山添 拓 参議院議員 日本共産党

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2022年5月31日

本会議で補正予算案への反対討論

参議院で補正予算案の審議・採決。
予算委員会では小池晃さんが1時間半にわたって縦横無尽に論戦しました。テレビでご覧になった方もおられたかと思います。現場で聞いていても、随所でスカッとしました。
その後の本会議で討論に立ちました。日本共産党のほか、立憲、維新が反対、自公と国民は賛成しましたが、賛成討論は自民のみでした。
反対討論の原稿をご紹介します。
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 日本共産党を代表し、2022年度補正予算案に反対の討論を行います。
 急激な物価高が国民生活に深刻な打撃を与えています。
 5月の東京の消費者物価指数は4月に続き前年同月比2%近く上がり、エネルギー価格は22.3%の大幅な上昇です。生鮮野菜は15.3%上がり、タマネギは天候不順の影響もあり2.1倍。スーパーでも驚くような値段で並んでいます。
 東京・文京区のある豆腐店は、国産大豆や揚げ物に使う菜種油が軒並み高騰、豆腐のプラスチックパックも20円が30円に、電気料金の値上げも追い打ちとなるなか価格への転嫁もこれ以上は無理と悲鳴を上げています。抜本的な対策が急務です。
 ところが本補正予算案には、ガソリン価格の抑制策のほか、物価高騰に苦しむ国民や中小企業、小規模事業者への具体的な支援策はないに等しく、くらしを守れません。
 予備費の積み増しは、税金の使い道は国民の代表が国会で議論して議決するという財政民主主義を踏みにじるものです。現下の物価高騰に正面から対応しようとしない政府に、白紙委任することはできません。
 新型コロナ、ウクライナ侵略に加えて、アベノミクスの「異次元の金融緩和」が異常円安を招き物価高騰に拍車をかけています。にもかかわらず総理は、「主な原因は世界的な原材料価格の高騰だ」といい、重大な失政への反省もなければ金融政策を改める姿勢もありません。株価をつり上げ、大企業と大金持ちが豊かになれば経済成長という発想は、やめるべきです。弱肉強食の新自由主義を終わらせ、やさしく強い経済へ転換すべきです。
 生活必需品の高騰に最も効果的な対策は、消費税減税です。総理は「消費税は社会保障の安定的な財源だ」といいます。導入から33年、消費税収は法人税と所得税の減税分を置き換え、この間に法人税率は37.5%から23%台まで下がりました。消費税は社会保障の財源というごまかしを、いったいいつまで続けるつもりですか。
 景気の良し悪しや収入や所得の多寡にかかわらず、「安定的に」搾り取るのが消費税です。この不公正な税制は、ただすべきです。日本共産党は昨日、参議院で消費税減税、インボイス中止法案を提出しました。直ちに審議することを呼びかけます。
 実質賃金が25年で61万円も下がりました。中小企業支援とセットで、最低賃金を時給1500円をめざし抜本的に引き上げるべきです。日本共産党は、大企業の内部留保に課税し、中小企業の賃上げ支援に充てる、大企業自身が賃上げやグリーン投資に充てるならその分は課税しない、中小企業も大企業も実効的に賃上げにつながるよう提案しています。
 総理は、「内部留保課税は二重課税に当たるとの指摘がある」といいます。しかし、二重課税を禁止する法律などないことを財務大臣も認めました。二重課税が問題だというなら、消費税こそ最悪の二重課税ではありませんか。
 現役世代の賃金が下がるのに連動して、年金が下げられました。一方本案には、6月からの年金削減への直接的な対策はありません。
 年金は老後の生活を支えるだけでなく、地域経済にとっても重要です。審議を通じて、家計消費支出のうち年金が占める割合が20%を超える県が13に上ることが明らかになりました。東京を除く46道府県でも10%を上回っています。年金を削減すれば、家計も地域も疲弊し、賃金が下がり悪循環に陥ります。年金カットの仕組み自体、やめるべきです。
