2025年・第217通常国会
- 2025年6月12日
- 外交防衛委員会
米軍横田基地PFAS漏出 /核抑止でなく核廃絶を 神戸方式蹂躙を告発
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
米軍横田基地のPFAS漏出について伺います。
二〇二三年一月の漏出について、政府は米側に確認中と繰り返してきました。この委員会でも何度か質問をいたしました。そうしましたところ、六月九日、ようやく米側から情報提供があり、翌日、周辺市町にも通知されました。米側の公表から一か月以上、漏出からは二年半近くです。多摩地域では地下水のPFAS汚染が広がり、都民の関心も強い中で、米側からの情報提供がこれほど遅れたことについて、防衛大臣、どのような御認識でしょうか。
○防衛大臣(中谷元君) 本件につきましては、六月九日に米側から情報提供を受けて、翌十日に関係自治体に情報提供したところでございます。
この事実関係の確認に長時間要したというのは、これは米側とのやり取りに時間を要したということでございまして、その上で、十一日付けで横田に隣接する周辺の市町村の連絡協議会から、適時適切に情報を行うとともに、関係地元の自治体から国に照会を行った事項については、米側から情報を収集し、速やかに回答を行うという要請をいただきました。こういった要請を受け止めまして、今後とも対応してまいるということでございます。
○山添拓君 周辺自治体からは遺憾の意が表明されているかと思います。
米側の報告書では、漏出の後の保管が在日米軍の指針に反していたということも書かれておりますが、何らかの抗議をされたでしょうか。
○防衛省 地方協力局長(田中利則君) お答えを申し上げます。
米国防省のあの監査報告書に関しても、これも報道がなされたところでございますけれども、こちらの件につきましては、詳細につきましては今米側の方に確認をしているところでございます。
この二〇二三年一月のPFOS漏出ということにつきましては、委員から御指摘いただきましたように、米側から情報提供を受け、翌日、関係自治体に情報提供をさせていただいておりますが、監査報告書の詳細ということにつきましては、また米側から情報提供あり次第、地元に対しては情報提供をさせていただければと思っております。
○山添拓君 もう全世界にオープンにされている報告書なんですよ。その報告書には、周辺環境の安全に悪影響を及ぼすことにつながりかねないと、そういう懸念も指摘されているんですね。ところが、まだ政府は把握もされていない、情報を確認中だということでした。そして、国会にも自治体にも知らせずにいるわけです。これは都民不在ですね。私は、この問題は引き続きただしていきたいと思います。
今日は次の点について質問します。
核兵器を持たず、作らず、持ち込ませずという非核三原則は、国政の基本原則であるとともに、国会でも繰り返し決議されてきた憲法に準じる我が国の国是です。政府が核密約で核兵器の持込みを黙認してきたのは重大な裏切りですが、非核三原則を守らせようという世論と運動は圧倒的なものです。
その代表例が、外国艦船の入港に核兵器を持たない証明を求める非核神戸方式です。一九七四年、米国議会でラロック退役少将が、核兵器を積むことのできる艦船は日本に寄港するときも核兵器を外すことはないと発言したのを受けて、翌七五年、神戸市議会で全会一致の決議で採択されました。以来五十年、米軍艦船の寄港は一度もありませんでした。
ところが、今年三月、米海軍の掃海艦ウォーリアが非核証明書を提出することなく入港しました。決議をほごにし、市民や港湾労働者の願いを踏みにじるものだと厳しく批判されております。
外務省に伺います。神戸市長は、入港に先立って、核兵器を積んでいるのか、このウォーリアが、外務省に照会しています。その際、米側に照会をされたでしょうか。
○政府参考人(熊谷直樹君) お答え申し上げます。
冷戦終結後、これまで公にされた米国の核政策に加え、米国は我が国の非核三原則に係る立場をよく理解していることから、核兵器を搭載する米艦船の我が国への寄港は現状において想定されておりません。
