山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2023年・第212臨時国会

ガザ情勢 「休止」でなく停戦を/横田基地PFAS漏出 「米軍、情報提供の要請無視」

要約

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
私からも、パレスチナ・ガザ危機について伺います。
ガザの死者は一万人を超え、その四割が子供と報じられます。グテーレス国連事務総長は、ガザの悪夢は人道的危機を超える人間性の危機だ、ガザは子供の墓場と化しつつあると訴えています。
私は、ハマスによる無差別攻撃は国際法違反であり、強く非難したいと思います。人質は即時に解放されなければなりません。しかし、それは今イスラエル軍が行っている殺りくを正当化するものではないということをはっきりさせるべきだと考えます。
先ほど、今、情報戦が行われているんだという指摘がありました。しかし、私たちは、現地で活動するNGOや、あるいは現地の国連パレスチナ難民救済事業機関、UNRWAの職員の皆さんからも話を伺ってきました。現地の直接の情報です。議員の皆さんの中にもお聞きになっている方きっといらっしゃると思います。
今、支援が尽きつつあると。UNRWAの職員も八十九人が亡くなり、私がお話を伺った職員の方も、ジャーナリストだった友人、普通に家族を築いて生活を営んでいた友人を失った、ガザでは十月七日以来何も失っていない人はいませんと、こう述べていました。この事実を出発点にしなければならないと思います。
一日の予算委員会で、空爆、封鎖、住民への移動の強制、地上侵攻、イスラエルの行為は国際人道法違反ではないかと岸田総理に質問しましたら、我が国として十分状況を把握できていないので法的判断はできないとの答弁でした。先ほども、他の議員からの質問に対して、確定的な判断は困難だと外務大臣答弁されました。
大臣はパレスチナを訪問されたんですね。国際人道法違反かどうか、いまだにその判断は付かないとおっしゃるんでしょうか。

○外務大臣(上川陽子君) 私は、十一月の上旬でありますが、イスラエル、パレスチナ、ヨルダンを訪問をいたしました。
その際に、ハマス等によるテロ攻撃開始以降の被害状況につきまして、イスラエル、パレスチナ双方の関係者から直接話を聞く機会がございました。また、UNRWAの本部も訪問させていただきまして、そして今の状況につきまして厳しいお話も聞いてまいりました。改めて、双方の被害の大きさ、このことを強く認識したところでございます。
ガザ地区の人道状況は深刻化している状況でございまして、特に一般市民、とりわけ未来ある子供、また女性、高齢者が被害に遭っているということにつきましては、大変心を痛めている状況でございます。更なる被害の防止を、拡大を防止するその観点から、まずは、同地区の一般市民に必要な支援が行き届くことができるように、人道目的の戦闘の休止及び人道支援活動が可能な環境の確保、これを求めて粘り強く一層の外交努力を重ねてきたところでございます。これからもそうした方向で進めてまいります。

○山添拓君 国際人道法違反だという判断はまだされていないのですか。

○国務大臣(上川陽子君) イスラエル軍の個別具体的な行動に関しまして様々な情報、報道に接しておりますが、我が国として、個別具体的な状況について事実関係を十分に把握するということにつきましては困難であると考えております。イスラエル軍の個別具体的な行動について法的な評価を行うということにつきましては差し控えさせていただきます。

○山添拓君 先ほど、個別の抗議に、行動について、攻撃について、イスラエル軍によるものではないと判断したという答弁されていましたよ。
では、大臣が訪問されていた期間中である二日、UNRWAの避難施設四か所が攻撃され、少なくとも二十三人が犠牲に。三日、ガザ最大のシファ病院近くで救急車の車列に空爆があり、十五人が死亡、六十人以上が負傷。四日、北部ジャバリア難民キャンプの学校に攻撃があり、少なくとも十五人が死亡、五十四人が負傷。これらは把握できていないんですか。

○外務省 中東アフリカ局長(長岡寛介君) 御答弁申し上げます。
先ほど榛葉委員から御指摘いただいたアル・アハリ病院、これについては、国際的な関心も非常に高く、その後、我々としても様々な情報に接する中でそれを総合的に判断をして、イスラエル軍によるものではないという判断には至りました。一方で、じゃ、誰が具体的にやったのか、それを日本政府として特定をすることには至っておりません。
アハリア病院以外も、今委員御指摘のいただいた事案も含めて今回様々な事案が発生をしておりますけれども、その個々の具体的なものについて十分な情報を接することができているわけではないので、日本政府として法的な評価を行うことは差し控えたいというふうに考えておる次第でございます。

