山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2019年・第200臨時国会

参院本会議で桜を見る会、会社法改定案について質問しました。

要約
  • 参院本会議で桜を見る会について菅官房長官に質問しました。 詐欺的悪徳商法を繰り返してきた「ジャパンライフ」会長や反社会的勢力の出席が明らかになっています。 総理などの推薦は決裁不要の「特別枠」なのではないか。招待者名簿の廃棄は組織的な隠蔽そのものではないか。 今後も追及します。 会社法改定案についても質問。 会社法改定案は株主総会にかかる手間を省こうとする一方、取締役へ業績連動報酬を勧め、利益追求に駆り立てる内容に偏り過ぎています。 会社には、株主利益のみでなく、従業員、労組、取引先などすべてのステークホルダーの利益考慮と社会的責任を果たさせることが重要です。

○山添拓君 日本共産党を代表し、会社法等改正案について質問します。
法案に先立ち、桜を見る会をめぐる疑惑について、菅官房長官に伺います。
招待者の中に、高齢者への詐欺的な悪徳商法を繰り返してきたジャパンライフの代表取締役会長まで含まれていたことが明らかになっています。官房長官は昨日の会見で、反社会勢力の参加について問われ、結果として入っていたなどと人ごとのように述べましたが、総理等からの推薦名簿が内閣官房でも内閣府でも決裁されない、ノーチェックとなっていたために、社会的に問題のある人も招かれていた、これが実態ではありませんか。
招待者名簿を取りまとめた省庁の中で、保存期間を一年未満としているのは内閣官房の三部局だけです。中でも、総理推薦を始め大量の招待者をリストアップしていたと思われる部局に限って招待者名簿が明らかにされておりません。後ろめたさがある部局だけが、資料要求を受け慌てて廃棄してしまったのではないですか。これは組織的隠蔽そのものではありませんか。
本院行政監視委員会における田村智子議員の質問で、二〇一四年には与党で二千九百通、総理、長官等推薦者で三千四百通の招待状が発送されていたことが明らかになっています。
官房長官は、総理からの推薦約千人、副総理、官房長官等約千人と答弁していますが、合わせて約二千人にすぎません。総理自身、長年の慣行の中で招待者数が膨れ上がったと述べる中、五年前の三千四百人が二千人まで減るとは考えられません。
今年の招待者数は何を根拠に述べたものですか。果たして正確ですか。総理による推薦者数は、実際には千人よりはるかに多かったのではありませんか。
官房長官は昨日会見で、総理、長官等推薦者の中には、実際には自民党関係者からの推薦も数多く入っていると述べています。それでは、二〇一四年の三千四百人中何人が自民党からの推薦なのですか。記録は廃棄済みと言いながら、一体何を根拠に自民党推薦分が入っていると言えるのですか。
官房長官の答弁の信憑性が問われています。明確にお答えください。
前夜祭を含め疑惑の核心は、安倍総理にしか答えることができません。野党は、参議院規則に基づき予算委員会の開会を要求しています。総理出席の集中審議が不可欠であることを申し上げ、以下、法案について法務大臣に質問します。
関西電力の経営幹部が多額の金品を不正に受け取っていた原発マネーの還流疑惑が発覚しました。問題は、関電に限らず、日本を代表する企業で不祥事が相次いでいることです。日産自動車では、役員報酬の虚偽記載による特別背任事件が明らかになりました。東芝では、原発輸出の失敗による損失隠しの粉飾決算が行われていました。コーポレートガバナンスの強化が進められてきたはずのこれら企業で、不正が正されることはありませんでした。
本法案は、こうした不祥事を防げなかった法制度上の不備を十分検証した上で提出されたものなのですか。大臣、御答弁ください。
本法案は、上場企業等に社外取締役の設置を義務付けるものとしています。しかし、衆議院で株主の権利弁護団事務局長の前川拓郎参考人が述べたように、社外取締役が会社ぐるみの不祥事に対する抑止効果を発揮した事例はほとんどありません。そのことをどう認識していますか。
桜を見る会前夜祭の会場として話題になっている都内のホテルは、首相秘書官の叔父である元経団連会長が社外から取締役として選定されています。前夜祭の不明瞭な会計処理について国民の疑念に答えるなど、社外取締役には、外部の視点から企業経営をチェックし、企業の社会的責任を果たす上でも役割を果たすことが求められると考えますが、大臣の認識を伺います。
株主提案権の濫用的な行使を制限する規定について伺います。
我が党も賛成した衆議院での修正により、株主提案を内容によって制限する規定は本法案から削除されました。当然の措置です。
一方、株主提案ができる数を制限する規定は残されたままです。しかし、株主提案の数による濫用事例は極めてまれで、七年ないし八年も遡るケースしかありません。政府は衆議院で、潜在的な濫用があるなどと答弁していますが、株主提案権の濫用に当たるどのような具体的事実があるのですか。それらは民法の一般的な権利濫用規定では規制できないのですか。お答えください。
