2025年・第217通常国会
- 2025年6月5日
- 外交防衛委員会
「米戦略下での戦争体制づくりやめよ」 フィリピンとの軍事協力推進を批判/日フィリピン部隊間協力円滑化協定(RAA)・日イタリア物品役務相互提供協定(ACSA)に対する反対討論
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
議題であります日本・フィリピン部隊間協力円滑化協定、RAAについて伺います。
自衛隊とフィリピン軍との間で相互に相手国を訪問し、共同訓練を始め協力活動を一層行いやすくするために、訪問部隊が相手国に滞在する際の手続や法的地位を定めるものです。
今日午前中も議論になっておりましたが、二十七条に合同委員会の定めがあります。協定の実施についての協議機関でありますが、その審議は公開される前提にはなっておりません。また、議事録については、その公開について発効後に調整するというのが午前中の答弁でした。
この日・フィリピンのRAAについて、発効後調整されるということですけれども、公表するのでしょうか。また、不開示を前提にするのではないかという懸念を持って伺いたいと思います。
○政府参考人(宮本新吾君) お答え申し上げます。
日・フィリピン部隊間協力円滑化協定の第二十七条で規定されます合同委員会に関しましては、相手国との忌憚のない意見交換、そして協議を確保するために、協議を公開することは想定しておりません。
それから、この協定は合同委員会を通じた協議に際しての議事録の作成については何も規定してございませんので、仮に議事録を作成した場合の扱いについても、日・フィリピン間での調整の上で、協定発効後に合同委員会で正式に決定するということになります。
他方、先ほどの、先ほど来の御審議でもございましたけれども、御答弁申し上げているとおり、相手国との忌憚のない意見交換や協議を確保するために議事録の公表等については慎重に検討すべきとは考えてございますけれども、双方の同意があればできる限り公表していくという姿勢は必要でございます。国民の皆様に丁寧に御説明するという観点も踏まえて、フィリピン側と意思疎通をしていきたいと、このように考えてございます。
○山添拓君 合同委員会は協議を経て取決めも行うことができるとされるものです。ところが、何を協議し、何を取り決めたのかも明らかにされない可能性があるわけですね。
先ほどから忌憚のない意見交換のために非公開を原則にするという話が出ておりますが、忌憚のない意見交換って、要するにそれ国民に知られると困るような話もお互いにすることが前提になっているということなんでしょうか。
○政府参考人(宮本新吾君) お答え申し上げます。
合同委員会において議論されますこと、議題の内容も含めまして、これは協定発効後に日・フィリピン間の間で必要に応じて調整の上決定することになると思いますけれども、いずれにしても、両国の自衛隊そしてフィリピンの軍隊も関連する協力活動等に関しても議題に上ることになると思われますので、その内容について、あらかじめというか、公表することを前提として全ての議論を行うことはできませんし、先方との議論の上で決めていきたいということでございます。
他方、先ほども御説明申し上げましたとおり、双方の同意があればできる限り公表していくという姿勢は必要であると考えてございますし、国民の皆様に丁寧に御説明するという観点も踏まえて意思疎通をしていきたいと考えております。
○山添拓君 この協定の下では、部隊、部隊間の協力活動の下で起こった公務上あるいは公務外の事件、事故、その刑事責任が問われるような場合の問題も含まれます。ですから、国家主権がどうなるかということが関わるような問題についても初めから非公開を前提にするというのは、これは承服しかねるところです。
大体、議事録は非公開にするということは協定には書いていませんよね。
○政府参考人(宮本新吾君) そのとおりでございます。
○山添拓君 ですから、国会承認では、この審議を通じて承認する、承認を求められているこの議案は非公開にすることを前提になどはしていないと思うんですね。アカウンタビリティーと先ほど別の文脈ですが大臣は言われました。アカウンタビリティーというのは説明責任ということでしょうから、それをはなから非公開を前提にするというのは、これは到底納得いかないものだと思います。
〔理事佐藤正久君退席、委員長着席〕
私が指摘をしますのは、今日午前中も日米合同委員会の話が出てきました。合同委員会を公開せず、議事録も原則非公開とする扱いは、日米地位協定における合同委員会に倣ったものです。その下でどんなことが起きているのかと。
