山添 拓 参議院議員/弁護士 東京選挙区候補 日本共産党

国会報告

2017年・第193通常国会

スーパー堤防 事業の中止求める

要約
  • スーパー堤防は事業開始から30年、未だに整備率が2%に留まり、完成まで1070年かかると指摘。国交省は「完成時期を示すことができない」と見通しがたたず。
  • 江戸川区北小岩1丁目では、立ち退きを迫られた住民に対し、引き渡し時期になって、地権者らに約束していた地盤の強度不足が指摘され、引き渡しが遅れる事態に。山田水管理・国土保全局長は「国交省として対策工事を実施する」と答弁。

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
今日は、高規格堤防、いわゆるスーパー堤防について伺います。
委員の皆さんには資料をお配りしておりますが、二ページに図がございます。計画規模を超える洪水が来ても、なだらかな勾配で決壊しない堤防を造るんだというんですが、大変大掛かりな工事を必要とします。
現在、事業の対象となっているのは五水系、計百二十キロですが、この整備済区間の延長と整備率はどのような状況でしょうか。
○政府参考人(山田邦博君) お答えをいたします。
平成二十八年度末の時点で高規格堤防の整備を行った延長は、高規格堤防を整備することとしている約百二十キロメートルのうち約十四キロメートルでございまして、整備率にいたしますと約一二%となる見込みでございます。このうち、高規格堤防の基本的な断面形状が確保されている延長は約三・三キロメートルでございまして、整備率にいたしますと約二・八%となる見込みでございます。
○山添拓君 資料一ページのとおりです。一九八七年から三十年掛けて僅か二・八%です。完成まで、単純計算すれば千七十年以上掛かると。これ、三年前に我が党の田村智子議員が決算委員会で質問しまして、その時点では九百年ぐらいという計算でした。むしろ、延びているわけです。
高規格堤防の効果というのは三十Hというのを満たす、資料二ページにございます。基本断面を完成した場合に初めてその効果が発現するものとされています。従前、会計検査院からも指摘をされていますが、この三十Hを満たさない箇所も含めて今整備済区間として紹介されたんですが、そういう紹介のされ方はやめるべきだと指摘をしておきたいと思います。
国交省に改めて伺いますが、これ、全区間完成させる見込みが果たしてあるのかどうか。また、現在工事を進めている区間というのは優先度の高いところから進めているということなのかどうか、御答弁をお願いします。
○政府参考人(山田邦博君) お答えをいたします。
高規格堤防の整備は、関係者と調整を図りまして、沿川のまちづくりですとかあるいは土地利用の転換に合わせて事業に着手するものであるため、全体につきまして完成予定時期をお示しできませんけれども、引き続き、まちづくり事業等が行われる機会を活用いたしまして着実に事業を進めてまいりたいと考えているところでございます。
高規格堤防を整備することとしている区間は、人命を守るということを最重視いたしまして、人口が集中した区域で堤防が決壊すると甚大な人的被害が発生する可能性が高い区間であるゼロメートル地帯等の約百二十キロメートルに限定したものでございます。現在は、このうち、地元からの要望があり、まちづくりとの連携ができ、そして地域の防災力向上に資するところなどについて優先的に実施をしているところでございます。
○山添拓君 スケジュールは示せないということです。
スーパー堤防で安全性が強化されたかどうかというのは、一連区間の完成がなければ評価は困難だとしていますけれども、完成させる見通しもなく、つまみ食い的に、しかも現実には住民の反対を押し切り、町を壊しながら進めています。
その一方で、資料の三枚目から四枚目ですが、全国には国管理の河川で無堤防区間が八百七キロ、堤防はあるけれども計画された幅や高さを満たしていない区間が三千六百七十六キロ、合計四千四百キロ、約三割が整備不十分となっています。二〇一五年の鬼怒川水害でも、無堤防地区やあるいは堤防が著しく低い箇所が長年にわたって放置されて決壊をしました。無謀なスーパー堤防よりも、着実な堤防整備を進めるべきだと考えます。
このスーパー堤防の事業が進められている江戸川区の北小岩一丁目、十八班と呼ばれる地域、国会でも何度も取り上げられてまいりました。今年一月下旬、区の調査で地盤の強度不足が確認されました。元々住宅が連なる地域です。地権者との間で約束をしていた住宅建設に必要な地耐力を満たさないということが判明しました。三月末に予定されていた地権者への土地の引渡しも遅れることが確定しています。国は、いまだ調査中だということなんですが、調査が終了した後は約束した地耐力を満たすように対策をするんでしょうか。また、どのような対策をいつまでに行うのか、費用は国が負担するのかどうか、この点の御答弁をお願いします。
