- 2026年5月21日
- 内閣委員会、法務委員会、外交防衛委員会連合審査会
市民の監視強まる危険 国家情報会議設置法案
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
法案の柱は、安全保障など重要情報活動について調査審議する官邸直結の国家情報会議を設置するというものです。そこで、安全保障に関する情報に対する政府の姿勢をただしたいと思います。
米国のイラン攻撃は、当初からその法的根拠が疑われていますが、トランプ大統領はイランの核開発を差し迫った脅威として正当化しました。資料をお配りしておりますが、ところが、三月十八日、上院の公聴会に国家情報長官のトゥルシ・ギャバード氏が提出した書面では、昨年六月の核施設攻撃、真夜中の鉄槌作戦の結果、イランの核濃縮プログラムは完全に破壊された、以来、濃縮能力を再建しようとする動きは一切ないなどとするものでした。つまり、差し迫った脅威を否定するものだったわけです。ギャバード氏は証言の際、事前に用意した書面のこの部分を読み飛ばし、民主党議員から、大統領が差し迫った脅威があると発言しているから省略したのかと、そういう突っ込みも受けています。また、この前日には、国家テロ対策センターのトップだったジョー・ケント氏が、イランは差し迫った脅威ではなかったと記した書簡を提出して、辞任しました。
官房長官に伺います。米国が差し迫った脅威もなく攻撃したなら当然国際法違反です。その重大な疑念が当の米国で複数示されております。米国側に情報を求めたのでしょうか。
○内閣官房長官(木原稔君) 米国の主張に基づいて政府として有権的に解釈するという立場にはありませんが、今の委員の御質問については外交上のやり取りにつき、お答えすることは差し控えさせていただきます。
○山添拓君 差し迫った脅威があるのかないのか、その内容についてどう判断したのか、求めてもいないということですか。
○国務大臣(木原稔君) 繰り返しになりますが、政府としては、米国にとって何が差し迫った脅威であるか、これを有権的に解釈する立場にはないということを申し上げます。
○山添拓君 先ほど官房長官は安全保障環境は厳しいと、それを読み解くことが大事だとおっしゃったばかりでした。そのために情報交換も必要だということも述べられましたが、この間政府は、詳細な情報を持ち合わせていない、だから法的評価は避けると。しかし、そもそも詳細な情報を求めようともしていないのではないかと。それどころか、総理は早くも三月十六日の予算委員会で、今はもう各国、国際法的な評価よりも事態の早期鎮静化に議論が移っていると、こう述べて、昨日の党首討論でも同様の主張を繰り返していました。つまり、国際法など二の次、三の次と。
インテリジェンスが重要ということを言われます。しかし、安全保障に関する情報への政府の態度は、私は極めて政治的だと思います。その官邸と情報機関が直結し、官邸の求める情報を収集、提供させる。これでは不都合な情報から目を背け、危うい戦争に導きかねません。おとといの参考人質疑では、政治家が関わることで民主的統制が強まる、そういう意見も出されておりましたが、むしろ政治の思惑が優先する、その危うさを私は指摘しておきたいと思います。
もう一つの大きな問題が市民監視が強まる懸念です。政府は、法案によって情報機関の権限が変わるわけではないと説明します。しかし、変わらないこと自体が大問題です。総理は、政府の政策に反対するデモや集会に参加していることのみを理由にして、普通の市民が調査の対象となることは想定し難いと述べています。今日も議論がありました。官房長官、この普通の市民というのはどういう人ですか。
○国務大臣(木原稔君) これは、衆議院の内閣委員会で長妻議員が、お答えされた、その言葉に尽きると思いますが、我が国に対してそういった影響工作であるとか、あるいは不正な手段をもってそういった工作をしてくる、そういった方を除く市民の方々を普通の市民というふうに言っております。
○山添拓君 二〇二五年三月二十五日、東京高裁は、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構、旧動燃による元職員六名に対する差別的取扱いを認定し、賠償を命じました。
