山添 拓 参議院議員・日本共産党

国会報告

2018年・第196通常国会

公正取引委員会委員長候補に所信質疑

要約
  • 杉本公取委員長候補に対する所信質疑で、山添議員は、リニア中央新幹線をめぐる大手ゼネコン4社による入札談合・受注調整疑惑などをあげ、「特定の業界、事業者間で談合が繰り返されている」と指摘。杉本氏は「談合は独占禁止法に違反する非常に悪質なケース。厳正に対処し抑止効果を高める」と述べました。
 

○参考人(杉本和行君) 杉本和行でございます。

本日は、所信を述べる機会をいただきまして誠にありがとうございます。厚く御礼申し上げます。

まず、公正取引委員会委員長の任務についての認識について述べさせていただきます。

公正取引委員会が担当しております独占禁止法は、公正かつ自由な競争を促進し、事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んにし、雇用及び国民実所得の水準を高め、もって一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発展を促進することを目的としております。

公正取引委員会はこの目的を達成することをその任務としており、公正取引委員会の委員長には、他にも増して、国民全体の奉仕者たる国家公務員としての強い自覚を持ち、国民の皆様や関係各方面の意見を伺いつつ、公正に職務を遂行していくことが求められていると考えております。

私は、平成二十五年に両院の御同意をいただきまして、同年三月に着任して以来、公正取引委員会委員長として、他の委員共々、価格カルテル、入札談合などの独占禁止法違反行為、中小企業に不当に不利益をもたらす下請法違反行為、消費税の転嫁拒否行為などに対する厳正かつ積極的な対処を始めとする競争政策の積極的展開に取り組んでまいりました。これまでの取組を踏まえ、今後取り組むべき施策の基本的な方向についての考えを述べさせていただきたいと思います。

公正取引委員会は、昨年七月に創立七十周年を迎え、公正取引委員会が運用する独占禁止法も施行から七十年がたちました。この七十年の間、戦後の経済復興、高度経済成長、そしてバブル経済の形成、崩壊、人口構造の少子高齢化と、企業活動を取り巻く経済環境は大きく変化しており、独占禁止法は、これらの時々の経済情勢を踏まえて運用されてきました。私といたしましては、公正取引委員会の七十年の歴史と経験を生かしつつ、今後ますます急速に変化していく経済環境に的確に対応し、国民経済の発展に資する競争政策を更に推進していくことが必要であると考えております。

具体的な施策といたしましては、まず第一に、厳正かつ実効性のある独占禁止法の執行を確保していくことが重要であると考えております。独占禁止法に違反する競争制限的な行為に厳正に対処していくことは、公正かつ自由な競争の実現により、事業者の創意工夫を引き出し、消費者の利益を確保することにつながります。したがって、国民生活に影響の大きい価格カルテル事件や入札談合などには厳正に対処していく必要があると考えます。また、事業者の公正かつ自由な競争を確保するために、他の事業者の事業活動を排除又は支配するような私的独占や他の事業者の事業活動を不当に拘束するといったような不公正な取引方法についても監視し、適切に対処していく必要があります。合併等の企業結合事案については、消費者、需要者にとって選択肢を確保する観点から、競争を制限することとなる企業結合を規制するため、的確な審査を進めていくことが要請されていると考えております。

第二には、公正な取引慣行を推進する観点から、中小企業に不当に不利益を与える行為の取締りをしっかりと実施することが重要であると考えております。優越的地位の濫用、不当廉売などの不公正な取引方法や下請法違反行為など、中小企業に不当に不利益を与える行為に対しては厳正かつ積極的に対処するとともに、違反行為を未然に防止していくための施策を実施していくことが重要と考えております。

また、消費税の転嫁拒否行為への対処など、消費税の適正転嫁への取組についても引き続き注力してまいりたいと考えております。

第三に、競争を活発にする環境を整えることも競争政策の重要な役割であると考えております。公正取引委員会による法執行の方針を明らかにするほか、事業者による独占禁止法遵守を支援、推進することによって、法運用の透明化及び予測可能性を高めるとともに、違反行為の自主的予防を促すことが重要です。また、市場における公正かつ自由な競争を促進する観点から、調査等も実施してまいりたいと考えております。

