山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2024年・第213通常国会

合意なき「共同親権」 懸念・不安置き去り

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
今日は質問を法務委員会でさせていただきます。よろしくお願いします。
NHKの「あさイチ」で、昨日も離婚後共同親権が取り上げられました。博多大吉さんは、子供の気持ちを伝える場所がない状態でこの話が進んでいる、子供のためにつくると専門家は言うが、スタート地点が違うような気がするとコメントし、そのとおりだという視聴者の反応がSNSにも見られます。
大臣に伺いますが、この審議が進めば進むほど懸念の声が広がっている、この状況については今どう認識されていますか。

○法務大臣(小泉龍司君) 様々な方々が御関心を持っていただき、その中で御懸念を示される方も少なからずいらっしゃる、そういう状況だと理解をしております。様々な御不安に対して我々は様々なまた御説明を国会の場でさせていただいているわけでありまして、この説明を更に詳しく、分かりやすくお伝えをしていく、またそのこともこの国会の中で御議論いただき委員の皆様方にも御理解をいただく、そういう努力を引き続きやっていかなければならないと思っております。

○山添拓君 様々なで片付くような話ではないと思うんですね。スタート地点が違うと、その受け止めは、私は的を射たものだと思います。
大臣は、九日の委員会で福山議員の質問に、夫婦関係が破綻したら自動的に親子の縁が切れてしまうことは問題だと答えています。衆議院でも同様の答弁があり、それがこの法案の出発点だという認識を示してこられたかと思うんです。
夫婦関係が破綻したら、自動的に親子の縁は切れてしまうんですか。

○国務大臣(小泉龍司君) 切れないように今回の選択的共同親権という選択肢をつくろうというふうに考えているわけでございます。

○山添拓君 いや、切れてしまうことが問題だという認識を示されているので伺っているんです。
夫婦関係が破綻しても、自動的に親子の縁は切れないですね。

○国務大臣(小泉龍司君) 家族というのは、親子関係とそして夫婦関係、たて糸よこ糸によって紡ぎ出されています。そして、単独親権の場合には、離婚をすれば今度はその片方の親だけが親権者となって、もう片方の親は子供との親権上のつながり、親権の行使ができなくなるという意味でのつながりが消えてしまうわけでございます。それを言っているわけです。

○山添拓君 正確に言うとそういうことだと思うんです。
親権というのは、成人までの法的責任をどちらの親が負うかという問題で、大臣は親子の縁と、こうおっしゃるので、何となくこれは感情的に親子の縁を切ってはいけないという声が広がるように述べられているんだと思いますが、事実上の親子の交流、つながりと、それは自動的には切れないわけです。それは確認したいと思います。

○国務大臣(小泉龍司君) 親権の有無、婚姻の有無にかかわらず、親は子に対する責務を負っています。そういう意味で、それは消えることのないきずなでありましょう。

○山添拓君 ですから、スタート地点がやはり違っているということになりますよね。
同じく九日の当委員会で大臣は、法案の八百十九条二項、裁判上の離婚の場合には裁判所は父母の双方又は一方を親権者と定めるという条文について、合意を促していくための仕組みだと述べました。どうしても合意ができない場合は単独でいく、しかし裁判官が共同親権という選択肢を持っていることが合意を促すために有効な手段ではないか、こういうふうに答弁されています。
しかし、条文上は、合意を促す仕組みであって、合意がなければ単独とは明記されていないと思うんですね。いかがですか。

○法務省 民事局長(竹内努君) お答えいたします。
当事者が協議上の離婚をすることができない場合には、現行法上も、家事事件手続法第二百五十七条の定める調停前置主義によりまして、判決に向けた訴訟手続に先立って話合いによる解決を目指す家事調停の申立てをしなければならないこととなっておりまして、この点は本改正案による改正後も同様でございます。
裁判所の調停手続におきましては、父母の葛藤を低下させ、子の利益に目を向けてもらうための取組も実施されていると承知をしており、高葛藤であったり合意が調わない状態にあった父母でありましても、調停手続の過程で感情的な対立が解消され、親権の共同行使をすることができる関係を築くことができるようになるケースもあり得ると想定をされます。
そこで、父母の合意が調わないために裁判所における親権者指定の調停等の申立てがされた場合に、当初の段階から父母双方を親権者とする選択肢を一切除外するのではなく、子の利益の観点から最善の選択がされるよう、当事者の合意形成に向けた運用をすることは望ましいと考えられます。
父母の離婚後の親権者の定めについて当事者の合意形成に向けた運用をすることが望ましいとの考え方は本改正案の条文にも表れているところでございまして、例えば民法八百十九条第一項において、協議上の離婚をするときは協議で親権者を定めることとした上で、同条第二項及び第五項において、裁判所がその定めをするのはその協議が調わない場合などに限られていることや、同条第七項において、裁判所が離婚後の親権者を定めるに当たっては、父と母との関係や父母の協議が調わない理由等を考慮しなければならないものとしていることなどを指摘することができると考えております。
このように、本改正案にも当事者の合意形成に向けた運用をすることは望ましいという趣旨が含まれておりまして、御指摘の答弁と条文の文言は整合していると認識をしておるところでございます。

