山添 拓 参議院議員・日本共産党

国会報告

2019年・第198通常国会

法科大学院法案に関連して法曹養成問題について

要約
  • 先週から文科委員会で審議している法科大学院法案に関連し、法曹養成問題について法務委員会で質問。本法案で可能となる司法試験の在学中受験について、中教審での議論を踏まえた検討を求める意見を無視し、学会や弁護士関係団体からの多数の反対意見は全く反映されていないことを明らかにしました。

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
 私も法科大学院出身の議員の一人として、今日は質問に立たせていただきました。
 質、量共に豊かな法曹養成を掲げ、プロセスとしての法曹養成制度の中核を成す法科大学院が創設をされ十五年が経過しましたが、法曹志望者が激減し、見直しを余儀なくされております。今議論されている法案は、いわゆる3プラス2と、在学中受験で合格すれば、修了後すぐ司法修習に入れるようにと描いております。この法曹志望者の激減は、時間的、経済的負担の重さが主たる原因だとされています。
 しかし、午前中も議論になっておりましたが、お配りしております資料の一ページから三ページ、文科省と法務省が実施をしました法学部生に対するアンケートでは、能力に自信がない、ほかの進路に魅力を感じた、適性があるか分からない、あるいは法曹の仕事に魅力を感じないなど、ほかの理由の方が上位で多数を占めております。
 大臣、このことについてはいかなる認識でしょうか。
○国務大臣(山下貴司君) 今委員の配付された資料を見ておりますけれども、このうち、この自分の能力に自信がない、あるいは適性があるか分からない、あるいはほかの進路にも魅力を感じていると、この三つにつきましては、これは主観的な理由なんだろうというふうに考えております。この主観的な理由に関しましては、これは個々人の個人的な要因としての側面が強いのではないかと考えております。
 他方で、大学卒業後、法科大学院修了までの経済的な負担が大きいであるとか、あるいは合格率の問題であるとか、そういう時間的負担が大きい、これはある意味制度的な問題ではないかというふうに考えておりまして、今回の改正案では、そういった制度的な改正につきまして、この経済的、時間的負担の大きさというところの解消を一定程度図りたいということで御提案申し上げているところでございます。
○山添拓君 資料の二枚目、三枚目が、法曹志望を過去には持っていたけれどもやめてしまったという学生や、あるいは一度も法曹を志望したことのない学生の不安や迷いを紹介したものです。ここでは、時間的、経済的負担というのはむしろ少数であります。
 志望者を増やすというのであれば、法曹の仕事としての魅力や、あるいは法科大学院で学べば合格できるという、こういう見通しを持てるようにすることこそが求められているということを指摘しておきたいと思います。
 時間的負担ということについて質問したいと思います。
 この間、今大臣も指摘をされましたが、文科省が行った法学部生へのアンケートは、法科大学院修了までの時間的負担しか聞いておりません。修了後、受験と司法修習までの時間が空くという、政府がギャップタームと説明する時間的負担について、学生や法科大学院生、あるいは修了生に対して広く意見を求めた、こういう結果はあるんでしょうか。法務省、いかがですか。
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 法務省と文科省で実施いたしましたこの学生に対するアンケートの時間的、経済的負担が重いということについての、その時間的な負担の件につきまして、具体的に、修了後受験して、さらに修習の資格を得るまでの時間的な負担だということを明言して答えをしているものではございませんが、この点につきましては、法曹養成制度改革顧問会議等の議論におきまして、委員やヒアリングの対象の弁護士から、まさにギャップタームについて、学生に対して心理的な不安感を強いる上に時間的な損失に加えて経済的な負担を課すものであり、問題が大きく解消の必要性が高いなどの意見は出されていたということでございます。
○山添拓君 顧問会議で当事者から聞かれたというのは、二〇一四年の一人からですね。
○政府参考人(小出邦夫君) 委員としては一人、それからヒアリング対象の弁護士は二人でございます。
○山添拓君 これは五年も前のことなんですね。しかも、そこで聞かれたお二人の弁護士は、いずれもそのギャップタームがあるから法曹志望の障壁になったという意見ではないんですね。むしろ、二年、三年と法科大学院で学んだことがよかったと、こういう意見であったと思います。
