山添 拓 参議院議員・日本共産党

国会報告

2021年・第204通常国会

資源エネ調査会でカーボンニュートラルに向けたエネルギー施策について参考人質疑。

要約
  • 資源エネ調査会でカーボンニュートラルに向けたエネルギー施策について参考人質疑。 再エネの普及に大切な地域分散、地産地消について山添拓 議員が問うと、松下和夫参考人は「ご指摘のとおり、大資本による大規模な事業というより、地域の資源、人材、技術を生かして地域主導で進めることが大事」

○参考人(松下和夫君) 京都大学の松下と申します。本日は、このような機会にお呼びいただきまして、ありがとうございました。(資料映写)
 私の方からは、二〇五〇年温室効果ガスネットゼロの課題は何かというテーマで報告をいたします。構成はこのようになっております。
 最初に、気候変動とコロナウイルスについて考えてみます。
 いずれの問題も人類の生存に関わり、国際社会が協調して取り組むべき重要問題であります。そして、経済のグローバリゼーションと都市集中がその背景にあります。二十一世紀に入りまして、SARS、MERSに続きまして、二十年間で三度目のパンデミックが起こっております。気候変動や無秩序な開発による生態系の変化、人と野生動物の距離の変化が要因と指摘されております。
 そして、社会の格差の拡大によって、貧困層や弱者への影響が大きくなっております。
 したがって、いずれの問題に対しても、高い危機意識と実効性のある対策が必要であります。
 気候変動とコロナウイルスの対策を比較をしてみますと、共通点としては、まず、信頼できる科学的知見。そして、生活、経済の在り方自体を大きく変える必要、国際社会による協調的対策が必要と。それから、大規模な財政出動が必要であります。
 一方、相違点としては、気候変動対策は、やり方によってはより質の高い、人々の幸福に貢献できる経済システムに移行することができます。一方で、コロナ対策は、場合によっては質の高い暮らしを犠牲にすることも必要となります。
 こうした観点から現在国際的に提唱されているのは、より良い回復、グリーンリカバリー、緑の復興策であります。
 国連では、コロナ禍の教訓を学び、より良い社会の構築、より平等でかつ包摂的でグリーンで強靱な社会、経済への移行を提唱しております。
 より良い社会の構築には、気候危機の回避が不可欠であります。そして、グリーンリカバリーとは、コロナ禍によって被害を受けた経済と社会を環境に配慮した低炭素で災害に強いレジリエントな社会、経済に移行することというふうに言われております。
 現在では、新しい国家の発展戦略としてゼロエミッションが取り上げられる潮流が起こっております。言わば、経済的にも脱温暖化を達成しないと生き残れないと、そういう脱炭素大競争時代が始まっているというふうに言えると思います。
 その先鞭を着けているのがEUであります。EUは、二〇一九年の十二月にヨーロピアングリーンディール、欧州グリーンディールを発表して、欧州を世界初の炭素中立の大陸にするということを標榜しております。ヨーロピアングリーンディールはEUの新しい成長戦略でありまして、温室効果ガスなどの排出を減らしながら雇用を創出していくと、そして持続可能な社会へ変革すると、そういう戦略とされています。
 それを裏付ける財政的裏付けが復興基金でありまして、トータルで一・八兆ユーロ、二百三十兆円に上る予算が計上されております。そのうち三〇%は気候変動に回されます。そして、欧州気候法案、それから国境炭素調整措置などを検討しております。
 欧州グリーンディールでは、二〇五〇年までに正味排出量ゼロを目標としておりまして、さらに、二〇三〇年の目標として、五五%削減への引上げを目指しております。そして、投資する案件が環境面から見て持続可能であることを明確化する規則として、グリーンタクソノミーを検討しております。
 そういった欧州の復興計画を支えるものが次世代EU復興基金と言われるものでして、これは、通常予算である多年度財政枠組みとは別に、言わばEU委員会が市場から、金融市場から債券を発行して七千五百億ユーロを調達するものです。通常の予算と合わせると一・八兆ユーロ、そのうち三〇%が気候変動対策に回されるということになっております。
 こういった、債券ですので償還が必要でありまして、その償還財源として、使い捨てプラスチック賦課金であるとか、あるいは炭素国境調整措置であるとか、EU排出量取引制度の対象部門拡大、デジタル課税等が検討されております。
 EUの議論を見てみますと、注目すべき点としては、まず第一は、成長戦略として脱炭素化が必要であるという認識があります。それから第二点目としては、そういった脱炭素時代の産業の姿を具体的に描いて、そこに至る道筋と政策手段を議論をしているということであります。
 それから、三点目としては、EUはこういったグリーンディールを進めることによってEUでやっている基準であるとかルールを国際化するということで、例えば、EUタクソノミーといった投資の持続性の基準ですが、それがESG投資の世界共通のグリーン定義、基準になっていくのではないか。
 それから、炭素国境措置については、EU以外の域外から入ってくる温暖化対策が取られていない製品に対して関税をするということでありますが、それを通じて域外の国に対して環境対策を迫るといったアプローチであります。
 それから、水素戦略ということで力を入れておりますが、水素に関する定義、基準について主導権を握ろうとしている、そういった傾向が見られるわけであります。
 次に、バイデン大統領のアメリカですが、バイデン大統領は、就任直後にパリ協定復帰を指示をしております。そして、非常に野心的な選挙公約を実現すべく、次々と手を打っております。
 選挙公約では、二〇五〇年までに経済全体で温室効果ガスネットゼロ排出、それから、二〇三五年までに電力部門から排出ゼロとしております。それから、持続可能なインフラとクリーンエネルギーへの投資として、八年間で二兆ドルといったことを発表しております。さらに、温室効果ガスの排出規制とインセンティブの再強化、環境正義の実現を目指しております。
 バイデン大統領の基本的なコンセプトは、気候政策を通じてクリーンな雇用をつくっていくということであります。したがって、インフラストラクチャー法案も、タイトルがアメリカン・ジョブズ・プランといったタイトルになっております。これは、先ほど言いましたように、八年間で二・三兆ドルと、これはGDPの毎年一%、そのうち気候変動関連が二五%から五〇%と、そういったふうに言われております。
 次の十三ページのスライドに続き、これは、バイデン大統領の気候変動政策ビジョンということで、言わば選挙公約であります。二〇五〇年までの経済全体のネットゼロ化に向けまして、様々な分野における脱炭素化投資について言及されております。
 全体としてこれまでのバイデン大統領の気候変動政策をどう評価するかということでありますが、相対的に見ると、過去のどの大統領と比べても野心的な内容となっております。実質的にはグリーンニューディールといった内容であろうと思います。
 それから、元国務長官であったジョン・ケリーさんを気候担当の大統領特使に任命する、あるいは元環境保護庁長官であったジーナ・マッカーシーさんを気候変動の国内調整担当の大統領補佐官に任命したといったことに見られるように、ホワイトハウス、それから全省庁を挙げて、非常に強力な布陣をしいております。
 一番最後のところを見てみますと、特徴的なことは、非常に政治的な実現性であるとかあるいは戦略性を持っておりまして、現在、共和党は、上院では共和党と民主党が議席が拮抗しておりますが、共和党上院の支持をしないという形で、行政命令であるとかを通じて政策を進めていると、それから、雇用とか生活改善に焦点を当てて国民の支持を得ようとしていると、そういうふうに評価できると思います。
 次に中国ですが、中国も、昨年九月の国連総会で習近平国家主席がCO2排出量を二〇三〇年までに減少させると、そして二〇六〇年までにCO2排出量ネットゼロにするということを表明しております。中国は世界最大のCO2排出国でありますので、この方向転換は非常に大きい意味があります。
 その後、二〇一二年の十二月には、GDP当たりのCO2排出量であるとかあるいは一次エネルギー消費量に占める非化石燃料、再生可能エネルギー等でありますが、割合であるとかあるいは風力発電と太陽光発電の設備容量を、目標を引き上げております。
 それから、今年の六月には、全国レベルで炭素排出権取引制度を、これを本格的に稼働するという予定となっております。
 それからさらに、中国では、いわゆるNEV、ニュー・エナジー・ビークル、まあ新エネルギー車という産業発展計画を出しておりまして、プラグインハイブリッド車、バッテリー電気自動車、燃料電池、これを新エネルギー車と言っておりまして、それを二〇二五年までに新車販売に占める割合を二〇%に高めると、それから、二〇三五年にはその比率を五〇%以上にしてガソリン車の販売は禁止すると、そういった方向も出しております。
