山添 拓 参議院議員・日本共産党

国会報告

2021年・第204通常国会

法務委員会で、裁判所職員の定員について質問しました

要約
  • 裁判所職員の超過勤務は、2019年導入の超勤上限に合わせた時間の自己申告制により、残業代不払いが増えている現状を示し、勤務実態を客観的かつ正確に把握するべきと質問。

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
 裁判所職員定員法改定案について伺います。
 裁判官以外の裁判所の職員を十七名減員するものです。昨年に続いて過去最大の減員人数となります。
 政府は二〇一四年七月二十五日、総人件費抑制の基本方針を閣議決定し、一九年六月には、二〇年度から二四年度についても毎年二%、五年で一〇%以上の定員合理化目標を各省に求めています。これ自体、定員削減ありきで大問題ですが、本法案は最高裁がこれに自ら協力するものとなっています。
 資料をお配りしておりますが、その根拠はこのペーパーだということであります。一四年七月二十五日付け、内閣官房長官から最高裁事務総長宛ての文書です。これを読みますと、最後のところですが、閣議決定したので御協力願いたく、参考までに送付するというふうにあるだけなんですね。
 最高裁に伺いますが、最高裁はこれを受けて、いかなる検討を行って定員合理化計画への協力を決めたんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) お答え申し上げます。
 裁判所は行政機関ではございませんので、政府の定員合理化計画に直ちに拘束されるということではございません。
 しかしながら、国家公務員の定員をめぐる情勢が厳しさを増す中で、引き続き裁判所としての必要な体制を整備していくためには、今委員から御指摘のありました政府からの協力依頼を踏まえまして、国家の一機関といたしまして、他の行政官庁と同様に、事務の効率化等必要な内部努力を行って定員合理化に協力することは必要であるというふうに考えたところでございまして、そのような検討をして、従前から定員の合理化の方針に協力をしているというところでございます。
○山添拓君 その検討経過についての記録、文書はありますか。
○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) 様々な面から裁判所の体制について内部的な検討を重ねておりますので、それを、これがその代表的な文書ですと言えるようなものの形にはなっておらないというふうに思っております。
○山添拓君 ここには、たった一言ですよ、参考までに送るとあるだけなんですよね。その参考までに送られた協力要請にやすやすと従うというのは、これは三権分立との関係でも問題があると言わなければなりません。
 最高裁内部での検討経過について、国会に明らかにしていただきたいと思うんです。委員長、お取り計らいいただきたい。
○委員長(山本香苗君) 後刻理事会で協議いたします。
○山添拓君 最高裁に伺いますが、この協力要請がある限りどこまでも人員削減を進めるおつもりなんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) 裁判所として必要な体制整備、事件処理に支障があるようなことはあってはなりませんので、その年々の状況に応じてどのような体制を整備していくべきかというのは裁判所が自主的、自律的に判断をさせていただいております。ですので、その下で、定員合理化に協力をするのかしないのか、その範囲をどうすべきかということは毎年判断をさせていただきたいというふうに考えております。
○山添拓君 定員合理化に協力しない場合もあると答弁されたのは重要だと思います。
 一九年度まで毎年約七十人だった減員数は、昨年度は五十七人、今年度は五十六人と減ってきています。これは全体人数が減り続けている結果でもあります。地方庁から大規模庁への人員シフトによって、地方はもう限界だという声も上がっております。だから、減員にも限界があるわけですよね。減員ありきは見直すべきだということを指摘させていただきたいと思います。
 今、事件処理に支障を来さないようにと説明ありました。では、裁判の現状はどうなのかと。
 資料の二枚目を御覧ください。
 過去六年間、全国の第一審、地裁の一般事件、行政事件の新受件数、既済件数、未済件数をグラフにしました。新受件数は全体として減っております。ところが、未済件数は、一五年の十万二千七百九十四件から二〇年の十一万七千二百四十九件へ一割以上増えています。
 これは、書記官や事務官、もっと増員することが求められているんじゃないんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) お答え申し上げます。
 今委員御指摘の、委員の資料の二〇二〇年のところで未済事件、黄色のところが一割以上増加をしております。これ、増加自体はそのとおりでございますけれども、これは基本的に新型コロナウイルス感染症に起因するものと考えております。令和二年、昨年の緊急事態宣言時におきまして、裁判所として必要な機能を維持できる範囲に業務を縮小するということをした結果として、民事・行政事件の未済件数が増加をしたというところでございますけれども、昨年の緊急事態宣言が解除された後は、感染防止対策を徹底しつつ、事件処理を再開し、ウエブ会議ですとか電話会議等を積極的に活用するなどの工夫をすることで事件処理を行ってきたところでございます。