 これ、在学中受験というのは、中教審でも議論をされておりません。法案に盛り込むことになったきっかけは、昨年七月十八日、自民党の部会で提起されたことだと伺います。その後、在学中受験を導入した場合の法科大学院のカリキュラムや司法試験の内容への影響について、公の場で議論をしたという事実はありませんね。
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 昨年七月以降、この在学中受験資格の導入につきまして、法務省といたしましては、文部科学省による法科大学院改革の進捗等を踏まえつつ検討を進めてきたところでございます。
 その検討のプロセスにつきまして、そもそも法務省では、この司法試験制度の見直しに当たりまして特定の審議会での議論を経ることは予定されていないところ、今回の見直しでも同様でございます。
 法科大学院制度を所管する文部科学省あるいは司法修習を所管する最高裁判所の協議のほか、この法曹養成の運営に深く関わる法科大学院協会、日本弁護士連合会との意見交換を様々に行いながら方針を決定したものでございます。
○山添拓君 そういう事実はないわけです。
 昨年十月五日の中教審の特別委員会で、二人の委員が在学中受験について発言をしております。
 丸島委員は、法科大学院教育の充実に大きな支障を及ぼさないよう、現場の実情を踏まえて広く知恵を出し合い、あるいは工夫をするなど、様々な検討が重要であろうと思います、中教審のこの委員会を始め、関係者の皆様の意見を十分に聞き、それらを踏まえて検討されますように強く希望しておきたい、こう述べています。
 あるいは、大貫委員、これは現在の法科大学院協会の理事長ですが、在学中受験を認める制度変更というのは、法科大学院教育に甚大な影響を与える、教育現場への影響に十分配慮されたい、こういう意見を述べております。
 文科省に伺いますが、なぜ中教審で議論することとしなかったんですか。
○政府参考人(森晃憲君) 先ほど法務省から御答弁ありましたように、在学中受験資格の導入につきましては、司法試験法を所管する法務省において検討する事項でございまして、法務省では、司法試験制度の見直しに当たり特定の審議会での議論を経ることは予定していないということでございます。今回の見直しに当たっては、文部科学省や最高裁判所の協議のほか、法科大学院協会や日本弁護士連合会との意見交換を行いながら決定したと承知しております。
 文部科学省としても、在学中受験資格の導入について法務省からの協議を受けて検討を進め、その検討プロセスは適切なものと認識をしております。
 なお、今回のその在学中受験資格の導入につきましては、法科大学院における教育に大きな影響を及ぼすものであり、カリキュラムの在り方については中央教育審議会で専門的に議論する必要がありますけれども、司法試験法改正案の成立後に国会での審議を踏まえて議論すべきであるものから、中央審議会で事前に議題とすることは予定しておりませんでした。
○山添拓君 ですから、法科大学院の教育内容に大きな影響を及ぼすと、だからあらかじめ中教審でも検討するようにという意見だったんですね。その意見は無視をしたということなんです。
 法科大学院協会とは意見交換を行ったと先ほど来繰り返されております。文科省は、衆議院で、我が党の畑野君枝議員の質問に対して、法科大学院協会が在学中受験を了承したのは昨年九月だと答弁をされております。間違いありませんか。
○政府参考人(森晃憲君) 文部科学省と法科大学院協会との間では、在学中受験のみならず、断続的に様々な点でやり取りを行っておりまして、その全てを行っていくことは困難でございますけれども、例えば昨年十一月、本年三月に開催された臨時総会に担当課長が出席して、法科大学院に文部科学省も、しましたと。
 また、昨年九月の臨時の理事会、法科大学院協会の臨時理事会において、在学中受験の導入に関して、大学院としての教育が維持されること等を条件として御了承いただいたということでございます。さらに、本年三月の臨時総会において、今回の法改正について賛成されたというところでございます。
○山添拓君 資料の四ページに、九月二十五日付けの法科大学院協会理事長名の書面を載せておりますが、ここに記された昨年九月十五日の臨時理事会でまとまった方針なのだと、こういう御説明かと思います。
