃ、そのほかに不安定材料はないのかといいますと、私はもう一つの不確定要素は鉱物資源だと思っています。クリーンエネルギーがこれ今申し上げてきたように普及すると、それにはやはりレアメタルというものが欠かせなくなってきます。しかし、こうした鉱物は常に供給不安が付きまとっていまして、クリーンエネルギーの普及が進めば当然そのリスクは高くなってきます。これは日本でも例外ではございません。ですので、これに関しては、我々、レアアースということで非常に大きな問題を抱えた経緯がありますので、これは資源の供給途絶に対する事前の対策を取っておく必要があるなというようなことは感じております。

では、じゃ、何をするべきかといいますと、これまでの石油などの化石燃料は、人類の発展のために国境を越えて必要とされてきたグローバルコモンズの役割を果たしてきたんですけれども、ひょっとすると、これからは鉱物資源が、人類の持続的な発展を支えるために、国境を越えて、グローバルコモンズとしてみんなが使っていかなきゃいけないものになるんじゃないのかなと。

そうしたことを考えると、今まで化石燃料にはIEAといった、国際エネルギー機関といったものが資源の安定に貢献してきたわけです。ですから、やはりこの鉱物資源も、まあ何と言ったらいいんでしょう、インターナショナル・ミネラル・リソース・エージェンシーとでも言いましょうか、IMAとでも言うんでしょうか、そうしたような国際的な安定化に寄与するような枠組みというものをつくる必要があるんじゃないのかなと。ましてや、これ日本は非常に需要が多いですから、日本が主導してもこれはいいんじゃないかなということをちょっと考えます。

大分時間も来たのでまとめに入りますが、ちょっと一つスライドは飛ばして、世界では今申し上げたようなエネルギー大転換という動きがあります。でも、パリ協定の早期発効やクリーンエネルギー市場に向けての各国企業の動きとかを見ていますと、やはりこれは皆チャンスだと捉えているのだと思います。これは化石燃料に依存している日本にとっても、化石燃料を減らしてエネルギー安全保障に寄与するという意味では非常にチャンスであることは言えると思います。

一方、米国の環境・エネルギー政策や鉱物資源政策の供給不安定など不確実な要素もあるわけなので、こうした不確定要素が多々あって、なおかつ今までかつてないような、産業革命とも言われるような大きな変化の中では、本当にもう社会科学、それから自然科学における国内の英知を集結させて、科学的見識をもって施策を導き出すことがますます重要になってきていると思います。

そのために、じゃ、具体的に何をするんだというところですけれども、ここはそのために、関係各省庁に所管されていますすごく非常に優秀な、立派な国立研究開発法人が幾つもございます。また、大学や企業、またNPO、自治体などがいろんな研究をしたり情報を持っていたりします。そうした方たちが一堂に会して、各所で取り組まれている研究や情報、データを集めて議論を行って、政策立案の土台となるような科学的共通見解を導き出す、このことがやっぱり非常に重要になってくるんだと思います。各人ばらばらばらばらでやるんではなくて、本当に今、いろんな分野を超えて、いろんな人たちが科学的データに基づいたファクトを基にした政策を立てていく、これが今本当に求められているんではないでしょうか。

ということで、ちょうど時間にもなってきましたので、私の報告は終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

○会長(金子原二郎君) ありがとうございました。

次に、西川参考人にお願いいたします。西川参考人。

○参考人(西川有司君) 西川でございます。(資料映写)

欧州復興開発銀行の、EBRDのEGPと書いてございますけれども、EGPはエンタープライズ・グロース・プログラムのこの略でございまして、いわゆる中小企業ですね、これを支援する仕事をしております。

この国際情勢に入る前に少しお話ししておこうと思いますけれども、一九九〇年ですね、九〇年代、経産省の官僚が、資源の調達、買えばいいじゃないか、開発なんかいいよ、買えよと。これで十年たったら、資源の人間がいなくなっちゃいました。いなくなっただけじゃないです。人がいなくなると技術もなくなると。それで、十年たって資源の人間がいなくなったときに資源ブームが来始めたわけですね。今度は人を集めろと。もう集まらないですよ。もう資源から離れちゃって違う分野に行っちゃった人が多いもので、そういう資源ブームにも、まあ一部乗っかった企業もありますけれども、乗っかれないと。

今日の朝刊、日経新聞、多分皆さん気が付いていると思いますけれども、今日、こういう資源の調査会があるから。住友金属鉱山、住友商事、一千百億円の損失と。その理由が、価格だけじゃないよと、経営能力ですと。価格だけじゃないんですね。資源の技術をなくすとどういうことになるかというと、直近では一千百億円損しちゃったと。要するに、評価能力が衰えたわけですね、あるいはなくなっちゃったと。

こんな話をしているとこれで終わっちゃいますから、次に話を進めていきますけれども、もうよくこれ一目見れば説明も要らない、よく分かると思います。二十世紀の初めに十七億だったですね、人口。今、七十億ですね。これを見ると、これは銅と亜鉛と金しか書いてございませんけれども、全部人口増以上にどんどん消費していると。

