山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2020年・第201通常国会

決算委員会で、住民基本台帳に載っていない者への一律10万円給付について質問しました

要約
  • 決算委員会で、住民基本台帳に載っていない者への一律10万円給付について質問しました。 ネカフェ難民や生保申請中など、登録に必要な住居が決まらず、ホテル暮らしが続く方も。高市大臣は「建物所有者の同意があれば登録ができるように」とあくまで住基登録に固執した答弁に終始しました。

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
 総務大臣に伺います。
 一律一人十万円の特別定額給付金は、いち早く分かりやすい支給をという世論の力が実現させたもので、収入の変化や家族構成による区別はありません。新型コロナの緊急事態宣言の下で、日本に住む全ての人が暮らしに影響を受ける中、感染拡大防止に協力する全ての人に分け隔てなく届ける、簡易な仕組みで迅速、的確にと。住民基本台帳への記録のある人を対象とするのもこの趣旨からだということでよろしいですね。
○国務大臣(高市早苗君) 新型インフルエンザ等対策特別措置法の緊急事態宣言の下、人々が連帯して一致団結し、見えざる敵との闘いという国難を克服しなければならないということを踏まえて、簡素な仕組みで迅速かつ的確に家計への支援を行うこととし、日本に住民登録されている皆様を対象に一律に一人当たり十万円を給付するというものでございます。
○山添拓君 ですから、住民基本台帳に載っているということが重要だというよりも、的確、迅速に届けていく、その手段としてひとまず住基を使うということだろうと思います。
 ちなみに、いわゆる無戸籍者、離婚後に新しいパートナーとの間に子供が生まれた場合などには多いわけですが、こうした戸籍のない方の場合には、住民基本台帳に記録がなくても給付対象としていますね。
○国務大臣(高市早苗君) そのとおりでございます。
○山添拓君 つまり、住基に記録があるかどうかというのは絶対の給付条件ではないということです。
 ホームレス状態にある方についても住基に記録がないケースが多いです。こうした場合には、市区町村の窓口で住民登録すれば受給できるというのが総務省の見解です。ところが、その住民登録ができない実態があります。
 東京都は、ネットカフェの休業などで住まいを失った人向けに、ビジネスホテルを借り上げて一時的な宿泊場所として提供しています。これ自体は大変大事な取組なんですが、しかし、ホテルからアパートに移行する、これはなかなか進んでいないわけです。五月十日の時点でホテルの利用者は延べ八百八十一人、このうち、東京都が行っているチャレンジネットという支援の仕組み、これを経由した方が四百二十九人、あるいは区市を経由して生活保護を申請している方、これは四百五十二人だと伺っています。この中でアパートに移れた方はごく僅かなんですね。
 厚労省にまず伺いたいのですが、住居確保が進まず、アパートへの移行など、それを支援するための生活相談あるいは法律相談の体制も十分ではないという状況があります。改善策が必要だと思うんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(辺見聡君) お答え申し上げます。
 今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う緊急事態宣言の発出に当たりまして、各自治体に対しまして、居住が不安定な方の一時的な居所の確保についてお願いをしてきたところでございます。
 さらに、こうした方々の住居確保の支援策として、生活保護受給者に対しては、アパート等での生活が可能な場合には住宅扶助による敷金等を支給、宿泊所などに滞在する生活保護受給者に対しては、居宅生活への移行、定着を支援する居宅生活移行支援総合事業の実施、生活困窮者自立支援制度に基づく一時生活支援事業による一時的な宿泊場所の確保やアパート等への入居支援、離職等による、経済的に困窮し、住居を失うおそれがある方々に対しては住居確保給付金の支給、こういった施策を講じるとともに、住居確保給付金の支給対象の拡大を行うなどの取組を実施してきているところでございます。
 厚生労働省といたしましては、新型コロナウイルスの感染状況を注視しつつ、ホテル等に滞在せざるを得ない方々への住居の確保の支援、そのための相談体制について引き続き自治体等との連携を深めつつ、必要な取組を進めてまいりたいと考えているところでございます。
