山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2018年・第196通常国会

再生可能エネルギーについて参考人質疑 

参考人:山地憲治氏(地球環境産業技術研究機構) 浅野浩志氏(エネルギーイノベーション創発センター) 磯部達氏((株)みやまスマートエネルギー) 諸富徹氏(京大大学院教授)

○会長(鶴保庸介君) 原子力等エネルギー・資源に関する調査を議題といたします。

「新たな時代に向けた我が国の資源エネルギー像」のうち、「我が国の資源エネルギー戦略」について調査を行うに当たって、本日は「再生可能エネルギー」について参考人から意見を聴取いたします。

御出席いただいております参考人は、公益財団法人地球環境産業技術研究機構理事・研究所長山地憲治君、一般財団法人電力中央研究所エネルギーイノベーション創発センター研究参事浅野浩志君、みやまスマートエネルギー株式会社代表取締役磯部達君及び京都大学大学院経済学研究科/地球環境学堂教授諸富徹君でございます。

この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げたいと思います。

本日は、御多用のところ本調査会に御出席をいただきまして誠にありがとうございます。

皆様方から忌憚のない御意見をお述べいただき、調査の参考にいたしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

議事の進め方でございますが、まず山地参考人、浅野参考人、磯部参考人、諸富参考人の順にお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。

なお、御発言は着席のままで結構でございます。

それでは、山地参考人からお願いいたします。山地参考人。

○参考人(山地憲治君) 地球環境産業技術研究機構、英語の略称のRITEというふうに呼ばれることが多いんですが、そのRITEの研究所長を務めております山地でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

私は、再生可能エネルギーに関する審議会のメンバーを幾つか務めておりますけれども、先週は、調達価格等算定委員会で来年度以降のFIT、固定価格買取り制度の買取り価格等について意見を取りまとめたところでございます。また、昨年末から審議を始めておりますが、再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会の委員長も務めております。このような経験を踏まえまして、本日は再生可能エネルギー大量導入の課題と対応というテーマで話をさせていただきます。

お手元に一枚物の要旨が配られていると思いますが、その要旨に沿って、まず改正FIT法等による対応を含めまして現在の再生可能エネルギーの状況を説明させていただき、その後で今後の対応について私見を交えて私の意見を申させていただきたいと思います。

まず、要旨の最初の世界的な再生可能エネルギーの大量導入ということでございますが、過去十年、二〇〇六年から二〇一六年の十年間で、太陽光発電は約五十倍になりました。六ギガワット、ギガワットというのは百万キロワットでございますが、六百万キロワットから三億三百万キロワット。風力発電では約六倍、七千四百万キロワットから四億八千七百万キロワット。太陽光、最近は数千万キロワット、多分昨年度七千万キロワット入りましたので、恐らく現在は太陽光は四億キロワットに近いというふうに思います。

我が国でも、FITの導入後、太陽光発電中心に再エネ発電非常に急増しております。FIT導入前、これは二〇一六年六月末ですが、と比べまして、昨年度末ですね、一七年七月末、この間五年弱でございますが、この間に太陽光は約七倍になりました。五百六十万キロワットだったものが三千九百十万キロワット、現在は四千万キロワットを相当超えております。

二〇一六年度、昨年度の電源構成において、水力以外の再エネ電源、太陽光、風力、バイオマス等ですが、この発電量が水力発電を少し上回りました。水力発電が、ちょっと昨年度は少し水力の出が悪かったんですけど、七・五%、全体のですね。その他の水力以外の再生可能エネルギーは七・八%でございまして、一五・三%、今や一五%を超えているということで、二〇三〇年のエネルギーミックスの目標が、再生可能エネルギー、二二から二四%ですから、それに近づきつつあるということです。

それから、認定量というのがございます。後でちょっと説明いたしますが、二〇一七年の三月末、昨年度末ですね、FITの認定量では、太陽光とバイオマスは二〇三〇年のエネルギーミックスの目標を過剰達成しているという状況でございます。ただ同時に、買取り価格の水準は、まだ欧米、特に欧州ですね、二倍以上で、国民負担も非常に急増しております。

二〇一七年度の賦課金、賦課金というのについても後でちょっと説明しますが、キロワットアワー当たり二・六四円、電力多消費の特別な産業を除いて電力消費者に均等に負担が掛かっているわけですが、これによって年間賦課金としては二兆円を超えました。これは大体ほぼ二十年続きますから、この規模での再エネ事業者への補助が行われているということであります。

賦課金と申しますのは、買取り価格を決めますが、それから電気としての価値といいますか、回避可能費用と言いますけど、これは今、卸市場に連動しているんですけど、それを差し引いた部分を賦課金として消費者に割り当てる。例えば、太陽光発電は事業用は税抜きで四十円から始まったわけですが、電気の価値、あるいは市場価格で十円ぐらいですから、その三十円分というのは賦課金という形で、電気事業者が負担するんではなくて、皆さんのところへツケが回っていると、そういう感じでございます。

この二兆円を超える補助というのは、エネルギー政策の費用としては空前の規模だと思います。これが二十年近く続くというわけですが、比較しますと、サンシャイン計画というのを御存じの方多いと思うんですけど、第一次オイルショック後行われた、これ約二十年間続いたんですけど、総額で四千四百億です。九〇年代に、我が国の太陽光発電、住宅用の太陽光発電の設置補助というのを始めましたが、これがピークのときで年間百億円ぐらいです。それと比べて桁違いの補助が行われているということは現実でございます。

さて、それで、改正FIT法というものが二〇一六年の国会で成立いたしまして、これはまず太陽光に偏った導入が行われている、それから国民負担が今言ったように年間二兆円を超えて急増している、それに対応するために、二〇一六年の五月に改正FIT法が成立して、昨年の四月から施行されている。

これ、幾つか項目がありますが、まず一つは新認定制度というものであります。これの目的は、未稼働案件の排除ということで、従来は系統に接続を申込みした段階で認定されておりましたが、系統接続の契約をしたと、それで負担金を払うということの確認した後の認定ということで、認定時期を後ろへずらしました。それとともに、認定から運転を開始するまでの期間を制限することができるようにしました。太陽光の場合、事業用の場合は三年。

それから、適切な事業規制。これは特に小型の場合に多いんですけれども、五十キロワット未満ですと住宅の宅地分譲みたいな形でかなり広いところを分割して売る、それで景観破壊とか、あるいは森林伐採とかといういろんな環境問題が顕在化したので、それを健全な事業を継続させるということで、規制の強化であるとか、あるいは所有者が誰なのかということを看板を作るというような情報開示ということをこの事業規制の中で整備いたしました。

それから、新認定制度の認定の問題ですけど、認定された段階の時点での買取り価格が適用されるわけです。改正前は接続申請時の認定でしたので、それから実際工事をして運転開始するまでにかなりの時間がありますが、太陽光の場合は本当は早いんですけれども、ただ、太陽光パネル、物すごく価格が急落していますので、認定時の高い買取り価格を維持したまま稼働を遅延させてもうけようというインセンティブが働く、これを防止するための対応を取ったということです。

それから二番目は、コスト効率的な導入ということで、これはまず、大規模太陽光発電から入札というものをやりました。それから、中長期的な買取り価格目標というものを決めることにしました。

まず、今年度から始めたものは、二メガワット、二千キロワット以上の大型の太陽光発電について、今年度一回、来年度二回、試行的な入札をやって制度の整備をするということになっています。今年度の一回目は終わったんですが、実は募集規模ほど実は落札がありませんでした。その原因等を調べると、意欲はあるんだけど、ちょっと保証金の没収のルールとか、その辺りでなかなか進まないということがあったので、保証金の取扱いなどを今修正した、意見をまとめたところであります。

それから、中長期目標という意味では事業用の太陽光発電の目標は二〇二〇年には十四円、三〇年には七円、風力についても二〇三〇年には八から九円、陸上風力ですが、そういうことを目標を決めました。

