山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2018年・第196通常国会

所有者不明土地利用円滑化法案 参考人に意見聴取

要約
  • 所有者不明土地利用円滑化法案についての参考人質疑で、山添議員は、所有者不明土地の問題を解消する方策、また、本法案により土地収用の手続きが変わることでどのような影響があるか等意見を求めた。

○委員長(長浜博行君) 所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法案を議題といたします。

本日は、公益財団法人東京財団政策研究所研究員・政策オフィサー吉原祥子君及び水源開発問題全国連絡会共同代表嶋津暉之君の両参考人に御出席いただき、御意見を聴取し、質疑を行います。

この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。

本日は、御多用のところ本委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

参考人の皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、本案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。

それでは、議事の進め方について申し上げます。

まず、吉原参考人、嶋津参考人の順にお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。

御発言の際は、挙手していただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。

なお、参考人、質疑者共に御発言は着席のままで結構でございます。

それでは、まず吉原参考人にお願いいたします。吉原参考人。

○参考人(吉原祥子君) 本日は意見陳述の機会を与えていただき、まことにありがとうございます。公益財団法人東京財団政策研究所の吉原と申します。私どもは、民間独立の政策シンクタンクとして様々な政策課題について研究活動を行っております。その中で、私は日本の土地制度の課題について調査研究を行っています。本日は、これまでの調査結果に基づき、今回の法律案について所見を申し述べます。

近年、災害復旧や耕作放棄地の解消、空き家対策などにおいて、所有者の所在の把握の難しい土地が地域の取組の支障となる事例が各地で表面化しています。これがいわゆる所有者不明土地問題として広く社会の関心を集めるところとなっております。私ども東京財団政策研究所では、この問題の実態を定量的に把握をするため、二〇一四年秋に全国の自治体の税務部局を対象にアンケート調査を行いました。

所有者の所在の把握が難しくなる大きな要因として、相続未登記の問題があります。そこで、アンケート調査では、相続登記が行われないことで固定資産税の納税義務者、すなわち土地所有者を把握をする上でどのような影響が出ているかを調べ、間接的ではありますが、そこから所有者不明土地問題の実態把握を目指しました。全国八百八自治体より回答を得まして、回答率は五二%でした。

まず、これまで土地の所有者が特定できないことによって問題が生じたことがありますかという質問に対しては、六三%に当たる五百五十七自治体があると回答いたしました。具体的には、固定資産税の徴収が難しくなったが最も多く、次いで老朽化した空き家の危険家屋化、土地が放置され荒廃が進んだという結果となりました。

次に、死亡者課税について尋ねました。死亡者課税とは、相続未登記の事案についてやむなく死亡者の名義のまま課税を続けるものです。本来、望ましくない課税ですが、一六%に当たる百四十六自治体が死亡者課税ありと回答いたしました。死亡者課税なしは七自治体、七百三十五自治体は分からないとの回答でした。

次に、こうしたやむなく死亡者名義で課税を続けるということが今後増えていくかどうか尋ねたところ、そう思う、若しくはどちらかと言えばそう思うという回答が全体の八七%、七百七十自治体に上りました。その理由として最も多かったのは、今のままでは相続未登記は減らないからというもので、二百二十二自治体に上りました。相続手続の煩雑さを指摘する声や、また、土地の売買も沈静化しており、正しく相続登記を行っていなくても当面実質的な問題が発生しないケースが増えているといった回答がありました。さらに、森林や耕作放棄された農地など、わざわざ相続登記をするメリットが相続人側に感じられなくなっているといった記述も見られました。また、自治体外在住者、すなわち不在地主の死亡把握が困難であることや、地元を離れた子供世代が相続によって地域の土地の不在地主となるケースが増えることで、相続人調査が更に難しくなるといった回答がありました。

現在の制度では、自治体内に住民登録のない納税義務者、すなわち不在地主が死亡した場合、死亡届の情報が土地が所在する自治体に通知される仕組みがございません。そのため、相続登記が行われなければ、自治体では不在地主の死亡事実を把握すること自体が難しいのです。