○政府参考人(山田邦博君) お答えをいたします。
現在、国と江戸川区で連携して地盤調査を行っておりまして、早急に結果を取りまとめて地権者の皆様へ御説明させていただく予定でございます。
国土交通省では、江戸川区と調整をしつつ、今後、宅地としての地盤強度を確保するための対策工事を実施することとしております。具体的な工法などにつきましては地権者の皆様方に御説明をした上で決定したいと考えておりまして、現時点でどの程度の期間を要するか、明確にお示しできる状況ではございません。
いずれにいたしましても、今後、早急に土地の引渡しができるよう、全力を尽くしてまいりたいと考えているところでございます。
○山添拓君 国が費用を負担するということは確かでしょうか。
○政府参考人(山田邦博君) お答えいたします。
北小岩一丁目の地区の整備につきましては、国が高規格堤防の盛土を施工し、江戸川区が土地区画整理事業として上面整備を行っております。地盤強度が不足している要因等を把握した上で、江戸川区と調整をいたしまして、国と江戸川区の対策費用の負担を決定してまいりたいと考えているところでございます。
○山添拓君 いつまで掛かるか分からないと。
この区間は、堤防としては僅か百二十メートルの区間なんです。国と区とで既に四十七億円を投じています。一メートル三千九百万円の計算です。それが更に膨らむことにもなるということです。三月末の引渡しを見据えて、地権者の皆さんはそれぞれに準備を進めてこられました。既に住宅建築の契約を済ませていた人もいると伺いますし、契約がまだの人でも予定が変わり移転費用もかさむことになります。個々の状況に即した適切な補償がなされるべきだと考えますが、どのように対処する予定でしょうか。
○政府参考人(山田邦博君) お答えをいたします。
対策工事が必要となったことで、予定をしておりました今月末の土地の引渡しが遅れることになりまして、地権者の皆様方には大変御迷惑をお掛けしております。補償に関しましては、地権者の皆様から多数の御要望をいただいているところでございます。
国土交通省といたしましては、地権者の皆様方の個々の御要望を丁寧に聞きながら必要な対策を検討してまいりたいと考えているところでございます。
○山添拓君 国が約束した強度を満たさなかったということですから、補償は最低限の責任だと思います。国が誠実に対応することを明確にされる必要があると考えます。
通常の堤防であれば、堤防上への建物の建設というのは制限されます。今回の事態は、堤防上に住宅などを建てることを前提としたスーパー堤防ゆえに生じた事態だと言えます。住宅密集地を丸ごと移転させてまた元に戻らせる初めてのケースと言えるわけですが、河川事務所の副所長の方が想定外だと述べるような事態が生じたということは極めて重大だと思います。
二〇〇九年に住民の皆さんが集計したアンケートでは、九二%が元々計画の撤回を求めていました。ところが、江戸川区がここで事業を進めると言い、国と結託をして、まちづくりと称して区画整理事業を都市計画決定をいたしました。繰り返し戸別訪問をして用地の先行買収まで行って、住民を追い出して分断して、そして町を壊して、戻る段階に至ってこの有様なんです。先の見通しもない中で、住民の皆さんは非常に怒っておられます。もうこんなところへは帰りたくないという方すらおられます。
大臣、住民無視で事業を進めて今日の事態を招いた、その責任をどのように認識されていますか。
○国務大臣(石井啓一君) まず、本事業につきましては、先ほど局長から答弁いたしましたとおり、地元からの要望があり、まちづくりとの連携ができ、地域の防災力向上に資するところなどについて優先的に実施をしているところでございます。国土交通省が何か一方的にやっているということではございません。
なお、今回の江戸川区の土地区画整理事業と共同で実施している北小岩一丁目地区の高規格堤防の整備箇所につきまして、土地の引渡し前に江戸川区が区画ごとの宅地としての地盤強度を確認した結果、強度不足が判明をいたしました。これにより対策工事が必要となったことによりまして、予定していた今月末の土地の引渡しが遅れることになりまして、地権者の皆様には大変御迷惑をお掛けをしております。
国土交通省といたしましては、江戸川区と十分に連携をし、地権者の皆様に対して早急に土地の引渡しができるよう全力で取り組むこととしております。地権者の皆様には御迷惑、御不便をお掛けすることとなっておりますが、皆様の不安を払拭するよう、丁寧に御説明をしながら対応してまいりたいと存じます。