これはレアメタルですね。タンタルとレアアースが書いてございますけれども、このレアメタルは機能がよく分かってきたというのは二十世紀に入ってからなんですね。だから、機能が分かってきてから実用化になってきたと。それで、この二十世紀の後半、ハイテク化になったというか、こういうメタルがあったからこそハイテク化したわけですね。これ、レアアースのこのうなぎ登りの姿が、これはちょっと重なっちゃって分かりませんけれども、増えています。

これだけ増えてどうなんだと、将来。工業化、近代化、ハイテク化、それから日本は武器輸出も解禁しましたから、武器なんていうのは金属の塊ですよ、増加傾向になっていくでしょうと。それから、それぞれ製品というのは薄く小さくと。それから、非金属も利用されるようになってきたと。例えば、鉄から炭素繊維ですね。それから、軽さでいえば、自動車なんかは今アルミに変わっています、鉄からアルミ。このように、金属の利用自体も変わってきていると。それから、今後の増加分はどうするんですかと。これは、取りあえずは新規開発、これはやっていかなきゃならないでしょう。そのほかに増産と、それからリサイクル率上昇と。このリサイクルについては、かなりその資源調達できる余地はあると。

もう資源ブーム終わったばっかりというか、終わって二年ぐらいになりますけれども、先ほど言った二〇〇四、五年から始まったわけですね、資源ブーム。二〇〇四、五年のときには日本の技術者はほとんどいなくなっちゃったと。人事に行ったり、特許関係の仕事をしたりと、こういう実態ですよ。これは元をただせば何かというと、安ければ買えばいいじゃないか、買えばいいんだと、こういう言葉が、一言が世の中変えちゃうと。この一言ですよ、この一言で変わっちゃいましたよ。幾らブームが来ても、もうけるのは商社だけですよ。

リーマン・ショックがあって、すぐ回復して、ロシアが復活したし、中国が拡大したし、多極化してきたと。と思ったら、二〇一四年からブームが去ったわけですね。ブームが去ったといっても、今でも銅だけ取れば五千ドルですよ。先ほど言った買えばいいんだという時代は、一九九〇年代、二千ドルから三千ドルの間ですよ。今はまだ高い。

これが景気と探査の動向を表すグラフになりますけれども、これちょっとデータは二〇一〇年で少し古いんですけど、今変わっていません、これと。世界で何を狙って探査しているかと。半分以上は金です。それから、あとはベースメタルですね。日本はどうかというと、ほとんどベースメタルですね。それもごく限られたベースメタルと。

金を探している人は、ネックレスを作りたいから金を探しているわけじゃないですね。もうけるためですよ。だから、これはもうけるためにほかの鉱山に投資していくと。資金源になるわけですよ。その金に対して日本は、まあ国はと言った方がいいかもしれないですね、ほとんど支援しないと。世界は金ですよ。だけれども、日本は銅とニッケル、亜鉛、これだけですよ。

これは、今度はその費用ですね、どれだけ金掛けているかと。大体世界で二兆円ほど探査にお金掛けていますけれども、このグラフ、棒グラフの方は探査費用ですね。それから、折れ線グラフは価格ですよ、メタルの価格ですね。これ、一九九六年を一とした場合の価格ですよ。価格が安くなれば探査も減ると。探査のこの費用の推移を追っていくだけで景気の変動はよく分かります。

ということで、鉱物資源の情勢はどうなっているのかと。簡単に書いてございますけれども、資源情勢が多極化している、中国の勢力が拡大していると。国家管理も拡大していると。BRICSによって需要拡大していたんですけれども、停滞していると。それから、資源国の川下化。これはインドネシアで行われていますけれども、要するに原料の輸出禁止ですよ。ごく最近、それじゃやっていけないということでインドネシアもそれに制限を設けましたけれども、この資源国の川下化はインドネシアばかりじゃないですね、いろんな国が今この方向にあると。それから、供給地の消費地化。日本などに原料を供給していたところが、自分たちが使わなきゃと。で、使い始めていると。

こういうことを踏まえると、日本の原料安定確保、これは可能なのかと。技術もない、金はある、大丈夫かと、こう思うわけですね。

最近の日本の情勢についてお話ししますけれども、資源確保のための各種制度を策定しています。最近でも、投資できるようにしたり、鉄に対しても制度を設けていると。それから、皆さんも深く関わっているんではないかと思いますけれども、資源外交強化、アフリカ、中央アジア、東南アジアと。それから探査促進、これはJOGMECがやっていますね。それから商社、投資活発化と。しかしながら、メタル価格が下がって、商社も資源投資の見直しをしていると。鉱山会社は、探査、開発、減少させて停滞していると。もう人がいなくなった中で、多少なりともやっていますけれども、景気が悪くなりゃできないと。この資源外交、これうまくいったのかどうか分かんないですけれども、うまくいったという話は聞こえてこないですね。

それから、JOGMECがやっているジョイントベンチャー基礎調査という、これも、もう大分プロジェクトやっていますけれども、成功したという話は聞こえてこないです。例えば、カンボジアでJOGMECがこのプロジェクトをつくったわけですね、JOGMECの人が実際に来て。相手がオーストラリアの探査会社ですよ。JOGMECとやると五〇%権益取られちゃうよ、いいのかと。いや、いいんだ、どうせ可能性のない方をJOGMECに提供しているんだと。おまけに、可能性のないところの探査がただでやってもらえて助かるよというように感謝されましたよ。これが実態ですよ。皆さんも、JOGMECのこの調査、どれだけやって、どんだけ金掛けて、どんだけ成功したんだということを聞いたらいいですよ。