最後に、国際的連携の推進があります。経済活動のグローバル化によって、サプライチェーンのグローバル化は進み、さらには国際的な企業結合事案も増加しております。こうした中にあって、独占禁止協力協定、経済連携協定等、二国間や多国間の枠組みを通じて、諸外国の競争当局との関心情報を共有する体制を強化し、また、競争法の執行に当たって協力を推進してまいりたいと考えております。

両院の御同意をいただくことができまして、公正取引委員会委員長に任ぜられました場合には、その職責をしっかり認識し、国民の代表である国会の御議論を始め、いろいろな御意見に耳を傾けながら、公正取引委員会の使命を達成すべく他の委員とともに努力を尽くしてまいる所存でございますので、よろしく御指導賜りますようお願い申し上げます。

以上、私の所信を述べさせていただきました。

本日は、このような機会を与えていただき、誠にありがとうございます。

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。

杉本参考人に伺います。

昨年の暮れに、リニア中央新幹線の建設工事をめぐって、スーパーゼネコン四社、大林組、大成建設、鹿島建設、清水建設、談合・受注調整の疑惑が報じられました。四社の共同企業体が受注していた外環道の地中拡幅工事では、談合の疑いが払拭できないということで入札が中止される事態ともなっていまして、あるいはまた豊洲市場の本体建設の工事でも、四社のうち三社が主導をするJVが平均落札率九九・八七%という異常な高い率で落札をしていたことが明らかになっています。談合との決別を宣言したはずのゼネコンで繰り返しこうした事態が生じています。

特定の業界あるいは事業者間で談合が繰り返されていることについて、一般論で構いませんけれども、公正取引委員会としてどのように対応すべきとお考えでしょうか。

○参考人(杉本和行君) お答えさせていただきたいと思います。

談合というものは独占禁止法に違反する非常に悪質なケースだと思っております。それは、反競争法行為としては、世界的にも、我が国のみならず世界的な標準におきまして非常に問題である行為だと思っておりますので、競争秩序というものを守る立場にあります公正取引委員会におきましては、そういったものに関して厳正に対処していく必要があると思っております。

それで、これまでも厳正に対処してきておりますし、制度的にも課徴金減免制度というものを導入いたしましてそれぞれ牽制が働くように志しているところでございまして、現実問題としてそういった効果が働かないかということを期待しているところでございます。

ただ、その談合行為というものがまだ散見されるといいますか、あるということでございますので、そういったものに対しては、私どもが厳正に対処することによって抑止効果を高めていく、談合等が予防されるという効果を狙っていきたいと思っておるところでございます。

○山添拓君 公共工事では税金によって、あるいはリニアなどであれば運賃や料金などで最終的には国民、利用者の負担になる問題ですので、是非厳正な対処を公正取引委員会にはお願いしたいと思っております。

今、減免制度というお話もありましたが、課徴金制度の見直しを中心とする独占禁止法の改正案について、この通常国会への提出を断念したと報じられています。事案解明の貢献度に応じて減免の度合いを調整できるようにする裁量型課徴金制度や、直接の売上げがない違反にも課徴金を課すという内容が予定されていたようですけれども、これは端的に言えばどういう狙いの下に予定されていたものだったんでしょうか。

○参考人(杉本和行君) 昨年でございますが、独占禁止法の研究会というものを開かせていただきまして、そこで有識者の方々にしっかりと議論していただきまして、課徴金制度の見直しについて報告をいただいたところでございます。

その狙いは、課徴金制度を導入してから日にちがたちまして現時代にそぐわないところもございますので、そういったものに対して対応していくというような狙いが一つでございます。

それからもう一つは、課徴金制度に対して調査段階でいろいろ協力していただきますと、それはすなわち企業のコンプライアンス意識というものの高まりにつながると思いますし、これからも、今やっておるその反競争的行為を改めるとともに、反競争的行為をこれからはやめていこうという予防効果にもつながると思っておりますので、そういった制度というものを導入することはどうかと思っていたわけでございます。