 それから、十七ページに移りますと、これは、現実に中国の新エネルギー車生産、販売は世界最大となっております。メーカー、トップトゥエンティーのメーカーが出されておりますが、赤いところが中国のメーカーで、上位二十社中七社が中国で、上位十社中三社が中国です。日本は、十四位の日産、十七位にトヨタが入っております。
 これは、自動車の電化、新エネルギー車に変えることによってCO2を減らし、エネルギー安保にも寄与すると、そして電気は再エネ電源にして、それをインターネットで融合して促進すると、そうしたことを通じて大気汚染対策と地球温暖化対策とエネルギー安全保障を同時解決し、地域経済も振興していくと、そして脱炭素社会と持続可能な発展を実現すると、そういったシナリオを描いていると言えます。
 十八ページは各国のポストコロナ復興計画でありますが、詳細は省略させていただきます。
 十九ページでは、現実にG20の各国はどの程度グリーンな投資をしているかということでありますが、これは昨年八月までのデータですが、これまでのところ、いわゆる緑の復興支出、グリーンな支出は比較的少ないという状況でとどまっております。
 次に、日本、脱炭素を目指す日本であります。
 二十一ページに参りますが、御案内のとおり、昨年の十月の国会で、所信表明演説で菅首相は、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするということを宣言されました。これは、パリ協定実現に必要な目標ということで、非常に画期的であると思います。しかしながら、これは、なかなか実現は容易なことではございません。
 二十二ページのグラフを御覧いただきたいと思いますが、これは、我が国、一九九〇年以降の温室効果ガスの排出量の実績と、それから二〇三〇年の目標、それから二〇五〇年のネットゼロの目標であります。最近は少しずつ温室効果ガスは下がる傾向にありますが、この傾向を加速させて二〇三〇年目標もより上積みして、二〇五〇年のネットゼロを達成すると、非常にチャレンジングな課題となっております。
 一方、英国の温室効果ガスの推移を見たものが二十三ページでありますが、英国の場合は、九〇年以降着実に減らしてきておりまして、二〇三〇年の目標も、ここでは五七%にしておりますが、六八%に上げております。それから、二〇三五年は最近の報道ですと七八%とするということで、COP26の議長国としてかなり頑張っているということがうかがえると思います。
 こういったことで、二十一世紀経済は言わば脱炭素市場獲得をめぐる脱炭素大競争時代というふうに申し上げましたが、それに向けた経済社会の変革の道筋であるとかあるいは政策手段、財源を検討し、脱炭素社会ビジョンと緑の産業政策を構想する必要があると考えます。
 政府では、昨年の十二月にグリーン成長戦略を発表しておりまして、主要十四産業部門別に野心的目標と成長戦略を定めております。
 非常に野心的目標を定めたこと自体は評価されるべきだと思いますが、その実現はこれからに懸かっております。
 そして、幾つか課題もあります。
 例えば、二〇三〇年の削減目標あるいは再生可能エネルギーの目標強化の方向性は出されておりません。それから、二〇五〇年のエネルギーミックスが示されておりますが、これにもいろいろ問題があると思います。それから、石炭火力発電に関する言及はありません。さらに、CO2をたくさん出す鉄鋼を始めとする素材産業については論じられておりません。電力部門の脱炭素化をどう進めるか、再エネの大量導入あるいは石炭火力の廃止といったことは不可避であると考えます。それをどういうスケジュールでどういった手段で実現するかということを戦略では検討する必要があると思います。
 日本版の緑の復興と脱炭素社会移行を考えるときに、まず四つの前提があるというふうに思います。
 一つは、二〇三〇年までの温室効果ガス削減目標の強化であります。二〇三〇年までに九〇年比で少なくとも四五%削減、これらはIPCC等でも言っていることであります。二〇一三年比でいうと五〇%以上になると思います。
 それから、現在検討されている地球温暖化対策計画とエネルギー基本計画の改定で、再生可能エネルギーを増やして石炭と原子力を減らすと、それからエネルギー消費量自体も減らすということが必要であります。
 三点目として、石炭火力からの撤退であります。国内での石炭火力発電をフェーズアウトすること、それから海外への石炭火力発電への支援を停止することであります。
 四点目として、環境政策あるいは経済成長政策としてカーボンプライシング、炭素の価格付けが必要と考えます。具体的には、本格的炭素税の速やかな導入などであります。
 これは、二十七ページは、地球温暖化対策のための税のCO2排出削減効果を各国で比較したものでありますが、九〇年代以降、諸外国ではCO2の排出量の削減とGDPの成長を言わば両立させるデカップリングが進んでおりまして、それが炭素税の導入によって加速しております。ところが、日本ではCO2排出量が増加する一方でGDPは横ばいにとどまっております。
 二十八ページの上のグラフは、名目GDP一ドル当たりのCO2排出量ですが、かつては、九〇年代は日本はスイスに次いでCO2排出量が少なかったんですが、その後、ヨーロッパ各国には追い越されて、アメリカにも追い付かれつつあります。それから、現状では日本の電力は主要国の中でもCO2が一番たくさん出ているという状況になっております。
 これは、二十九ページは、日本の再生可能エネルギー拡大の障害の一つが送電線網にあると言われておりますが、地球環境戦略研究機関の研究によりますと、欧米諸国で運用されている市場誘導型と言われる送電線を運用すれば、空き容量なしとされている北海道内の既存の基幹送電線が有効に活用されて、再生可能エネルギーの導入量を大幅に増やせる可能性があることが示されております。
 三十一ページに移りまして、最後になりますが、それでは、緑の復興からネットゼロへの移行の課題は何かということでありますが、まず第一は、脱炭素社会ビジョンの明確化であります。脱炭素社会といっても、国民に我慢を強いるだけではなくて、より豊かで夢のある生活を、どういった日本をつくっていくか、それから、新しい経済と生活の姿をどうつくっていくか、こういったことを明確化する必要があると思います。
 二点目として、日本版の緑の復興策であります。これには、技術、社会システム、ライフスタイル等、社会のあらゆる分野で政策を導入して、ゼロカーボンで持続可能な経済への移行が必要であります。
 三点目として、自立分散型の地域社会、地域循環共生圏づくりであります。地域資源を活用して、より多くの雇用を地域で創出することが必要であります。
 それから、三十二ページに行きまして、計画と規制によるガバナンスと言っておりますが、カーボンバジェット、炭素予算の導入であるとか、あるいは再生可能エネルギーの大幅拡大策の導入、それから脱炭素、脱化石燃料の加速と、そういうことが必要であります。
 それから、次の課題としては、これは参加型・熟議型プロセスと言っておりますが、これまでの日本のエネルギー環境政策等は、行政側と一部の産業界あるいは専門家だけで議論されて、国民の参加あるいは直接の問題として考えられてこなかったということがありますので、民主的プロセスを経て戦略を形成する、実施をするということが必要であると考えます。
 そして、脱炭素化への移行には当然産業構造の転換が必要ですので、言わばエネルギー多消費型産業からクリーンな産業への労働者の移行に対する支援をする必要があります。公正な移行と呼ばれる考え方であります。
 最後に、独立した科学的助言、システムが必要だと思います。
 以上、述べてまいりましたが、日本においては、個々の産業技術においては、脱産業政策に、技術において最近まで世界的にも優位な地位を占めてきていました。しかしながら、脱炭素に向けて、政府としての野心的目標設定が立ち遅れてきたこと、カーボンプライシングなどの経済的刺激策の導入が乏しかったこと、石炭火力などに過度に依存してきたことなどから、現状では脱炭素市場獲得をめぐる国際競争に立ち遅れていると言わざるを得ません。個々の産業技術の強みを生かしながら、デジタル化への対応も進めて、トータルとして日本全体としての脱炭素に向けた経済社会変革が必要と考えます。
 御清聴ありがとうございました。
○会長(宮沢洋一君) ありがとうございました。
 次に、有馬参考人にお願いいたします。有馬参考人。
○参考人(有馬純君) 東京大学の有馬でございます。今日は、このような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
 私の方からは、カーボンニュートラルに向けた課題ということでお話を申し上げたいと思います。(資料映写)
