2026年・第221特別国会
- 2026年6月18日
- 外交防衛委員会
イスラエルによるレバノン攻撃 沈静化への逆行/陸自88式ミサイル フィリピン演習で実弾射撃 自衛の範囲超える軍事的威嚇/日・フィリピン、日・オランダ、日・ニュージーランド物品役務相互提供協定(ACSA)反対討論
○山添拓君 ありがとうございます。
戦闘行為、一刻も早く終わらせるべきだと考えます。引き続きの外交努力を求めます。
フィリピンとのACSAに関わって質問いたします。
今年四月から五月に実施された多国間統合演習バリカタン二〇二六は、米国とフィリピンが主催し、日本は今年初めて本格参加しました。昨年、部隊間協力円滑化協定、RAAが発効し、武器や弾薬を持ち込みやすくなったことを受けてとされます。
先ほど防衛大臣からもありましたが、自衛隊は千四百人規模を派遣し、五月六日には、ルソン島パオアイの海岸から八八式地対艦ミサイル二発を発射、防衛大臣も現地で視察をしておられました。自衛隊がフィリピンとの演習で実弾発射訓練を行ったのはこれが初めてです。
中国が、南シナ海上、フィリピンの排他的経済水域内で人工島を造成するなど、国際法違反を繰り返していることは容認できません。一方、我が国の安保政策は特定の国や地域を念頭に置いたものではないと説明されてきました。あえてこの地域で実弾発射訓練を行ったのはなぜか、防衛大臣に伺います。
○防衛大臣(小泉進次郎君) 今日御指摘いただきましたバリカタン、これについてお答えさせていただきます。
先生御指摘のとおり、防衛省・自衛隊は、本年四月から五月にかけて、アメリカ、フィリピンが主催をするバリカタン二六に参加しました。この訓練には、日本の今の御指摘のあった八八式の地対艦誘導弾だけではなくて、アメリカの地上配備型トマホーク、そしてフィリピンのブラモスミサイル、これに加えて日本の地対艦ミサイルが参加をしたということです。
今回の訓練への参加により、フィリピン国内では初めての八八式地対艦誘導弾の実弾射撃が実現したものであり、同盟国、同志国の対処力が大きく飛躍したことを示すとともに、連携が深化をしている象徴となりました。私自身、フィリピンのテオドロ国防大臣とともにこの実射訓練を視察し、日・フィリピン間の連携強化に向けた新たな第一歩を直接確認することができました。
フィリピンは、我が国のシーレーンの要衝に位置する戦略的に重要な国であり、また、同じ海洋国家として、防衛面での協力強化が不可欠なパートナーです。引き続き、フィリピンとの防衛協力関係を更に発展させていきたいと考えています。
その上で、日本とフィリピンの防衛協力は、透明性を有し、両国及び地域の抑止力の強化を目的としたものであり、地域の緊張を高めるものではなく、むしろ地域の平和と安定の確保に資するものだと考えております。
○山添拓君 という御説明なのですが、これは攻撃型のミサイルです。訓練であっても、自衛隊が国外で攻撃型ミサイルを発射する、これは自衛の範囲を超え、海洋進出を強める中国に対する軍事的威嚇に当たるものだと考えます。
陸上自衛隊は、また、来月一日まで行われる米比海兵隊主導の実動訓練、カマンダグ二六にも参加を発表し、空挺作戦、CBRN対処訓練、CBRNというのは化学、生物、放射線、核攻撃への訓練を行うとして、第一空挺団、中央特殊武器防護隊などが参加するといいます。
防衛省に伺います。
共同通信は、十五日、自衛隊が台湾に近いフィリピンの島でパラシュート降下訓練を実施する方向で調整中と報じました。事実でしょうか。どのような理由で行うものでしょうか。
○防衛省 防衛政策局長(萬浪学君) お答え申し上げます。
御指摘ございましたカマンダグにつきましては、陸上自衛隊が、六月十五日から七月一日にかけまして、フィリピンにおきまして、アメリカ、フィリピンが共催する訓練でございますけれど、これに参加し、空挺作戦訓練等を実施するということになってございます。
この御指摘の空挺作戦訓練につきましては、アメリカ、フィリピンと共同でパラシュートを用いた降下訓練、物料投下訓練、物の投下訓練などをフィリピン各地、ルソン島でございますとか、ルソン島付近の島も含めて実施するものでございまして、この訓練を通じまして、作戦遂行能力の向上を図るとともに、アメリカ、フィリピンとの連携を強化してまいります。