二〇二三年一月、米軍横田基地から九百五十リットルものPFASが漏出した問題について、私はその年十一月の報道直後にこの委員会で質問をし、昨年六月にも質問いたしました。いずれも、その時点では米側に確認中という政府の答弁でした。ところが、今年四月三十日になって米側の報告書で漏出があったということが公表され、これはネット上で全世界に公にされました。五月二十日の当委員会で尋ねますと、防衛省は、初めてかつしれっと漏出があったということはお認めになって、ただ、詳細はいまだに明らかにしておられません。
東京新聞の報道によれば、漏出があった二三年六月の日米合同委員会の分科会で、日米の関係機関が事故を公表しない方針で合意したとされております。要するに、日米で、合同委員会の下で隠す合意をしたからこの国会でも言えなかったということではありませんか。
○政府参考人(田中利則君) お答えを申し上げます。
御指摘の二〇二三年一月の事案でございますけれども、これにつきましては現在も米側に対して事実関係を確認しているところでございます。
その上で、委員から御指摘がありました昨年の東京新聞の報道にございますような、こうした非公開にするというような、そういう方針を決めたという、そういったことで合意したという事実はございません。
いずれにいたしましても、できる限り早期に米側から回答が得られるように働きかけを継続し、回答が得られ次第、関係自治体に情報提供をしてまいりたいと考えております。
○山添拓君 米軍基地内で漏出があったことについて公表するかどうかについて、協議をしたという事実はあるんでしょうか。
○政府参考人(田中利則君) 米側との間では、様々な案件について日常的なやり取りを行ってございます。この米側とのやり取りの内容についてお答えを申し上げるというのは差し控えさせていただければというふうに思っております。
○山添拓君 つまり、このようにブラックボックスになっちゃうわけですよ。日米間でPFASの漏出という、基地の外に住む、周辺に住む人たち、あるいは基地の中で働いている人にとっても重大な関心事ですけれども、その事実を公にするかしないか、協議をしたかどうかさえ明らかにされないと。
先日、この二三年一月の漏出について米側から日本政府はいつ聞いたのかと尋ねましたら、今と同じです、やり取りの詳細は米側との関係もあってお答えを差し控えたい。米側とはこうやって忌憚なくやり取りをしているのに、国会で聞かれても住民に対しても説明をしないと。いまだに詳細を確認中だと言ってこの場でお答えにならないのも、これもやはり合同委員会でそういう約束をしたから、その結果だと言われても仕方がないと思うんですね。合同委員会で非公開にするという約束はないとおっしゃったんですけれども、そのことを示す議事録もないわけですから、それはこう言われても仕方ないと思います。
私は、こうした、国会に説明せず、自治体にも住民にも事実を伝えずに、PFAS対策も遅らせてきたブラックボックスと言うべき合同委員会をイギリスやオーストラリア、そしてフィリピンと、次々と拡大していくなど言語道断だと思います。
次に、フィリピンとの間の武器輸出をめぐる協議体の問題で聞きます。
今年二月の防衛相会談で、日本とフィリピンがより幅広く長期的な防衛装備・技術協力について協議するためとしてハイレベルの協議体の設置を合意しています。これまでに何回行って、何について協議したのでしょうか。
○政府参考人(坂本大祐君) お答えを申し上げます。
フィリピンは戦略的要衝に位置する日本の戦略的パートナーでございまして、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、フィリピンとの間で防衛装備移転などの様々な分野で協力を強化してきているところでございます。
委員御指摘ありましたとおり、本年二月のフィリピンとの間の防衛相会談におきまして、まさに幅広く長期的な防衛装備・技術協力について協議するための防衛装備当局間のハイレベルの枠組み、日本側はこれ審議官級でございますけれども、の新設に合意をしております。これまでには四月に一回実施をしたところでございます。ここの中では両国間の防衛装備・技術協力について議論を行っているわけですけれども、今後も双方に利益のある形で協力を更に進めることで一致をしたところでございます。
二〇二〇年にレーダー四基の納入の契約が成立しておりますけれども、これに続く装備移転案件につきまして、複数の案件について事務的に協議を進めており、今後も引き続き更なる装備移転の実現に向け努力してまいりたいと考えております。
○山添拓君 今複数の案件とおっしゃいましたが、具体的にはどのような対象について議論があるのでしょうか。また、その協議の記録というのは公開されていますか。
