山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2024年・第213通常国会

緊迫する中東情勢 国際法遵守 各国に迫れ/日米首脳共同声明 指揮統制一体化招く憲法違反の日米の作戦統合やめよ

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
中東情勢について伺います。
十四日、イランによるイスラエルへの攻撃を受けて国連安保理の緊急会合が開かれました。グテーレス事務総長は、武力行使を伴う報復行為は国際法で禁じられていると述べています。緊張を高める軍事的対応は強く自制すべきであります。
同時に、今回の事態は、一日、在シリアのイラン大使館領事部の建物がミサイル攻撃を受け、イランの革命防衛隊幹部が殺害された事件が背景にあります。
外務省に伺います。
在外公館に対する武力行使は、国際法上いかなる問題が生じるのでしょうか。

○外務省 国際法局長(御巫智洋君) お答え申し上げます。
一般に、国際法上、外交使節団等の公館に対する攻撃は許されるべきものではないと考えております。

○山添拓君 一般にとありますが、資料をお配りしております。ウィーン条約、一九六一年、六三年、外交官の不可侵、そして領事機関の不可侵ということを定めています。
これは派遣国と受入れ国の関係だけを定めるものではなく、外交使節が攻撃されないことは締約国の全てが当然に認めている法的規範、こう理解すべきだと思いますが、どうですか。

○政府参考人(御巫智洋君) お答え申し上げます。
外交関係ウィーン条約第二十二条は、外交使節団の公館の不可侵を規定しております。この規定は、当該外交使節団の派遣国に対する接受国の義務を定めたものです。この規定を含めまして、同条約及び領事関係ウィーン条約は、第三国による他国の外交使節団への攻撃について規定しているわけではございません。
一方、外交関係の適切な運営のためには、外交使節団の公館等の保護は重要であると考えております。したがって、一般に、国際法上、外交使節団等の公館に対する攻撃は許されるべきものではないという立場を取っております。

○山添拓君 もとより、少なくとも一方が一方的に武力行使を行うことが国連憲章上許されないのも当然かと思います。つまり、在外公館への攻撃は許されないわけです、いずれにしてもですね。
イランは、この大使館への攻撃をイスラエルによるものと主張し、三日、安保理の緊急特別会合が開かれました。ところが、米国は、攻撃された建物がどういう施設なのか確認していないなどとし、英国やフランスも、大使館への攻撃自体を非難しませんでした。一方、EUは、三日、攻撃を非難し、国際法に基づき、外交領事施設と職員の不可侵の基本原則はあらゆる状況で尊重されなければならないと訴えています。スペインのサンチェス首相は、攻撃について、容認し難い、イスラエル政府が説明する必要があると述べています。
外務大臣に伺いますが、これはイスラエル政府に説明を求めるべきではありませんか。

○外務大臣(上川陽子君) 本事案についてでございますが、我が国として、事実関係を十分に把握することが困難である中、確定的な法的評価をすることは差し控えさせていただきます。
一般に、国際法上、外国使節団等の公館に対する攻撃は許されるべきものではなく、我が国として、現地の状況につきまして重大な関心と懸念を持って注視をしているところでございます。

○山添拓君 攻撃されているわけですから、そして殺害されているわけですから、そのことが非難に値すると主張すべきだと思うんですけれども、それもできませんか。

○国務大臣(上川陽子君) 今申し上げたとおりでございまして、これにつきましては、日本からの談話という形で対外的に発表しているところでございます。
大変重大な関心と、そして懸念を持って注視している状況でございます。

○山添拓君 今最も重要なことは、これ以上のエスカレーションをさせないことであり、武力行使の応酬を防ぐことだと、これは言うまでもありません。
イランの国連代表部は、この問題は完了したとみなし得るとSNSに投稿し、バイデン大統領は、ネタニヤフ首相との会談で、イスラエルの更なる対応は不要と述べたとされます。
一方、イスラエルの戦時内閣は、昨日、イランに報復する方針で一致しました。実行すれば、戦闘が中東全域に拡大しかねません。その報復攻撃は許されないものだと考えますが、大臣の認識はいかがですか。

○国務大臣(上川陽子君) 十四日のイランによる攻撃を受けまして、十四日に、イランによる攻撃を受けまして、ネタニヤフ・イスラエル首相が戦時内閣の閣議を開いて、対応を協議したと承知をしております。
イスラエル側の今後の対応を含め、現時点で予断をすることにつきましては差し控えさせていただきたいと思いますが、我が国といたしましては、今回のイランによる攻撃、これは現在の中東情勢を更に一層悪化させるものとして深く懸念をしておりまして、このようなエスカレーションを強く非難する旨の外務大臣談話を発出したところでございます。
また、日本時間十四日夜にG7首脳テレビ会議が開催されまして、事態の更なる悪化を防ぐべくG7間で緊密に連携していくということを確認したところでございます。
加えて、日本時間十五日朝に開催されました安保理緊急会合においても、今回の攻撃は現在の中東情勢を更に一層悪化させるものであり、深く懸念し、このようなエスカレーションを強く非難する旨表明をいたしました。
日本としての今後の対応につきましては、現時点で予断することは差し控えさせていただきますが、何といっても事態の悪化を防ぐべく、関係国とも緊密に連携の上、当事者に対しまして事態の鎮静化の働きかけ等、必要なあらゆる外交努力を行ってまいりたいと考えております。