そういうことで、あんまり良くないなという話ばっかりなんですけれども、こういう中で欧米はどうしているんだと。欧米は寡占化ですよ。欧米だけで支配しようと、こういうことでやっています。あるイギリスの大会社、そこでそこの開発部長に、リスク、どこの国がターゲットなのと言ったら、その答えは、なに国なんかターゲットじゃないよ、政権を自由にコントロールできるかどうか、それだけがポイントだと。政権をコントロールできれば資源は手に入ると。これが実情ですよ。

大分前ですけれども、モンゴルで世界銀行のフォーラムがあって、モンゴルの大統領も出てきましたよ。大会社のイギリスの方が、鉱業法のここがおかしい、直してくれないかということを大統領がいる前で言ったら、大統領が何と言ったと思います、あした直しますと。こういうように、世界をコントロール、政権をコントロールできないと本当にいい資源は手に入りません。

とにかく、ノーリスク・ハイリターンで欧米の企業はやっているわけです。で、支配地域を拡大しています。ナイジェリアとかコンゴ、アフガニスタン、こういうところでも混乱の時期に世銀プロジェクトを作るわけですね。それで、いいところを最初に取っちゃうというのが彼らのやり方です。

世銀のこれ仕事ですけれども、上に世銀のパッケージのプログラム、みんな民営化とか鉱業政策立案とか、こういうものを入れて欧米のコンサルにやらすわけですね。資源国は、金を出して、借りるわけですね。それで、ここにいるジュニアというのは探査会社ですね。それからメジャー、大きな会社ですね。こういうところが資源国に入っていくわけですね、世銀のプロジェクトがあると。しかし、その前にこの欧米のコンサルが入り始めると、情報は、この資源国じゃなくて、どういうわけかここに情報が行くわけですね。そうすると、最初に鉱区を取っちゃうと。これが実態です。

ロシアですけれども、関係国、旧ソ連、これ強化しております。それから、シベリアに開発強化と。要するに、ウラルはもう能力いっぱいになっちゃったわけですね、製錬所の。だからシベリアに移りたいわけですね。今、シベリアから鉱石持ってきていますよ、何千キロ。日本にシベリアどうかと持ちかけているのは、こういうものも入ってくると思います。それから、欧米企業は進出規制していると。ロシアでは五〇%しか権益取れない、ロシア化を拡大していると。

で、中国ですね。金属需要の増加から減少になって、国内資源では需要を賄えないと。国内資源は保護して海外の資源調達しようと。これが海外展開の理由です。

日本はどうかというと、いつも、何十年も原料の安定供給、自給率、製錬所のですよ、自給率増大、レアメタルの確保、毎年同じことを言っていますね。それで、資源権益を増加させろ、それから資源外交を拡大しろと。まあ拡大しても成功したためしがない。それから、海底資源開発、これも力入れていますけれども、もう陸上が駄目だったから海でやるんじゃないのということでやっていますけれども、いきなり採掘とか選鉱とか、技術を一歩一歩確かめずに飛んじゃっていると。それが海底資源開発。まあなかなかうまくいかないでしょうね。これはメタンハイドレートも入ります。それからリサイクル強化と。

資源開発における日本の特徴というのは、欧米企業の傘に入っていると。だから、結構各地でやっているんだというけれども、五%とか一〇%とか一五%、そういうシェアを譲ってもらってやっていると。自力で鉱区取得してはやっていません、ほとんどやっていません。それから資金も、自己資金、金が余ったとき、自己資本を使って、それからJBICの融資を使ってやっていると。それから、探査専門企業はありません。FS、経済性検討ですけれども、やれる企業もありません。政府のバックアップは欲しい、リスクは負わないよと。技術力は不足というか、ないと言った方がいいかもしれないですねという状態です。

今、一例、ちょっとタングステンの例を挙げると、これは技術を保持していたわけですね、二千十何年まで。タングステンというのは、皆さんタングステンフィラメントで懐かしく思う人もいるかもしれないですね、電球。強いんですよ、タングステンって。それでフィラメントに使っているんですけれども、今LEDとかに置き換わっちゃっていますから、タングステン自体がそうなじみがないかもしれないですね。で、中国が寡占化していると。

一番下の行を見てください。最近、大鉱床を発見していると。これも景徳鎮、レアアースの産地ですね、景徳鎮から近いということで余計強気になると思います。日本は、二〇〇五年ですよ、山口県の喜和田鉱山閉山して、今一〇〇%輸入です。この生産量と埋蔵量見てください。赤で書いたのは中国ですよ。生産量は八十多分三%だったと思います。埋蔵量も六〇%ぐらい中国ですよ。いつでも供給できないようにできますよ。