○山添拓君 合意がないのに裁判所が共同親権とすることはできない、そういう条文はありますか。

○政府参考人(竹内努君) お尋ねは、当事者の合意がない場合には共同親権とすることはできないとの条文があるかという趣旨でございますか。(発言する者あり)そのような条文はございません。

○山添拓君 だから、そのように書くべきだと思うんですよ、合意を促していくためだとあくまでおっしゃるのであれば。
七日の参考人質疑で木村草太参考人は、改正案八百十九条七項について、父母の一方あるいは双方が共同親権を拒否しても裁判所が強制的に共同親権を命じ得る内容だと批判しています。五点にわたり指摘されましたが、その最後、法務省がこの間説明もされているDV、虐待のケースは除外するという説明に関わるものです。八百十九条七項は、将来のDV、虐待のおそれがある場合を除外するだけで、過去にDV、虐待があったことが明白で、そのために被害者が共同親権に合意しない場合も、今はDVや虐待は止まっている、反省しているといって共同親権になるということはあり得る。
それを許容する条文になっているんじゃありませんか。

○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
八百十九条七項一号、二号でございますが、一号は、父又は母が子の心身に害悪を及ぼすおそれがあると認められるとき、二号は、父母の一方が他の一方から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれの有無というふうになっております。
過去にDV等あるいは虐待等があった場合でございますが、そのような事実が主張ないし立証されますれば、それは今後のおそれを推認する重要な事実にもちろんなってまいりますので、基本的にはこの一号、二号のおそれが肯定される方向に傾く大きな考慮要素になると考えております。

○山添拓君 基本的には肯定される方向、本当にそう言えますか。いや、過去にそういうことあったかもしれない、だけど今は反省しているじゃないかと、今はそういう事実はないではないかと、そういって共同親権をまさに合意を促していく方向で運用する、それはあり得るんじゃないですか。

○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
一般論としてお答えをいたしますと、過去にDV、虐待があったことが明らかなケースにつきましては、そのような事情は、先ほど申し上げましたとおり、DV等のおそれを基礎付ける方向の重要な事実でありまして、これを否定する方向の事実が認められなければ、DV等のおそれがあると判断され、父母の一方を親権者としなければならないことになると考えております。

○山添拓君 山崎菊乃参考人は、御自身が三人のお子さんとともにシェルターに避難された痛切な経験をお話になりました。その上で語られたのは、一度暴力を振るわれてしまうと夫婦の関係が全く変わる、夫の顔色を見て、怒らせないようにと振る舞う癖が私に付いてしまいましたと、この委員会で述べておられます。そこで、私はいつも落ち込んでいました、子供たちはいつもぴりぴりしていました、こういう発言をされましたよね。
ですから、DVや虐待の加害が今止まっている、反省している、だからといって被害者の傷がないわけでは決してありません。共同親権に合意できないという思いを抱くそういう当事者がいるということは、これは当然だと思うんです。大臣いかがですか。

○国務大臣(小泉龍司君) 今のDV被害に遭われた方々のその思い、不安、傷、そういったものはひしとよく理解をしているつもりでございます。
そういう方々に不安が及ばないように、安全が守れるように、今後、法律は運用されていくべきであると思っております。

○山添拓君 そうした当事者からまさに不安の声が上がっているわけです。
ですから、大臣がおっしゃるように、その気持ちに寄り添うということであれば、少なくとも合意なく共同親権を強制し得るような仕組みはつくるべきではないと思うんですね。
木村参考人が指摘したように、少なくとも、過去にDVや虐待があったようなケースでは被害者の同意がない限り絶対に共同親権にしてはいけない、このことを法文上明らかにする、これは必要じゃないでしょうか。そしてまた、可能ではないかと思うんです。そういう検討をされましたか。