 本年一月に再度緊急事態宣言が出されましたけれども、この際には、裁判所におきまして、昨年の四月の緊急事態宣言時の対応の経験も踏まえまして、裁判運営の見直し、あるいは運用改善の取組を進めた上、さらに、専門家の助言を得て、公衆衛生学等の専門的知見に基づいて、感染リスク態様に応じた感染防止策を実効的に実施をしてきたところでございまして、こういった状況が前回の緊急事態宣言時とは大きく異なる状況でしたので、効果的な感染防止対策を徹底しつつ、裁判手続の運用上の工夫を行うことによって、できる限り通常どおりの裁判業務を継続していくという方針で今行っているところで、本年についてはそういう対応をしたところでございます。
 ですので、緊急事態宣言の対象地域に所在する裁判所におきましても、原則どおり、通常どおりの裁判業務を継続してきておりますので、これによって未済事件は次第に減少に向かうと、もう既に平常の体制に戻っているところもございますけれども、なお残っているところにつきましても、そう遠くないところで通常の状態に戻るのではないかというふうに考えているところでございます。
○山添拓君 密を避けることのできる広い部屋が限られているために、労働審判なども含めて出席者の多い事件で期日がなかなか入らないと、こういう状況があるということは私も伺っております。
 ただ、未済件数の増加、あるいは未済の割合の増加というのはコロナ前からの傾向でもあるわけです。これは国民の裁判を受ける権利の問題であり、定員削減が裁判部門に影響を及ぼしていないのかどうか、この点については直視をするべきだと言わなければなりません。
 全司法労働組合など、職場からは増員要求が出されています。最高裁は支障は生じていないとおっしゃっているんですが、それは職場の実態を正確につかんでいないからではないかと思われる点が幾つかあります。
 先ほども話が出ておりましたが、裁判所職員の超過勤務、これ客観的に把握しているのかと清水委員が指摘をされて、明確な答弁なかったんですが、基本的には事前の自己申告制ですよね。毎日午後四時頃に業務の状況を見て、残業が必要な場合は管理職に申告し、現に働いていることを管理職は確認した時間を超過勤務時間とすると、そういう運用がされていると伺っています。
 しかし、現場では、二〇一九年に導入された超勤の上限に合わせた時間しか申告せずに、部内で見事にそろった超勤時間の申告になっているということを伺っています。あるいは、子育て中などで残業ができない職員は、朝、早出残業をする場合がありますが、そのときは事前申告はできませんので、不払になっているということであります。
 最高裁に伺いますが、こういう状況は認識されているんでしょうか。勤務時間はパソコンのログオン、ログオフ時間などで客観的に把握をするべきなのではないでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(徳岡治君) お答えを申し上げます。
 裁判所職員の超過勤務につきましては、職員が事前に超過勤務について申告をし、管理職員が超過勤務の必要性や緊急性を個別具体的に判断し、所要の見込み時間と実際の超過勤務時間が異なった場合には、職員に事後報告してもらい確認するなどの方法により適切な把握に努めているところでございます。また、管理職員からは、事前の申告等について職員に対し声掛け等も行っているところでございます。また、始業時刻前の超過勤務につきましても、終業時刻後の超過勤務と同様に適切に把握する必要がありまして、今申し上げたような方法により適切な把握に努めているところでございます。
 今後とも職員の超過勤務の適切な把握に努めてまいりたいと考えております。
○山添拓君 客観的に把握するべきではないかという指摘についてはいかがですか。
○最高裁判所長官代理者(徳岡治君) お答え申し上げます。
 サービス残業のようなことはあってはならないことでございまして、今後とも職員の超過勤務の適切な把握に努めてまいりたいと存じております。
○山添拓君 適切なとしかおっしゃらないんですけど、この間、例えば河野大臣は、国家公務員がかなりサービス残業を強いられてきたということを認めて、在庁時間は超勤命令があったものとみなして時間を付ける、手当も支払うべきだと述べています。
 最高裁も同様にするべきではないですか。
○最高裁判所長官代理者(徳岡治君) お答え申し上げます。
 先ほど申し上げたとおり、管理職員が事前申告に基づき超過勤務の必要性や緊急性を個別具体的に判断する、また、所要の見込み時間と実際の超過時間、勤務時間が異なった場合には、職員に事後報告をしてもらい確認するなどの方法によりまして、今後とも適切な把握に努めたいと考えております。
○山添拓君 裁判所の職員には一般職の職員に関する給与法が準用されます。その二十五条では手当の不払は罰則の対象とされています。ですから、少なくともまず勤務実態を正確に把握する、客観的に勤務時間を把握できるようにする、これ民間ではもう当たり前に求められていることですので、そうするべきだと指摘したいと思います。