 一言で申し上げますと、カーボンニュートラルというのは進むべき方向であることは間違いないということだと思いますが、我々としてそれがやっぱりコストが掛かるということは常に認識をしなきゃいけないということだと思います。
 この左側のグラフは、私の研究室で計量モデルを回して計算したものですけれども、まだ総理が二〇五〇年ネットゼロエミッションを表明される前でありますが、二〇五〇年八〇%減、それから二〇三〇年二六%減という前の目標を前提にモデル計算をやってみますと、限界削減費用で見ますと二〇三〇年に向けて削減コストがだんだんに上がっていくと。それで、二〇三〇年以降急速に上がっていって、二〇五〇年にはトン当たり六万円になると、こういう試算結果になりました。
 これ、二〇五〇年八〇%減ということでありますけれども、これを更に上積みするということで、感度分析もやってみました。モデルとして解ける最大の削減幅というのが九五・三%というものでありましたけれども、これで見ると、限界削減費用は二〇五〇年時点で六万円の代わりに六十万円という数字になりました、トン当たりで。これはやはり、その二〇三〇年からですね、二〇五〇年の目標を八〇%から一〇〇%にするということにしたときに、そのコストというのは非線形的に上がるというふうに考えた方がいいということであります。
 また、今、明日から開かれます気候サミットを前に、総理がNDC、日本の二〇三〇年目標の引上げを表明されるというようなお話も伺っておりますけれども、二〇三〇年目標の大幅引上げということになれば、当然二〇三〇年時点の限界削減費用も大きく上がるということになると思います。目標を引き上げるということになれば、恐らくそれは大多数その再エネを積み上げるという形になるだろうと思います。
 足が速いのは太陽光ということになりますけれども、日本の場合、太陽光発電は相当もう既に入っていると。世界全体でいうと、絶対量では世界第三位ということでありますが、日本の場合、平地面積が非常に限られていて、国土面積当たりと、平地面積当たりということで見ますと、太陽光の発電導入量というのは世界一ということになっております。
 今後、更に太陽光発電を拡大するということになりますと、日照条件の悪いところに設置をするということになりますとコストアップ要因になってくると。
 また、太陽光パネルについては、コストが最近非常に下がってきているということがありますが、直近の数字を見てみますと、工事費が下げ止まっていて、それから、土地造成費あるいは接続費は太陽光発電のシェアの増大に伴ってむしろ上昇傾向にあるという数字もございます。太陽光に関するコストというのはパネルの費用だけではないということであります。
 また、自然環境保全ということを目的として太陽光発電の設置を抑制する条例を制定する自治体というのが最近非常に増えてきているということでありまして、最近五年間で五倍超に拡大をしているということであります。
 ですから、太陽光については野方図に増やすというわけにはなかなかいかないということなんだろうと思います。
 それで、洋上風力、これは経産省が昨年十二月に発表いたしましたグリーン成長戦略の中で非常に特筆大書されておりまして、今後の役割が期待をされているということなんでありますけれども、このグラフで示しているのは日本の、赤い点線でくくってあるのが能代とか津軽とか、そういった日本の洋上風力の有望地域とされているところの風況であります、一月から十二月までの。それで、点線になっているのがヨーロッパの北海地域の風況ということであります。
 一見してお分かりになりますように、日本の風は夏の間吹かないというのが非常に、残念ながらそれが事実でありまして、冬の間は欧州並みに吹くんですけれども、したがって、設備利用率ということで見ると、欧州よりも二〇%ポイントぐらい低いということになります。そういう状況で欧州並みの発電コストというものを実現するのは極めて難しいと。換言すれば、相当高い買取りコストを設定しないとなかなかペイしないということになります。
 ですから、今後、二〇五〇年に向けて爆発的なイノベーションが起きない限り、洋上風力に依存した温室効果ガスの削減策というのは、非常に電力料金の上乗せ要因になる可能性が高いということであります。
 私、コスト、コストというふうに申し上げましたが、なぜそれが気になるかということを言いますと、それは日本の産業用電力料金が高いということであります。
 再生可能エネルギーについてもう一つ。パネルの価格コストが非常に下がっている、それから風力発電のコストも下がっている、これは事実であります、世界的に見るとそうだということなんですけれども。忘れてはならないのは、変動性再エネのシェアを増大するということになりますと、それを電力システムに吸収するためのいろいろなインテグレーションコストと言われるものがあります。そういったものが増えてくるということでありまして、ここの図でありますのは、全発電量に占めるそのシェアが一〇%から三〇%になったときに、それぞれの電源絡みでいわゆるインテグレーションコストがどれぐらい拡大するかということを示した図でございます。
 一見して分かりますように、ガス、石炭、原子力、こういったものについてはほとんどそういうコストは生じませんが、変動性再エネについてはそういったコストが生ずると。しかもまた、シェアが拡大するとその金額も上がってくるということであります。こういったものも併せて考えていかないと、単体の再エネの発電コストだけで考えたのでは将来を見誤るということではないかと思います。
 それで、先ほど、またコストの話を申し上げましたが、産業用電力料金は非常に高いと。これ、左側のグラフに日本の産業用電力料金の国際比較がございますけれども、アメリカのほぼ倍、それから中国、韓国のほぼ一・五倍という水準になっております。これは、日本の製造業の産業競争力を非常にむしばんでいる要因の一つになっております。
 しかも、日本と比較的近い水準にあるとされているドイツについて実態をよく見てみますと、ドイツの場合は、電力多消費産業の電力料金について、電気税とか再エネの賦課金とか、あるいは洋上風力に伴う電力の送電網の賦課金とか託送料金とか、そういったものが大幅に減免をされているということでございまして、右側のグラフの左側でございますけれども、したがって、ドイツの電力多消費産業が実際に負担している電力料金というのは日本の電力多消費産業が負担している金額の約二・五から三分の一ということであります。表向きの産業用電力料金よりも実際は物すごく安い産業用電力料金が適用されているということであると。これは、ドイツはその分、消費者の家庭用の電力料金が非常に高いということになっていて、その意図するところは、やはりドイツにとって重要な産業を保護するという意図があるということであります。
 ですから、日本の既に非常に高い産業用電力料金ということを考えますと、電力料金が更にどんどん上がるということになると、製造業の国際競争力、さらには雇用に悪影響が出る可能性が高いということであります。この点は我々としてよく認識しておかなければいけないということかと思います。
 再エネの拡大について、国民の皆様の支持は非常に高いと思います。ただ、再エネの普及賛成というのは、インターネット調査なんかを見ますと八割以上の人がもう賛成をしているということなんですが、その半分は電力料金に再エネ賦課金が計上されているという事実を知らないと、三六%は、計上されていることは知っているけれども金額は知らないと、で、計上と金額を両方知っている人の約七割は今の賦課金金額が高過ぎるという見方を持っているということであります。
 また、この左側のグラフは、再エネ普及のための費用負担をしたくない人というのが全体の三四%いるということで、それで、残り、費用負担を受け入れる人って六六%いるわけなんですけれども、じゃ、その人が電力料金に占める賦課金の割合がどれぐらいまでだったら受け入れられますかということを聞かれると、一%未満、五%、これを合わせて全体のもう七割ぐらいがそういう水準だということであります。
 ですから、現在の、今、家庭用電力料金に占める再エネ賦課金の割合というのはもう今一一%に達しているわけですけれども、更に再エネに依存した形で削減目標を上積みするということになると、それが更に上がってくるということになって、国民の負担感というのも増してくるということであろうと思います。これも我々としては忘れてはならないということかと思います。
 そういうことを考えますと、やはり脱炭素化に向けたオプションというのはできるだけたくさん持っておいた方がいいということでありまして、これはIEAの数字でありますけれども、原発の運転期間の延長というのはあらゆるオプションの中で最も費用対効果が高いということであります。
 それで、日本の場合には、運転期間上限四十年、延長は二十年を上限に一回限りという規制がありますけれども、こういった規制が設定されているのはもう日本だけということであります。