原油価格高騰の影響が大きいのは、エネルギー自給率が低いからです。原発ゼロと脱炭素の政治決断で、100%国産の再生可能エネルギーを抜本的に増やすべきです。
G7が石炭火力の段階的廃止を合意しました。ところが2030年までという期限の明記は、日本政府の反対で見送られたといいます。石炭火力に固執し、世界の足を引っ張ることは許されません。気候危機打開へ、公正な移行で産業構造を転換し、地域と経済の成長発展につなげるべきです。
男女の賃金格差解消はジェンダー平等の土台です。政府が企業に対する格差の開示義務付けを表明したことは一歩前進です。各企業の取り組みを加速させるとともに、政府としても格差是正の目標をもつべきです。
総理は米国バイデン大統領との共同声明で、「防衛費の相当な増額」を表明しました。ところがその金額や財源は、「これから検討する」との答弁に終始しています。米国に約束しながら国民に説明しないのは無責任です。
自民党の安全保障調査会が提言する軍事費GDP比2%以上とは、年11兆円、いまより5兆円以上も積み増す計算です。その財源は、消費増税かくらしの予算の削減か、あるいは国債発行か。いずれであれ国民生活は大きく圧迫されます。
「敵基地攻撃能力」を「反撃能力」と言い変えても、国際法違反の先制攻撃であることに変わりありません。防衛大臣は、安保法制に基づく集団的自衛権の行使としての敵基地攻撃も可能といいます。日本が攻撃されてもいないのに、相手国の指揮統制機能を攻撃などすれば、全面戦争につながります。憲法9条の下で到底認められません。
 沖縄県は、本土復帰50年に当たり、「基地のない平和の島」としての沖縄を求める新たな建議書を決定しました。沖縄県民がくり返し反対の民意を示す辺野古新基地建設の強行は、復帰に込められた沖縄県民の思いを乱暴に踏みにじるものです。
その辺野古で、米軍弾薬庫の建替工事が進められています。こうした米軍弾薬庫を自衛隊が共同使用する検討がされていることを、防衛省も否定しませんでした。核兵器配備の可能性まで指摘されています。
 米軍と自衛隊が、「台湾有事」を想定した新たな日米共同作戦計画案を策定し、沖縄など南西諸島に攻撃用の軍事拠点を置く計画が報じられています。日米一体化を急速に進めて軍事的緊張を高め、沖縄を再び戦場にすることは断じて許されません。超軟弱地盤で完成の見通しすらない辺野古新基地建設は中止し、普天間飛行場は無条件に撤去させるべきです。
 自衛隊と日米同盟強化、抑止力一辺倒の政治には、平和への展望がありません。ましてや「核には核で対抗」という議論は極めて危険です。
 6月、核兵器禁止条約の初めての締約国会議が開かれます。議長を務めるオーストリア外務省のクメント軍縮局長は、「『核抑止』の基本的な考え方は核兵器を使う点にある」「相互破壊の脅威に基づく安全保障は持続可能ではない。最終的にはおぞましい核戦争へつながり、事故や誤解の危険も増大させる」と批判し、「『核抑止』が機能するという思考から脱却することが極めて重要だ」と述べています。
 締約国会議に、NATO加盟国のドイツやノルウェーがオブザーバー参加を表明しています。唯一の戦争被爆国である日本の政府こそ、参加し、核兵器廃絶を訴えるべきです。
 ASEANは、軍事同盟ではなく友好協力条約を結び、紛争を戦争にさせない努力を重ねています。ASEANに加えて日本や中国、アメリカも参加する東アジアサミットの強化も目指されています。日本共産党は、この枠組みをいかし、東アジアに平和をつくる外交ビジョンを提案しています。
 平和外交には、時間も労力も要します。時には忍耐力も必要でしょう。しかし、戦争を起こさせないために知恵と力を尽くすことこそ、政治の役割です。それが、憲法9条をもち他国を侵略しないと誓った日本の果たすべき責任ではありませんか。
 くらしも平和も脅かし、憲法まで変え、戦争の危険を高める政治をこのままにすることはできません。自由と平和をまっすぐ貫き、憲法をいかした政治へ転換するため全力を挙げる決意を述べ、討論とします。

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