すなわち、公正取引委員会と企業サイドが対立構造で事案を発掘して対応するということではなくて、企業サイドも私どもに協力することによって、調査に協力してもらうことによってコンプライアンス意識を高め、しかもそれが予防につながるというような狙いからそういった制度の改正というものを研究会の報告で御提言いただいたところでございます。

それを踏まえまして私どもは法律改正作業の成案を得るべくいろいろ検討しておったところでございますが、今の段階ではなかなか調整が付かない、関係者との関係で調整が付かない部分がございまして、今国会におきましてはその成案を、まだ法律改正案の成案を得る見込みがありませんので、取りあえず今国会への提出は考えていないということになりまして、更に引き続き、関係方面の検討を踏まえまして、その上で法律案に対応した、の成案を得るべく努力していきたいと考えているところでございます。

○山添拓君 杉本参考人は、今の、今度見送る決断をしたということについて、自民党が独禁法改正に当たって、弁護士、依頼者間の秘匿特権の法制化などを行うように求めたと、それでは法制度全般に大きく関わるということで、そうした議論の結果、調整が付かなかったと、こういうように衆議院の方でも述べておられたかと思います。

一方で、山田事務総長の記者会見では、改正案の検討というのは、専門的な議論を踏まえて、産業界とか法曹界とかあるいは消費者団体との意見交換も踏まえて進めてきたもので、その課徴金の仕組みの方向性自身が問題があるということではないということも述べておられます。

今度予定されていた見直しと秘匿特権などは本来は別に議論していくべき問題だという御認識でしょうか。

○参考人(杉本和行君) その件に関しましては、弁護士会それから関係方面等から、今回の改正を入れるためには秘匿特権をセットで、秘匿特権の法定化というものをセットで入れるべきだという非常に強い要求がございます。

しかし、この点に関しましては、私どもは、言わば私どもの当事者能力を超えるといいますか、司法制度全般に関わる話だと思っておりますので、そういった議論が整理されて結論が得ることを期待しておりまして、そういった議論が整理されて結論が出たところで、それを待って、またその上で改正案の成案を得るべく努力してまいりたいと考えているところでございます。

○山添拓君 改正、見直しがされれば、コンプライアンスの高まりやあるいは予防効果もあるということが、今のお話では、公正取引委員会として想定していた範囲を超えて、自民党やその背後にいる、恐らく経済界などの要望でストップされているということだと思っています。

最後に、時間の許す範囲でなんですけれども、公正取引委員会の組織の体制についてちょっと伺いたいと思っています。

来年度の予算案における定員では十二人増員とされていまして、独禁法関係で八人、中小企業関係で一人、政策立案の関係で三人と。ただ、同時に、定員の合理化によって、独禁法で八人、中小企業関係で二人減らされるということで、杉本参考人が委員長になってからの五年を見ても、事務総局の定員は増員と合理化でほとんど変わらず推移しているような状況ではないかと思います。

独立性や中立性が求められる組織で、かつ様々に取組の強化も求められている中で、やはり一律の合理化というのは、私、無理があるんじゃないかと思うんですけれども、その点、杉本参考人はどのようにお考えでしょうか。

○参考人(杉本和行君) それでは、定員についてのお尋ねでございますので、お答えしたいと思います。

私どもの事務総局の定員に関して考えますと、例えば、平成元年度におきましては四百六十一人でありましたものが、今御指摘のように、三十年度予算では八百三十四人となっているということで、そういう意味ではこの三十年間で大幅に増員させていただいております。

私どもといたしましては、公正取引委員会の任務というのはますます大きくなっておりまして、それだけのリソースを活用しながらやっていく必要があると思っておりますので、できるだけ定員管理当局、予算当局等の御理解を得ながら、定員の確保、増員を確保したいと考えているところでございます。

ここ数年の動向で申し上げますと、消費税の転嫁対策というのが、転嫁対策法ができまして、そのときに定員をその関係でかなり増やしていただきましたので、その中でやりくり、やってきているというところでございまして、そういう意味では定員は、僅かでございますが、実質的には、徐々にではありますが、まだ充実をしていただいているというふうに考えております。

○山添拓君 終わります。

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