死亡者への課税がやむなく増加するだろうと考える理由のうち、次に多かったのが、土地の資産価値の低さや管理負担を理由とする相続放棄の増加、また、親族関係の希薄化に伴い、遺産分割協議が困難になるといったものです。

寄せられた回答の中には、相続人が地元に残っていない、山林、田畑について所有する土地がどこにあるか分からない方も多いといった記述もございました。さらに、寄せられた回答の中には、相続放棄によって所有者が不存在となった土地の扱いについて、相続財産管理制度などの仕組みはあるものの、費用対効果が見込めず放置せざるを得ない事例もあること、また、そうした財産管理人が選任されない土地について、その後の権利の帰属や管理責任の在り方が実態上定かでない点もあることなど、制度的、法的な課題を指摘するコメントもありました。

こうしたアンケート調査の結果から、人口減少、高齢化といった社会の変化に対して、今の制度が十分に対応し切れておらず、結果として所有者不明土地が広がっているという問題の全体像が徐々に浮かび上がってきました。このような制度の問題は、基礎自治体の現場の努力だけでは根本的な解決は困難であり、国による制度の見直しが必要です。今回の法案は、こうした背景からその必要性が認識され、御審議が進んでいるものと考えます。

では、そもそも日本では土地の所有者情報はどのように把握されているのでしょうか。なぜ個人が任意の相続登記を行わないことが所有者不明土地という大きな問題につながっていくのでしょうか。

土地の所有、利用について様々な制度を洗い出してみると、見えてくるのが情報基盤の課題です。現在、土地についての基本情報は、不動産登記簿のほか、固定資産課税台帳や農地台帳など、目的別に作成、管理されています。しかし、台帳の内容は様々で、土地の所有、利用に関する情報を一か所で把握できる仕組みはありません。国土管理の土台となる地籍調査も、一九五一年の開始以来、いまだ五割しか進んでいません。その一方で、個人の土地所有権は諸外国と比べても極めて強いという特徴があります。様々な台帳のうち不動産登記簿が実質的に主要な所有者情報源となっているものの、権利の登記は任意です。

そもそも、不動産登記制度とは、権利の保全と取引の安全を確保するための仕組みであり、最新の土地所有者情報を把握するための制度ではございません。人口減少に伴う空き家や空き地の増加、また、相続した土地の管理に対する人々の負担感を考えると、今の制度のままでは、今後、相続登記が積極的に行われるようになるとは考えにくいでしょう。このままでは相続未登記による所有者不明土地の慢性的な拡大は避けられないと考えます。

空き家の放置や農地の耕作放棄を所有者による物理的な管理の放置と呼ぶとすれば、相続未登記によって死亡者の名前が何十年も登記簿に残り続けるのは所有者による権利の放置とも言えます。こうした権利の問題は目に見えにくく、ふだんはなかなか表面化しません。農地を利用する、空き家対策を進める、あるいは災害が起きるなどのきっかけがあって初めてその実態が見えてくるのです。

では、今後どのような対策が必要でしょうか。対策の方向性として大きく二つあると考えます。

まず一つは、既に発生している問題にどう対応するかということ、そしてもう一つは、今後こうした問題を拡大させないためにどう予防するかということです。この度の法案は、既に所有者不明となった土地の利用をいかに促進するかというものであり、まさに、この前者の既に発生している問題への対応策として極めて重要な第一歩であると考えます。

本法案でうたわれている地域福利増進事業の創設、公共事業における収用手続の合理化、円滑化、さらに所有者探索の合理化の仕組みなどは、いずれも地域の土地利用において必要なものです。是非、今後、各種手続について基本方針やガイドライン、マニュアルなどにおいて具体的かつ分かりやすく提示され、これらの仕組みが各地域において広く活用されることが望まれます。