○政府参考人(坂本大祐君) お答えを申し上げます。
協議をしている案件につきましては、相手国との関係もございますので、相手国も明らかにしていないものでございますので、詳細については差し控えさせていただきます。
○山添拓君 記録の公開についてはお考えにならないでしょうか。
○政府参考人(坂本大祐君) 今申し上げたとおりでございますけれども、現時点におきましては、内容について、相手国との関係もありますので、記録を含めて差し控えさせていただきたいと思います。
○山添拓君 どういう兵器であれば売り込めるかという、その商談まがいの協議はそれ自体私は大問題だと思いますが、ここでも議事録は公にしないと、そして合意すれば決まったことだと言って進めるつもりでおられるわけです。私は国会軽視が甚だしいと思いますね。
四月四日から五月九日にかけて米国とフィリピンが主催した多国間共同軍事演習、バリカタン二五が行われ、自衛隊が初めて参加しています。なぜ初めて参加したのか、どのような訓練か、大臣、御答弁ください。
○国務大臣(中谷元君) 本年四月四日から五月九日の間、このバリカタン二五に参加しました。
この訓練において、海上自衛隊の護衛艦「やはぎ」を派遣をしました。また、多国間海上機動訓練に参加するとともに、統合幕僚監部、陸海空自衛隊員等の要員が人道支援、災害救援に係る幕僚訓練等に参加をいたしました。
この訓練は、自由で開かれたインド太平洋、この実現に取り組んでいくために参加をしたわけでございます。
○山添拓君 バリカタンというのはタガログ語で肩を並べてという意味だそうです。
五月十二日付けのジャパン・タイムズで、フィリピン陸軍のマイケル・ロジコ准将が単独インタビューに答えています。RAAの実施手続が整えばすぐ、早ければ来月実施予定の演習の構想の策定に日本の関与を得るつもりだと述べております。
RAAの整備によってこれまでと何かが変わるのでしょうか。防衛省にお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(大和太郎君) お答え申し上げます。
現状では、フィリピンの国内法により、フィリピンの領域内で自衛隊の部隊が人道支援、災害救援以外の実動訓練を実施することは基本的にできませんが、日本とフィリピンのRAAが発効すれば、これ以外の共同訓練を実施することができるようになるというふうに承知をしているところであります。
○山添拓君 要するに、訓練を一層拡大していくということであります。
元々、これは米比の共同軍事演習です。今回はオーストラリアと日本が参加をしました。
ところで、米国とフィリピン、米国とオーストラリアの軍事同盟における関係は、日本とこれらの国々との関係とは異なります。それは日本に憲法九条があるからです。自衛隊の活動は、憲法の制約を受け、政府の従来の解釈によれば専守防衛と、自衛のための必要最小限度の実力行使しか許されず、集団的自衛権の行使は認められません。安保法制で解禁を図った際にも、存立危機事態などといって限定的な場面でのみ認められるとして、フルスペックの集団的自衛権ではないと説明してきました。
防衛省に伺いたいんですが、こうした制約、憲法上の制約を共同演習に参加する他国に対して説明しているのでしょうか。しているとすれば、どのように説明しているのでしょうか。
○政府参考人(大和太郎君) お答えいたします。
自衛隊が実施する訓練、演習は、所掌事務の遂行に必要な範囲で行っておりまして、憲法を始めとする国内法令にのっとって実施されるのは当然のことであります。
その上で、共同訓練・演習の実施に当たりまして、自衛隊の活動に関わる憲法上の制約については、相手国との調整過程において必要に応じて適切な形で説明をしているところであります。
○山添拓君 憲法の範囲内でと。当たり前なんですけどね。当たり前なんですが、必要に応じて適切にと言われるだけでは、何をどう説明されているのかというのは、これは全く分かりません。
そして、共同演習について実施されたらプレスで発表がありますけれども、そのどこを読んでも自衛隊の制約について書かれてはいないんですね。ですから、私は、演習段階から既に憲法を置き去りだと指摘せざるを得ないと思います。
先月三十一日、シンガポールで行われた日米豪比の国防相会談について伺います。資料をお配りしています。
共同声明の情勢認識、冒頭、中国による東シナ海及び南シナ海における一方的な現状変更の試みについて、継続的で深刻な懸念を表明したとしています。昨年五月の共同発表では、東シナ海、南シナ海の状況について深刻な懸念を表明したとあるだけで、この海域の懸念として中国を名指しするのは初めてです。
大臣、その理由について御説明ください。