次はアルミ。これも大事な金属なんですね。ただ、先日、三菱商事のアルミの担当者に聞いたら、アルミ良くなるじゃないか、いや、アルミは日陰者ですよというようなことを言っていましたが、とんでもないと。今、自動車はアルミを使うと、半分に軽量化できるわけですね。燃費も三〇%は抑えることができる、減らすことができると。それで、自動車のエンジンにも使われていますけれども、アルミバッテリーですね、今カリフォルニア大学で開発していますけれども、一応成功しています。実用化はこれからですけれども、これが成功すると自動車自体がアルミバッテリーになっちゃうかもしれないと。アルミの良さは変形できることですね、どんな形にも。そういう時代もそう遠からず来るんじゃないかと思っています。

このアルミも、最近ですよ、技術なくなったの、製錬技術。二〇一四年ですね、最後に残っていたのが。何もないですよ、今、加工技術しか。こういう実態ですよ。

で、日本はどんな課題があるのと。自立しなきゃならないでしょうと、難しいけれども。それから、技術者、技能者、これを確保しなきゃならないと。これは日本からは確保できないですね、今や。インドネシア人とかフィリピン人の方がレベルは上ですよ、実務レベルは。そういう人たちをやっぱり雇ってくるしかないですね。

それから、この探査資金も多様化させるために欧米の金を持ってこられるようにしなきゃならないと。このジュニアの育成。ジュニアというのは探査専門会社ですけれども、欧米には五千も六千もありますよ、この会社が。で、株式市場、トロントとかロンドンとか、その市場からお金を調達していますね。日本はゼロですね。

それから、国際機関の利用。国連に十何%か拠出していますからね、それが欧米にうまくやられちゃっていると。で、一・何%か人も行っていますよ、日本から。官僚も行っていますよ、大蔵官僚も。行っていますけれども、世界銀行の人に聞くと、日本人は話さないというんですね。それと、日本人は日本の方を向いて仕事をしていると。まあ席が日本の方角を向いているのかどうか知らないですけれども、とにかく日本の方を向いていると。うまく、一件二十五億円から百億円ですね、世銀のプロジェクトというのは。これで鉱業を牛耳れるわけですね。

それで、最後のスライドになりますけれども、最初に、買えばいいと、その一言で日本の鉱物資源の世界が変わっちゃったわけですね。今、リサイクル、これは拡大していますけれども、結局メーカーというのはやりっ放しなんですよ、作りっ放し。そう原子力と大差ないですね。自動車も造りっ放しですよ。これを、ここに書いてあるような、鉱山から製品利用、それから利用済製品、これを元に戻すと。この話をすると、まあ九九%以上の人が、そんなもの無理だ、できっこないよと言います。廃炉の処理よりも易しいと思いますけれどもね、福島の処理よりも。

リサイクルロード、こういう名前を付けたんですけれども、私自身が付けていますけれども、これができてこそ循環ですね。こういう循環をやれるところはやっていくと。一部、例えばホンダはバッテリーだけやろうとしていると、バッテリーだけですね。だから、全面的にというわけじゃないと。こういう、元に戻す、戻せないものは技術開発しようと。あるいは資源としてためておけばいいじゃないかと。どうせ原発の場所は廃炉になって要らなくなるわけですから、そこに積み上げておくよと、処理できないものをですね。

そういうことで、リサイクルを本格化していけば資源の技術で獲得できなくてもまあ何とかやっていけると。ここで世界の先頭を切ればいいなと思っています。

どうもありがとうございました。以上です。

○会長(金子原二郎君) ありがとうございました。

次に、高村参考人にお願いいたします。高村参考人。

○参考人(高村ゆかり君) ただいま御紹介にあずかりました名古屋大学の高村でございます。

今回、この調査会にお話をさせていただく機会をいただきましたことを改めてお礼申し上げたいと思います。

あわせて、院の先生方には調達価格等算定委員会の委員に承認をいただいております。大変重い仕事を受け持っていると思っておりますけれども、励ましとともにお叱りもいただきながらやっております。

〔会長退席、理事福岡資麿君着席〕

私、今日は、省エネルギーと再生可能エネルギーとその政策の動向ということでお話を申し上げたいと思っております。大きく、再エネ、省エネをめぐる世界の動向と変化、そして四〇年、まあ三〇年、四〇年の見通し、主要国の動向、そしてそれを踏まえた日本の政策について考えておりますことを申し上げたいと思っております。(資料映写)

再エネと省エネと今申し上げましたけれども、実際は、先ほど平沼参考人がおっしゃいましたように、大きな変化が国際的に起こっていると認識しておりますのは再生可能エネルギーの分野でございます。したがいまして、私の報告はそちらに焦点を置かせていただきたいと思いますが、質疑の中で御質問がございましたら、できる限り省エネについてもお答えを申し上げたいというふうに思っております。

こちらは世界のエネルギー需要のこれまでとこれからでございます。二〇一四年には二〇〇〇年に比べまして三割のエネルギー需要が増加をしております。先ほど、武石参考人からもありましたように、国際エネルギー機関は二〇一四年から二〇四〇年に向けて年一%程度の増加の見通しということを記しております。こちらの図を見ていただくと分かりますが、先進国についてはエネルギー需要は二〇四〇年に向けてほとんど伸びておりません。主な需要の伸びというのは途上国で生じると見通しております。

