山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2026年・第221特別国会

緊急事態条項の創設 参考人は必要性疑問

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
お二人の参考人、今日は大変ありがとうございました。
内閣が国会を経ず、法律と同じ効力を持つ緊急政令を定められるとする緊急事態条項は、その緊急事態の宣言も、またその下での権利制約も、権力の恣意的な判断を許すのではないかと危惧されます。
権力を縛り、権利を保障するという立憲主義の下で、緊急事態は必須の、緊急事態条項は必須の制度なのか。先ほど只野参考人から不備とは考えないという御発言もありましたが、この点を改めて両参考人に伺いたいと思います。只野参考人からお願いいたします。

○参考人 専修大学法務研究科教授(只野雅人君) 御質問ありがとうございました。
先ほど不備という話をしましたのは、日本国憲法の場合には、正面から緊急事態を規定していないわけですね。何か足りない規定があるのかと、まあこういうお考えはあるかと思いますが、必ずしもそう見るべきものではないんじゃないかと、こういうお話をさせていただいた次第です。
各国の緊急事態条項を見回しましても、憲法に詳細な規定を設けている場合もあれば、必ずしもそうじゃない場合もあるわけです。しかし、そうじゃない場合というのは対応を考えていないのかというと、通常はそう考えないわけですね。
日本国憲法の場合にも同じように考えることができるんじゃないかと。また、五十四条を手掛かりにすると、一定の対応をそこから引き出すことができるんじゃないかと、こう考えた次第です。
○参考人 早稲田大学法学学術院教授(長谷部恭男君) 私は、現代の日本の憲法には緊急事態条項あると考えておりまして、それは参議院の緊急集会制度であるというふうに考えております。現在のところはこれで十分間に合うのではないかというのが私の考え方でございます。

○山添拓君 ありがとうございます。
現在、一部の政党が主張している衆院議員の任期延長は、広範かつ長期に国政選挙が実施できない選挙困難事態を理由に、半年、一年、場合によっては更に延長して、長期にわたって任期延長議員が国会にとどまることを想定しています。先ほど長谷部参考人からは、それがいつまでかという懸念があるという発言がありました。
一方、現行憲法の緊急集会は臨時のものという規定があり、総選挙後の国会が開会されると十日以内に衆議院の同意が必要と、暫定的な措置とされています。最長七十日までとすべきかどうかは議論の余地があるかと思いますが、いずれにせよ、暫定的な位置付けは変わらないかと思います。
今日、お二方の御意見の中で、いずれも原則への復元の力、復元力という言葉もあり、それは一つのキーワードではないかと思っております。この暫定的な措置としての緊急集会と、原則への復元力ということについて、長谷部参考人、只野参考人、それぞれ御意見を伺います。

○参考人(長谷部恭男君) 御指摘のとおり、原則への復元力、これを保っておくという、これは大変重要なことでありまして、先ほど、憲法改正することについてのメリットとデメリット、プラスとマイナスをやはりよく考えなくてはいけないというふうに申し上げましたけれども、変えることによって原則への復元力が失われるということになっては、これまた大変困った話でございまして、私の考えるところでは、解釈に応じて状況、状況も解決をする、問題を解決をすると、そういう態度を取っている方が、この復元力を保つのには役に立つというふうに考えております。

○参考人(只野雅人君) 私からもお答えします。
先ほど二点指摘したとおりなのですけれども、一つは、緊急集会というのはやっぱり通常の国会の機能とは違う、内閣が主導権を持つわけですね。国会としても、それは元に戻そうと、こういうお考え当然働きやすいんじゃないかということもありますし、それから、何より衆議院が欠けた状態というのは非常に大きいわけです。通常はやはりそれは解消しなきゃいけないと、当然国会議員の先生方はそう考えるわけでございまして、緊急集会に限っていいますと、やはり復元力というのは一定期待できるんじゃないか、こう考えているところでございます。

○山添拓君 ありがとうございます。私もそのように思います。
その上で、ちょっとお二方に、今日は御意見も伺って、改めて伺いたいなと思ったのですが、今言われているような緊急事態、災害であれ、対外的な有事であれ、そうしたものを長期に想定しようとしているわけですが、その長期にわたって全国的に、かつ定足数にも至らないぐらいに選挙が実施できない、それは一体どういう場合が想定できるかと御意見をお持ちでしょうか。また、そうした事態を国政がそもそも想定すべきなのかどうか、この点についてちょっと率直に伺えればと思っております。只野参考人、長谷部参考人の順でお願いいたします。

○参考人(只野雅人君) どこまで想定できるかというのは率直によく分からないのですけれども、かなり例外的なものではあるだろうと思います。
災害でそういったことがあるか、全くないとは申しませんけれども、かなり少ないだろうし、治安上の事態の場合なかなか想定し難いところはありますけれども、逆にそういった事態を正面から想定して、十全な対応をしましょう、それを明文化しましょうということになりますと、そのことに伴うデメリットも大きいんじゃないかなということも懸念するわけでございます。
何が正解かというのは、なかなか事態たくさんありますから難しいのですけれども、ある程度想定される事態というものを前提にしながら制度をつくっていく、運用を考えていくと、そこには一定の合理性はあるかなと思っております。

○参考人(長谷部恭男君) 確かに、山添先生がおっしゃるとおり、どういう事態がそれに当たるのかってなかなか難しいところでして、例えば昔の話になりますが、二・二六事件は、クーデターが起こったという、まあ議会は当然召集できないし、じゃ、内閣は動いているかといえば、内閣も動かないわけですね。首相も殺されてしまったかもしれないと、そういう事態でございますので。議会は動かないかもしれないけど、内閣だけは動くだろうという事態が本当にどこまであるのかと、それもやはりなかなか見当の付かないところもございます。
山添先生がおっしゃるような事態、果たしてどこまでそういうことがあり得るのかということはなかなか難しいところですし、私が先ほど申しましたプラスとマイナスを考えなくちゃいけないというのは、そういっためったに起こりそうもないような例外的な事態のことのために憲法を改正することのプラスとマイナスということをやはり考慮に入れる必要はあるだろうというふうに私は考えております。

○山添拓君 ありがとうございます。
国会機能の維持という任期延長改憲が主張されておりますが、これはやはり選挙で審判を受けない居座りの国会議員による国会となり、民主的な正統性を欠きます。緊急集会とは全く異質の存在であり、緊急時に名を借りた民主主義の停止というべき、そうしたものへの改憲は容認できないと、この意見を申し上げまして、質疑を終わります。

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