本訓練につきましては、報道があったという御指摘ございましたけど、既に陸上自衛隊から今月五日に公表済みでございまして、我が国としては、透明性を持って必要な訓練を着実に実施してまいりたいと考えてございますし、これは練度の訓練でございまして、一定のどこかの国に対抗するためを想定したものではなくて、大臣からもございましたように、両国及び地域の抑止力の強化を目的としたものということと考えてございます。
○山添拓君 というこれまた御説明なんですが、やはり対中包囲の多国間枠組みにほかならないわけです。昨年十一月の総理の台湾発言以降、中国側との対話がほとんどない下での軍事一辺倒は、緊張ばかりを激化させかねず、大変危険だと指摘しておきたいと思います。
外務大臣に伺います。
五月二十八日の首脳会談で、今日も議論になっていますが、秘密軍事情報包括保護協定、GSOMIAの正式交渉開始が合意されました。これはなぜ必要と考えているのでしょうか。
○外務大臣(茂木敏充君) フィリピンは、我が国と海を挟んだ隣国でありまして、基本的な価値や原則を共有する重要なパートナーであります。特に安全保障面では、これまでも能力構築支援、防衛装備・技術協力、共同訓練、OSAを通じた協力等を進めてきました。法的枠組みに関しましても、昨年、日・フィリピンRAAが発効いたしまして、本年一月に現在御審議をいただいております日・フィリピンACSAを署名したところであります。
こうした協力が進んでいる中、御指摘の先月二十八日に行われた日・フィリピン首脳会談におきまして、両首脳は秘密軍事情報保護協定の交渉を正式に開始することで一致をいたしました。本協定によりまして、両政府間で提供される秘密軍事情報が適切に保護をされ、そして両国政府間で有益な情報交換、これが一層行われることが期待されると考えております。
○山添拓君 私は昨年、RAAの審議で、いわゆる共通作戦図を確立するために情報共有が必要なのかと質問いたしました。その際、防衛省からは、それを否定はせずに、フィリピンとの間で高度な運用面の連携を図るためには、機微な情報も含め情報共有が必要と、そういう答弁がありました。
この間、政府は、警戒管制レーダーの追加輸出やレーダー指揮統制システムの輸出も検討し、将来的にはこれらのレーダーと米軍情報もつないで、日米豪比四か国で情報を共有する構想があるとされます。
一元的に情報を部隊や指揮所へ共有する、指揮統制に関わる情報の共有も目的とするものでしょうか。これは防衛省に伺います。
○政府参考人(萬浪学君) 今御指摘いただきましたように、GSOMIAにつきましては交渉の開始をいたしておりますけど、これは両国間で機微な防衛関連情報の共有が可能となるということでございます。
他方で、今るるその内容につきまして御指摘をいただきましたけど、これは、今後我々この協定を結んでいく、交渉を進めていく中で具体的に進んでいくものでございます。
他方で、指揮という関係でありますれば、我々もフィリピン側も同様だと思いますけど、それぞれがそれぞれの指揮権の下で自分たちの部隊を動かすというのはこれ当たり前のことでありまして、そういった指揮の混同といいますか、そういったものを伴うものではないものと考えてございます。
○山添拓君 指揮統制に関わる情報の共有も図っていこうということは否定されないんじゃないですか。
○政府参考人(萬浪学君) 指揮統制に関わる情報が何なのかというところでございますけど、いずれにしましても、機微な情報のやり取りにつきましては、このGSOMIAができますれば円滑にできるということでございます。
以上でございます。
○山添拓君 機微な情報という話なんですが、指揮統制に関わる情報共有、これは必然的に武力行使の一体化をもたらします。これは従来の政府の立場からも許されないものだと指摘しておきたいと思います。
防衛大臣に伺います。
フィリピンのテオドロ国防大臣は、朝日新聞の取材に、陸自がバリカタンで実射訓練、射撃を行った八八式地対艦誘導弾について、導入する有力候補の一つと答えています。