○山添拓君 ありがとうございます。
 今回、かなり厚労省がいろんな取組を進めていただいているということは私も現場の皆さんからも伺っています。ただ、自治体によっては、無料低額宿泊所を案内しているところもあります。相部屋で大人数で三密が回避できないわけです。厚労省は原則個室でと、こういう事務連絡を発していますが、その後も相部屋へ誘導するという自治体もあると伺っておりますし、やっぱり感染防止の趣旨に沿った居宅確保に国としても支援を検討するように改めて求めたいと思います。
 私が話を伺った方は、派遣の仕事をされていましたが、既に一月から徐々に減ってきたと、三月には週一回あればいいぐらいという状況になったと。ネットカフェ生活をして、所持金百二十円、そのネットカフェも休業する状況で相談につながり、四月十日に東京都の用意したホテルに移ることができました。しかし、いまだにホテルのままなんですね。今月末まで滞在期間が延長されております。しかし、この方、現状は七社に登録をして、派遣の仕事は週に一日半から二日がやっとだと。仕事がなければ、仮にアパートに移れることになったとしても、当面の初期費用あるいは食費、こうしたものを払っていくことができないと。ですから、こういう方はこの十万円の現金給付、本当に重要なんですね。しかし、この方は、住民票は以前住んでいた遠方に、東北のある県なんですが、置いています。移すためには、東京で住居を決めてくれと言われると。しかし、住居は決まらないわけです。
 あるいは、この方とは別の生活保護申請者の場合は、自分でアパートを探さなければなりませんが、外出自粛が求められている中で部屋探しをせよというのは、それ自体矛盾があると思います。
 ホテルでの滞在が一定期間続く、そういう方がかなりおられる見込みです。一般的にはホテルで住民登録をするというのは難しいでしょう。しかし、こういう方こそ、十万円の給付、最も必要とされている方だと思うんですね。大臣、どうやって届けますか。
○国務大臣(高市早苗君) 特別定額給付金は、仕組みの簡素化、給付の有無の確認、二重給付の防止を図る観点から、住民基本台帳の情報に基づき給付を行うことといたしております。こうした趣旨でございますので、先ほど委員がおっしゃった無戸籍の方にしても、またいわゆるホームレスの人、それからネットカフェで生活をしておられる人につきましても、いずれの市区町村にもこの住民登録がないという場合には、まずは現在滞在している市区町村において住所の認定を受けて住民登録されることが必要だと考えております。
 東京都のお取組についても言及されましたけれども、東京都が確保した緊急的な一時宿泊場所などについて、この当該宿泊場所の管理者の同意の上で、個別具体の事案に即して、当該施設が所在する市区町村長が生活の本拠たる住所として認定できると判断した場合には住民登録が行えます。また、自立支援センターの場所が、そこが住所地として認定されるケースもございます。また、TOKYOチャレンジネットにも問合せをしてみましたけれども、ホテルからアパートに移られた段階で住民登録を行う、そして給付が可能だということを聞いております。
 各自治体や支援団体としっかり連携して、住民登録がない方には円滑に住民登録を受けていただいて、給付金を受けていただけるような取組を進めてまいりたいと存じます。
○山添拓君 東京の状況についても確認をいただいて、ありがとうございます。
 これ、住居を確保できないのは本人の責任ではないんですよね。生活保護の申請者であれ、チャレンジネットであれ、誰がどこに滞在しているかというのは自治体としては把握をされています。二重払いや過誤払というのは自治体の側で防ぐことができるだろうと思います。ですから、住基に載っていなくても給付を認める、場合によっては自治体の判断でそうしたことも可能にしていく、そういう検討も進めていくべきだと思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。
○国務大臣(高市早苗君) それは、先ほども申し上げましたとおり、住民基本台帳への登録を前提とさせていただいております。これは緊急的な措置ではありますけれども、しかしながら、これ国債を発行したとしても結局は皆様方の貴重な税金でもございますので、二重払いの排除ですとかしっかりとした本人確認というのは、これは必要だと考えております。