また、それ以外に、逆に地熱とかすごく時間が掛かるものもあるので、そういうリードタイムの長い電源の導入促進のためには、少し先の買取り価格も提示ということもやるようにいたしました。

以上が改正FIT法の対応でありますけど、その次で、先ほど申し上げた、長い名前なのでちょっと略称しましたが、再エネ大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会での対応でございます。

これは審議中なのでありますが、この小委員会で決定した事項については適宜実施ということで、実際並行して実施されております。この小委員会は、エネルギー基本計画を作っている基本政策分科会からのタスクアウトであって、再エネのコスト競争力を持たせて主力電源にしよう。それから、一方、実は今、足下問題になっているのは、系統制約というのが目立っている、それの克服ということを目的としたもので。幾つか項目はありますが、三項目まとめましたが、更なるコスト低減をしてコスト競争力のある主力電源に持っていく、そのために、やっぱり入札制度の活用を更に広げていく。

太陽光の大型に、絡みましたが、来年度からは木質バイオマスの一万キロワット以上とかというものも入札対象とする。それから、太陽光発電以外にも、認定から運転開始の期限を付けるというような対応をしております。

それから、事業環境整備。これは、規制のリバランスといっているのは、規制をある程度、環境問題を起こしているので厳しくするところもあるんだけれども、しかし環境アセスで余りにも長い時間が掛かっているというようなところに関しては少し緩和していく、そういう意味でリバランス。

それから、FIT期間終了後、実は家庭用の買取りは十年なものですから、本格的な買取りが始まる前、自公政権時代に決定して二〇〇九年の十一月でしたかね、導入した住宅用家庭の買取りが来年終わります。その後、じゃ自立させなきゃいけないというので、その自立支援促進。

それから、洋上風力。ヨーロッパで非常に盛んなんですけれども、日本でも今、だんだんだんだん始まっているんですが、これをどう促進していくか。そういうことに対応した海洋、海域の利用ルールの整備とか、そういうものをやっております。

また、FIT期間終了後の自立促進としては、電気自動車とか、あるいはゼロエネルギービルとかゼロエネルギーZEBとかZEHとか言っていますが、そういうものと組み合わせて自家消費を促進するとか、あるいはVPPと、バーチャルパワープラントの電源として活用するというようなことの整備を進めています。

それから、問題は系統制約の克服であって、今、日本版コネクト・アンド・マネージということが言われているので、これは次の項目で説明しますが、それとともに接続に伴う費用負担が過大であるとか公平であるとか、そういうことがあるのでそれの見直し。

それから、系統情報の開示、公開、そういうことですね。つまり、系統が空いているのにつなげないのはなぜかとか、接続費用、何でこんなに高いのとか、手続遅いね、そういう苦情に対応するということを今やっております。

今注目されているのは、その日本版コネクト・アンド・マネージと言われているものですが、これは、電気というのは瞬時、瞬時で需給バランスを取らなきゃいけない、こういう電気の特性について理解不足というところもあるんですが、ただ、送配電部門が中立化していくという、今、電力システム改革の制度整備がまだ遅れているという側面もあります。

かつては、発電、送配電、販売というのが、垂直一貫という言い方をしていましたけれども、電気事業を行っていたわけで、送配電部門の整備とか運用というのも電力会社の回線の中で行われていたわけですね。電力会社は、キロワットアワーという電気エネルギーを販売して収入を得ていますけれども、現実には容量であるキロワットとか調整力であるデルタキロワットとか、そういうものを総合調整して電気の質と安定供給を実現していたわけです。

今は、それぞれを、それぞれの市場、キロワットアワーの市場、キロワットの市場、デルタキロワットの市場で調整するというものを準備している段階にあるわけです。ここを認識しておかないと、私は見ていると無用の誤解であるとかあるいは疑心暗鬼が起こっているというふうに思います。

実際に何をやろうとしているか。これも三つあるんですけど、まず一つは想定潮流の合理化というものです。

これは、ここに電源稼働の蓋然性評価とか自然変動電源の出力評価と書きましたが、今までどうやってきたかというと、接続契約をしている電源は、定格、最大ですね、の出力で動くと想定して、で、どれぐらい空いているか、それを配分していたわけですけれども、実は、垂直一貫のときも、空いているところを、今定格で動いていないところが空いていればほかのものを運用していたわけですが、今そこを分離されたものだからなかなかそれができなくなっているというわけです。だから、どれぐらい電線に電気が流れるのかを現実に即して想定をきちんと行って、空きを見付けてそこを接続契約させよう、これが想定潮流の合理化です。

二番目は、ちょっとまたニックネームが付いているようですけど、Nマイナス一電制と呼んでいます。これは送電線の事故時に瞬時に電源制限を行って運用容量を拡大しようというものです。ただ、電源制限と費用負担の分離をさせなきゃいけないというところがあります。

ちょっと詳しく説明しますと、Nマイナス一というルールは、どの送電、これも瞬時瞬時供給に係っている、どの送電線が一本故障しても停電が回避されて周波数とか電圧が健全に保てると。普通、電線というのは二回線、二本通っているんですけど、一本落ちても通せるとなっているから、基本的にこのNマイナス一ルールとなると二回線の場合には五〇%しか流れない。この部分を、しかし、いつも事故が起こるわけじゃないんだから、事故が起こったらリレーで瞬時に電源を切ると、そしてその予備として持っていた部分も活用しようというのがNマイナス一電制です。ただ、電源制限された電源というのは販売できなくなるので損をするわけですけど、その損は、しかし、制限された電源だけが持つんじゃなくて損害の負担ルールを決めようと、そこがまだ決まっていないものですから、切られる電源と費用負担が一致する場合には来年度からでもやろう、そういう議論を進めています。

それから、あと電源制限された部分、ごめんなさい、ちょっとその次を見てください、時間がないので。ノンファーム接続というのがございます。これは送電容量のそもそも枠を与えないんだけど、空きがあるときは送ってもいいよと、そういう接続です。これもかつての電気事業はやれていたはずなんですけど、今、プレーヤーが分かれたからできなくなりまして、この新規電源接続を、空き容量が存在、与えないんだけども、空いていたら使ってもいいよ。ただ、この場合、問題になるのは、市場の中でゲートクローズというのがありまして、キロワットアワー取引で一時間前にゲートクローズを、その後、実はリアルタイムで調整するんですが、ゲートクローズまでに枠を与えちゃうわけです、このノンファームにも。じゃ、そのゲートクローズ後の調整をどうするか、費用負担をどうするか、そういう議論をしているところであります。

以下、私見のところにあるんですけれども、基本的に皆さんの前でまず申し上げたいところは以上でございますので、時間が参りましたので、その残りの部分については、質疑がございましたらその中で御対応したいと思います。

以上でございます。

○会長(鶴保庸介君) ありがとうございました。

次に、浅野参考人にお願いいたします。浅野参考人。

○参考人(浅野浩志君) 電力中央研究所の浅野と申します。(資料映写)

私は、再エネ電源を拡大するために、今ボトルネックになっているのは電源の調整力と呼ばれるものなので、その調整力を確保するのに、皆さん聞き慣れないと思うんですが、電気を使うユーザー、お客さんが持っているデマンドレスポンス資源をうまく使うことによってできるだけ円滑に系統に再エネ電源をつなげようという話をします。

今、話がありましたように、今実際に普及が進んでいる再エネ電源は、既存の水力に続いて太陽光です。太陽光はCO2を減らせる重要なシステムなんですけど、これは電気の需要に合わせて出力をコントロールできません。この欠点を補うのに、電気自動車とか、あるいはお客さんが置いているバッテリーとか給湯器を多数集めると、あたかも電源のように運用して、天気予報が外れても系統運用者が調整力を確保できるという、そういう新しいスキームが今実証されつつあります。これを本格的に使うということを今日は御提案したいと思います。