○山添拓君 いや、接していないんじゃないんですよ、接しようとしていないんですよ。
例えば、ICC、国際刑事裁判所、カリム・カーン主任検察官は、イスラエルがガザへの支援物資運搬を妨害しているのは国際法に違反する犯罪の可能性があると、こう指摘していますね。この点についてはいかがですか。

○政府参考人(長岡寛介君) 今委員御指摘いただいた件も含めて様々な方が様々な形でもって外にステートメントを出しておりますけれども、その一々について、我々として、そのステートメントのそのバックグラウンドになっているような事実関係を十分に把握することを、することはそもそも困難であるというふうにお答えしたいと思います。

○山添拓君 四千人を超える子供が犠牲になっていることを一々個別に判断できないとおっしゃる。これでいいのでしょうか。何のために現地に行かれたんですか。結局、状況を把握しているかどうかということではなく、政治的な思惑から国際人道法違反と言わないようにしている、そうとしか受け取れないですね。
大臣に伺いますが、G7外相会合の共同声明は、前文にこそ法の支配に触れていますが、イスラエルの国際人道法違反の数々を指摘し、批判するような文言は見当たりません。これは議長だった大臣の提案ですか。

○国務大臣(上川陽子君) 今般のG7外相声明におきましては、これは、五月のG7広島サミットの成果を踏まえまして、ウクライナやまた様々な、インド太平洋等も含めまして、G7の結束、そして連携を改めて確認したところでございます。
今般、このG7として初めて、イスラエル、ガザ及び西岸情勢、並びにその対応につきまして一致したメッセージを発出をいたしました。
国際社会においてG7が責任ある役割を果たすという観点からも、また、我が国が今年はG7議長国としての務めを果たすという観点からも大きな成果となったものと考えております。G7の中で本当に膝詰めでしっかりと議論を重ねて重ねて、最後に一致する内容で文書としてメッセージを発することができたものでございます。
その具体的な内容の一部を紹介させていただきますが、まず、ハマス等のテロ攻撃を断固として非難すること、そして第二に、人質の即時解放を求めること、第三に、特にガザにおける人道危機に対処するための緊急の行動を取る必要があること、食料、水、医療、燃料、シェルター、これを含む妨害されない人道支援並びに人道支援従事者のアクセス、これを可能とすること、人道支援を促進するための人道的休止及び人道回廊を支持すること、四点目、国際法、特に国際人道法の遵守が重要であること、五点目、紛争の更なるエスカレーションやより広範な地域への拡大を防ぐ必要があること、六点目、ガザの持続可能で長期的な解決等に取り組むことや、二国家解決が公正で永続的で安全な平和への唯一の道であることなどについて一致をしたところでございます。
今般の声明に記された取組、この着実な実施が何よりも重要であると考えております。国際社会、連帯を、連携をし、積極的な役割を果たしてまいります。

○山添拓君 今も法の支配という言葉を使われないんですよね。ウクライナの侵略のときにはあれだけ強調されていたのに、どこへ行ってしまったんでしょうか。国連の特別報告者七人でつくる専門家のグループは二日の声明で、パレスチナの人々がジェノサイドの重大なリスクにさらされていると警告しています。ガザでのジェノサイドを決して許してはなりません。
共同声明は、ガザ地区での戦闘の人道的休止を支持するというものです。今、大臣からも紹介がありました。休止、ポーズは期間や地域を限定した戦闘の停止であって、恒久的な政治的解決を目指して長期に戦争を停止する停戦、シースファイアとは異なります。大臣に伺いますが、停戦ではなく一時停止の戦闘休止では、その後の戦闘再開を容認するに等しいのではありませんか。

○国務大臣(上川陽子君) 私も今回の中東の三か国訪問で痛切に感じたことの一つが、最大の優先課題として、ガザ地区の人道状況の改善が目下の課題であると認識をいたしております。
状況は深刻化の一途をたどっておりまして、一般市民、とりわけ未来ある子供たち、また女性、高齢者が被害に遭っているということに大変心を痛めております。更なる被害の拡大を防ぐ観点から、まずは同地区の一般市民に必要な支援が行き届くよう、人道目的の戦闘休止及び人道支援活動が可能な環境の確保をイスラエル側に求めておりまして、この点につきましては、この間、様々な会談の中で伝え、そしてイスラエルに対しましても強く求めてまいりました。
G7外相会合におきましても、このガザ地区における人道危機に対処するための緊急の行動を取る必要があること、そして、先ほど申し上げたとおり、食料、水、医療、燃料、シェルター及び人道支援従事者のアクセスを含む妨害されていない人道支援を可能とすること、そして、人道支援を容易にするための人道的休止及び人道回廊を支持することなどで一致したところであります。
こうしたG7として今般の事態に関し一致したメッセージ、文書の形でまとめ上げることができたところでありますので、この実現に向けて連携をしながら最大の努力をしてまいります。