同様に、議決権行使書面の閲覧を制限する規定についても、立法事実を具体的に明らかにするよう答弁を求めます。
少数株主が自分たちの提案に賛同する株主を募ろうとする際など、他の株主の議決権行使書面を閲覧謄写請求することが活用されております。ところが、衆議院の審議では、謄写、つまりコピーさえも拒否し、写経のように手書きで写させる企業の実態が明らかになりました。
株主提案を実効あるものとするためにも、議決権行使書面の閲覧制度は有意義であり、株式会社と株主との健全な対話、ひいては株式会社の民主的運営に資するものです。株主による閲覧や謄写を容易にすることこそ必要であり、制限する必要はないのではありませんか。
会社役員が巨額の金品を受け取っていた関西電力では、取締役報酬の個別開示は行われていません。しかし、関電では、この四年、毎年一億円以上、一人当たり平均一千万円以上報酬が増額され、二〇一八年には業績連動報酬も付与されています。こうした中、今年の同社株主総会では、大阪市と京都市が共同で提出した取締役報酬の個別開示の株主提案が四三%もの高い賛同を得ました。個別開示を求める株主の要求が高まっています。ところが、法制審議会の検討部会では、当初議論されていた役員報酬の個別開示が検討課題から外されてしまいました。
大臣は、取締役報酬の個別開示の必要性について、どう認識していますか。法制審議会部会は、経済界の圧力に屈して個別開示規定を見送ったのではありませんか。個々の株式会社が個別開示を行うことは、経営の透明化や取締役報酬の適切性を検証する上でも必要なことであり、政府として促進すべきなのではありませんか。答弁を求めます。
会社補償と保険契約について質問します。
これらの規定は、取締役が損害賠償請求や株主代表訴訟などを提起された場合に、本来は取締役が支払うべき訴訟費用や賠償費用を株式会社に肩代わりさせるものです。株式会社と取締役との利益相反性が顕著なために、わざわざ利益相反禁止の除外規定まで設けられています。経済界でさえ積極的には賛成していません。にもかかわらず、導入を急ぐ理由がどこにあるのですか。誰からの要求で、誰のために会社補償と保険契約を導入するのですか。答弁を求めます。
最後に、会社は誰のものかについて、基本認識を伺います。
大臣は、会社とは取締役と株主、中でも大口の投資家のものとお考えですか。本法案は、株主総会に掛かる手間をなるべく省こうとする一方で、業績連動報酬の拡大に見られるように、取締役に持ち株を勧め、個人的利益の追求に駆り立てる内容に偏り過ぎています。株主利益のみでなく、従業員、労働組合、取引先企業など、全てのステークホルダーの利益を考慮し、同時に、企業に社会的責任を果たさせる方向性こそ重要ではありませんか。大臣の答弁を求め、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣森まさこ君登壇、拍手〕
○国務大臣(森まさこ君) 山添拓議員にお答え申し上げます。
まず、企業における不祥事と改正法案との関係についてお尋ねがありました。
改正法案の内容は、法制審議会において取りまとめられた要綱を踏まえたものであり、企業における特定の具体的事案に対応すること自体を目的としたものではありませんが、改正法案の提出に至るまでの過程では、企業で不祥事が生じていること等も踏まえた議論がされたものと理解しております。
次に、社外取締役の不祥事の抑止についてお尋ねがありました。
企業の不正を防止し、その業務の適正を確保するための体制を整備するに当たっては、法制度を整えるだけでは不十分であり、法制度の趣旨に即してこれを実質的に機能させることが重要であると考えております。また、社外取締役による監督の実効性を高めるためには、期待される役割を適切に遂行することができる知見と経験を兼ね備えた者を社外取締役に選任することや、社外取締役の機能が発揮しやすい環境を整備するなどの運用面での取組が重要であると考えております。
次に、社外取締役の役割についてお尋ねがありました。
まず、個別の事案に関する事柄についてはお答えを差し控えさせていただきますが、その上で、一般論として申し上げますと、社外取締役には、少数株主を含む全ての株主に共通する株主の共同の利益を代弁する立場にある者として、業務執行者から独立した立場で会社経営の監督を行い、また、経営者あるいは支配株主と少数株主との利益相反の監督を行うという役割を果たすことが期待されているものと考えております。
次に、潜在的な株主提案権の濫用事案についてお尋ねがありました。
株主提案権の濫用事案については、裁判等となり、法律雑誌等に公刊されているもののほか、潜在的な事案があるものと考えております。現に経済界からは、株主提案権が濫用的に行使されている事例があり、対応に苦慮しているという指摘がされております。
これらの事案についても、民法の権利濫用法理によって規制することは可能であると考えられますが、個別具体的な事案において、取締役等が当該提案権の行使が権利の濫用であると判断することは困難な面があると考えております。
