2026年・第221特別国会
- 2026年6月16日
- 外交防衛委員会
軍事協力 民間医療機関に
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
六月二十二日から実施される米軍主催の多国間訓練、バリアント・シールド、また、九月に予定される米豪共同訓練、オリエント・シールドのために、米陸軍のミサイルシステム、タイフォン及びHIMARSを鹿児島県鹿屋基地で展開するとされます。資料をお配りしております。
タイフォンは、敵基地攻撃可能なトマホークや対空迎撃ミサイル、SM6を運用する車両搭載型のミサイル発射装置です。HIMARSは、車両一体型の高機動ロケット砲システムとされます。これを訓練に参加させるのは、日米一体の攻撃態勢を示すものであり、とんでもないと考えます。
その上で、防衛大臣に伺います。
この資料を見ますと、鹿屋からの撤収後、在日米軍基地に保管とあります。どこにいつまで保管させるのでしょうか。これは正式配備という意味でしょうか。
○防衛大臣(小泉進次郎君) まず、我が国周辺の安全保障環境が一層厳しく複雑になる中、我が国への武力攻撃そのものを抑止するため、日米同盟の抑止力、対処力を強化していくことが重要だと考えていますので、その点から、前提となる認識が違うということで、まずその点を踏まえた上でお答えさせていただきます、先生はその真逆の理解なので。
こうした状況を踏まえまして、今月二十二日から実施されるバリアント・シールド二〇二六等の日米共同訓練に参加するため、アメリカ陸軍のミサイルシステム、タイフォンとHIMARSが海上自衛隊鹿屋航空基地に一時展開します。今般の取組はあくまで訓練参加に伴う一時的な展開であり、本年九月に実施される日米共同訓練、オリエント・シールド終了後に鹿屋航空基地から撤収します。その後、在日米軍施設・区域に保管される予定ですが、アメリカ側からは日本への恒久的な配備ではないとの説明を受けています。
防衛省・自衛隊としては、このような高い機動性を有する米軍のアセットを自衛隊施設に一時展開させ、共同訓練を積み重ねることは、米軍の機動展開能力を向上させるとともに、日米の即応性や相互運用性を向上させるものと考えておりますので、引き続き日米で連携して取り組んでいきたいと思います。
○山添拓君 前提認識が違うとおっしゃいましたけれども、抑止力、対処力の向上だとして、相手に対してこれだけの攻撃能力があるということを見せると、そこに意図があることははっきりしているかと思います。
大臣、もう一度伺うんですけれども、では、いつまで保管すると米側は言っているんですか。
○国務大臣(小泉進次郎君) まず、私が前提が違うと言ったのは、先生はこういう日米の共同訓練などを肯定的に捉えているのではなくて否定的に捉えているわけですよね。これ、我々は抑止力の強化だとしても肯定的にこういった訓練も積み重ねる必要があるというふうに考えているので、前提が真逆だというふうに私は申し上げました。
そして、いつまでだというこのアメリカの陸軍ミサイルシステムのお尋ねでありますが、これはアメリカ軍の運用の詳細に関することでありますから、お答えは差し控えます。
○山添拓君 要するに、分からない。正式配備につながっていくと思いますよ、これは。
米軍は昨年九月、岩国基地でもタイフォンを展開し、その後、長らく撤収準備中とした末に、十一月になってようやく撤収しました。HIMARSは沖縄の米海兵隊にも配備され、五月二十日、陸自東富士演習場で地元の抗議を無視して国道越え実射訓練を強行しました。大臣は抑止力、抑止力とおっしゃるんですけれども、地元には迷惑を掛けている。私は、このいずれも、なし崩しの配備は許されないと指摘しておきたいと思います。
バリアント・シールドや続く米海兵隊との共同訓練、レゾリュート・ドラゴン26では、共同衛生訓練が計画され、傷病者が発生した想定の下で治療と後送、米軍病院や自衛隊病院に患者を輸送する訓練が計画されています。
そこで、自衛隊病院の機能強化について伺います。
那覇病院や福岡病院、横須賀病院で、有事に備えて病床を大幅に増やし、診療科を新設する計画が進められています。計画の内容と予算の総額をお示しください。
○防衛省 大臣官房衛生監(日下英司君) お答えいたします。
現行の国家防衛戦略等においては、隊員の生命、身体を救うため、第一線から後送先までのシームレスな医療・後送態勢を確立するため、戦傷者の後送先となる各自衛隊病院の機能を強化することとしています。
具体的には、自衛隊那覇病院、自衛隊福岡病院、自衛隊横須賀病院の機能強化を行うこととしており、現行の防衛力整備計画に基づき、令和五年度以降、事態対処時における病床の拡張機能の追加や、戦傷医療に有用な診療科の増設、抗堪性を有する地下施設の設置など、施設の建て替えに伴う経費としてこれまでに約五百五十三億円を計上しています。
○山添拓君 具体的な御説明が十分なかったのですが、那覇病院では、平時五十床から有事に二百床に拡張可能にする、麻酔科や精神科を新設する、福岡病院では、平時二百床から有事に三百五十床まで拡張できるようにする、救急科や脳神経外科を新設する、横須賀病院、二十床増やし、平時でも百二十床体制、有事は二百床まで拡張し、救急科、放射線科、総合診療科を新設する計画です。