 一方で、先ほど触れました十月五日の中教審特別委員会で、法務省福原司法法制課長は、先ほどの丸島氏や大貫氏の意見を受けて、現時点で在学中受験の実現や、その具体的な方針を定めたということはございません、法科大学院の教育やカリキュラムに大きな影響を与えるということは理解しておりますので、意見を聞きながら検討を進めてまいりたいと述べています。
 十月の段階で方針が定まっていないものを、九月に法科大学院協会が先取りして了承をするということなどできるはずがないじゃありませんか。
○政府参考人(森晃憲君) 文部科学省といたしましては、昨年夏以降、法務省から在学中受験資格について協議があり、法科大学院協会にも情報提供と意見交換を行ってきたと。この過程として、先ほども申し上げましたような経過をたどっていると、そういうことでございます。
○山添拓君 いや、それでは説明になっていないですよ。先ほどもおっしゃったように、九月に了承を得たとおっしゃったんですよ。しかし、十月の段階で法務省はそんな方針はまだ固めていないと言っていますよ。これはどういうことですか。
○政府参考人(森晃憲君) 私どもといたしましては、法務省が検討を進めているということで、昨年夏以降、法務省から在学中受験資格導入について協議があって、そして法科大学協会とも情報を提供して意見交換を行ってきた、そういうものでございます。
○山添拓君 在学中受験を実現するという方針を具体的に定めたのは、では、いつなんですか。
○政府参考人(小出邦夫君) 七月以降、文部科学省あるいは関係団体、日弁連、法科大学院協会等々、多数回にわたりまして意見調整を続けた結果、制度設計を固めていきまして、最終的に制度全体として正式に説明できる段階になったのは、年が明けた一月の段階でございます。
○山添拓君 法務省が法科大学院協会にそのことを説明したのはいつですか。
○政府参考人(小出邦夫君) 今年の二月の頭でございます。(発言する者あり)二月六日でございます。
○山添拓君 私の手元には二月四日の法科大学院協会理事長の名義による法科大学院協会宛ての文書がありますが、この中では、在学中受験については方向性が決まっていることを聞いています、こう言っているんですね。
 ですから、決まる前から、もう法科大学院協会は決まっていることを前提にしていたということになるんでしょうか。
○政府参考人(小出邦夫君) 検討の方向性については随時説明しておりまして、全体概要、制度の見直しの全体概要の説明を受けたのが二月六日ということでございます。
○山添拓君 私は極めていいかげんなプロセスだと思うんですね。こうして二月の六日に全体概要の説明を受けたと言うんですけれども、そこから法科大学院協会がそれぞれの大学院の意見を集約していたのではとても間に合わない、私の手元には三月十一日付けの法科大学院協会の各校への意見照会の結果報告の文書もありますけれども、この中でも、この時点に至っても、今回の制度改革、その案というのは十分な議論を経ていない、こんな短時間での意見集約はとてもできないと、大学の中で先生方や実務家教員の意見を踏まえる、集約することもできないんだ、こういう意見が多数寄せられている状況であります。
 もう一つ、二十三日の文教委員会での法案審議では、在学中受験について学会や弁護士関係の団体などからも意見を聞いたと、こういう答弁がありました。法務省に伺いますが、幾つの団体からどのような意見を聴取したんでしょうか。また、その中には在学中受験を積極的に進めるべきという意見もあったんですか。
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 今回の在学中受験の実施に当たりましては、関係する学会や個々の弁護士会、研究者団体などの機関、団体のほか、個人あるいは有志の数名の連名による意見など、様々な形で意見書等が提出されているところでございました。
 法務省が現時点で把握しているところによりますと、今回の法案に関連いたしまして、この在学中受験資格の導入に反対することに直接言及している意見書というのは十数通ございます。その中身の概要といたしましては、例えば、在学中受験資格を認めることは法科大学院を実質的に崩壊させるものであり、司法試験に合格さえすればよいという旧司法試験制度を復活させるものであるとか、法科大学院が司法試験の受験準備に費やされ、法科大学院が受験予備校化するなど、様々なものがあったというふうに把握しております。
○山添拓君 そうして出された意見をどのように検討して今度の法案に反映されたということなんですか。
○政府参考人(小出邦夫君) お答え申し上げます。