そして、更に必要なのは、二点目の、今後こうした問題を拡大させないためにどう予防するかということです。具体的には、相続登記の促進、土地情報基盤の整備、そして、管理の放置と権利の放置の拡大を防ぐために、土地の寄附受付など低未利用地の受皿の整備が必要であると考えます。人口が減少する中で、田舎の土地を相続したものの、利用予定がなく売却の見通しも立たないという人は今後増えるでしょう。土地が使われないまま放置され、相続未登記のまま荒れ地となっていくことを防ぐため、適切な受皿をつくっていくことが必要です。

現在の日本の土地制度は、明治の近代国家成立時に確立し、戦後、右肩上がりの経済成長時代に修正、補完されてきたものです。地価高騰や乱開発など過剰利用への対応が中心であり、過疎化や人口減少に伴う様々な課題を十分に想定した制度とは言えません。所有者不明土地問題とは、こうしたこれまでの制度と社会の変化の間で広がってきた構造的な問題であり、問題を一度に解決できる万能薬はありません。まずは、人口減少を前提とした国土保全の理念を打ち立て、これまで明治の頃から築き上げられてきた制度を生かしつつ、国としての共通基盤の上にそれぞれの地域になじむ多様な方法を一つ一つつくっていくことが必要です。特に、土地についての制度改革は、財産権に関わる問題でもあり、国民の理解がなければ進めることはできません。

今回の法案はそうした制度見直しの第一歩であると考えます。本法案が是非成立し、そして、これからの土地制度の在り方について、今後議論が更に進んでいくことを心より願います。

以上が所見でございます。ありがとうございました。

○委員長(長浜博行君) ありがとうございました。

次に、嶋津参考人にお願いいたします。嶋津参考人。

○参考人(嶋津暉之君) 今日は参考人としてお呼びいただき、ありがとうございます。水源開発問題全国連絡会の嶋津と申します。この組織は、河川、ダム問題の市民団体の全国的なネットワークであります。

今日、私は今日お配りしている資料がございまして、陳述書の内容と、もう一つ、それからスライドの代わりということでこういうのがあり、この二つを使って陳述をさせていただきたいと思います。

まず、陳述書の方を御覧いただきたいと思いますけれども、私は、本法案について反対の立場で意見を述べさせていただきます。

所有者不明土地の全国的な増加に伴って、公共事業の推進においてその問題への対応が必要であるということ、そして、所有者不明土地の利用の円滑化を図る必要があるという現状については異論はありません。そのとおりであると思います。

本法案は三つを柱にしております。一つは、国、都道府県知事が事業認定した公共事業について、収用委員会に代わり都道府県知事が裁定する収用手続に変えることであります。二つ目は、地域福利増進事業を創設し、利用権を設定して所有権不明土地の利用を図ることであります。三つ目は、土地の所有者の探索のために必要な公的情報を行政機関が利用できる制度を創設することであります。このうち、二番目の地域福利増進事業の創設、そして三番目の土地の所有者を探索する制度の創設は必要なことでありますので、これについては異論はありません。

問題は、一番目の収用委員会に代わって都道府県知事が裁定する収用手続に変えることであります。土地収用法が定める収用手続は、憲法二十九条が保障する土地所有権そのものを公共のために権利者の意に反してでも奪うという財産権の侵害が最も高い手続であります。権利者に対する十分な手続保障があってこそ公共目的で権利を奪うことが正当化されるのでありまして、その手続として収用委員会という第三者機関による公開審理は不可欠のものであると考えます。

収用委員会は、公共の利益と私有財産との調整を図るために、公正中立な立場で判断する権能を与えられた行政委員会であります。都道府県知事等の機関から独立して職務を行うものであり、収用が財産権の侵害が最も高い手続であるからこそ、収用委員会による公開審理が必要とされているわけであります。

ところが、本法案では、所有者不明土地とされる土地は、収用委員会の公開審理をなくし、都道府県知事の裁定に代えることになっております。となりますと、都道府県の公共事業の場合は、事業者も、そしてこの収用の裁定者も同じ都道府県になります。都道府県の判断だけで進むことになり、公正な収用であるかどうか、所有者不明土地とされているが調査を尽くしたものであるかどうかについて第三者機関によるチェックが行われないことになってしまいます。