これは、電気を使っているユーザーにとっては、電気自動車使っていないときはその調整力として供給して経済的な価値を得ます。それから、アグリゲーターという新しい需要家資源をかき集める事業者にとっては収入源。それから、たくさん太陽光を持っている再エネ事業者にとっては、その再エネの出力抑制を避けられる。それから、系統運用者にとっては安定供給を続けるという、言わば誰にとってもウイン・ウインになる解決策なので、これは国民経済的に望ましい。したがって、合理的に太陽光等の再エネ電源を拡大するためにこのディマンドレスポンスを進めましょうという話をいたします。

これは、ディマンドレスポンスというのは、電力側からユーザーに価格とかあるいは系統運用の状況を信号で伝えて、需要を自ら変えることをいうんですけど、直近では、先月の終わり首都圏で大雪がありまして、暖房需要が非常に増えまして、それから厳気象対応というんですけど、めったに起きない異常気象のときに、電源Ⅰダッシュというのを発動せざるを得なかったんですね。実は、その中にかき集めた電源以外にネガワットと呼ばれる節電を入れました。この節電を使って初めて東京電力は需給バランスを取ったということで、これは実は今年度から始まった調整力の公募の結果の成果であります。

今までは需要に合わせて供給力をつくっていただいたんですけど、今は発電側が風力とか太陽光のように変動しますから、その変動に合わせて需要を使いましょうというのがこのアンシラリーサービス型デマンドレスポンスの原理であります。これはICTの進歩があって、今まではそんなことはマニュアルでできなかったんですけど、自動的にできるようになったということですね。しかも、今から重要なのは、太陽光がたくさん発電しているときに電気が余るんですけど、その電気を有効に使うために上げのDR、今までは下げる方だけやっていたんです、節電やっていたんですが、需要をつくる方も今からは実用化しましょうということで、今日はその話をします。

それはなぜかといいますと、今までは電力の需要の変動が毎日プラスマイナス三%ぐらいあったんですけど、これに太陽光とか風力の変動が上乗せされて、系統運用者が余分に上げたり下げたりする調整力を持たなきゃいけないという状況になっているからなんですね。こういう新しいタイプのDRをやっていく必要があると思います。

DR、デマンドレスポンスは、平常時は電力の価格を安定化できます。それから、緊急時は停電を避けられます。それから、今日の話の中心であります太陽光等をたくさん入れるときには系統の周波数を維持できる。それから、今これも問題になっていますけど、配電系統に太陽光をつなげるときに、接続容量に限界があるんですが、太陽光の接続を容易にする可能性があります。環境面では、調整力として今使っている石油火力なんかを減らせますのでCO2が減る。それから、これも長期的にDRを使うと基幹系統とか配電系統の需要を減らして長期的に流通設備の投資を効率化できるので、これも電気料金の抑制につながるという、こういうメリットがあります。

一方、まだ上げDRとか周波数調整のDRは実験段階です。今は技術的に実証をして、これからビジネスを行う段階なので、制度をつくる必要があります。これが今日皆さんにお願いしたいことでございます。

それから、そもそもこの需要側の資源を使うということは広くまだ国民に知られておりません。ですので、政府としては、このDRが再エネの普及に役立つということを伝えてDRの普及につなげることが今後の課題と思われます。そのために今、VPP、仮想発電所という新しい考え方を政府の補助事業で実験が始まったところでございます。

今日の一番の目的は、再エネ電源の出力抑制を回避できる。実は次の図で説明しますが、九州電力管内、離島では既に太陽光の出力抑制を行っています。次は本土でいつ起きるかということなんですけど、せっかく作った太陽光を出力抑制するのはもったいないですから、これを下げるために太陽光の余っている電気を充電したり、お湯を沸かす、こういった実験を今行っているところであります。

今一番進んでいる実験は、今月始まったところなんですが、関西電力と日産が日産の電気自動車を使って遠隔で六十台の電気自動車の充電試験をやっています。これで実際に、本来走るためにある電気自動車をこういう再エネ普及に使えるかどうかという実験を今行っている段階であります。ただ、制度化はこれからなので、今日のお話を踏まえて制度化に進めていっていただきたいと思っています。

今、足下で起きている問題は、昼間たくさん太陽光が発電して、しかも電力需要の少ないゴールデンウイークとか秋に、火力発電所はこれ以上絞り切れないとか、揚水を目いっぱい使って太陽光の電気を使い切れないと、長周期の変動に対して何か対策をしなくてはいけない。それから、特に夕方急に、お日様が沈んでから電力需要が増えるんですけど、この時間帯に天気予報が外れると、太陽光の出力が予測どおりにないと急に火力をたきますとか、そういう系統運用の難しさがあるので、このときに、いざというときには分散型電源とか分散型の蓄電池、こういった需要側資源が使えないかということが今日の話の中心になります。

先ほどありましたように、今、来年の終わりから住宅用の太陽光のうち百二十万キロワットぐらいがFIT切れになりまして、そうすると、電力会社に引き取ってもらうよりは自分で使った方が安いので、蓄電池を買うインセンティブが湧きます。そうすると、蓄電池は二十四時間ずっと充電したり放電しているわけではないので、こういう太陽光が余っているときに充電してもらうことをアグリゲーターが指令するとうまく太陽光の電気を活用することができます。

今までは、ネガワットと言いまして、大雪が降ったときに、需給バランスを取るための、右側にあったような伝統的なディマンドレスポンスをやっていたんですけど、これからは、左から二番目にあるアンシラリーサービス型、系統運用を円滑にするためのサービスにこの上げDRとかが使えないかということになっています。実際、我が国に先立ちまして、フランスとかアメリカの一部ではこういったものが市場として成立しております。

先ほど申し上げましたように、今、国の実証試験でVPPを行っていますが、実際にどういったところでそういう資源があるかと申し上げますと、実際には工場の自家発とかこういう建物の空調というのが一番有望です。そういう大きな需要家は自分でエネルギーマネジメントシステムを持っていますので、きめ細かくコントロールしていますので、そこに電力会社からディマンドレスポンスの信号をDRサーバーを通じて打つことによって需要が自動的にコントロールされます。

実際に、国のネガワット実証試験に基づいて、我々が、じゃ全国でどれだけこういった需要側の資源があるかということを推定しています。その中でやっぱり大きいのは、この青い部分の建物の空調です。これは夏とか冬しかないかと思われるかもしれませんが、実は、商店とかこういうビルは中間期も空調を使っていますので、年間を通じてこういう資源として使います。あとは工場にある自家発ですね、これもコントロールできますので、こういった分を足すと、日本全体で、今の日本全体で使っている電気の九%ぐらいは技術的なポテンシャルはあるので、この中で経済性のあるものを使えば十分再エネの資源に使えるということが分かっています。

今、国の実証試験というお話をしましたが、例えば豊田市では、再生可能エネルギーの地産地消を目指して、中部電力と協力して産業用、家庭用、業務用、あらゆる分野の需要家リソースをかき集めて、今のところ数百キロワットなんですけど、このディマンドレスポンスの試験を行って地産地消ができるかという試験を今年度からスタートをしているところです。一番進んでいるのは、実は、次、配電レベルで混雑が起きているんですけど、そこも潮流制御をすることによって太陽光をうまくつなげる、そういった試験も来年度始める予定でございます。

じゃ、これから太陽光とか風力をたくさん連系するために我々はどんな準備をしなくちゃいけないかというのを、将来の柔軟性とか調整力の資源構成を事前に評価するモデルを我々は開発しています。実際に、今は系統運用者は火力発電所とか水力発電所でこの調整力を確保しているんですけど、将来は御家庭で使う給湯器、これを、今は夜間お湯を沸かしてタンクにためているんですが、これを昼間太陽光の電気でお湯を沸かして夕方使う、あるいは業務用空調の設定温度を変えることによって調整力を賄う、あるいは蓄電池を使う、こういったことで今より安く調整力を供給できる可能性があるということであります。まあ、これは将来の話ですね。