 今回の法案では、法科大学院教育の充実が図られることを前提にして、法科大学院課程を通じて所定科目単位の修得等、その教育を着実に履修した者について在学中受験をすることができることとしているほか、在学中受験資格で司法試験を受験し、合格した者が司法修習生として採用されるために法科大学院課程の修了を要件としているところでございまして、法科大学院を中核とするプロセスとしての法曹養成の理念を堅持することを前提に制度設計しております。
 また、法科大学院協会や日本弁護士連合会の要望も踏まえまして、司法試験の開催時期を含む司法試験の在り方について、今後、関係者の参画を得て、会議体において検討することとしております。
 このように、反対の御意見、御指摘も踏まえて、慎重に検討を行って制度設計を行った結果、本法案を提出させていただいたところでございます。
○山添拓君 踏まえてとおっしゃるんですけど、法科大学院の教育の充実については、法律ができた後なんですよね。何らの具体的な方向性も示されておりません。結局、反対意見や様々な意見を聞いたと言いながら、それは物理的に聞いたかもしれませんが、それは何の反映もされていないと、これは意見を聞いたとは言わないと思います。
 衆議院の法案審議の中で平口副大臣は、時間的な制約もあって、審議会等での議論を経ることなく立案作業を進めたのだと、緊急性ということで御理解いただきたい、こういった答弁をされております。
 大臣に伺いますけれども、法曹志望者の減少や、それに伴う法曹養成制度の再検討というのは、これ今に始まった話ではありません。その上、問われているのは、プロセスの中核とされた法科大学院協会の教育の在り方に関わる問題です。これ、緊急性があるから拙速な議論であっても進めてよい、こういうお考えですか。
○国務大臣(山下貴司君) 拙速との御批判は当たらないんだろうというふうに考えております。
 まずもって、司法試験の受験資格は法務省所管の司法試験法で規定されておりまして、在学中受験資格導入には司法試験法の改正が必要であると。この司法試験制度の見直しに当たって特定の審議会での議論を経ることは当然には予定されておりませんで、今回の見直しでも特定の審議会での議論を経ることは予定されておらず、他に意見調整のための適当な検討の枠組みも設けられていなかったところでございます。
 そこで、法務省としては、法科大学院制度を所管する文部科学省や司法修習を所管する最高裁判所との協議のほか、法曹養成の運営に深く関わる法科大学院協会及び日本弁護士連合会等との意見交換を様々に行いながら、慎重に検討を進めて方針を決定してきたところでございまして、この手続はこれまでの取扱いと異なるところはございません。
 そして、制度の円滑な実施には、適切な運用に向けた連携、協議が不可欠ということでございまして、細部にわたっては、法務省としては、法改正が実現した上で、関係省庁、大学関係者、法曹関係者等を構成員とする司法試験の在り方を検討するための会議体を速やかに立ち上げ、制度の円滑な実施に万全を期するようとしております。
○山添拓君 長く答弁されましたけれども、私が伺ったことには答えていただいていないんですね。緊急性があるからこういう手続を踏んだんだと副大臣は答弁されているんですけれども、大臣はそういう認識ですか。それとも、こういうやり方が、司法試験の時期や内容、教育に影響を与えるかもしれないけれども、そうした変革を与える際にも普通のやり方なんだと、こういうことですか。
○国務大臣(山下貴司君) 先ほど申し上げたように、今回の見直しにつきまして、特定の審議会での議論を経ることは予定されておらず、ほかに意見調整のための適当な検討枠組みも設けられていなかったところでございます。
 他方で、法務省としては、文部科学省や最高裁との協議のほか、法科大学院協会や日弁連との意見交換を様々に行いながら、慎重に検討を進めて方針を決定したものでありまして、この手続はこれまでの取扱いと異なるところはないということであります。
○山添拓君 同じ答弁であれば、繰り返していただく必要はないのですが。
 今お聞きいただいていたように、法科大学院協会に対しては決まったことであるかのように伝えながら、文科省の中教審の中ではまだ方針は決まっていないと言っている。こういう、相手によって言い方を変えて、しかし、だんだんに進めていってもう後戻りができないところまで来て、法科大学院協会としては、もうにっちもさっちもいかない、これに従っていくしかないんだというような状況になって、それではその中で少しでも改善させるためにはどうするか、そういう意見集約が更にされるというような、こういう経過をたどってきています。