判決は、旧動燃が、七〇年代から労働組合で使用済核燃料再処理工場に反対するなど、安全を軽視する動燃の姿勢を批判する勢力が影響力を持った、そういう事実を差別の背景として言及し、八六年頃までには共産党員ないしその同調者と目される組合員の思想傾向を、判定と評してA、B、Cなどとランク分けして差別的取扱いがあったと認めています。
旧動燃は、非良識派と分類した職員を中心的な業務から排除し、新人研修で彼らに近づくなと教育し、他の職員に影響を広げにくい職場へと異動させ、昇給昇格あるいは賃金、同期同学歴の職員と格差を付け、長年昇給昇格を止めるなど差別的に扱いました。また、この判定を受けた者には良識派への転向を働きかけ、転向したと認められる者については差別的扱いを止める復権運動なども行いました。全て裁判で認定された事実です。その事実認定の決め手となったのは、原告側が提出した西村ファイルの一部です。動燃総務部次長だった西村成生氏は、「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故の調査中に自殺したとされます。その自宅で発見された大量の資料です。
資料の三を御覧ください。
これは、適性判定表と呼ばれる資料の一部です。原本はB4で十三ページあり、当時、動燃東海事業所に所属した百三十四人がリストアップされておりました。氏名、採用年次と所属、昭和五十五年度の判定、五十六年度の判定、さらに五十七年度の判定と、そう判定した理由、同調者、日共、誰それの結婚式に出席していた、わらび座のポスターに名前を連ねていたなど書かれています。
注目いただきたいのは、右上の欄なんですね。凡例、丸良と、これは良識派、丸勝、これは勝田署、丸公、公安調査庁、丸県、県警、これらの情報を基にすると書かれています。良識派というのは、組合対策や選挙対策のための動燃内のインフォーマル組織です。しかし動燃内部だけでなく、勝田署や公安調査庁、県警からも情報を得ていたという証拠です。
警察庁に伺いますが、こうした情報収集も、警察法二条に基づく公共の安全と秩序の維持のための適法な活動でしょうか。
○警察庁 警備局長(千代延晃平君) お答えいたします。
まず、警察は訴訟の当事者ではございませんで、お尋ねの資料の詳細についても承知しておりません。また、係争中の事案に関する事柄でもございますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
その上で、一般論として申し上げれば、警察の情報収集活動につきましては、目的の正当性、行為の必要性及び相当性という基本原則を遵守して行われるべきこと、また個人情報の取扱いにつきましては、個人情報保護法等の関係法令に基づいて行われるべきことは当然でございまして、引き続き各種警察活動を適切に実施してまいりたいと考えております。
○山添拓君 公安調査庁はいかがですか。
○公安調査庁次長(霜田仁君) お答え申し上げます。
私ども公安調査庁は破壊活動防止法及びいわゆる団体規制法に基づきまして、破壊的団体等の規制に関し必要な調査を行っているところでございます。これら法律には、公共の安全の確保に寄与するという目的を達成するために必要最小限度においてのみ調査を行うべき旨規定されているところでございまして、私どもにおきましては、こうした法の、従いまして適正に調査を実施しており、法の趣旨を逸脱した調査を行っているとの認識はございません。
以上です。
○山添拓君 適正な調査の結果がこれだと言わんばかりの話です。
この事実は、判決でこの西村ファイルの信用性が認められ、多くの従業員の思想傾向やそれを裏付ける行動等について警察や公安調査庁からの情報提供などを含む調査を行い判定をしていたと、これ認められている問題です。
警察庁に伺いますが、こうして収集した情報を動燃一事業者に提供する、これはいかなる法的根拠で認められるのでしょうか。
○政府参考人(千代延晃平君) お答えいたします。
お尋ねの東京高裁の判決に係る訴訟につきましては、警察は訴訟の当事者ではなく、また係争中の事案に係る事柄であるところ、その判決における事実認定を前提に答弁することはできないということを御理解いただければと思います。