 また、日本では原発、安全性の適合性審査が遅れに遅れているわけですけれども、その期間もこの四十年運転期間の時計が回り続けているという状況でございます。これは、原発は動いていないわけであって、それで、原発のやはり耐久年数というのはどれだけ放射線にさらされるかという曝年で考えるべきであって、その物理的な年数で測るべきではないということを考えると、これは合理的ではないんではないかというふうに思います。
 また、今のような運転期間制度の下では安全性のための投資回収の見通しが立たないということになって、廃炉判断をする事例というのも出つつあるという状況であります。
 それで、欧米を見ますと、再エネも拡大するんだけれども原子力も使っていくというのが主流でございます。バイデン政権は、再エネも原子力もCCSも、使えるオプションは全部使ってやっていくと、カーボンニュートラルを目指すということになっております。それから、EUの中でも、ドイツのように脱原発をしている国の事例が日本では非常に声高らかに紹介される事例があるわけなんですけれども、全体として見れば原子力は引き続き活用するという方針であります。
 左側の欧州電力マップというのがありまして、これは、一月一日から十二月三十一日まで、もう一日単位でキロワットアワー当たりのCO2の排出量というものが出て、これはグリーンになればなるほどグリーン度が高い、つまりCO2の排出量が低いということになるんですけれども、年間を通じてほぼずうっとグリーンの状態が続いているというのは、安定的な非化石電源である原子力、大規模水力を持っているフランス、ノルウェー、スウェーデンということになります。ドイツは、緑になったりあるいは茶色になったりというところがある。これは、当然風が吹く日と吹かない日があるからということであります。
 それから、右側の棒グラフですけれども、IEAが出しているワールド・エナジー・アウトルックですけれども、パリ協定と整合的な二〇四〇年のシナリオというのを見ますと、日本の原子力のシェアというのは現在よりも更に拡大をするということが想定をされて、もちろん再エネについても増やすと、原子力も増やすということになっていて、両者合わせて八割を非化石電源にしましょうという方向性が示されているということでございます。
 それで、脱原発が世界の流れであるという議論がありますけれども、カーボンニュートラルを目指している国、これは緑色で示している国ですけれども、非常に多くのカーボンニュートラルを目指す国が原発を将来にわたっても活用していこうという国が多いということであります。したがって、脱原発が国際的な潮流であるということではない。
 特に、日本のように、これまで営々として国産技術として培ってきた原子力技術というものを使わないで脱炭素化を目指すということは、私の目から見て、どう考えても合理的ではない、さらに、エネルギー安全保障という観点から技術の国産度というものも重視をされるようになってきているということを考えれば、なおさら、なぜ国産技術である原子力というものを活用しないのかという思いがあるわけでございます。
 それで、各電源のコスト競争力というのも国によって異なります。
 アメリカなんかでは、特にテキサスなんかでは、非常にいい風が吹いているということで、風力発電の導入量が極めて多いと、実際、風力発電のコストも安いというところがあります。それから、メガソーラーなんかについても、アメリカのように非常に土地が広いところではメガソーラーもたくさん設置ができるということになってコストが安くなるということになるんですが、この日本の数字を見ますと、残念ながら日本は土地が狭隘であるということと、それから海が深い、その他の事情があって、同じように再エネ資源を持っているとはいっても、やはりその賦存量については国によって違いがあるということは、これは厳然たる事実であるということであります。
 原子力のコストというのは、他国と違って、日本の場合にはまだ相対的に競争力が高いという状況であります。もちろん、これから再エネのコストが下がってくるということによって、このメガソーラーなり風力のコストは下がってくるでしょう。ただ、変動性再エネを増大させていくことに伴うシステムコストというものを上積みすることを考えると、下方向だけではないということだと思います。
 原子力についても、安全コストが上積みされるということによってコストが上がると思います。ただ、原子力によって発電される電力量というのは膨大なものになりますので、キロワットアワー当たりということで見ると、その増大量というのはそれほど大きなものではないということだと思います。少なくとも、オプションとして原子力を排除するというのは合理的ではないと私は考えます。
 それで、日本としての役割なんですけれども、やはり日本の温室効果ガスの排出量というのは世界全体の三、四%ということでありますので、むしろ日本が考えなければならないのは、これから世界の温室効果ガスの動向の帰趨を握っているアジア地域においてどれだけ低炭素化、脱炭素化に向けて貢献ができるかということだと思います。特に、これから引き続き二〇三〇年、四〇年にかけてCO2が増え続けるのは、中国は二〇三〇年でピークアウトすると言っておりますけれども、インド、ASEAN、これは二〇三〇年、四〇年、五〇年にかけて、このままだとどんどん増え続けるということになります。ですから、どうやってこういった国々にとって受け入れられやすい形の現実的な低炭素化、脱炭素化のオプションというものを日本が提供できるかということが非常に大事になってくると思います。
 その際に我々が忘れてはならないのは、我々にとって非常に関心の高い温暖化というのは全ての国においてトッププライオリティーではないということであります。
 これは国連がやっている「MY WORLD」というアンケート調査ですけれども、これを見ますと、スウェーデンのような国では気候変動がもうトッププライオリティーということになっておりますけれども、右側の中国、インドネシアなんかを見ると、気候変動のプライオリティーというのはそれぞれ十五位だったり九位だったりするということであります。これは考えてみれば当たり前の話であって、国の経済発展段階が違い、それから貧困な人がどれぐらいいるかということによって、その国においてのSDG、十七のSDGのプライオリティーが違ってくるということは、これは当然であるということだと思います。
 そういう中で低炭素化、脱炭素化というものを進めていくためには、そういった国々にとって受け入れられやすいような安価な技術であるということが絶対的に必要だということだと思います。コストアップをしてでも何でも脱炭素化をしてくれというのは、そういった国々では受け入れられない可能性が高いということだと思います。
 それから、我々として忘れてはならないのは、中国はこの状況を極めてしたたかに活用しているということであります。
 中国は、先進国における温暖化対策、端的に言えばドイツのFITなんかを利用して中国のパネル産業というのは大きく成長しました。また、二〇六〇年にカーボンニュートラル表明をすることによって脱炭素化の潮流というものをつくり、それによって、中国製のパネル、蓄電池、風車、電気自動車への需要が拡大するということを期待しているところがあります。また、中国発のネットワークみたいなものも提唱しておりますけれども、これは世界での中国の影響力を増すことにつながると。
 当面、しかし中国は、化石燃料に依存して経済成長するわけですから、先進国が脱炭素化をして化石燃料の需要が下がれば、中国が調達をする化石燃料のコストは下がるということになります。事実、中国は、足下のコロナからの回復策においては大量の石炭火力の設置許可を出しているということであります。また、先進国が化石燃料技術からリタイアをして輸出をやめるということになると、その穴を埋めるのは中国製の石炭火力の技術ということになります。日本の原子力技術というものが衰退をするということになると、世界の原子力市場において中国、ロシアの商機が拡大をするということになります。
 このように、今の脱炭素化をめぐる国際的な情勢というのは、どっちに転んでも中国にとって非常に有利な状況にあるということは地政学的な観点から我々として認識をしておいた方がいいと。今、ケリー特使が中国の目標引上げあるいは前倒しということを一生懸命働きかけておりますけれども、中国はこれをいろいろな交渉材料として使おうと考えているということで、三月の全人代では目標の前倒しみたいなことは一切発表されていないということであります。非常にしたたかだと思います。