○国務大臣(中谷元君) 今般の日米豪比の防衛相会談では、かなり詳しく情勢認識を述べ合いまして、その結果、共同声明にも記述をしましたが、中国による東シナ海、南シナ海における不安定化をもたらす行動及び力又は威圧による一方的な現状変更の試みについては、引き続き深刻な懸念を表明をするとともに、国連の海洋法条約を始めとする国際法を遵守し、航行及び上空の飛行の自由を守ることの重要性を確認した、これは四か国で真剣に議論した結果、一致した意見でございました。
その上で申し上げますと、中国は、軍事力を背景として、東シナ海、南シナ海において、力による一方的な現状変更の試みを継続、強化をするとともに、我が国周辺での軍事活動を拡大、活発化をさせておりまして、我が国としては、このような中国の軍事行動等は我が国としての国際社会の深刻な懸念事項であると認識をいたしております。これは防衛省の公式見解でございます。
こうした認識を踏まえて、日米豪比の四か国において調整の上、共同声明において懸念を表明したところでございます。
○山添拓君 大臣自身が会談の中で、東シナ海や南シナ海で中国はこれまで以上に活動を活発化させていると述べ、出席していた米国のヘグセス国防長官も、中国による前例のない軍備増強に直面していると述べたと。こうして、やはり対中包囲網強化のための会談だからこそ、名指しをし対外的にも知らしめる、そういう狙いだということになるんでしょうか。
○政府参考人(大和太郎君) 中国の名前を出したということでございますけれども、これは初めてのことではございませんで、日米豪比の四か国では、これまでも地域における共通の課題について議論を重ねてきておりまして、例えば、昨年五月の日米豪比防衛大臣会談後に発した共同発表においても、東シナ海、南シナ海の状況や、中国によるフィリピン船舶の公海における航行の自由の行使に対する度重なる妨害などについて深刻な懸念を表明しているところであります。
先ほど大臣から申し上げましたとおり、そもそも我が国の認識として、中国が軍事力を背景として、東シナ海、南シナ海において、力による一方的な現状変更の試みを継続、強化するとともに、我が国周辺での軍事活動を拡大、活発化させていて、我が国としては、こういう中国の軍事動向などは我が国と国際社会の深刻な懸念事項であるというふうな認識に立っているところであります。
今般の会談の共同声明も、これまでのこうした我々の認識、それから関係国との議論を踏まえた記載であるということであります。
○山添拓君 いや、具体的な問題についての記述はこれまでもあったと思います。しかし、一般的に海域の問題として名指しをしたのは初めてだと思います。
そして、私も、中国による東シナ海や南シナ海、現状変更の試み、これに対しては厳しく批判をすべきだと思います。しかし、こうして日米豪比と国防相会談の中でそれをアピールする狙いをただしております。それがもたらす意味の問題ですね。
共同声明の二つ目の項目には情報共有の向上が挙げられ、南シナ海及びインド太平洋地域における共通の情勢認識の確立のため情報共有の重要性を認識したとあります。なぜこの四か国での情報共有が必要なのでしょうか。
○政府参考人(大和太郎君) お答え申し上げます。
フィリピンとの間でより高度な運用面の連携を進めていくためには、機微な防衛関連情報も含めて情報共有を行うことが必要となります。今回の会談及び共同声明では、米フィリピン間で秘密軍事情報保護協定、GSOMIAが締結されたことを歓迎しつつ、さらに、日本とオーストラリアがフィリピン側との間における類似の協定に向けた二国間の議論を進めていくことも歓迎いたしました。
具体的な情報の保護の在り方については、今後、フィリピンとの間で議論を深めていく考えであります。
○山添拓君 二日付けのジャパン・タイムズでは、共通運用状況図、COP、いわゆる共通作戦図を確立するためと報じられています。そういう意味なんでしょうか。
○政府参考人(大和太郎君) フィリピンと、繰り返しになりますけれども、フィリピンとの間でより高度な運用面の連携を進めていくためには、やはり機微な情報も含めて情報共有を行うことが必要となります。今後、繰り返しになりますけれども、具体的な情報の保護の在り方については議論を深めていく考えであります。
○山添拓君 これは否定をされませんでしたけれども、共通作戦図というのは、簡単に言えば戦場の見取図ですね。異なるセンサーの情報を融合し、攻撃や防御に必要な作戦上の情報を同一の画像にリアルタイムに示して、指揮官の意思決定を支援するシステムです。
これを四か国で、今フィリピンとの関係だけ言われましたが、四か国の国防相会談です。四か国で確立するというのは、一体的な武力行使の準備であり、これはつまり大臣の言うワンシアター構想の具体化にほかならないと思うんですね。