○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
離婚後の共同親権の判断につきましては、離婚後の親権者の定めについて父母の協議が調わないときは、裁判所が、子の利益の観点から、親権者を父母双方とするか、その一方とするかを判断することとしております。
この場合におきまして、父母の協議が調わない理由には様々なものが考えられますので、合意がないことのみをもって父母双方を親権者とすることを一律に許さないというのは、かえって子の利益に反する結果となりかねないと考えております。
そのため、本改正案では、裁判所は、父母の協議が調わない理由等の事情を考慮して、父母が共同して親権を行うことが困難であるかなどの観点を含め、親子の関係、父母の関係その他一切の事情を考慮して、実質的、総合的に離婚後の親権者を判断することとしているものでございます。

○山添拓君 ですから、やはりそれは共同親権についての合意を一要素として軽視されているように思います。
資料をお配りしていますが、二〇二二年十一月の中間試案の段階では、四つの案がありました。現行の単独親権のままとする乙案に対して、甲一案が、原則共同親権で一定の場合に単独、甲二案は、共同か単独かは協議次第とする、甲三案は、原則として単独、一定の場合に共同と。そして、法制審の審議は、父母の合意がある場合にまで共同親権を認めないのはいかがなものかと、真摯な合意がある場合に共同親権をどう認めるのかという点について議論が行われていたはずです。
ところが、その流れを踏まえず、その後法務省が示した案は、父母の合意がなくても裁判所が共同親権を決定し得るというものになっていました。
法制審の部会の委員である棚村政行早稲田大学の教授は、共同親権が望ましい場合と単独親権の方がよい場合の基準や運用について十分な議論ができなかったと述べています。
大臣が、父母の合意がないのに裁判所が共同親権を認めることはないと、こう断言されるのであれば、少なくとも法制審に諮り直すべきだと思うんです。いかがですか。

○国務大臣(小泉龍司君) 同意ができないという御夫婦がいて、しかし、もう一度、もう一度子供のために、子供の利益のためにその問題を考えましょう、対面して、あるいは裁判所に入ってもらって考え直しましょう、話し合いましょう、そういう努力ができるのであれば、その努力をしてもらいたい。
しかし、最初から同意がなければ単独親権ですよという道が決まってしまえば、それはもう、その話し合う余地もない、話し合う場面もない、子供の利益を考える場面もない、考える余地もない、そういうところにはまってしまうわけでありまして、どうしても、話し合った結果、共同行使が困難だと、この相手方とは添っていけないと、共同行使できないということになれば、それは共同行使困難でありますから単独親権にしなきゃいけない、むしろ義務として単独親権にしなきゃいけない。その手前のところで子供の利益というものを一緒に考えましょうと、一緒にテーブルに着いて考えましょうと、そういう趣旨をこれは述べているわけでありますから、それを我々は一つの守るべき公益として掲げているわけでございますから、是非そこを御理解をいただきたい。子供の利益ですよ、子供の利益。

○山添拓君 今、法益という話と子の利益という話と両方おっしゃったんですけれども、これは、それぞれの当事者に関わる問題ですから、こうあるべきだと押し付けるような在り方、これが家族の在り方として良い方向だと、だからこう合意する、合意を促していくというような仕組みにすることは妥当じゃないと思うんですね。
なぜ法制審の流れと異なるものが法務省から出されたのか。これは、条文の構造そのものに自民党からの横やりがあったんではないかということも言われております。私は、いや、それは、だって、中間試案が延期されたり、パブコメの資料への関与ということもこれまで指摘されていますよね。
ですから、法務省が自民党と調整する際に示された資料やそこでの議事録、是非委員会に出していただきたいと思います。

○委員長(佐々木さやか君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。

○山添拓君 家庭裁判所の調停はどちらかの当事者の申立てによって始まるわけですが、調停は双方の言い分を中立に聞くための場であるはずです。ですから、一方が共同親権を求め、もう一方が単独親権を求めるという場合に、裁判所があくまで共同親権の方に合意を促すと、これはあってはならないんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○政府参考人(竹内努君) お答えをいたします。
離婚後の親権者を父母双方とするか、その一方とするかについては、個別具体的な事情に即して、子の利益の観点から最善の、最善の判断をすべきでありまして、本改正案もこのような考え方に沿ったものでございます。
こうした考え方は調停運営の際にも尊重されるべきものでありまして、裁判官や調停委員は、当事者の主張のいずれの側にも偏ることなく、子の利益を最優先に考慮する立場を取って調停運営に当たることが期待されていると考えております。