 できるだけこの住民登録をしていただきやすい環境をつくるために、今総務省の給付金本部でも、地方自治体と連携しながら全力を挙げて取り組んでいるところでございます。
○山添拓君 なかなかそこが固いわけですけれども、しかし、住民登録ができないケースが出てきていると。今ホテルでも構わないというような話もあって、まあ宿泊先の同意があればそうしたケースもあるかもしれませんけれども、なかなかそうはいかない状況があると。そうした場合には柔軟な対応も可能なように、是非都道府県、自治体とも協議をしていただきたいということは申し上げておきたいと思います。
 住基に登録、記録をされない外国人についても問題が生じています。
 例えば難民認定申請中の方です。日本の審査は異常なほど時間が掛かります。一年、二年は当たり前です。場合によっては十年以上、長期にわたる下で、家族や支援者に支えられながら日本社会で生活をしている方々がおられます。もちろんそれは違法滞在ではありません。
 難民申請中で十万円の給付対象となるのはどのような場合でしょうか。
○政府参考人(前田一浩君) お答え申し上げます。
 特別定額給付金は、新型インフルエンザ等特別対策措置法の緊急事態宣言の下、人々が連帯し、一致団結して見えざる敵との闘いという国難を克服しなければならないことを踏まえまして、全国全ての皆様を対象に一律一人当たり十万円を給付することとされているものでございます。その趣旨を踏まえまして、日本国内に在住する外国人の方につきましても、基準日、具体的には四月の二十七日でございますが、住民基本台帳に記録されている方について給付対象とすることとしております。
 お尋ねの難民認定申請中の方についてでございますが、一時庇護許可者や仮滞在許可者である場合や、三か月を超えた在留期間が決定された方である場合には住民基本台帳に記録されることから、給付対象者となるものでございます。
○山添拓君 難民認定申請中の方でも一定の場合は認められるわけですが、しかし、それはごく一部ですね。
 今、日本には約一万四百人の難民申請者がおられますが、一時庇護や仮滞在が許可されているのは三百名に満たない数です。多くの場合は三か月以下の短期の在留資格を繰り返し更新をし、それが二十年以上にわたるという方もいます。
 住基に記録がなくても、入管は居住地を把握しているわけです。法律上、住基の対象ではないというだけで十万円給付の対象外としてよいのかどうかと、これ、私は問われると思います。
 入管施設での感染拡大を防止するために仮放免が積極的に行われています。それ自体は重要なことです。しかし、仮放免中の場合は、家賃や生活費、当然必要になりますけれども、就労が認められておりません。ふだんであれば教会などの支援団体が支えていますが、感染防止のために礼拝が取りやめとなって、支援が途絶えています。病気になれば通院が必要ですが、生活保護も受けられず、保険に入れませんので、一回に数万円掛かると、そういう方もいます。
 入管は、本人が同意をすれば仮放免中の滞在先について自治体に伝えているのではないかと思いますが、それは何のためでしょうか。法務省、伺います。
○政府参考人(石岡邦章君) お答え申し上げます。
 法務省におきましては、仮放免を許可するに当たりまして、原則として仮放免の許可を受けようとする被仮放免者の住居を指定した上で許可をしております。そして、この仮放免者の住居につきましては、被仮放免者の同意が得られた場合は、仮放免の際に市町村に対して通知をしておるところでございます。
○山添拓君 それは何のためですか。
○政府参考人(石岡邦章君) 法務省におきましては、被仮放免者の同意が得られた場合通知しておるところで、住居を通知しておるところでございますが、これは、それぞれの市町村におきまして、それに基づきまして適切に様々な形でそれを利用されるものと承知しております。
○山添拓君 二〇〇九年、平成二十一年の改正法の附則六十条で、行政上の便宜を受けられることとなるようにするという観点からこういう仕組みをつくったんだと、こういうことでよろしいですね。
○政府参考人(石岡邦章君) お答え申し上げます。
 我々が通知した上で、その情報に基づきまして、市町村で市町村が行っている様々な行政サービス等、それにつきまして適切な形で市町村が活用しているものと承知しておるところでございます。
○山添拓君 行政上の便宜を考慮して伝えているわけです。今回のような事態にこそ行政上の便宜が図られるように、十万円の給付も受けられるようにするべきだと考えます。