今、足下で行っていることは、先ほどの話で、電気事業者の機能を三つに分けて、今、一般送配電事業者という事業が調整力を公募しています。これは実は今年度から始まった制度でございまして、これで実際に、今までは自分の電源だけを使っていたんですけど、ネガワットという節電をネガワット事業者から調達しまして、実際に厳しい基調になったらこれを発動したということです。

次の段階は、二〇二〇年に、政府は需給調整市場で、これ一年に一回公募するだけじゃなくて、市場を開けてネガワット事業者がその調整力を供給できる、要するにお金の価値が付く市場を今つくる準備をしている段階でございます。

アメリカの一部とかヨーロッパの一部では、電気の最大需要の数%をこの需要側の資源で、要するに火力発電所とか水力発電所と同等に契約をしているという実態がありまして、日本の目標はこれを二〇三〇年ぐらいまでに、このディマンドレスポンスの資源を六%とか九%に持っていくという計画を持っています。

それは、同じく政府の資料によりますと、実際に御家庭にあるHEMS、ホームエネルギーマネジメントシステム、あるいはこういうビルに入っているエネルギー管理、工場のエネルギー管理、あるいは電気自動車、プラグインハイブリッド、こういったものを系統柄、双方向でつなげると相当大きなポテンシャルがあって、その中の一割でも調整力で使えれば千三百万キロワットなので、国全体の電力需要の一〇%弱ぐらいはポテンシャルがあるのでさっきの目標は十分実現可能ということなので、今からそういった制度を進めることが重要だと思います。

まとめますと、国としてこれから再エネをできるだけ合理的に連系して調整力を賄っていくためには、まず安価な資源であるデマンドレスポンス資源を使うこと、それから、実は再エネは電気だけではなくて熱あるいは自動車の燃料としても使えますので、電気を熱に変換するヒートポンプだとかエネルギー貯蔵、水素、あるいは電気自動車、これを組み込んだ次のエネルギーシステムを組み込む方向で、低炭素なエネルギーシステムに行くというのが大きな方向性だと思います。

具体的な制度の話ですと、既存のリソースをたくさん使うために、国のエネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネス検討会で、例えば蓄電池の計量には今計量法が必要で非常にお金が掛かっていますから、計量法に基づいて今までどおり計量するのか、もっと簡便な方法でできるかという実務的な検討を行います。あと、先ほど、上げのDR、下げのDRとして自家発が使えると言いましたが、自家発には今再エネの賦課金は掛かっていないので、まあ安い燃料費なので、それをやめて電力会社から電気を買うというのは今のところインセンティブにはなっていないので、このFITの方の改正も必要だと思われます。

最後に申し上げたいのは、こういう需要側の資源というのは全ての電気のユーザーが供給できる可能性がありますので、まずこういうことができるということを国民に広くアピールするために情報提供する。それから、再エネの賦存状況とかそれから需要の構造も地域によって違いますので、地域ごとにきめ細かくどういった資源が使えるか、後ほど新電力の取組もあると思いますけど、地域ごとに再エネを増やすために需要側資源をどう使うかということを国として支援していただきたい。

それから、グローバルな観点からいいますと、電気の国際的な標準化団体であるIECでは、日本が主導して今このリソースアグリゲーションに関する国際標準策定の準備を行っています。こういったことを日本が先駆けて進めることによって、我が国のこの分野の技術の優位性とかあるいは産業力の競争力の強化につなげていく機会になろうかと思います。

以上で私の意見陳述を終わります。ありがとうございました。

○会長(鶴保庸介君) ありがとうございました。

次に、磯部参考人にお願いいたします。磯部参考人。

○参考人(磯部達君) 福岡県みやま市から参りました磯部でございます。

お手元に自治体エネルギー会社が進める地方創生というタイトルの資料をお配りしておりますので、配っていただいておりますので、これに従って御説明をさせていただきます。

私たちは、福岡県みやま市が過半数を出資する地域のエネルギー会社です。地域にある再生可能エネルギーをできるだけ活用し、あるいは、これからも住民、市民の方と再生可能エネルギーを使いつつ、地域の中で電力の売買というエネルギーを循環させることによって、その収益を地域課題の解決につなげていこうという趣旨であります。

したがって、電力会社のように、電力の売買によるROEの最大化、株式会社としての価値の最大化ではなくて、その収益をいかに地域の中に還元して、そこに住みやすい、そこに住み続けられるような地域をいかにつくっていくか。その地域の課題というのは様々です。高齢化の課題、あるいは子育ての要求、あるいは健康づくり、様々なんですけれども、それぞれの地域の優先課題に従った形でその収益を活用していく、それによってエネルギー事業による地方創生を進めていくということで今活動をしております。

一ページ目ですけれども、多くの地方自治体が人口減少あるいは高齢化、それによる活力減退に直面をしております。安定した雇用を維持し、あるいは若い世代の希望をかなえるために、いかに行政がいろんなサービスを提供していくかということで日々活動しておられるわけですけれども、その中で、エネルギーを基盤にしたエネルギーの地域資源というのを有効に活用できる地域がたくさんあります。実は、そうした埋もれているエネルギーを使って地域の活性化をしていくということです。

再生可能エネルギーの普及にもつながりますし、経済の循環という視点でいうと、例えばみやま市は、人口三万八千人ちょっとの非常に小さな町ですけれども、およそ電気代が年間四十億円から五十億円ぐらいかと推定をしております。その中で、大学の先生に、およそマーケット、全国のマーケットを聞いておりますと、電気代の中のおよそ半分ぐらいは発電所のメンテナンスですとか電線とか電柱の交換、メンテナンス費用に使われて、残りの半分のうち、日本の場合は電力の自給自足率が六%と、ほとんどは海外に、その電力を作るための資源を海外から求めなきゃいけませんので、九四%は実は地域の電力会社を通じて資源を海外に求めてキャッシュアウトしているということを考えると、およそ五十億円のみやま市の電気代のうち二十億円ぐらいは地元九州電力を通じて海外から資源を買ってきて、それを燃焼させて化石燃料として電力を作り出して供給をしていると。この二十億円を、実は地域の中の再生可能エネルギーを余すところなく活用できる形になれば、海外にわざわざ流出させることはないんじゃないかと、それによる地域活性化の効果というのは一定規模で考えられるのではないかということも一つの考え方です。

幸い制度が大きく改正をいただきまして、電力の小売自由化が認められ、新規の電力事業者である私たちのような会社がその地域の貢献を目的として活動できるようになりました。しかも、その電力の料金ですとかメニューみたいなものは、その地域の特性に合わせて作ることができる、交渉で決定することができるという現状でございます。

三ページですけれども、政府の目的は電気料金を低減させて、より消費者に多くの選択肢を与える、サービスのメニューの提供を与えることができるということにするということなんですけど、実は、最後に御説明いたしますけれども、こうした電力の自由化によって、地域地域が地域の知恵で事業を進めることによって新しいビジネスチャンスを生むことができているということが、イノベーションの生まれる環境が地域に存在をしているということが挙げられると思います。

五ページを御覧ください。

我々のビジネスモデルを単純化すると、地域の中にある太陽光発電、あるいは小水力、あるいは自治体が所有しているクリーンセンター、ごみ発電所のような電力を地域のために活用する、電力の売買を地域の住民、市民あるいは地域の企業に対して提供する、その利益を、その収益を更にその地域を良くするための市民サービスあるいは産業振興に使っていくという目的で、こうしたモデルをみやま市が少し先行的に始めさせていただきましたけど、今、多くの自治体さんからこのモデルのような形で地方創生を進めていきたいという御相談をいただいておりまして、こうした地域再生可能エネルギーを活用した地方創生の在り方をこれから日本の中で定着していけるようになればということでございます。

六ページですけれども、私たちの基本的な考えは、今申し上げましたように、地域の中に再生可能エネルギーを循環させて電力を販売する、その収益をもって市民へのサービスを行っていく、地産地消の産業振興に充てていくということであります。