現状の土地収用法でも、この所有不明土地はいわゆる不明裁決、すなわち土地収用法四十八条四項ただし書の適用により、収用委員会の公開審理を経て収用することは可能であり、実際に今まで行われてきているわけであります。必要に応じて収用委員会の不明裁決を続ければよいだけの話であります。

そして、もう一つ問題があります。

本法案で、収用委員会の公開審理をなくし都道府県知事が裁定するようにすること、さらに、国土交通省が近く策定する事業認定の円滑化マニュアルを普及させることによって、事業認定申請から事業者が所有権を取得するまでの期間を大幅に短縮することになっております。しかし、所有者不明土地への対応が必要だということを名目にして収用手続の簡素化が進められれば、必要性が希薄な公共事業が一層まかり通る可能性が高くなることを強く危惧せざるを得ないわけであります。

反対意見を無視して、不要不急の公共事業、自然や地元住民の生活に多大な影響を与える公共事業が強行されているという現実があります。その事業用地の取得のため土地収用法により事業認定の手続が取られるわけですが、事業認定の制度は形骸化しておりまして、所定の手続さえ踏めば事業認定が得られ、強制収用が法的に可能となるようになっているわけであります。

公共事業の必要性の是非について厳格な審査が行われるよう、事業認定制度の抜本的な改善が必要であります。事業認定の厳格化への改善なしに土地収用手続の簡素化を進めれば、必要性が希薄な公共事業が一層まかり通ってしまうことになることを危惧します。

現行の事業認定制度がどれほど形骸化しているかを示す象徴的な例があります。もう一つのこのスライドの形になっております資料の二枚目を御覧いただきたいと思います。

長崎県が佐世保市に隣接する川棚町に建設を予定している石木ダムであります。目的は、佐世保市水道の水源確保と川棚川の洪水調節であります。

この石木ダムの予定地では、十三世帯の地権者が約四十年前から絶対反対の姿勢を堅持しております。この十三世帯の土地と家屋を強制収用すべく、長崎県と佐世保市は、国土交通省九州地方整備局に事業認定の申請を行いまして、二〇一三年九月に事業認定が告示されました。そして、二〇一四年九月から長崎県収用委員会による審理が進められているわけであります。

しかし、この石木ダムの必要性は極めて疑わしいものであります。スライドの方の三枚目は、これは石木ダムの問題を扱った、詳しく書いた新聞記事です。後で御覧いただきたいと思います。

四枚目を御覧いただきたいと思います。上の方のグラフですけれども、利水面の話です。

佐世保市の水道の水需要は、二〇〇〇年代に入ってから、このグラフで示すように、減少の一途をたどっております。かつては十万トンを超えておりましたが、今は八万トンを切っております、一日当たりですね。ところが、佐世保市の予測というのは、この実績を無視して、どんどん今後急速に伸びるという架空の予測を行っているわけですね。佐世保市にとって石木ダムが必要だという話をつくり上げているわけであります。

もう一つの治水についてはどうかということですけれども、下の方の図を御覧いただきたいと思います。

川棚川流域図を示しておりますが、石木ダムが造られるのは、川棚川に下流の方で合流する石木川に造られます。この石木ダムで対応できる流域面積は、川棚川流域全体の僅か十分の一です。余りにもこの石木ダムの効果が限定的なんですね。こういうものに河川予算を使うのではなくて、河川改修の方にその石木ダムの予算を回すべきです。ということで、この石木ダムの必要性は極めて疑わしいということです。

にもかかわらず、次の五枚目の資料を御覧いただきたいんですが、事業認定が告示されて、実際にこの収用委員会の審理が進められているわけであります。ということは、どういうことかといえば、現行の事業認定制度に根本的な欠陥があるということです。この事業認定のフローチャートが下の方に書いてありますけれども、どういう問題があるかを次にちょっとお話をしたいと思います。