○山添拓君 イスラエルのネタニヤフ首相は、アメリカABCニュースのインタビューで停戦を否定しました。その上で、戦術的な僅かな休止、ここで一時間、あそこで一時間という戦術的休止はこれまでもやってきていると述べているんですね。ですから、G7の声明が述べているような戦闘の休止では、これまでもやってきているんだと、今のような深刻な人道危機は改善されないということじゃありませんか、大臣。

○国務大臣(上川陽子君) まさに、今、目下のガザの事態を踏まえた上で、更なる被害の拡大を防止するという観点から、今の時点のこの状況をしっかりと踏まえた上で、今般の文書という形でまとめをいたしました。G7の責任ある役割、そして国際社会と連携をしながら、この方向に向けて最大限の努力をすると、強い意思を示したものでございます。
このことに伴いまして、この結果、しっかりと人道状況の改善に向けまして、具体的な形で状況が改善することを求めてまいりたいと考えております。

○山添拓君 それでは実効性が問われるということが指摘されてきているわけですよ。今求められているのは、一時的な戦闘休止ではなく、戦争の停止です。つまり、停戦、少なくとも人道的休戦、これを日本政府が国際社会に働きかけていくことだと思います。大臣、もう一度お答えいただきたい。

○国務大臣(上川陽子君) まず、ガザ地区の人道状況、これは大変深刻な度を増しておりまして、この改善が目下の最優先課題と認識をしているところでございます。
先ほど委員からも御指摘がありましたとおり、子供たち、また女性や高齢者が被害に遭っている、その意味で大変事態は深刻であると認識をしております。その被害が更に拡大することがないようにするために、この同地区の一般市民に必要な支援が行き届くよう、人道目的の戦闘休止及び人道支援活動が可能な環境の確保、これをイスラエル側に求めております。
G7外相会合におきましても、この点についてどのような方法で進めていくのか、様々な議論がございました。特に食料、水、医薬品、医療、燃料、特に冬に入り、大変な状況の中で今子供たちが屋外で生活をしている状況であります。シェルター及び人道支援従事者のアクセスを含みます妨害されていない人道支援を可能とすること、人道支援を容易にするための人道的休止及び人道回廊を支持することなど一致したところであります。その意味で、これを実現するために行動をしてまいります。

○山添拓君 同じことしか答弁されていないのですが、そういう対応をイスラエルに求めなくてはならないのは、イスラエルが今行っている行為が人道的な危機を深刻化させているからですよ。
ところが、国際人道法違反だと指摘されない。あれだけ強調されていた法の支配も語ろうとされない。ロシアの軍事侵攻を国際法違反と非難しながら、イスラエルの国際人道法違反を批判しないのは、これ、アメリカに右倣えの態度ですね。そして、そのロシアは、イスラエルを批判しますが、自らのウクライナ侵略は正当化しています。これ、どちらもダブルスタンダードだと思います。これは国際社会の信頼を損なうことになります。どちらのダブルスタンダードでもなく、国連憲章と国際法に依拠した外交こそ必要です。法の支配を標榜されるのであれば、日本はこの立場にこそ立つべきです。このことは強く指摘しておきたいと思います。
続いて、米軍横田基地におけるPFAS、有機フッ素化合物の漏出の問題についても伺います。
一日の予算委員会で質問した後、重大な事実が発覚しました。これまで政府は、横田でPFASを含む泡消火剤の漏出を確認したのは二〇一〇年から一二年にかけての三回だとしてきました。資料の二ページです。ところが、三日付けの沖縄タイムスによれば、今年一月、PFASを含む消火剤に汚染された水が二日連続で計七百六十リットル漏れていたといい、その濃度は一リットル当たり二百七十二万ナノグラム、日本の暫定指針値の五十ナノグラムの五万四千四百倍だといいます。大臣、この事実はいつお知りになりましたか。

○防衛省 地方協力局長(大和太郎君) 御指摘の報道は承知しております。
有機フッ素化合物、PFOS等をめぐる一連の問題について、一般的な関心も高まり、また地元住民の皆様が大きな不安を抱えていることはよく認識しております。御指摘の事案については、今、事実関係について米側に確認中でありまして、これまでにまだ米側からの情報提供はございませんが、引き続き速やかに地元の皆様に情報提供できるように努めてまいります。

○山添拓君 これは、写真では汚染水が側溝に流れ込んでいるように見えます。基地の外へ流れ出たり、地下水を通じて染み出たりした、こういう可能性も否定はできないですね。