七ページを飛ばして、次、八ページ目でございます。こうした市が保有するメガソーラーがございました。元々、東京の事業者に土地を貸して、そこで電力の収益、土地の収益を上げていこうという考えもあったようですけれども、市長は、地元のために、地元の人たちと一緒にこの再生可能エネルギーをつくり、地元のために使っていこうということで、市内の商工会議所のメンバーに声を掛けて、市役所が筆頭株主になって発電所を造りました。今、この電力は私たちが地域のために使っています。

一方で、実は私たちの調達電力の最大のボリュームは、この左の住宅の屋根に付いている太陽光で、おうちで消費された自家消費の残りの余剰電力をたくさんの方々から調達をして買い集めて、FITという制度で九州電力に今までは売っていらっしゃいますけれども、それを地域のためにということで私たちがお声掛けをして買い集めて、それを地域の市民の方々に更に循環をさせていくということで、地域の住民、市民とともに再生可能エネルギーをその地域の中で使いこなしていくという活動をしています。

一方で、そうした地域エネルギーの取組とともに、九ページですけれども、今ちょうど、人口減少に伴って小学校の統廃合を幾つか進めておりますけれども、その跡地を利用したバイオマスのプラントの建設を今ちょうどしているところで、この秋に完成予定でございます。

生ごみや食物残渣やあるいはし尿といったものを集めて、市民の方々のそうした生活そのものの資源をメタン発酵させて堆肥にして液肥にして、それをまた農家、農民の方に配ってお米、果物、野菜を作っていただき、それをまた市民の方々が口にし、残渣を処理をして液肥にする、堆肥にするというような資源循環の町化、こうした取組もエネルギーとともに進めていこうということで、今行っているところでございます。

ということで、十ページにありますように、我々は、行政が五五%を出資して、市民のために電力及びサービスを供給する会社として設立をいたしました。

十一ページですけれども、御覧のように、みやま市の人口統計が出ていますけれども、毎年五百人ずつ人口が減少しています。二百人が社会減、三百人が自然減ということで、社会減と言われる、子供たちが結婚だとか就職を機にみやま市から出ていってそのまま帰ってこない。それによって高齢化が進み、独り暮らしの方々が非常に増えてきて、若者が流出することによって地域が疲弊をすると。これは地方に共通した課題だと思います。

そうした地域の課題を市民とともに、何とかこの町をもう一回元気にするためにどうしたらいいんだろうということを、市民のアイデアとともに、この電力の収益基盤をもって地域課題を解決をしていくということで、十二ページですけれども、輸入に頼らずに自給自足を目指して、可能な限り、可能な限り、徐々にですけれども、長期目標を定めて、目標値としては再生可能エネルギー一〇〇%の地域を目指していこうということです。そして、市内で雇用を増やして経済を活性化して、高齢者にも働く機会をつくり、そして、みやまにずっと住み続けたいと思っていただけるような若い世代をつくり上げていくという、元気な町をつくっていくためにこの再生可能エネルギーを活用しているということでございます。

私たちの会社の資本構成は、十三ページにありますように、みやま市が五五%、地元の地銀さん、筑邦銀行さんが五%、そしてみやま市に本社がある民間企業、みやまパワーホールディングスの三者で構成をしております。私が代表を務めておりますが、みやま市の市長、筑邦銀行の役員、みやまパワーホールディングスの会長がそれぞれ私たちの取締役に入っていただいて、四者で構成をしていると。

そうしたエネルギーの収益の使い道ですけれども、次の十四ページ、こうした一例としてタブレットを配っております。その中には、行政として市民に直接届けたいお知らせ情報、防犯とか防災とか、あるいは、こうした寒い季節ですから水道管の凍結の防止みたいな呼びかけを、タブレットを通じて私たちが行政と連携をしながら情報配信をしています。

それと、このみやま横町という紫色のボタンですけれども、ヤフーとか楽天とかアマゾンとかというような普通のインターネットのショッピングサイトと同じなんですが、違うところは、みやま市の商工会に加盟している地元の商店でお買物ができ、地元でお金を落としていって、地元で経済を回していこうという目的で、電力の御契約をいただいた方にポイントを付けてそのポイントでお買物をしていただくということで、我々の社員が集荷をして配達をしています。配達をするときに、御高齢の御利用でしたら、ちょっとお声掛けをして見守りの目になったり、それと、見守りサービスというのは、電力データを利活用した、ふだんと違う電気の使い方を私たちが把握をして、そのことでお年寄りの安否を見守る、あるいは子供が帰ってきたときの状態、情報を働くお父さんやお母さんに知らせるというようなことをしています。

それ以外に、比較的やはり高齢化率が進んでおりますので、高齢者に優しい町づくり、何とかして行政の福祉サービスだけでは手が届かないようなところを私たちがカバーをして、より安心、安全に暮らしていただけるような地域づくりをしていこうという活動でございます。

十五ページは、その一環として、この写真の真ん中にあるのが私たちの本社ですけれども、地域の中で六次産業化、農業就業人口率が六〇%の本当に穏やかな農業地帯ですけれども、新鮮な野菜や果物を通じて、ジャムにしたりジュースにしたりというような加工品を市民とともに作り出していこうというスペースのためにコミュニティースペースをつくりました。

そのコミュニティースペースでは、高齢者のタブレット教室ですとか子供たちの環境学習の場ですとか、月に一回ぐらいはコンサートを開いたりとか、地域の方々が集まってそこで様々な意見交換をしたり課題を認識したり、そしてこの町づくり、この町をどうしたらもっと元気な町にしていけるのかというようなことを、コミュニティーのスペースとしてもこの電力の収益を活用しながら地域の拠点としております。

実は、電力の売買というのは非常に技術的に難しいと言われているんですけれども、私たちは今、グループ全体で五十数名、この二年ちょっとで五十名の雇用をしております。地元ばかりです。全て内作をして、システムの導入からシステムのオペレーションから、東京とは限りませんけれども、大阪や東京の企業に頼らずに全て地元の人たちで運営をしているということで、地域の課題解決につながるような取組を今行っているところでございます。

一つ、最後に、十八ページですけれども、実は電力というのは目に見えないのでなかなか分かりづらいところはあるんですけれども、家電ごとに電力波形が違いますので、エアコンが黄色、例えば冷蔵庫が赤、照明が緑というように、全ての家電ごとに色分けができます。そうした部屋ごと、家電ごとの電気の使い方を我々が電力データを分析することによって、もっとあなたの御家庭だったらこういう行動をすれば省エネルギーにつながりますよ、CO2削減につながりますよというようなメッセージの配信ができます。それを今、環境省の委託事業で今進めておりまして、これちょうど一年間二百世帯の方々からデータをいただきまして、今その効果の御報告を環境省に対してする予定でございます。

そうした地域全体のCO2削減だけではなくて、例えば地域のイノベーション、ビジネスとして考えたときには、家電ごとの買換え提案ですとかエコリフォームの提案ですとか、先ほどから山地先生や、御報告がございましたけれども、例えばエコキュートを買い換えたらどうですかというような単なる商品の提案ではなくて、個別具体的なその御家庭の電気の使い方に合った御提案を我々が地域の家電店、地域の工務店とともに提案をすることによって地域が更に元気になっていくという、経済活動が進んでいくというようなことで、電力データを利活用しながら地域を元気にするという方法としては非常にいろんなことがこれから考えられるのではないかなと思います。

最後に、二十ページですけれども、行政が関与する意味や必要性というのが非常に大きいと思っておりますので、こうした公的サービスを提供して、地域の中で持続可能な経営を地方自治体とともに考えていくということがこれから非常に重要になってくるのではないかなというように思っております。