〔理事福岡資麿君退席、会長着席〕

二〇一五年というのが大きな変化の年だということを参考人の方からもございましたけれども、一つの変化の兆候というふうに思っておりますのがこちらでございます。これも国際エネルギー機関の二〇一六年のデータを基にしたものですが、元来、先生方御存じのとおり、経済成長に伴ってエネルギー需要が伸びる、それに伴って温室効果ガスの排出量が伸びるという傾向がございます。まさにこの歴史的な排出量の動向を見ていただきますと、石油ショック、ソビエト連邦の崩壊、そしてリーマン・ショックの折に経済停滞を経験をして排出量が減るということを経験してまいりました。

しかし、二〇一四年、一五年というのがそういう意味では非常にそれとは違う傾向を示したということを国際エネルギー機関が指摘をしております。一四年、一五年と世界経済は三%以上の経済成長を記録しているにもかかわらず、一四年、一五年、排出量が頭打ちになっております。これを分析をしているわけでありますけれども、一つには省エネルギーの推進であります。そして、もう一つはエネルギー転換でございます。これは、エネルギー転換は、排出量との関係でいきますと、石炭からガス、そして石炭から再生可能エネルギーでございます。

スライド、二つ飛ばさせていただきます。

日本の温室効果ガス排出量も実はこの二年、同じ傾向を示しております。二〇一四年、一五年の値は、これはまだ森林などの吸収の量をカウントしておりませんので暫定値、速報値でございますけれども、いずれも前年比で三%ずつ減っております。これについては環境省さんの説明書きを、ございますので、あえて全部読みませんけれども、大きな要因は、震災以降やはり着実に進みました省エネ、そしてもう一つが再生可能エネルギーの増大であります。

世界的な流れ、全体のエネルギーの中での再エネの位置をこちらは示しております。

これ、武石参考人からもあったかと思いますので簡単に申し上げますけれども、やはり現状において化石燃料というのが圧倒的に大きな位置を占めております。これは最終エネルギー消費ですので、電力だけではなく燃料、そして熱、そうしたエネルギー総体の中で見たときに再生可能エネルギーは一九・二%を占めます。

ただし、留意しなければいけませんのは、そのうちの一〇%以上が特に途上国で使用されております伝統的バイオマス、まきですとか炭でございます。当然こうしたものの使用は健康への影響等もございますので、それを近代的な電力に転換をしていくというのが国連の中でも非常に重要な課題となっている。SDGの中にも、持続可能な発展目標の中にも記されております。

発電ベースで見ますと、世界的には石炭に次ぐ第二の電源に再生可能エネルギーがなっております。なお石炭がやはり四割を占めるわけでありますけれども、しかし、見方を変えますと、既に世界の四分の一は再生可能エネルギーになっております。ただし、ここも留意が必要でして、そのうちの一六・六%、大きな部分が大規模水力でございます。

ただ、先ほど申し上げました二〇一五年というのがこれまでの傾向に大きな一つの変化をもたらしているように思われます。

もちろん政策的には、先ほど申し上げました持続可能な発展目標、これは日本でもこれを目指して推進をしていくということになっております。その中に、エネルギーへのアクセスを全ての人に、そして世界のエネルギーミックスにおける再エネの割合を大幅に拡大をさせ、そしてエネルギー効率を改善させるという方向を出しています。

そして、パリ協定、先生方がよく御存じのパリ協定でございます。パリ協定は、気温上昇を二度未満に抑えるという、二度を十分に下回る水準に抑えるという目標と、今世紀後半に排出を実質ゼロにするという削減の目標を示しておりますけれども、この目標というのが一つの指針となって今国際社会が動いているということであります。

確かに一五年というのは、そういう意味では政策的に非常に重要な位置を持っていたわけでありますけれども、もう一つは、実際の足下で大きなエネルギーの変化、エネルギーシステムの変化というものが起こっているということを国際エネルギー機関のビロル氏が一六年十月に、ワールド・エナジー・アウトルック二〇一六を公開をした際に、現在の状況をこのように評価をしております。

例えば起きている変化を再生可能エネルギーに引き付けてみますと、二〇一五年というのは、これは先ほど既に平沼参考人からありました、史上初めて再生可能エネルギーの設備容量が石炭の設備容量を超えます。新たに設置をされる再生可能エネルギーの設備の容量は、新規の化石燃料、原子力発電所の設備容量を一五年に超えます。そういう意味では、我々が今まで想定をしていた以上の速度で導入が拡大をしているということが言えます。

再エネ投資の方を見てみますと、二〇一五年は史上最高を記録しております。特にその中身をよく見てみますと、大規模水力を除きますいわゆる最近の太陽光とか風力といったような再エネの投資額が、既に石炭、ガスへの投資額の二倍になっているという点であります。先ほど言いましたように、現状は化石燃料がなお支配的ですけれども、現在の新規投資が明らかに再生可能エネルギーに移ってきているということは、将来、設備が老朽化をしてリタイア、なくしていく際には、そちらに取って代わるということをこれは暗示をするものであります。