 それを、これ今でも、こんなやり方はおかしいと、衆議院の法案審議の参考人質疑でも、寝耳に水だと、とりわけ在学中受験については、それまで入っていなかったものが突然入ってきたと、こういう声が出されているんですね。しかし、そのことに対して何らの問題意識もお持ちでないということなんでしょうか。
 こういうずさんな経過で提出された法案であるために、一体どのような法曹を養成しようとしているのか、その根本的な点に懸念も広がっています。
 例えば、衆議院の法案審議で参考人として意見を述べた須網隆夫教授が理事長を務める臨床法学教育学会は、在学中受験は法科大学院制度を崩壊させるとして、3プラス2の導入と相まって、最終学年の法科大学院教育は事実上無視される、学生たちは前年度から司法試験の受験準備を中心とした期間にならざるを得ない。大臣、聞いていますか。実質上、学部の3のみによって法曹養成教育を行うという、先進国ではほかに例のない、極めて貧困な法曹養成教育へと議論を転換せざるを得ないであろうと、こう厳しく批判しています。
 大臣に伺いますけれども、今度の法改正は、優秀で法曹志望を大学二年に進級するときにはもう明確にしている者に限って最速で法曹資格を与える、それを可能にするためのものです。未修者や社会人対策は今後の課題としています。質、量共に豊かな法曹を養成するという従来の方向性にはそぐわないものなんじゃないですか。
○国務大臣(山下貴司君) 今回の法案につきましては、法科大学院を中核とするプロセスとしての法曹養成制度の理念を堅持した上で、法科大学院教育の充実と、法曹となるまでの時間的、経済的負担の軽減を図ろうとするものでございます。このように制度全体として時間的、経済的負担の軽減を図るということでございまして、更なる法曹志望者が増えるでありましょうし、また、今回の法改正後も、プロセス養成を通じて質、量共に豊かな法曹を養成していくという法曹養成の基本理念には何ら変更はないというところでございます。
 御指摘の、未修者や社会人にとっても法曹養成のプロセスを魅力あるものとして有為な法曹人材を輩出していくことは引き続き極めて重要な課題でございまして、今回についても、法案においても、法科大学院の入学者選抜の時期、方法等について未修者や社会人に対する配慮義務を規定しているところでございます。
 また、文部科学省においては、今回の法改正の着実な実施に向けた取組と併せた改革として、今後、未修者教育の充実や社会人教育への支援を含む各種の取組を進めていくものと承知しておりまして、法務省としては、文部科学省と連携しながらしっかりと必要な協力をして行ってまいりたいと考えております。
○山添拓君 言葉ではそうおっしゃるんですけれども、法案の中身としては全くそういうものになっていないと思うんですね。これ、いかなる法律家を育てるのか、その根本に関わる問題です。
 私は、法務委員会、文教委員会、両方で併せて議論をするということが必須の法案であったと思います。文教委員会との連合審査を改めてここでも求めたいと思います。
○委員長(横山信一君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。
○山添拓君 残りの時間で次の点に進みたいと思いますが、資料の四ページにありますように、法科大学院協会は九月二十五日付けの文書の中で、在学中受験を認める制度変更の目的について、3プラス2の最終学年での司法試験合格をメーンストリームとすることにより、現在予備試験に流れている層を法科大学院に誘導し、プロセスとしての法曹養成をより充実させることも狙いだとしています。
 法務省に伺いますが、二〇一五年の法曹養成制度改革推進会議決定は、予備試験ルートで司法試験に合格した者について、「試験科目の枠にとらわれない多様な学修を実施する法科大学院教育を経ていないことによる弊害が生じるおそれがある」、こうしています。予備試験ルートによる弊害とは一体何ですか。
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 予備試験、これは、司法試験を受けようとする者が法科大学院修了者と同等の学識及びその応用能力等を有するかどうかを判定することを目的とする試験でございます。予備試験の合格者については、一般的に法科大学院修了者と同等の学識等を有すると判断されたことになるものでございます。