○山添拓君 いずれの側にも偏ることなくというのは当然だと思います。
資料の二枚目を御覧ください。
八月二十九日に行われた法制審議会の第三十回会議には、青竹、石綿、沖野、久保野、小粥委員、五人連名の資料が出されています。七点の意見の最後に、DV、虐待への民法上の対応が挙げられ、子に対する虐待を行った者は、離婚後共同して親権行使ができないとする、そのような者は、親権者変更の申立てについて一定の期間制限するなどの規律も提案されています。小粥委員は、合意のない共同親権を裁判所が定め得る、そういう規定を推進されてきた委員ですが、その委員からもこうした規律の必要性、つまり、一定期間親権者変更の申立てそのものを制限する、そうした案が検討されるべきだと示されています。
法務省は、こういう提案に対してどのように検討され、条文にどう反映されたんでしょうか。

○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
法制審議会家族法制部会の五名の委員、幹事が連名で提出した文書には、委員御指摘のとおり、子に対する虐待を行った者は、離婚後共同して親権行使ができないとする規律を設けることや、そのような者は、親権者変更の申立てについて一定の期間制限することを提案する考え方が紹介されておりますが、それと同時に、子と父母の関わりは重要であることから、こうした規定を設けることに慎重な考え方もあることも併記をされております。
本改正案では、裁判所が必ず父母の一方を親権者と定めなければならない場合の例として、虐待等のおそれがあると認められるときを挙げており、この規定は、親権者変更の申立てがされた場合にも適用があります。
このように、五名の委員、幹事の連名の文書において提案されている御指摘の考え方は本改正案に適切に盛り込まれていると考えておりまして、本改正案は虐待のある事案にも適切に対応することができるものであると考えております。

○山添拓君 いえ、申立てそのものを制限すべき場合を検討すべきだという提案です。それは反映されていません。
なぜこのことを問題にするのかと。申立ての制限が必要になるのはなぜか。リーガルハラスメントと呼ばれる事態が懸念されるからです。
木村参考人は、訴訟や申立ての提起自体が違法であると認定される基準は極めてハードルが高い、不当訴訟の枠組みで訴訟の提起自体が不法行為になるというようなことが抑止力になるというのはほぼ現実的な想定ではないと指摘されています。
DVや虐待の加害者の側から親権者の変更を申し立て、認められなくても繰り返し申し立てる、まあ様々な申立てを行うなど考えられますが、それが不当訴訟だからといって排除されるのは難しい。そうなりますと、少なくとも申立てに応じ、調停に出席する、それ自体が大変な負担になるという場合が生じ得ます。どのようにお考えでしょうか。

○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
あくまでも一般論としてお答えすれば、個別具体的な事情によるものの、自己の主張が事実的、法律的根拠を欠くものであることを知りながらあえて訴えを提起した場合など、訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くときは、訴えの提起それ自体が不法行為に該当し得るものと承知をしております。このような考え方は、裁判制度の利用を不当に制限する結果とならないよう配慮しつつも、訴えの提起自体が相当でないケースにおいては裁判所がそのような判断を示すことができるとするものでありまして、嫌がらせ的な訴えの提起等に対する抑止力になると考えております。
法務省といたしましては、こうしたことを適切かつ十分に周知することによりまして、子の利益を害するような濫訴を可及的に防止するとともに、父母間の人格尊重義務の違反があった場合に適切に対応することができると考えております。

○山添拓君 いや、そうはならないだろうという指摘をこの委員会で受けたわけですよ、大臣。様々周知をしても、申立てそのものが止められないという場合は生じ得ると思うんですね。例えば、相談した弁護士が、いや、これは濫訴に当たるのでやめるべきですよと、こうアドバイスすることあるかもしれませんが、そういう場合は弁護士替えると、あるいは本人が申し立てるということもできるわけです。
濫訴や不当申立てというのは、現に起こっていますし、防ぎ得ないだろうと思うんですね。それは、申し立てられる側にとっては、身体的にも、精神的にも、経済的にも、時間的にも大変大きな負担となるだろうと思います。
大臣、この点はいかがですか。