次に続きます図というのは、今申し上げた点を分かりやすい図をお付けしようということで付けたものですので、簡単にお見せしてまいります。先ほど言いました再エネの設備容量が非常に大きく伸びているというのをお示ししたものです。

それから、一三年、そして一五年に、これは平沼参考人のところからもありました、新規の設備導入量で五割を再エネが占めるというようになってきているというものであります。

こちらはそれぞれの設備ごとの導入量でございます。

今、設備の容量のお話をしましたが、発電量そのものも増えておりまして、二〇〇一年比で見ますと二・五倍になりました。一五年に約二三%という図を先ほど御紹介いたしましたが、二一年には国際エネルギー機関の見通しでは二八%、三割に近い水準まで発電量が達する予定であります。

今、公開された、しかも日本が加盟をしております国際エネルギー機関の資料を使っておりますけれども、専門家の中で言われますのは、常に国際エネルギー機関の、特に再生可能エネルギーの導入量の見通しが実際の導入量に追い付いていないという点であります。若干、国際エネルギー機関をかばいますと、一つには、非常に導入の速度が加速をしているために、どうしても分析、情報収集のために掛かる時間を考えますと、二年ぐらい前のデータを基に見通しを作らざるを得ないという点がございます。

更にもう一つ申し上げますと、各国が持っております政策の見通しを踏まえて、あるいはその目標を踏まえて導入見通しを作っておりますので、その結果、各国の見通しを踏まえた結果として出したものが実際上はずれているということであります。これは言い方を変えますと、各国が想定をしている以上の速度で再生可能エネルギーが導入をし始めているということを示しているものかと思います。

投資の方を見てまいります。こちらは国連の環境計画とブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスというシンクタンクのものでございますけれども、二〇一五年にやはり投資額が大規模水力を除いても石炭、ガスの投資額の二倍以上を占めるといった点がこちらから見えます。

先ほど、これも平沼参考人からもありましたけれども、一旦、二〇一三年のところで投資額、落ちておりますが、効率的な導入、つまり太陽光等々の価格、コストが下がったことによって、同じ金額でも導入が増えるということが観察をされております。

その投資額に関して言いますと、現在では途上国が先進国の再エネ投資額を抜き、同時にその中心的な、途上国の四分の三、七割以上の投資というのは中国、インド、ブラジルで生じている、つまりこの三つが非常に大きな再エネの市場になっているということであります。

恐らく先生方のもう一つ大きな関心ではないかと思いましたのが雇用であります。

日本でも再生可能エネルギーの導入の一つの効用として、地方再生、地方の創生、そして地方での雇用創出ということが、その効果が期待されるわけでありますけれども、現実に、二〇一五年では再生可能エネルギー全体で三十八・八万人の雇用を生み出しているという評価でございます。一番大きな雇用というのは、先ほどの投資市場と合致をするわけでありますけれども、一番最初に中国、そしてEU、ブラジル、アメリカ、インドに次ぐ六番目の位置を日本は占めております。主な投資分野は、日本においては太陽光でございます。なお、一つ申し上げないといけません。ここで言っております再エネ、雇用の評価、大規模水力は除いております。

じゃ、なぜ、想定している、つまり政府が想定している以上の速度で再生可能エネルギーが導入をしているのかという点でありますが、この点は、太陽光、まあ太陽光だけではございませんけれども、再生可能エネルギーのコストが大きく低減をしているという点であります。特に、太陽光のコストは、二〇一〇年から一四年の五年間で約半分に低下をいたしました。

このスライドにあります横のオレンジ色のレンジというのは、火力発電所のコストレンジ、コストの幅でございます。見ていただきますと、既に二〇一〇年の段階で、例えばバイオマス、地熱、陸上風力などは火力発電所と競争的な、つまりコストとして競争ができる段階に入っておりますが、この五年間でその傾向は変わっていないということが見て取れます。一番印象的なのは、いわゆる太陽光の、この真ん中にあります黄色のドット、一番斜めに下がっているところでありますが、これが先ほど言いました太陽光のコストがこの五年間で半分になったというところであります。

先ほどお見せした図というのは、太陽光あるいは風力など再生可能エネルギーを導入することによる二酸化炭素の削減、あるいは大気汚染の防止に掛かる費用を含めておりません。先生方から向かっていただいて右側というのは、火力発電所のコストレンジが少し上がっておりますけれども、これは二酸化炭素削減対策、大気汚染の防止対策を取ることを前提としてコストに上乗せをするとこうした形になります。つまり、より再生可能エネルギーがコスト競争力を持つということであります。

恐らく先生の中には、で、日本はどうなっているのというふうにおっしゃる先生いらっしゃると思うんですが、ここが大変日本の一つの大きな課題であろうと思います。これは、国際再生可能エネルギー機関の二〇一六年の報告書、一五年までのデータを見たものでありますが、見ていただきますと分かるように、日本の太陽光のコストというのは大変高い位置にございます。向かって左側が、中国とドイツが一番低いのでありますけれども、中国とドイツと比較をいたしまして日本の太陽光のコストは三倍であります。この太陽光のコストをどのように下げていくかというのが日本の政策の一つの大きな課題であります。