警察では、個人情報の取扱いにつきましては、個人情報の保護に関する法律等の関係法令に基づいて適正に行っているところでございまして、個人情報保護法等の関係法令にのっとり適切な判断をしております。
○山添拓君 では、ここに認定されたような事実はないと断言されるわけですか。
○政府参考人(千代延晃平君) 繰り返しで恐縮でございますけれども、警察は訴訟の当事者ではございませんで、また係争中の事案に関する事柄でございますので、お答えは差し控えさせていただきます。
○山添拓君 訴訟の当事者でなければ係争中でも答えて構わないと思いますけどね。
公安調査庁、いかがですか。収集した情報の動燃への提供、いかなる法的根拠で認められるんでしょうか。
○政府参考人(霜田仁君) お答え申し上げます。
ただいま警察庁からも答弁がございましたとおり、御指摘の訴訟につきまして、現在係争中でございます。また、私ども公安調査庁も訴訟当事者ではございませんので、お答えを差し控えさせていただければと思います。
○山添拓君 こうしたことをやっていないとは一言も言われないんですね。一言も否定されない。
係争中の事案、確かに今最高裁にかかっていますが、事実関係はもう高裁で確定しております。ですから、これはもう認定された事実なんですよ。ところが、それについて調べていただくようお願いしましたが、やったともやっていないとも言わない、否定されないということ自体が私は重大だと思うのですが。
官房長官、動燃という国の機関が労働者の思想状況をことごとく調査し、判定し差別していたと、それ自体、私は中立性が求められる職場で真っ向から反するものだと思いますが、情報機関である警察や公安調査庁もこれに協力し、一緒になって差別を推進していた。判決で認定されている事実です。既に事実関係は高裁段階で確定している問題です。これ極めて深刻だと思います。
聞いてどう思われますか。これが情報機関による適法な活動でしょうか。こうした情報収集、事業者に対する提供、変わらないと言ってこれからも続けるのでしょうか。
○国務大臣(木原稔君) 関係機関が行う今参考人が申し上げたような各種の活動が、これが関係法令等を遵守した上で適正に行われるべきこと、これは当然であると考えております。組織として必要な業務管理が行われることや、また個人情報保護法を含む関係法令についての理解が徹底されることが重要であると考えています。
○山添拓君 官房長官、この調査情報を動燃に対して提供している、適法だと思いますか。捜査、収集も情報提供も、これは公共の安全や秩序の維持に関わることでしょうか。労働者のプライバシーに関わる問題を洗いざらい調べて、しかも情報提供するわけです。適法だとお感じですか。
○国務大臣(木原稔君) この時点で適法かどうかという私のコメントについては、係争中ということでございますから、差し控えたいと思います。
○山添拓君 適法だと断言できないわけですよね。違法だということも言われない。私はその姿勢自体が、そうした下で、更に情報集約を強めるような法案をこれまでと変わらないと言って押し通そうとする、それ自体が大問題だと考えます。
この警察などの情報には、もしかしたら皆さんの中には共産党ならしようがないとお感じの方いらっしゃるかもしれない。でも、それだけじゃないんですよ。例えば、県議の家に出入りしているとか、誰それの結婚式に出たかどうかとか、日常的な監視がなければ得られない情報があります。動燃内部の情報収集では、さらに、創価学会、手話の会のボランティアをしている、誰々と付き合っていて、出勤時には車に乗せている、事細かに収集されています。誰もが監視対象。そして、対象も、デモや集会に参加していたかどうか、それにとどまらない話になっています、網羅的です。情報収集インテリジェンスというのは結局そういうものだと思いますよ。
原告らが仮に核燃料サイクルに批判的な意見を持っていたとしても、また仮に共産党員はその同調者であったとしても、それは普通の市民ですよ。大体、核燃料サイクル、既に破綻していますよね。当時の忠告を聞いていれば、違った未来もあったんではないかと私は思いますが。
この情報機関の異常な行動についての自覚も反省もなく一層の情報集約を進め、権利侵害を強めるなど断じて許されない。この点指摘して、質問を終わります。