○山添拓君 その当事者にはイスラエルが含まれますね。

○国務大臣(上川陽子君) 今申し上げたとおりでございまして、日本としては、様々な関係国と緊密に連携をしながら、当事者に対しましての事態の鎮静化の働きかけ等、必要なあらゆる外交努力を行っていく考えでございます。

○山添拓君 イスラエルに対してはなぜか批判をされたがらないわけですね。これ異常な姿勢ですよ。
問題の根底には、私はガザ地区でのイスラエルの戦闘があると思います。
三月二十五日、国連安保理は、ガザ地区でイスラム教のラマダン期間中の即時停戦を求める決議案を採択しました。米国は棄権しましたが、十五か国中十四か国が賛成しました。ところが、イスラエルは攻撃をやめませんでした。ガザ地区中部、デイルアルバラでは、ラマダンの夜の礼拝で教徒が集まっていた場所をイスラエル軍が空爆し、女性と子供を含む少なくとも二十一人が死亡しました。四月一日夜の空爆では、食料支援を行う米国NGOのワールド・セントラル・キッチンの職員七人が亡くなりました。
誤爆と認めましたが、そもそも空爆自体が安保理決議違反じゃありませんか。

○国務大臣(上川陽子君) この三月二十五日の国連の安保理でございますが、まさにガザ情勢をめぐりまして、ラマダン期間中の即時停戦や、また全ての人質の即時無条件の解放を求める等の内容の決議第二千七百二十八号を採択したところでございます。我が国は、この本件の決議案の共同起草国といたしまして、理事国内の議論、調整にも積極的に取り組み、本決議案に賛成票を投じたものでございます。
我が国の立場でございますが、一貫して、ハマス等によるテロ攻撃を断固として非難をし、人質の即時解放を要求してきているところでありまして、同時に、戦闘が長期化する中におきまして、現地の危機的な人道状況は更に深刻さを増しているという状況の中で、人質の支援活動が可能な環境が持続的に確保され、また人質の解放が実現するよう、即時の停戦を求めるとともに、持続可能な停戦につながるということを強く期待し、また現実的なアプローチの観点からの働きかけ、これについては外交努力を積極的に果断なく行っているところでございます。

○山添拓君 おっしゃらないわけです。
安保理決議は法的拘束力があります。加盟国は履行の義務を負います。先ほど起草者だとおっしゃったと。ところが、安保理の理事国でありながら決議違反の事実を確認しようともされていない。これ、いかにも恣意的ですよ。
米国は、法的拘束力はないなどと主張しているようです。法の支配をうたうなら、国際法も、国連安保理も、都合のいいときだけ持ち出すのではなく、貫徹するべきだと私は思います。この姿勢は引き続き追及したいと思います。
日米首脳会談について伺います。
共同声明の最重要項目に位置付けられているのが米軍と自衛隊の司令部機能の強化です。資料の二ページを御覧ください。その二ページ、二ページの中ほどですが、共同声明は、作戦及び能力のシームレスな統合を可能にするとしています。
防衛大臣に伺いますが、日米の作戦能力について、平時、有事を問わず統合していくという意味ですか。

○防衛大臣(木原稔君) 現在、日米間におきましては、我が国が統合作戦司令部を設置する、設置をするということになった場合においても、日米の相互運用性及び即応性を強化するために同盟としていかに効果的に連携して対応していくか、そういった議論を進めているところでありまして、首脳間においてもこうした議論の重要性を改めて確認したところだと理解しております。
その上で、お尋ねの記載につきましては、共同対処等を行う場合に、陸海空及び宇宙、サイバー、電磁波、そういった様々な領域での作戦や能力を一層シームレスに連携させていく必要があるとの趣旨を述べたものだと理解しております。

○山添拓君 これ、少なくとも日本語版では、我々は、作戦及び能力のシームレスな統合をと書いているんですけど、この我々は日米という意味ではないんですか。

○国務大臣(木原稔君) まさに日米、もう、我々というのは日本とアメリカのことを申し上げている。

○山添拓君 ですから、我々は統合すると言っているんですから、それは普通に読めば、日米が統合可能にしていくと、シームレスに、そう読むしかないと思うんですね。
ところが、今の御答弁は、この意味はそうじゃないんだと。自衛隊は自衛隊の統合、米軍は米軍の統合、そういうふうにおっしゃりたいということかと思うんですね。(発言する者あり)違いますか、何かおっしゃっている方がいる。いいですか。そういう御答弁だったわけですよ。それはちょっと理解できないわけです。
共同声明は続けて、平時及び有事における自衛隊と米軍との間の相互運用性及び計画策定の強化を可能にすると述べています。これは、司令部機能としても日米の連携を強めると、こういう意味でしょうか。