ドイツがなぜ下がっているのかという点は、一つ申し上げないといけないのは、ドイツはやはりかなり早い段階から再生可能エネルギーの導入政策を入れてまいりました。一九九〇年の太陽光のシステムコストと比べて二〇一五年の段階で十分の一まで下げてきたわけです。そういう意味では、このコストを下げる政策をどういうふうにしていくかというのが日本にとっての一つの課題と考えています。

今まで足下の話をしてまいりました。これからどうなるのかということであります。

先ほど何人かの参考人からございましたように、パリ協定が一つのきっかけではございますけれども、主要先進国は高い再エネ目標を二〇三〇年に向けて掲げております。一つ一つ御紹介はいたしませんけれども、発電量ベースでいきますと大体四〇%から四五%、一次エネルギーベースでまいりますと三〇%前後を二〇三〇年の目標として掲げている先進国が多くございます。アメリカについては、政権の交代もありますけれども、少なくとも州の段階で、つまりエネルギー政策に大きな権限を持っている州がどういう行動をしているかということで、カリフォルニアとニューヨークとハワイという、まあ一番野心的な目標を掲げている州を御紹介をしております。

再生可能エネルギーと併せて、欧米諸国の電源構成の推移について資料を付けております。原子力発電については、国によってその政策の位置というのはかなり違っております。ドイツのように二〇二二年までに原子力を全てなくす、原子力発電をなくすという国から、イギリスのように原子力発電を更に維持をするという方向を出している国もございます。

しかし、一つのトレンドとして見ていただくのは、明確にやはり石炭を減らし、天然ガスと再生可能エネルギーを拡大するというところは大きなトレンドとして見て取れるかと思います。

スライドを少し飛ばしてまいります。スライドの三十一でございます。

二〇四〇年の見通しについて、やはりほかの参考人からございましたけれども、再生可能エネルギーは、現在想定をされている、取られるであろう対策を想定をしたときに、三七%ぐらいまで、再エネ、電気ですが、拡大をすることが見込まれております。しかし、見方を変えますと、なお化石燃料が支配的であるという傾向は現時点では認めざるを得ません。

それを表しておりますのが、ここにあります四五〇ppmシナリオという、一番先生方向かって右側でございますけれども、これがいわゆるパリ協定が目指している長期目標とほぼ合致をするシナリオでございますけれども、それには足りていないということがお分かりいただけます。

これと併せて、日本もそうなんですが、一つの大きな再生可能エネルギーであり省エネの課題は、熱の部分と交通部門です。見ていただくと分かりますように、再生可能エネルギーは、電気の分野と異なって、やはり化石燃料依存度が高いまま推移をするというのが、現在の対策を想定をしてもそういう傾向が見通されております。ここがもう一つ世界的にも日本でも課題となります。

時間の関係もございますので、簡単に主要国の動向だけお話をして、最後に申し上げたいと思っております。

まず、EUでございます。

EUは、目標は先ほど表でお見せしましたが、目標の水準はEUで設定をしておりますけれども、具体的な促進策は各国に委ねております。全体としては、FIT制度、固定価格買取り制度を導入している国が多くございますけれども、いろいろな課題も抱えているのは間違いございません。

比較的うまくいっているのは、私はドイツだと思います。ドイツは、その固定価格の買取り制度を市場ベースの支援策に変えたり、あるいは入札を導入をすることによって、できるだけ国民の負担を下げていくということを実現しようとしております。

実際、卸電力市場での市場価格というのは、二〇一一年と比べて一五年には半分になっております。したがって、ドイツの経済界は、賦課金を免除されるとともに、安い卸電力を卸電力市場から調達をできるという意味で、競争力上、非常にある意味では優位といいましょうか、利益を得ているということが言えます。

他方で、メリットオーダー効果、つまり、再生可能エネルギーはバイオマスを除きますと稼働費ゼロですので、相対的に高いガス火力が閉鎖をせざるを得なくなってきている。つまり、その結果、今度は石炭火力が動いてしまうという、そうした傾向があるのは間違いございません。

そういう意味では、苦労しながら、恐らく日本も起こり得る、再エネ導入を拡大したときに起こるいろいろなシチュエーションをここから学びながら準備をしていく必要があるかと思います。

欧州についてもう一つ申し上げるのは、更に導入を四割あるいは五割と増やしていくために、系統の運用と拡充というのを、つまり送電線の拡充と運用を再エネ対応に合わせていくということをヨーロッパ大で決めているということです。この点、もし御質問があれば受けたいと思っております。

アメリカについてです。

アメリカは、基本的にはエネルギー政策は州が主導しておりますが、政権の交代で再生可能エネルギーあるいは温暖化対策のための対策というのはなかなか出てこないかというふうに思っておりますけれども、しかしながら、これも平沼参考人からございましたでしょうか、再エネ投資の減税策は既に共和党優位の議会を含めて一五年末に五年間の延長を決めております。つまり、再エネ投資の促進という観点から連邦の減税策は続いておりまして、さらに、こちらを御覧に入れようと思うんですが、スライドの三十七でございます。

アメリカ国内のエネルギーコストの状況を見てまいりますと、先ほどシェールガスのお話を武石参考人からありましたけれども、既に天然ガスの方が石炭よりもコスト優位でございます。