以上で私の意見陳述を終わらせていただきます。

ありがとうございました。

○会長(鶴保庸介君) ありがとうございました。

次に、諸富参考人にお願いいたします。諸富参考人。

○参考人(諸富徹君) 京都大学の諸富でございます。よろしくお願いいたします。

私の方からは、再生可能エネルギーの現状と課題と題してお話をさせていただきたいと思います。このような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。(資料映写)

さて、最初ですけれども、私、実は欧州に調査に行ってまいりまして、その話から始めさせていただきたいと思いますが、これ、今スライドに示しておりますように、ノルウェー、それからデンマーク、ドイツ、これらはいずれも再生可能エネルギーの比率がかなり高い国々でありまして、一〇〇%、六〇%、そして三五%という形でかなり大きな比率になっております。

これらの国々を調査して回って非常に印象的だった一つは、再生可能エネルギーを大量に導入するに当たって非常に大事なことは、系統全体で言わばのみ込む、再生可能エネルギーは確かに変動電源ではございますが、これを系統でのみ込む、つまり電力融通を広域で積極的に行うことを通じて再生可能エネルギーの大量導入を可能にしているということであります。

それから、もう一つ大変印象的でしたのは、送電会社ですけれども、発送電分離後、日本も二〇年に予定されておりますけれども、以前は再生可能エネルギーに対して非常に消極的ではあったんですけれども、送電会社として自立いたしますと、やっぱり自らの収入を最大化していく上でも再生可能エネルギーを積極的に受け入れて、そしてそれを、送電サービスを実施していくことによって収入を最大化していこうという行動に変わってきているということであります。

そして、以前は自社の中で電力需給を一致させるようにしていたんですけれども、それよりは、やはりドイツ全土でやる方がより効率的でありますし、それから、現在はさらにENTSO―Eというプロジェクトが動いておりまして、全欧州的な送電会社のネットワーク化、そして系統建設、汎欧州的な電力やり取りをするための系統建設と、それからコード、共通コードですね、電力やり取りするための共通コードのルール形成、こういったところへ突き進んでいるということは非常に印象的でございました。

ただ一方で、再生可能エネルギーがこれだけ入ってきますと、系統による負荷も掛かってまいります。具体的には、系統混雑それからループフローという形でして、ドイツの南に電気を送るために、実はドイツの系統容量がいっぱいになってきておりまして、東欧だとかベルギー、フランスをぐるっと迂回して南ドイツに電気を送るというようなことが起きていて、他国からやはり批判をされているというようなこともございます。こういった辺りから、現在、次のスライドにございますような形で、系統建設を南北でどうやって進めていくかというのがドイツの一大課題になっております。

こういった課題もありますが、非常にあと印象的だったのは、発送電分離後の送電網については、やはり公益性、公共性、中立性、そしてさらに透明性といったところがキーワードになりまして、既存の電源と新規参入する新しい再エネ電源との機会競争の均等化ということがかなりきっちりとルール化されているということも非常によく分かりました。

このようなことを見た上で、日本の現在の再エネの課題ということですけれども、一つは、山地先生からも御指摘のあった費用の膨張問題ということが確かにございます。こちらにございますように、再エネというのは、FITが導入以降、大変な勢いで伸びてきている。これは大変すばらしいことでございますが、一方で、このような、スライドにございますように、買取り費用がどんどんと膨らんできている。これは、再エネの増大に伴って必然的に起きてくることではございます。ただ、これをどうしていくかということは大きな課題になっています。ただ、それに伴って急速に再エネの買取り価格については引き下げられてきております。

他方で、これも山地先生から御説明のあったところですけれども、今、やはり再エネ事業にとって最大の課題は系統容量の制約の問題でございます。公開データにこういうふうにありますように、次々と電力会社において系統容量がもうゼロであると。ここに例えば事例で、赤でくくってあるようなところは系統容量がもうゼロになっていくということを示しているわけですが、こういったところから、接続したくても接続を電力会社に断られる、あるいは接続が可能であるとしても系統増強が必要であり、そのために相当な金額の負担金を求められて、それを負担すると全く事業採算性が見通しが立たなくなってしまうというような事例が相次いでおります。

私が支援しておりました長野県の飯田市のいわゆる限界集落における小水力発電事業につきましても、ほぼ詳細設計まで来たところで中部電力とやはり接続の協議を行いましたところ、駄目だと、接続できない、系統容量がもういっぱいだというふうに言われまして、仮に設備増強をやる場合には十九億円が必要であると言われました。しかも、その工事に七年間掛かるので接続できるのは八年目からであるということを言われて、ほぼもう事業としては絶望的な状況に陥っているわけでございます。こういったことが全国各地で起きてきております。

この系統容量ゼロ問題をどう考えるかということなんですけれども、実は私たち京都大学では、京都大学再生可能エネルギー経済学講座という講座を設けておりまして、そこでこの容量問題について調査研究をしようということでやっております。特に、特任教授の安田陽教授を中心に調査をしてまいりました。

その結果、ちょっとこちらは公開情報ですけれども、実は空き容量がある、つまり表ではゼロというふうに言っているんですが、実際には空き容量があるということが分かってまいりました。例えば、調査対象となった東北電力の系統を図に示しております。例えばここの十和田幹線というところを一つ事例に取ってみましても、ブルーで真ん中の方に線のように書いてあります。これが実際に使っている容量でございまして、空き容量という形で赤で示しているところは実際には利用されていないことを示しております。

次のスライドでは大体利用率が何%なのかということを算出しておりますけれども、それで、最大でも一八・二%、一桁のケースも多いということになっております。北海道に関しても調査しましたところ、ほぼ同じような結果が出てまいりました。

というわけで、実は、系統の容量いっぱいでもはや再生可能エネルギーの受け入れる余地はないということで、全国の再生可能エネ事業者が諦めてきている状況だったわけですけれども、実はそうではないということが判明してまいりました。これについては、実は先月末、大きなシンポジウムを東京の大手町で行いましたところ、立ち見の出る盛況でございまして、そこで資源エネルギー庁の新エネ課の山崎課長にも御登壇いただきましたし、それから東北電力、東京電力からも系統の責任者の方々に御登壇をいただきました。その中で議論した結果、やはり何らかの形で解決の策を見出していく必要があるということでほぼ一致をできたかと思います。その中で、山地先生も御指摘になった日本版コネクト・アンド・マネージというような方向性、これは議論が出てきたことは大変私たちも高く評価をさせていただきたいと思っております。

また、これまでなぜこのような問題が起きてきたかの根本原因には、先着優先のルールということで、長期的には十年先まで系統を押さえることができるというルールですね。実際には当日使わないことがあっても系統を押さえることができる、こういったルール、系統利用の在り方自体を見直していくこと、これがまず非常に大事なポイントだというふうに思います。

それからもう一つ、系統増強というふうに書きましたが、それでその系統が、まず日本の状況というのは、ドイツとは異なって、既に空いていることが判明してきた系統をうまく使うことでかなり再生可能エネルギーが入るというふうに思います。

ただ、それでもいっぱいになってきた場合には、増強投資というものが必要になります。増強投資になった場合に次に問題になってくるのは、その費用負担の在り方でございます。現在のところ、既に先ほど事例のケースで申しましたように、主として再生可能エネルギーが入ってくることに伴って系統の増強工事が必要になった場合は、その費用負担はかなりの程度を再生可能エネルギー事業者の方に負担を求められてくることになります。

ところが、例えばドイツを中心とする欧州におきましては、一旦送電会社が負担をいたしまして、これは受益者負担ルールと呼ばれておりますけれども、電力の利用者が広く薄く負担をしていく、つまり電力料金に転嫁をされていくということになります。

こうすることによって、新規で系統に入ってくる、新たに電気事業に参入してくる事業者と既存事業者の間での費用負担の公平性が図られる、そして競争促進的になるという利点がございます。

そういう意味で、系統というものをどういうふうにこれから考えていくか、送電網をどのようにして考えていくかということは、これからの電力システム、日本における電力システムの在り方を考える上で決定的に重要なポイントだというふうに考えます。