 最後ですけれども、したがって、私は、脱炭素化というのは進めるべき方向であり、ただし、それはやっぱりコストを伴うということは忘れてはならないと。環境保全と経済成長というのは常に両立をするというものではなくて、やっぱりやり方を考えなければいけないと。そのときに、再エネ資源というのはやはり国によってばらつきがあって、日本のように国土が狭い、海も深いところでは、欧米とか中国に比べて再エネ資源にどうしても恵まれていない側面があると。再エネだけに依存した形で二〇三〇年目標を引き上げたり、二〇五〇年の脱炭素化を追求するということになると、間違いなくそれは高コスト化を招くと。既に日本の産業界というのは世界でも最も高いコストに直面をしていると。それが更にコスト増に直面するということになりますと、産業競争力、雇用、さらには脱炭素化に向けた技術開発の体力を奪うということになります。
 翻って欧州を見ますと、ドイツの事例にありますように、非常に崇高な理想を掲げつつ、ただ足下では産業を極めてしたたかに保護しているというところがあるので、そういったことを今後考えなきゃいけないのではないかというふうに思います。
 したがって、カーボンニュートラルを目指す場合に、既に非常に高いコストを負担している日本という状況を考えると、エネルギーコストあるいは温暖化対策コストというものを定期的に国際的に比較をしてレビューを行って、日本経済が不均衡に高いコスト負担をしていないかということをチェックするメカニズムというものが必要だと思います。
 また、日本の温暖化対策コストというものをできるだけ抑えるという観点からは、使えるオプションは全部使うと。その観点で、国産技術である原子力というものを長く使っていくということは、エネルギー安全保障、温暖化防止、それから経済効率という面で合理的だというふうに考えます。
 四十年運転期間、それで二十年に限り一回限り延長といった制約というものも見直すべきだと思いますし、更に言えば、第四次エネルギー基本計画にあります原子力のシェアを可能な限り低減をするということについても、こういった枠は私は取っ払った方がいいだろうと思います。その結果、原子力が再エネよりも高ければ、それは使わなければいいのであって、少なくとも自らの手足を縛る必要は私はないだろうというふうに思います。
 福島以降、日本のエネルギーの議論というのは、原発か再エネかという二者択一的な非常に不毛な議論が支配的であったわけなんですけれども、カーボンニュートラルというまさに未曽有の野心的な目標に我々はこれから立ち向かわなければならないと、そのとき使える打ち手は全部オープンにしておくということが合理的ではないかと考える次第です。
 私からの報告は以上です。ありがとうございました。
○会長(宮沢洋一君) ありがとうございました。
 次に、明日香参考人にお願いいたします。明日香参考人。
○参考人(明日香壽川君) どうもありがとうございます。
 東北大学東北アジア研究センター・環境科学研究科教授の明日香と申します。今日はよろしくお願いいたします。(資料映写)
 私は、日本版グリーンリカバリー、GR案の紹介ということで、私はずっと、この二十年ぐらい、日本の温暖化対策、エネルギー対策、特にエネルギーミックス、二〇三〇年、二〇五〇年、どのようなものが理想的か、その経済効果はどうか、悪影響、プラスマイナスどのようなものがあるか、それを細かく定量的にずっと計算したり議論をしてきました。
 今日は、その研究結果、ちょうどお手元にあると思うんですが、こういう形で、冊子で、一か月ほど前に出版を、出版というか印刷して今いろんな方に配っているところです。なので、この中身を紹介させていただきながら、日本のこれからのあるべき姿、具体的にどのようなエネルギーミックスが好ましくて、CO2はそのときどのくらい削減数値として出せるのか、そのときのメリットとデメリットは何かということに関してお話しさせていただきたいと思います。
 グリーンリカバリーとかグリーンニューディールという言葉を皆さん聞かれるかと思うんですが、基本的に中身は同じです。グリーンリカバリーというのは、コロナからのリカバリーということで、特にEUでは使われるんですが、アメリカでは圧倒的にグリーンニューディールを使います。どうしてかというと、ルーズベルトがニューディールを始めたというのもありますし、もうコロナの前からグリーンニューディールというのが、特にアメリカの若い人たちの間でこれを絶対アメリカのエネルギー政策としてプッシュしなきゃいけないんだということが、運動みたいなのがありまして、それで、ある意味では若い人の投票によってバイデン政権が生まれましたので、バイデンもグリーンニューディールを自分の温暖化政策、エネルギー政策としてプッシュしているという形になります。
 これは、IRENAという国際再生可能エネルギー機関、再生可能エネルギーをプッシュしている国際機関なので、ちょっとバイアスが掛かっているという意見もあるかもしれませんが、いわゆる二度目標、産業革命以降の温度上昇二度目標に抑えるようなシナリオで、各年の、実際にいろんな対策を取ったときにどれくらい雇用が生まれて、どれくらい雇用が減るかということを示しています。上が、送電網、省エネ、再エネ、基本的には雇用は増えます。下は、温暖化対策ですので化石燃料の雇用は減ると。原発も私の認識ではだんだん減っていくという、多分IRENAもそういうふうに考えているので原発と化石燃料の雇用は減ると。ですが、全体で見ると圧倒的に再エネ、省エネ、送電網の雇用が大きいと、これは世界全体です。
 今、これから多分議論になるかと思うんですけれど、一番の温暖化対策、バイデンも温暖化問題の打合せとかミーティングとか記者会見でも、温暖化という言葉よりもジョブという言葉を四、五倍多く使います。そのくらい雇用をどうするかというのが世界では一番重要ですし、その雇用を増やすために再生可能エネルギー、省エネが非常に効果的だと。それがグリーンニューディール、グリーンリカバリーと言って過言ではないかと思います。
 これは、IEA、まあどちらかというとIRENAよりはバイアスがない、エネルギーに関する国際機関ですが、ここは、どういうエネルギーがどれだけ雇用を生まれて、かつ温暖化対策として削減コストを考えたときにどれが高いか低いかというのを示したものです。
 ちょっと見にくいかと思うんですが、例えば、一番右の下のメガソーラーは雇用はたくさん生まれると。かつ削減コストも、温暖化対策としての考えたときの削減コストも小さいと。なので、お勧め、まあお勧めですよということを示しています。一方、左側の水力ニュー、原子力ニュー、新設は、雇用もそれほど生まないし、温暖化対策として考えたときもコストが高いと。かつ、色が、赤が結構時間掛かると。短い、緑がすぐできるということなんですね。なので、グリーンリカバリーなりグリーンニューディール、すぐに雇用を生んで、かつ温暖化対策のコストとしては小さいという、かつコストが、そうですね、温室効果ガスとしても削減プロジェクトとしても効果があるというものは、こういうふうにマッピングすると、明らかに再生可能エネルギー、省エネが好ましくて、原発、水力の新設は余り良くないと。石炭、火力等は、雇用はそれほど生まないですし、温暖化対策には全然ならないと、そういうふうなことになっています。
 なので、実はIEAがもうこういう原発なりは余り温暖化対策としていいもの、お勧めしませんよということを、少なくとも新設に関してはこのような数字なり表を出しているという状況です。当然、この背景には、これはアメリカのコストです。今、有馬先生のお話にあったように、各国によってコストは変わります。なので、当然各国の事情を考える必要はあるかと思います。
 これは、アメリカですけれど、ラザードというアメリカの投資会社が毎年各発電エネルギーの技術のコスト比較を数字を出しています。それを二〇一〇年からプロットしたものなんですけれど、今、黒い色が原子力ですが、圧倒的に原子力が高くて石炭も高い、天然ガス、太陽光、風力が極めて安いという状況になっています。風力が石炭なり原子力をもう二〇一〇年ぐらい、一一年ぐらいの時点で既に超えている、超えているというか、更により安くなっているというのがアメリカの状況です。
 これはラザードというアメリカの投資会社なんですが、実はアメリカの政府も毎年このような数字を出しています。これは、US、EIA、エネルギー情報庁ですか、が毎年出している数字なんですが、これも見ますと、右、赤い枠であるところがいわゆる補助金なしの前の価格ですけれど、圧倒的に原子力は高い、石炭も高い。ですが、太陽光、風力はそれのもう半分とか三分の一の値段になっているというのが現状です。これはアメリカに限らず、EUでもこういう傾向になっていますし、中国でもそういう傾向にはなっています。もちろん、中国でも地域によって違いますし、EUによっても国によって違うところがあります。
 ですが、全体的な傾向としては、やはり再エネはつくれば安くなる、安くなればどんどん入る、そうするともっとつくる、そうするともっと安くなるという、いわゆるコモディティーになっていますので、太陽光パネルもパソコンと同じように、どんどん安くなって、薄くなって、小さくなって軽くなっていると。それが太陽光でも風力でも起きているということですし、システムもどんどんどんどんAIを使ってより競争が激しくなれば、より高度なシステムがより安価でできるようになっていると、それを目指しているというのが現状です。
