山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2024年・第213通常国会

国民にカンパ強制 業界団体に献金要請 金権腐敗起こす根源 自民のゆがんだ収入告発

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
自民党の裏金事件を受けた政治資金規正法改正の審議が参議院でも始まりました。抜け穴どころか改悪だと私ども考えますが、とりわけ、肝腎の企業・団体献金禁止がすっぽり抜け落ちているのは大問題です。
総理は、企業、団体にも政治献金の自由があるのだと言い、自民党への献金は自発的なものだと繰り返しております。しかし、実態はどうであるのか。
ゼネコンの業界団体、日本建設業連合会、日建連の加盟企業から自民党の政治資金団体である国民政治協会への献金は、十年間で二十億円を超えます。これは各社の年間の献金額です。(資料提示)スーパーゼネコンの大林組、鹿島建設、清水建設、大成建設、竹中工務店は、そろって千八百万円です。安藤・間以下七社が九百万円。七百五十万円、六百万円、以下省略していますが続いていますけれども、これ自発的と言う割には序列化されて額がそろっているんですね。
総理、これなぜですかね。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) お尋ねについては、自民党の政治資金団体である一般財団法人国民政治協会から、政治活動に対する一般的な支援要請として、日本建設業連合会に対し会員による自発的な寄附の協力をお願いしたものであると、このように承知しております。請求というような類いのものではないと考えております。
なぜこういった金額になっているかということでありますが、内部の対応についてコメントする立場にはないと考えております。

○山添拓君 今も自発的とおっしゃるんですが、これはそろっているのには理由があるわけです。
しんぶん赤旗日曜版の編集部が内部文書を入手いたしました。日建連加盟大手五十七社でつくる社会活動貢献協議会、これ二〇一九年例会のシナリオがあります。国政協に対する政治寄附の目安額を第一グループから順に申し上げますので、メモをしていただきますようお願いいたしますと。金額を読み上げと、赤字であります。第一グループ千八百万円、第二グループ九百万円、第三グループ七百五十万円などと続いて、第六グループ十二万円ですと。控えていただきましたでしょうかとあるんですね。
この右側にあるのは、二〇二二年二月の日建連の文書です。国政協からの献金要請額は例年四億七千百万円とあります。この要請額に見合うように各社に割り振りしたのがシナリオの金額だということです。
総理は、衆議院で我が党の塩川鉄也議員に質問されて、自発的な寄附の協力のお願いだと述べられ、先ほどもそのように答弁されました。しかし、要請額に基づいて割り振りがされて、おおむねそのとおりに納めているんですね。どこが自発的なんですか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、文書をお示しになられました。これ、一団体の内部文書あるいはこの会議での発言についてコメントする立場にはありませんが、先ほど申し上げたように、これは、国民政治協会からこの日本建設業協会に対して自発的な寄附の協力をお願いしたものであると承知をしております。この請求というような類いのものでは全くないということ、これは再三申し上げているとおりであります。

○山添拓君 金額を示して要請されてきたと、これはお認めになりますね。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 自発的な寄附の御協力をお願いしたと承知をしております。

○山添拓君 自発的な寄附を求めるときに、総額幾らでお願いしますと、こういうふうにされるのが自民党だということですね。金額まで示して要請して、日建連が割り振りをして、ゼネコンがそのとおり支払っているわけです。これは業界を巻き込んでの献金あっせんにほかならないものです。
総理は、こうした献金によって政策がゆがめられることはないと常々おっしゃいます。しかし、日建連は政策を要望した上で献金しているわけですね。例えば、二〇二一年の十一月の要望書には、大型工事は財政の単年度主義のため複数年にわたる工事の発注が難しいとして、予算の別枠計上などを求めています。すると、予算編成でそのとおりの仕組みが実現して、年末の会長のコメントでは、日建連がかねてより要望していた予算の単年度主義の弊害を是正する大変有り難い制度、政府及び与党の関係各位に感謝を申し上げますなどと述べています。自民党が献金額を示して要請し、日建連が割り振りをして各社がおおむねそれに従ってそのとおりに支払って、要望が通ると感謝までしていると。
国土強靱化だといって自民党政権が大型開発を増やしていく中で、日建連の会員企業が十年間で受注した公共工事は約二十七兆円に上ります。二十億の献金で二十七兆円の発注を受けている。
総理は、それでも献金とは無関係だとおっしゃいますか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、委員の方から、要請額が示され、それに合わせて献金が行われたという御指摘がありましたが、まさに委員が御指摘になられた資料を見ていただければと思いますが、要請額と実績額、これは大きな乖離があります。これは、先ほど申し上げましたこの自発的な寄附の協力の、協力というものであると思っております。
そして、当該寄附の要請、これは特定の選挙に関してなされたものや公共事業などと連動するものではなく、この企業、団体から政治資金団体が献金を受け取ることもこれは法的に問題があるものではないと承知をしています。
その上で、政策をゆがめていないということについて、そんなことはないという御指摘をいただいたわけでありますが、政策決定のプロセスについてはこの国会においても再三申し上げています。この政策決定につきましては、各議員が地域活動等において様々な声を吸い上げてきた上で、それを専門家や各省庁の議論に委ね、そして最後は自民党においてもその全ての国会議員が議論に関わる形で議論を行い、そしてこれを国会に提出した後も各党の協議が行われる、国会での議論が行われる。そういったことを通じて政策が決定されるわけでありますから、一団体のこの寄附というものがこの政策決定に決定的な影響を与えるという指摘は当たらないということ、これは再三説明させていただいているとおりであります。