○国務大臣(小泉龍司君) これは、婚姻中別居のケースでも同じことが起こっているんじゃないんでしょうか。

○山添拓君 ですから、そうした負担をなるべく低減するためにはどうするかということが問われているときに、親権者変更の申立てによって自分も親権者にせよと、こういう申立てが繰り返される、あるいは親権行使の在り方についての申立てが繰り返される、その懸念が示されているかと思うんです。

○国務大臣(小泉龍司君) それは、婚姻中別居の、まあ現状そうだとして、婚姻中別居の御夫婦の間でそういうことが起こるということを今認められましたよね。それが共同親権になることによって悪くなるかと。状況変わらない、同じことが起こっているんだと思いますよ。

○山添拓君 いやいや、今は離婚後単独親権ですから、ないわけです。離婚後単独親権のためにない部分について、共同親権を認め、申立てを認めるということは、離婚後についてもそうした懸念が生じ得ると、新たに生じ得るということになりませんか。

○国務大臣(小泉龍司君) そのDVに関わる保護、あるいはその家族、親子を守る、そういう措置については、これは万全を期していく必要があると思いますけれども、共同親権に、そのなる裁判所との話合いの中でそういう問題がもし出てき得るということになれば、それはそういうことを述べていただいて、そして裁判所はそれを採用してくれると私は思います。

○山添拓君 大臣がそのように希望的な観測を述べられても、リーガルハラスメントというのは実態があると、この場の参考人質疑の中でも示されていましたよね。大臣も御覧になっていたかと思います。その懸念に応えるものではないのではないかと。これは是非受け止めていただく必要があると思うんです。
今日、時間限られていますので、最後に、共同親権となった場合に、親の資力などが要件となっている支援策、親の同意、関与が要件となっている手続、法案でどうなるのかという点について若干伺いたいのですが。
本来、具体的に個別の制度ごとに質問したいと考えていましたが、今日の委員会前の理事会で、法務省から十六項目を示したペーパーが一枚出されました。与党の筆頭理事からは、全府省庁にまたがる問題なので調査に時間が掛かると、そこで、現時点で説明できる速報のようなものとして出したと説明がありました。
当委員会で仁比聡平議員が理事会協議事項として求めたのは四月二十五日であり、三週間近くたちますがまだ調査、把握し切れていないということでしょうか。

○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
先ほど理事会にお配りしたものについては、この当委員会、あるいは衆議院の委員会での審議において明らかになったものを一覧表にまとめたものでございまして、本日お配りしている資料に掲げられていないものについても速やかに整理を進めたいと考えております。

○山添拓君 この十六項目のうち、親権の所在が影響すると確認できたのはどれですか。

○政府参考人(竹内努君) ここに掲げたものの多くは、というかほとんどは親権の有無に関わらないというふうになっておりますが、七番の高等学校等就学支援金については、親権者の収入で判断するというのが文部科学省からの話であったかとは思います。

○山添拓君 仁比事務所の調べでは、給付に関わるもので少なくとも二十八あることを確認しています。その二十八と今日出された十六は、重なるものもありますがそうでないものもあるようです。ですから、影響は大変幅広いということだと思うんですね。
本来、法案審議に先立って政府が把握し、説明できるように準備しておくべき内容です。子の利益と、大臣も今日も繰り返しおっしゃるのですが、子に具体的に生じ得る不利益に余りに無頓着じゃないかと思うんですね。そのまま審議を進めてきたということではないかと思うんです。
施行をまたず、速やかに関係府省庁で連絡してということをおっしゃっていますが、これは採決の前提を欠くんじゃないでしょうか、大臣。

○委員長(佐々木さやか君) 答弁されますか。

○国務大臣(小泉龍司君) これ、御判断いただく一つの要素だと思います。一つ一つのまだ結論が見えていないということも御指摘のとおりでありますけれども、これ、各省庁と連携して、法務省が一つの総合調整機能をフルに発揮しながら、子供の利益が守られるように、これはしかと対応をしていきたいと思っております。

○山添拓君 総合調整機能は法案出す前にやってくださいよ。
今日の理事会では与党から木曜日の採決が提案されて驚きました。広がる懸念と不安を置き去りに、法案の採決ありきという姿勢は絶対に許されないということを指摘して、質問を終わります。

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