三月に神戸港に入港しました御指摘の米海軍の掃海艇ウォーリア号でございますが、これについては、核の搭載能力はなく、したがって、核兵器を搭載していないことにつき我が国政府として疑いを有しておりません。今般、同艦船の入港に際して、神戸市から同艦船への核搭載の有無について照会を受けましたところ、このような外務省の見解を回答したところでございます。
○山添拓君 疑いがないとおっしゃるんですけど、神戸市が米国総領事と会談した際には、米側は、個別の艦船についての核兵器の搭載の有無については言及をすることができないと言っていますよ。相手はそう言っているわけです、当該ウォーリアについても搭載しているかどうかを言わないと。
なぜ、日本政府が疑いがないなどと言えるんですか。
○政府参考人(熊谷直樹君) 御指摘の米国側の発言でございますけど、これ、グローバルのいわゆるNCND政策、これに基づいているものと承知しております。
繰り返しになりますが、これまで公にされました米国の核政策、これに加えまして、米国が我が国の非核三原則に係る立場よく理解していることから、核兵器を搭載する米艦船の我が国への寄港は現状において想定されておりません。
○山添拓君 想定されていないけれども、相手はそうだと言わないわけです。このウォーリアについて、先ほど外務省は搭載能力がない船だとおっしゃいました。ないんだったら証明書を出したらいいと思うんですね。でも、そういう対応を取っていないわけですよ。
外務省、伺いますけれども、これまで日本政府から米側に対して、個別の艦船について核兵器を積んでいるかどうか確認したことが一度でもありますか。
○政府参考人(熊谷直樹君) お答え申し上げます。
米側との外交上のやり取りについてはお答えを差し控えます。
○山添拓君 過去には答弁されていますよ。ありますか。
○政府参考人(熊谷直樹君) 外交上のやり取りについてはお答えを差し控えます。
○山添拓君 過去に答弁されていますので、これは、最後の委員会になる予定なので恐縮ですけれども、報告を求めたいと思います。
○委員長(滝沢求君) 後刻理事会で協議いたします。
○山添拓君 今質問しましたように、私はやはり、その非核三原則を掲げていながら、米側に対して質問を、確認をしようとしない、いや、実際していないと思うんですね。していないという答弁が過去にはあります。ですから、政府が当てにならないと、だからこそ神戸方式によってその非核三原則を実効あるものにしようと、こういう努力がされてきたわけです。
一九八四年三月十七日、本院の予算委員会で、当時の中曽根総理は、我が党の立木洋議員の質問に、神戸方式は地方自治の本旨に基づいて神戸の市長と市議会が取っている一つのやり方であり、よく理解できると述べています。大臣も同じ認識でしょうか。
○外務大臣(岩屋毅君) いわゆる非核神戸方式なんですけれども、これは、外交関係の処理を行う国の決定に地方公共団体が関与し、あるいは制約をするということでございますので、港湾管理者の権能を逸脱するものだというふうに認識をしております。地方公共団体の権能の行使としては許されないものだと考えております。
○山添拓君 今、港湾管理者ということを言われました。一九五〇年に制定された港湾法では、港湾の管理権を自治体の権限としています。それは、戦前、港湾が国の直轄管理で兵たん基地化された反省に立ったものであり、港湾行政の民主的改革の表れでした。大臣、その認識はお持ちでしょうか。
○国務大臣(岩屋毅君) そこまではそのとおりだと思うんですけれども、問題はその核の搭載の有無の判断ということでございますので、これは国の権能として行うべき事柄だというふうに考えております。
○山添拓君 私は、その国の権能であるにもかかわらずきちんと対応していないと、非核三原則を掲げながら、持っているかどうかということは米側の方針を信じるというだけですよね。個別の艦船について搭載の有無を確認して、確認しているようにはうかがえない答弁ですから。神戸港も戦後米軍に接収されておりました。朝鮮戦争やベトナム戦争の補給基地となりました。全面返還され、そこへ米側が持込みをうかがわせるような発言があったために神戸方式を決めたわけです。