○国務大臣(木原稔君) あくまでもその自衛隊の全ての活動というものは、米軍とのその共同対処を含めて我が国の主体的な判断の下で、それは日本国憲法、国内法令等に従って行われるものでございます。
自衛隊及び米軍は、各々独立した指揮系統に従って行動しています。自衛隊と統合作戦司令部ができた暁にも、その米軍の指揮統制下に入ることというのはございません。

○山添拓君 さっき小西議員の質問に対しても一層の連携強化と述べておられました。その一層の連携強化というのは、司令部機能同士の一層の連携強化も含まれるということですか。

○防衛省 防衛政策局長(加野幸司君) お答え申し上げます。
今大臣からお答え申されましたとおりでございますけれども、我が国が統合作戦司令部を設置するということがございまして、そうした決定も踏まえながら、日米の相互運用性、それから即応性を強化するために、同盟としていかに効果的に連携して対応していくことができるかということについて議論を進めているということ。その点について、首脳レベルにおいてこうした議論の重要性を改めて確認したということでございます。
今同じく答弁ございましたとおり、自衛隊による活動と申しますのは、あくまでも私どもの主体的な判断にのっとって、憲法あるいは法律等の範囲内において行うということでございますけれども、そうした前提の上でいかに日米間の連携を強化できるかという観点から、統合作戦司令部の新設後の日米の調整要領、そういったものについて検討していくということでございます。

○山添拓君 いや、私の質問は、一層の連携強化と繰り返しおっしゃったので、それは司令部同士の連携の強化も含まれるのかと聞いているんです。もう一度お答えください。

○政府参考人(加野幸司君) 日米の相互運用性、それから即応性を強化していく上で、同盟としていかに連携してやっていくかという議論でございまして、その具体的なスコープ、あるいは何を対象にするかということについては、これから更に議論を深めていくということでございます。

○山添拓君 これ、否定をされませんでした。
司令部同士が連携を強化していくということはですよ、それ否定されなかったわけですが、共同声明はそれに続けて、二国間でそれぞれの指揮統制の枠組みを向上させるなどとしているわけですが、要するに、連携を強化した司令部機能の下でそれぞれ指揮統制を強めると、こう言っているということですね。

○政府参考人(加野幸司君) 今申し上げたとおりでございますけれども、防衛省・自衛隊といたしましては、統合作戦司令部というものを設置する、その中で、自衛隊の中の統合というものはしっかり進めていくわけでございますけれども、それを前提にしながら、日米の、あるいは指揮でございますとか統制の在り方について更なる連携の強化というものを高めていく、そういうことでございます。

○山添拓君 お認めになりました。連携の強化を高めていくということでした。
しかし、米軍の指揮下には入らないということを強調されるわけです。ただ、実態はずっと先行しています。実態上は一体化を進めているというのが現実だと思います。その一つの例はトマホークです。
既に三月には、横須賀で米海軍が海上自衛隊に実地訓練を行っていますが、これについて酒井海上幕僚長は三月二十六日の会見で、自衛隊と米軍が攻撃目標情報を共有し、同じ目標を攻撃することは可能だと述べています。そして、それを実施するかどうかはそのときの戦術判断によるということでした。
攻撃目標情報を共有し、同じ目標を攻撃する、これはまさに日米一体の攻撃じゃありませんか。

○国務大臣(木原稔君) スタンドオフミサイルの運用に係る具体的な要領等については、現在、省内において検討中でございます。
その上で、日米間においては情報収集、分析を始めとして様々な協力を行っておりまして、日米間で状況に応じた双方向の調整を行い、緊密に連携していくことに、こととなりますが、その際、自衛隊の運用は、米国の情報だけでなくて、当然、我が国自身で情報した情報、そういったことを始め、全ての情報を総合して行われるものであります。御指摘の海上幕僚長の発言というものは、こうした趣旨を念頭に置いて、念頭に置いたものというふうに承知しております。
その上で、大前提として、先ほども申し上げました、自衛隊の全ての活動というものは、これは我が国の主体的な判断の下で、憲法や法令に従って行われて、行われるということになっておりまして、各々独立した、日本、そして自衛隊、それぞれの指揮系統に従って行動することから、運用に係る意思決定、これはあくまで自衛隊が行うということ、当然でございます。

○山添拓君 いや、トマホークを運用するための情報は米軍しか持っていないんじゃないですか。

○政府参考人(加野幸司君) お答え申し上げます。
トマホークの運用に関して日米でどのように協調していくのかという点につきましては、情報面も含めて、更に議論を深めていくべき問題であるというふうに考えてございます。
その上で、今大臣からも御答弁を申し上げましたけれども、情報収集、分析を始めます、始めといたしまして、日米間で状況に応じて双方向の調整を行いながら緊密にやっていくということでございます。

○山添拓君 時間ですので終わりますけれども、目標設定、誘導、自衛隊が独自に行うことは不可能な兵器ですよ。トマホークの運用一つ取ってみても、作戦の統合というのは指揮統制の一体化を必然的に要求することになると考えます。
これは憲法違反の危険な道であり、やめるべきだということを指摘して、質問を終わります。

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