 今回の法案の資料を見ますと、背景には裁判手続のIT化の推進が掲げられています。先ほども議論出ていましたが、ウエブ化、ウエブ会議の拡大、あるいは書面の電子提出、法改正も含めて検討されておりますが、少なくともIT化というのはこれから始まるものであって、現時点ではその影響や効果を見定めるのは困難な状況ではないかと思います。
 確認ですけれども、本法案はIT化によって事務処理体制を見直すから定員削減が可能だと、そういう趣旨なんですか。
○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) お答え申し上げます。
 裁判手続のIT化が進んでいけば、これに伴って事務処理のやり方自体を変えていくというところで、ある局面においては結果として業務の合理化が図られるということはあり得ると思っておりますけれども、現時点ではまだそのIT化が、一部取り組んではおりますけれども、全体として結果が、そういう体制になっておりませんので、IT化ができたのでそれに伴って合理化でこれだけ定員を削減しますと、こういうことではないというのは委員の御指摘のとおりでございます。
○山添拓君 IT化を進めるとしても、導入期には一定の業務量の増加が見込まれるということもありますので、定員削減を先行させるべきではありません。
 最後に、家裁調査官について伺います。
 今年度もプラス・マイナス・ゼロです。ワーク・ライフ・バランス推進のための加配職員も調査官には一度も配置されておりません。しかし、家裁調査官の役割はますます重要になっています。この委員会でも、父母の離婚に当たって面会交流や監護、親権者の指定など、問題繰り返し指摘されてきました。いずれも調査官による調査が行われるケースがあります。
 そこで伺いますが、調査官が活用されるケースでは、どのような手法でどのような事実に基づいて調査検討を行っているのでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) お答え申し上げます。
 例えば面会交流に関する調停事件を取り上げてみますと、ここでは子の利益を最も優先して考慮して取決めがされるべきものでございまして、家庭裁判所におきましては、子の利益を適切に考慮するに当たり、事案の必要に応じて行動科学の専門的知見及び技法を有する家庭裁判所調査官による事実の調査が行われていると承知しております。
 具体的には、事案に応じても異なるところでございますが、一般には、家庭裁判所調査官が同居親及び別居親の双方と面接し、それぞれの意向や子との関係、子の現状等を聴取いたしますとともに、その結果も踏まえ、子の意思を丁寧に把握するよう努めているものと承知しております。
 子の面接調査を行う場合には、単に子から話を聞くだけではなく、行動科学の専門的知見や面接の技法を活用し、子の話しやすい環境を整えるとともに、子の表情やしぐさなど言葉以外の情報もよく観察しながら、子の意思を総合的に把握しているものと承知しております。
 また、親子が交流する機会を設けてその場面を観察するなどのこともございまして、事案等に応じ、調査の対象や方法などを検討、選択しながら適切に事実の調査を行っているものと承知しております。
○山添拓君 そうした専門的な技法あるいは経験も求められる仕事です。
 家事審判事件、家事調停事件、新受件数は一貫して増加をしております。やはり、現状維持ではなく増員に踏み出すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) お答え申し上げます。
 家裁調査官の職務の重要性は御指摘のとおりでございますけれども、最近の事件動向といたしましては、家事事件全体の事件数の増加傾向の主な要因は、成年後見関係事件が累積的に増加しているところによるものでございまして、この成年後見関係事件では家裁調査官の関与する場面というのは非常に限定的でございます。また、別の事情としては、少年事件の事件数がこの十年だけでも約三分の一程度にまで減少してきているというところでございます。
 家庭事件の中でも少年事件あるいは調停事件で家庭の関係をつぶさに見ていく必要があるというのは、それはそのとおりでございまして、確かにそういう意味では、行動科学の専門的知見を有する家裁調査官が繁忙であるがゆえにその関与が不十分になってしまうと、こういった事態はあってはならないというふうに考えておりますけれども、そういった点も含めて考慮した上で、全体のこの事件動向、事件処理状況からしますと、令和三年度におきましては現有人員の有効活用で適正迅速な処理を図ることができるというふうに考えたところでございます。
○委員長(山本香苗君) 時間が過ぎておりますので、おまとめください。
○山添拓君 大事な役割だということをお認めになりながら、そして繁忙だという可能性についても言及されながら増員をしないということでは、やはり心もとないと思うんです。調査官の社会的要請強まっていることを踏まえて増員を求めて、質疑を終わります。
 ありがとうございました。