 で、グリーンニューディール、グリーンリカバリーにちょっと戻りますけれど、今いろんな国の政府なり研究機関が、じゃ、我が国はこのようなグリーンニューディール案を出そう、グリーンリカバリー案を出そう、こうあるべきだというような提案をしています。政府がやっている場合もありますし、シンクタンクがやっている場合もあります。そこで共通しているのは、実際どれだけ投資が生まれるのか、雇用は投資からしか生まれないので、投資が幾らなのか、それをなるべく細かく各分野、産業分野、業務分野、家庭分野、運輸分野でそれぞれどれだけ生まれるかというのを細かく計算して出しています。経済効果、雇用創出数、で、CO2、その分野でどれだけCO2が減るか、PM二・五は減る、実は大気汚染も非常に大きな問題でして、実は各国のグリーンニューディールでは大気汚染対策も一緒に考えてはいます。
 で、電力価格がどうなるか、高くなるのか、安くなるのか、いつ頃にどうなるのか。電力需給バランス、どこの地域でどの時間帯に電力不足になる可能性があるのか。雇用転換、ある意味ではこれが一番大事かもしれないんですが、じゃ、どの産業にどういうふうに転換していくのか、じゃ、具体的に失われる雇用の数はどれくらいなのかというのを細かく計算しています。
 で、これも一番大事なんですけど、財源をどうするのか、国債に頼るのか、民間なのか、国債だったら、どのようなシステムで償還させるのか、その財源どう、何年ぐらいで償還させるのか。そういう細かい計算をして、検討をして、報告書なり提案を各国が今出しているということです。政府が、アメリカは今政府が出していますし、EUも出していますし、韓国も政府がこういう内容のものを作って公表しています。
 これが、バイデン政権生まれる前に、バイデン政権自体は、バイデン自体は二〇三五年に電力部門のCO2エミッションゼロを公約としていたので、バイデンに近い人たち、ブレーンになっているカリフォルニア大学の先生たちが二〇三五ザ・レポートという非常に細かい報告書を出しています。これは、先ほど申し上げた具体的な各分野での経済効果なり、雇用創出なり、電力価格なり、政策なりが書いてあるものです。
 実は、これにちょっと影響されて我々もこの報告書を出しました。なので、アメリカの場合は、二〇三五レポートというのが研究者の中ではもう絶対見るべきだというような報告書なんですが、我々もちょっとそれを、名前をお借りして、レポート二〇三〇というふうに名前を付けさせていただきました。アメリカだけではなくて、先ほど、EUなり韓国のグリーンニューディールプランなり報告書も参考にしています。ちょっと若い人にも見てもらおうと思ったので、いろいろこういうイラストも描いてあります。
 具体的な数字ですが、まさに今、あしたの、あしたまでに政府がどういう数字を出すのかよく分からないですし、出すかどうかも分からないんですけれど、CO2を何%という数字が今議論されているかと思います。そのときに、基本的にはエネルギーをどういうふうに使うかによりますので、そのときには基本的には再エネがどれだけ入って省エネがどれだけ入るかでCO2の数字は決まります。
 なので、ここに書きましたように、省エネがどれだけ、再エネがどれだけ、そのときの電力の再エネの割合は四四%、それでCO2は五五%を九〇年比で削減ということになります。
 何%削減というときにちょっと気を付けなきゃいけないのは、日本政府は二〇一三年を基準年にしているんですが、例えばEUは一九九〇年を基準年にしています。IEAとかのデータはよく二〇一〇年をしていますし、アメリカの場合は二〇〇五年とかですね、結構ややこしいです。二〇一三年というのは、見かけ上日本にとって有利というか大きく見えるという数字になっていますので、九〇年比にすると大体八%、九%げたを履かせている状況なので、それをちょっと取らないといけないというような状況です。
 いずれにしろ、五〇%、六〇%という数字が今議論されているのかなとは思います、もうちょっとちっちゃいかもしれませんけれど。じゃ、そのときに、我々のエネルギーミックスでは、CO2は五〇、二〇〇〇、済みません、五五パー、一九九〇年比だと五五%削減になりまして、二〇一三年比だと六一%になります。
 じゃ、これが大きいか小さいか、そのときの影響はどうなるかということですが、これが各分野での、済みません、各分野で、全体での投資額、エネルギー支出削減額、雇用創出等です。
 投資額は、累積で十年間で二百兆円なので毎年二十兆円。このうちの五兆円を公的資金、十五兆円を民間資金というふうに考えています。今、再エネ、省エネはほとんどもうかるビジネスになっていますので、基本的には民間で賄ってもらうというような考え方になっています。
 エネルギー支出削減額、これは累積で三百五十八兆円。これは何かというと、基本的に今まで海外に払っていた化石燃料費、毎年十七兆円ありますので、その分が外に流れなくて国内で回るということになります。なので、コストといったときに、それが投資だということも重要ですし、そのお金がどこに行くのか、海外に行ってしまうのか、日本国内で回るのかということも考える必要があります。
 GDPも、基本的に投資が生まれればGDPのいわゆる付加価値は増えますので、これも二百五兆円、十年間で二百五兆円という、今のGDPの予想額にプラスしてこれだけ大きくなるという計算はしています。
 大気汚染による死亡の回避というのが二千九百二十人、十年間でという数字になっています。実は、日本では石炭火力で百万人当たり九・七四人早期死亡している。早期死亡というのは、がん、脳梗塞、心筋梗塞なんですけれど、九・七四人死んでいるという数字があります。これ、世界全体でもそうなんですけれど。なので、実は、大気汚染で死んでいる人というのは、日本では非常に多いということは頭に入れていただければと思います。
 これが、面積が一応投資額になっています。単位、兆円になっておりまして、再エネにこれだけ、電気自動車にこれだけ、業務部門、ビルの改修等にこれだけという形で、細かく具体的に各分野で必要な投資額を入れています。
 これが、じゃ、CO2がどれだけ減るかということなんですが、BAU、二〇三〇年までは原単位必ずで、活動量も今の政府の推定の下、その後は、人口減等を考慮したBAUと比べて、再エネでこれだけ、省エネでこれだけと。実は、残る、ちょっと二〇五〇年でオレンジの部分が残るんですが、これが実は、なかなか、世界中が悩んでいる、なかなかCO2削減が難しい、例えばジェット燃料ですとか、鉄をどうやってCO2を出さないで造るかとか、そういうものです。船もそうですし、長距離トラック。いろんな、なかなか、技術的には今研究しているんですけど、まだ高いので、それを一〇〇%減らすとかなりコストが上がると。前、有馬さんのお話にもあったように、かなり一〇〇%に近くなればなるほど線形的な、こういうふうに上がるんじゃなくて、こういうふうに上がるのは確かではあります。
 ですが、我々のレポートのポイントは、九三%は二〇五〇年レベルでも今の技術でCO2は減らせると、残りの七%はかなりコストが必要でしょうし、今実用化されていない革新的な技術が必要だということを示しています。なので、九三%は今の技術でできるということが非常に重要かと思っています。
 これは、いわゆる投資額とエネルギー支出削減額、エネルギー支出削減額というのは、基本的に光熱費が下がるのとガソリン代等が下がるという数字です。その原資は、海外に流れていた毎年十七兆円が国内に回るということなので、投資額とエネルギー支出削減額を比較すると投資額の方が小さいと。これは、実は各グリーンニューディールの報告書なりリカバリーの報告書は定番の計算でして、このように、いわゆる経済合理性、特にグリーンリカバリーした方が経済という意味でもいいですよということを示すものになっています。
 これがGDPでして、GDPの細かい計算の方法は報告書を見ていただければ分かるんですが、基本的にGDPって売上げですので化石燃料の売上げは減るんですが、その分各家庭の所得が増えることに、使える所得が増えることになるので、それで投資が生まれると、そういうことでGDPが増えるというような計算をしています。
 これがある意味で一番重要な、私のこのレポートでは一番重要なグラフでして、真剣に考えなきゃいけないと。エネルギー転換、カーボンニュートラル、全然いいことだけではないです。いろんなメリットとデメリットがあります。やっぱりデメリットというのは、それによって職を失う、失業する人が出るのは確かだと思います。最初のIEAなりIRENAの比較では、比較というかデータでは、全体では雇用は増えるけれど、失う雇用もあると。それが単純に言えば化石燃料関連で仕事をしていた人ですし、鉄、高炉で鉄を造っていた人たちだとは思います。