大臣は先月の会見で、現時点で決まった事実はないとされつつ、ワーキンググループで胸襟を開き議論したいとも述べられて、このミサイル輸出については否定はされていません。八八式地対艦誘導弾輸出も検討しているのでしょうか。
○国務大臣(小泉進次郎君) まず、五月五日の日・フィリピン防衛大臣会談において、防衛装備・技術協力の更なる推進について一致し、新たにワーキンググループを設置し議論を進めていくこととなりました。そのワーキンググループのトップが萬浪局長と先方の事務方、カウンターパートになります。そして、このフィリピンへの防衛装備移転は、フィリピン自身の抑止力、対処力の強化だけでなく、地域の平和と安定を強化するものであり、また相互運用性の向上、地域における将来的な維持整備基盤の強化といった観点からも意義があり、一層具体的な連携を進めていきたいと考えています。
今、山添先生からお尋ねのあったフィリピンへの八八式地対艦ミサイルの移転について現時点で決まった事実はありませんが、テオドロ大臣から地対艦ミサイルについて関心を示されたことも踏まえて、ワーキンググループの下で、両国の防衛面での協働に資する防衛装備品を特定していくため、積極的に議論を行っていきたいと思っています。
○山添拓君 否定はされませんでした。
私は、護衛艦であれミサイルシステムであれ、武器輸出により国際紛争を助長する懸念に対して余りにも無頓着ではないかと思います。
外務省に伺います。
そのフィリピン軍がどういう行動をしているかということに関わって、四月十九日、フィリピン中部のネグロス島で、フィリピン軍の作戦により十九人が死亡しました。政府と軍は、全員を新人民軍、NPAのメンバーで戦闘員だと主張していますが、人権団体などは、そのうち九人は民間人、ジャーナリストや学生、米国籍二人や未成年者二人も含まれていたと主張しています。承知していますか。
○外務省 アジア大洋州局南部アジア部長(宮本新吾君) お答え申し上げます。
フィリピン軍の発表によれば、二〇二六年四月十九日、ネグロス・オクシデンタル州において、フィリピン軍と共産党傘下の武装組織である新人民軍、NPAと申しますが、この間で武力衝突が発生したと承知しております。報道によれば、この武力衝突で十九名のNPAの容疑者が死亡したと、このように承知しております。
○山添拓君 民間人が含まれていたのではないかという点はいかがですか。
○政府参考人(宮本新吾君) そのような報道があることに関しましては承知しております。
○山添拓君 防衛大臣、これ通告しておりませんけれども、今のような話を聞かれて、何か感想はありますか。
○国務大臣(小泉進次郎君) 山添先生は、フィリピンのそういった事案を取り上げて、同志国として今後の連携についての在り方を問いたいと思っているのかもしれませんが、私とテオドロ大臣の間では、お互いこれからこのインド太平洋地域が平和で安定したものにしていかなければいけないということで認識の一致を見ています。そのために必要な防衛装備移転の協力もこれから進めていこうということで一致しておりますので、そういった考え方の下、具体的な協力を積み上げていきたいと思います。
○山添拓君 実は、防衛省の資料に、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的な原則や価値を共有する戦略的パートナーと、こういう文言がありましたので、大臣にも伺いました。
フィリピン人権委員会は、独立調査の開始を発表しています。私は、軍事協力を強化し、武器輸出を行う相手の軍隊の行動については敏感であるべきだと考えます。
ところで、防衛大臣が五月末に出席したシャングリラ会合、シンガポールのアジア安全保障会議では、ベトナムのトー・ラム国家主席が基調講演を行っています。大臣の感想を伺います。
○国務大臣(小泉進次郎君) このトー・ラム・ベトナム共産党書記長兼国家主席はシャングリラ会合で講演をされまして、夕食会で、私も会場で聞いておりました。このトー・ラム国家主席の基調講演については、他国の指導者の講演でありますから、逐一コメントすることは差し控えます。