 総務省のホームページにありますQアンドAでは、住民基本台帳に記録されている外国人は給付対象者となりますと、こう書かれておりますが、これは何も法律でそう決まっているわけではありません。一つの政治的な判断です。
 法律上、住基に記録されている場合でなくても、長年にわたって日本に住んで、そして今、コロナの影響を強く受けて困難に直面している方々がおられます。これ、最も給付を必要としている方だと思います。外国人コミュニティーが地域の一環を成しているところもあります。国の判断があれば自治体としても給付できるようしていきたいと、こう考えているところもあると伺っていますし、支援団体からも強い要請があります。
 大臣、改めて伺いますけれども、難民認定の申請中の方や仮放免中の方、こうした方も受給対象としていく、そのためのいろんな仕組みを使いながら、二重払いや過誤払が起こらないように、いろんな情報あるわけですから、給付対象とできるようにしていくべきではないでしょうか。
○国務大臣(高市早苗君) 今回の特別定額給付金は、法律事項ではなく予算措置でございます。そして、貴重な税金を使わせていただく事業でございます。
 まず、先ほど来、仮放免者についておっしゃっていますけれども、この在留資格のない仮放免者というのは不法滞在状態となっておりますので、実態として三か月を超えて日本に在留しているとしても、これらの外国人については住民基本台帳には記録されず、給付対象者とはなりません。
 また、難民認定申請を行って当初の方については、難民認定制度上、一律に中長期の在留期間を付与することが適当ではないとされていますので、特段の事情がなければ三か月以下の在留期間が決定されるということになります。ただ、この難民認定制度そのものはもう法務省で定められているものでございますので、法務省の方に聞いていただけたらと思います。
 今回の特別定額給付金については、一定のルールを定める上で、今までに申し上げたような判断にさせていただきました。
○山添拓君 仮放免中の方は不法に滞在しているわけじゃないですよ。仮放免中は滞在することを認められるわけですから、少なくともですね、それによって何かとがめられるという話じゃないわけですよ。
 しかも、今回の十万円の給付というのは、例えば受刑者であっても認められるんですよね、届くようにするわけですよ。そこで区別をするというのは、これは私はちょっと不当なんではないかと思いますし、今、難民認定申請中の方は三か月以下の短期の在留資格になると、ならば否定されるんだと、給付の対象にならないんだと、こうおっしゃるわけですけれども、住民基本台帳に載る場合には対象となっているわけです。そして、その中には、一時庇護者、仮滞在許可者、これ、もっと短い滞在期間の方だっているわけですよ。空港で難民認定の申請をして、直ちに一時庇護が認められるケースもあるんですね。ですから、余り期間という問題ではないと思うんです。住基に記録があるということに固執をする理由はないと思います。
 最初に大臣答弁されたように、無戸籍者、住民基本台帳に記録がなくても給付できるようにする、こういう対応をされているじゃありませんか。日本に住んで、今自粛要請に応じて感染拡大防止に協力している方たちです。仮放免を積極的に進める、法務省はそういう対応、入管は取っているわけですね。仮放免を進めて、市中で、町中で暮らしてくれと、こう言っておきながら、就労は認めずに十万円の給付からも外す、それでは私は日本政府としての姿勢が問われると思います。
 大臣、もう一度答弁いただけますか。
○国務大臣(高市早苗君) 病気とかその他やむを得ない事情がある場合に、一時的に収容を停止して例外的に身柄の拘束を解くための措置が仮放免だと思って、仮放免でございますので、逃亡、逃亡ですとか条件違反の場合にはこの仮放免の取消しが可能でございます。合法的に滞在しておられる外国人に対しては、きちっと給付金を給付するということでございます。
○山添拓君 大臣、今、仮放免は入管施設内での感染拡大を防止するために積極的に行われているんですよ。病気の治療のためというだけではなく、感染拡大防止という観点で行われている、その趣旨を踏まえて十万円の給付を実現していくようにしていただきたい。住基に載っているかどうかということで硬直的に判断するのではない運用を重ねてお願いを申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございます。

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