防衛相会談が行われたのは、アジア安全保障会議、シャングリラ会合のシンガポールです。ヘグセス氏は演説で、中国がアジアで覇権国家になろうと努めている、米国は戦争を抑止し、力による平和を達成するため戦いに備えているなどとあおって、フィリピンのテオドロ国防相も、中国とは対話のための信頼関係がないなどと言って同調しました。
一方、フランスのマクロン大統領は、米中対立は現在世界で最も大きなリスクと言い、米中どちらかに付くことを選べば、私たちは世界秩序を破壊することになるだろうと述べています。ASEANの議長国であるマレーシアのアンワル首相は、橋の代わりに壁を築き、軍備競争をあおり、多国間主義の正当性を掘り崩すような連合に対して異議を表明し、安定した地域とは紛争に備えた地域ではなく、開放性、透明性、協力の習慣が根付いた地域だと訴えました。
ちょっと最後に大臣に伺いたいんですが、シャングリラ会合というのはアジア安全保障会議であって、米国に付くのか中国に付くのかと、その対立を激化させるための場ではないはずだと思います。認識を伺いたいと思います。
○国務大臣(中谷元君) そういうことではございません。
アジア各国の防衛大臣、国防大臣が集まって、それぞれの情勢を述べたり、またそれぞれの国の考え方や方針を述べて、目的としては、この地域の平和の安定を保つためにはどうしたらいいかというのがテーマでありますが、そのことについて各国で協議をし、意見を述べ、そして情報交換をする、そういう場でございます。
○山添拓君 私、先ほど外務大臣が、韓国の問題について、引っ越すことのできない永遠の隣人だと述べられたのは大事な視点だと思うんです。中国もそうです。
ですから、中国に対して脅威とならないよう求める、当然のことだと思いますが、そうであれば、力による平和を公言する米国を中心に、力対力の関係強化を図るような、そういう挑発をすべきではありません。対話と協力の外交にこそ力を注ぐべきだということを指摘しまして、質問を終わります。
○山添拓君 日本共産党を代表し、日・フィリピン部隊間協力円滑化協定及び日・イタリア物品役務相互提供協定の承認にいずれも反対の討論を行います。
日・フィリピン部隊間協力円滑化協定は、日本の自衛隊とフィリピン軍との間で、相互に相手国を訪問し、共同訓練を始めとする協力活動を一層行いやすくするために、訪問部隊が相手国に滞在する際の各種手続や法的地位を定めるものです。
安保三文書の一つ、国家防衛戦略は、米国のインド太平洋地域における軍事戦略を前提に、中国の対外姿勢と軍事動向を深刻な懸念事項、最大の戦略的な挑戦と位置付け、同志国等との連携の強化を明記しました。この下で政府は、フィリピンに対する政府安全保障能力強化支援、OSAによる警戒管制レーダーの供与等を進め、米比の軍事演習バリカタンに初参加するなど、戦争体制づくりを強めています。
本協定は、日米同盟を中心に、抑止力強化の名の下に自衛隊の海外活動と外国との共同の軍事活動の更なる強化を図ろうとするものであり、憲法九条に反し、認められません。
また、本協定は、フィリピン軍の構成員等が公務中に起こした犯罪について、日米地位協定と同様、派遣国に第一次裁判権を与えています。外国軍隊の活動のために重要な国家主権を制限することは認められません。
加えて、フィリピンは、日本と異なり、既に二〇〇六年に死刑を廃止しており、公務外に日本の刑法下で死刑が科されるような重大な罪を犯した場合、フィリピン側は身柄の引渡義務を負わず、重大な犯罪ほど日本が裁判権を行使できなくなるおそれがあります。極めて不平等です。
さらに、協定実施のための協議機関である合同委員会は、日米合同委員会などと同様に、議事録さえ公開されないおそれが強く、国民に知らせることなく種々の取決めを行うことになりかねません。
日・イタリア物品役務相互提供協定は、自衛隊とイタリア軍との間で物品、役務を相互に提供する際の決済手続の枠組み等を定めるものです。日米ACSAなどと同様に、安保法制の下で、平時から集団的自衛権の行使が可能とされる存立危機事態に至るまで、部隊間相互の物品、役務の支援を担保するもので、相手国の艦艇や発進準備中の戦闘機への給油、整備も対象となり得ます。他国の武力行使と一体化した後方支援をも担保する協定であり、憲法九条に違反します。
イタリアとの間でも、同志国等との連携の強化の一環として軍事協力が強化され、日英と次期戦闘機の共同開発を進めるほか、自衛隊の艦艇や航空機を派遣する共同訓練も増加しています。本協定は、こうした両国の軍事協力を一層加速させるものであり、容認できません。
以上、討論とします。