ただ、その上で申し上げれば、この講演の直前に、私はトー・ラム党書記長に表敬をさせていただく機会を得ました。この表敬では、私から海洋安全保障分野での協力を重視していることや、今般の防衛装備移転制度の改正について、地域と世界の平和と安定に貢献していくという日本の一貫した姿勢を御説明をし、防衛装備・技術協力を始め、日ベトナム間の防衛協力を一層強化することで、トー・ラム党書記長との間で一致しました。
また、この表敬には、先方のザン国防大臣も同席をされており、ザン国防大臣との間で、装備移転に係る課長級のワーキンググループにおいて、スピード感を持って具体的な議論を進め、その成果を両首脳に報告することでも一致をしています。
トー・ラム党書記長との表敬を踏まえ、ベトナムとの間で包括的戦略的パートナーシップを一層強化し、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、防衛面での連携強化に力を尽くしていきたいと、そういった思いを新たにしながら聞いておりました。
○山添拓君 いや、基調講演なのでね、何か評価を加えていただきたいということではないんです。
大臣、どういう話があったかぐらいは御紹介いただけないですか。
○国務大臣(小泉進次郎君) 詳細、このトー・ラム氏の講演について私が触れるのはまたあれですけれども、基本的には、信頼醸成や対話の促進、法の支配の重要性、こういったことなどを重視されておられたと、そういうふうに理解をしております。
○山添拓君 そうなんですね。国際秩序は、威圧や武力による威嚇ではなく、対話と自制によって形成されなければならないとし、アジア太平洋地域が求めているのは大国の存在でも不在でもない、責任ある関与だと強調されました。激しい競争の舞台となっているこの地域でこそ、ルールと対話に基づく外交の発展を訴えたものです。
また、ASEANのカオ・キムホン事務総長は、軍事力増強に多くの資源を費やすことは健全ではないと述べたそうです。そのASEANの最も新しい加盟国である東ティモールのラモス・ホルタ大統領は、持続的な安全保障は銃口や強制、恐怖からは生まれないと指摘しています。私はそのとおりだと思います。
ヘグセス米国防長官は、力が安定と平和をもたらすとこの会合でも述べましたが、軍事一辺倒ではなく対話と協力の地域への努力があるのがASEANの地域です。私は大臣がせっかく訪れた会合では、こうした知見こそ受け止めていただきたい、このことを指摘しまして、質問を終わります。
○山添拓君 日本共産党を代表し、日・フィリピン、日・オランダ、日・ニュージーランド物品役務相互提供協定の承認にいずれも反対、日・カナダ刑事共助条約の承認に賛成の討論を行います。
フィリピン、オランダ、ニュージーランドとの物品役務相互提供協定、ACSAは、自衛隊や、自衛隊と各国軍隊との間で物品、役務を相互に提供する際の決済手続の枠組み等を定めるものです。他のACSAと同様に、多国間の軍事協力の推進強化を明記した日米ガイドラインに従って軍事体制を強めるものです。安保法制の下で、平時の活動から集団的自衛権の行使が可能とされる存立危機事態の対処に至るまで、部隊間相互の物品、役務の支援を担保するものです。これにより、政府が重要影響事態や国際平和共同対処事態などと認定すれば、相手国の艦艇や発進準備中の戦闘機への給油、整備も対象となり得ます。他国の武力行使と一体化した後方支援をも担保する協定であり、憲法九条に反します。
フィリピンとの間では、この間、武器輸出やOSA、能力向上支援、共同訓練など、軍事協力の強化が急速に進められてきました。今年五月の多国間演習バリカタン二六に自衛隊は初めて本格的に参加し、実弾発射訓練まで行いましたが、海洋進出を強める中国を包囲する軍事的威嚇と言うほかありません。
オランダ、ニュージーランドとの間でも、それぞれとの防衛協力、交流に関する覚書署名を一つの契機として、軍事協力を強化し、自衛隊の艦艇や航空機を派遣する共同訓練も増加しています。
三か国との各協定は、各国との間や多国間での軍事協力を一層加速するものであり、容認できません。
以上、討論とします。