○山添拓君 地元の要望とおっしゃったんですけど、先ほど御紹介したとおり、住民の皆さんは明白に撤回を求めていたわけです。まちづくりとは無縁のコミュニティーの破壊が進められた事実を直視されるべきだと思います。
二〇一六年度から事業を開始した江戸川の篠崎地区というところがあります。ここでは、スーパー堤防の機能を損なうことを前提としたような、にわかには理解し難い計画が進められています。
資料の六ページに、地図の赤で囲った部分がスーパー堤防となります。この南側の一部ですが、森のような部分が鍵状に河川方向に食い込んでいます。なぜなのかと。この区間、四百二十メートルは三十Hを満たさない、基本断面を満たさないではないかと、二〇一六年二月二十二日の関東地方整備局事業評価監視委員会でも問題とされています。
このとき事務局はどのように回答をしているでしょうか。
○政府参考人(山田邦博君) お答えをいたします。
平成二十八年二月二十二日に、関東地方整備局事業評価監視委員会におきまして、篠崎公園地区高規格堤防の事業評価を御審議いただいた際、浅間神社の敷地の盛土ができない理由として、土地区画整理事業の範囲に入っているが、土地区画整理事業の中で移転する計画はない旨を事務局より説明をしております。
浅間神社の敷地は、土地緑地法に基づきまして、宅地の造成、その他の土地の形質の変更が制限される特別緑地保全地区に指定されておりまして、その土地の改変には慎重な対応が必要でございます。そのため、土地区画整理事業の中で移転しないこととされており、盛土につきましても、江戸川区と調整の上、基本的に実施しないこととしているところでございます。
○山添拓君 今、緑地保全地域という話がありましたが、その話は関東地方整備局の議事録の中では紹介されていないことであります。
要は、浅間神社は移転に応じないという意思を示し、それを尊重したということなんです。これは当然だと思います。ところが、その結果、堤防は神社の鳥居の背後で途切れまして、敷地を約二・五メートルの高さで断崖が囲む状況になります。スーパー堤防は完成しません。機能を果たさないという前提で計画は進められている。
さらに、浅間神社の少し北には、七百年の歴史があり五百基近いお墓を擁する妙勝寺というお寺があります。先代の住職以来、スーパー堤防事業に反対を掲げてこられましたが、こちらはその声を聞かずに強制移転させようという計画です。極めて恣意的に区画整理が行われて、かつ三十Hを満たさない、スーパー堤防の機能を果たさない部分をつくり出している。こういう矛盾だらけの事業が進められようとしている。私は、これはやっぱりやめるべきだと思います。
なぜここまでしてスーパー堤防事業を進めるのか。背景には残土の処理先として確保したいという狙いもうかがえます。資料の七ページにございますが、元々建設業界からは、残土処理に利用できるというだけでもすばらしいアイデアだ、こういう声がありました。旧建設省も残土の受入先としてスーパー堤防が期待されると言い、国交省は、建設リサイクル推進計画の中で、大規模トンネル工事に伴い大量発生が見込まれる建設発生土についてもその有効利用の促進が必要であるなどとしています。
一方で、リニア中央新幹線の都内の工事に伴う建設発生土はほとんどが処分先未定のままです。外環道の工事では、発生土の受入先が遠方になったために事業費が三百九十一億円も増加すると。東京オリンピックに向け、更に建設残土の発生も予想されるとされています。
残土の受入先を確保するためにスーパー堤防事業を生き長らえさせることはあってはならないと考えますが、大臣の認識はいかがでしょうか。
○国務大臣(石井啓一君) 高規格堤防につきましては、残土を有効に活用しつつ整備を行う場合もございますが、他の大規模な公共事業を進めることを目的として高規格堤防事業を実施しているものではございません。高規格堤防の整備によりまして整備した区間の堤防の安全性が格段に向上し、氾濫時には住民の貴重な避難場所としての効用を発揮するとともに、堤防上に良好な住環境を提供することができるなどの多面的な効果が発揮をされます。
このように、高規格堤防の整備は大都市の人口、資産が集積しているゼロメートル地帯等の防災・減災等を進める観点から重要であると考えておりまして、国土交通省といたしましては、引き続きまちづくりの事業等が行われる機会を活用して地元公共団体と連携をし、地域の理解の醸成に努めながら着実に整備を進めてまいりたいと考えております。
○山添拓君 無謀な計画は中止し、着実な水害対策を行うよう強く求めて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。

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