先ほど権限の外だということを言われたんですけど、権限から外れて逸脱しているのは、私は国是である非核三原則を貫徹しようとしない政府の側だと思いますよ。
今回、非核神戸方式を踏みにじってまで米海軍があえて神戸港に寄港したのはなぜなのか。神戸新聞は、その理由ははっきりしないということ、意図ははっきりしないと書いていますが、私は、その背景に米国の核戦略とこれに基づく日米拡大抑止の方針があると言わなければならないと思います。
二〇二二年の米国NPR、核態勢見直しは、インド太平洋地域における強力で信頼できる核抑止力として、地域における米国の戦略的資産の可視性を高めると記しています。これを踏まえた二〇二三年六月の日米拡大抑止協議では、米国は地域における米国の戦略アセットの可視性を増大させるとのコミットメントを改めて表明したといいます。
外務大臣、伺いますが、核戦略アセットの可視性を高めるというのはどういう意味でしょうか。
○政府参考人(熊谷直樹君) お答え申し上げます。
御指摘のありました日米拡大抑止協議における言及でございますが、これも御指摘のありましたまさに二〇二二年十月に発表されました米国のNPR、ここにおきまして、インド太平洋地域における戦略原子力潜水艦及び戦略爆撃機の前方展開や能力保持を追求していく旨が言及されておりますので、そうしたコミットを指すものと理解しております。
○山添拓君 要するに、核戦力を見せるということなんでしょう。
○国務大臣(岩屋毅君) 一方で、もうこれは先生御案内のことだと思いますけど、米国は二〇一八年のNPRにおいてアジア配備の全ての核を撤去したことを表明しておりますし、一九九一年のブッシュ・パパ時代ですけれども、海軍の水上艦艇、攻撃型潜水艦及び陸上配備航空機から戦術核兵器を撤去する旨を表明しております。一九九四年のNPRにおいては同じようにそういった能力を撤去することを決定しておりますので、こういう米国の現在の核政策を踏まえれば、我が国周辺地域において、米軍の水上艦艇あるいは空母艦載機及び通常型潜水艦は核兵器を搭載していないと、ましてやウォーリア号というのは掃海艇でございますから、そこは是非御理解をいただきたいと思います。
○山添拓君 いや、私は、今の米国と、そしてその拡大抑止協議を重ねている日本の核戦略について伺っているんですが、核戦力を積極的に見せる方針へと転換したということです。
韓国に戦略原子力潜水艦、戦略爆撃機、展開をして、北朝鮮に対して核の能力を見せ付けると。あるいは、二三年十月、日米韓三か国の初の合同空中訓練に米空軍の戦略爆撃機B52が参加し、二三年七月、二四年四月、二年連続でB52が横田基地に着陸し、今年四月にはB1B戦略爆撃機二機が三沢基地に展開しています。核抑止力と言い、核戦力を見せると。これは、単なる訓練ではなく核による威嚇であります。
資料の二枚目をお配りしています。
米国のギャバード国家情報長官が十日、最近広島を訪れたとして、被爆の実相に触れたとする動画をSNSにアップしました。この経験は私の中で永遠に生き続けるだろうと言っています。核による惨禍を恐れることなく生きることができる世界を目指さなければならない、これは現職閣僚としては異例の表明だと思うんですね。広島、長崎の惨禍を目にすれば、核廃絶は誰しもの願いになるだろうと思います。
外務大臣、これは通告しておりませんけれども、核戦力を見せるのではなく、被爆の実相こそ世界に見せていくべきだと思います。それが日本の役割じゃないでしょうか。
○国務大臣(岩屋毅君) 我が国としては、当然、非核三原則というものを堅持をしてまいります。
一方で、むしろ核軍拡が進んでいるという状況の中で、核抑止、拡大抑止の実効性を確保するということも一方で大事な政策だというふうに考えておりますので、これらは決して相矛盾するものではないというふうに考えております。
○山添拓君 大いに矛盾すると思いますね。唯一の戦争被爆国の我が国の外務大臣がそういう立場では困ると思います。
被爆八十年です。核抑止、拡大抑止ではなく、核兵器廃絶、核兵器禁止へと転換すべきだということを述べて、質問を終わります。