那覇病院で麻酔科を新設するのは、重傷者を県外に搬送することを想定しているのだと思われます。精神科はPTSDを発症した隊員を想定しているのだろうと思われます。この地域で多数の自衛官が死傷することを想定しているのですか。
○国務大臣(小泉進次郎君) 自衛隊の隊員の安心、そして、家族にとっても、自衛隊が提供できる医療の体制を強化することは極めて重要な課題であります。そして、事に臨んでは危険を顧みずという宣誓の下で任務に当たっている自衛官にとって、その事に臨んではということをしっかりと考えた上で、あるべき医療体制にしっかりと変革をしていくこと、これは当然です。
そして、先ほどHIMARSについて……(発言する者あり)いやいや、これ、印象操作なんで言っておかなければいけないのは、抗議の声を無視してHIMARSの二回目を行ったと言っていますが、私は地元の御殿場市に伺って、地元の首長の皆さん、そして地権者の皆さんに大臣自ら説明をしてくれと言われて、私が行って説明をさせていただき、その上で、地権者の皆さん、首長の皆さん、地域の皆さんに理解をしていただいた上でのHIMARSの二回目のあのテストです。ですので、印象操作になるようなこと、やめていただきたいと思います。
○山添拓君 住民の理解が得られているわけではありません。抗議の声も上がっております。自治体が合意したということのみをもって住民が全て理解したかのように言うことこそ印象操作です。私は、これは厳しく指摘したいと思います。
しかも、多くの自衛官が死傷することを想定しているのかという私の問いには、お答えはありません。昨年の……(発言する者あり)いや、お答えはありません。どこまで想定しているのか、お答えはありません。答弁席から着座のまま答えないでください。
昨年のレゾリュート・ドラゴンでも、那覇病院で、自衛隊、米海兵隊の医師が共同で治療、搬送訓練を行っています。血液製剤の確保、備蓄、医師以外の自衛官が行う救命措置を広げる訓令改定も行いました。抑止力といいながら、抑止が破れ、死傷者が生じる事態に備えていることは間違いありません。
自民党安保調査会の提言は、隊員が多数負傷した場合に備えた官民連携による病床、医療人材の確保を一層積極的に進めるべきとしています。防衛省は、有事に自衛隊病院が満床となった場合、民間の医療機関も協力してもらうことを検討しているといいますが、これは具体的にはどのようなことですか。
○政府参考人(日下英司君) お答えをいたします。
一般に、各種事態において発生する自衛隊員の負傷者は多様であると想定されますが、負傷者数によっては、自衛隊病院だけでは対応に限界があり、部外医療機関の協力が必要となる場合もあると考えています。
このため、防衛省・自衛隊としては、有事における医療提供体制について想定される負傷者数や傷病等を踏まえつつ、負傷者の後送態勢の在り方、どの程度の規模、機能を有する部外医療機関との連携が必要となるか、部外医療機関と自衛隊病院との連携体制をどのように構築するか等について検討を進めています。
その上で、防衛省・自衛隊としては、厚生労働省や関連団体等とも連携しつつ、部外医療機関等の協力が円滑に得られる体制の整備に努めてまいりたいと考えています。
○山添拓君 今、想定という言葉が出てきましたが、その具体は語られておりません。
私、自衛隊員が多数負傷する事態というのは住民も多く負傷することが想定されると思いますが、医療従事者も病床も軍事動員が優先されかねないと、そういうことを今お話しになっているんだと思うんですね。こうして自衛隊病院の病床を大幅に増やす機能強化が進められておりますが、一方で、一方で国民向けの入院病床は削減が続いております。
昨年度の地域医療構想は、全国で六万床の削減、一床当たり四百十万円の補助金まで出し、沖縄、福岡、神奈川、いずれもベッドを減らしてきました。更に十一万床を削ろうというのが与党合意でもあります。大臣、これは矛盾を感じませんか。
○国務大臣(小泉進次郎君) 今の山添先生の話を聞いていると、平時に最適化され過ぎてしまったというふうに私は講演で申し上げたことを松沢先生は評価をいただきましたが、私、この問題意識こそ平時に最適化されている代表例だと思いますね。
有事は起きないという前提で自衛隊の医療体制を考えるわけにはいきません。やはり、有事のことを想定をしたときに、自衛隊病院だけでできることって限りがあるんです。全国で十病院あります。私も年末に病院の中で年を越さなければいけない隊員の慰問に昨年末も伺っています。これは、自衛隊中央病院です。しかし、全国で、全国、自衛隊病院は十ありますけれども、私の地元横須賀にもありますが、その自衛隊の病院だけでは対応できないことが現実なんです。
だからこそ、その他国立の医療機関、そしてまた一般の病院、そういったところにどのような協力をしていただけるだろうかと、これを考えることがいけないと言われたら、これ、防衛省の仕事、自衛隊の任務、成り立ちません。どうかそこは御理解をいただきたいと思います。