 じゃ、そのときに、じゃ、日本の場合にそういう人たちが何人ぐらいいて、どこの産業で、どの産業が今の日本の経済においてどのような役割を担っているのかということは、実は、ここでかなり細かく議論しています。
 今までこういう議論は、何となくタブーというんでしょうかね、余りそういう雇用転換の議論はしない、かつ、労働組合もそういう話はしなかったかと思うんですが、もうそういうことを真剣に議論せざるを得ない状況になっていると思います。そうしないと、逆にカーボンニュートラルへのソフトランディングというのはできないですし、各国はもう既に、ある意味ではそういう条件闘争の状況に入っていると言っても過言ではないと思います。
 日本の場合、いわゆるエネルギー多消費産業、CO2多消費産業というのは六つありまして、その人たちの大体雇用は十五万人ぐらいというふうに考えられます。原発、もちろん温暖化対策としてどうだこうだという議論はあるんですけど、一応、原発の産業の関わっている人たちは五万人と言われています。なので、二十万人の雇用をどうするかということを考えなきゃいけない、そういう問題設定です。
 一方、じゃ、どれだけ新しい雇用が日本でエネルギー転換によって生まれるかといいますと、我々計算しているんですが、ここにありますように、年間で二百五十四万人です。単純に比べられないんじゃないかというようなこともあります。もちろん、推定と現状とは違いますし、推定もいわゆる産業連関表というものを使って計算したものです。ですが、ざくっとした相場観というんでしょうかね、エネルギー転換のイメージというのはこれでつかめるかと思います。
 実際、アメリカではどういう状況になっているかということですが、アメリカも、政府が毎年どの産業でどれだけ雇用が要るかというのをデータとして出しています。非常に、実はトランプでこういうデータのところは潰されたんですが、潰された人たちが自腹で、クラウドファンディングで同じようなレポートを毎年出しています。
 その人たちのレポートによりますと、いわゆるクリーン産業というんでしょうか、の二〇一九年時点で三百三十五万人、一方、化石燃料、原子力発電分野の雇用数は百十九と七万人。既にアメリカでは、現状でいわゆるそういうエネルギー転換で雇用が増える分野の人たちの雇用の方がそうじゃない人たちの数倍になっていると思います。なので、これはアメリカに限らずヨーロッパでもそうですし、傾向としては中国もそういうことだと思います。
 中国は、百、数百万の石炭関連労働者がいて、その人たちのリストラをどうするかと本当に今真剣な、大変なところなんですが、いずれにしろ、傾向としては、まさにエネルギー転換をすることによって国全体の雇用創出は増やすと。でも、当然、雇用しない人たちに対しては、失業手当なり教育なり、いろんな手当てをしようと、補償をしようということを国が決めていると。なので、日本がいつこういう議論を始めるのかどうか分からないんですが、早く始めれば始めるほどソフトランディングできるということはあるかと思います。
 電力価格、これも必ず電力が高くなりやすい、なることが聞かれますけれど、日本でも、今は高いですが、十年後には再生可能エネルギー安くなりますし、原発はまあ安くなることはないだろうと。賦課金も十年間ではほとんどなくなると思いますので、計算すると、発電コストという意味でも総額という意味でも単価という意味でも、グリーンリカバリー戦略、我々の提案している戦略を取った方が電力価格としてもいいですよと、安くなりますよということは示しています。これもアメリカのシンクタンクの、多くのグリーンニューディールの報告書は似たような数字を出しております。
 もう一つ、済みません、ちょっと、最後のグラフです。
 もう一つ、日本の場合重要なのが、じゃ、電気力不足にならないのか、停電にならないかどうかなんですね。委員の方がよく地方に行ってこういう話をすると必ず、カーボンニュートラルにすると電気代高くならないのか、電力不足にならないのか、停電にならないのかということを聞かれると。なので、そういう人たちのために、ためにだけではないんですけれど、じゃ、日本の各電力管区で、例えば、再エネを増やして省エネをやって、石炭火力を止めて原発も動かさないというようなシミュレーションをしたときに実際電力不足は起こるかどうか、起こるとしたらどの地域でどの時間帯でどの季節かというのを細かく分析しました。
 過去三年間の各電力管区のデータを使って、再生可能エネルギーが一番使えなかった、発電できなかった日とか、需要が非常に多くて、かつ、再生、再エネの発電も少なかった日を選んで、その日に対して石炭ゼロ、原発ゼロとしたときにどうなるかというシミュレーションをしました。
 結論は、困るところは北陸電力と四国電力管区です。省エネを余りしないと北海道もちょっと厳しくなります。それは単純に、今、原発と石炭火力に依存しているからなんですね。ですが、困るのは特に夏の夜です。ですが、夏の夜だけとも言えます。かつ、そのときに対応ができないかというと、ほかの電力管区からの融通もできますし、いわゆる需要側の調整もできますし、蓄電池も今どんどん入っています。なので、方法はあります。
 よく、電力の場合、日本全体で原発がないと電気が足りなくなるというようなイメージを持っている人がほとんどだと思うんですけれど、もっと細かく具体的にどの時期にどの時間帯でということを議論しなきゃいけないんですが、そこまでなかなか議論されないのが残念なところです。なので、ここには細かく、その北陸電力と四国でどれだけどの時間帯に足りなくなって、そのときに関西電力からどれだけ融通すればいいというのも書いてありますので、御興味、読んでいただければと思います。
 最後に、ホームページを作っておりますので、具体的にグラフとかインフォグラフィックスでこれから充実させたものにしようと思っています。なので、読んでいただいて、コメントなり御質問いただければと思います。
 以上です。どうもありがとうございました。

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
 本日はありがとうございます。
 松下参考人と明日香参考人に伺いたいと思います。
 明日香参考人から、雇用を増やすためのグリーンリカバリー、ニューディールとかなり強調してお話あって、それは今の日本のカーボンニュートラルの政策とはかなり違う位置付けが与えられているんだなということを改めて感じました。
 新型コロナの下で、また雇用の脆弱さというのは浮き彫りになったと思うんですね。非正規やフリーランスや、特に女性や若者、今も影響は大きいです。リカバリーとかニューディールとして掲げる以上は、やはり暮らしと雇用の安定に結び付いていく政策であることが大事だと思っています。
 その点に関わって、再エネについていえば、再エネの特徴というのは、一つ一つの発電量は小さくても、どの地域にもポテンシャルがあるということだと思います。地域分散と地産地消でエネルギー開発を進めていくということがこれを進めていく上で鍵になり、グリーンリカバリーという位置付けの上でも大事だと思うんですけれども、その点について御意見をいただけますか。
○会長(宮沢洋一君) 明日香参考人でよろしいですね。
○山添拓君 順に、松下参考人と明日香参考人。
○会長(宮沢洋一君) それでは、まず松下参考人。
○参考人(松下和夫君) ありがとうございます。
 今御指摘されたことは非常に重要だと思います。グリーンリカバリーといった場合に、やはり地域ごとに、その地域の状況に応じて、地域の資源を生かし、人材を生かし、技術を生かして、例えばある再エネ事業を起こすということが大変重要だと思います。
 一般的には、委員御指摘いただいたように、石炭火力であるとか原発といった大規模の集中型の電源と比べて、太陽光、風力等の小規模分散型の電源の方が雇用をつくる力が強いわけでありますが、それが、例えば都会から来た大資本によって、特定の地域で、地域の人とは関わりなくメガソーラーができたり大規模風力ができたりということだけでは、地域の雇用であったりあるいは産業の振興であったりにつながることが難しいわけでありますので、できる限り地元の中小企業なりあるいは金融機関なり、それから人材、技術を使って、そういう地域における循環型の、地域循環共生圏と言われていますが、循環型の再エネ事業を起こすことが大事だと思います。
 現在、残念ながら、幾つかの地域では、再エネ導入に当たって、地元の住民であるとか若干のトラブルが生じておりますが、例えばデンマークとかドイツの例を見ますと、元々地域主導型で、地域の例えば農業組合であるとかあるいは協同組合が出資して、地域の人が関わって風力発電を造ったり太陽光発電を造っているという事例がありますので、そういった事例を参考にしながら、地域が主導となる再生可能エネルギーを広げて、それによって地域の雇用を増やすと、そういう方法が望ましいというふうに考えております。