六枚目の資料を御覧ください。

まず第一の問題は、認定庁の中立性の問題であります。

事業認定は、国土交通省あるいは地方整備局ですね、国の事業あるいは都道府県知事が行う事業については国土交通省が認定庁になります。しかし、この国土交通省というのは公共事業の総元締であります。言わば、子分の行為に対して親分がお墨付きを与えるようなものであります。したがって、事業認定庁が国土交通省では、事業認定に関して公正な判断が行われるはずがないわけであります。事業認定庁を国土交通省から切り離して、中立性が担保される機関が事業認定の是非を審査するようにすべきであります。

二つ目の問題は、公聴会がセレモニーになっているということです。

この事業認定の過程で意見を述べることができます、公聴会で。これは三十分の範囲で意見を述べ、そして事業者とやり取りをすることができるんですが、どのような意見を述べようとも、これは事業認定に影響を及ぼすことはありません。この公聴会は、こういう今の形ではなくて、事業認定庁とは別の第三者が議長になった、そういう場で公述者と事業者が徹底した討論を行える、そういう双方向性の公聴会に変えなければなりません。

次の七枚目の資料を御覧いただきたいんですけれども、公聴会で幾ら公述しようとも、この上の資料に書いたように、こういう対比表を、こういう意見がありました、それに対してこう考えますという、そういう対比表が作られるだけでおしまいということです。

さらに、もう一つ、三つ目の問題。学識経験者に意見聴取が行われます。これが形骸化しているということです。

この認定庁が国交省関係の場合は、国土交通省社会資本整備審議会公共用地分科会の意見が聞かれます。しかし、これは国交省が人選した委員会でありますから、公正な審議が行われるはずがないんですよ。事業認定庁から独立した中立性が担保される委員会でなければなりません。

次の八枚目の資料を御覧いただきたいんですけれども、しかもこの公共用地分科会は非公開で行われ、議事録も公開されません。秘密裏に行われて議事録も公開されないということですね。非公開が徹底されているわけであります。情報公開請求でこの議事録を取り寄せることはできるんですけれども、その取り寄せたものがこの下の資料です。委員の発言が全部黒塗りになっているんですね。こんなものなんですよ。これでは各委員がどういう発言、全く分からないということですね。

ただ、極めて簡単な議事要旨のみが公開されます。それがこの九枚目の資料ですけれども、これはもう本当に事業認定が相当だという、そういう議決の結果が主に記載されておりまして、僅かに主な意見が記載されておりますが、これは、この意見を見ると、石木ダムの是非について真っ当な審議が行われた形跡がないんですね。

ということでありますので、今の事業認定制度はこういうふうに形骸化しているわけです。必要性が極めて希薄なこの石木ダムについても、このように事業認定がされているということです。

ということで、この三つの問題を申し上げましたけれども、これを抜本的に変えて、真っ当な審査が行われる、事業の是非について、そういう事業認定に変えなければなりません。

あと、最後、この資料の十枚目ですけれども、石木ダムの現状を少しお話しいたしますと、今この強制収用の手続が進められようとしております。これに対して、余りにもこれはひどいではないかと、必要性が希薄な石木ダムのために十三世帯の家屋と土地を奪うのはおかしいという世論が大きく盛り上がっております。「強引な手法許されない」という新聞記事がありますけれども、これがそのことを表しているので、後でお読みいただきたいと思います。

ということで、最後のまとめになりますけれども、所有者不明土地への対応が必要だという名目にして、本法案により、土地収用手続の簡素化が進められれば、石木ダムのような必要性が希薄な公共事業が一層まかり通る可能性が高いということを危惧せざるを得ないということであります。公共事業の必要性の是非について厳格な審査が行われるよう、先ほど申し上げたように、事業認定制度の抜本的な改善が必要であります。この事業認定の厳格化への改善なしに土地収用手続の簡素化を進めるべきではないと私は考えます。

以上が私の意見でございます。

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