○山添拓君 私は、大臣は有事に傾き過ぎだと思いますよ。今、平時でどの医療機関も逼迫しています。そのことは与党の皆さんも御承知だと思うんですよ。診療報酬が十分改定されず、物価高であり、人件費の高騰があり、その民間の病院に対しては病床削減を迫っているわけです。しかし一方で、自衛隊病院には機能強化といって病床を増やし、診療科を増やすと。
戦争に備えることを最優先する政治だからこそ、私はこんなちぐはぐが生じるんだと思います。有事に備えよといって戦傷者医療を強化し、実際に有事になれば、負傷した自衛官を治療してまた戦場に送るというのでしょうか、笑っておられますけれども。私は、戦争のための医療ではなく、平和あってこその医療だということを強調したいと思います。
自民党の提言は、また、防衛力の強化なくして我が国の平和と安定、繁栄はあり得ないなどとし、一層の軍拡が必要と主張し、予算にも言及があります。ただし、ここでは日本の軍事費の水準を具体的には掲げず、NATO諸国が二〇三五年までに対GDP比三・五%の目標に合意している、韓国は可能な限り対GDP比三・五%、オーストラリアも二〇三三年度までに対GDP比三%などと例示し、これらの国の取組も踏まえつつとしています。
大臣に伺いますが、我が国の防衛費、軍事費はNATO諸国や韓国やオーストラリアとの比較で決まるのでしょうか。
○国務大臣(小泉進次郎君) 我が国の主体的な判断で積み上げて、我が国が必要な防衛力の整備をしっかりと行ってまいります。
○山添拓君 では、三・五%など、GDP比で目標を持つことは今後しないということですか。
○国務大臣(小泉進次郎君) パーセントや数字ありきの議論はしません。主体的に議論を積み上げた結果、我々がこれからも防衛力として必要なものをしっかりと要求したいと思っています。
○山添拓君 一方、現行の国家安全保障戦略は二〇二七年度GDP比二%と定め、高市政権は昨年秋、補正予算と合わせ二五年度二%を前倒し達成しました。その際も、積み上げ、結果として、そういう説明がされましたが、二%の数字ありきは明らかでした。
そこで、大臣に改めて伺うんですが、厳しい安全保障環境に対応する予算の水準をGDP比で論じてきたのはなぜなのでしょうか。GDP比は抑止力とどう関係するのですか。
○国務大臣(小泉進次郎君) 今世界中で、この前のシャングリラ会合でもそうですが、やはりどれだけの防衛力を整備をする意思があるのかということは各国の重要な議題になっています。
その中で、アメリカが言っているようなパーセンテージだけではなくて、例えば、今、台湾が五%ですか、韓国は三・五、そしてオーストラリアは最近発表した戦略の中では三・二、NATOの国々三・五、こういった中で、やはり世界中の中で、厳しい安全保障環境の中で、そのそれぞれの国はどこまで安全保障政策にコミットするのか、そういったことについて一定の議論がなされていることも事実です。
一方で、申し上げているとおり、我々として必要なものを要求した結果、それがどれだけになるのか、この主体的な議論の積み上げが不可欠だということは言うまでもありません。
○山添拓君 私は、大臣がおっしゃるとおり、あのシンガポールのシャングリラでヘグセス国防長官が言っておりますが、同盟国などに三・五%まで防衛費の増額を求めた。つまり、軍事費を増やすに当たってGDP比が意味を持つとすれば、それは結局、同盟国やパートナー国間で牽制し合う際の物差しにすぎないんじゃないかと。どこがどれだけ負担しているかということをお互いに示し合うためのそういう物差しにすぎないんじゃないかと思うんです。いかがですか。
○国務大臣(小泉進次郎君) 私からすれば、それは、ヘグセス長官との中で、日本は信頼するパートナーだから要求することはないと、こういうふうにもう昨年の十月に言われていて、今もその認識に変わりはありません。その言葉に尽きると思っています。
なので、この日本の戦略三文書の改定は世界が注視をしているというのはそのとおりであると思いますし、我々として、地域の平和と安定をしっかりと担う、そういった意思を、しっかりと誤解なく意思として、また我々の覚悟としても伝わるようなものを作っていかなければならない、要求しなければいけない、防衛大臣として当然の責務だと思っています。
○委員長(里見隆治君) 申合せの時間が参りましたので、おまとめください。
○山添拓君 時間ですので終わりにしますけれども、要するに、日本は言われなくても上げるからだろうということでもあると思うんですね。
私、従来の一%というのも、経済成長すれば金額が増えますから固定的なものとは言えませんでした。しかし、憲法九条に基づく平和国家、軍事大国にならないというメッセージとして、歯止めとして機能してきたと思います。今、新しい戦い方、継戦能力、こう言って際限なく抑止力強化を図ろうとするときに、GDP比で軍事費で語るのは、歯止めというよりは金額ありきの軍拡の口実にしかならないと。しかも、まともな財源論もありません。
やめるように求めて、質問を終わります。