黄色い線がたくさんございます。州ごとの補助金が付いたときの太陽光のコストでございます。この補助金によって、太陽光のコストは半数の州で天然ガスと競争的、ほとんどの州で石炭のコストを下回っている状態であります。

したがいまして、私自身は、連邦の政策は余り積極的なものは出てこないかもしれませんが、このコスト構造から、市場が選択をして再生可能エネルギーの導入というのは止まらない、これは同時にガスも止まらないと思っているんですけれども、止まらないと思っております。

中国についてです。

中国について、これはもう読んでいただければ結構かと思いますが、国際目標としても二〇三〇年に現在の非化石のエネルギーを約二倍の割合まで増やすということを約束をしております。明確にその中の再エネ割合については書かれておりませんが、幾つか国際エネルギー機関のデータなどを見たときに、こうした、今ここに書いておりますような、かなりそのうちの多くの部分が再生可能エネルギーであるということが分かります。特に、中国は、二〇五〇年に再生可能エネルギーを最大、非常に高いレベルで入れたときの経済影響のシナリオを研究をしているという点がもう一つ注目されるところでございます。

ちょっと飛ばしてまいります。

企業がどうか。これまでは恐らくエネルギー問題というのは供給側の論理で見てきたと思いますけれども、この一つの大きな変化というのは需要側が選択をする中で再生可能エネルギーが選ばれるようになっているという世界的なトレンドであります。

ここではRE一〇〇という再エネ一〇〇%の取組を御紹介しておりますけれども、残念ながら欧米中心でございますが、自動車、IT系といったメーカーさんも入っていらっしゃいますが、自らの製造活動に関わる、あるいは事業活動に関わるエネルギーを全て再生可能エネルギーで賄うことを約束をする、自ら誓約をする取組であります。

単に象徴的ではございませんで、こちらはブルームバーグさんの資料でありますが、企業の再エネ調達が極めて大きな水準になってきています。二〇一六年ベースで十四ギガワットでありますが、これは日本のこれまで導入された太陽光が三十ギガワットを切るぐらいでございますので、どれぐらいの調達がされているかの規模感というのはお分かりいただけるかと思います。これは個社さんの水準、アマゾン、グーグルといったような企業がこうした調達を先導をしている形であります。

さて、以上の動向を私なりに踏まえたときに、先生方と是非意見交換をさせていただければと思っていますのは、私は、かなり大きな従来とは違う動きというのが出てきていると思っております。パリ協定は一つのきっかけだと思いますが、私はむしろ、政策ではなくて市場原理に基づいて、つまりコストが下がって、コストが安いので再エネが選ばれているということが一つの大きな特徴ではないかと思います。

二〇一五年、インド、インドネシアの目標についてここに御紹介していますが、その背景には途上国の中で非常に安い再エネの導入を実現をしている例というのがこの間出てきているということであります。

二〇一五年には、モロッコの風力、それからドバイの太陽光は一キロワットアワー当たり三円という入札価格です。チリはそれを切りまして二・九円、約三円弱という入札価格であります。そうしますと、途上国はまさに安いので再エネを選択をする、それがこうした大規模な再エネ導入を促している、の方に向かっているというふうに思います。

日本にとってコストが非常に課題だと申し上げました。私は、再生可能エネルギーというのは、二〇三〇年のエネルギーミックスの中で、いろいろ高い低いの議論はございますけれども、少なくとも日本の基幹電源の、しかも純国産の基幹電源になるという点は間違いないというふうに思っています。

しかし、ここで、またさらに三〇年を超えて広がる電源でもあるはずだというふうにも思います。それは、エネルギーの安全保障、日本の自給率を考えたときに、あるいは燃料費の負担、つまり外からの輸入によって我々のエネルギーコストが左右されないという点、あるいは国富が流出しないという点、地域の振興、雇用の創出。そしてもう一つ、私申し上げたいと思いますのは、日本企業がこの分野で極めて強い競争力を潜在的に持っているという点であります。

こちら、スライドの四十八に御紹介していますのは、世界知的所有権機関が作りました再エネ技術の特許トップ二十社であります。これは、太陽光、太陽熱、風力、バイオマスに限定をしておりますけれども、実に十二社。ちなみに、ヴェスタスさんは三菱さんが出資されておりますけれども、それを入れなくても十二社入っております。特許数で見ますと、日本がアメリカ、中国をしのいで一位であります。

そういう意味では、再生可能エネルギーの導入というのは、電源の問題だけではなくて、日本の企業、経済が持っている力をどういうふうに拡大する市場の中でうまく支援をしていくかという側面も持っているというふうに思います。

幾つか課題がございまして、コストの問題はもちろんございますし、FIT制度が適切に運用されるということも必要です。更に申しますと、やはり系統の問題、あるいは需要側、先ほど企業が調達をすると言いましたが、そうした企業さんも含めた需要側の調達、これは国の調達、自治体の調達も含めてですね、こうした再生可能エネルギーをより使っていくというインセンティブをうまく与えていくことが必要だと思います。もちろん、熱、そして燃料対策というのが加えて重要であることは言うまでもございません。

以上で私の報告を終わらせていただきます。

○会長(金子原二郎君) ありがとうございました。

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