 ありがとうございました。
○参考人(明日香壽川君) どうもありがとうございます。
 最初に、政府のカーボンニュートラルの考え方と違うというふうにおっしゃったと思うんですけれども、雇用が大事だという意味では同じなんですね。政府のカーボンニュートラルの雇用というのは、いわゆる古いエネルギーシステムに関わっていた人たちの雇用です。我々が言っている、かつアメリカなりほかの国が、ニューディール、グリーンリカバリーという形で言っているのは新しいエネルギーシステムで生まれる雇用です。なので、どちらも雇用が大事だというのは同じです。
 じゃ、どっちがどういう意味で、その国にとって大事で、それがどうなるかというのは、まさに政治の話でして、古いエネルギーシステムを維持したい人たちの力が強ければそっちに行くという、ある意味では単純ですね。どの国でもそういう駆け引きがありますし、綱引きがあります。そんな単純ではないと思います。
 ですが、ちょっと繰り返しになりますけど、日本の場合は、石炭を掘っていないので、石油売っていないので、非常に楽なはずなんですけれど、やはり、そういう保守的な古いシステムにこだわる、関わる人が非常に多いと。ですが、我々のこのレポートでは、じゃ、そういう人たちが日本の経済に対する影響力は、今何%、GDP何%になっているのか、雇用の何%になるかという数字も出しました。圧倒的に今、日本でもエネルギー転換は進んでいます。いわゆるエネルギー多消費産業のGDPの貢献率なり雇用の貢献率は圧倒的にちっちゃくなって、この十年で物すごく変わっています。なので、時代は確実に変わっているので、それをどう見極めて、政治家がどう判断するかということかと思います。
○山添拓君 ありがとうございます。
 次は、お三方にそれぞれ伺いたいと思います。
 有馬参考人は、国連のSDGsの十七の目標も紹介されて、プライオリティーは各国違うというということをお話しされました。確かに、SDGs、持続可能な開発目標は、地球の限界を超えないということと同時に、貧困や格差の解消ということをもう一つの柱に据えていると思います。その貧困や格差というのは、限られた資源が、不公正で不均等で、あるいは非効率に分配されていることを示しているわけですから、これを是正するということが持続可能性につながるのだと、その位置付け自体は非常に大事だと思うんですね。
 気候変動対策と貧困や格差の是正というのはセットで進めるべき課題だと私は考えます。そして、それを本気で進めようと思えば、社会の利益より企業のもうけを優先する、利潤追求を優先する、そういう在り方を変えて、企業に社会的責任を果たさせるような経済社会にすることが求められていると思うんですが、有馬参考人、松下参考人、明日香参考人の順にお答えいただければと思います。
○会長(宮沢洋一君) それでは、有馬参考人。
○参考人(有馬純君) 山添先生のおっしゃったとおり、日本が、日本がというか、もう企業全体というふうに言っていいと思いますけれども、SDGバッジを付けておられる方が最近非常に増えてきたということであって、それで、やはり単なる経済的な利益だけではなくて、それぞれの企業のやり方でSDGにどう貢献できるかということをその企業の特質を踏まえながらやるという機運は相当生まれてきたんじゃないかなというふうに思います。ただ、やはり企業としては、企業は存立をしなければいけないので、SDGあるいはESG投資に一生懸命になる余り企業の経営が左前になってしまったら、それは投資家は誰も投資をしないということにどうしてもなってしまいます、それは現実の経済原則として。
 したがって、どうやって企業が利潤を追求しながらでも、その企業の持っている優れた技術なりなんなりを通じて社会貢献ができるかということをそれぞれが考えているということなんじゃないかと思いますし、それから、グローバルに考えれば、やはり先進国から途上国に対してどれだけ経済支援ができるかということにもつながってくると思います。
 これもまた非常に難しい問題なんですけれども、先進国も今経済が非常に厳しい状況にある中で、途上国支援をどれだけ拡大をする余力があるかということについては、恐らくその理想とそれから現実の違いというのがこれからだんだん明らかになってくると思います。COP26あるいはそれ以降において、途上国は、間違いなく先進国から現在ある一千億ドルという途上国の支援目標というものを引き上げろということを言ってくると思いますけれども、それにどれぐらい多くの先進国がコロナで傷ついた経済を抱えながら応えていくことができるかという、これは非常に難しい課題だと思います。今すぐに答えが出ることではないということだと思います。
○参考人(松下和夫君) ありがとうございます。
 ちょっと今、質問を十分にフォローしていなかったわけでありますが……
○会長(宮沢洋一君) じゃ、もう一回、簡単に、山添拓君。
○山添拓君 気候変動対策と貧困や格差の是正というのは世界的にセットで進めるべき課題ではないかと。その際には、先ほど松下参考人のお話にもあったんですけれども、やはり経済社会の変革ということが求められているのではないかと。今までのような利潤追求を何よりも優先する在り方から変える、社会的責任を企業にも果たさせるような、そういう在り方が必要ではないかということについて御意見をいただけますか。
○参考人(松下和夫君) ありがとうございます。失礼いたしました。
 山添先生御指摘のとおり、世界はSDGsというのをそれぞれの国が合意して進めようとしていますが、十七の目標がありますが、それはそれぞれ個別に存在するものでなくて、全体としてパッケージとして進めていくべきものだと。
 ただし、誰も取り残さないということが全体のテーマでありますが、言わば人々の基本的な人権を向上、人権の条件を確保しながら、一方で、地球の限界といいますか、プラネタリーバウンダリーという中で経済活動を進めていくと、そういうことが発想でありまして、例えば気候変動対策をやるということは、実はほかの例えば水問題であるとかエネルギー問題であるとか雇用の問題とか、全てと関わっておりますので、気候変動対策をやるときはCO2を減らすということだけにフォーカスするんではなくて、それがどういう、貧困にどういう影響を与えるか、あるいは農業生産にどういう影響を与えるか、そういったことも考慮した上で進めるべきであると思います。
 ですから、個別の政策だとか技術を導入するだけではなくて、全体としてシステムの変更をすると。幸いにして、最近の動向として、いわゆるIoTであるとかAIだとかICTといった情報技術が盛んになってきますので、そういったものを使うことによって、より少ないエネルギーだとか資源の投入によってより良いサービスを提供することができるという、そういう動きが出てきていますので、例えばテレワーク、コロナによってたまたま加速されているわけですが、テレワークだとかインターネット会議であるとか、そういったものを適切に利用することによって、より少ないエネルギー、資源を投入して、より良いサービスを生み出すと、そういう経済に転換していくことが一つの道ではないかというふうに考えております。
 ありがとうございました。
○参考人(明日香壽川君) どうもありがとうございます。
 具体的な話をしたいと思います。
 アメリカの場合、バイデンの新しい政権の温暖化対策、グリーンニューディールというのは、いわゆる新自由主義的な社会システムを変えようとしています。そのためには、化石燃料産業への補助金を廃止して課税する、自治体や企業への課税等、具体的に、いわゆる温暖化対策をしない、するなとか、温暖化はうそだといったような勝手なことをやってきた大企業に対して課税なり、市場から出てもらうという具体的な政策を今導入しています。なので、資本主義とか大きな話になるとあれですけれど、新自由主義というシステムのチェンジが必要だというコンセンサスはアメリカの政権の中ではあるかと思います。
 もう一つ、貧困と格差は非常に重要な問題です。温暖化問題がまさにその貧困と格差を拡大すると、かつ、うまくやらないと、まさに逆進性があるような政策を入れてしまって、より貧困の人たちが増えてしまうと。そこをどううまくするかというのは重要ですし、まさに、そういうグリーンニューディール、ガバニング・アジェンダ、指導的課題という形で、いろいろな、包括して、ある方向性を考える、具体的な政策の考え方とか仕組みとか集合体というような言い方がされています。
 その中で、貧困も格差もジェンダーもいろんな差別も一緒に考えようというのが今のグリーンニューディールのアメリカでの流れです。それが日本でどううまくそういう流れがつくれるかはこれから次第なんですけれど、そういう考え方でアメリカは動いているということは御理解いただければと思います。そうやってアメリカの今の民主党は動いているということです。
○山添拓君 ありがとうございました。終わります。