 しかしながら、予備試験合格の受験資格で司法試験に合格した者につきましては、プロセスとしての法曹養成の中核である法科大学院課程を経ておらず、試験科目の枠にとらわれない多様な学修を実施することを教育理念とする法科大学院教育を受ける機会がないことは確かでございます。そのため、予備試験を経由する者につきましては、法科大学院教育に期待されております創造的な思考力、法的議論の能力の育成や先端的な法領域についての理解、また社会に生起する様々な問題に対する広い関心の惹起といった点が十分に図られないといった弊害が生ずるおそれも考えられるところでございます。
 もっとも、これらの点に関しまして客観的事実に即して具体的な弊害が生じている状況までは認められず、現時点では一般的な可能性にとどまっているというふうに理解しております。
○山添拓君 何かやっぱりどっちかよく分かりませんけれども、弊害があるんだかないんだかよく分かりませんが。
 例えば、昨年十二月に司法修習を終えた七十一期の司法修習生から裁判官や検察官に任官された人、裁判官八十二名、そのうち二十二名が予備試験を経由した方々だと。検察官六十九名、うち三、十三名が予備試験ルートだと。いずれも予備試験合格者の割合が過去最高となっています。少なくとも予備試験ルートだから弊害があるということではないんだろうと思います。
 最高裁は、六十八期の司法修習以降、それまでなかった修習開始直後の導入修習を行っています。導入修習を行うことにした理由と現時点での評価について御説明ください。
○最高裁判所長官代理者(堀田眞哉君) 第六十八期より導入修習を行うことといたしましたのは、司法修習開始時における導入的教育の充実を図る必要性が指摘されたことなどを踏まえて検討した結果でございます。
 導入修習は、修習開始段階で司法修習生に不足している実務基礎知識や能力に気付かせ、かつより効果的、効率的な分野別実務修習が円滑に行えるようにすることを目的としております。これまで、指導担当者との協議や司法修習生の声等を踏まえて、不断にカリキュラムを見直すなどしながら継続して実施してきておるところでございますが、指導担当者や司法修習生からはおおむね好意的な評価を得ているものと承知しております。
○山添拓君 予備試験ルートであろうが法科大学院ルートであろうが、実務を担うに当たっては基礎知識や能力が更に必要だということで進められているものと伺っています。プロセスとしての法曹養成制度というのであれば、こうした一つ一つに丁寧に向き合って議論を進めるべきです。
 ところが、司法試験や司法修習の時期や内容、法科大学院のカリキュラムなどは法律事項ではないと、理由にして、法案成立後の会議体で決めるのだといって、その会議体がいかなるプロセスを経るのか、それも現時点では具体的には示されておりません。これでは法曹養成のプロセス全体を見渡すことはできないと思います。
 本来、司法試験や司法修習を含めた全体の制度設計を踏まえて国会で審議すべきだと考えますが、改めて大臣、いかがですか。
○国務大臣(山下貴司君) 今回の司法制度見直しにつきましては、例えば在学中受験資格の導入を含む司法試験制度の見直しについて、司法試験法等の改正によって、一つには、新たな在学中受験資格の内容、次に、その導入に伴う受験可能期間の起算点、司法試験の試験科目、司法修習生の採用要件といった制度の中核を成す内容については具体的に規定しておるところでございまして、見直しの根幹部分は明確になっているところであると考えております。
 その上で、委員も御指摘のとおり、司法試験の実施時期や試験の出題内容等については、これは司法試験委員会において定めるものであり、また、司法修習の時期や内容等については最高裁判所において定めるものであり、それぞれ今回の法律改正が成った段階で司法試験及び司法修習の実施、運用に関する事項として決定される事項でございます。
 したがって、法律で規定する事項ではございませんで、司法試験制度の設計を行った法務省の立場で、これらの実施、運用に関する事項について現時点で具体的に示すことは困難であるというところでございます。
 しかしながら、制度の根幹については明らかにしているというところでございまして、これは委員御指摘のような新制度の実施、運用に関する事項が定められないことをもってこの全体の制度枠組みが不合理だというところではないというふうに考えております。
○山添拓君 時間ですので終わりますけれども、何だか歯切れの悪い答弁だったように私は感じます。やっぱり今現場からいろんな懸念の声が上がっているという事態を踏まえて、私はこのまま法案を採決すべきではない、これではびほう策にもならないということを指摘をしまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。