電力システム改革が進展しておりますけれども、今お示ししています図にございますように、送電部門、以前、これまでは、あるいは現在も、上にあります電源、発電部門、それから送電部門、配電部門、そして一番下に小売、需要家というふうになっていくわけですけれども、これらが今までは電力会社の中で発電、送電、配電、小売、一体化していたわけですけれども、電力システム改革の精神というのは、このうち送電部門を切り出しまして分離した上で中立化を図っていくということだというふうに思います。

その意味では、既存電源、ピンクで塗っておりますけれども、それから新規電源、緑で塗っておりますけれども、こういった事業者が送電部門に対して中立的に、また競争条件も均等化をしていく、これがこれから目指されるべき競争ルールだというふうに考えております。そういう意味では、ここに細かく書いておりますが、系統の利用ルールをこういった競争条件の均等化という方向に向けて議論していくことが非常に重要ではないかというふうに思います。

また、系統容量の計算に当たっても、計画潮流で行うのではなくて、いわゆる実潮流、実際にどれだけの電気を系統が流れているのかというデータをきっちり取った上で、それに基づいて幾ら空き容量があるのかということを見ていく。これはほぼ今、国際的なスタンダードになってきております。

それから、費用負担ルールに関しても、今、繰り返しになりますが、受益者負担原則に基づいて、なるべく受益者負担に基づいて電力利用者が薄く広く負担するという方向へ転換していくことが私は望ましいというふうに考えております。

なぜそういうふうな方向に向かっていくのが望ましいのかということについて、例えばこれはメリットオーダーということになりますが、やはり再生可能エネルギーを大量に入れていくことというのは、私自身は、国家的に見て非常に重要な課題であり、国益にかなうというふうに考えています。

ここに緑に書いておりますが、再生可能エネルギーは基本的には燃料費というものが掛かりません。一旦、設備が建ってしまいますと、ほとんど限界費用はゼロで入ってくる電源であります。これを利用しない手はないんではないか。そして、原発のような事故リスクもございませんし、石炭火力のように大量にCO2を排出するわけでもございません。そして、何よりも、国産の資源でありますので、いわゆる所得や富の海外流出というものを防ぐことができる、これも大きな利点でございます。ですので、むしろ再生可能エネルギーを積極的に国家戦略として資源開発していくという姿勢があってもよろしいのではないかなというふうに思います。

最後に、今のようなお話の言わばバックデータとして、今先行しているドイツでどうなっているかということをお話しして閉じさせていただきたいと思います。

現在、ドイツにおきましては、再生可能エネルギー比率が二〇一七年実績で三六・一%まで参りました。この実は三五%目標というのは二〇二〇年に達成することを予定されていたものですので、前倒しでドイツは再エネが増えて、目標達成がなされているということであります。

それから、賦課金。これは現在日本で大変問題になっているところですが、ドイツは実は、この絵にございますように、賦課金が二〇二三年にピークを打って、その後、賦課金負担というのは減少に転じるということがほぼ明らかになってきております。

これはなぜこうなるのかということなんですが、再エネ自体はどんどん増えております。しかし、かつて高い買取り価格を適用された電源が徐々に、二十年を経て買取りを終わっていきます。ですので、いわゆる高い負担をもたらす再エネ電源が外れていきますので、再エネが増えても徐々に負担は減っていくというフェーズに入っていくということでございます。

実は日本は、これ、今右肩上がりの、負担が右肩上がりの局面にいるので大変だ大変だと言っているんですが、二十年で高いものは切れていきますので、この大変胸突き八丁のような負担の増加のピークを超えていけるかどうか、この時期を、そしてまた国民に対してそういう負担の説得をできるかどうかという辺りに鍵があるのかなというふうに考えております。未来永劫の負担増ではないということでございます。

その背景には、ここにございますように、非常に大きく低下したやっぱり再エネコストがございます。そして、実は再エネ供給が増えているために、卸電力市場の料金、電力価格というのはどんどん下がってきております。そして、こちら欧州における電力価格ですが、ノードプールといいまして、北欧に次いでドイツは低い水準になっておりますし、何と、ドイツは原発をゼロにしていくと隣のフランスから原発の電気を輸入することになるんだろうと言われていたんですが、実は現在、ネット、純の輸出国、あらゆる領域に対して、国に対して輸出国になっております。

将来ですけれども、シミュレーションによりますと、ドイツのこの絵は再生可能エネルギーでこれから増やしてやっていった場合のコストから既存電源でやっていった場合のコストを引いたものでございます。再生可能エネルギーが増えると、純粋にコスト増の期間がしばらく続いていきます。ところが、二〇二一年以降、そして特に二〇三一年以降に入りますと、再エネが既存電源を大きく下回ってコストが下がってまいりますので、国民負担は大幅に減少すると。つまり、再エネに依存していく方がかえって国民経済的には有利な状況になっていくということがはっきりしてきております。

これは再生可能エネルギーの受入れの状況を示しておりまして、再生可能エネルギーが増えた場合には既存電源が出力を絞ることによって再生可能エネルギーを受け入れている状況でございます。

これは、場合によっては卸電力市場でマイナスの価格が付いているということを示しておりまして、これは必ずしも怖いことでなくて、ある意味でマーケットが非常に柔軟に機能しているということを示しております。

これで最後の二枚ですが、実は再エネが増えたときにはこうやって価格が、水色になっておりますが、下がっております。このときにどういう状況になっているかというと、実は既存の電源も出力を落としている。これは原発や石炭、その他既存電源でいわゆるベースロード電源と言われるものも再エネが増えたときには下がるというような調整をして、そして再エネを受け入れているということがございます。

以上のような形で再生可能エネルギーが増えてきている状況で、こちらに示しておるのはコストが抑えられているということ、それから、電力の停電日数については、一番右上ですけれども、むしろ下がる傾向にある。再エネの増加とともにむしろ電力の安定性は高まっているということが示されているということでございます。

このような形で、再エネは二〇一一年を境に投資額がむしろ既存の電源を逆転して増えてきているというのが世界の状況でございます。

最後に、メッセージとしましては、再エネ産業はもう幼稚産業の段階から徐々に成長産業に移りつつある、そして、いずれ電力網のデジタル化というのが進むと思いますし、インダストリー四・〇と言われるものと融合していき新産業が生まれてくるということが見えてきております。そういう意味では、日本の国益という観点からも、こういった再エネの進展を見ながら電力システムの在り方を考えていく必要があるのではないかということで、終わらせていただきます。

どうもありがとうございました。

 

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。

参考人の皆さん、今日は本当に貴重なお話をありがとうございます。

諸富参考人に伺いたいと思います。

政府のエネルギー基本計画では、発電コストが低廉で、安定的に発電でき、昼夜を問わず継続して稼働できる電源をベースロード電源としています。中でも、原子力や石炭は重要なベースロード電源とされ、昨年五月のこの調査会では、当時の高木陽介経産副大臣が、再生可能エネルギーをベースロード電源にするという考え方は持っていないと、こういう答弁もされています。

しかし、これでは原子力や石炭火力への依存度はいつまでたっても下がっていかずに、また再生可能エネルギーの大量導入へも進まないのではないかと思います。

諸富参考人のいただいておりました論文の中では、ベースロード電源は必要かと、こういう問題提起もされておりました。ヨーロッパでは、ベースロード電源という考え方にこだわることをやめた、そういう指摘もございました。

ベースロード電源と言われますと、それなしには電力事業を賄えないかのような印象もあるんですけれども、ヨーロッパではそれと違った考え方が取られているのはどういう理屈によるものなのかと。また、海に囲まれて外国からの電力融通が利かない日本では、やはりベースロード電源という考え方が必要なのかどうか、現状や今後の展望について御意見を伺えないでしょうか。