○政府参考人(大和太郎君) 繰り返しになって恐縮ですが、この報道のあった件につきましては今事実関係を米側に確認中でございます。

○山添拓君 内部文書によると、米側は基地の外へ流出したことはないと述べているようなんです。しかし、写真を見る限りは断言できないと思うんですよ。ですから、米側の言い分をうのみにするのではなく、政府としても独自にちゃんと調査されますね。

○政府参考人(大和太郎君) これもまた繰り返しになって恐縮ですけれども、事実関係について今米側に確認中ということでありまして、いろいろやり取りをしているところであります。

○山添拓君 政府として確認するということをおっしゃらないのが私は驚きです。そして、今確認中だとおっしゃった。確認中であること自体が大問題だと思うんですよ。
資料の三枚目を御覧ください。
防衛省は、今年七月、横田基地におけるPFASの漏出を認めた際、自治体宛てに発出をした文書です。次のようにあります。日米合意に基づく通報対象であるか否かにかかわらず、基地内でのPFOS等を含む泡消火剤の漏出について速やかな情報提供を要請した、今後、関連情報を地元の皆様に速やかにお知らせできるよう努めてまいりますとあるんですね。
ところが、米側から今年一月の漏出について情報提供がなかったと。大臣、これは防衛省の要請が無視されているということになりませんか。

○政府参考人(大和太郎君) 御指摘の点も含めてということでありますけれども、今まさに事実関係、この報道にあった件について事実関係を米側に確認をしているというところであります。
この努力は続けてまいりますし、地元の皆様に速やかに情報提供ができるように努めてまいります。

○山添拓君 要請なんか、十分対応していないわけですよ。
じゃ、防衛省、伺いますが、横田基地を含む在日米軍施設では二〇二四年九月までにPFASを含む泡消火剤の交換を完了する計画だとされています。防衛省は、横田基地を始め全国の米軍基地でこのPFASを含む泡消火剤が現在どれだけ保管されているのか把握していますか。

○政府参考人(大和太郎君) 御指摘のとおり、在日米軍におきましては、本年六月までに、海軍、海兵隊、本州の陸軍の各施設・区域と三沢飛行場で原料にPFOS等を含まない泡消火薬剤への交換を完了しています。
また、二〇二四年九月までに、横田飛行場を含む全ての米軍施設・区域において、原料にPFASを含まない泡消火剤に交換するか、水消火設備に移行する予定であると承知しております。
今御質問あった保管量ということでありますけれども、米側、アメリカとの関係では、在日米軍が保有する泡消火薬剤の管理状況等について様々なやり取りを行っています。また、交換プロセスの加速や安全管理の徹底を求めているところであります。
その調整、やり取りの中での具体的な内容については、今後の調整に影響を及ぼす可能性もあることから、ここではちょっとお答えを差し控えたいと思います。

○山添拓君 いや、今後の調整じゃないんですよ。先日の予算委員会で総理は、七月に政府がまとめたPFAS対策を紹介して、泡消火薬剤の正確な在庫量の把握を進めると答弁していますよ。
米軍基地における在庫量の把握もするんですよね。

○政府参考人(大和太郎君) 先ほど申しましたとおり、泡消火薬剤の管理状況等については米側といろいろやり取りをしております。
委員からの御指摘も踏まえて、このやり取りは継続してまいります。

○山添拓君 自衛隊基地については公表しています。
ですから、米側に報告を求めて、この点は委員会に資料として提出を求めたいと思います。

○委員長(北村経夫君) ただいまの件につきましては、後刻理事会で協議いたします。

○山添拓君 大臣に伺いますが、横田基地への立入調査について予算委員会で伺いました。関係自治体からの要請があれば在日米軍にも働きかけをしていきたいと、これが大臣の答弁でした。
自治体が求めた場合は当然だと思います。しかし、政府としても責任も重いと思います。特に、米軍基地は政府が率先して対応すべきだと思います。
防衛省として横田基地へ立入調査を求めて、PFASを含む泡消火剤漏出、使用、保管の状況を確認すべきじゃありませんか。

○防衛大臣(木原稔君) お尋ねの立入調査については予算委員会でも御質問いただきましたが、関係自治体の皆様からの要請等の御意見を踏まえ、また御相談をしながら対応してまいりますが、関係自治体から立入調査に係る具体的な要請がなされた場合には、これは関係省庁とも連携しながら米側に働きかけてまいります。

○山添拓君 時間が来ましたので終わりますが、我が党の宮本徹衆議院議員が今日、先ほど横田基地に立ち入って、米側から説明を受けています。水や土壌や空気に関わる、そして健康に関わる問題ですから、防衛省や環境省こそより主体的に動くべきだということを求めて、質問を終わります。

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