次に、議決権行使書面の閲覧等に関する規律の見直しについてお尋ねがありました。
議決権行使書面については、株主名簿と同様に、株主の住所等が記載されていることが多く、株主名簿の閲覧等をすることができない場合に、その代わりとして議決権行使書面の閲覧等の請求がされているのではないかとの指摘がされております。
株主の住所等がそのプライバシーに属する事柄である等を踏まえると、議決権行使書面の閲覧等についても、株主の権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で閲覧等の請求がされた場合など、株主名簿の閲覧等の拒絶事由に当たるような状況がある場合には、これを拒絶することができることを明確化することが相当であると考えております。
なお、議決権行使書面の閲覧等の在り方については、実務における運用状況や各方面での議論の状況を注視し、必要な検討をしてまいりたいと考えております。
次に、取締役の個人別の報酬額の開示についてお尋ねがありました。
我が国における取締役の報酬等の額は、欧米と比べれば低い水準にあるとされており、取締役の個人別の報酬等の内容を開示させる意義は必ずしも大きくないと考えられることや、取締役のプライバシーに関する事柄であることなどを考慮し、法制審議会会社法制部会で取りまとめられた要綱においては、取締役の個人別の報酬等の内容について開示を義務付けることとはされなかったものと承知しております。
もっとも、取締役の報酬に関する開示の在り方については、改正法案が成立した場合には、その施行状況等も注視した上で、今後とも関係省庁と連携して必要な検討をしてまいりたいと考えております。
次に、会社補償及び会社役員賠償責任保険に関する規律についてお尋ねがありました。
会社補償及びDアンドO保険については、その構造上、役員と会社との利益が相反する側面があること等に鑑み、利益相反取引規制との関係を整理し、規律を明確化する必要があるとの指摘が学界等からされてきました。
そこで、法制審議会での議論も踏まえ、改正法案においてこれらに関する規律を設けることとしました。
また、改正法案において、会社補償及び会社役員賠償責任保険に関する規律を設けることで、会社補償やDアンドO保険の適正な運用が確保されれば、役員等が萎縮することなく果断な経営判断を適切に行っていくことができることとなり、役員等や株式会社の利益となるものと考えております。
最後に、株式会社の所有者についてお尋ねがありました。
一般に、株式会社は資本の出資者である株主が所有するものであると理解されていると承知しておりますが、そして、株式の利益に資するよう、株式会社が持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現することが期待されております。
株式会社の企業価値が向上を達成すれば、従業員その他のステークホルダーの利益にもつながるものと考えております。(拍手)
〔国務大臣菅義偉君登壇、拍手〕
○国務大臣(菅義偉君) 桜を見る会の招待者選定プロセスについてお尋ねがありました。
桜を見る会の招待者については、いただいた推薦を基に、最終的に内閣官房及び内閣府において取りまとめを行っているところです。
個々の招待者については、招待されたかどうかも含めて、個人に関する情報であるため従来から回答を差し控えさせていただいております。
いずれにしろ、桜を見る会については様々な御指摘をいただいているところであり、今後、招待基準の明確化や招待プロセスの透明化を検討し、予算や招待人数も含めて全般的に見直しを幅広く意見を聞きながら行ってまいります。
桜を見る会の名簿についてお尋ねがありました。
行政文書の保存期間については、公文書管理法等に基づき、具体的な事務の性質、内容等に応じ、各省庁において適切に設定することといたしております。
桜を見る会の招待者については、いただいた推薦者の基に、内閣官房、内閣府において取りまとめを行っておりますが、その際、内閣総務官室が取りまとめる名簿については、会の終了をもって使用目的を終えることに加え、それを全て保存すれば個人情報を含んだ膨大な量の文書を適切に管理する必要が生じてくることもあり、従前から保存期間一年未満文書として遅滞なく廃棄することとしております。
したがって、あらかじめ決められた手続に沿って廃棄したものであり、組織的な隠蔽との御指摘は当たりません。
桜を見る会の招待者数の根拠等についてお尋ねがありました。
本年の桜を見る会の招待人数の概数については、名簿のない中、国会からの御要請に基づき、内閣官房及び内閣府の事務方から聞き取りを行って御報告したものであります。
また、お尋ねの平成二十六年の人数については、名簿も既に廃棄しているために、現時点で確認はできませんが、関係者からの聞き取りの結果等を踏まえ、総理、長官等推薦者となっているものの中には自民党関係者の推薦も入っているのではないかと思われる、こう述べたものであります。(拍手)

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