○山添拓君 いや、それは無理があると思いますよ。
私は、建設業界が、業界を挙げて、一団体だけじゃないんですよ、業界を挙げてこのように献金額を割り振って、その要請に応じて、もちろん全て応じているわけじゃありませんよ、ですけれども、毎年毎年自民党が要請し、その額に基づいて割り振りを行って献金をして、しかも政策も要望し、そのとおりに実現してきていると、こういう実態あるわけですよ。そのことについて、献金との関係が一切ないとおっしゃるんでしょうか。
日建連は、この先ほどのシナリオ、実は佐藤信秋委員長も登場いたします、国交省のOBとしてですね。同じくOBの足立敏之参院議員とともに、派閥のパーティー券、佐藤議員が所属する茂木派、平成研、足立議員が所属する岸田派、宏池会のパーティー券も、枚数を読み上げて各会員企業に割り振っています。シナリオによれば、いつもどおり、佐藤先生の事務所から、あるいは足立先生の事務所から、それぞれ今お伝えした枚数分が郵送されてまいります、どちらも同じ枚数ですなどとあるんですね。
総理、こういう割り振りも行われていることを御存じでしたか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 一団体のこの内部での文書ですとか発言についてコメントする立場にはありません。委員の御指摘の発言が事実なのかどうかについても、何も材料を持ち合わせておりません。

○山添拓君 材料はしんぶん赤旗にありますから、是非御覧になっていただきたいと思います。
これは、自発的どころか、自民党の方が政策に値札を付けて売ってきたということにほかならないと思うんです。大体、営利企業が利益と関係なく多額の献金をし続ければ、それは背任に問われます。見返りを期待するからこそ献金するわけです。ですから、賄賂性が極めて高い。それをかたくなに否定するのは自民党ぐらいです。
総理は、政治団体の収入はバランスの確保が重要だということもおっしゃいます。
そこで伺いますが、自民党と国民政治協会の収入の内訳、お示しください。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 自民党と国民政治協会の収入のバランスについて答えろという御質問でありますが、これは、まず、党費、会費あるいは個人寄附が十五億、企業、団体が二十四億、そして政治団体の献金が二十七億、そしてそれ以外には政党交付金という収入が報告されております。

○山添拓君 今のは自民党本部の分ですね。政党助成金百六十億が大半を占めます。それから、国民政治協会に対する献金二十四億円は企業、団体からですが、この二十四億が自民党本部にも入っているという今の御説明でした。そして、国会議員が代表の政党支部は、やはり企業・団体献金が中心です。政治資金管理団体、政党支部、派閥、企業、団体が多く買手となっているパーティー収入がその収入の大勢を占めます。要するに、自民党の収入というのは、国民にカンパを強制する政党助成金と賄賂性の高い企業・団体献金の二本柱だということであります。
総理はこのバランスが重要だとおっしゃる。ということは、今後もこうした収入構造を続けていくということですか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) おっしゃるように、政治団体の収入については、多様な考え方の多くの出し手による様々な収入を確保することが政策立案における中立性やバランスの確保において重要だと認識をしております。
そして、我が党及び国民政治協会の収入バランスについては、今一端を紹介させていただきましたが、公開している政治資金収支報告書にありますとおり、政党交付金のほかに、党費や会費などを含め、個人からも、また個別の企業からも政治団体からも幅広く浄財をいただいております。
どのような収入の内訳であれば多様性が確保されているか、これは価値判断にもよるため一概にお答えすることは困難でありますが、大切なことは、こうした収入についても透明性が確保され、多様性があるかどうか国民が判断できるようになっていること、これが重要であると認識をしております。

○山添拓君 いや、これまた続けていくということなんですよね。
そして、多様なバランスとおっしゃりますけれども、今お示ししたように、自民党の収入というのは、大半は政党助成金と、そして企業、団体が出資者となっている献金、パーティー券だと。この構造、このまま続けていけば、私は、必ずまた裏金事件のような金権腐敗、起き得ると思いますよ。だから根を絶たなくちゃいけないということが求められているわけです。
我が党は、参議院で抜本的な対案を示しています。企業・団体献金を禁止する、企業や団体がパーティー券を買うことも禁止する、裏金作りを元から断つというものです。全ての政治団体の代表者に監督義務を課し、その義務を怠ったときには会計責任者と同じ刑に処すると。いわゆる政策活動費脱法行為の合法化ではなく、禁止をする。加えて、政党助成金の廃止も掲げておりますが、少なくとも、企業・団体献金禁止は、これ世論調査で八割が求めています。国会でも多くの会派が共有しています。(発言する者あり)今、分かっていないという話が自民党席からありましたけれども、国民の多くはそう見ていますよ。
裏金事件の当事者である自民党だけがこの企業・団体献金、しがみついているわけですね。それで国民が納得するとでもお思いですか、総理。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) この政治改革大綱、この国会においても度々引用された政治改革大綱の中でも、自由主義経済において、法人は重要な役割を担い、法人などの寄附を禁止する理由はない、このように明らかにしていますし、最高裁判決においても、政治活動の自由の一環として政治資金の寄附の自由を有する、企業はこうした寄附の自由を有するという御指摘もあります。
よって、これ、企業・団体献金について、これは禁止、制限するのではなく、まずは政治資金の透明性を高めることが重要であると考えております。

○山添拓君 これは根を絶つという姿勢が全く見えないと思うんですね。
自公と維新の案は、世論調査で七割が評価しないと答えています。これ、私は、到底国民が許さないと思います。ごまかしの法改正ではなく、金権腐敗を根絶する抜本改正を参議院で求めていくことを表明して、質問を終わります。

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