○参考人(諸富徹君) 御質問ありがとうございます。

まず、ベースロード電源という考え方についてですけれども、これは現在、再生可能エネルギーが大量に入ってきた場合にベースロード電源の位置付けというのはある程度落とすことができる、全くベースロード電源というものをなくすことというのは難しいのかもしれませんが、以前、火力や原子力を中心とした電源のシステムだった時代に比べて、再生可能エネルギーを中心とするような分散型の電力システムに移行していく場合には、ベースロード電源を下げて、むしろ、そのベースロード電源というふうに一言で言いますと、二十四時間定格で運転している、まさにこのようなイメージでございますけれども、むしろ原子力と褐炭の発電ですね、ヨーロッパでも、は、なかなか実際には出力を調整するのに時間が掛かって、実際柔軟に上げ下げできないんですけれども。特に天然ガスの発電については、ガス発電については、再生可能エネルギーの変動性に合わせて、つまり再生可能エネルギーがたくさん発電するときは天然ガスの方が出力を下げていく、そして再生可能エネルギーが十分、風が弱まるとか太陽光が弱まる等によって再生可能を縮小する場合には天然ガスが逆に出力上げていくようにして、柔軟に再生可能エネルギーの変動に合わせた運転をしていく。このような形で変動性を言わば穴埋めしていくようなスタイルの系統運用というんですか、その電源の運用によってかなりの程度再生可能エネルギーの変動性を補っていくということが一つは可能になってきているということであります。

もう一つ、やはり広域の系統運用をしていくということだというふうに思います。日本でも可能なのかという御質問にも連なっていく点でございますけれども、やはり日本では北海道や東北で相当風力の、風のやっぱり賦存量がございますので、ただ、それを全部北海道や東北で消費することが難しいということであれば、必然的にそれは首都圏や中部、関西に流していくという形でかなり広域に系統運用しつつ、再生可能エネルギーの電力を利用していくというような系統の運用の仕方ということを実現していくことは可能だというふうに思います。日本ではこれは難しいという議論がよくございますけれども、言わば日本の一国、日本でいうと、例えば東北、首都圏あるいはまた東京電力あるいは中部電力あるいは関西電力は、ほぼヨーロッパの一国レベルの人口規模と電力消費量に相当しますので、そして気候も北から南まで様々で、天候も様々で、資源賦存量も様々でございます。ですので、様々な多様な電源がお互いに補い合って電力融通を可能にすることによって、欧州で行われているような電力融通をほぼ日本の電力会社間でやっていくということで十分再生可能エネルギーの大量導入は可能だというふうに考えております。

○山添拓君 大変参考になりました。

もう一問、諸富参考人に伺いたいと思います。

この間、小泉純一郎、細川護煕両元総理が顧問を務める原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟が、運転中の原発は直ちに停止させ、廃炉計画を策定する、運転停止中の原発は今後一切稼働させない、自然エネルギーへ全面的に転換するなどを柱として、原発ゼロ・自然エネルギー基本法案を提唱されています。日本共産党の立場とも一致するもので、全面的に賛成をしています。

一方で、電気料金や気候変動問題への対応、エネルギーの海外依存度などを理由に、原発ゼロは責任あるエネルギー政策とは言えないという意見もあります。福島原発事故を経験し、それが国民的に共有もされて原発再稼働に反対する世論が揺るぎないものとなっており、また事故の原因究明や使用済核燃料の処分問題も解決しない、こういう下で日本で原発への依存を続けていく必要はないと私は考えています。政府の二〇三〇年度の電源構成では、発電電力量で再エネ二二%から二四%、原子力二二%から二〇%などとされていますが、原発はゼロにして再エネはもっと積極的な目標を、先ほども少しお話ありましたが、掲げていくことは十分に可能ではないかと思っています。

基本法案についての御意見も含めて、今後目指すべき電源構成の在り方について御見解をいただけないでしょうか。

○参考人(諸富徹君) 大変悩ましい点でございます。私も再生可能エネルギーに非常に研究を温暖化問題からシフトしたのは、原点はやっぱり福島第一原発事故でありました。ですので、原発をできる限り低減したいという個人的な思いはございます。

ただ一方で、山添委員御指摘のように、地球温暖化問題、CO2の排出削減というのは非常に大きな課題として日本にございますし、例えばそういう場合にも、やはりドイツを見ますと、原発はゼロというのは着実に実は彼らは進行させておりまして、地道に順次廃炉していっているんですね。しかし、電源構成をやっぱり見ていますと、石炭が減っていないですね。ですので、必要な電力を、じゃ、原発が引いた後再エネが確かに伸びているんですけど、ちょうど絵を見ていますと、原発の減った分を再エネが増えて補っている感じですね。なかなか石炭のところが減るところまで今行っていないです。ですので、彼らはCO2を減らしたいんですけど、当面そこに彼らのジレンマがあって、原発は減らしたい、だけどCO2も減らしたいけどCO2が難しいので後回しになっているというのがドイツの置かれた状況であります。

ですので、我々、その二律背反というか、原発を低減しながら、でもCO2も減らすにはどうするかというかなり大きなジレンマに入っていきますので、何を時間軸で見て優先順位としていくかをやっぱり決めていかなきゃいけないなという気がいたします。

○山添拓君 ありがとうございます。

最後に磯部参考人に伺います。

みやまスマートエネルギーの実践、自治体主導で再エネを活用して、電気の地産地消で地域の課題解決にも役立てようという取組、非常にユニークで興味深く伺いました。再エネを受け入れる側の送電網の容量が制約となっているということがこの間少し報道もされ、先ほど諸富参考人の意見の中にもありました。電力の大手が再エネを含む新規の発電、売電を阻んでいるのではないかという指摘があります。

みやまスマートエネルギーの事業を進められる中で、既存の電力大手の送電網を使うに当たって課題に直面されたという経験がございますでしょうか。また、自営の送電線を使った電力供給にも着手するという計画があるようですけれども、既存の送電網では限界があるということなのでしょうか。

○参考人(磯部達君) 御質問ありがとうございます。

まず、私たちは九州電力の送配電部門、電線を借りて、託送料金という形で借りて事業をしておりますので、そこは何らか阻まれているとかということではなくて、あくまでも料金を払って使わせていただいているということなんですけれども。九州の場合は、実は託送料金というのは電気料金のうちの三分の一ぐらいを占めます。ですから、月一万円ぐらい払っている方の三千数百円は電線の借り賃として払っている状況ですので、そこをできる限り自前化をすることによって電気料金の更なる削減には努力していきたいなと思っています。

ただ、様々な制約の中で、全く例えば福島のような新しい町を一からつくっていくときには民間事業者が電線網を自前で保有をするということも法律的には可能なんですけれども、既存の町の中で既にある電線網の中に、それを生かさずに私たちが電線網を更につくっていきますというのはまだまだ法律の制約もあるようでございますので。ただ、その制約の中でできる限り自分たちが電線網を保有することによって新たなサービスだとか新たな利便性を提供できるのであれば、そこは追求をしていきたいなと思っています。

一方で、系統制約ということは、大きな制約、大きな系統網の中ではそういうことがあるんですけれども、我々のような地域の中で電力の需要と供給を全部バランスさせていくということは可能ではないかなと思っております。

先ほどから山地先生、浅野先生おっしゃっているようなデマンドレスポンスの手法ですとかVPPの手法を使いますと、その地域の中で様々な設備をコントロールをしながら需給を安定させていくことによって、その地域の中で更に系統に迷惑を掛けずに再エネを増やすということは十分可能ですので、自前の電線網を持つというようなことも検討しつつも、地域の中でエリアマネジメントを実現することによって、再エネをその地域の中で、その地域の単位の中で増やしていくということもやっていこうと、やっていけると思っております。

したがって、みやまだけではなくて、地域地域でそうしたエネルギー事業会社がマネジメントできるような形を取っていければ、その地域発の再エネ普及という形が技術的には十分可能であるという状態だと思っています。

○山添拓君 ありがとうございました。

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